JP2011180291A - 平版印刷版の作製方法及び平版印刷版原版用現像液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】親水性支持体上に、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)増感色素及び(D)バインダーポリマーを含有する感光層と保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、レーザー露光した後、現像液の存在下に保護層及び非露光部の感光層を除去する平版印刷版の作製方法であって、前記現像液が、両性イオン系界面活性剤及びアルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤を含有するpHが2以上10未満の現像液であることを特徴とする平版印刷版の作製方法。
【選択図】なし
Description
平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(感光層、画像記録層とも称する)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する製版方法により平版印刷版を得ている。
特に、近年、地球環境への配慮から現像処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、現像液の低アルカリ化、処理工程の簡素化は、安全性、地球環境への配慮、省スペース化、低ランニングコストなどの観点から、従来にも増して強く望まれるようになってきている。
この問題に対応するため、pH2〜10の両性界面活性剤を含む現像液を用いて平版印刷版を作製する方法が提案されている(特許文献2〜4参照)。しかしながら、この方法は現像性において充分でなく、印刷汚れを生じる問題は解決されていない。
(1)親水性支持体上に、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)増感色素及び(D)バインダーポリマーを含有する感光層と保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、レーザー露光した後、現像液の存在下に保護層及び非露光部の感光層を除去する平版印刷版の作製方法であって、前記現像液が、両性イオン系界面活性剤及びアルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤を含有するpHが2以上10未満の現像液であることを特徴とする平版印刷版の作製方法。
(2)前記両性イオン系界面活性剤が下記一般式(1)又は(2)で表される両性イオン系界面活性剤の少なくとも1つであることを特徴とする上記(1)に記載の平版印刷版の作製方法。
(3)前記アルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤が、下記一般式(3)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤の少なくとも1つであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の平版印刷版の作製方法。
X−Y−O−(A)n−(B)m−H (3)
式(3)中、Xは芳香族基を表し、Yは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、A及びBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、n及びmは各々0〜100の整数を表す。但しn及びmの和は2以上である。
(5)前記pH緩衝剤が、炭酸イオン及び炭酸水素イオンであることを特徴とする上記(4)に記載の平版印刷版の作製方法。
(6)前記pH緩衝剤が、水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオンであることを特徴とする上記(4)に記載の平版印刷版の作製方法。
(7)前記現像液が、更に、水溶性高分子を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
(9)前記(D)バインダーポリマーが、酸基を有するポリウレタン樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
(10)前記感光層中に含有される(D)バインダーポリマーの質量に対する(B)重合性化合物の質量の比が、1.25〜4.5であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
(11)上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法であって、水洗工程を含まないことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
X−Y−O−(A)n−(B)m−H (3)
式(3)中、Xは芳香族基を表し、Yは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、A及びBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、n及びmは各々0〜100の整数を表す。但しn及びmの和は2以上である。
(14)前記pH緩衝剤が、炭酸イオン及び炭酸水素イオンであることを特徴とする上記(13)に記載の平版印刷版原版用現像液。
(15)前記pH緩衝剤が、水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオンであることを特徴とする上記(13)に記載の平版印刷版原版用現像液。
(16)前記現像液が、更に、水溶性高分子を含有することを特徴とする上記(12)〜(15)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版用現像液。
更に、本発明の好ましい態様である水洗工程を必要としない1液1工程の簡易処理においては、未露光部の感光層成分に加え、保護層成分が現像液に溶解、分散する必要があるため、現像カスの抑制がより困難となるが、本発明に係る現像液は、この態様においても良好な結果を示す。
[平版印刷版原版]
本発明に係る平版印刷版原版は、親水性支持体上に、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)増感色素及び(D)バインダーポリマーを含有する感光層と保護層とをこの順に有することを特徴としている。
感光層は重合開始剤(以下、開始剤化合物とも称する)を含有する。本発明においては、ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物は、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素と併用して用いることが特に好ましい。
オニウム塩化合物は、750〜1400nmに極大吸収を有する赤外線吸収剤と併用して用いることが特に好ましい。
感光層中の重合開始剤の使用量は感光層全固形分対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは1.0質量%〜10質量%である。
感光層は重合性化合物を含有する。重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報等に記載されている。
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
感光層は増感色素を含有する。増感色素は、画像露光時の光を吸収して励起状態となり、重合開始剤に電子移動、エネルギー移動又は発熱などでエネルギーを供与し、重合開始機能を向上させるものであれば特に限定せず用いることができる。特に、300〜450nm又は750〜1400nmに極大吸収を有する増感色素が好ましく用いられる。
し、Xは酸素原子、硫黄原子又は=N(R3)をあらわす。R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、1価の非金属原子団を表し、AとR1又はR2とR3はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Za −は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa −は必要ない。好ましいZa −は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン及びアリールスルホン酸イオンである。
感光層はバインダーポリマーを含有する。バインダーポリマーとしては、感光層成分を支持体上に担持可能であり、現像液により除去可能であるものが用いられる。バインダーポリマーとしては、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。特に、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル系重合体の酸価は、10〜250mg−KOH/gであることが好ましい。
本発明におけるポリビニルブチラール樹脂の好適な一例としては、特開2001−75279号の段落番号〔0006〕〜〔0013〕に記載のポリビニルブチラール樹脂を挙げることができる。
本発明に係る現像液に含有される両性イオン系界面活性剤との相互作用性が高いウレタン結合を有しているポリウレタン樹脂が、本発明の効果を有効に発現するうえで特に好ましい。
バインダーポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、感光層の全固形分に対して、5〜75質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%であるのが更に好ましい。
また、重合性化合物及びバインダーポリマーの合計含有量は、感光層の全固形分に対して、90質量%以下であることが好ましい。90質量%を超えると、感度の低下、現像性の低下を引き起こす場合がある。より好ましくは35〜80質量%である。
感光層には、更に、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、現像性の促進及び塗布面状を向上させるための界面活性剤、現像性と耐刷性両立の為のマイクロカプセル、現像性の向上やマイクロカプセルの分散安定性向上などのための親水性ポリマー、画像部と非画像部を視認するための着色剤や焼き出し剤、感光層の製造中又は保存中のラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するための重合禁止剤、酸素による重合阻害を防止するための高級脂肪誘導体などの疎水性低分子化合物、画像部の硬化皮膜強度向上のための無機微粒子や有機微粒子、現像性向上のための親水性低分子化合物、感度向上のための共増感剤、可塑性向上のための可塑剤等が挙げられる。これらの添加剤はいずれも公知のもの、例えば、特開2007−206217号の段落番号〔0161〕〜〔0215〕、特表2005−509192号の段落番号〔0067〕、特開2004−310000号の段落番号〔0023〕〜〔0026〕及び〔0059〕〜〔0066〕に記載の化合物を使用することができる。界面活性剤については、後述の現像液に添加してもよい界面活性剤を使用することもできる。
感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。使用する溶剤としては、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、γ−ブチルラクトン等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。溶剤は単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明に係る平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)が設けられる。保護層の材料としては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中で、比較的結晶性に優れた水溶性ポリマーを用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に最も良好な結果を与える。
平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。特に、アルミニウム板が好ましい。アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。これらの処理については、特開2007−206217号の段落番号〔0241〕〜〔0245〕に記載の方法を好ましく用いることができる。
支持体の色濃度は、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
支持体の厚さは、0.1〜0.6mmが好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが更に好ましい。
平版印刷版原版においては、非画像部の親水性を向上させ印刷汚れを防止するために、支持体表面の親水化処理を行う又は支持体と感光層との間に下塗り層を設けることも好適である。
溶液に浸漬処理する方法が好ましく用いられる。
これらの化合物は低分子化合物でも高分子ポリマーであってもよい。これらの化合物は必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
必要に応じて、支持体の裏面(感光層と反対側の面)にバックコートを設けることができる。バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物からなる層、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
[平版印刷版の作製方法]
本発明に係る平版印刷版原版を、画像露光して現像処理を行うことで平版印刷版が作製される。
平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。
光源の波長は300〜450nm又は750〜1400nmが好ましい。300〜450nmの場合は、この領域に吸収極大を有する増感色素を感光層に有する平版印刷版原版が用いられ、750〜1400nmの場合は、この領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版が用いられる。300〜450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。750〜1400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
本発明の平版印刷版の作製方法における現像処理は、両性イオン系界面活性剤及びアルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤を含有するpHが2以上10未満の現像液を用いて行うことを特徴としている。
即ち、本発明の平版印刷版の作製方法によれば、上記現像処理により、保護層及び非露光部の感光層を一括除去することができる。また、現像処理後は、直ちに印刷機にセットして印刷することができる。
アルカリ現像液を用いた従来の現像処理においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを水洗除去し、ガム液処理を行い、乾燥工程で乾燥することが必要である。これに対して、本発明に係る現像処理では、保護層も同時に除去されるため、前水洗工程を必要としない。また、現像液中に、必要により、水溶性高分子化合物を含有させることにより、現像及びガム液処理工程を同時に行うこともできる。よって後水洗工程は特に必要とせず、1液1工程で現像とガム液処理を行ったのち、乾燥工程を行うことができる。現像処理の後、スクイズローラーを用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
回転ブラシロールは2本以上が好ましい。更に自動現像処理機は現像処理手段の後に、スクイズローラー等の余剰の現像液を除去する手段や、温風装置等の乾燥手段を備えていることが好ましい。また、自動現像処理機は現像処理手段の前に、画像露光後の平版印刷版原版を加熱処理するための前加熱手段を備えていてもよい。
このような自動現像処理機での処理は、いわゆる機上現像処理の場合に生ずる保護層/感光層に由来の現像カスへの対応から開放されるという利点がある。
図1に示す自動現像処理機100は、機枠202により外形が形成されたチャンバーからなり、平版印刷版原版の搬送路11の搬送方向(矢印A)に沿って連続して形成された前加熱(プレヒート)部200、現像部300及び乾燥部400を有している。
前加熱部200は、搬入口212及び搬出口218を有する加熱室208を有し、その内部には串型ローラー210とヒーター214と循環ファン216とが配置されている。
現像部300の内部には、現像液で満たされている現像槽308を有する処理タンク306と、平版印刷版原版を処理タンク306内部へ案内する挿入ローラー対304が設けられている。現像槽308の上部は遮蔽蓋324で覆われている。
ブラシローラー対322,326の下部には、スプレーパイプ330が設けられている。スプレーパイプ330はポンプ(不図示)が接続されており、ポンプによって吸引された現像槽308内の現像液がスプレーパイプ330から現像槽308内へ噴出するようになっている。
外部タンク50は第2の循環用配管C2が接続され、第2の循環用配管C2中には、フィルター部54及び現像液供給ポンプ55が設けられている。現像液供給ポンプ55によって、現像液が外部タンク50から現像槽308へ供給される。また、外部タンク50内には上限液レベル計52、下限液レベル計53が設けられている。
現像槽308は、第3の循環用配管C3を介して補充用水タンク71に接続されている。第3の循環用配管C3中には水補充ポンプ72が設けられており、この水補充ポンプ72によって補充用水タンク71中に貯留される水が現像槽308へ供給される。
液中ローラー対316の上流側には液温センサ336が設置されており、搬出ローラー対318の上流側には液面レベル計338が設置されている。
乾燥部400は、支持ローラー402、ダクト410,412、搬送ローラー対406、ダクト410,412、搬送ローラー対408がこの順に設けられている。ダクト410,412の先端にはスリット孔414が設けられている。また、乾燥部400には図示しない温風供給手段、発熱手段等の乾燥手段が設けられている。乾燥部400には排出口404が設けられ、乾燥手段により乾燥された平版印刷版は排出口404から排出される。
R2、R3、R12及びR13は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はエチレンオキサイド基を含有する基を表す。
R4及びR14は、各々独立に、単結合又はアルキレン基を表す。
また、R1、R2、R3及びR4のうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよく、R11、R12、R13及びR14のうち2つの基は互いに結合して環構造を形成してもよい。
R3又はR13で表されるエチレンオキサイドを含有する基としては、−Ra(CH2CH2O)nRbで表される基を挙げることができる。ここで、Raは単結合、酸素原子又は2価の有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、Rbは水素原子又は有機基(好ましくは炭素数10以下)を表し、nは1〜10の整数を表す。
一般式(1)で表される化合物又は一般式(2)で表される化合物は、アミド結合を有することが好ましく、R1又はR11の連結基としてアミド結合を有することがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物又は一般式(2)で表される化合物の代表的な例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
両性イオン系界面活性剤は現像液中に、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
式(3)中、Xは芳香族基を表し、Yは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、A及びBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、n及びmは各々0〜100の整数を表し、但しn及びmの和は2以上である。
n及びmの和は4〜100が好ましく、6〜50がより好ましく、8〜30が更に好ましく、10〜28が特に好ましい。
tが2であり、R10が炭素数1〜100の有機基であるとき、R10は同一でも異なっていてもよく、あるいはR10が一緒になって環を構成していてもよく、また、uが2であり、R20が炭素数1〜100の有機基であるとき、R20は同一でも異なっていてもよく、あるいはR20が一緒になって環を構成していてもよい。
両性イオン系界面活性剤とアルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤の混合比率は、特に限定されないが、質量比(両性イオン系界面活性剤の総量とアルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤の総量の質量比)が、好ましく5:95〜95:5、更に好ましくは10:90〜90:10、特に好ましくは30:70〜70:30である。
上記添加量において、現像性及び感光層成分の溶解性あるいは分散性が良好であり、かつ、印刷時の耐汚れ性と耐刷性が良好であるという本発明の効果がより顕著に発揮される。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N、N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類、フッ素系又はシリコン系ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、例えば、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルプロピルセルロース等)及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、澱粉誘導体(例えば、デキストリン、マルトデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉酵素分解デキストリン、カルボキジメチル化澱粉、リン酸化澱粉、サイクロデキストリン等)、プルラン及びその誘導体等が挙げられる。
なかでも、アラビアガム、デキストリンやヒドロキシプロピル澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類などを好ましく使用することができる。
水溶性高分子化合物の現像液中の含有量は、0.05〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
水溶性のアミン化合物は、特に限定されないが、水溶性を促進する基を有する水溶性のアミン化合物が好ましい。水溶性を促進する基としてカルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、水酸基などが挙げられる。水溶性のアミン化合物は、水溶性を促進する基を複数有していてもよい。また、カルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基は塩構造になっていてもよい。なかでも、水酸基を有するアミン化合物が特に好ましい。
カルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基を持つ水溶性のアミン化合物の具体例としては、グリシン、アミノ二酢酸、リシン、スレオニン、セリン、アスパラギン酸、パラヒドロキシフェニルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アラニン、アントラニル酸、トリプトフアン等のアミノ酸、スルフアミン酸、シクロヘキシルスルフアミン酸、タウリン等の脂肪酸アミンスルホン酸、アミノエタンスルフィン酸等の脂肪酸アミンスルフィン酸及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、グリシン、アミノ二酢酸及びその塩が好ましい。
アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの組み合わせなどを用いることができる。酸としては、無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸、燐酸などを用いることができ、特に塩酸、燐酸が好ましい。このようなアルカリ又は酸を添加することにより、pHを微調整することができる。
(1)平版印刷版原版の作製
<支持体1の作製>
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。このアルミニウム板を25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を0.3質量%の塩酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dm2の条件下に交流電流により60秒間電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。このアルミニウム板を15%硫酸水溶液溶液中で、25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、更に1%ポリビニルホスホン酸水溶液に60℃で10秒間浸漬した後、20℃でカルシウムイオン濃度が75ppmの硬水、次いで、純水で各4秒間洗浄し、乾燥して親水化処理を行い支持体1を作製した。カルシウムの付着量は、2.0mg/m2であった。支持体の表面粗さを測定したところ、0.44μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を10質量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で25秒間浸漬してエッチングし、流水で水洗後、20質量%硝酸水溶液で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後、30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中で、電流密度2A/dm2の条件で陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように2分間陽極酸化処理した。更に1%ポリビニルホスホン酸水溶液に60℃で10秒間浸漬した後、20℃でカルシウムイオン濃度が75ppmの硬水、次いで、純水で各4秒間洗浄し、乾燥して親水化処理を行い支持体2を作製した。カルシウムの付着量は、1.8mg/m2であった。支持体の表面粗さを測定したところ、0.28μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を10質量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で25秒間浸漬してエッチングし、流水で水洗後、20質量%硝酸水溶液で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後、30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中で、電流密度2A/dm2の条件で陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように2分間陽極酸化処理した。このように処理されたアルミニウム板の表面粗さを測定したところ、0.28μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
<下塗り層塗布液(1)>
・下記下塗り化合物(1)(質量平均分子量:5万) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
・下記下塗り化合物(2)(質量平均分子量:2万) 0.026g
・メタノール 5.00g
・水 5.00g
支持体上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層1を形成した。
・下記バインダーポリマー(1)(質量平均分子量:5万) 0.34g
・下記重合性化合物(1) 0.68g
(PLEX6661−O、デグサジャパン製)
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(1) 0.18g
・下記連鎖移動剤(1) 0.02g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(質量平均分子量:6万、共重合モル比:83/17)):10質量部、
シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記フッ素系界面活性剤(1)(質量平均分子量:1万) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.02g
((株)ADEKA製、プルロニックL44)
・黄色顔料の分散物 0.04g
(黄色顔料Novoperm Yellow H2G(クラリアント製)
:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(質量平均分子量:6万、共重合モル比83/17)):10質量部、
シクロヘキサノン:15質量部)
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
支持体上に、下記組成の感光層塗布液(2)をバー塗布した後、125℃で34秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.4g/m2の感光層2を形成した。
・下記赤外線吸収剤(IR−1) 0.038g
・下記重合開始剤(S−1) 0.061g
・下記重合開始剤(I−1) 0.094g
・上記連鎖移動剤(1) 0.015g
・下記エチレン性不飽和化合物(M−1) 0.425g
(A−BPE−4、新中村化学工業(株))
・下記バインダーポリマー(B−1)(質量平均分子量:11万)0.311g
・下記バインダーポリマー(B−2)(質量平均分子量:10万)0.250g
・下記バインダーポリマー(B−3)(質量平均分子量:12万)0.062g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.010g
(プルロニックL44、(株)ADEKA製)
・下記添加剤(T−1) 0.079g
・下記重合禁止剤(Q−1) 0.0012g
・下記エチルバイオレット(EV−1) 0.021g
・上記フッ素系界面活性剤(1)(質量平均分子量:1万) 0.0081g
・メチルエチルケトン 5.886g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
支持体上に、下記組成の感光層塗布液(3)をバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層3を形成した。
<感光層塗布液(3)>
・上記バインダーポリマー(1)(質量平均分子量:5万) 0.04g
・下記バインダーポリマー(2)(質量平均分子量:8万) 0.30g
・上記重合性化合物(1) 0.17g
(PLEX6661−O、デグサジャパン製)
・下記重合性化合物(2) 0.51g
・下記増感色素(2) 0.03g
・下記増感色素(3) 0.015g
・下記増感色素(4) 0.015g
・上記重合開始剤(1) 0.13g
・連鎖移動剤:メルカプトベンゾチアゾール 0.01g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(質量平均分子量:6万、共重合モル比:83/17)):10質量部、
シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記フッ素系界面活性剤(1)(質量平均分子量:1万) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
支持体上に、下記組成の感光層塗布液(4)をバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層4を形成した。
<感光層塗布液(4)>
・上記バインダーポリマー(B−3) 0.34g
・上記重合性化合物(1) 0.68g
(PLEX6661−O、デグサジャパン製)
・上記増感色素(1) 0.06g
・上記重合開始剤(1) 0.18g
・上記連鎖移動剤(1) 0.02g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(質量平均分子量:6万、共重合モル比:83/17)):10質量部、
シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・上記フッ素系界面活性剤(1)(質量平均分子量:1万) 0.001g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
感光層塗布液(4)において、バインダーポリマー(B−3)の添加量を0.408gに、重合性化合物(1)の添加量を0.612gに変えて感光層塗布液(5)を作製し、支持体上にバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層5を形成した。
感光層塗布液(4)において、バインダーポリマー(B−3)の添加量を0.291gに、重合性化合物(1)の添加量を0.729gに変えて感光層塗布液(6)を作製し、支持体上にバー塗布した後、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層6を形成した。
感光層上に、下記組成の保護層塗布液(1)を、乾燥塗布量が1.5g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して保護層1を形成した。
<保護層塗布液(1)>
・下記雲母分散液(1) 0.6g
・スルホン酸変性ポリビニルアルコール 0.8g
(ゴーセランCKS−50、日本合成化学(株)製、鹸化度:
99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%)
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1)) 0.001g
(質量平均分子量:7万)
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)0.002g
・水 13g
水368gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)の32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を得た。
感光層上に、下記組成の保護層塗布液(2)を、乾燥塗布量が1.2g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して保護層2を形成した。
・PVA−205 0.658g
(部分加水分解ポリビニルアルコール、クラレ(株)製、
鹸化度=86.5−89.5モル%、粘度=4.6−5.4mPa・s
(20℃、4質量%水溶液中))
・PVA−105 0.142g
(完全加水分解ポリビニルアルコール、クラレ(株)製、
鹸化度=98.0−99.0モル%、粘度=5.2−6.0mPa・s
(20℃、4質量%水溶液中))
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1)) 0.001g
(質量平均分子量:7万)
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)0.002g
・水 13g
(2)露光、現像処理及び印刷
平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd.製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)を用いて画像露光を行った。画像露光は、解像度2438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA20)を用い、50%の平網を版面露光量0.05mJ/cm2で実施した。
次いで、表1に示す組成(各成分の含有量はg単位で表示)及びpHの現像液1〜16を表2に示すように各々用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、プレヒート部での版面到達温度が100℃となるヒーター設定及び現像液中への浸漬時間(現像時間)が20秒となる搬送速度にて現像処理を実施し平版印刷版を作製した。
各々の平版印刷版原版について、現像性、処理性、印刷汚れ性及び耐刷性を以下のように評価した。
<現像性>
各々の平版印刷版原版を上記の通り露光、現像処理を行い、得られた平版印刷版の非画像部における感光層の残存を目視確認し、現像性の評価を行った。評価は、以下の基準で実施した。
感光層の残存なく良好な現像性:○、極わずかな感光層の残存あるが現像性に問題なし:○△、わずかな感光層の残存あるが現像性に問題なし:△、感光層が残存し、現像性不良:×
上記の通り自動現像処理機で、各々の平版印刷版原版を1000m2現像処理した後に、自動現像処理機の槽内に発生したカス(現像液の表面に浮遊あるいは、槽壁やローラー等の部材に付着したオイル状又は固形状のカス)の状況を観察した。評価は、以下の規準で実施した。
カスの発生がない場合:○、カス発生はわずかに認められるが、現像処理した平版印刷版の表面にカスが付着しない場合:○△、カス発生は認められるが、現像処理した平版印刷版の表面にカスがほとんど付着しない場合:△、カスの発生が顕著であり、現像処理した平版印刷版の表面にカスが付着した場合:×
各々の平版印刷版原版を1000m2現像処理した現像液を用いて上記の通り作製した平版印刷版を用いて上記の通り印刷を行い、1000枚目の印刷物において、非画像部の汚れ性を評価した。評価は、以下の基準で実施した。
非画像部にインキ汚れがない場合:○、非画像部にインキ汚れがある場合:×
印刷枚数を増やしていくと徐々に平版印刷版上に形成された感光層の画像が磨耗しインキ受容性が低下するため、これに伴い、印刷用紙における画像のインキ濃度が低下する。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。
FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)の半導体レーザーを出力100mWの半導体レーザーに載せ変え、実施例8で使用した平版印刷版原版を版面露光量0.25mJ/cm2で画像露光した。次いで、現像液3用い、図1に示す構造の自動現像処理機のプレヒート部のヒーターをオフにして(即ち、プレヒートを行わずに)、現像処理を実施した。これ以外は、実施例8と同様にして、現像性、処理性、印刷汚れ性及び耐刷性の評価を実施した。評価結果は、現像性:○、処理性:○、印刷汚れ性:○、耐刷性:28万枚であった。
支持体4、感光層2、保護層1の組み合わせにより作製された平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter3244VX(水冷式40W赤外線半導体レーザー(830nm)搭載)にて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2、400dpiの条件で50%平網の画像露光を行った。次いで、現像液3を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、プレヒート部での版面到達温度が100℃となるヒーター設定、現像液中への浸漬時間(現像時間)が20秒となる搬送速度にて現像処理を実施した。次いで、得られた平版印刷版を実施例8と同様にして、現像性、処理性、印刷汚れ性及び耐刷性の評価を実施した。評価結果は、現像性:○、処理性:○、印刷汚れ性:○、耐刷性:20万枚であった。
200:前加熱(プレヒート)部
300:現像部
400:乾燥部
202:機枠
208: 加熱室
210:串型ローラー
212:搬入口
214:ヒーター
216:循環ファン
218:搬出口
302:挿入部
304:挿入ローラー対
306:処理タンク
308:現像槽
310:外板パネル
312:スリット状挿入口
316:液中ローラー対
318:搬出ローラー対
322:ブラシローラー対
324:遮蔽蓋
326:ブラシローラー対
330:スプレーパイプ
332:仕切り版
334:スリット状挿通口
336:液温センサー
338:液面レベル計
332:仕切り板
342:ガイド部材
344:ガイドローラー
402:支持ローラー
404:排出口
406:搬送ローラー対
408:搬送ローラー対
410:ダクト
412:ダクト
414:スリット孔
50:外部タンク
51:オーバーフロー口
52:上限液レベル計
53:下限液レベル計
54:フィルター部
55:現像液供給ポンプ
C1:第1の循環用配管
C2:第2の循環用配管
71:補充用水タンク
72:水補充ポンプ
C3:第3の循環用配管
Claims (16)
- 親水性支持体上に、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)増感色素及び(D)バインダーポリマーを含有する感光層と保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、レーザー露光した後、現像液の存在下に保護層及び非露光部の感光層を除去する平版印刷版の作製方法であって、前記現像液が、両性イオン系界面活性剤及びアルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤を含有するpHが2以上10未満の現像液であることを特徴とする平版印刷版の作製方法。
- 前記両性イオン系界面活性剤が下記一般式(1)又は(2)で表される両性イオン系界面活性剤の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記アルキレンオキサイド鎖を有するノニオン系界面活性剤が、下記一般式(3)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版の作製方法。
X−Y−O−(A)n−(B)m−H (3)
式(3)中、Xは芳香族基を表し、Yは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、A及びBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、n及びmは各々0〜100の整数を表す。但しn及びmの和は2以上である。 - 前記現像液が、更に、pH緩衝剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記pH緩衝剤が、炭酸イオン及び炭酸水素イオンであることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記pH緩衝剤が、水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオンであることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記現像液が、更に、水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記(B)重合性化合物が、ウレタン結合又はウレア結合を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記(D)バインダーポリマーが、酸基を有するポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記感光層中に含有される(D)バインダーポリマーの質量に対する(B)重合性化合物の質量の比が、1.25〜4.5であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
- 前記請求項1〜10のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法であって、水洗工程を含まないことを特徴とする平版印刷版の作製方法。
- 下記一般式(1)又は(2)で表される両性イオン系界面活性剤と下記一般式(3)で表されるノニオン芳香族エーテル系界面活性剤を含有するpH2以上10未満の平版印刷版原版用現像液。
X−Y−O−(A)n−(B)m−H (3)
式(3)中、Xは芳香族基を表し、Yは単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、A及びBは互いに異なる基であって、−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、n及びmは各々0〜100の整数を表す。但しn及びmの和は2以上である。 - 前記現像液が、更に、pH緩衝剤を含有することを特徴とする請求項12に記載の平版印刷版原版用現像液。
- 前記pH緩衝剤が、炭酸イオン及び炭酸水素イオンであることを特徴とする請求項13に記載の平版印刷版原版用現像液。
- 前記pH緩衝剤が、水溶性のアミン化合物及びそのアミン化合物のイオンであることを特徴とする請求項13に記載の平版印刷版原版用現像液。
- 前記現像液が、更に、水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の平版印刷版原版用現像液。
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