JP6968338B2 - (メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂、該樹脂を含む組成物、該樹脂を含んで得られる硬化物及び該樹脂の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂、該樹脂を含む組成物、該樹脂を含んで得られる硬化物及び該樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂及びその製造方法に関する。
キシレンとホルムアルデヒドを硫酸性触媒下にて反応する方法により得られる芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、相溶性、密着性、耐アルカリ性、可塑性、耐水性、透明性などに優れ、エポキシやアクリル、ウレタンなど、他の樹脂に添加、あるいは作用させることにより、塗料や粘接着剤、成形材料など、様々な用途に使用されている。
例えば、特許文献1には、基材の一面に、キシレン樹脂とアクリル系樹脂とを含有する再剥離性粘着剤層が設けられ、前記キシレン樹脂の含有量がアクリルル系樹脂との合計量に対して1〜70重量%である再剥離性粘着テープについての記載がある。
特許文献2には、エポキシ樹脂と、アミン系硬化剤と、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、顔料と、溶剤とからなる重防食塗料組成物についての記載がある。
特許文献3には、有機ポリイソシアネート化合物およびポリオールから誘導されるウレタンプレポリマーと、低分子量キシレン樹脂、低分子量クマロン樹脂および低分子量スチレン樹脂から選ばれ、活性水素を持たず、かつ、粘着付与性を有する樹脂を含有する反応性ホットメルト接着剤についての記載がある。
特許文献4には、ポリオール類と過剰なポリイソシアネート類とを表面処理した炭酸カルシウム存在下で反応させて得られるイソシアネート末端のウレタンプレポリマーを用いる1液湿気硬化型ウレタン系接着剤についての記載がある。
特許文献5には、ひまし油15〜90重量%と、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの反応生成物である、水酸基価100〜600mgKOH/g、数平均分子量1100以下のポリオール0〜80重量%と、芳香族ジアミン0.1〜20重量%と、キシレン樹脂3〜40重量%と、平滑性助剤1〜20重量%とからなる主剤成分と、ポリイソシアネートからなる硬化剤成分とを、硬化剤成分のイソシシネート基対主剤成分の水酸基の当量比(NCO/OH)が、0.6〜2.0/1.0)になるように配合してなるウレタン樹脂塗料組成物についての記載がある。
さらに、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂をフェノール類との反応により変性したフェノール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、前述の用途に加えて、耐熱性や耐摩耗性、電気特性などの諸特性を向上させる添加剤として、摩擦材のバインダーやゴム補強剤としても使用されている。
例えば、特許文献6には、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤及び無機充填材を必須成分とし、硬化剤がフェノール変性キシレン樹脂を含有し、硬化促進剤がホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を含有して得られる封止用エポキシ樹脂組成物についての記載がある。
特許文献7には、フェノール変性アルキル置換芳香族炭化水素樹脂と補強繊維を含む摩擦材用樹脂組成物であって、該フェノール変性アルキル置換芳香族炭化水素樹脂中のアルキル置換芳香族核とフェノール核の割合が、5:95〜75:25であり、前記フェノール変性アルキル置換芳香族炭化水素樹脂の硬化剤がヘキサメチレンテトラミンである摩擦材用樹脂組成物についての記載がある。
さらに、特許文献8では、反応性の高いアルコール型の水酸基を有するポリオール型芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂として、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と多価アルコールとを反応させて得られるポリオール型芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂であって、該樹脂中のホルマール濃度が5重量%以下であり、かつOH価が50〜500mgKOH/gであるポリオール型芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が提案されている。
ポリオール型芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、反応性の高い水酸基を分子内に有するため、ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂の改質剤としての使用例がある。
例えば、特許文献9には、アクリル系主剤の固形分100重量部に対し、硬化剤として粘着付与成分基と2個のイソシアネート基を含有する化合物0.05〜5重量部を配合したアクリル系粘着剤についての記載がある。
特許文献10には、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性物からなるイソシアネート成分、並びに数平均分子量が400〜800の範囲内にある水酸基数2〜5個の芳香族多官能ポリオールと液状ポリオールを含むポリオール成分からなる上下水道用コンクリート構造物の防食用ウレタン樹脂組成物についての記載がある。
特開2002−146302公報 特開2001−152085公報 特開平5−65471公報 特開平11−293221公報 特開昭61-223060号公報 特開2001−114872号公報 特願2001−194412号公報 特開平4−224815号公報 特開平7−126601号公報 特開2003−268303号公報
しかしながら、特許文献1〜5において、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を他の樹脂に添加した場合には、加熱時のブリードアウトや機械強度の低下など反応性の低さに起因する問題がある。
また、特許文献6及び7において、フェノール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、常温で固体であるため取り扱いにくく、フェノール性水酸基の反応は限定されるため、応用範囲が限定されるとの欠点がある。
さらに、特許文献8〜10において、ポリオール型芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、従来用途である他の樹脂の改質剤として使用に留まり、高い反応性を持つ水酸基の特性を十分に活かしたものではない。
また、インキや塗料、光学材料分野において、UV(紫外線)やEUV(極端紫外線)などで瞬時に硬化する生産性の高いプロセスに適用できる材料が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い反応性及び密着性を有し、好適な粘度及び硬度を有し、良好な伸びを有し、光学特性に優れる(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂、該樹脂を含む組成物、該組成物を硬化して得られる硬化物、該樹脂を硬化して得られる硬化物及び製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とをエステル化反応して得られる、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を反応させることで、反応性が高いポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が得られ、この樹脂は、UVやEUVなどで瞬時に硬化することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1]ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とをエステル化反応して得られる、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[2]重量平均分子量(Mw)が300〜10,000である、[1]に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[3]エステル価が20〜850mgKOH/gである、[1]又は[2]に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[4]25℃における粘度が1,000Pa・s以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[5]前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、ポリオール変性キシレン樹脂を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[6]前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とポリオール類を酸性触媒下で反応させて得られる、[1]〜[6]のいずれかに記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[7]前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基価が、20〜850mgKOH/gである、[1]〜[6]のいずれかに記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[8]前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量(Mw)が、250〜10,000である、[1]〜[7]のいずれかに記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
[9][1]〜[8]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を含む、組成物。
[10][9]に記載の組成物を硬化して得られる、硬化物。
[11][1]〜[8]のいずれかに記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を硬化して得られる、硬化物。
[12]ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体をエステル化する工程を含む、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
[13]前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、前記(メタ)アクリル酸を酸性触媒下で脱水エステル化する工程を含む、[12]に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
[14]前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、前記(メタ)アクリル酸誘導体をエステル交換触媒下でエステル化する工程を含む、[12]に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
[15]前記(メタ)アクリル酸誘導体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、[12]又は[14]に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
本発明によれば、高い反応性及び密着性を有し、好適な粘度及び硬度を有し、良好な伸びを有し、光学特性に優れる(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂及びその製造方法を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」の両方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」の両方を意味する。
また、本実施形態において、「樹脂固形分」又は「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、溶剤及び充填材を除いた成分をいい、「樹脂固形分100重量部」とは、樹脂組成物における、溶剤及び充填材を除いた成分の合計が100重量部であることをいうものとする。
[(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂]
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、ポリオール型芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の(メタ)アクリレート誘導体である。
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とをエステル化反応して得られる。
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、反応性の高い官能基を有し、また多様な構造の混合物であるため、密着性や接着性に優れ、好適な粘度及び相溶性を有し、良好な伸びを有し、分散性に優れ、靱性及び可撓性に優れ、優れた耐熱性及び耐水性を有し、耐薬品性にも優れ、さらに、透明度が高く、変色しにくく、非晶性であるなどの光学特性にも優れる。
また、本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、優れた反応性を有するためUV照射により容易に硬化物を得ることできる。そのため、単独で硬化すると可撓性,密着性や透明性に優れた被膜を形成することができ、他の樹脂に添加して硬化した場合には、加熱時のブリードアウトや機械強度の低下などを引き起こさない。
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、ポリスチレン換算で、好ましくは300〜10,000であり、より好ましくは300〜4,000であり、さらに好ましくは、取り扱い性の観点から、300〜2,000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂のエステル価は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは20〜850mgKOH/gであり、より好ましくは50〜500mgKOH/gであり、さらに好ましくは、UV硬化性の観点から、100〜200mgKOH/gである。
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の25℃における粘度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは1,000Pa・s以下であり、より好ましくは0.001〜1,000Pa・sであり、さらに好ましくは0.05〜500Pa・sであり、さらにより好ましくは0.1〜100Pa・sである。
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の75℃における粘度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは50Pa・s以下であり、より好ましくは20Pa・s以下であり、さらに好ましくは10Pa・s以下である。
[(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法]
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法は、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体をエステル化する工程を含む。エステル化としては、公知のエステル化であれば特に限定されないが、例えば、脱水エステル化法及びエステル交換法などが挙げられる。
〔脱水エステル化法を含む製造方法〕
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法では、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸を酸性触媒下で脱水エステル化する工程を含むことが好ましい。該工程では、酸性触媒と共に、銅化合物とフェノール系化合物からなる重合禁止剤の存在下で脱水エステル化しても用いてもよい。
酸性触媒としては、特に限定されず、公知の酸性触媒を使用できる。例えば、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化ホウ酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びカチオン交換性樹脂などが挙げられる。これらの中でも入手容易で、安価で、反応性に優れる点から、硫酸及びp−トルエンスルホン酸が好ましい。これらの酸性触媒は、1種単独で又は2種以上を適宜混合して用いることができる。
酸性触媒の割合としては、通常、仕込み(メタ)アクリル酸に対して0.01〜10モル%が好ましい。
重合禁止剤は、特に限定されないが、銅化合物とフェノール系化合物からなるものが好ましい。重合禁止剤は、1種単独で又は2種以上を適宜混合して用いることができる。
銅化合物としては無水物であっても水和物であってもよく、塩化第二銅及び臭化第二銅などのハロゲン化第二銅;塩化第一銅及び臭化第一銅などのハロゲン化第一銅;硫酸銅;並びにジメチルジチオカルバミン酸銅及びジブチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅などが挙げられる。これらの中でも、塩化第二銅及び硫酸銅が、重合禁止作用が強く、かつ安価であることからが好ましい。
フェノール系化合物としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールなどが挙げられる。これらの中でも、ハイドロキノン及びハイドロキノンモノメチルエーテルが、安価であり、かつ脱水エステル化後の中和洗浄により容易に除去可能であることから好ましい。
重合禁止剤の添加割合は、通常、銅化合物とフェノール系化合物のいずれも、反応液に対して5〜20,000重量ppmが好ましく、より好ましくは25〜3,000重量ppmである。添加割合が5重量ppm未満の場合は、重合禁止効果が不十分となるおそれがある。20,000重量ppmを超えると、これ以上添加しても効果が向上しないため不経済となり、得られる(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂に着色を生じるおそれがある。
ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸のエステル化反応は常法に従えばよい。ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸とを、酸性触媒及び重合禁止剤の存在下に、加熱・攪拌してエステル化する方法などが挙げられる。
ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル酸の反応割合は、特に限定されず、通常、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂中の全水酸基1モルに対して(メタ)アクリル酸の割合を調整する。(メタ)アクリル酸の割合は、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂中の全水酸基1モルに対して、0.5〜3モルであることが好ましい。
エステル化反応の終点は、副生する水の量などによって決定すればよい。
エステル化反応は、無溶剤でも溶媒を用いても行うことができる。エステル化反応は、反応の進行と共に水が生成するので、水を共沸除去できる溶媒を用いることが反応速度を高める点で好ましい。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、シクロヘキサン及びn−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トリクロロエタン、テトラクロルエチレン及びメチルクロロホルムなどの有機塩素化合物;メチルイソブチルケトンなどのケトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を適宜混合して用いることができる。
これらの溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応原料に対して重量比で0.1〜10倍が好ましく、より好ましくは2〜5倍である。
反応温度は、特に限定されないが、反応時間の短縮と重合防止の点から65〜140℃が好ましく、より好ましくは75〜120℃である。65℃未満であると反応速度が遅すぎ、収率が低下するおそれがあり、140℃を超えると(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の熱重合が起こるおそれがある。
反応は、常圧又は若干減圧した状態で行うことが好ましい。
(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の熱重合を防止する目的で、エステル化反応中は、酸素の存在下で反応させることが好ましい。具体的には、反応液中に、酸素を含む不活性ガスを吹き込みながらエステル化反応を行う方法などが挙げられる。不活性ガスとしては、窒素及びヘリウムなどが挙げられ、安価な点で窒素が好ましい。
反応には、前記の重合禁止剤の他に、必要に応じて他の重合禁止剤を併用してもよい。具体的には、例えば、p−ベンゾキノン及びナフトキノンなどのキノン系重合禁止剤、3−ヒドロキシチオフェノールなどのチオフェノール系重合禁止剤、α−ニトロソ−β−ナフトールなどのナフトール系重合禁止剤、アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニエンアミン及びフェノチアヂンなどのアミン系重合禁止剤などが挙げられる。これらの他の重合禁止剤は、1種単独で又は2種以上を適宜混合して用いることができる。
反応で使用される反応装置としては、特に限定されず、例えば、攪拌機、温度計、空気吹込管及び水分離機を備えた反応器などが挙げられる。
エステル化反応により得られた反応生成物は、常法に従い精製すればよい。
具体的には、反応液を中和・水洗し、水層を分離後減圧下で反応溶媒を留去し、必要に応じてろ過する方法などが挙げられる。
中和工程は、反応液中の未反応の(メタ)アクリル酸及び酸性触媒を除去することを目的として行われるものである。中和工程には、反応液に、アルカリ水溶液を添加して、攪拌する方法などが挙げられる。
〔エステル交換法を含む製造方法〕
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法では、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸誘導体をエステル交換触媒下でエステル化する工程を含むことが好ましい。
エステル交換反応は可逆的であることが知られており、反応を完結させるためには、反応生成物の一つを系外に除去することが好ましい。(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂のアルコール残基部分が低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であるカルボン酸エステルを選ぶと、低沸点のモノ水酸基含有アルコール(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール)がエステル交換工程で生成し、それらは反応系外に連続的に除去しやすいので、好ましい。
エステル交換触媒は、エステル交換反応を促進する物質であれば特に制限は無く、酸性触媒、ルイス酸触媒、塩基性触媒、金属触媒が好適に用いられる。これらのエステル交換触媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、金属触媒が特に好適に用いられる。
酸性触媒としては、硫酸及びp−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
ルイス酸触媒としては、チタン酸エステル、酢酸亜鉛、アセチルアセトン亜鉛、ジブチルスズオキシドなどが挙げられる。
塩基性触媒としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどが挙げられる。
金属触媒としては、特に限定されないが、周期律表の第II族及び/又は第IV族の金属を含有する1つの金属化合物とホスフィン化合物とを含む触媒が好ましい。
周期律表の第II族に属する金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、カドミニウム、バリウム、水銀及びラジウムである。これらの中でも、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、カドミニウム、バリウム及び水銀が好ましく、マグネシウム及び亜鉛がより好ましく、さらに好ましい金属は亜鉛である。
周期律表の第IV族に属する金属は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、錫、ジルコニウム、鉛、ハフニウムである。これらの中でも、錫、ジルコニウム及び鉛が好ましく、錫及びジルコニウムがより好ましく、さらに好ましい金属は錫である。
金属化合物としては、例えば、金属錫、金属鉛、金属亜鉛のような金属それ自体と、金属の有機又は無機化合物のいずれでもよく、その形態も粉末などいかなる形であってもよい。金属化合物の一つの形態としては、金属の塩が挙げられ、例えば、有機塩及び無機塩がある。それらは、一般的にMX2で示される。ここでMは、周期律表の第II族又は第IV族から選ばれる2価の金属であり、Xは−OCOR又はハロゲン原子であり、Rは1〜20の炭素原子を含むアルキル基である。
好ましい金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、水銀及び鉛から選ばれる金属のカルボン酸塩であり、例えば、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酪酸、オクチル酸、マレイン酸、ホウ酸、クエン酸、カプロン酸、ステアリン酸の塩である。また、それら金属の塩素化物、臭素化物などのハロゲン化物も好ましい。最も好ましい金属塩は、亜鉛、マグネシウム又は鉛のカルボン酸塩であり、例えば、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸鉛、アセト酢酸鉛などが挙げられる。
金属化合物としては、下記の一般式(1)〜(4)で示される有機金属化合物であってもよい。
Figure 0006968338
前記一般式中、M1は周期律表の第IV族の金属であり、R1は炭素数1〜20のアルキル基であり、Yは−R2、−OCOR2、−CH(COCH32、水素原子、ハロゲン原子であり、R2は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
前記一般式で表される金属化合物としては、特に限定されないが、ジアルキル金属酸化物、ジアルキル金属ジハロゲン化物、ジアルキル金属ジカルボキシレート、金属アセチルアセトネートが好ましい。中でも、ジアルキル錫酸化物、ジアルキル錫ジハロゲン化物、ジアルキル錫ジカルボキシレート、ジルコニウムアセチルアセトネートなどが好ましく、ジメチル錫ジ塩化物、ジエチル錫ジ塩化物、ジブチル錫ジ塩化物、ジルコニウムアセチルアセトネートなどがより好ましい。
ホスフィン化合物としては、特に限定されないが、下記の一般式(5)で示される。
Figure 0006968338
一般式(5)中、R1、R2及びR3は、各々独立して、脂肪族基、脂環式基又は芳香族基を表し、脂肪族基又は脂環式基は飽和又は不飽和の炭素数2〜20の炭化水素であり、芳香族基は単環、多環又は縮合環であってもよく、置換されていてもいなくてもよい。
具体的には、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリフリルホスフィン、ジフェニル−2−ピリジルホスフィン、4−ジメチルアミノフェニルジフェニルホスフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン、1,2−ビスジフェニルホスフィノプロパン、1,2−ビスジフェニルホスフィノフェロセン、2,2’−ビスジフェニルホスフィノ1,1−ビナフチル、トリジメトキシフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどが挙げられる。
中でも、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類及びトリフェニルホスフィンが好ましく用いられる。
本実施形態に係るエステル交換法を含む製造方法では、重合禁止剤により反応中に起こる不飽和結合の重合を抑止することが好ましく、これらの重合禁止剤としては、公知慣用のポリマー合成の重合禁止剤を特に制限無く用いることができる。
重合禁止剤としては、ベンゾキノン、ハイドロキノン、カテコール、ジフェニルベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ナフトキノン、t−ブチルカテコール、t−ブチルフェノール、ジメチル−t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾール、フェノチアジンなどが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合禁止剤の量は、原料及び生産物の量に依存し、特に限定されないが、通常、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂に対して、5〜10,000重量ppm、好ましくは20〜7,000重量ppmである。
エステル交換反応に用いる(メタ)アクリル酸誘導体のポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂に対するモル比は、広い範囲で変化させられるが、その比率は通常1以上であり、好ましくは、(メタ)アクリル酸誘導体のポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基に対するモル比は1.1:1〜10:1の間である。
エステル交換触媒の量は、好ましくはポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基に対して、0.01〜10.0モル%であり、より好ましくは0.05〜7.0モル%である。tert−ホスフィン化合物の金属化合物に対するモル比は、1:10〜10:1まで変えられるが、好ましくは、1:5〜5:1の範囲である。
金属触媒として、金属化合物とホスフィン化合物の2つの成分を含んでいる場合には、これらを同時に反応系に添加してもよいし、別々に反応系に添加してもよい。2つの成分を同時に添加する場合は、反応開始時に一回投与で添加してもよいし、2回以上に分割して反応系に投与してもよい。また用いる有機金属触媒の特性が、各々少しずつ異なるので、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂に含有される水酸基の数と、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂のエステル基数により、これらの金属触媒を適宜、選択して、使用することが好ましい。
また2つの成分を別々に添加してもよく、例えば、反応開始時にホスフィン化合物のみを反応系に添加し、しばらく反応させた後(例えば、2時間後)に、金属化合物を反応系に添加すると、反応速度は2つの成分を同時に反応開始時に添加するよりも早くなり、反応時間が短縮されるので、好ましい。
エステル交換反応は、溶媒の非存在下でも、エステル交換反応の反応物に影響を与えない適切な溶媒の存在下でも行うことができる。通常は、以下の場合を除き、溶媒は不要である。
(1)エステル交換反応を完結させるために、反応生成物の一つ(通常は、生成するアルコール)を系外に除去する必要がある。反応混合物に該アルコールとさらに低い共沸点を形成する脂肪族又は脂環式炭化水素溶媒と共に、補助溶媒を添加することによりアルコールをより効率的に除去することができる。
エステル交換反応の反応物に影響を与えない、前記溶媒は出発原料の約5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%を反応混合物に添加してもよい。適切な溶媒は炭素数4〜10、より好ましくは炭素数5〜7の脂肪族、脂環式の炭化水素、又はその混合物である。これらの炭化水素系溶媒は共沸により回収され、さらに水でアルコールを抽出することにより再生できる。
(2)不活性でかつ高沸点の溶媒を、反応温度を増加させるために添加してもよい。この種の溶媒は脂肪族又は脂環式炭化水素、及び数種の芳香族炭化水素であり、反応終了後に蒸留により回収できる。
(3)(メタ)アクリル酸エステルに溶解しにくい場合は、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を溶解する適切な溶媒を反応混合物中に加えることにより、不均一反応を均一反応に変えて反応速度を速めることができる。それらの溶媒としては、例えば、窒素原子又は硫黄原子を含む極性の高い非プロトン性溶媒が挙げられ、例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルスルフォンなどである。
反応は、通常大気圧で行われ、反応温度は、原料及び反応溶媒によって適宜選択できる。一般的には、反応温度は高いほど反応速度も速くなるため、好ましい。反応温度は、通常20〜160℃、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは60〜130℃である。
反応温度が160℃を越えると、重合が起こる危険性があり、また、副生成物が生成されやすくなるおそれがある。一方、反応温度が20℃未満であると、反応速度が遅く実用的でないおそれがある。生成するアルコールを除去するために、反応を減圧下で行うことができる。除去するアルコールの沸点により反応温度が規定される場合は、反応温度は、通常60〜120℃である。
(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法では、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸誘導体を、適切な比率で、温度計、攪拌機、分留管及び乾燥空気の導入管を備えた反応器に仕込む。次に、適切な量の触媒、重合禁止剤及び必要に応じて溶媒を反応混合物中に添加する。触媒の添加方法は、用いる触媒の種類によっても異なり、例えば、反応開始時にホスフィン化合物と金属化合物とを同時に反応混合物に添加する場合より、ホスフィン化合物のみを先に反応混合物中に添加した方が、反応速度が速く、反応時間が短縮できる場合もある。
反応混合物を攪拌しながら、適切な温度範囲、通常20〜160℃、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは60〜130℃で、通常は反応系の還流温度まで加熱する。反応混合物を攪拌しながら、反応を完結させるために、反応中にエステル交換反応により生じるアルコールを多くの場合は過剰の(メタ)アクリル酸エステル又は反応溶媒との共沸物として、分留管により除去する。同時に必要に応じて同量の(メタ)アクリル酸エステル又は反応溶媒を反応混合物中に加えて、反応器の内容物の量を一定に保つ。
エステル化反応の終点は、除去したアルコール量のGC(ガスクロマトグラフ)などによる定量などで決定すればよい。反応終了後、過剰の(メタ)アクリル酸エステル又は反応溶媒を反応器内から留去後、反応器から必要に応じて少量の不活性な溶剤、例えばトルエンやヘプタンを加えて粗生成エステルを取り出すか、もしくは少量の(メタ)アクリル酸エステルを残したまま反応生成物を反応容器から取り出す。
反応生成物を濾過するか、水洗又はアルカリ溶液で洗浄して触媒金属などの不要物を除去し、溶媒等を蒸留除去する事により、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を得ることができる。
〔ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂〕
ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、ポリオール変性キシレン樹脂を含むことが好ましい。
ポリオール変性キシレン樹脂は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂100重量%中に、50重量%以上含むことが好ましく、80重量%以上含むことがより好ましい。上限値は特に限定されないが、100重量%である。
ポリオール変性キシレン樹脂は、キシレン樹脂と多価アルコールとを反応させて得られる樹脂であって、反応性に富むアルコール性水酸基を持った樹脂である。アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等各種樹脂の改質に用いられる。
ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基価は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、20〜850mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは50〜600mgKOH/gであり、さらに好ましくは、アクリル変性後のUV硬化性の観点から、100〜400mgKOH/gである。
ポリオール変性香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、ポリスチレン換算で、250〜10,000であることが好ましく、より好ましくは250〜5,000であり、さらに好ましくは、アクリル変性後のUV硬化性の観点から、250〜2,000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とポリオール類を酸性触媒下で反応させて得られる。
ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、例えば、特開平4−224815号公報に記載の方法に基づいて合成することができる。また、例えば、フドー株式会社製K100E、K140、K140Eなどの市販品を利用することができる。
〔(メタ)アクリル酸又はその誘導体〕
(メタ)アクリル酸又はその誘導体としては、(メタ)アクリル酸、これらの金属塩やアンモニウム塩などの塩、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸又はその誘導体は、1種単独で又は2種以上を適宜混合して用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。また、これら(メタ)アクリル酸又はその誘導体は、官能基を有していてもよい。官能基としては、水酸基、テトラヒドロフルフリル基、エポキシ基などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルなどが挙げられる。これらの中でも、沸点(反応温度)の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましい。
[(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を含む組成物]
本実施形態の組成物は、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を含む。
本実施形態の組成物には、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂以外の(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物などの樹脂、オリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物などの重合性官能基を有するモノマー、マレイミド化合物、充填材、難燃剤、シランカップリング剤、湿潤分散剤、光重合開始剤、光硬化開始剤、熱硬化促進剤、各種添加剤などを含むことができる。本実施形態の組成物に含まれる成分は、一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。
また、各種添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、光増感剤、蛍光増白剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤などが挙げられる。
前記成分は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
また、各成分の配合量も、用途に応じて、種々調製できる。
〔組成物の製造方法〕
本実施形態の組成物は、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、必要に応じて、前記各成分を適宜混合することにより調製される。
組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、前記各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。
組成物の製造時には、必要に応じて各成分を均一に溶解又は分散させるための公知の処理(攪拌、混合、混練処理など)を行うことができる。攪拌、混合、混練処理は、例えば、超音波ホモジナイザーなどの分散を目的とした攪拌装置、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミルなどの混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
本実施形態の組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されない。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートが挙げられる。これら有機溶剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂又は組成物を硬化して得られる。
硬化物は、公知の種々の方法により得ることができる。硬化方法としては、たとえば、UVやEUVなどによる照射や加熱などが挙げられ、これらを併用することも可能である。
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、高い反応性を有するため、UVやEUVなどで瞬時に硬化する生産性の高いプロセスに好適である。また、高い反応性を有するため、高品質の硬化物を安定して供給できる。本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、光学特性にも優れ、硬化物においても、高い透明性を有する。そのため、本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂及び硬化物は、インキや塗料、光学材料分野において、好適に用いることができる。
紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05J/cm2〜10J/cm2程度の照射量で照射を行うことができる。
加熱の条件は、(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂や、該樹脂を含む組成物中の各成分や、該樹脂及び各成分の含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分間〜180分間の範囲、より好ましくは160℃〜200℃で30分間〜150分間の範囲で選択される。
[用途]
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂、組成物及び硬化物は、種々の用途に使用できる。
例えば、粘・接着剤、タッチパネルなどの家電用途、各種レンズ材料、歯科材料などの光学材料及び医療材料用途、塗料、コーティング剤、プライマーなどの自動車・建築材料用途、靴、鞄、ランドセルなどの人工皮革及び合成皮革用途、ニット製品、スパンデックスなどの合成繊維用途、重合原料、成形材料、ガス分離膜、燃料電池用膜、光導波路、ホログラムなどが挙げられる。
特に、自動車用、モバイル端末・弱電製品用、光ディスク用、光ファイバー用、化粧品容器用、建材用・床用、自己修復性塗料・コーティングなどの各種UV硬化型塗料・コーティング材、UV硬化型インクジェットインキ、ナノインプリント用UV硬化型樹脂、3Dプリンタ用UV硬化型樹脂、感光性導電ペーストなどのUVインキ、UV硬化型接着剤、タッチパネル用OCA、タッチパネル用OCR、有機EL用シール材などのUV接着剤、バッファーコート膜用材料、レンズ(ピックアップレンズ、マイクロレンズ、眼鏡レンズ)、偏光膜(液晶ディスプレイ用など)、反射防止フィルム(表示デバイス用反射防止フィルムなど)、タッチパネル用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム[PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)、VFD(真空蛍光ディスプレイ)、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)、FED(電界放出ディスプレイ)、NED(ナノ・エミッシブ・ディスプレイ)、ブラウン管、電子ペーパーなどのディスプレイ(特に薄型ディスプレイ)用フィルム(フィルタ、保護フィルムなど)など]などの光学材料に好適に利用できる。
〔アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂などの原料および改質剤〕
実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂などの原料、樹脂への添加剤および改質剤などに使用すると、これらの樹脂の耐水性、耐薬品性、及び耐熱性を向上させることができる。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を持つ高分子化合物を示し、例えば、脂肪族ジアミン又はグリコール類とジイソシアネート類の重合付加によって得られる樹脂である。
アクリル樹脂は、アクリル酸あるいはメタクリル酸、またこれらの誘導体の(メタ)アクリルモノマーを数種類共重合させて得られる。(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
ビニルエステル樹脂は、例えば、ポリエポキシドに付加触媒存在下で、エポキシ基とおよそ当モルのα,β−不飽和一塩基酸を付加して得られる反応生成物をスチレンなどの重合性単量体と混合し、必要に応じて重合防止剤などを添加して得られる樹脂である。
アルキッド樹脂は、多価アルコールと多塩基酸とを縮合した樹脂である。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
エポキシ樹脂は、アミン、酸無水物などによって硬化するエポキシ基を持つ樹脂であり、例えば、エポキシ化合物とビスフェノール類又は多価アルコールとの反応によって得られる樹脂、不飽和基を過酸によってエポキシ化して得られる樹脂などが挙げられる。具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノ−ル、トリグリシジル−m−アミノフェノ−ル、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。フェノ−ル類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルS型エポキシ樹脂、フェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノ−ル型エポキシ樹脂が挙げられる。炭素・炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、例えば、不飽和二塩基酸などの酸およびアルコールを反応させて得られる不飽和ポリエステルをスチレンなどの重合性単量体と混合し、必要に応じて重合防止剤などを添加して得られる樹脂である。酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和二塩基酸およびこれら酸の無水物が挙げられる。これら不飽和二塩基酸の一部にフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバチン酸など、あるいはこれら酸の無水物を使用してもよい。アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−メチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどが挙げられる。これらの一部にシクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどの一価アルコール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールを使用してもよい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
〔測定及び評価方法〕
(1)重量平均分子量(Mw)
昭和電工社製GPC装置を使用して測定した。尚、検量線の作成はポリスチレンを使用した。
装置:Shodex(登録商標) GPC−101型(昭和電工(株)社製)
カラム:Shodex(登録商標) KF−801×2、KF−802.5、KF−803L
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折検出器)
(2)エステル価
JIS K0070に準じて、けん化価および酸価を中和滴定法により測定し、以下の式より算出した。
エステル価=けん化価−酸価
(3)粘度(Pa・s、CP、25℃又は75℃)
回転型粘度計を使用して、JIS K6833に準じて測定した。
なお、ポリオールで変性したキシレン樹脂であるフドー株式会社製K100Eは25℃で、ポリオールで変性したキシレン樹脂であるフドー株式会社製K140及びフドー株式会社製K140Eは、75℃で測定を行った。
(4)水酸基価(OH価、mgKOH/g)
無水酢酸−ピリジン法(JIS K0070)により測定した。
(5)硬化性
得られた配合組成物について、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製E5100、PETフィルム)上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線照射装置(高圧水銀ランプ)を用いて、250mJ/cm2の条件でタックがなくなるまで繰り返しUV照射を行い、硬化塗膜を得た。このときの必要照射回数が2回以下であった場合は〇、3回であった場合は△、4回以上であった場合は×の評価とした。
(6)ラビング試験
得られた硬化塗膜について、アセトンを含浸させた綿棒でコート層を擦った。表面が未溶解であった場合は〇、溶解した場合は×の評価とした。
(7)カール
50mm×100mmのPET#50にバーコーターNo.60を用いてコートし、硬化塗膜を得た際のカールを測定した。カールが10mm以内であった場合は〇、25mm以内かつ内側へカールしていない場合は△、内側へカールした場合は×の評価とした。
(8)イエローインデックス(YI)
得られた硬化塗膜を用いて、日本電色株式会社製色彩・濁度同時測定器(COH 400)を使用して測定した。なお、別途、PETフィルム単独で測定を実施し、ブランクとした。
(9)Haze(ヘイズ)
得られた硬化塗膜を用いて、日本電色株式会社製色彩・濁度同時測定器(COH 400)を使用して測定した。別途PETフィルム単独で測定を実施し、ブランクとした。
(10)全光線透過率(T.T.、%)
得られた硬化塗膜を用いて、日本電色株式会社製色彩・濁度同時測定器COH 400を使用して測定した。別途PETフィルム単独で測定を実施し、ブランクとした。
(11)伸び(%)
得られた硬化塗膜について、東洋精機社製STROGRAPH E2L05/RCT−500N−EAを用いて測定した。試料は幅1cmに切り出し、チャック間の距離は5cmとした。硬化塗膜が破断した時点の変位の大きさから伸び率を算出した。
(12)耐薬品性
得られた硬化塗膜について、ニュートロジーナ(日焼け止め)を塗布し、60℃環境下で1日間静置し、水洗した後、跡が残っているかどうかを確認した。跡が無い場合は〇、跡が残った場合は△、塗膜が溶解した場合は×の評価とした。
(13)密着性
得られた硬化塗膜について、フィルムを折り曲げる、ひっかくなどして塗膜の剥離を試みた。
剥離した場合は×、剥離しなかった場合は〇の評価とした。
ポリオールで変性したキシレン樹脂である、フドー株式会社製K140、K140E及びK100Eの物性を表1に示す。
Figure 0006968338
〔実施例1〕
フドー株式会社製K140を78.7部、アクリル酸メチル150.7部、重合禁止剤A(和光純薬工業社製ヒドロキノン)0.2部及びB(和光純薬工業社製p‐メトキシフェノール)0.5部とを、温度計、分留管及び乾燥空気を流すガラス管とを備えた500mlの反応フラスコに仕込んだ。
次に、ジメチル錫ジクロリド1.65部とナトリウムメトキシド0.40部を攪拌下に反応混合物中に添加した。反応混合物を攪拌しながら85℃、常圧下にて加熱還流し、反応系からメタノールとアクリル酸メチルとの共沸混合物を分留管の上部から除去した。同時に、同量のアクリル酸メチルを反応器の内容物の量を保つように反応系に添加した。反応時間は6時間とした。反応終了後、過剰のアクリル酸メチルを80℃の加温下で減圧により除去した。反応物を150部のトルエンで希釈した後、20%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して錫触媒と重合禁止剤を除去し、最終的に減圧蒸留によりトルエンを除去してアクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(樹脂1)78.5部を得た。
得られた樹脂1について、重量平均分子量、エステル価及び粘度の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
〔実施例2〕
フドー株式会社製K140の代わりにフドー株式会社製K140Eを用い、アクリル酸メチルの量を150.7部の代わりに107.4部配合した以外は、実施例1と同様にして、アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(樹脂2)88.7部を得た。
得られた樹脂2について、重量平均分子量、エステル価及び粘度の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
〔実施例3〕
フドー株式会社製K140の代わりにフドー株式会社製K100Eを用い、アクリル酸メチルの量を150.7部の代わりに107.4部配合した以外は、実施例1と同様にして、アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(樹脂3)87.2部を得た。
得られた樹脂3について、重量平均分子量、エステル価及び粘度の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006968338
〔実施例A〕
フドー株式会社製K140Eを78.7部、アクリル酸23部、重合禁止剤A(和光純薬工業社製ヒドロキノン)0.31部、トルエン150部とを、温度計、ディーンスターク装置及び乾燥空気を流すガラス管とを備えた500mlの反応フラスコに仕込んだ。パラトルエンスルホン酸(和光純薬工業社製、PTSA)1.3部を攪拌下に反応混合物中に添加した。反応混合物を攪拌しながら115℃、常圧下にて加熱還流し、反応系から水を除去した。反応時間は5時間とした。反応終了後、トルエン150部で希釈したのち20%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して触媒と重合禁止剤を除去し、最終的に減圧蒸留によりトルエンを除去してアクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(樹脂A)86.7部を得た。
得られた樹脂Aについて、重量平均分子量、エステル価及び粘度の測定を行った。これらの結果を表3に示す。
〔実施例B〕
パラトルエンスルホン酸の量を1.3部の代わりに0.26部配合した以外は、実施例Bと同様にして、アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(樹脂B)69.2部を得た。
得られた樹脂Bについて、重量平均分子量、エステル価及び粘度の測定を行った。これらの結果を表3に示す。
〔実施例C〕
重合禁止剤A(ヒドロキノン)の代わりに重合禁止剤B(和光純薬工業社製p‐メトキシフェノール)を用いた以外は、実施例Cと同様にして、アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(樹脂C)77.1部を得た。
得られた樹脂Cについて、重量平均分子量、エステル価及び粘度の測定を行った。これらの結果を表3に示す。
〔実施例D〕
重合禁止剤A(ヒドロキノン)0.31部の代わりに重合禁止剤C(塩化銅、和光純薬工業社製)0.1部を用いた以外は、実施例Dと同様にして、アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂(樹脂D)84.9部を得た。
得られた樹脂Dについて、重量平均分子量、エステル価及び粘度の測定を行った。これらの結果を表3に示す。
Figure 0006968338
〔実施例X〕
実施例3で得られたアクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂20部と、重合開始剤(BASF社製イルガキュア(登録商標)184)0.6部とを混合し、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製E5100、PETフィルム)上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線照射装置(高圧水銀ランプ)を用いて、250mJ/cm2の条件でタックがなくなるまで繰り返しUV照射を行い、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について、硬化性、ラビング試験、カール、イエローインデックス(YI)、ヘイズ(Haze)、全光線透過率(T.T.)、伸び、耐薬品性及び密着性の測定を行った。これらの結果を表4に示す。
〔実施例Y〕
実施例3で得られたアクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の代わりに、実施例2で得られたアクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を配合した以外は、実施例Xと同様にして、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物について実施例Xと同様にして硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について、硬化性、ラビング試験、カール、イエローインデックス(YI)、ヘイズ(Haze)、全光線透過率(T.T.)、伸び、耐薬品性及び密着性の測定を行った。これらの結果を表4に示す。
〔比較例a〕
アクリレートA(新中村化学工業社製A−HD−N、ヘキサンジオールジアクリレート)20部と、重合開始剤(BASF社製イルガキュア184)0.6部とを混合し、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物について実施例Xと同様にして硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について、硬化性、ラビング試験、カール、イエローインデックス(YI)、ヘイズ(Haze)、全光線透過率(T.T.)、伸び、耐薬品性及び密着性の測定を行った。これらの結果を表4に示す。
〔比較例b〕
アクリレートAの代わりに、アクリレートB(新中村化学工業社製A‐PTMG−65、ポリテトラメチレングリコール(#650)ジアクリレート)を配合した以外は、比較例aと同様にして、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物について実施例Xと同様にして硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について、硬化性、ラビング試験、カール、イエローインデックス(YI)、ヘイズ(Haze)、全光線透過率(T.T.)、伸び、耐薬品性及び密着性の測定を行った。これらの結果を表4に示す。
〔比較例c〕
アクリレートAの代わりに、アクリレートC(新中村化学工業社製A−BPE−4、2,2‐ビス〔4−(アクロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン)を配合した以外は、比較例aと同様にして、配合組成物を得た。
続いて、この配合組成物について実施例Xと同様にして硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について、硬化性、ラビング試験、カール、耐薬品性及び密着性の測定を行った。イエローインデックス(YI)、ヘイズ、全光線透過率(T.T.)及び伸びについては、カールが大きいため測定を実施することができなかった。これらの結果を表4に示す。
Figure 0006968338
本実施形態の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂は、塗料・コーティング材、インキ、粘・接着剤、レンズ、ディスプレイ用フィルムなどの種々の用途に適用可能であり、極めて有用である。

Claims (12)

  1. ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とをエステル化反応して得られ、
    前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、ポリオール変性キシレン樹脂であり、
    前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基価が、20〜850mgKOH/gであり、かつ、
    前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量(Mw)が、250〜10,000である、
    (メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
  2. 重量平均分子量(Mw)が300〜10,000である、請求項1に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
  3. エステル価が20〜850mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
  4. 25℃における粘度が1,000Pa・s以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
  5. 前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とポリオール類を酸性触媒下で反応させて得られる、請求項1〜のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を含む、組成物。
  7. 請求項に記載の組成物を硬化して得られる、硬化物。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂を硬化して得られる、硬化物。
  9. ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体をエステル化する工程を含み、
    前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂が、ポリオール変性キシレン樹脂であり、
    前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の水酸基価が、20〜850mgKOH/gであり、かつ、
    前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量(Mw)が、250〜10,000である
    (メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
  10. 前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、前記(メタ)アクリル酸を酸性触媒下で脱水エステル化する工程を含む、請求項に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
  11. 前記ポリオール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、前記(メタ)アクリル酸誘導体をエステル交換触媒下でエステル化する工程を含む、請求項に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
  12. 前記(メタ)アクリル酸誘導体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む、請求項又は11に記載の(メタ)アクリル変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
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