JP2020193150A - (メタ)アクリレートの製造方法及びアルカリ性水溶液のゲル化防止方法 - Google Patents

(メタ)アクリレートの製造方法及びアルカリ性水溶液のゲル化防止方法 Download PDF

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康之 佐内
忍 鏡味
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忍 鏡味
広紀 柴田
Hironori Shibata
広紀 柴田
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Abstract

【課題】(メタ)アクリレートを製造するに当たり、中和液タンク中のアルカリ性水溶液のゲル化を長期間に渡って防止することができる製造方法、及びアルカリ性水溶液のゲル化防止する方法の提供。【解決手段】下記第1工程〜第3工程を含む(メタ)アクリレートの製造方法。下記第1工程及び第2工程を経て得られた水相に、N−オキシル化合物を添加するアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。・第1工程:酸触媒の存在下に、(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させ(メタ)アクリレートを製造する工程。・第2工程:第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加し、反応液中の酸性分を中和した後、有機相及び水相に分離する工程。・第3工程:第2工程で得られた水相に、N−オキシル化合物を添加する工程。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリレートの製造方法及びアルカリ性水溶液のゲル化防止方法に関し、(メタ)アクリレートを製造及び使用する技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸及びメタクリル酸を(メタ)アクリレートと表す。
(メタ)アクリレートは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射により、又は加熱によって硬化するため、塗料、インキ、接着剤、光学レンズ、充填剤及び成形材料等の組成物の主成分、架橋成分及び反応性希釈剤成分等として大量に使用されている。
(メタ)アクリレートは、反応溶媒中で、酸触媒の存在下に、(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させ製造されている。
脱水エステル化反応により得られた(メタ)アクリレートを含む反応液は、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液により反応液中の酸性分を中和した後、有機相と水相に分離し、分離された有機相は、さらに水洗や反応溶媒の蒸留等の工程を経て、最終製品の(メタ)アクリレートが得られる。
一方、アルカリ水溶液により中和し、有機相と分離して得られる水相(以下、「中和処理後の水溶液」という)は、アルカリ性を有する水溶液であり、一旦、タンク(以下、「中和液タンク」という)に貯蔵される。中和液タンクには、(メタ)アクリレート製造の都度に中和処理後の水溶液が貯蔵され、タンク中の水溶液が一定量となった時点で、中和、燃焼及び活性汚泥処理等の生物化学処理等処理を経た後、廃水として廃棄される。
この場合、中和処理後の水溶液には、未反応の(メタ)アクリル酸がアルカリ成分と反応したアルカリ金属塩を微量含んでいる。そのため、中和液タンク内で中和処理後の水溶液を長期間貯蔵しておくと、アクリル酸のアルカリ金属塩が経時的に重合してしまい、ゲル化物が発生してしまうという問題があった。
ゲル化物を含む中和液タンクは、ゲル化物によりタンクの有効面積が減少してしまい、貯蔵できる水溶液の量が減少したり、又は、ゲル化物により配管が閉塞してしまうことがある。よって、作業者により、中和液タンクや配管からゲル化物を取り除き、洗浄する作業を定期的に行う必要があり、製造工程の煩雑化の問題や、作業コスト上昇という経済的な問題が発生していた。
中和液タンク内のアルカリ性水溶液のゲル化を防止する方法として、水溶液中に、ハイドロキノン及びハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール系重合禁止剤を添加する方法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、これら重合禁止剤は、ゲル化防止に優れる方法ではあったものの、中和液タンク内で長期間に渡ってアルカリ性水溶液を保管する場合においては、ゲル化を防止することができなかった。
本発明者らは、フェノール系重合禁止剤以外の重合禁止剤として、重合禁止効果に優れる重合禁止剤として知られるフェノチアジンを検討してみたが、当該重合禁止剤は水に難溶性であり、使用することができなかった。
国際公開第WO2007/074750号パンフレット
本発明者らは、(メタ)アクリレートを製造するに当たり、中和液タンク中のアルカリ性水溶液のゲル化を長期間に渡って防止することができる製造方法、及びアルカリ性水溶液のゲル化防止する方法を見出すため、鋭意検討を行ったのである。
本発明者らは、前記課題を解決するため、フェノール系重合禁止剤が長期間に渡りゲル化防止することができない原因を鋭意検討した結果、(a)中和液タンク中の水溶液は、高アルカリ性であるためフェノール系重合禁止剤がイオン化してしまい、重合禁止効果を発揮しないのではないか、及び(b)フェノール系重合禁止剤は、酸素が存在することにより重合禁止効果を発揮するが、中和液タンク中の水溶液は、アクリル酸のアルカリ金属塩及び酸触媒のアルカリ金属塩等といった塩濃度が高いため溶存酸素濃度が低下し、嫌気状態となってしまい、重合禁止効果を発揮しないのではないかと推測した。
その結果、アルカリ性においても安定で、嫌気状態でも重合禁止効果を発揮する重合禁止剤を使用すれば前記課題を解決できるのではないかとの着想のもと鋭意検討した結果、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法及びゲル化防止方法によれば、(メタ)アクリレートを製造するに当たり、中和液タンク中のアルカリ性水溶液のゲル化を長期間に渡って防止することができる。
その理由は、本発明で使用するN−オキシル化合物は、水に対する溶解性に優れ、高アルカリ性(高pH条件)においても安定であり、嫌気条件においても重合防止効果に優れることに起因すると推定している。
本発明は、下記第1工程〜第3工程を含む(メタ)アクリレートの製造方法に関する。
・第1工程:酸触媒の存在下に、(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させ(メタ)アクリレートを製造する工程。
・第2工程:第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加し、反応液中の酸性分を中和した後、有機相及び水相に分離する工程。
・第3工程:第2工程で得られた水相に、N−オキシル化合物を添加する工程。
又、本発明は、前記第1工程及び第2工程を経て得られた水相に、N−オキシル化合物を添加するアルカリ性水溶液のゲル化防止方法にも関する。
以下、第1工程〜第3工程、その他の工程及び用途について説明する。
1.第1工程
工程1は、酸触媒の存在下に、(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させ(メタ)アクリレートを製造する工程である。
この場合のアルコールとしては、種々の化合物が使用でき、1価アルコール及び多価アルコールが挙げられる。
1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、シクロヘキサノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、n−ノニルアルコール、及びイソノニルアルコール等の一価アルキルアルコール、並びにこれら一価アルキルアルコールのアルキレンオキサイド付加物等の脂肪族アルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテル等の分子内にエーテル結合を有する一価アルコール;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デセノール(別名ヒドロキシジシクロペンタジエン)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセニルオキシエタノール、及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルオキシエタノール等の環構造を有する一価アルコール;
ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、及びp−キシレングリコールモノメチルエーテル等の芳香環を有するアルコール;
フェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、フルオロフェノール、ナフトール、フェニルフェノール、クミルフェノール、ノニルフェノール、ビスフェオールA、ビスフェノールF、チオビスフェノール及び4,4’−スルホニルジフェノール等のフェノール性水酸基を有する化合物のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
尚、上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
化合物1モル当たりのアルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、1〜10モルが好ましい。
多価アルコールとしては、2価のアルコール(ジオール)及び3価以上のアルコールが挙げられる。
ジオールとしては、低分子量ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、ポリエン骨格を有するジオール、ポリエステル骨格を有するジオール、ポリエーテル骨格を有するジオール及びポリカーボネート骨格を有するジオール等が挙げられる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールA、及びビスフェノールF等の多価フェノール誘導体のアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
水素化ビスフェノールA、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,6−デカリングリコール及び2,7−デカリングリコール等の脂環式ジオール;
ポリエステル骨格を有するジオールとしては、前記低分子量ジオール又はポリカプロラクトンジオール等のジオール成分と、ジカルボン酸又はその無水物(以下、単に「ジカルボン酸(無水物)」という)等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
ジカルボン酸(無水物)としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、前記低分子量ジオール又は/及びビスフェノールA等のビスフェノールと、エチレンカーボネート及び炭酸ジブチルエステル等の炭酸ジアルキルエステルの反応物等が挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、及びポリグリセリン等のグリセリン;
トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等のポリオール;
トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等のイソシアヌレート系化合物;
並びにこれら多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
尚、上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
化合物1モル当たりのアルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、1〜20モルが好ましい。
又、多価アルコールとしては、2価以上のアルコールとジカルボン酸(無水物)の反応物を挙げることができる。
当該化合物と(メタ)アクリル酸との反応物は、ポリエステル(メタ)アクリレートと称して販売されていることもある化合物である。
多価アルコールとしては、前記した低分子量ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、及び3価以上のアルコールを挙げることができる。
多価アルコールとしては、これら化合物のアルキレンオキサイド付加物を使用することができる。アルキレンオキサイドの好ましい具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
多価アルコールとしては、前記した化合物の中でも、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びトリス(2−ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートが好ましい。
ジカルボン酸(無水物)の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸及びエンドヘット酸、並びにこれら化合物の無水物等が挙げられる。
ジカルボン酸(無水物)としては、ジカルボン酸無水物が好ましく、さらに、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物及びヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましい。
本発明は、上記したアルコールの中でも、第2工程で発生する水相(アルカリ性水溶液)中に不溶性高分子体(ゲル)を生成させる要因となる2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕が含まれやすい多価アルコールに好ましく適用できる。
当該多価アルコールの具体例としては、前記した化合物を挙げることができる。
さらに、多価アルコールの中でも、得られる水相(アルカリ性水溶液)中に不溶性高分子体(ゲル)を生成しやすい多価アルコールに好ましく適用できる。
当該多価アルコールの例としては、
(a1)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及びノナンジオール等の炭素数2〜9のアルキレングリコール;
(a2)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;
(a3)ビスフェノールA、及びビスフェノールF等の多価フェノール誘導体のアルキレンオキサイド付加物;
(a4)トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等の3価以上のポリオール:
(a5)(a4)3価以上のポリオールのアルキレンオキサイド付加物;並びに
多価アルコールとジカルボン酸又はその無水物のエステル化反応物であり、多価アルコールが(a1)炭素数2〜9のアルキレングリコール又は(a4)3価以上のポリオールであるポリエステルポリアクリレート;並びに
(a6)(a4)3価以上のポリオールとジカルボン酸(無水物)の反応物
等が好ましい。
脱水エステル化反応で使用する酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及び硫酸等が挙げられる。
これら化合物は、一種を単独で使用しても、又は二種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
酸触媒の使用割合は、脱水エステル化に供されるアルコール性水酸基のモル数に対して0.05mol%〜10mol%が好ましく、より好ましくは0.5〜5mol%である。この割合を0.05mol%以上とすることで、実用的反応速度を十分とすることができ好ましい。一方10mol%以下とすることで、副反応を抑制して製品の純度を向上させ、着色を抑制し、精製工程での触媒の除去操作及び製品の脱色操作を簡便にすることができ好ましい。
脱水エステル化反応での(メタ)アクリル酸とアルコールの使用割合としては、アルコールの水酸基1モルに対して(メタ)アクリル酸を0.8〜2.0モルが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5モルである。この割合を0.8モル以上とすることで、脱水エステル化の反応時間を短縮化でき、アルコール性水酸基が(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基にマイケル付加する等の副反応を抑制して製品純度を向上させることができるため好ましい。一方、2.0モル以下とすることで、(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基に(メタ)アクリル酸がマイケル付加する等の副反応を抑制して製品純度を向上させることができるうえ、脱水エステル化後に未反応アクリル酸を除去する操作を簡便にすることができ好ましい。
本発明では、脱水エステル化反応で生成する水との溶解度が低い有機溶媒を使用し、水を共沸させて留去しながら行うことが好ましい。
好ましい有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素、並びにメチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトンが挙げられる。
有機溶媒は、基質の溶解性等を考慮して、一種を単独で使用しても又は二種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
有機溶媒の割合としては、反応液中に30〜70重量%が好ましい。
エステル化反応温度としては、70〜140℃が好ましい。反応温度が70℃以上とすることで、反応速度に優れるため好ましく、140℃以下とすることにより、とエステル化時の不純物の副生量を抑制し、ゲル化が起こらないため好ましい。
脱水エステル化反応では、(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましく、さらには含酸素ガスを反応液に導入してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、ベンゾキノン、フェノチアジン、及びN−オキシル化合物等の有機系重合禁止剤;塩化銅及び硫酸銅等の無機系重合禁止剤;並びにジブチルジチオカルバミン酸銅等の有機塩系重合禁止剤等が挙げられる。
重合禁止剤は、一種を単独で使用しても又は二種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
重合禁止剤の割合としては、反応液中に5〜20,000wtppmが好ましく、より好ましくは25〜3,000wtppmである。
含酸素ガスとしては、例えば空気、酸素と窒素の混合ガス、酸素とヘリウムの混合ガス等が挙げられる。
2.第2工程
第2工程は、第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加し、反応液中の酸性分を中和した後、有機相及び水相に分離する工程である。
2−1.中和処理
第2工程では、まず、第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加し、反応液中の酸性分を中和する中和処理を行う。
中和処理は、反応生成液中の未反応(メタ)アクリル酸及び酸触媒等の酸性成分を除去する目的で行われ、反応液とアルカリ水溶液を接触させて行われる。
中和処理は常法に従って行えばよく、例えば反応液にアルカリ水溶液を添加し、攪拌及び混合する方法等が挙げられる。
アルカリ水溶液中のアルカリ成分としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属塩、並びにアンモニア等が挙げられる。アルカリ成分としては、一種を単独で使用しても又は二種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。これらのうち、効果に優れ、安価でかつ入手の容易であるため、水酸化ナトリウムが好ましい。
この場合、アルカリ成分の量は通常、反応液の酸分に対してモル比で1倍以上、好ましくは1.1〜2.0倍である。この添加量が、反応液の酸分に対してモル比で1倍未満では、酸分の中和が不十分となるので好ましくない。
又、アルカリ水溶液の濃度は、1〜25重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。この濃度を1重量%以上とすることで、中和処理後の排水量を抑制でき好ましく、25重量%以下とすることで、(メタ)アクリレートの重合がないため好ましい。
撹拌及び混合時間は、反応液の量、それに含まれる酸性成分の量及び目的等に応じて適宜設定すれば良いが、1分から200分程度が好ましい。
前記中和処理においては、必要に応じて加熱することができる。
加熱温度としては、10〜80℃が好ましく、加熱時間として、5分〜5時間が好ましい。
加熱する場合においては、(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましく、さらには含酸素ガスを反応液に導入してもよい。
重合禁止剤としては、前記と同様のものが挙げられ、その割合も、前記と同様の割合が挙げられる。
含酸素ガスとしては、前記と同様のものが挙げられる。
2−2.分離処理
前記中和処理後の液は、有機相及び水相に2層に分離し、有機相の方が水相より比重が低いため、上層に有機相が下層に水相に分離される。
下層の水相は抜き出し、後記第3工程で処理を行う。
使用するアルコール種類及び得られる(メタ)アクリレートの種類等によっては、中和処理後に、有機相、水相(以下、「中水相」という)及び水相(以下、「下水相」という)の3層に分離する場合もある。この場合は、中水相及び下水相をまとめて抜き出しても良いし、下水相のみを抜き出した後に、中水相を抜き出すこともできる。抜き出した水相の処理方法は、水相の内容に応じて適宜選択すれば良い。中水相及び下水相をまとめて抜き出した場合、及び下水相のみを抜き出した場合は、後記第3工程で処理を行う。中水相は、後記第3工程で処理を行うか、又は直接廃棄処理を行っても良い。
上層の有機相は、後記で詳述する水洗工程、脱溶媒工程及びろ過工程等を行い最終製品の(メタ)アクリレートを得る。
3.第3工程
第3工程は、第2工程で分離された水相(中和処理後の水溶液)に、N−オキシル化合物を添加する工程である。
中和処理後の水溶液は、中和処理で使用したアルカリ水溶液に起因し、高アルカリ性を有するものであり、pH8〜14が好ましく、より好ましくはpH9〜13である。
中和処理後の水溶液へN−オキシル化合物を添加するタイミングとしては、上記分離後に直ちに添加しても良く、又、後記する中和処理後の水溶液をタンクに貯蔵した後に添加することもできる。ゲル化を防止するためには、上記分離後に直ちに添加することが好ましい。
尚、中和処理後の水溶液に含まれるアルカリ成分、酸触媒の中和物及び(メタ)アクリレート等の固形分合計量は、中和処理後の水溶液の加熱残量を基準とした場合、中和処理後の水溶液100重量部に対して、1〜35重量部が好ましく、より好ましくは2〜20重量部である。
N−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等が挙げられる。
これら化合物の中でも、比較的水溶性が高く、種々のアルカリ水溶液に溶解させやすい4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルが好ましい。
さらに、N−オキシル化合物とこれ以外の重合禁止剤を併用することもできる。その場合のN−オキシル化合物以外の重合禁止剤としては、前記した重合禁止剤が挙げられ、フェノール系化合物がより好ましい。
N−オキシル化合物の添加割合は、中和処理後の水溶液100重量部に対して、重量で0.5〜30,000wtppmが好ましく、10〜10,000wtppmがより好ましい。この割合を5wtppm以上とすることで重合防止効果を充分にすることができ、30,000wtppm以下とすることで、中和処理工程に要する製造コストを低減できるとともに、燃焼時の窒素酸化物濃度低減や生物処理の阻害を防ぐことができる。
N−オキシル化合物は、そのまま添加することもできるが、水希釈液として添加することが、中和処理後の水溶液への偏在を防止し、混和性に優れるため好ましい。
水希釈液中のN−オキシル化合物の濃度としては、0.5〜11重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。
第3工程後の水溶液は、タンク(中和液タンク)に貯蔵しておくことが好ましい。又、第2工程後にタンクに移送し、タンク内でN−オキシル化合物を添加することもできる。
タンクの形式としては、目的に応じて適宜選択すれば良い。好ましいタンクの形式としては、中和処理後の水溶液を導入するための配管、N−オキシル化合物を導入するための配管、N−オキシル化合物添加後の中和処理後の水溶液を抜き出すための配管、温度計、必要により撹拌機を備えるものである。N−オキシル化合物を水希釈液として添加する場合は、さらに調合槽を備えることが好ましい。
タンクに貯蔵した第3工程後の水溶液は、タンク内の貯蔵量が一定量となった時点で、中和、燃焼、及び生物処理等を実施した後に廃棄する。
又、タンク内の水溶液に、N−オキシル化合物を追加して添加することもできる。
この場合、タンク内の水溶液中のN−オキシル化合物の割合を定期的に監視し、前記した好ましい割合を維持するようにN−オキシル化合物の添加量を調整することが好ましい。
タンク内の水溶液中のN−オキシル化合物の割合は、電子スピン共鳴装置(ESR)により定量分析することができる。
4.その他の工程
本発明は、前記した第1工程〜第3工程を必須とするものであるが、必要に応じてその他の工程を含んでも良い。
具体的には、水洗工程、脱溶媒工程及びろ過工程等が挙げられる。以下、これら工程について説明する。
4−1.水洗工程
本発明においては、水洗工程を行っても良い。
水洗工程としては、第1工程の後、第2工程の前に、即ち、前記したエステル化反応液の中和処理前に、又は第2工程の後、即ち、中和処理液に対して水洗処理を行うことができる。水洗処理をどの時点で行うかは、使用する成分及び目的に応じて適宜選択することができる。又、水洗処理は複数回行っても良い。
水洗処理は、常法に従って行えば良い。具体的には、前記エステル化反応で得られた反応液又は前記中和処理液に対して水又は無機水溶液を添加し、攪拌、混合する方法等が挙げられる。
水洗工程においては、通常水を使用する。一方、有機層との分離を改善したり、高純度の製品が要求される場合には、無機水溶液を使用することが好ましく、具体的には、硫酸アンモニウム水溶液及び塩化アンモニウム水溶液等のアンモニウム塩水溶液、塩化ナトリウム等のナトリウム塩水溶液、並びに塩酸水溶液等の酸性水が挙げられる。
水洗処理においては、必要に応じて加熱することができる。
加熱温度としては、30〜80℃が好ましく、加熱時間として、5分〜5時間が好ましい。
加熱する場合においては、(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましく、さらには含酸素ガスを反応液に導入してもよい。
重合禁止剤としては、前記と同様のものが挙げられ、その割合も、前記と同様の割合が挙げられる。
含酸素ガスとしては、前記と同様のものが挙げられる。
4−2.脱溶媒工程
第1工程で有機溶媒を使用した場合には、脱溶媒工程を行う。
脱溶媒工程について説明すると、中和処理液又は水洗処理液は脱溶媒槽に移され、中和処理又は水洗処理で水層が分離された後の有機層中の有機溶媒が除去される。
脱溶媒処理は常法に従えば良く、例えば脱溶媒槽を減圧下に加熱して有機溶媒を除去する方法等が挙げられる。
脱溶媒槽の減圧度としては、使用する原料及び目的に応じて適宜設定すれば良く、好ましくは0.5〜50kPaであり、有機溶媒の除去程度により徐々に減圧度を増す方法が好ましい。
加熱温度は、得られる(メタ)アクリレート、減圧度及び目的に応じて適宜設定すれば良いが、40〜100℃が好ましく、より好ましくは60〜80℃である。(メタ)アクリレートの熱重合を抑制するためには、温度を80℃以下に維持するのが好ましい。
脱溶媒工程においては、(メタ)アクリレートの熱重合を抑えるために、酸素を供給したり、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、前記と同様のものが挙げられ、その割合も、前記と同様の割合が挙げられる。
低分子量の(メタ)アクリレートであって、純度が要求される場合は、有機溶媒を蒸留して除去した後の液を、さらに蒸留して精製することもできる。
4−3.ろ過工程
さらなる製品の品質が要求される場合には、脱溶媒工程の後、さらに濾過を行うことができる。
該濾過工程は、常法に従えば良く、加圧濾過することが好ましい。
加圧濾過の方法としては、例えば、濾紙又は濾布を設置した濾過機に脱溶媒後の反応液を投入し、濾過機内に圧力をかけながら濾過を行う方法が挙げられる。この場合、脱溶媒後の反応液に濾過助剤を添加する方法、濾紙又は濾布表面に濾過助剤をプリコートする方法及びこれらを併用する方法が、濾過効率を向上させることができ好ましい。加圧で使用するガスとしては、窒素、含酸素ガス(酸素5容量%、窒素95容量%)及び空気等が挙げられる。
5.用途
本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリレートは、従来(メタ)アクリレートが使用されている種々の用途に使用することができる。例えば、塗料、インキ、接着剤、フィルム、シート、光学レンズ等の光学用途、充填剤及び成形材料等の用途において、組成物の主成分、架橋成分、又は反応性希釈剤成分等として各種工業用途に好適に使用することができる。
上記用途で使用する場合には、本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリレートに上記用途で使用される種々の成分、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、着色剤、顔料分散剤、有機溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、シランカップリング剤、表面改質剤及び重合禁止剤等を配合して使用する。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下においては、「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
1.実施例1、比較例1〜同4(モデル試験)
5%水酸化ナトリウム水溶液100部中に、35%アクリル酸ナトリウム塩水溶液20部を添加し、中和処理後の水溶液のモデル水溶液を調製した。pH試験紙から見積もったモデル水溶液のpHは13以上であった。又、モデル水溶液の加熱残量を測定した結果、モデル水溶液100部中に、11部の割合で含むものであった。
試験管を用い、当該モデル水溶液10部に対して、下記に示す重合禁止剤を0.05部(5,000wtppm)添加し、さらにゲル化を促進させるため架橋剤としてM−243Lを1部加え、ゲル化を促進させるため温度40℃に加温して24時間静置し、ゲルの発生を目視で観察した。
それらの結果を、下記表1に示す。尚、表1においては、ゲルがないものを〇、ゲルが底にたまったものを×と記載した。
尚、後記表2〜表5についても、「〇」及び「×」は同様の意味を示す。
Figure 2020193150
表1における略号は、下記を意味示す。
・TEMPOL:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
・HQ:ハイドロキノン
・MQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル
・PT:フェノチアジン
・M−243L:ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数:6)東亞合成(株)製 アロニックス M−243L
表1に示すように、実施例1において重合禁止剤としてTEMPOLを用いると、高pHの水溶液であっても良好な安定性を示した。
一方、比較例1及び同2のフェノール系重合禁止剤を用いた場合には重合禁止剤を添加しない場合と同様に良好な安定性が得られなかった。また、比較例3のフェノチアジンを用いた場合は、水溶液に対する溶解性が極めて低いために分離してしまい、重合禁止剤としての効果が得られなかった。
2.実施例2、比較例5〜同7(ペンタエリスリトールのアクリレートの製造)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、及び5%酸素含有窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、アクリル酸301g(4.18モル)、ペンタエリスリトール〔広栄化学(株)製〕167g(1.23モル)、酸触媒の硫酸7g、重合禁止剤のMQ0.14g、及び有機溶媒のトルエン224gを混合し、反応温度約80℃及び370Torr(絶対圧)の条件で縮合水を除去しながら、原料ペンタエリスリトール中の全水酸基の45%がエステル化されるまで反応させた。
発生した縮合水は28gであり、反応終了後に、トルエン870gを追加した。
このトルエンを追加した反応液の酸分に対して1.2倍モル量に相当する10%水酸化ナトリウム水溶液970gを攪拌下に添加して中和処理を実施し、過剰なアクリル酸及び硫酸を除去した。
中和処理後の液を分液ロートに移し、静置したところ、有機相(上層)と水相(下層)に分離した。分液ロートにより水相(下層)を抜き出し、中和処理後の水溶液として後記試験に使用した。
尚、前記で分離した有機層は、攪拌下で有機層100gに対して水10gを添加し水洗処理を行った。有機層を分離し、減圧下に加熱してトルエンを留去して、最終製品を得た。
中和処理後の水溶液のpHは13であった。又、当該水溶液の加熱残量を測定した結果、水溶液100部中に、24部の割合で含むものであった。
当該水溶液10部に対して、下記に示す重合禁止剤を0.01部(1,000wtppm)添加し、ゲル化を促進させるため温度60℃に加温して3日間静置し、ゲルの発生を目視で観察した。
それらの結果を、下記表2に示す。
Figure 2020193150
3.実施例3、比較例8〜同10(ジペンタエリスリトールのアクリレートの製造)
製造例1と同様の反応装置を使用し、アクリル酸301g(4.18モル)、ジペンタエリスリトール〔広栄化学(株)製〕167g(1.23モル)、酸触媒の硫酸7g、重合禁止剤のMQ0.14g、及び有機溶媒のトルエン224gを混合し、反応温度約80℃及び370Torr(絶対圧)の条件で縮合水を除去しながら、原料ジペンタエリスリトール中の全水酸基の45%がエステル化されるまで反応させた。
発生した縮合水は18gであり、反応終了後に、トルエン870gを追加した。
このトルエンを追加した反応液の酸分に対して1.2倍モル量に相当する10%水酸化ナトリウム水溶液435gを攪拌下に添加して中和処理を実施し、過剰なアクリル酸及び硫酸を除去した。
中和処理後の液を分液ロートに移し、静置したところ、有機相(上層)と水相(下層)に分離した。分液ロートにより水相(下層)を抜き出し、中和処理後の水溶液として後記試験に使用した。
尚、前記で分離した有機層は、攪拌下で有機層100gに対して水10gを添加し水洗処理を行った。有機層を分離し、減圧下に加熱してトルエンを留去して、最終製品を得た。
中和処理後の水溶液のpHは13であった。又、当該水溶液の加熱残量を測定した結果、水溶液100部中に、23部の割合で含むものであった。
当該水溶液10部に対して、下記に示す重合禁止剤を0.02部(2,000wtppm)添加し、ゲル化を促進させるため温度60℃に加温して3日間静置し、ゲルの発生を目視で観察した。
それらの結果を、下記表3に示す。
Figure 2020193150
4.実施例4、比較例11〜同13(ジペンタエリスリトールのアクリレートの製造)
製造例1と同様の反応装置を使用し、アクリル酸532g(7.38モル)、ジペンタエリスリトール〔広栄化学(株)製〕167g(1.23モル)、酸触媒の硫酸7g、重合禁止剤のMQ0.14g、及び有機溶媒のトルエン224gを混合し、反応温度約80℃及び370Torr(絶対圧)の条件で縮合水を除去しながら、原料ジペンタエリスリトール中の全水酸基の85%がエステル化されるまで反応させた。
発生した縮合水は32gであり、反応終了後に、トルエン870gを追加した。
このトルエンを追加した反応液の酸分に対して1.2倍モル量に相当する10%水酸化ナトリウム水溶液530gを攪拌下に添加して中和処理を実施し、過剰なアクリル酸及び硫酸を除去した。
中和処理後の液を分液ロートに移し、静置したところ、有機相(上層)と水相(下層)に分離した。分液ロートにより水相(下層)を抜き出し、中和処理後の水溶液として後記試験に使用した。
尚、前記で分離した有機層は、攪拌下で有機層100gに対して水10gを添加し水洗処理を行った。有機層を分離し、減圧下に加熱してトルエンを留去して、最終製品を得た。
中和処理後の水溶液のpHは13であった。又、当該水溶液の加熱残量を測定した結果、水溶液100部中に、23部の割合で含むものであった。
当該水溶液10部に対して、下記に示す重合禁止剤を0.02部(2,000wtppm)添加し、ゲル化を促進させるため温度60℃に加温して3日間静置し、ゲルの発生を目視で観察した。
それらの結果を、下記表4に示す。
Figure 2020193150
5.実施例5、比較例14〜同16(トリメチロールプロパン、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びアクリル酸の反応物の製造)
製造例1と同様の反応装置を使用し、アクリル酸250g(3.47モル)、ヘキサヒドロ無水フタル酸164g〔新日本理化(株)〕(1.06モル)、トリメチロールプロパン〔広栄化学(株)製〕235g(1.75モル)、酸触媒のp−トルエンスルホン酸20g、重合禁止剤のMQ0.20g、及び有機溶媒のトルエン780gを混合し、反応温度約82〜97℃及び550Torr(絶対圧)の条件で縮合水を除去しながら、原料トリメチロールプロパン中の全水酸基の90%がエステル化されるまで反応させた。
発生した縮合水は84gであった。
反応液の酸分に対して1.2倍モル量に相当する8%水酸化ナトリウム水溶液591gを攪拌下に添加して中和処理を実施し、過剰なアクリル酸及びp−トルエンスルホン酸を除去した。
中和処理後の液を分液ロートに移し、静置したところ、有機相(上層)と水相(下層)に分離した。分液ロートにより水相(下層)を抜き出し、中和処理後の水溶液として後記試験に使用した。
尚、前記で分離した有機層は、攪拌下で有機層100gに対して水10gを添加し水洗処理を行った。有機層を分離し、減圧下に加熱してトルエンを留去して、最終製品を得た。
中和処理後の水溶液のpHは13であった。又、当該水溶液の加熱残量を測定した結果、水溶液100部中に、26部の割合で含むものであった。
当該水溶液10部に対して、下記に示す重合禁止剤を0.02部(2,000wtppm)添加し、ゲル化を促進させるため温度60℃に加温して3日間静置し、ゲルの発生を目視で観察した。
それらの結果を、下記表5に示す。
Figure 2020193150
本発明の製造方法本及びゲル化防止方法は、(メタ)アクリレートの製造において発生するアルカリ性水溶液のゲル化を防止することができ、(メタ)アクリレートの製造に利用することができ。
さらに、本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリレートは、塗料、インキ、接着剤、フィルム、シート、光学レンズ等の光学用途、充填剤及び成形材料等の組成物の主成分、架橋成分及び反応性希釈剤等として各種工業用途に好適に使用できる。

Claims (15)

  1. 下記第1工程〜第3工程を含む(メタ)アクリレートの製造方法。
    ・第1工程:酸触媒の存在下に、(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させ(メタ)アクリレートを製造する工程。
    ・第2工程:第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加し、反応液中の酸性分を中和した後、有機相及び水相に分離する工程。
    ・第3工程:第2工程で得られた水相に、N−オキシル化合物を添加する工程。
  2. 前記第1工程におけるアルコールが多価アルコールである請求項1に記載の(メタ)アクリレートの製造方法。
  3. 前記第1工程における多価アルコールが、
    (a1)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及びノナンジオール等の炭素数2〜9のアルキレングリコール;
    (a2)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;
    (a3)ビスフェノールA、及びビスフェノールF等の多価フェノール誘導体のアルキレンオキサイド付加物;
    (a4)トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等の3価以上のポリオール:
    (a5)(a4)3価以上のポリオールのアルキレンオキサイド付加物;
    (a6)多価アルコールとジカルボン酸又はその無水物のエステル化反応物であり、多価アルコールが(a1)炭素数2〜9のアルキレングリコール又は(a4)3価以上のポリオールであるポリエステルポリアクリレート;並びに
    (a7)(a4)3価以上のポリオールとジカルボン酸又はその無水物の反応物
    からなる群から選択される1種以上の多価アルコールである請求項2に記載の(メタ)アクリレートの製造方法。
  4. 前記第1工程において、有機溶媒中で(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートの製造方法。
  5. 前記第3工程において、水相の重量100重量部に対してN−オキシル化合物を0.1〜10,000wtppmの割合で添加する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートの製造方法。
  6. 前記第3工程におけるN−オキシル化合物が、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルからなる群から選択される1種以上である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートの製造方法。
  7. 第3工程で得られた水相をタンクに貯蔵する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートの製造方法。
  8. 下記第1工程及び第2工程を経て得られた水相(以下、「中和処理後の水溶液」という)に、N−オキシル化合物を添加するアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。
    ・第1工程:酸触媒の存在下に、(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させ(メタ)アクリレートを製造する工程。
    ・第2工程:第1工程で得られた反応液にアルカリ水溶液を添加し、反応液中の酸性分を中和した後、有機相及び水相に分離する工程。
  9. 前記第1工程におけるアルコールが多価アルコールである請求項8に記載のアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。
  10. 前記第1工程における多価アルコールが、
    (a1)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及びノナンジオール等の炭素数2〜9のアルキレングリコール;
    (a2)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;
    (a3)ビスフェノールA、及びビスフェノールF等の多価フェノール誘導体のアルキレンオキサイド付加物;
    (a4)トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等の3価以上のポリオール:
    (a5)(a4)3価以上のポリオールのアルキレンオキサイド付加物;
    (a6)多価アルコールとジカルボン酸又はその無水物のエステル化反応物であり、多価アルコールが(a1)炭素数2〜9のアルキレングリコール又は(a4)3価以上のポリオールであるポリエステルポリアクリレート;並びに
    (a7)(a4)3価以上のポリオールとジカルボン酸又はその無水物の反応物
    からなる群から選択される1種以上の多価アルコールである請求項9に記載のアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。
  11. 前記第1工程において、有機溶媒中で(メタ)アクリル酸及びアルコールを脱水エステル化反応させたものである請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。
  12. 中和処理後の水溶液の重量100重量部に対して、N−オキシル化合物を0.1〜10,000wtppmの割合で添加する請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載のアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。。
  13. 前記N−オキシル化合物が、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルからなる群から選択される1種以上である請求項8〜請求項12のいずれか1項に記載のアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。
  14. N−オキシル化合物を添加した後の中和処理後の水溶液をタンクに貯蔵する請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載のアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。
  15. タンク内の中和処理後の水溶液におけるN−オキシル化合物の濃度を0.1〜10,000wtppmに維持する請求項14に記載のアルカリ性水溶液のゲル化防止方法。
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