JP2011190894A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 締結されていた摩擦締結要素を解放すると共に、解放されていた摩擦締結要素を締結することにより所定の変速段に変速する自動変速機を備えた車両の制御装置において、イナーシャフェーズの進行に伴って変化するパラメータが変化したことを検出する変化開始検出手段と、車両の状態を順次記憶する記憶手段と、該記憶手段で記憶された、前記変化開始検出手段で検出された時点よりも所定時間前の時点の車両の状態に基づいて次回の変速時の制御量を補正する学習手段を設けた。
【選択図】 図3
Description
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、今回の変速時におけるパラメータ情報に基づいて次回の変速時の制御量を適切に補正可能な車両の制御装置を提供することを目的とする。
図2は実施例1のコントローラ内で実行される変速中ロックアップ制御処理を表すフローチャートである。
ステップ201では、完全ロックアップ状態の変速前変速段から完全ロックアップ状態での変速後変速段への変速指令か否かを判断し、NOのときは本制御フローを終了し、YESのときはロックアップクラッチ24の制御が必要であると判断してステップ202へ進む。すなわち、現在のエンジン回転数と変速後変速段のギア比に基づいて変速後に運転点が完全ロックアップ領域にいるか否かを判断する。
ここで、運転点とは車速とアクセルペダル開度によって規定される2次元平面内のポイントを表す。そして、この2次元平面内に各種変速段領域が設定されると共に、完全ロックアップ領域、スリップロックアップ領域、ロックアップクラッチ開放領域とが設定され、これによりシフトマップを構成する。
ステップ203では、変速開始変速段及び変速判断時のエンジントルクに基づいて図5に示す初期圧補正量マップから、記憶した初期圧補正量を算出する。尚、初期圧補正量算出処理の詳細については後述する。
初期圧=初期圧基準値+初期圧補正量
に設定する(初期圧制御手段に相当)。ここで、初期圧基準値とは、予めマップに設定された値であり、変速種によらずエンジントルクに基づいて設定されるものである。この初期圧によって目標初期スリップ量を達成する。目標初期スリップ量とは、イナーシャフェーズ開始時にエンジンの空吹き感が運転者にとって違和感とならない程度のスリップ量に設定されたものである。すなわち、目標初期スリップ量となるように初期圧を設定する必要があり、そのために、後述する初期圧補正制御処理が実行される。
ステップ206では、ロックアップクラッチスリップ量がF/B開始所定値以上か否かを判断し、F/B開始所定値以上のときはステップ207へ進み、F/B開始所定値未満のときはステップ205へ戻り、ロックアップクラッチ24への指令圧の低下を継続する。
ステップ207では、ロックアップクラッチ24への指令圧をロックアップクラッチスリップ量がF/B開始所定値となるようにフィードバック制御する。尚、このF/B開始所定値は、後述する初期圧補正量算出処理において補正された後に達成されるべき目標初期スリップ量よりも大きな値に設定されている。これにより、初期圧補正量算出処理が機能する前にフィードバック制御を開始してしまうといった問題を回避する。
ステップ209では、ロックアップクラッチへの指令圧をエンジントルクに応じた所定割合で増加させる。
ステップ210では、ロックアップクラッチスリップ量が所定値以下の状態が所定時間継続したか否かを判断し、この条件を満たしていないときはステップ209へ戻り、ロックアップクラッチ指令圧の増加を継続し、条件を満たしたときはステップ211へ進む。
ステップ211では、ロックアップクラッチ24への指令圧をロックアップクラッチ24がスリップしない圧に増加させる。
図3は実施例1のコントローラ内で実行される初期圧学習補正制御処理を表すフローチャートである。本フローでは、パワーオンアップシフト時について説明するが、他の変速時に実行しても構わない。また、初期圧学習補正制御とは、変速時における所望のスリップ量特性となるように、次回の変速時に設定する初期圧を適切な値に補正する制御をいう(学習手段)。
ステップ303では、ロックアップクラッチスリップ量を検知し、現時点までのスリップ量を時々刻々と記憶する(記憶手段)。尚、このタイミングは、図2のステップ204から206においてロックアップクラッチ24への指令圧を低下させていったときに生じるスリップ量を検知するものである。スリップ量を記憶する時間(期間)は、実際のイナーシャフェーズ開始時点からギア比が所定割合R1%変化した時点までに要する「時間の最大値」を予め実験等で求めておき、この最大となる時間+α分だけ過去の時点におけるスリップ量のデータから、現時点におけるスリップ量のデータまでを順次記憶している。この順次記憶するステップ303は、ギア比が所定割合R1%変化した時点まで行う。
ステップ307では、記憶されたロックアップクラッチスリップ量のうち、時間T1前の時点のスリップ量をスリップ量Aとして記憶する。これにより、ステップ307において記憶されたロックアップクラッチスリップ量は、イナーシャフェーズ開始時に生じているスリップ量が記憶されることになる。このスリップ量Aが目標初期スリップ量となることが望ましく、目標初期スリップ量となるように、以下の初期圧補正量が算出される。この目標初期スリップ量は、イナーシャフェーズ開始時にエンジンの空吹き感が運転者にとって違和感とならない程度のスリップ量に設定されている。
ステップ311では、ギア比が所定割合R2%変化した時点からR3%変化した時点までのタービン回転数の変化率ΔG2を検出する(変化率検出手段)。
ステップ314では、ギア比が所定割合R3%変化した時点から時間T2後に検出したスリップ量を、スリップ量Bとして記憶する。これにより、ステップ314において記憶されたロックアップクラッチスリップ量は、イナーシャフェーズ終了時に生じているスリップ量が記憶されることになる。このスリップ量Bが目標後期スリップ量となることが望ましく、目標後期スリップ量となるように、以下の初期圧補正量が算出される。この目標後期スリップ量は、イナーシャフェーズ終了時に変速ショックが許容できる程度のスリップ量に設定される。
図6は実施例1のパワーオンアップシフト時におけるロックアップ制御処理を表すタイムチャートである。初期条件として、ロックアップクラッチ24は完全締結状態であり、第2速の変速段が選択されているものとする。
時刻t1において、2−3アップシフト変速指令が出力されると、ロックアップクラッチ24の指令圧が初期圧まで低下され、スリップが発生しないギリギリの締結容量とされる。その後、ロックアップクラッチ指令圧が徐々に低下されるに伴ってスリップ量が増大する。以後、イナーシャフェーズが開始するまでスリップ量を順次記憶していく。
時刻t3において、スリップ量がF/B開始所定値以上になると、F/B開始所定値を目標値とするフィードバック制御が開始される。
時刻t31において、実ギア比が所定割合R2%変化すると、イナーシャフェーズ終了に近づいたと判断し、ロックアップクラッチのスリップ量を時々刻々と記憶し始める。
時刻t4において、実ギア比が所定割合R3%変化すると、イナーシャフェーズ終了に極めて近づいたと判断してフィードバック制御が終了する。そして、R2%からR3%に変化する間のタービン回転数の変化率ΔG2を検出し、実際にイナーシャフェーズが終了する時点、すなわち、時刻t4からギア比の変化が終了するまでの時間T2を算出する。そして、その時点におけるスリップ量をスリップ量Bとする。
時刻t5において、スリップ量が所定値以下の状態が所定時間継続したと判断され、ロックアップクラッチ24を完全締結状態とする。
(1)締結されていた摩擦締結要素を解放すると共に、解放されていた摩擦締結要素を締結することにより所定の変速段に変速する自動変速機を備えた車両の制御装置において、イナーシャフェーズの進行に伴って変化するパラメータが変化したことを検出するステップ304(変化開始検出手段)と、車両の状態を順次記憶するステップ303,309(記憶手段)と、ステップ303,309で記憶された、ステップ304で検出された時点よりも所定時間T1前の時点の車両の状態に基づいて次回の変速時の制御量を補正する初期圧学習補正制御(学習手段)を設けた。
また、イナーシャフェーズの進行に伴って変化するパラメータの変化は、基本的に掛け換え制御されるクラッチの制御に依存するものであり、そもそもイナーシャフェーズ中に例えばギア比が急変しないようにクラッチは制御されているため、イナーシャフェーズの進行に伴って変化するギア比の変化率について、実際のイナーシャフェーズ開始時点からギア比が所定割合変化した時点までのギア比の変化率と、ギア比が所定割合変化した時点からその後所定時間経過した後の時点までのギア比の変化率とは、ほぼ同じ変化率である。つまり、イナーシャフェーズ中に変化するパラメータの変化率に基づいて所定時間T1を設定することは、実際のイナーシャフェーズ開始時点により近い時点におけるロックアップクラッチスリップ量のデータを用いることを可能とするのである。
2 トルクコンバータ
3 自動変速機
5 コントロールバルブユニット
11 アクセルペダル開度センサ
12 スロットル開度センサ
13 車速センサ
14 インヒビタスイッチ
15 タービン回転数センサ
24 ロックアップクラッチ
100 コントローラ
Claims (5)
- 締結されていた摩擦締結要素を解放すると共に、解放されていた摩擦締結要素を締結することにより所定の変速段に変速する自動変速機を備えた車両の制御装置において、
イナーシャフェーズの進行に伴って変化するパラメータが変化したことを検出する変化開始検出手段と、
車両の状態を順次記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている、前記変化開始検出手段によりイナーシャフェーズ中に変化するパラメータが変化したことが検出された時点よりも所定時間前の時点の前記車両の状態に基づいて次回の変速時の制御量を補正する学習手段と、
を設けたことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、
イナーシャフェーズの進行に伴って変化するパラメータの変化率を検出する変化率検出手段を設け、
前記学習手段は、イナーシャフェーズ中に変化するパラメータの変化率の絶対値が大きいほど、前記所定時間を短く設定することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1または2に記載の自動変速機の制御装置において、
前記自動変速機と前記車両の駆動源との間に介装されるトルクコンバータに設けられ、該トルクコンバータの入出力要素間を締結可能なロックアップクラッチと、
該ロックアップクラッチの油圧を制御するロックアップクラッチ制御手段と、
前記自動変速機の変速の開始時に、前記ロックアップクラッチの油圧を所定の初期圧に制御する初期圧制御手段と、
を有し、
前記記憶手段は、イナーシャフェーズ中に変化するパラメータが変化したことが検出されるまでの前記ロックアップクラッチのスリップ量を順次記憶する手段であって、
前記学習手段は、前記変化開始検出手段によりイナーシャフェーズ中に変化するパラメータが変化したことが検出された時点よりも所定時間前の時点の前記ロックアップクラッチのスリップ量が所定の目標初期スリップ量となるように次回変速時の前記初期圧を補正すること、を特徴とする車両の制御装置。 - 請求項3に記載の自動変速機の制御装置において、
イナーシャフェーズの進行に伴って変化するパラメータの変化が略終了したことを検出する変化終了検出手段を設け、
前記学習手段は、前記変化開始検出手段によりイナーシャフェーズ中に変化するパラメータが変化したことが検出された時点よりも所定時間前の時点の前記ロックアップクラッチのスリップ量が所定の目標初期スリップ量となり、かつ、前記変化終了検出手段によりイナーシャフェーズ中に変化するパラメータの変化が略終了したことが検出された時点よりも所定時間後の時点の前記ロックアップクラッチのスリップ量が所定の目標後期スリップ量となるように、次回の変速時の制御量を補正すること、を特徴とする車両の制御装置。 - 請求項3または4に記載の自動変速機の制御装置において、
変速中における前記駆動源の駆動力の変動量が所定量以上のときは、前記学習手段による初期圧の補正を禁止する禁止手段を設けることを特徴とする車両の制御装置。
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