JP4883533B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機の変速制御装置に関するものであって、エンジンやモータに代表される駆動源の空吹け(吹け上がり)を生じないスムースな変速を実現するための技術に関するものである。
自動変速機において、締結側摩擦要素の油圧を増加させると共に解放側摩擦要素の油圧を低下させることで動力伝達系の掛け替えを行い所望の変速を実行させるにあたり、締結側摩擦要素の容量と解放側摩擦要素の容量との和が、エンジンからの入力トルク(変速機入力トルク)に比べて小さいと、エンジン回転が急激に増加する、所謂、空吹けを発生することが知られている。
これに対し、本願出願人は、前回の掛け替え制御中にエンジンの空吹けが検知されると、それを学習しておき、次回掛け替え制御を実行するにあたり、解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期を、前回の掛け替え制御の開始を指示した時期よりも相対的に遅らせる一方、前回の掛け替え制御中で空吹けが検知されないと、解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期を相対的に早める変速制御装置を提案済みである(例えば、特許文献1参照。)
特開2002−89701号公報
しかしながら、例えば、燃費やスムースな走りが要求される自動変速モードと、応答性が要求されるマニュアル変速モードとの選択が可能な場合は、同一入力トルクで同じ変速を実行するにあたっても、自動変速モードとマニュアル変速モードとでは、変速の応答性に違いを与える等の理由により、締結側摩擦要素の油圧勾配及び解放側摩擦の油圧勾配が異なって設定される。このため、変速モードを考慮せずに一方の学習補正値を他方の変速にそのまま使用すると、変速ショックが発生したり、空吹きが発生するという問題がある。
これに対し、上述したように、運転モードの選択で油圧勾配が異なってしまう場合には、当該変速モード毎にかつ入力トルク毎に、その学習補正値を保持(記憶)しておくことも考えられるが、この場合には、自動変速機のコントローラの記憶容量が増加してしまうという問題がある。
また、自動変速モードとマニュアル変速モードとの選択では、一般的に、マニュアル変速モードに比べて自動変速モードを使用する頻度が高く、このように、変速モードの使用頻度が異なる場合、使用頻度の低い変速モードでは、その学習の収束に時間がかかるという問題もある。
本発明の解決すべき課題は、記憶容量の増加を最小限に抑えながらも、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期を適切な時期に決定することにより、空吹けを生じないスムースな変速が実現される自動変速機の変速制御装置を提供することである。
本発明は、指示値に追従する実際の油圧の増減によって締結及び解放が制御される複数の摩擦要素のうち、締結を要する摩擦要素を締結側摩擦要素として、その実際の油圧を第
一の勾配で増加させるように前記指示値を増加させると共に、解放を要する摩擦要素を解放側摩擦要素として、その実際の油圧を第二の勾配で低下させるように前記指示値を低下させる掛け替え制御を実行することにより、所望の変速を実行させる変速制御手段と、前記締結側摩擦要素に対する前記解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期を、所定の基準値と学習補正値とに基づいて決定する油圧低下開始時期決定手段と、掛け替え制御中の駆動源の空吹けを検知する空吹け検知手段と、該空吹け検知手段の検知結果に基づいて、前記学習補正値を修正する学習補正値制御手段とを備える自動変速機の変速制御装置において、前記指示値と実際の油圧との間の差をずれ量と定義したとき、前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点の前記締結側摩擦要素における、予め想定していたずれ量と実際のずれ量との偏差に応じた第一の補正値を、前記学習補正値に基づいて算出する第一の補正値算出手段と、前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始よりも後の時点の前記解放側摩擦要素における、予め想定していたずれ量と実際のずれ量との偏差に応じた第二の補正値を、前記学習補正値に基づいて算出する第二の補正値算出手段と、を設け、前記油圧低下開始時期決定手段は、前記締結側摩擦要素を前記第一の油圧勾配とは異なる第三の油圧勾配で増加させるとき、又は前記解放側摩擦要素を前記第二の油圧勾配とは異なる第四の油圧勾配で低下させるときには、前記基準値と最終補正値とに基づいて前記開始を指示する時期を決定し、さらに、該最終補正値を、前記前記第一の補正値と前記第二の補正値とのうち、値の大きい方を当該最終補正値として決定すること、を特徴とするものである。
更に、詳細には、第一の補正値算出手段は、掛け替え制御を実行することにより、所望の変速を実行させるにあたり、解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期を前記基準値だけで決定した場合の、この時点で発せられる締結側摩擦要素への第1の指示値と、解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期を前記基準値及び前記学習補正値とに基づいて決定した場合の、この時点で発せられる締結側摩擦要素への第2の指示値との偏差を求め、この偏差に応じた第一補正値を算出し、
第二の補正値算出手段は、掛け替え制御を実行することにより、所望の変速を実行させるにあたり、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期を前記基準値だけで決定した場合の、目標とするイナーシャフェーズが開始される時点で発せられる前記解放側摩擦要素への第3の指示値と、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期を前記基準値及び前記学習補正値とに基づいて決定した場合の、目標とするイナーシャフェーズが開始される時点で発せられる解放側摩擦要素への第4の指示値との偏差を求め、この偏差に応じた第二補正値を算出する。
また、本発明は、車速と駆動源の負荷又はアクセル開度とに応じた予定の自動変速パターンに基づいて目標変速段を決定し、該目標変速段への変速を実行させる自動変速モードと、運転者が第1の操作手段を操作することにより目標変速段を決定し、該目標変速段への変速を実行させるマニュアル変速モードとを備える場合、前記油圧低下開始時期決定手段は、前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期について、前記自動変速モード選択時には前記基準値と前記学習補正値とに基づいて決定し、前記マニュアルモード選択時には前記基準値と前記最終補正値とに基づいて決定し、更に、 前記第一の補正値C1を、以下の式によって算出することが好ましい。
C1=Cd×(Td(c)/Tm(c))
Cd:自動変速モードにおける学習補正値
Td(c):自動変速モードにおいて、締結側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点からイナーシャフェーズが開始されるまでの目標時間
Tm(c):マニュアル変速モードにおいて、締結側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点からイナーシャフェーズが開始されるまでの目標時間
更に、本発明は、車速と駆動源の負荷又はアクセル開度とに応じた予定の自動変速パタ
ーンに基づいて目標変速段を決定し、該目標変速段への変速を実行させる自動変速モードと、運転者が第1の操作手段を操作することにより目標変速段決定し、該目標変速段への変速を実行させるマニュアル変速モードとを備える場合、前記油圧低下開始時期決定手段は、前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期について、前記自動変速モード選択時には前記基準値と前記学習補正値とに基づいて決定し、前記マニュアルモード選択時には前記基準値と前記最終補正値とに基づいて決定し、更に、前記第二の補正値C2を、以下の式によって算出することが好ましい。
C2=Cd×(Tm(r)/Td(r))
Cd:自動変速モードにおける学習補正値
Tm(r):マニュアル変速モードにおいて、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点から解放側摩擦要素の油圧が所定油圧へ低下するまでの目標時間
Td(r):自動変速モードにおいて、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点から解放側摩擦要素の油圧が所定油圧へ低下するまでの目標時間
なお、本発明において、第一の補正値と第二の補正値との大小関係は、絶対値ではなく、正負も考慮して決定される。即ち、第一の補正値が「−3」で、第二の補正値が「−5」である場合には、最終補正値として、第一の補正値の「−3」を用いる。
本発明では、学習補正制御手段が作動する第一の勾配又は第二の勾配とは異なる勾配にて油圧を増加又は低下させるときには、解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時点での、締結側摩擦要素への指示値と実際の油圧との間の狙いのずれ量と実際のずれ量との偏差に応じた第一の補正値を、学習補正値に基づいて算出する。また、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始よりも後の時点の前記解放側摩擦要素における、予め想定していたずれ量と実際のずれ量との偏差に応じた第二の補正値も学習補正値に基づいて算出する。そして、第一の補正値と第二の補正値とのうち、値の大きい補正値を、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期を決定するための最終補正値とした。
つまり、最終補正値は、第一の油圧勾配及び第二の油圧勾配で行なわれた学習補正値の結果が反映されることになるとともに、締結側摩擦要素に対する解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期と、この解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示した時点以降の経過との2つの時点を考慮して決定される。その結果、締結側摩擦要素に対する解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期は好適な時期となり、掛け替え制御開始時の空吹き発生を防止することができる。
さらに、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示した時点以降の経過を要件も考慮されることとなって、掛け替え制御中の駆動源の空吹きや、はもちろん、締結側摩擦要素の締結容量がイナーシャフェーズを開始する所定の締結容量に到達したにもかかわらず、解放側摩擦要素が解放されない、所謂、インターロック傾向となることも防止できる。
また、上述のように、締結側摩擦要素の油圧勾配又は解放側摩擦要素の油圧勾配について、学習補正値制御手段が作動する第一の勾配又は第二の勾配とは異なる場合であっても、学習補正値制御手段により修正された学習補正値に基づいて最終補正値を算出しているため、異なる勾配毎に専用の学習補正値を記憶する必要がなくなり、記憶容量の増加を抑制できるとともに、使用頻度に応じて学習補正値の収束に時間がかかるといった問題も無い。
以下、図面を参照して、本発明の好適な形態を詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される自動変速機1の構成を示すスケルトン図である。図示のように、駆動源であるエンジン2からの動力は、ロックアップ式トルクコンバータ3から回転軸S1を介してダブルピニオン型遊星歯車機構4に入力される。
ダブルピニオン型遊星歯車機構4は、キャリア5を入力とし、このキャリア5で、互いに噛み合う内径側ピニオンギア6及び外径側ピニオンギア7を回転可能に支持する。内径側ピニオンギア6は、変速機ケース8に固定されたサンギア9と噛み合い、このサンギア9の周りを回転し、外径側ピニオンギア7は、サンギア9と同軸配置されたリングギア10と噛み合い、このリングギア10の内側を相対回転する。
また、リングギア10は、回転軸S1が貫通する回転軸S2を介してエンジン2側に配置した3−5リバースクラッチ3−5R/CとロークラッチL/Cとに接続される。
これに対し、キャリア5は、ハイクラッチH/Cを介して回転軸S2が貫通する回転軸S3に繋がる。回転軸S3は、エンジン2側に延在し、シングルピニオン型遊星歯車機構11に接続される。
シングルピニオン型遊星歯車機構11は、キャリア12を入力とし、このキャリア12は、変速機ケース8に接続されたローアンドリバースブレーキLR/B及びローワンウェイクラッチL/OWCに接続されている。これにより、キャリア12は、変速機ケース8に対して一方向にのみ回転可能に支持されると共に、この回転の規制(固定)及び当該規制の解除を可能としている。
また、キャリア12は、ピニオンギア13を回転可能に支持する。ピニオンギア13は、ダブルピニオン型遊星歯車機構4側に配置された第1サンギア14と噛み合い、この第1サンギア14は、回転軸S3が貫通する回転軸S4に接続されている。この回転軸S4は、2−6ブレーキ2−6/Bを介して変速機ケース8に接続されている。
また、ピニオンギア13は、エンジン2側に配置された第2サンギア15とも噛み合い、この第2サンギア15は、回転軸S2が貫通する回転軸S5に接続されている。この回転軸S5は、3−5リバースクラッチ3−5R/Cを介して回転軸S2に接続されている。
更に、ピニオンギア13は、リングギア16の内側と回転可能に噛み合う。リングギア16は、変速機ケース8にベアリングBを介して回転可能に支持される出力ギア17を有する。
出力ギア17には、シングルピニオン型遊星歯車機構18を介してロークラッチL/Cが接続されている。シングルピニオン型遊星歯車機構18は、そのサンギア19が回転軸S5に接続されていると共に、ロークラッチL/Cがサンギア19と同軸配置されたリングギア20に接続されている。また、サンギア19とリングギア20とに噛み合うピニオンギア21は、キャリア22に回転可能に支持されている。キャリア22は、出力ギア17の内側を貫通すると共に、その内側に回転軸S5が貫通する回転軸S6を介してシングルピニオン型遊星歯車機構11のリングギア16に接続されている。
これにより、ハイクラッチH/C、2−6ブレーキ2−6/B、ローアンドリバースブレーキLR/B、ロークラッチL/C及び3−5リバースクラッチ3−5R/Cの締結・解放を組み合わせて、エンジン2の出力回転数を所望の回転数に変換し、出力ギア17から、カウンタシャフト23及びディファレンシャルギア24を介して、図示しない車両の駆動輪に伝達する。
この変速制御での各摩擦要素の作動状態を図2に示す。なお、図2において、○印は締結、無印は解放、○に×の印は締結であるがエンジンブレーキ時に作動、○にハッチングの印はエンジン駆動時に機械的に締結作動(回転規制)することを示す。
図3は、本形態の要部構成を模式的に示すブロック図である。図示のように、A/Tコントロールユニット(以下、「コントローラ」という。)100の入力側には、車速VSPを検出する車速センサ31、エンジン負荷としてのスロットル開度TVOを検出するスロットルセンサ32、エンジン回転センサ33、タービン回転センサ34、シフトレバーの操作位置を検出するインヒビタスイッチ35、自動変速機1内に充填された油温を検出する検出センサ36、シフトレバーがマニュアル変速モード位置にあることを検出するマニュアル変速モードスイッチ37a、シフトレバーが手動操作でアップシフト位置に操作されたことを検出するアップシフトスイッチ37b、シフトレバーが手動操作でダウンシフト位置に操作されたことを検出するダウンシフトスイッチ37cが接続されている。
また、コントローラ100の入力側には、ロークラッチL/Cへの締結圧の有無を検出する第1圧力スイッチ41、ハイクラッチH/Cへの締結圧の有無を検出する第2圧力スイッチ42、2−6ブレーキ2−6/Bへの締結圧の有無を検出する第3圧力スイッチ43、3−5リバースクラッチ3−5R/Cへの締結圧の有無を検出する第4圧力スイッチ44、ローアンドリバースクラッチLR/Bへの締結圧の有無を検出する第5圧力スイッチ45が接続されている。
これに対し、コントローラ100の出力側には、ロークラッチL/Cへの締結圧を制御する第1デューティソレノイドS1、ハイクラッチH/Cへの締結圧を制御する第2デューティソレノイドS2、2−6ブレーキ2−6/Bへの締結圧を制御する第3デューティソレノイドS3、3−5リバースクラッチ3−5R/Cへの締結圧を制御する第4デューティソレノイドS4、ローアンドリバースクラッチLR/Bへの締結圧を制御する第5デューティソレノイドS5が接続されている。
また、コントローラ100内には、目標変速段決定手段101、変速制御手段102及びイナーシャフェーズ開始検知手段110等が設けられており、上記各種センサ類から入力情報に基づいて演算処理を実行し、各デューティソレノイドS1〜S5に対してソレノイド駆動信号を出力する。
目標変速段決定手段101は、自動変速モード選択中にはスロットル開度TVO又は運転者のアクセル踏み込み量(例えば、アクセル開度APO)や車速VSP等の車両運転情報に基づいて目標変速段を決定する機能を有し、マニュアル変速モード選択中にはアップシフトスイッチ37bやダウンシフトスイッチ37cからの信号に基づいて目標変速段を決定する機能を有する。なお、自動変速モード選択中は、コントローラ100内に記憶されている自動変速モード用のシフトマップ(自動変速パターン)を参照して目標変速段を決定している。
また、イナーシャフェーズ開始検知手段110は、タービン回転センサ35等からの情報に基づいて実際の変速ギア比GRを算出すると共に、この変速ギア比GRの変化に基づき目標とするイナーシャフェーズの開始を検知又は判定する。なお、イナーシャフェーズ開始検知手段110は、イナーシャフェーズの終了についても検知又は判定することができる。即ち、イナーシャフェーズ開始検知手段110は、イナーシャフェーズ終了検知手段としても機能する。
変速制御手段102は、第1変速制御手段103、第2変速制御手段104及び油圧低下開始時期決定手段105を備える。第1変速制御手段103は、例えば、第n段での走
行中に走行条件が変動して、自動変速シフトパターン101に基づき第n+1段が選択されると、解放状態の摩擦要素を締結側摩擦要素として、その締結が行われるように油圧指令を行うと共に、締結状態の摩擦要素を解放側摩擦要素として、その解放が行われるように油圧指令を行うものである。
また、第2変速制御手段104は、例えば、第n段での走行中に走行条件が変動して、自動変速用シフトマップ(目標変速段決定手段)101に基づき第n−1段が選択されると、締結状態の摩擦要素を解放側摩擦要素として、その解放が行われるように油圧指令を行うと共に、解放状態の摩擦要素を締結側摩擦要素として、その締結が行われるように油圧指令を行うものである。
第1及び第2変速制御手段103、104には、変速パターン毎に予め制御プログラム(制御データ)が格納されており、現在の変速段に対して前後1段の変速及びダウンシフト側の1段飛びシフト(以下、これらの変速を「通常の変速」という。)については、第1及び第2変速制御手段103、104に記憶された制御データを用いて変速制御が実行される。
ここで、図4は、運転者がシフトレバー操作により自動変速モードを選択した状態でのアップシフト(以下、「通常アップシフト」という。)が実行されるにあたっての、締結側摩擦要素及び解放側摩擦要素それぞれの制御内容を例示するフローチャートであり、また、図5は、図4のフローチャートに従い締結側摩擦要素及び解放側摩擦要素それぞれに発せられる指示値を時系列的に示すタイムチャートである。
運転者がシフトレバーを操作して自動変速モードを選択し、例えば、車速VSPが上昇するとコントローラ100はアップシフト要求を確認する。これにより、締結側では、図4のステップ101に示すように、解放状態の所定の摩擦要素を締結側摩擦要素として、当該締結側摩擦要素に対してプリチャージ制御(がた詰め制御)が実行される。
プリチャージ制御は、締結側摩擦要素のピストンストロークを早期に完了させるための制御であって、締結側摩擦要素に高い油圧(例えば、全ピストンストロークに対して70%程度のストロークが一度に完了できるような高い油圧)が供給されるように、かかる締結側摩擦要素の締結及び解放を司るデューティソレノイドへの指示値Pd(c)を決定し、それを指令する。
なお、本形態のプリチャージ制御では、図5に示すように、予め設定した圧力指示値(以下、「指示値」という。)PA1と学習補正量との加算値を指示値Pd(c)として出力している。また、この場合の学習補正量は、イナーシャフェーズまでの時間及び変化率に基づく既知の学習手段により算出される。
プリチャージ制御は、図4のステップ102に示すように、アップシフト制御の開始から予め設定された所定時間T1が経過するまで実行される。所定時間T1の経過の判断には、例えば、A/Tコントロールユニット100内のタイマを用いる。なお、図5では、プリチャージ制御が実行されるフェーズをAC11で示す。
所定時間T1だけ指示値Pd(c)を出力した後は、図5に示すように、この指示値Pd(c)を一旦低下させ、がた詰め状態を保持できる程度の実際の油圧値となるように、予め設定した値PA2と学習量とを加算したものを指示値Pd(c)として設定して締結に備える。なお、この場合の学習量も、イナーシャフェーズまでの時間及び変化率に基づく既知の学習手段により算出される。
所定時間T1を経過すると、図4のステップ103にて、実際の締結状態を司るピストンストローク制御を実行する。ピストンストローク制御では、図5に示すように、指示値Pd(c)が(PA2+学習補正量)の状態から自動変速機1への入力トルク(簡易的には、スロットル開度TVOで表されるエンジン負荷)に応じた所定の勾配RA1で指示値Pd(c)を上昇させて、締結側摩擦要素のピストンストロークを制御する。
これにより、締結側摩擦要素のピストンは、ピストンストローク制御が終了するまで一定速さでストロークする。なお、ピストンストローク制御は、図4のステップ104に示すように、ピストンストローク制御の開始から所定時間T2の経過までをタイマを用いて計測し、所定時間T2の経過をもって終了とする。
なお、図5では、ピストンストローク制御が実行されるフェーズをAC12で示し、ピストンストローク制御の終了後は、図4のステップ105にて、本発明に係る掛け替え制御を実行する。
ステップ105の掛け替え制御では、図5に示すように、解放側摩擦要素との締結・解放の掛け替えを実現すべく、入力トルク及び車速VSPに基づいて予め設定した所定の勾配(第一の勾配)RA2で指示値Pd(c)を上昇させる。ここで、所定勾配RA2は、引き勾配(トルクフェーズ中の出力軸トルクの低下勾配)が最適となるように設定されており、入力トルクが大きくなるほど所定勾配RA2も大きい値に設定される。また、この所定勾配RA2は、掛け替え制御からイナーシャフェーズ制御に切り替わる際の油圧サージや変速ショックを防止することも目的としている。
なお、アクセルペダルからの足離しに伴うアップシフトに代表されるコースト状態におけるアップシフト(所謂、パワーオフアップシフト)時は、この締結側摩擦要素での掛け替え制御の開始前に、イナーシャフェーズが検出され、本制御を実行することなくイナーシャフェーズに移行する場合もある。
図4のステップ105にて、締結側摩擦要素での掛け替え制御が開始されると、ステップ106に移行し、モニタリングしたギア比GRが目標イナーシャフェーズ開始判定ギア比GR1に達したかどうかを判断する。ステップ106にて、ギア比GRが目標イナーシャフェーズ開始判定ギア比GR1に達したと判断すると、掛け替え制御を終了してイナーシャフェーズ制御を実行すべく、ステップ107に移行する。なお、図5では、締結側摩擦要素での掛け替え制御が実行されるフェーズをAC21で示す。
図4のステップ106にて、目標とするイナーシャフェーズが開始されたと判定されると、図4のステップ107にて、イナーシャフェーズ制御が開始される。イナーシャフェーズ制御は、図5に示すように、指示値Pd(c)を入力トルク及び車速VSPに基づいて設定される所定勾配RA3で上昇させる。ここで、所定勾配RA3は、所定勾配RA2よりも小さい値であって、緩やかな勾配で比較的ゆっくりと油圧を上昇させる。
図4のステップ108では、モニタリングしたギア比GRが、目標としたイナーシャフェーズの終了を判定すべく予め設定したギア比(以下、目標イナーシャフェーズ終了判定ギア比)GR2に達したかどうかを判断する。ステップ108にて、モニタリングしたギア比GRが目標イナーシャフェーズ終了判定ギア比GR2に達したと判断すると、イナーシャフェーズ制御を終了すべく、ステップ109に移行する。なお、図5では、イナーシャフェーズ制御が実行されるフェーズをAC31で示す。
図4のステップ109では、イナーシャフェーズ終了制御を実行する。このイナーシャフェーズ終了制御は、図5に示すように、指示値Pd(c)を所定勾配RA3よりも大きな勾
配RA4(一定値)で上昇させる。なお、指示値Pd(c)を所定勾配RA4で上昇させているのは、指示値Pd(c)を一気に立ち上げると、イナーシャフェーズの終了検知がばらつくことで変速ショックが発生する可能性があり、これを防止するためである。
そして図4のステップ110にて、ギア比GRが目標イナーシャフェーズ終了判定ギア比GR2に達してから所定時間T5が経過したと判断すると、指示値(デューティ)を100%に設定し、最大油圧(MAX圧)を出力して締結側摩擦要素の制御を終了する。なお、図5では、イナーシャフェーズ終了制御が実行されるフェーズをAC41で示す。
これに対し、解放側では、コントローラ100がアップシフト要求を確認すると、図4のステップ201に示すように、締結状態の所定の摩擦要素を解放側摩擦要素として、当該解放側摩擦要素に対してアンダーシュート防止制御が実行される。
アンダーシュート防止制御は、油圧値の過度の低下(アンダーシュート)を防止するための制御であって、解放側摩擦要素の解放(締結)を司るデューティソレノイドへの指示値Pd(r)を、最大油圧によりも低い目標油圧が供給される指示値(例えば、目標とする指示値TR2に対してやや高めの指示値(TR2+TR1))Pd(r)に決定し、ステップ202にて、所定時間T6を経過したと判定されるまで、かかる指示値Pd(r)に基づき実行される。これにより、解放側摩擦要素の解放油圧は、図5に示す指示値Pd(r)に追従するように、やや高めの値(TR2+TR1)を目標とする値(TR2)まで所定時間T6をかけて徐々に漸減する。
なお、指示値Pd(r)=TR2は、入力トルクに応じた指示値であって、アクセルペダルの踏み込みに伴うアップシフト(所謂、パワーオンアップシフト)時において、解放側摩擦要素がぎりぎり滑り出さない程度の油圧を発生させる指示値、即ち、解放側摩擦要素がスリップしない限界の指示値に相当する。
このような限界値TR2に指示値Pd(r)を保持しておくことにより、解放側摩擦要素にて、後述する掛け替え制御に移行した際に、この解放側摩擦要素の容量が油圧低下と共に即座に低下して変速が進行する。
所定時間T6を経過すると、図4のステップ203にて、掛け替え前保持制御が実行される。掛け替え前保持制御は、少なくとも、締結側摩擦要素のピストンストローク制御が終了するまで、即ち、図5に示すように、少なくとも、フェーズAC12が終了するまで、入力トルクに応じた油圧となるように指示値Pd(r)(=TR2)を指令することで、解放側摩擦要素の締結(変速段)を保持する制御である。
従って、掛け替え前保持制御は、例えば、解放側摩擦要素と締結側摩擦要素とが同時に締結を解除してしまうことで自動変速機1内がニュートラル状態となったり、締結側摩擦要素の容量と解放側摩擦要素の容量との和がエンジン2からの入力トルクに比べて小さくなることで、エンジン回転が急激に増加して、所謂、空吹けを発生してしまう事態を回避するため、解放側摩擦要素への供給圧を、その締結が維持される程度に保持する制御である。
このため、本形態に係る掛け替え前保持制御では、図4のステップ204にて、締結側摩擦要素の締結容量が足りないことに起因するエンジン2の空吹けの発生を防止すべく、締結側摩擦要素の締結容量が十分になるよう、締結側摩擦要素における、掛け替え制御が開始された時刻t0(以下、締結側摩擦要素の油圧を所定勾配RA2で上昇させはじめる時点を「締結側掛け替え制御開始時点」という)から所定時間Taが経過したかどうかを判断する。
図4のステップ204にて、締結側摩擦要素における、掛け替え制御が開始されてから所定時間Taが経過したと判断すると、締結側摩擦要素への供給圧が、空吹けの発生を防止するのに十分な締結容量を確保するものであるとして、掛け替え前保持制御を終了し、締結側摩擦要素との締結・解放の掛け替えを実現すべく、ステップ205に移行する。
言い換えれば、所定時間Taは、締結状態にある解放側摩擦要素の油圧を、その締結を実際に解除すべく低下させる際の、その開始の時期を決定するための時間であり、また、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点(以下、「解放側掛け替え制御開始時点」という。)taでもある。
自動変速モードでの所定時間Taは、締結側掛け替え制御開始時点t0から予め設定した後述の基準値Tsに、同じく後述の学習時間Cd(学習補正値)を加算した時間としている。なお、アンダーシュート防止制御及び掛け替え前保持制御が実行されるフェーズをRC11で示す。
図4のステップ205では、解放側掛け替え制御開始時点taで解放側摩擦要素での掛け替え制御が実行される。この掛け替え制御は、指示値Pd(r)が、解放側掛け替え制御開始時点taから所定時間T7が経過したときに値TR3になるように、所定の勾配(第二の勾配)RB2が設定されている。これにより、解放側摩擦要素の解放油圧は、図5に示す指示値Pd(r)に追従するように、解放側掛け替え制御開始時点taからこの勾配RB2で徐々に低減される。
図4のステップ205にて、解放側摩擦要素での掛け替え制御が開始されると、ステップ206に移行し、モニタリングしたギア比GRが目標イナーシャフェーズ開始判定ギア比GR1に達したかどうかを判断する。ステップ406にて、ギア比GRが変速前ギヤ比から所定値だけ低下してギア比GR1に達したと判断すると、解放側摩擦要素での掛け替え制御を終了して、後述のイナーシャフェーズ時抜き制御を実行すべく、ステップ207に移行する。なお、図5では、解放側摩擦要素での掛け替え制御が実行されるフェーズをRC21で示す。
この場合、例えば、所定時間T7が経過して指示値Pd(r)が値TR3に達した後、ギア比GRが目標イナーシャフェーズ開始判定ギア比GR1に達するのであれば、ギア比GRが目標イナーシャフェーズ開始判定ギア比GR1に達するまで指示値Pd(r)=TR3を保持することも可能であるが、所定時間T7が経過する前に、ギア比GRが目標イナーシャフェーズ開始判定ギア比GR1に達するときには、ギア比GRが目標イナーシャフェーズ開始判定ギア比GR1に達した時点で、解放側摩擦要素での掛け替え制御を終了することが好ましい。
イナーシャフェーズ時抜き制御が開始されると、図5に示すように、所定時間T4で油圧が0となるような緩やかな勾配で指示値Pd(r)を徐々に低減する。ここで指示値Pd(r)を一気に0にしないのはショックの発生を回避するためである。この所定時間T4は、イナーシャフェーズ時間よりも短い時間に通常は設定されている。
図4のステップ207にて、イナーシャフェーズ時抜き制御が開始されると、ステップ208に移行し、イナーシャフェーズが開始されたと判定してから所定時間T4が経過したかどうかを判断する。ステップ208にて、目標とするイナーシャフェーズが開始されたと判定してから所定時間T4が経過したと判断すると、イナーシャフェーズ後抜き制御を行なう。これは、イナーシャフェーズ時抜き制御において指示値Pd(r)が0にならなかった場合のバックアップ制御であり、イナーシャフェーズの終了を検知してから時間T5
経過した時点で指示値Pd(r)を0に設定し、変速を終了する。これにより、第1変速制御手段103により、運転者のシフトレバー操作によらない自動変速モードによるアップシフトが実行される。なお、図5では、イナーシャフェーズ時抜き制御が実行されるフェーズをRC31で示す。
ところで、本形態では、自動変速パターンに基づいた自動変速モードと、シフトレバー30の操作による運転者の意図に応じた所望の変速を実行させるマニュアル変速モードとを備えることから、運転者がマニュアル変速モードを選択し、仮にシフトレバー30の操作によりアップシフト操作が行なわれると、実際の変速を運転者の手動操作に迅速に対応させるため、締結側掛け制御替え制御開始時点t0からイナーシャフェーズを開始するまでの目標時間(締結側摩擦要素での掛け替え制御(AC21)が実行される時間T3)が自動変速モードのアップシフトに比べて短くなるよう油圧設定されている。
即ち、締結側掛け替え制御の開始時点t0後における締結側摩擦要素の油圧は、上昇させる勾配がRA2からRA2’へ大きくなるため、解放側摩擦要素の油圧を低下させる勾配RB2も、勾配(第3の勾配)RB2’に変更される。従って、掛け替え制御における学習量Cdも、自動変速モードのアップシフトからマニュアル変速モードのアップシフトに切り換わることで修正する必要がある。
これに対し、コントローラ100は、油圧低下開始時期決定手段405を備える。油圧低下開始時期決定手段105は、自動変速モード選択中は、上述のとおり、所定時間Taを基準値Tsと学習補正値Cdとに基づいて決定する。
ここで、基準値Tsとは、目標変速段決定手段401にて決定される目標変速段及び入力トルクに応じて、A/Tコントロールユニット100内に記憶される等して予め設定されている締結側掛け替え制御開始時点t0からの経過時間である。
また、学習補正値Cdとは、自動変速モードにおいて、今回油圧を低下させるにあたり、それ以前の変速において実行された変速によって学習された学習補正値である。学習補正値Cdを算出するにあたっては、自動変速モードにおける既存の学習制御を用いることができ、例えば、前回の変速中に空吹けが発生したと判断されると、その都度、所定値だけ加算する一方、空吹けが発生しないと判断されると所定値だけ減算することで求められる。即ち、学習補正値Cdとは、解放側掛け替え制御の開始時点taを好適な時期とすることができるよう基準値Tsを補正する値である。
油圧低下開始時期決定手段105は更に、空吹け検知手段106、学習補正値制御手段107、第一の補正値算出手段108及び第二の補正値算出手段109を備える。
空吹け判断手段106は、掛け替え制御中に発生したエンジン2の空吹けを検知する。ここでは、例えば、エンジン回転センサ34で検知されるエンジン回転数が予め設定された所定の回転数を超えたときや、タービン回転センサ35で検知される自動変速機1の入力回転数が変速開始時のタービン回転数との差が予め設定された所定の回転数を超えたときや、変速前のギヤ比に対して実際のギヤ比が所定値以上大きくなったときなどを、掛け替え制御中にエンジン2の空吹けが発生したと判断する。
学習補正値制御手段107では、エンジン2の空吹けが発生したと判断されると、次回掛け替え制御中に空吹けが発生しないように、この空吹けが発生した時期や条件等を加味して、油圧低下開始時期決定手段104と共に説明した自動変速モードにおける学習補正値Cdを補正する。すなわち、エンジン2の空吹けが検知されたときには、前回までの学習補正値Cdに対して第1の所定値を加えて、新たな学習補正値Cdとすることで、解放
側掛け替え制御開始時点taを遅らせるようにする。一方、空吹きが発生しなかったときには、前回までの学習補正値Cdに対して第2の所定値(第1の所定値>第2の所定値)を減算して、新たな学習補正値Cdとする。
第一の補正値算出手段108は、解放側掛け替え制御開始時点taでの締結側摩擦要素における予め想定したずれ量と実際のずれ量との偏差に応じた第一の補正値C1を、前記学習補正値Cdに基づいて算出する。なお、本明細書では、ずれ量とは、指示値Pd(r)に対する実際の油圧との差分という意味に使用している。
第二の補正値算出手段109は、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始taよりも後の時点tbにおける、予め想定したずれ量と、実際のずれ量との偏差に応じた第二の補正値C2を、学習補正値Cdに基づいて算出する。なお、後の時点tbとは、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始時点taよりも後の時点であればよく、例えば、締結側掛け替え制御の開始時点t0に対してイナーシャフェーズを開始する目標時間が経過した時点tcであったり、解放側摩擦要素が所定油圧に達するまでの目標時間が経過した時点であってもよい。また、この時点を決定するやり方は、本実施例にはとくに限定されない。
そして、油圧低下開始時期決定手段105は、マニュアル変速モード選択中におけるアップシフト時において、解放側摩擦要素を勾配RB2とは異なる勾配(第三の油圧勾配)RB2´で低下させるときには、基準値Tsと、後述する最終補正値とに基づいて解放側掛け替え制御開始時点taを決定することになる。
すなわち、油圧低下開始時期決定手段105は、最終補正値について、解放側掛け替え制御開始時点taの偏差に応じた第一の補正値C1と、解放側摩擦要素の掛け替え制御開始時点taよりも後の時点tbの偏差に応じた第二の補正値C2とを比較して、値の大きい補正値を最終補正値として算出する。
図6は、本発明に従う油圧低下開始時期決定手段105にて、解放側掛け替え制御開始時点taを決定するにあたり、マニュアル変速モードにおいて用いられる最終補正値を算出するためのフローチャートである。
このフローチャートは、変速判断をトリガーに実行され、先ずステップ1にて、マニュアルモードスイッチ37aからの信号に基づいて、運転者が現在選択している運転モードが、自動変速モードであるか、マニュアル変速モードであるかを判断する。ステップ1にて、自動変速モードであると判断されると、ステップ2にて、図4のステップ204にて説明の自動変速モードにおける学習補正値Cdを、そのまま学習補正値として採用する。
即ち、自動変速モードにおいて、解放側掛け替え制御開始時点taは、先に説明した通り、基準値Tsに学習補正値Cdを加算した時間であり、学習補正値Cdは、前回の変速中に空吹けが発生したか否かに応じて、毎回、第1の所定値や第2の所定値が加減算されて修正される値である。
これに対し、運転者が現在選択している運転モードがマニュアル変速モードであると、ステップ3に移行し、解放側掛け替え制御開始時点taを決定するための第一補正値C1を算出する。
図7(a)は、第一の補正値C1の算出方法を説明するために例示される掛け替え制御のタイムチャートである。
同図において、実線Pd(c)は、自動変速モードにおいて、掛け替え制御を実行するにあ
たり、この掛け替え制御の開始の基準となる締結側摩擦要素への指示値Pd(c)であり、これに対応する解放側摩擦要素への指示値であって、学習補正値が反映されてない場合の指示値を実線Pd(r)で示す。
解放側摩擦要素への指示値Pd(r)に対して学習補正値を反映させない場合、同図に示すように、解放側掛け替え制御開始時点ta(=ta1)において、締結側摩擦要素に指示される指示値Pd(c)は、指示値Pd(r)=P1であり、この指示値Pd(r)=P1は、ずれ量を予め想定して設定された指示値である。
これに対し、同図において、破線Pd(r)は、自動変速モードにおいて、掛け替え制御を実行するにあたり、締結側摩擦要素への指示値Pd(c)に対応する解放側摩擦要素への指示値Pd(r)であって、解放側掛け替え制御開始時点taについて、基準値(ここでは、締結側掛け制御替え制御開始時点t0から学習補正値を反映させない解放側掛け替え制御開始時点ta1までの時間)Tsに学習補正値Cdを加算し、現在までの自動変速モードでの学習補正値Cdを反映させた指示値である。
解放側摩擦要素への指示値Pd(r)に対して学習補正値を反映させた場合、同図に示すように、解放側掛け替え制御開始時点ta=ta2(=Ts+Cd)において、締結側摩擦要素に指示される指示値Pd(c)は、指示値Pd(r)=P2である。ここで、学習補正値を反映させた解放側掛け替え制御開始時点ta(=ta2)における実際の油圧はかわらないと仮定すれば、これら2つの指示値P1とP2とを減算することは、予め想定したずれ量と実際のずれ量との偏差Aを求めていることになる。
言い換えれば、偏差Aは、学習補正値を反映させた解放側掛け替え制御開始時点ta(=ta2)において、必要とする油圧を発生させるには、指示値Pd(r)=P1を想定していたが、実際には、締結側摩擦要素の指示値はPd(r)=P2であることを意味する。この偏差Aは、摩擦要素の経時劣化や製品ばらつきといったことから生じる、その個体にとって再現性のある値であるところから、マニュアル変速モードであっても変わるところではない。
また、同図において、破線Pm(c)は、マニュアル変速モードにおける締結側摩擦要素への勾配RA2’(第三の勾配)で増加させる指示値である。解放側掛け替え制御開始時点ta1(=Ts)において、指示値Pd(r)=P3では、予め想定したずれ量しか考慮されていないこととなり、必要な油圧に対して容量不足となることは上記説明で明らかである。そこで、この指示値Pd(r)=P3に対して、締結側摩擦要素で必要とされる油圧を実際に発生させるには、Pd(r)=P3から偏差Aだけ加算したPd(r)=P4(=P3+A)を指示値とする必要があり、勾配RA2’で増加させる場合には、Pd(r)=P4を指示するタイミングは時点t0からTs+Cm1だけ経過した時点ta3である。つまり、解放側掛け替え制御開始時点をTs+Cm1だけ経過した時点ta3とすればよい。
また、偏差Aは、自動変速モードにおいて、締結側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点t0から学習補正値を反映させないことによりイナーシャフェーズが開始されると判断される時点tc1までの目標期間、即ち、掛け替え制御時間T3と、自動変速モードにおける学習補正値Cdと、目標とするイナーシャフェーズが開始される時点での分担トルク相当の油圧とから、以下の式(1)で表される。なお、分担トルク相当の油圧とは、ある変速段において、該変速段で締結している複数の摩擦要素がそれぞれ受け持つトルクに相当する油圧である。
A=(Cd/T3)×分担トルク相当の油圧 ・・・(1)
同様に、油圧の偏差Aは、マニュアル変速モードにおいて、締結側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点t0から学習補正値を反映させることにより目標とするイナーシャフェーズが開始されると判断される時点tc2までの目標時間、即ち、掛け替え制御の
目標時間T3'と、マニュアル変速モードにおける学習補正値Cm1と、目標とするイナーシャフェーズが開始される時点での分担トルク相当の油圧とから、以下の式(2)でも表される。
A=(Cm1/T3’)×分担トルク相当の油圧 ・・・(2)
従って、マニュアル変速モードにおける学習補正値Cm1は、式(1),(2)から、
Cm1=(Cd×T3')/T3 ・・・(3)
で表すことができる。
即ち、第一の補正値C1は、下記の式(4)によって算出することができる。
C1=Cd×(Td(c)/Tm(c))・・・(4)
Cd:自動変速モードにおける学習補正量
Td(c):自動変速モードにおいて、学習補正値を反映させないことにより締結側掛け替え制御開始時点t0からイナーシャフェーズが開始されると判断される時点tc1までの目標時間T3
Tm(c):マニュアル変速モードにおいて、学習補正値を反映させることにより締結側掛け替え制御開始時点t0からイナーシャフェーズが開始されると判断される時点tc2までの目標時間T3'
次に、ステップ4では、解放側掛け替え制御開始時点taを決定するための最終補正値としての第二の補正値C2を算出する。
図7(b)は、第二の補正値C2の算出方法を説明するために例示される掛け替え制御のタイムチャートである。
同図において、実線Pd(c)は、自動変速モードにおいて、掛け替え制御を実行するにあたり、この掛け替え制御の開始の基準となる締結側摩擦要素への指示値であり、これに対応する解放側摩擦要素への指示値であって、学習補正値が反映されてない場合の指示値を実線Pd(r)で示す。なお、締結側掛け替え制御の開始時点t0よりも後の時点tbの例として、目標イナーシャフェーズ開始時点tcを例にとって説明する。
解放側摩擦要素への指示値Pd(r)に対して学習補正値を反映させない場合、同図に示すように、締結側掛け替え制御の開始時点t0よりも後の時点tbである目標イナーシャフェーズ開始時点tc(=tc1)において、解放側摩擦要素に指示される指示値Pd(r)は、指示値Pd(r)=P5であり、この指示値はずれ量を予め想定して設定された値である。
これに対し、同図において、破線Pd(r)は、自動変速モードにおいて、掛け替え制御を実行するにあたり、締結側摩擦要素への指示値Pd(c)に対応する解放側摩擦要素への指示値Pd(r)であって、解放側掛け替え制御開始時点taについて、基準値Tsに学習補正値Cdを加算し、現在までの自動変速モードでの学習補正値Cdを反映された指示値である。
解放側摩擦要素への指示値Pd(r)に対して学習補正値を反映させた場合、同図に示すように、締結側掛け替え制御の開始t0から目標イナーシャフェーズ開始時間T3の経過時点(目標イナーシャフェーズ開始時点tc1)において、解放側摩擦要素に指示される指示値Pd(r)は、指示値Pd(r)=P6であり、これは実際のずれ量に基づいて決定される値である。したがって、学習補正値を反映させたイナーシャフェーズ開始時点tc(=tc2)における実際の油圧はかわらないと仮定すれば、これら2つの指示値P5とP6とを減算することは、予め想定したずれ量と実際のずれ量との偏差Bを求めていることになる。
言い換えれば、偏差Bは、目標イナーシャフェーズ開始時点tc1において、必要な油圧
を発生させるには、指示値Pd(r)=P5を想定していたが、実際には解放側摩擦要素の指示値はPd(r)=P6であることを意味する。この偏差Bも、摩擦要素の経時劣化や製品ばらつきといったことから生じる、その個体にとって再現性のある値であるところから、マニュアル変速モードであっても変わるところではない。
また、同図において、、マニュアル変速モードにおける掛け替え制御を実行するにあたり、学習補正値を反映させない解放側摩擦要素への指示値を破線Pm(r)とする。そして、締結側掛け替え制御の開始時点t0から目標イナーシャフェーズ開始時間T3’の経過時点(目標イナーシャフェーズ開始時点tc2)において、学習補正値を反映しない指示値Pd(r)=P7に対して、実際に解放側摩擦要素で必要とされる油圧を発生させるための指示値Pm(r)は、Pm(r)=P7から偏差BだけずれたPm(r)=P8(=P7+B)とする必要があ、一点鎖線Pm(r)に推移させる必要がある。従って、マニュアル変速モードにおける解放側摩擦要素の油圧を勾配RB2’で低下させる場合には、Pd(r)=P8を指示する時点は時点t0からTs+Cm2だけ経過した時点t4である。つまり、解放側掛け替え制御開始時点をTs+Cm2だけ経過した時点t4とすればよい。
また、偏差Bは、自動変速モードにおいて、解放側掛け替え制御開始時点ta(=ta1)から目標イナーシャフェーズ開始時点tc(=tc1)までの期間、即ち、掛け替え制御目標時間T8と、自動変速モードにおける学習補正値Cdと、目標イナーシャフェーズ開始時点tc(=tc1)での分担トルク(締結側摩擦要素に要求される最小トルク)相当の油圧とから、以下の式(5)で表される。
B=(Cd/T8)×分担トルク相当の油圧 ・・・(5)
同様に、偏差Bは、マニュアル変速モードにおいて、解放側掛け替え制御開始時点ta(=ta1)から目標イナーシャフェーズ開始時点tc(=tc2)までの目標時間、即ち、掛け替え制御の目標時間T8’と、マニュアル変速モードにおける学習補正値Cm2と、目標イナーシャフェーズ開始時点tc(=tc2)での分担トルク相当の油圧とから、以下の式(6)でも表される。
B=(Cm2/T3’)×分担トルク相当の油圧 ・・・(6)
従って、マニュアル変速モードにおける学習補正値Cm2は、式(5),(6)から、
Cm2=(Cd×T8’)/T11 ・・・(7)
で表すことができる。
即ち、第二の補正値C2は、下記の式(8)によって算出することができる。
C2=Cd×(Tm(r)/Td(r))・・・(8)
Cd:自動変速モードにおける学習補正量
Tm(r):マニュアル変速モードにおいて、学習補正値を反映させることにより解放側掛け替え制御開始時点ta(=ta1)から目標イナーシャフェーズ開始時点tc(=tc2)までの目標時間T8’
Td(r):自動変速モードにおいて、学習補正値を反映させないことにより解放側掛け替え制御開始時点ta(=ta1)から目標イナーシャフェーズ開始時点tc1までの目標時間T3
ステップ5では、第一の補正値C1と第二の補正値C2との大小関係を比較して、値の大きい補正値を最終補正値として算出する。
即ち、第一の補正値C1が第二の補正値C2よりも大きい場合には、第一の補正値C1を最終補正値として算出し、第二の補正値C2が第一の補正値C1よりも大きい場合には、第
二の補正値C2を最終補正値として算出する。
これにより、第一の補正値C1が第二の補正値C2よりも大きい場合には、解放側掛け替え制御開始時点taは、基準値Tsと第一の補正値C1とに基づいて決定し、第二の補正値C2が第一の補正値C1よりも大きい場合には、解放側掛け替え制御開始時点taは、基準値Tsと第二の補正値C2とに基づいて決定する。
即ち、本形態では、図7(a)に示すように、解放側掛け替え制御開始時点taの、締結側摩擦要素における、予め想定していたずれ量と実際のずれ量との偏差Aに応じた第一の補正値C1を算出し、この第一の補正値C1と基準値Tsとに基づいて解放側掛け替え制御開始時期taを仮に決定した場合、自動変速モードからマニュアル変速モードに切り替わって締結側摩擦要素の油圧勾配RA2が異なる油圧勾配RA2’となっても、自動変速モードでの学習補正値Cdが反映されることになる。その結果、解放側掛け替え制御開始時点taは好適な時期となり、掛け替え制御中の締結側摩擦要素の容量と解放側摩擦要素の容量との和がエンジン2からの入力トルク(変速機入力トルク)に比べて十分なものとなることから、解放側掛け替え制御開始時点taの空吹き発生を防止することができる。
しかしながら、ここで算出した解放側掛け替え制御開始時点taにおけるずれ量のみを考慮したものであり、解放側掛け替え制御開始時点ta以降の経過を要件に含まない。このため、マニュアル変速モードに切り替わる等して、解放側摩擦要素の油圧勾配RB2が異なる油圧勾配RB2’で制御される場合、この解放側掛け替え制御開始時点ta以降の経過を考慮しないままで、解放側摩擦要素での掛け替え制御が開始されると、解放側摩擦要素の解放が相対的に早すぎて、変速中に空吹きが発生する可能性があり得る。また、締結側摩擦要素の締結が目標とするイナーシャフェーズを開始する所定のトルクに到達したにもかかわらず、解放側摩擦要素の解放が相対的に遅れる、所謂、インターロック傾向となることで、トルクフェーズが長引くことに伴い、大きなトルクの引き込みを生じさせる場合もあり得る。
これに対して、本形態では、図7(b)に示すように、解放側摩擦要素での掛け替え制御開始時点taよりも後の時点である、目標イナーシャフェーズ開始時点tc1での、解放側摩擦要素における、予め想定していたずれ量と実際のずれ量との偏差Bに応じた第二の補正値C2を算出する。この第二の補正値C2は、マニュアル変速モードに切り換えたこと等に起因して、解放側摩擦要素の油圧勾配RB2’が油圧勾配RB2と異なったとしても、この第二の補正値C2により修正されることになり、解放側掛け替え制御開始時点taは、例えば目標イナーシャフェーズ開始時点tcといった前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始よりも後の時点をも考慮されたものとなり、締結側摩擦要素の締結容量と解放側摩擦要素の締結容量とが変速機入力トルクと釣り合うこととなることから、掛け替え制御開始以降も空吹きやインターロックによる大きなトルクの引きが発生するといったことが防止され、狙い通りの変速を実行できる。
そこで、本形態では、第一の補正値C1と第二の補正値C2とを比較して、値の大きい補正値を、解放側掛け替え制御開始時点taを決定するための最終補正値とすることで、掛け替え変速開始時の空吹けの発生を更に効果的に防止つつ、掛け替え制御開始以降も空吹きやインターロックによる大きなトルクの引きが発生することも更に効果的に防止することができる。
また、本形態のように、マニュアル変速モードでの補正値を自動変速モードでの学習補正値に基づいて算出するようにしたので、締結側摩擦要素の油圧勾配と解放側摩擦要素の油圧勾配とが変速モード毎にそれぞれ異なるときも、各モード(油圧勾配)毎に当該モード専用の学習値を持つ必要はなくなり、自動変速機のコントローラ100の記憶容量を抑
制できる。
また、本形態は、第一の補正値C1を、式(4)によって算出する。この場合、一般的に学習頻度が低く精度の低いマニュアル変速モードにおいても、一般的に学習頻度が高く収束が早い自動変速モードで学習した学習補正値に基づいて補正値を算出するため、解放側摩擦要素への指示値を正確且つ容易に算出できる。
また、本形態は、第二の補正値C2を、式(8)によって算出する。この場合、一般的に学習頻度が低く精度の低いマニュアル変速モードにおいても、一般的に学習頻度が高く収束の早い自動変速モードで学習した学習補正値に基づいて補正値を算出するため、解放側摩擦要素への指示値を正確且つ容易に算出できる。
なお、本実施形態では、第二の補正値を算出するタイミングについて、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始時点t0よりも後の時点tbとして、自動変速モード及びマニュアル変速モードの目標イナーシャフェーズ開始時点tcとしているがこれに限られない。すなわち、解放側摩擦要素の油圧が第2勾配及び第4勾配で所定の油圧に低下した時点であればよく、この場合、第二の補正値C2は、以下の式で求めることができる。
C2=Cd×(Tm(r)/Td(r))
Cd:自動変速モードにおける学習補正量
Tm(r):マニュアル変速モードにおける解放側掛け替え制御開始時点から所定の油圧に低下するまでの目標時間
Td(r):自動変速モードにおける解放側掛け替え制御開始時点から所定の油圧に低下するまでの目標時間
また、本実施形態では、締結側摩擦要素の上昇勾配や解放側摩擦要素の低下勾配を変化する運転状態として、自動変速モードとマニュアル変速モードとについて説明してきたが、これに限定されないことは言うまでもない。
本発明が適用される自動変速機の構成を示すスケルトン図である。 同自動変速機の各変速段における各摩擦要素の作動状態を示す図である。 本発明の一形態である自動変速機の制御装置の要部の機能構成を模式的に示すブロック図である。 同形態にて、運転者がシフトレバー操作により自動変速モードを選択した状態で、運転者の意図によらないアップシフトが実行されるにあたっての、締結側摩擦要素及び解放側摩擦要素それぞれの制御内容を例示するフローチャートである。 図4のフローチャートに従い締結側摩擦要素及び解放側摩擦要素それぞれに発せられる指示値を時系列的に示すタイムチャートである。 本発明に従う油圧低下開始時期決定手段にて、解放側掛け替え制御開始時点taを決定するにあたり、マニュアル変速モードにおいて用いられる最終補正値を算出するためのフローチャートである。 (a),(b)はそれぞれ、同形態にて、解放側掛け替え制御開始時点taを決定するにあたり、第一の補正値C1の算出方法を説明するために例示される掛け替え制御のタイムチャート及び、第一の補正値C2の算出方法を説明するために例示される掛け替え制御のタイムチャートである。
符号の説明
1 自動変速機
2 エンジン
3 ロックアップ式トルクコンバータ
4 ダブルピニオン型遊星歯車機構
5 キャリア
6 内径側ピニオンギア
7 外径側ピニオンギア
8 変速機ケース
9 サンギア
10 リングギア
11 シングルピニオン型遊星歯車機構
12 キャリア
13 ピニオンギア
14 第1サンギア
15 第2サンギア
16 リングギア
17 出力ギア
18 シングルピニオン型遊星歯車機構
19 サンギア
20 リングギア
21 ピニオンギア
22 キャリア
23 カウンタシャフト
24 ディファレンシャルギア
31 車速センサ
32 スロットルセンサ
33 エンジン回転センサ
34 タービン回転センサ
35 インヒビタスイッチ
36 油温センサ
37a マニュアル変速モードスイッチ
37b アップシフトスイッチ
37c ダウンシフトスイッチ
41 第1圧力スイッチ
42 第2圧力スイッチ
43 第3圧力スイッチ
44 第4圧力スイッチ
45 第5圧力スイッチ
100 A/Tコントロールユニット
101 目標変速段決定手段
102 変速制御手段
103 第1変速制御手段
104 第2変速制御手段
105 油圧低下開始時期決定手段
110 イナーシャフェーズ開始検知手段
B ベアリング
S1 第1デューティソレノイド
S2 第2デューティソレノイド
S3 第3デューティソレノイド
S4 第4デューティソレノイド
S5 第5デューティソレノイド
2-6/B 2−6ブレーキ
3-5R/C 3−5リバースクラッチ
L/C ロークラッチ
H/C ハイクラッチ
LR/B ローアンドリバースブレーキ
L/OWC ローワンウェイクラッチ

Claims (3)

  1. 指示値に追従する実際の油圧の増減によって締結及び解放が制御される複数の摩擦要素のうち、締結を要する摩擦要素を締結側摩擦要素として、その実際の油圧を第一の勾配で増加させるように前記指示値を増加させると共に、解放を要する摩擦要素を解放側摩擦要素として、その実際の油圧を第二の勾配で低下させるように前記指示値を低下させる掛け替え制御を実行することにより、所望の変速を実行させる変速制御手段と、
    前記締結側摩擦要素に対する前記解放側摩擦要素の掛け替え制御の開始を指示する時期を、所定の基準値と学習補正値とに基づいて決定する油圧低下開始時期決定手段と、
    掛け替え制御中の駆動源の空吹けを検知する空吹け検知手段と、
    該空吹け検知手段の検知結果に基づいて、前記学習補正値を修正する学習補正値制御手段とを備える自動変速機の変速制御装置において、
    前記指示値と実際の油圧との間の差をずれ量と定義したとき、
    前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点の前記締結側摩擦要素における、予め想定していたずれ量と実際のずれ量との偏差に応じた第一の補正値を、前記学習補正値に基づいて算出する第一の補正値算出手段と、
    前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始よりも後の時点の前記解放側摩擦要素における、予め想定していたずれ量と実際のずれ量との偏差に応じた第二の補正値を、前記学習補正値に基づいて算出する第二の補正値算出手段と、を設け、
    前記油圧低下開始時期決定手段は、前記締結側摩擦要素を前記第一の油圧勾配とは異なる第三の油圧勾配で増加させるとき、又は前記解放側摩擦要素を前記第二の油圧勾配とは異なる第四の油圧勾配で低下させるときには、前記基準値と最終補正値とに基づいて前記開始を指示する時期を決定し、さらに、
    該最終補正値を、前記前記第一の補正値と前記第二の補正値とのうち、値の大きい方を当該最終補正値として決定すること、
    を特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1において、車速と駆動源の負荷又はアクセル開度とに応じた予定の自動変速パターンに基づいて目標変速段を決定し、該目標変速段への変速を実行させる自動変速モードと、運転者が第1の操作手段を操作することにより目標変速段を決定し、該目標変速段への変速を実行させるマニュアル変速モードとを備え、
    前記油圧低下開始時期決定手段は、前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期について、前記自動変速モード選択時には前記基準値と前記学習補正値とに基づいて決定し、前記マニュアルモード選択時には前記基準値と前記最終補正値とに基づいて決定し、更に、
    前記第一の補正値C1を、
    C1=Cd×(Td(c)/Tm(c))
    Cd:自動変速モードにおける学習補正値
    Td(c):自動変速モードにおいて、締結側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点からイナーシャフェーズが開始されるまでの目標時間
    Tm(c):マニュアル変速モードにおいて、締結側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点からイナーシャフェーズが開始されるまでの目標時間
    によって算出することを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  3. 請求項1又は2において、車速と駆動源の負荷又はアクセル開度とに応じた予定の自動変速パターンに基づいて目標変速段を決定し、該目標変速段への変速を実行させる自動変速モードと、運転者が第1の操作手段を操作することにより目標変速段決定し、該目標変速段への変速を実行させるマニュアル変速モードとを備え、
    前記油圧低下開始時期決定手段は、前記解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時期について、前記自動変速モード選択時には前記基準値と前記学習補正値とに基づいて決定し、前記マニュアルモード選択時には前記基準値と前記最終補正値とに基づいて決定し、更に、
    前記第二の補正値C2を、
    C2=Cd×(Tm(r)/Td(r))
    Cd:自動変速モードにおける学習補正値
    Tm(r):マニュアル変速モードにおいて、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点から解放側摩擦要素の油圧が所定油圧へ低下するまでの目標時間
    Td(r):自動変速モードにおいて、解放側摩擦要素での掛け替え制御の開始を指示する時点から解放側摩擦要素の油圧が所定油圧へ低下するまでの目標時間
    によって算出することを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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