JP2010132565A - (メタ)アクリル酸エステルを製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 短時間かつ高い収率で(メタ)アクリル酸エステルが得られる製造方法を提供することである。
【解決手段】 チタンテトラアルコキシド触媒の存在下、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとアルコールとをエステル交換反応させて前記アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 チタンテトラアルコキシド触媒の存在下、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとアルコールとをエステル交換反応させて前記アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。さらに詳しくは、例えば、活性エネルギー線の照射によって硬化するレジスト、塗料、被覆材料、粘着剤、接着剤、希釈剤、または樹脂組成物として好適に使用しうる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。
(メタ)アクリル酸エステルの製造法については種々の方法が提案されている。例えば、(1)酸触媒の存在下に(メタ)アクリル酸と相当するアルコールとを脱水反応させて(メタ)アクリル酸エステルを生成した後、副生する水を系外に除去する方法、(2)(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルと相当するアルコールとをエステル交換反応させて(メタ)アクリル酸エステルを生成した後、副生する低級アルコールを系外に除去する方法などが一般的である。前記(1)の脱水反応による方法は、酸触媒として用いた硫酸やパラトルエンスルホン酸等の強酸及び過剰の(メタ)アクリル酸を反応後に除去するため、中和・水洗による多量の廃水が生じ、また工程も長くなるという欠点があった。また、前記(2)のエステル交換反応による方法は、(1)の方法に比べると廃水は少ないが、触媒にチタンテトラアルコキシドを用いた際(特許文献1参照)は、(1)に比べ反応性が乏しく、触媒を多量に使用しても反応に時間が掛かり、多官能のアルコールまたは分子量の小さいアルコールを用いた場合は反応が充分に進行しなかった。また、原料アルコールが(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルに溶解しない場合は、反応が充分に進行しないという欠点があった。
さらに、チタン以外の金属、例えばアルカリ金属や錫、鉛等の塩を触媒に使用する方法が数多く提案(特許文献2参照)されているが、アルカリ金属の塩を触媒に用いた場合は副生成物の生成が避けられないこと、また他の金属は毒性やコスト、蒸留工程が必須になる等の問題点があった。例えば、前記特許文献2において特に好ましいとされている錫化合物は、反応後に除去工程が必須であり蒸留を行なわなければならなかった。
米国特許3105838号明細書
特開2000−063371号公報
本発明の目的は、チタンテトラアルコキシドを触媒として用いて、短時間でかつ高い収率で(メタ)アクリル酸エステルが得られる製造方法を提供することである。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」または「メタクリル酸」を、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」をそれぞれ意味する。
すなわち、本発明は、(1)チタンテトラアルコキシド触媒の存在下、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとアルコールとをエステル交換反応させて前記アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。
また、本発明は、(2)前記側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしてジシクロペンタニル基又はジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いる前記(1)記載の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。
また、本発明は、(3)前記側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしてジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を用いる前記(1)又は(2)記載の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。
本発明によれば、短時間でかつ高い収率で(メタ)アクリル酸エステルが得られる製造方法を提供することができる。
本発明の方法は、チタンテトラアルコキシド触媒の存在下、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとアルコールとをエステル交換反応させて前記アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法である。
本発明は、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることが重要であり、それによって、目的物である(メタ)アクリル酸エステルを短時間でかつ高い収率で製造することができる。
本発明において、エステルの原料として用いる側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルは、側鎖が嵩高い骨格を有しているため側鎖の脱離能が高くエステル交換能が高い。側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、エステル交換反応の進行を助長させることができれば特に限定されないが、具体的には、シクロジシクロペンタジエン骨格、トリシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格などを有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。なかでも、工業的に入手し易い点から、ジシクロペンタジエン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、ジシクロペンタニル基又はジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、例えば、ジシクロペンタニルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−513AS)、ジシクロペンテニルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−511AS)、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−512A(S))、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−513M)、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−512M)などが挙げられる。
側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、原料アルコールに対して、好ましくは10〜200重量%、より好ましくは30〜150重量%である。前記使用量が10重量%未満では反応を促進する効果が少なく、200重量%を超えても反応を促進する点で利点はなく不経済となる可能性がある。
本発明においてエステルの原料として用いる(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとしては、特に限定されるものでは無いが、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル等が挙げられる。つまり、(メタ)アクリル酸と炭素数が1〜4のアルコールとのエステルが用いられる。これらのなかでも、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの配合量は、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルのエステル基が、アルコールのOH基に対して、当量比で2倍以上になるように配合することが好ましく、2〜5倍になるように配合することがより好ましい。前記当量比が2倍未満では、エステル交換反応の反応速度が低下する傾向があり、5倍を超えても反応速度に対する利点はなく、かえって経済性に劣る場合がある。
(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの配合量は、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルのエステル基が、アルコールのOH基に対して、当量比で2倍以上になるように配合することが好ましく、2〜5倍になるように配合することがより好ましい。前記当量比が2倍未満では、エステル交換反応の反応速度が低下する傾向があり、5倍を超えても反応速度に対する利点はなく、かえって経済性に劣る場合がある。
本発明においてエステルの原料として用いるアルコールとしては、特に限定されるものでは無いが、チタンテトラアルコキシド触媒の活性を考慮すると炭素数4以上のアルコールが好ましく、具他的には、n−ブタノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、イソデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロック共重合体ジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、デカンジオール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールエタンエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物、トリシクロ[5.2.1.02.6]デセノール、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカノール、トリシクロ[5.2.1.02.6]デセニルオキシエタノール、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカニルオキシエタノール、トリシクロ[5.2.1.02.6]デセニルオキシプロパノール、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカニルオキシプロパノール、ポリエチレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6]デセニルエーテル、ポリエチレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6]デカニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6]デセニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6]デカニルエーテル、トリシクロデカンジアルコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸トリアルコール、オキセタン環含有アルコール、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。これらのなかでも、反応性の低いアルコールに対し本発明の特長が特に生かされ、固体アルコール、3官能以上のアルコール、または化学構造からアルコール基への分極が少ないアルコールが好ましく、具体的にはトリシクロデカンジアルコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸トリアルコール、オキセタン環含有アルコール、ペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられ、特にオキセタン環含有アルコールが好ましい。
一般式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を、Aは主鎖に酸素原子を含有しても良いアルキレン基を示す。R1、R2、R3の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが挙げられる。また、Aの具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。
前記オキセタン環含有アルコールの具体例としては、2−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)オキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−n−プロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−イソプロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−n−プロピル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−イソプロピル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、2−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2,3−ジメチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2,4−ジメチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2,3,4−トリメチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−2−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−2,4−ジメチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどがあげられる。
触媒として用いるチタンテトラアルコキシドとしては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン等が挙げられるが、取り扱い上の安定性と触媒活性との点から、チタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラn−ブトキシドが好ましい。
触媒の使用量は、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとアルコールの合計量に対して、好ましくは0.01〜5.0重量%、より好ましくは0.1〜3.0重量%、特に好ましくは0.5〜1.5重量%である。触媒の使用量が0.01重量%未満ではエステル交換反応の進行が遅くなる傾向があり、5.0重量%を超えても、反応速度に対する利点はなく、不経済となる可能性がある。
チタンテトラアルコキシドは、水分や湿気で徐々に失活するため、反応系内の水分は少なく制御することが好ましく、反応中を通して反応液中の水分を500ppm以下に保つことが好ましい。例えば、アルコール、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル及び所望により重合防止剤を仕込んだ後、混合物をリフラックスさせ、水分を系外に除去し、内容物の水分が500ppm以下になったところで触媒のチタンテトラアルコキシドを添加して反応させることにより、比較的容易に水分を管理することが可能である。
エステル交換反応に際しては、重合防止剤を添加することが好ましい。重合防止剤としては、公知の重合防止剤が用いられ、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、BHT(t−ブチルヒドロキシトルエン)、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール等のフェノール類、フェノチアジン、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、4−ヒドロキシ2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル等のN−オキシル化合物等があげられる。
重合防止剤の使用量は、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルに対して、通常、10〜10,000ppm程度である。10ppm未満では重合防止効果が充分でない可能性があり、10,000ppmを超えると、目的物である(メタ)アクリル酸エステルを重合反応に供する場合は重合が阻害される可能性がある。
また、エステル交換反応中、反応液の重合防止のために、必要により分子状酸素を反応液に導入しながら反応させてもよい。分子状酸素としては、例えば空気が好適に使用可能である。分子状酸素の使用量(流量)としては、反応器の形状や攪拌動力などによっても影響を受けるが、アルコール1モルに対して5〜500ml/分(空気として25〜2,500ml/分)の流量で吹き込むことが好ましい。なお、上述の水分管理のため、空気等を吹き込むときは乾燥空気を用いることが好ましい。
また、エステル交換反応中、反応液の重合防止のために、必要により分子状酸素を反応液に導入しながら反応させてもよい。分子状酸素としては、例えば空気が好適に使用可能である。分子状酸素の使用量(流量)としては、反応器の形状や攪拌動力などによっても影響を受けるが、アルコール1モルに対して5〜500ml/分(空気として25〜2,500ml/分)の流量で吹き込むことが好ましい。なお、上述の水分管理のため、空気等を吹き込むときは乾燥空気を用いることが好ましい。
また、エステル交換反応に際しては、反応に関与しない不活性溶媒を使用することもできる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の炭化水素類やジオキサン等のエーテル類などを挙げることができる。
エステル交換反応は、常圧又は減圧下、60〜130℃で行うことが好ましい。前記反応温度が60℃未満である場合は、反応速度が遅くなる傾向にある。前記反応温度が130℃を超える場合は、原料の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル及び目的物の(メタ)アクリル酸エステルの着色や重合などの副反応を引き起こす可能性がある。
また、エステル交換反応の装置としては、当業者間で一般的に知られている通常の装置を採用することが出来る。エステル交換反応は平衡反応であるため、通常、アルコールの転換率を高める目的で、副生する低級アルコールを原料の低級(メタ)アクリル酸エステル又は上述の溶媒との共沸混合物として系外に留去しながらエステル交換反応を行うことが好ましい。このため、反応装置としては、精留塔の付いた回分式反応槽を使用することが好ましい。
エステル交換反応の進行は必要により反応器内の反応液の組成分析(ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、滴定分析等)、または留出する低級アルコール量などによって確認することができる。所望の反応率になったところで、加熱を終了し冷却することによって反応を終了することができる。
尚、反応率とは、供給したアルコール全量に対して、反応して(メタ)アクリル酸エステルに転換したアルコールの割合をいう。
反応終了後は、水かつ、または無機塩の水溶液を加え、チタンテトラアルコキシド触媒を加水分解により十分に不溶化させ、濾過などにより反応系外に除去する。無機塩としては、特に限定されないが、触媒の不溶化物の形状が除去工程において最適となるよう適宜選択される。不溶化の処理時間としては、通常、10分〜2時間の範囲で行われるが、好ましくは30分〜1時間の範囲である。前記処理時間が10分より短いと触媒が十分に不溶化できない可能性があり、2時間より長くても特に利点はない。
濾過の際には濾過助剤を使用することができる。濾過助剤としては、ケイソウ土、ハイドロタルサイト、活性炭などが使用され、これらを併用することもできる。濾過助剤の使用量は、目的物の(メタ)アクリル酸エステルに対し、0.05〜5.0重量%の範囲とすることが好ましい。
濾過の方法としては、減圧吸引濾過、加圧濾過、常圧自然濾過などのいずれの方法でもよい。濾過助剤の添加時期は濾過の際の他、濾過の前の濃縮工程、すなわち未反応の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの除去工程で配合することもできる。
また、反応終了後に反応液中の未反応の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルを減圧下に加熱して反応系外に除去するが、上記不溶化した触媒の除去を先に行っても後に行っても何れでも構わない。すなわち、反応終了後、未反応の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルを減圧下、加熱して反応系外に除去後、不溶化した触媒を濾過により除去してもよいし、反応終了後、不溶化した触媒を濾過により除去した後に、未反応の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルを減圧下に加熱して除去してもよい。
反応終了後、反応液から触媒及び未反応の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルを除去する工程を経て、目的物である(メタ)アクリル酸エステルが、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとの混合物として得られる。分離操作を行なうことにより混合物から(メタ)アクリル酸エステルを単離できるが、目的物が固体である場合は液状の混合物として取得する方が取り扱い性の点で好ましい場合もある。
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸エステルを含む樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射によって硬化するレジスト、塗料、被覆材料、粘着剤、接着剤、光学用途などの希釈剤、及びポリマ合成材料として好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
攪拌機、温度計、空気導入管、及び精留塔(5段)を取り付けた1リットルフラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン400g(3.45モル)、アクリル酸エチル500g(5.0モル)、ジシクロペンテニルアクリレート208g(1.0モル)及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.07gを仕込み、常圧下、乾燥空気を100ml/分の流量で吹き込みながら加熱還流し系内の水分を除去した。次いで、触媒としてチタンテトライソプロポキシド2.0gを加え、エステル交換反応させた。
攪拌機、温度計、空気導入管、及び精留塔(5段)を取り付けた1リットルフラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン400g(3.45モル)、アクリル酸エチル500g(5.0モル)、ジシクロペンテニルアクリレート208g(1.0モル)及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.07gを仕込み、常圧下、乾燥空気を100ml/分の流量で吹き込みながら加熱還流し系内の水分を除去した。次いで、触媒としてチタンテトライソプロポキシド2.0gを加え、エステル交換反応させた。
触媒を加えてから、1時間経過した頃から塔頂温度が上昇し始め約90℃まで上昇したので、それに合わせて還流比を徐々に大きくし、最終的には15にして反応を続けた。反応開始から1時間後と4時間後の反応液中の反応率を液体クロマトグラフィ−により測定したところ、1時間後の反応率が40面積%、4時間後の反応率が99面積%となったので反応を終了した。
得られた反応液に17%食塩水0.7g及び純水5.5gを加え、さらに30分攪拌し、触媒を不溶化した。引き続き反応液をロータリーエバポレーターに移し、残存アクリル酸エチルが濃縮残留液全体の0.5重量%になるまで、浴温80℃で減圧下にアクリル酸エチルを留去した。回収したアクリル酸エチルは純度99.9%以上で水分含有量が100ppm以下であり、そのまま再使用できる品質のものであった。
次に、珪藻土(昭和化学工業株式会社製、商品名:ラヂオライト900)を厚み約5mmに敷き詰めた直径22mm、孔径4ミクロンの濾紙を用いて、減圧吸引濾過を30分行ない、得られた濾液の重量を測定し濾過量とした。濾液は、アクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル117g(収率80重量%)、ジシクロペンテニルアクリレート196g(収率94重量%)の混合物であった。
[比較例1]
攪拌機、温度計、空気導入管、及び精留塔(5段)を取り付けた1リットルフラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン100g(0.86モル)、アクリル酸エチル500g(5.0モル)及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.07gを仕込み、常圧下、乾燥空気を100ml/分の流量で吹き込みながら加熱還流し系内の水分を除去した。次いで、触媒としてチタンテトライソプロポキシド3.0gを加え、エステル交換反応させた。
攪拌機、温度計、空気導入管、及び精留塔(5段)を取り付けた1リットルフラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン100g(0.86モル)、アクリル酸エチル500g(5.0モル)及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.07gを仕込み、常圧下、乾燥空気を100ml/分の流量で吹き込みながら加熱還流し系内の水分を除去した。次いで、触媒としてチタンテトライソプロポキシド3.0gを加え、エステル交換反応させた。
触媒を加えてから、1時間経過した頃から塔頂温度が上昇し始め約90℃ま
で上昇したので、それに合わせて還流比を徐々に大きくし、最終的には15にして反応を続けた。反応開始から1時間後の反応液中の反応率を液体クロマトグラフィ−により測定したところ、反応率は18面積%であった。チタンテトライソプロポキシド3.0gをさらに加え、エステル交換反応を続けた、反応開始から3時間後の反応液中の反応率は29面積%、4時間後の反応液中の反応率は30面積%であり、ジシクロペンテニルアクリレートを用いない比較例1では、反応の進行が遅いことが分かった。
で上昇したので、それに合わせて還流比を徐々に大きくし、最終的には15にして反応を続けた。反応開始から1時間後の反応液中の反応率を液体クロマトグラフィ−により測定したところ、反応率は18面積%であった。チタンテトライソプロポキシド3.0gをさらに加え、エステル交換反応を続けた、反応開始から3時間後の反応液中の反応率は29面積%、4時間後の反応液中の反応率は30面積%であり、ジシクロペンテニルアクリレートを用いない比較例1では、反応の進行が遅いことが分かった。
Claims (3)
- チタンテトラアルコキシド触媒の存在下、側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとアルコールとをエステル交換反応させて前記アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。
- 前記側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしてジシクロペンタニル基又はジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いる請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。
- 前記側鎖に嵩高い骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしてジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を用いる請求項1又は2記載の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。
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JP2013053131A (ja) * | 2011-08-08 | 2013-03-21 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 塩の製造方法 |
JP2013189415A (ja) * | 2012-03-15 | 2013-09-26 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | ポリテトラメチレンエーテルグリコールジ(メタ)アクリレートの製造方法 |
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JP2006315960A (ja) * | 2005-05-10 | 2006-11-24 | Hitachi Chem Co Ltd | トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート及びその製造方法 |
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2008
- 2008-12-02 JP JP2008307143A patent/JP2010132565A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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