JP2011165396A - アクティブ駆動型有機電界発光素子の隔壁用感光性組成物およびアクティブ駆動型有機電界発光表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性バインダー、撥液剤、および界面活性剤を含有するアクティブ駆動型有機電界発光素子の有機層を区画する断面順テーパ状撥液性隔壁を形成するために用いられる隔壁用感光性組成物であって、アルカリ可溶性バインダーが側鎖にエチレン性不飽和基を有する、撥液剤が側鎖にエチレン性不飽和基を有するフッ素系化合物であり、界面活性剤が、フッ素系界面活性剤および/またはシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする、アクティブ駆動型有機電界発光素子の隔壁用感光性組成物。
【選択図】 なし
Description
一方、ディスプレイ市場では、色再現性に優れた有機EL素子を用いたTV、TV機能を有する携帯電話など、大型画面、高解像、高速動画特性などを必要とする新しいディスプレイの要求から、平面陰極と微小マトリックス型陽極に挟まれたEL層構造と、その両極間にTFTを設け、TFTにより各微小素子をオン/オフさせるアクティブ駆動型有機EL素子が注目され始めている。そして、この方法においては、平面陰極の断線等を防止するために、隔壁は断面が順テーパ状であることが要求されている。
本発明のアクティブ駆動型有機EL素子の隔壁用感光性組成物は、(A)成分;エチレン性不飽和化合物、(B)成分;光重合開始剤、(C)成分;アルカリ可溶性バインダー、および(D)成分;撥液剤、(E)成分;界面活性剤を含有するアクティブ駆動型有機電界発光素子の有機層を区画する断面順テーパ状撥液性隔壁を形成するために用いられる隔壁用感光性組成物であって、(C)成分のアルカリ可溶性バインダーが側鎖にエチレン性不飽和基を有する, (D)成分の撥液剤が側鎖にエチレン性不飽和基を有するフッ素系化合物であり、(E)成分の界面活性剤が、フッ素系界面活性剤および/またはシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする。
本発明のアクティブ駆動型有機EL素子の隔壁用感光性組成物を構成する成分およびその組成について説明する。
本発明のアクティブ駆動型有機EL素子の隔壁用感光性組成物(以下、単に「感光性組成物」という場合がある)は、少なくとも、(A)成分;エチレン性不飽和化合物、(B)成分;光重合開始剤、(C)成分;アルカリ可溶性バインダー、(D)成分;撥液剤、及び(E)成分:界面活性剤を含有する。通常は、さらに溶剤も含有する。また、本発明の隔壁用感光性組成物は、撥液性の隔壁を形成するために用いられるため、撥液剤を含有するが、前記(A)〜(C)成分のエチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性バインダーなどが、撥液剤としての作用を示すものであってもよい。
本発明の隔壁用感光性組成物は、エチレン性不飽和化合物を含有する。ここで使用されるエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味するが、重合性、架橋性、およびそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来す
る(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレンなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、具体的には以下の化合物が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価アルコールとの反応物;多価アルコールは具体的には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(付加数2〜14)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(付加数2〜14)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物との反応物;多価アルコールは上記と同じ。アルキレンオキサイド付加物とは具体的にはエチレンオキサイド付加物、またはプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
不飽和カルボン酸とアルコールアミンとの反応物;アルコールアミン類とは具体的にはジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類としては、下記一般式(Ia)、(Ib)、または(Ic)で表されるものが好ましい。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェートなどの芳香族ポリイソシアネート、イソシアヌレートなどの複素環式ポリイソシアネート、などのポリイソシアネート化合物との反応物などが挙げられる。このようなウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、新中村化学社製商品名「U−4HA」、「UA−306A」、「UA−MC340H」、「UA−MC340H」、「U6LPA」などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、または前記の如きヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、(ポリ)エチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ペンタメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソルビトールポリグリシジルエーテルなどの脂肪族ポリエポキシ化合物、フェノールノボラックポリエポキシ化合物、ブロム化フェノールノボラックポリエポキシ化合物、(o−,m−,p−)クレゾールノボラックポリエポキシ化合物、ビスフェノールAポリエポキシ化合物、ビスフェノールFポリエポキシ化合物などの芳香族ポリエポキシ化合物、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの複素環式ポリエポキシ化合物、などのポリエポキシ化合物との反応物などが挙げられる。
その他のエチレン性不飽和化合物として、前記以外に、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルフォルムアミドなどのビニルアミド類、フタル酸ジアリルなどのアリルエステル類、ジビニルフタレートなどのビニル基含有化合物類、エーテル結合含有エチレン性不飽和化合物のエーテル結合を5硫化燐などにより硫化してチオエーテル結合に変えることにより架橋速度を向上せしめたチオエーテル結合含有化合物類、および、例えば、特開平5−287215号公報および特開平9−100111号公報などに記載の、多官能(メタ)アクリレート化合物と、粒子径5〜30nmのシリカゾル〔例えば、イソプロパノール分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「IPA−ST」)、メチルエチルケトン分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「MEK−ST」)、メチルイソブチルケトン分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「MIBK−ST」)など〕とを、イソシアネート基或いはメルカプト基含有シランカップリング剤を用いて結合させた化合物などの、エチレン性不飽和化合物にシランカップリング剤を介してシリカゾルを反応させ結合させることにより硬化物としての強度や耐熱性を向上せしめた化合物類、などが挙げられる。
本発明の隔壁用感光性組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、活性光線により、前記(A)成分のエチレン性不飽和化合物が有するエチレン性不飽和基を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の光重合開始剤を用いることがで
きる。
本発明の隔壁用感光性組成物は、1種または2種以上のアルカリ可溶性バインダーを含有する。本発明において、バインダーとしては現像液で現像可能なものであれば特に限定されないが、現像液としてはアルカリ現像液が好ましいため、本発明においてはアルカリ可溶性バインダーを用いる。アルカリ可溶性バインダーとしては、カルボキシ基または水酸基含有の各種樹脂などが挙げられる。中でも、適度なテーパ角の隔壁が得られることおよび隔壁の熱溶融による流出が抑えられ撥液性を保持できることなどより、カルボキシル基を有するのが特に好ましく、そして、本発明においては、側鎖にエチレン性不飽和基を有するものを少なくとも含有することを必須とする。
[1−1−3−a−1]カルボキシル基含有(共)重合体(1)
カルボキシル基含有バインダーの代表的なものとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリロニトリルなどの(メタ)アクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、酢酸ビニルなどのビニル化合物類、などとの共重合体が挙げられる。
また、前記の不飽和カルボン酸に代えて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに多塩基酸(無水物)を付加させた化合物と、前記のスチレン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニル化合物類、などとの共重合体が挙げられる。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、例えば、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、クロトニル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミドなどの2種以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、または、ビニル(メタ)アクリレート、1−クロロビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、1−プロペニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、ビニル(メタ)アクリルアミドなどの2種以上のエチレ性不飽和基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸、またはさらに不飽和カルボン酸エステルなどとを、前者のエチレン性不飽和基を有する化合物の全体に占める割合を10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度となるように共重合させて得られた共重合体などが挙げられる。
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、例えば、カルボキシル基含有(共)重合体に、エポキシ基含有不飽和化合物を反応させて、カルボキシル基含有(共)重合体のカルボキシル基の一部にエポキシ基含有不飽和化合物のエポキシ基を付加させて変性した変性カルボキシル基含有(共)重合体が挙げられる。そのカルボキシル基含有(共)重合体としては、前述したカルボキシル基含有(共)重合体の(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、及び、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体などが好ましい。また、そのエポキシ基含有不飽和化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モルアルキルモノグリシジルエステルなどの脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物、および、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕オキシエチル(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が挙げられる。そして、これらのエポキシ基含有不飽和化合物を、カルボキシル基含有(共)重合体の有するカルボキシル基の5〜90モル%、好ましくは30〜70モル%程度を反応させることにより得られる。なお、反応は公知の方法により実施することができる。
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、例えば、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、前述の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物または脂環式エポキシ基含有不飽和化合物、またはさらに不飽和カルボン酸エステルやスチレンなどとを、前者のカルボキシル基含有不飽和化合物の全体に占める割合を10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度となるように共重合させて得られた共重合体に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を反応させて、該共重合体のエポキシ基に不飽和カルボン酸のカルボキシル基を付加させて変性した変性エポキシ基およびカルボキシル基含有(共)重合体が挙げられる。
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、(メタ)アクリル酸エステルなどのエチレン性不飽和化合物10〜95モル%との共重合体を、共重合体に含まれるエポキシ基の10〜100モル%に、エチレン性不飽和モノカルボン酸を付加し、さらに付加したときに生成する水酸基の10〜100モル%に、多塩基酸(無水物)を付加して得られる酸変性エポキシ基含有(共)重合体が挙げられる。
ル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体などのスチレン類、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド類、(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニルなどのビニル化合物類、シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド類、N−(メタ)アクリロイルフタルイミドなどのようなラジカル重合性化合物も挙げられる。
付加させる多塩基酸(無水物)としては、特に限定されず公知のもの1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。このような成分を付加させることにより、アルカリ可溶性にすることができる。
上、また、通常100, 000以下、好ましくは50, 000以下である。重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと耐熱性、膜強度に劣る傾向がある。また、過度に大きいと、現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。また、分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕は、2.0〜5.0が好ましい。
[1−1−3−c−1]酸変性エポキシ樹脂
カルボキシル基およびエチレン性不飽和基含有樹脂として、例えば、エポキシ樹脂のエチレン性不飽和基モノカルボン酸付加体に、多塩基酸(無水物)が付加された、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂が挙げられる。即ち、エポキシ樹脂のエポキシ基に、エチレン性不飽和モノカルボン酸のカルボキシ基が開環付加されることにより、エポキシ樹脂にエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されると共に、その際生じた水酸基に、多塩基酸(無水物)の一方のカルボキシ基が付加されたものが挙げられる。
学当量、好ましくは0.2〜1.1化学当量となる量とすることができる。
カルボキシル基およびエチレン性不飽和基含有樹脂として、例えば、フェノール樹脂のエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物付加体に、多塩基酸(無水物)が付加された、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基含有フェノール樹脂が挙げられる。即ち、フェノール樹脂のフェノール性水酸基に、エチレン性不飽和基含有エポキシ化合物のエポキシ基が開環付加されることにより、フェノール樹脂にエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されると共に、その際生じた水酸基に、多塩基酸(無水物)の一方のカルボキシ基が付加されたものが挙げられる。
その他、アルカリ現像液に対して劣化しやすい基板の有機電界発光素子に隔壁を設けようとする場合であって、弱アルカリ性のアルカリ性化合物の現像液、或いはアルカリ性化合物を含有しない現像液を用いる場合においては、アルカリ可溶性バインダーとして、ポリビニルアルコール、あるいは前記[1−1−3−a−1]カルボキシル基含有(共)重合体(1)で挙げた共単量体(好ましい例としては、酢酸ビニルなど)を0.1〜40モル%、好ましくは1〜30モル%共重合させたビニルアルコール共重合体、あるいは前記[1−1−3−a−1]カルボキシル基含有(共)重合体(1)で挙げた共重合体をエステル化反応により0.1〜40モル%、好ましくは1〜30モル%導入した変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。また、さらに、適度なテーパ角形成と撥液性の保持を目的として、前記[1−1−3−c−1]酸変性エポキシ樹脂で挙げたエチレン性不飽和モノカルボン酸(好ましい例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応物など)、あるいはさらに多塩基酸(無水物)(好ましい例としては、テトラヒドロフタル酸無水物など)をエステル化反応により0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%導入した変性ポリビニルアルコール、または、特開2008−45047号公報に記載の、(メタ)アクリロイル(オキシ)基あるいは(メタ)アクリルアミド基を有しアルデヒド基を有する化合物(好ましい例としては、4−アクリロイルオキシブタナールなど)、あるいはジアルキルアセタール基を有する化合物(好ましい例としては、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドなど)をフォルマール反応により0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%導入した変性ポリビニルアルコール、などが好ましく用いられる。
本発明の隔壁用感光性組成物は、撥液剤を含有する。撥液剤としては、シリコン含有化合物やフッ素系化合物が挙げられるが、本発明においては、側鎖にエチレン性不飽和基を有するフッ素系化合物(以下、「エチレン性不飽和基含有撥液剤」と称す場合がある。)
の撥液剤を少なくとも含有することを必須とする。
エチレン性不飽和基含有撥液剤を用いることで、本発明の感光性組成物を用いて形成した塗布膜を露光後現像する際に架橋反応をすることができ、撥液剤が現像処理で流れ出にくくなる。
撥液剤の分子量は特に制限されず、低分子量の化合物でも、高分子量体であってもよい。本発明の隔壁用感光性組成物に撥液剤として含まれるフッ素系化合物は、この感光性組成物を用いて隔壁を形成した場合、隔壁の表面に配向して、インキのにじみや混色を防止する働きをする。さらに詳しくは、ビニル(共)重合体中のフルオロアルキル基は、インキをはじき、インキが隔壁を越えて隣接する領域に進入することによるインキのにじみや混色を防ぐ働きをする。
以下にこのようなエチレン性不飽和基含有撥液剤について、具体的に説明する。
エポキシ樹脂タイプエチレン性不飽和基含有撥液剤としては、エポキシ樹脂に、フッ素原子置換アルキル基あるいは芳香環を有するカルボン酸(例えばフッ素置換カルボン酸)を付加させたもの(例えばフッ素置換酸変性エポキシ樹脂)、好ましくはさらにα,β−不飽和基含有カルボン酸をエポキシ樹脂に付加させたものが、光あるいは熱処理により架橋して隔壁からの溶出が防止されるため好ましい。また、さらに必要に応じて、感光性組成物の溶剤あるいは現像液であるアルカリ水溶液に対する溶解性を向上させるために、これらα,β−不飽和基含有カルボン酸付加で生成する水酸基に、多価カルボン酸(無水物)を付加させた、不飽和基およびカルボキシル基含有エポキシ樹脂が挙げられる。
α,β−不飽和基含有カルボン酸および多価カルボン酸(無水物)としては、前述のアルカリ可溶性バインダーの項において記載した不飽和基およびカルボキシル基含有エポキシ樹脂において使用されるものとして記載したものを用い、前述のアルカリ可溶性バインダー中の不飽和基およびカルボキシル基含有エポキシ樹脂と同様の合成方法により、上記フッ素置換酸変性エポキシ樹脂を得ることができる。
フェノール樹脂タイプエチレン性不飽和基含有撥液剤としては、フェノール樹脂に、フッ素原子置換アルキル基あるいは芳香環を有するエポキシ化合物(例えばフッ素置換エポキシ化合物)或いはカルボン酸(例えばフッ素置換カルボン酸)或いはイソシアネート化合物(例えばフッ素置換イソシアネート化合物)を付加させたもの(例えばフッ素置換エポキシ、酸、或いはイソシアネート変性フェノール樹脂)、好ましくはさらにα,β−不飽和モノグリシジル化合物、α,β−不飽和モノカルボン酸、或いはα,β−不飽和モノイソシアネート化合物をフェノール樹脂に付加させたものが、光あるいは熱処理により架橋して隔壁からの溶出が防止されるため好ましい。また、さらに必要に応じて、感光性組成物の溶剤あるいは現像液であるアルカリ水溶液に対する溶解性を向上させるために、これらにさらに多価カルボン酸(無水物)を付加させた、不飽和基およびカルボキシル基含有フェノール樹脂が挙げられる。
の温度とすることができる。さらに、多価カルボン酸(無水物)の付加量としては、前記付加反応で生じた水酸基の1化学当量に対して、通常0〜1化学当量とすることができる。
旭有機材工業社製フェノールノボラック樹脂「SP1006N」(Mw:6,000)1.04gと、メタアクロイルオキシエチルイソシアネート0.56gとトリエチルアミン0.04gをテトラハイドロフラン10g中に溶解させ、80℃で12時間反応させた。反応液に水100gを添加して反応物を析出させた後、析出物を水洗、乾燥し、反応物(1)0.9gを得た。次いで反応物(1)0.8gと、パーフルオロオクチルグリシジルエーテル0.4gと、ジメチルエタノール0.02gをイソプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させ、90℃で10時間反応させた。反応液を分液ロートに移して、水洗し、有機層をMgSO4 とモレキュラシーブにより乾燥させた後、溶液を濃縮、乾燥し、含フッ素有機化合物(SS−1)0.5gを得た。含フッ素有機化合物(SS−1)0.5gをテトラヒドロフラン10gに溶解した溶液に1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリニウムクロライド0.1gと、マロン酸0.25gと、トリエチルアミン0.1gを添加した後、24時間室温で反応させ、さらに50℃で1時間反応させた後、分液ロートにて水洗し、モレキュラシーブで有機層を乾燥した後、濃縮、乾燥して、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する含フッ素有機化合物(SS−2)0.5gを得た。
旭有機材工業社製フェノールノボラック樹脂「SP1006N」(Mw:6,000)1.04gと、アクロイルオキシエチルグリシジルエーテル0.50gと、ジメチルアミノエタノール0.04gと、パーフルオロオクチルグリシジルエーテル0.5gをイソプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させ、90℃で10時間反応させた。反応液を分液ロートに移して、水洗し、有機層をMgSO4 とモレキュラシーブにより乾燥させた後、溶液を濃縮、乾燥して含フッ素有機化合物(SS−3)0.5gを得た。含フッ素有機化合物(SS−3)0.5gに1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリニウムクロライド0.1gと、マロン酸0.25gと、トリエチルアミン0.1gを添加した後、24時間、室温にて反応させ、さらに50℃にて1時間反応させた後、分液ロートにて水洗し、モレキュラシーブにて有機層を乾燥した後、濃縮、乾燥して、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する含フッ素有機化合物(SS−4)0.5gを得た。
旭有機材工業社製フェノールノボラック樹脂「SP1006N」(Mw:6,000)1.04gと、ジメチルアミノエタノール0.04gと、パーフルオロオクチルグリシジルエーテル0.5gをイソプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させ、90℃で10時間反応させた。反応液を分液ロートに移して水洗し、有機層をMgSO4 とモレキュラシーブにより乾燥させた後、溶液を濃縮、乾燥して含フッ素有機化合物(SS−5)0.5gを得た。
旭有機材工業社製フェノールノボラック樹脂「SP1006N」(Mw:6,000)1.04gと、メタアクロイルオキシエチルイソシアネート0.56gと、トリエチルア
ミン0.04gをテトラハイドロフラン10g中に溶解させ、80℃で12時間反応させた。反応液に水100gを添加して反応物を析出させた後、析出物を水洗、乾燥し、反応物(2)0.9gを得た。ついで反応物(2)0.8gと、パーフルオロヘキシルグリシジルエーテル0.4gと、ジメチルエタノール0.02gをイソプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させ、90℃で10時間反応させた。反応液を分液ロートに移して、水洗し、有機層をMgSO4 とモレキュラシーブにより乾燥させた後、溶液を濃縮、乾燥して含フッ素有機化合物(SS−6)0.55gを得た。含フッ素有機化合物(SS−6)0.5gに1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリニウムクロライド0.1gと、マロン酸0.25gと、トリエチルアミン0.1gを添加した後、24時間、室温で反応させ、さらに50℃で1時間反応させた後、分液ロートにて水洗し、モレキュラシーブで有機層を乾燥した後、濃縮、乾燥して、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する含フッ素有機化合物(SS−7)0.45gを得た。
旭有機材工業社製フェノールノボラック樹脂「SP1006N」(Mw:6,000)1.04gと、アクロイルオキシエチルグリシジルエーテル0.50gと、ジメチルアミノエタノール0.04gと、パーフルオロヘキシルグリシジルエーテル0.5gをイソプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させ、90℃で10時間反応させた。反応液を分液ロートに移して水洗し、有機層をMgSO4 とモレキュラシーブにより乾燥させた後、溶液を濃縮、乾燥して含フッ素有機化合物(SS−8)0.52gを得た。含フッ素有機化合物(SS−8)0.5gをテトラヒドロフラン10gに溶解した溶液に1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリニウムクロライド0.1gと、マロン酸0.25gと、トリエチルアミン0.1gを添加した後、24時間、室温で反応させ、さらに50℃で1時間反応させた後、分液ロートにて水洗し、モレキュラシーブで有機層を乾燥した後、濃縮、乾燥し、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する含フッ素有機化合物(SS−9)0.5gを得た。
旭有機材工業社製フェノールノボラック樹脂「SP1006N」(Mw:6,000)1.04gと、ジメチルアミノエタノール0.04gと、パーフルオロヘキシルグリシジルエーテル0.5gをイソプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させ、90℃で10時間反応させた。反応液を分液ロートに移して水洗し、有機層をMgSO4 とモレキュラシーブにより乾燥させた後、溶液を濃縮、乾燥して含フッ素有機化合物(SS−10)0.51gを得た。
大日本インキ社製「メガファックRS102」を5重量%含有するイソプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液10gに、1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリニウムクロライド0.1g、マロン酸0.25g、トリエチルアミン0.1gを添加した後、24時間室温にて反応させ、さらに50℃で1時間反応させた後、分液ロートにて水洗、モレキュラーシーブにて乾燥した後、濃縮、乾燥させ、エチレン性不飽和基とカルボン酸を有する含フッ素有機化合物(SS−11)を得た。
本発明で用いる撥液剤としての含フッ素有機化合物としては、特開2005−105115号公報に記載の主鎖骨格にフッ素を有するフェノキシ樹脂タイプの含フッ素有機化合物を用いることもできる。このような含フッ素有機化合物としては、架橋性官能基(K)とフェノール性水酸基を有する化合物(Y−1)および/または架橋性官能基(K)とフッ素原子置換芳香環を有する化合物(Y−2)と、下記一般式(IV)で示される含フッ素芳香族化合物(F)と、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物(C)とを、脱フッ化水素(HF)剤の存在下に縮合反応させて得られる、架橋性官能基(K)とエーテル結合を有し、数平均分子量(Mn)が1×103 〜5×105 である架橋性含フッ素芳香族プレポリマーが挙げられる。
また、本発明の隔壁用感光性組成物は、その他のフッ素系化合物を撥液剤として含有していてもよく、その他のフッ素系化合物としては、パーフルオロアルキル基を含む化合物(パーフルオロアルキル基含有化合物)が好ましく、例えば、特開平7−35916号公報、特開平11−281815号公報、国際公開2004−042474号パンフレット、特開2005−60515号公報、特開2005−315984号公報、特開2006−171086号公報などに開示されている撥液性化合物などの他、ビッグケミー社製「BYK−340」、日油社製「モディパーF200」、「モディパーF600」、「モディパーF3035」、ネオス社製「フタージェントMシリーズ、Sシリーズ、Fシリーズ、Gシリーズ、Dシリーズ、オリゴマーシリーズ」、ダイキン工業社製「ユニダイン」、信越シリコーン社製「トリフロロプロピルトリクロロシラン」、AGCセイミケミカル社製「サーフロンS−386」などの市販品や、パーフルオロ基含有アクリルモノマーを成分として共重合した樹脂なども挙げられる。さらには安全性に懸念があるC6を超えるパーフルオロアルキル基を回避できるパーフルオロポリエーテル基などを含む化合物等も有効である。
本発明の隔壁用感光性組成物には、組成物の塗布液としての塗布性、および塗布膜の現像性の向上などを目的として、フッ素系またはシリコーン系の界面活性剤を含有する。
特に、現像の際、非画像部に感光性組成物の残渣を除去する作用があり、また、濡れ性を発現する機能を有することから、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤がさらに好ましい。
また、界面活性剤は2種類以上の組み合わせで用いてもよく、例えば、シリコーン系界
面活性剤/フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤、フッ素系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤の組み合わせなどが挙げられる。中でも、シリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤の組み合わせが好ましい。このシリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤の組み合わせでは、例えば、ジーイー東芝シリコーン社製「TSF4460」/ネオス社製「DFX−18」、ビックケミー社製「BYK−300」または「BYK−330」/セイミケミカル社製「S−393」、信越シリコーン社製「KP340」/大日本インキ化学工業社製「F−478」または「F−475」、トーレシリコーン社製「SH7PA」/ダイキン社製「DS−401」、日本ユニカー社製「L−77」/住友3M社製「FC4430」などが挙げられる。
本発明の隔壁用感光性組成物には、前記(A)成分のエチレン性不飽和化合物、(B)成分の光重合開始剤、(C)成分のアルカリ可溶性バインダー、(D)成分の撥液剤、および(E)成分;界面活性剤の外に、水素供与性化合物、熱重合開始剤、アミノ化合物、着色剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物、その他の樹脂などを適宜配合することができる。
本発明の隔壁用感光性組成物には、感度の向上などを目的として、以下に挙げるような水素供与性化合物が前記光重合開始剤と共に併用されてもよい。
さらに、本発明の隔壁用感光性組成物には、熱重合開始剤が含有されていてもよい。このような熱重合開始剤の具体例としては、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物および過
酸化水素などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の隔壁用感光性組成物には、熱硬化を促進するためにアミノ化合物が含まれていてもよい。この場合、感光性組成物中のアミノ化合物の含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。感光性組成物中のアミノ化合物の含有量が過度に多いと、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。また、含有量が少ないと硬化促進効果が期待できない。
着色剤としては、顔料、染料等公知の着色剤を用いることができる。また、例えば、顔料を用いる際に、その顔料が凝集したりせずに安定して感光性組成物中に存在できるように、公知の分散剤や分散助剤が併用されてもよい。特に撥液性隔壁を黒色に着色することで、鮮明な画素が得られる効果がある。黒色着色剤としては黒色染料や、カーボンブラック、チタンブラックなどの他、有機顔料を混合させて黒く着色することも低導電性を持た
せる効果として有効である。着色剤の含有量としては感光性組成物の全固形分に対して、通常60重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
塗布性向上剤あるいは現像改良剤としては、例えば公知の、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコーン系界面活性剤を用いることができる。また、現像改良剤として、有機カルボン酸或いはその無水物など公知のものを用いることもできる。また、その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
感光性組成物には、安定性向上の観点等から、ハイドロキノン、メトキシフェノールなどの重合禁止剤や、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)などのヒンダードフェノール系の酸化防止剤を含有することが好ましい。その含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常5ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上600ppm以下の範囲である。その含有量が過度に小さいと、安定性が悪化する傾向となる。一方、過度に多いと、例えば光および/または熱による硬化の際に、硬化が不十分となる可能性がある。特に、通常のフォトリソグラフィー法に使用される場合には、感光性組成物の保存安定性および感度の両面からみた最適量に設定する必要がある。
感光性組成物には、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系など種々の物が使用できるが、特にエポキシ系、イミダゾール系のシランカップリング剤が好ましい。その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
一方、シランカップリング剤は、確かに基板との密着性を向上させるが、感光性組成物塗布溶液中に含まれる水と反応し、塗布溶液増粘、或いは、白濁物の発生などの問題を起し易かった。長期の経時安定性を必要とする感光性組成物塗布溶液の製造には、後述の好ましいアルカリ可溶性バインダーに対して、組成物に含まれる(A)成分のエチレン性不飽和化合物の特定の範囲の重量比、および、ノボラック樹脂、フェノキシ樹脂、フルオレン含有樹脂、後述の式(II)及び(IIa) 〜(IIc) で表される多核脂環アルキル(メタ)アクリレートの共重合体など特定の骨格の側鎖或いは主鎖を有するアルカリ可溶性バインダーなどの選択、などの方法により基板との密着性を高めることにより、シランカップリング剤を除去、或いは、0.5重量%以下含有させた組成にすることが好ましい。
また、本発明の感光性組成物は、さらに、硬化物としての強度の向上と共に、アルカリ可溶性樹脂との適度な相互作用(マトリックス構造)により、優れた塗布膜の平坦性とテーパ角の向上等を目的として、無機充填剤を含有していてもよい。そのような無機充填剤としては、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、或いは、これらを各種シランカップリング剤により表面処理したものなどが挙げられる。
本発明の隔壁用感光性組成物は、通常溶剤を含有し、前述の各成分を溶剤に溶解または分散させた状態で使用される(以下、溶剤を含む感光性組成物を「感光性組成物溶液」と記すことがある。)。その溶剤としては、特に制限は無いが、例えば、水と、以下に記載する有機溶剤が挙げられる。
本発明の隔壁用感光性組成物は、前述した通り、(A)成分;エチレン性不飽和化合物、(B)成分;光重合開始剤、(C)成分;アルカリ可溶性バインダー、(D)成分;撥液剤、および(E)成分:界面活性剤を含有し、有機電界発光素子の有機層を区画する撥液性隔壁を形成するために用いられる隔壁用感光性組成物である。
本発明の隔壁用感光性組成物は、基板上に乾燥膜厚が2μmとなるように塗布し、該塗膜にパターン露光用の光を照射したときの吸光度が0.9未満であることが好ましい。尚、「パターン露光用の光」とは、基板上に形成された隔壁用感光性組成物層に光活性線の光源を照射してパターン(隔壁)を形成するときの後述する露光光源の光を言い、該光を照射したときの吸光度を、例えば紫外−可視分光光度計により測定したものである。複数の波長を発光する光源の場合には、露光波長の光強度とその波長に対する感光性組成物の感度を考慮し、複数の波長における吸光度を平均化した値とする。後述する露光後の加熱処理において、隔壁側面のテーパ形状が、230℃で30分間の加熱前後共に順テーパ状である感光性組成物の場合には、吸光度は0.5未満であるのが好ましく、吸光度が0.5以上であると、感光性組成物層の表面側での光硬化、及び表面側での撥液剤の固定化が進み、組成物層の表層側での現像液に対する溶解性の低下等の理由により、テーパ角が逆テーパ状になり易い。また、230℃で30分間の加熱処理前後で逆テーパ状から順テーパ状に変化する感光性組成物の場合には、吸光度は0.5以上0.9未満であるのが好ましく、吸光度が0.5未満であると、上記と反対の理由によりテーパ角が順テーパ状になり易く、又、0.9以上であると、熱溶融が抑えられて加熱時における逆テーパ状のひさしの崩落が困難となり加熱後に順テーパ状になり難くなる。
また、本発明の隔壁用感光性組成物は、基板上に乾燥膜厚が2μmとなるように塗布し、該塗膜に、線幅15μmの細線パターンを有するマスクを介して、パターン露光用の光を、230℃で30分間の加熱処理前後共に順テーパ状である感光性組成物の場合には100mJ/cm2 で、また、230℃で30分間の加熱処理前後で逆テーパ状から順テーパ状に変化する感光性組成物の場合には10mJ/cm2 で、照射し、次いで、23℃、水圧0.14MPaのシャワー現像を行うことにより得られる細線画像を細線画像1とし、該細線画像1をさらに230℃で30分間加熱して得られる細線画像を細線画像2としたときに、230℃で30分間の加熱処理前後共に順テーパ状である感光性組成物の場合には、下記式(1)を満たすものであるのが好ましい。
1.10≦W1 /W2 ≦2.5 ・・・(1)
〔式(1)中、W1 は、細線画像1の側面と基板とが形成するテーパ角(°)を表し、W2 は、細線画像2の側面と基板とが形成するテーパ角(°)を表す。〕
90°<W1 ≦170°・・・(2)
〔式(2)中、W1 は、細線画像1の側面と基板とが形成するテーパ角(°)を表す。〕
(b)例えば、(C)成分のアルカリ可溶性バインダーとして、エチレン性不飽和基を有するものを用いる。エチレン性不飽和基が加熱により架橋し、隔壁の過度な溶融を防止できる。
(c)例えば、(C)成分のアルカリ可溶性バインダーとして、ノボラック樹脂、フェノキシ樹脂、フルオレン含有樹脂、後述の式(II)及び(IIa) 〜(IIc) で表される多核脂環アルキル(メタ)アクリレートの共重合体を用いる。これにより、高いテーパ角の隔壁が得られやすく、また、熱による分解ガスの発生も抑えられる。
(d)例えば、(B)成分の光重合開始剤として、アセトフェノン誘導体系の化合物を用いる。これにより、加熱すると熱分解して発生するラジカルにより、未架橋のエチレン性不飽和化合物や未反応のアルカリ可溶性バインダー等に熱重合を生じさせることにより隔壁の熱溶融を抑制し、高いテーパ角の隔壁が得られる。
(e)例えば、(B)成分の光重合開始剤の含有割合を、特定範囲の量とすることにより、基板近くの感光性組成物も十分に硬化させて、基板との密着性を発現し、その結果、現像時における基板近くの硬化膜の溶出、或いは剥離を防止し、高いテーパ角の隔壁が得られる。
本発明において、基板上に乾燥膜厚が2μmとなるように本発明の隔壁用感光性組成物を塗布し、得られた塗布膜に、線幅15μmの細線パターンを有するマスクを介して、パターン露光用の光を、230℃で30分間の加熱処理前後共に順テーパ状である感光性組成物の場合には100mJ/cm2 で、また、230℃で30分間の加熱処理前後で逆テーパ状から順テーパ状に変化する感光性組成物の場合には10mJ/cm2 で、照射し、次いで、23℃、水圧0.14MPaのシャワー現像を行うことにより得られる細線画像を「細線画像1」とする。
23℃、水圧0.14MPaのシャワー現像を行う。通常は、純水で現像を停止し、水洗スプレーを用いてリンスを行う。シャワー現像時間は、上記条件による露光、および現像により非露光部の塗布膜が溶解除去される時間(ブレーク時間)の10倍となるよう、10〜120秒間の間で調整する。
)を以下の方法により測定・算出する。
テーパ角W1 の測定・算出には、まず、走査型電子顕微鏡S4100(日立製作所社製)により、細線画像1の断面形状を観察する。走査型電子顕微鏡による観察は、倍率が通常1,000倍以上、好ましくは1,500倍以上、通常5,000倍以下、3,000倍以下として行う。走査型電子顕微鏡の測定により、細線画像1の断面図を得る。図1は、テーパ角を説明するための断面図である。図1において細線画像11は、基板12の平面上に凸部を形成し、凸状の断面形状を有している。かかる断面図において、細線画像11と基板12との境界面をS、細線画像1の高さを層厚Hとする。そして、断面の輪郭上における、層厚Hの1/6倍の高さの点Aと、層厚Hの1/2倍の高さの点Bとを結び延長した直線を直線Tとした場合に、直線Tと境界面Sとのなす角をテーパ角Wとする。
上記で得られた細線画像1をさらに230℃で、30分間加熱して得られる画像を細線画像2とする。この加熱にはホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いることができる。
230℃で30分間の加熱処理前後共に順テーパ状である感光性組成物の場合においては、このようにして、細線画像1のテーパ角W1 と細線画像2のテーパ角W2 が求められたところで、前記(1)式のW1 /W2 を算出する。W1 /W2 として、1.10以上であることが必須であり、好ましくは1.15以上、また、2.5以下であることが必須であり、好ましくは1.5以下である。W1 /W2 は、形成された画像(
隔壁)が加熱によりどの程度変化するかを表している。従って、W1 /W2 が小さいということは加熱による変化が少なく、隔壁の材料(例えば、撥液性を示す材料)が流出しにくいことを示す。W1 /W2 が上記下限を下回ると隔壁を形成する材料の流出が過度に抑えられ、一方、上記上限を上回ると隔壁を形成する材料が過度に流出するおそれがあり好ましくない。
次に、上述の本発明の隔壁用感光性組成物を用いて撥液性隔壁を形成する方法について説明する。
[2−1]隔壁用感光性組成物の塗布工程
まず、本発明の感光性組成物を基板上、もしくは基板上に形成された電極層や有機層などの他の層上に塗布して、塗布膜(以下「隔壁形成用レジスト層」と称す場合がある。)を形成するが、この隔壁形成用レジスト層を形成するに先立ち、隔壁形成用レジスト層の下引き層となる層を形成してもよい。
感光性組成物を塗布して得られる塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用することが好ましい。乾燥条件は、感光性組成物の溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができ、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、通常130℃以下、好ましくは110℃以下の温度で乾燥する。また、乾燥時間としては、15秒以上が好ましく、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥温度が低過ぎたり乾燥時間が短い場合には十分に乾燥を行うことができず、残った溶剤による、露光時の感度低下、現像不良や解像性の低下のおそれがあり、乾燥温度が高過ぎたり、乾燥時間が長過ぎると、生産性低下や、基板、その他の層の熱劣化の問題があり、好ましくない。なお、乾燥は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う減圧乾燥法であってもよく、また加熱乾燥との併用でもよい。また、特に、230℃で30分間の加熱前後で隔壁の側面のテーパ角が逆テーパ状から順テーパ状に変化する感光性組成物の塗布膜の場合には、40℃以上で、80℃以下、さらには70℃以下、特には60以下の温度で乾燥させることが、高温加熱による基板との過度の密着を防ぎ、基板近傍の塗布膜の現像液に対する溶解性を低下させず、側面が逆テーパ状の隔壁を形成させ易く好ましい。
感光性組成物を基板上、または基板上に形成された有機層上や上記下引き層上に、全面塗布乾燥することで隔壁形成用レジスト層を形成した後、隔壁のパターン(バンクパターン)を露光して、現像処理することにより隔壁を形成する。
露光は、感光性組成物を塗布、乾燥して形成された隔壁形成用レジスト層上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線または可視光線等の光活性線の光源を照射して行う。このように露光マスクを用いて露光を行う場合には、露光マスクを隔壁形成用レジスト層に近接させる方法や、露光マスクを隔壁形成用レジスト層から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によってもよい。また、露光マスクを用いないレーザー光による走査露光方式によってもよい。この際、必要に応じ、酸素による隔壁形成用レジスト層の感度の低下を防ぐため、脱酸素雰囲気下で行ったり、隔壁形成用レジスト層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。
上記の露光を行った後、現像することで、隔壁の画像パターンを形成することができる。現像に用いる現像液としては、限定されるものではないが、アルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤、水などを用いることが好ましい。現像液には、さらに界面活性剤、緩衝剤、錯化剤、染料または顔料を含ませることができる。
性組成物に用いられる溶剤の中から適宜選択できるが、好ましくは、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールを挙げることができる。
現像の後、必要に応じて、隔壁表面の撥液剤を架橋や固定したりして撥液性を高めるためや、テーパ角を制御するために、上記の露光方法と同様な方法により追露光を行ってもよく、また硬化性を向上させたり、テーパ角を制御するために、熱硬化処理を行ってもよい。追露光の条件としては、上記露光条件と同様である。
本発明のアクティブ駆動型有機EL素子の隔壁用感光性組成物は、アクティブ駆動型有機EL素子の有機層を区画する撥液性隔壁を形成するために用いられるものである。すなわち、上述のようにして形成された断面順テーパ状撥液性隔壁は、当該隔壁により区画された領域に有機層を形成するために用いられる。
以下に、この有機層の形成方法について説明する。
ターニングを塗布と同時に行う吐出型の塗布法においては、スピンコート法やダイコート法と異なり、組成物中の溶剤成分が、最終的に得られる塗膜の膜厚や、形状、均一性にことのほか影響を与えることが報告されており(「表面科学セミナー」2001年65〜77頁など)、溶剤の選定にはこれらを考慮した上で最適な溶剤を選定することが好ましい。また、特に、インクジェット法の場合、20plの液滴サイズで被塗布面に着滴させたとき、着滴後1分経過後の液滴径が100〜400μmのような溶剤であることが好ましく、さらに好ましくはこの液滴径は150〜300μmである。これにより、膜厚ムラやピンホールの発生を防止し、かつ端部の直線性を確保することができるが、この点でもインクに用いられる溶剤の与える影響が最も大きい。インクジェット法による液滴径は濡れ拡がり性(接触角)と強い相関が見られるが、通常は粘度や表面張力を低くすることで、液滴径を大きくすることができる。また被塗布面への親和性が高い溶剤の含有量を増やすと、液滴径を大きくすることができる。
本発明のアクティブ駆動型有機EL素子の隔壁用感光性組成物を用いて基板上に直接または他の層を介して断面順テーパ状撥液性隔壁を形成し、この隔壁に区画された領域内に有機層を形成してアクティブ駆動型有機EL表示装置を製造することができる。本発明において、赤緑青の各素子を有機電界発光素子といい、各素子が集合したものを有機EL表示装置という。また、前述の通り、感光性組成物の塗布に先立って下引き層を形成した場合は、隔壁は、下引き層を有する2層以上の積層構造となっている。
本発明の有機EL素子において、バンク区画内に形成される有機層としては、高精度に色分けができるという点においても発光層であることが好ましい。また、撥液性隔壁は、有機層上に形成されていることが好ましく、この有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層あるいは、正孔注入層上の正孔輸送層が好ましい。
図2は、本発明の有機EL素子の構造例を示す断面の模式図であり、図2において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
基板1は有機EL素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機EL素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極2は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金などの金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などにより構成される。
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。本発明に係る正孔注入層3の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層3を湿式成膜法により形成することが好ましい。正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。正孔輸送性化合物は、通常、有機EL素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、高分子化合物であっても、低分子化合物であっても
よい。
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物などが挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラートなどの有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号パンフレット);塩化鉄(いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)などの芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素などが挙げられる。
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があり、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層3の下層
に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成することができる。成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。成膜工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物など)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい。正孔輸送層4は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。ただし、本発明の有機EL素子は、正孔輸送層を省いた構成であってもよい。
m以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
正孔注入層3の上、または正孔輸送層4を設けた場合には正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
発光層5は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層5は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層5を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
発光材料とは、不活性ガス雰囲気下、室温で、希薄溶液中における、蛍光量子収率が30%以上である材料であって、希薄溶液中における蛍光スペクトルとの対比から、それを用いて作製された有機電界発光素子に通電した際に得られるELスペクトルの一部または全部が、該材料の発光に帰属される材料、と定義される。発光材料としては、通常、有機電界発光素子の発光材料として使用されているものであれば限定されない。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。なお、発光材料としては、溶剤への溶解性を向上させる目的で、分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基が導入されたりしている材料を用いることが好ましい。
ピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
発光層5には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72−74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)、熱解離性基を有する芳香族アミン化合物(特願2008−204342)などが挙げられる。
がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層5には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス〔6’−(2’,2”−ビピリジル)〕−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)などが挙げられる。
湿式成膜法により発光層5を形成する場合は、上記材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。発光層5を湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶剤と同様である。
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。こ
の正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔が陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
発光層5と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層7を設けてもよい。電子輸送層7は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金など等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8または発光層5など)に電子を注入する役割を果たすものである。陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀などの適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金などの低仕事関数合金電極が挙げられる。なお、陰極9の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
本発明に係る有機EL素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
本発明の感光性組成物を用いて、図2に示す上述のような本発明の有機EL素子を製造するには、基板1上に陽極2と、有機層としての正孔注入層3と正孔輸送層4とを形成し、この上に必要に応じて前述の下引き層を形成した後、本発明の感光性組成物を塗布して隔壁形成用レジスト層を形成し、その後、露光、現像を行って、撥液性隔壁を形成する。その後、この隔壁で区画された領域内に、有機層として発光層5を形成し、さらに、正孔阻止層6、電子輸送層7、電子注入層8および陰極9を形成して有機EL素子10とする。
本発明のアクティブ駆動型有機EL表示装置は、上述の本発明のアクティブ駆動型有機EL素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機EL素子を用いて常法に従って組み立てることができる。例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
なお、以下の実施例および比較例で用いた感光性組成物の調製に用いた各成分の詳細は次の通りである。
(A1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)
(A2)以下の化合物(A2−a)と化合物(A2−b)との混合物(ナガセケムテックス社製「デコナールアクリレートDA−314」)
(B1)以下の化合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
(C1)以下のようにして合成した前記[1−1−3−b−4]酸変性エポキシ基含有共重合体
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製「FA−513M」)82重量部を滴下し、さらに140℃で2時間攪拌し続けた。次に、反応容器内を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部と、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ、アルカリ可溶性バインダー(C1)を得た。得られたアルカリ可溶性バインダー(C1)の重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ、約8,000であった。
無水琥珀酸200重量部と市販のペンタエリスリトールトリアクリレート596重量部を、トリエチルアミン2.5重量部、およびハイドロキノン0.25重量部の存在下に100℃で5時間反応させることにより、1分子中に1個のカルボキシル基と2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート67モル%とペンタエリスリトールテトラアクリレート33モル%とからなる酸価94mg・KOH/gの多官能アクリレート混合物を得た(酸価90.5mg・KOH/g)。この反応混合物273.2重量部と9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物(エポキシ当量231g/eq.)100重量部、p−メトキシフェノール0.19重量部、トリフェニルホスフィン7.4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート368重量部を反応容器に仕込み、90℃で酸価が5mg・KOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標に達するまで10時間を要した(酸価1.0mg・KOH/g)。次いで、上記反応により得られた反応液80重量部にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6重量部を加え、90℃で3時間反応させ、さらにトリメリット酸無水物3.8重量部を添加し、90℃で3時間反応させ、アルカリ可溶性バインダー(C3)を得た。得られたアルカリ可溶性バインダー(C3)の重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ3,100であった。また、酸価は52mg・KOH/g、二重結合当量は199であった。
重量平均分子量(Mw)4,000のm−クレゾールノボラック樹脂120重量部とグリシジルメタクリレート71重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート191重量部に溶解し、パラメトキシフェノール0.19重量部およびテトラエチルアンモニウムクロライド1.9重量部を加え、90℃で13時間反応させた。ガスクロマトグラフィー分析でグリシジルメタクリレートが1%以下になったことを確認し、テトラヒドロフタル酸無水物45.6重量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.6重量部を加え、95℃でさらに5時間反応させた。赤外線吸収スペクトルで酸無水物がなくなったことを確認し、アルカリ可溶性バインダー(C4)を得た。得られたアルカリ可溶性バインダー(C4)の重量平均分子量(Mw)は7,500であった。
下記式で表されるフェノールノボラックエポキシ樹脂(n=1〜10、重量平均分子量1,900、エポキシ当量288、日本化薬社製「NC3000」)400重量部、アク
リル酸102重量部、p−メトキシフェノール0.3重量部、トリフェニルホスフィン5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264重量部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mgKOH/g以下になるまで9時間攪拌した。次いで、更にテトラヒドロ無水フタル酸180重量部を添加し、95℃で4時間反応させ、固形分換算酸価102、重量平均分子量3,200のアルカリ可溶性バインダー(C5)を得た。
(D1)大日本インキ化学工業社製「メガファックRS102」
(D2)前記合成例7で製造された含フッ素有機化合物(SS−11)
(D3)エチレン性不飽和基を有さない撥液剤:住友フリーエフ社製「ノベックFC−4430」
(E)成分;界面活性剤
(E1)ビックケミカル社製ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤「BYK330」
(E2)大日本インキ化学工業社製「メガファックF475」
<隔壁用感光性組成物の調製>
エチレン性不飽和化合物(A1)24重量部、エチレン性不飽和化合物(A2)24重量部、光重合開始剤(B1)2.5重量部、アルカリ可溶性バインダー(C4)48重量部、撥液剤(D1)1重量部、界面活性剤(E1)0.1重量部、および熱架橋剤5重量部と、溶剤としてPGMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を含
有する隔壁用感光性組成物を調製した。
調製した感光性組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にスピンコート法により塗布し乾燥させて膜厚2μmの隔壁用感光性組成物層を形成し、その感光性組成物層について、波長365nmにおける吸光度を紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製「U−3900」)により測定した。結果を表1に示す。
ガラス基板の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nmの厚みで成膜した(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)。この透明導電膜に、通常のフォトリソグラフィー技術により、2mm幅のストライプにパターニングし陽極を形成した。陽極を形成した基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、紫外線オゾン洗浄を行った。
陽極の上に正孔注入層を形成した。
正孔注入層の材料として、下記式で表される芳香族アミン系高分子化合物(W1:重量平均分子量(Mw)29,400、数平均分子量(Mn)12,600)、電子受容性化合物(W2)および溶剤として安息香酸エチルを含有する正孔注入層形成用組成物を調製した。この組成物の固形分(芳香族アミン系高分子化合物および電子受容性化合物)の濃度は2重量%とした。また、(W1):(W2)=10:4(重量比)とした。
180分間乾燥させ、膜厚30nmの均一な正孔注入層の薄膜を形成した。
上記正孔注入層の上に正孔輸送層を形成した。正孔輸送層の材料として、以下に示す化合物(X1)および溶剤としてトルエンを含有する正孔輸送層形成用組成物を調製した。この組成物中における化合物(X1)の濃度は0.4重量%とした。
前記で調製した隔壁用感光性組成物を、上記正孔輸送層上に、スピンコート法により塗布した。塗布膜をホットプレート上で窒素雰囲気下、80℃で3分間乾燥させ、乾燥膜厚2μmの塗布膜を形成した。
走査型顕微鏡で細線画像1の断面図を得た。この断面図を、図1のようにして、細線画像1と正孔輸送層との境界面をS、細線画像1の高さを層厚Hとした。断面の輪郭上における、層厚Hの1/6倍の高さの点Aと、層厚Hの1/2倍の高さの点Bとを結び延長した直線を直線Tとした。この直線Tと境界面Sとのなす角を測定し、テーパ角とした。
また、上記のようにして得られた細線画像を有する基板について、以下(1)〜(3)の通りの評価を行った。結果を表1に示す。
(1)細線再現性
細線画像2の線幅を測定し、露光時に使用したマスクの線幅(15μm)からの太り(線幅の増加)を測定した。結果を以下A〜Cの三段階で評価した。太りが小さい方が、高解像度の有機EL表示装置に好適である。
A:細線画像2の線幅が20μm未満
B:細線画像2の線幅が20μm以上30μm未満
C:細線画像2の線幅が30μm以上
隔壁の撥液性を評価するために、以下の通り評価用サンプルを作製した。
上記実施例1と同様にして、正孔輸送層までを形成し、隔壁用感光性組成物を、上記正孔輸送層上に、スピンコート法により塗布し、塗布膜をホットプレート上で80℃にて、3分間乾燥させ、乾燥膜厚2μmの塗布膜を形成した。その後、マスクを用いずに、塗布膜を実施例1と同様の条件で全面露光した後、実施例1と同様にして現像処理を行い、次いで230℃で30分間加熱した。加熱により硬化した硬化膜について、シクロヘキシルベンゼンに対する接触角を測定した。接触角は、協和界面科学(株)製CA−D型接触角測定装置により、23℃、湿度50%の条件下で測定した。結果を以下A〜Cの三段階で評価した。接触角が大きい方が撥液性が高い。
A:接触角が40°以上
B:接触角が20°以上40°未満
C:接触角が20°未満
隔壁で区画された領域の濡れ性を評価するために、以下の通り評価用サンプルを作製した。
上記実施例1と同様にして、正孔輸送層までを形成し、隔壁用感光性組成物を、上記正孔輸送層上に、スピンコート法により塗布し、塗布膜をホットプレート上で80℃にて、3分間乾燥させ、乾燥膜厚2μmの塗布膜を形成した。その後、露光せずに、実施例1と同様にして、現像処理を行い、次いで230℃で30分間加熱した。得られた正孔輸送層上の膜について、シクロヘキシルベンゼンに対する接触角を測定した。接触角は、上記と同様の方法により測定した。結果を以下A〜Cの三段階で評価した。接触角が小さい方が濡れ性が高い。
A:接触角が3°未満
B:接触角が4°以上10°未満
C:接触角が10°以上
表1に示す成分組成としたこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製した。この隔壁用感光性組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、吸光度を測定し、細線画像までを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、正孔輸送層までを形成した。その後、ポリN−ビニルピロリドン(日本触媒工業社製「K85W」)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し、ポリN−ビニルピロリドンの0.5重量%の溶液を調製した。この溶液を前記正孔輸送層上に、スピンコート法により塗布し、ホットプレート上で80℃、3分間乾燥し、乾燥膜厚0.02μmの細線画像の下引き層(1)を形成した。次いで、表1に示す成分組成としたこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製し、吸光度を測定し、上記下引き層(1)上に実施例1と同様にして細線画像までを形成し、同様に評価を行った。この場合、下引き層も含めて細線画像とする。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、正孔輸送層までを形成した。撥液剤(D1)を含まないこと以外は、実施例1で調製した隔壁用感光性組成物と同様の組成物(溶液1)を調製した。また、実施例3と同様にして、ポリN−ビニルピロリドンの0.5重量%の溶液(溶液2)を調製した。溶液1:溶液2=1:25(重量比)となるように、溶液1と溶液2を混合した溶液3を調製した。この溶液3を10重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルを5重量部、2−メトキシブチルアルコールを3重量部、テトラヒドロフランを3重量部を混合した溶液4を調製した。この溶液4を前記正孔輸送層上に、スピンコート法により塗布し、ホットプレート上で80℃で、3分間乾燥し、乾燥膜厚0.25μmの細線画像の下引き層(2)を形成した。次いで、表1に示す成分組成としたこと以外は、実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製し、吸光度を測定し、上記下引き層(2)上に塗布し、実施例1と同様にして細線画像までを形成し、同様に評価を行った。この場合、下引き層も含めて細線画像とする。結果を表1に示す。
表1に示す成分組成としたこと以外は、実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製し、吸光度を測定した。この隔壁用感光性組成物を実施例1と同様に塗布、乾燥、露光、現像処理した後、加熱する前に、露光光源として3kW高圧水銀を用い、波長365nmの紫外光が100mJ/cm2 となるように現像処理後の画像を露光した。この露光を行ったこと以外は、実施例1と同様にして細線画像までを形成し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例8において、現像処理後の画像を露光した後、エタノール溶液に5秒間浸漬したこと以外は、実施例8と同様にして細線画像までを形成し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<隔壁の形成>
前記と同様にして、基板上に陽極、正孔注入層、及び正孔輸送層を形成し、その上に、実施例1〜9及び比較例1の各隔壁用感光性組成物を用い、30μm幅のライン状の開口が100μmピッチで格子状に並ぶマスクを用いた外は同様にして、それぞれ、隔壁を形成した。
次に、以下の示す化合物(Y1)、(Y2)、およびイリジウム錯体(Y3)を、(Y1):(Y2):(Y3)=10:10:1(重量比)の比率で、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンを用い、固形分濃度1重量%の発光層形成用組成物を調製した。
実施例1〜9の各隔壁用感光性組成物を用いて形成した隔壁においては、25plの吐出インクの隔壁区画外への決壊(インクが隔壁を乗り越えて隣の区画に混入し、インクが合体する現象)は発生せず、乾燥後、均一な膜厚の発光層が隔壁区画内に成膜された。一方、比較例1の隔壁用感光性組成物を用いて形成した隔壁においては、吐出インクが隔壁区画外へ決壊した。
次に、発光層までを成膜した基板を真空蒸着装置内に移し、装置内の真空度が5.1×10−4Pa以下になるまで排気した後、正孔阻止材料として、下記の化合物(Z1)を、蒸着速度を0.7〜1.0Å/秒の範囲で制御し、発光層の上に膜厚5nmで蒸着することにより、正孔阻止層を形成した。
次に、電子輸送材料としてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウムを、蒸着速度を0.6〜1.5Å/秒の範囲で制御し、前記正孔阻止層の上に膜厚30nmで蒸着することにより、電子輸送層を形成した。
続けて、陰極蒸着用の真空蒸着装置に移して、装置内の真空度が2.1×10−4Pa以下になるまで排気した後、フッ化リチウム(LiF)を、蒸着速度を0.07〜0.1Å/秒の範囲で制御し、前記電子輸送層の上に膜厚0.5nmで蒸着することにより、電子注入層を形成した。
さらに、アルミニウムを、蒸着速度を0.7〜6.1Å/秒の範囲で制御し、前記電子注入層の上に膜厚80nmで蒸着することにより、陰極を形成した。
<封止>
上記方法で得られた各層が形成された基板と、別途用意した封止用のガラスとを紫外線硬化性樹脂により貼り合わせ、紫外線を照射することにより、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子を得た。
実施例1〜11の隔壁用感光性組成物を用いて作製した各有機電界発光素子について、電圧を印加して発光状況を確認したところ、発光層が隔壁区画から溢れて隣の画素と混ざり合うこともなく、隔壁区画内および発光層全面でほぼ均一な発光を呈することを確認することができた。
比較例1において、光重合開始剤(B1)の量を2.5重量部から40重量部に変更して調製した感光性組成物は、吸光度が0.9であり、その感光性組成物を用いた外は、実施例1と同様にして細線画像までを作製し評価を行ったところ、現像処理前後の細線画像の側面は逆テーパであった。また、このときの細線再現性はC、隔壁の撥液性はA、隔壁で区画された領域の濡れ性はCであった。さらに、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製したところ、吐出したインクの隔壁区画外への決壊は見られなかったが、インク乾燥後、直径10〜100μmのはじきが多数発生した。また、有機電界発光素子としての評価を行ったところ、有機電界発光は観測されず、このことから、逆テーパによる陰極電極の断線が生じたものと考えられた。
実施例1と同様にして、正孔輸送層までを形成した。その後、ビニルピロリドン/酢酸ビニル(70/30)共重合体(東京化成社製)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルと3−メトキシ−1−ブタノールの1:1重量比混合溶媒に溶解し、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体の0.5重量%の溶液を調製した。この溶液を前記正孔輸送層上に、スピンコート法により塗布し、ホットプレート上で80℃、3分間乾燥し、乾燥膜厚0.02μmの細線画像の下引き層(1)を形成した。次いで、表1に示す成分組成としたこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製し、吸光度を測定し、上記下引き層(1)上に実施例1と同様にして細線画像までを形成し、同様に評価を行った。この場合、下引き層も含めて細線画像とする。結果を表1に示す。更に、この隔壁用感光製組成物及び下引き層を用い、実施例12と同様にして隔壁を形成し、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極を形成し、封止を行い、有機電界発光素子を作製し、評価したところ、発光層が隔壁区画から溢れて隣の画素と混ざり合うこともなく、隔壁区画内および発光層全面でほぼ均一な発光を呈することを確認することができた。
表2に示す成分組成としたこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製した。
<細線画像の形成・評価>
調製した隔壁用感光性組成物を、実施例1で作製したと同じ陽極を形成した基板上に、スピンコート法により塗布した。塗布膜をホットプレート上で、50℃で3分間乾燥させ、乾燥膜厚2μmの塗布膜を形成した。この塗布膜に、線幅15μm、線間115μmの繰り返し細線パターンを有するマスクを塗布膜から25μm離れた位置に設置した。このマスクを介して、露光光源として3kW高圧水銀を用い、発光強度が同じになるように波長313nmの紫外光における発光強度〔I(313)〕と365nmの紫外光における発光強度〔I(365)〕を、実施例12及び13の組成物層に対しては10mJ/cm2 となるように、実施例14の組成物層に対しては100mJ/cm2 となるように、それぞれ塗布膜を露光した。次いで、0.047重量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を含有する水溶液を現像液として、現像処理を行った。現像処理は、23℃にて、水圧0.14MPaでシャワー現像し、純水にて現像を停止した後、水洗スプレーにてリンスすることにより行った。尚、シャワー現像時間は、露光、現像により除去される塗布膜が溶解除去される時間(ブレーク時間)の10倍となるよう、30〜120秒間の間で調整した。ここまでの操作で得られる画像を細線画像1とした。細線画像1についてテーパ角(W1 )を測定し、更に、空気中、230℃で30分間加熱して得られる細線画像2についてテーパ角(W2 )を測定し、前記と同様に評価した。結果を表2に示す。
前述と同様に、2μmの膜厚の感光性組成物層について、波長313nmにおける吸光度〔Abs(313)〕と波長365nmにおける吸光度〔Abs(365)〕を測定し、一方、キセノンランプ(ウシオ電機社製「1000DO」を光源とするGrating Spectrograph(ナルミ社製「RM−23」)を用い、波長313nmにおける感度比〔Sen(313)=1/画像形成に要する最小露光エネルギー〕と波長365nmにおける感度比〔Sen(365)=1/画像形成に要する最小露光エネルギー〕から、波長313nmにおける画像形成速度〔Bank(313)〕=〔Sen(313)〕×〔I(313)〕と波長365nmにおける画像形成速度〔Bank(365)〕=〔Sen(365)〕×〔I(365)〕を求め、それらから下記式により、パターン露光用の光に対する、感光性組成物の画像形成速度の波長依存性とパターン露光光源の発光波長依存性を考慮した吸光度〔Abs(bank)〕を求めた。結果を表2に示す。
吸光度〔Abs(bank)〕={〔Abs(313)〕×〔Bank(313)〕+〔Abs(365)〕×〔Bank(365)〕}/{〔Bank(313)〕+〔Bank(365)〕}
調製した隔壁用感光性組成物について、実施例1で作製したと同じ陽極を形成した基板
上に、30μm幅のライン状開口(70μm×70μm)が100μmピッチで格子状に並ぶマスクを用いた外は、実施例1と同様にして隔壁を形成した。
隔壁を形成したITO基板上に、前記と同じ正孔注入層形成用組成物を、前記発光層の形成におけると同じインクジェット法により膜厚30nmとなるように隔壁区画内に塗布し、空気中、230℃で60分間乾燥させて正孔注入層を形成し、次いで、この正孔注入層上に、溶剤をシクロヘキシルベンゼンに変えた外は前記と同じ正孔輸送層形成用組成物を、前記発光層の形成におけると同じインクジェット法により膜厚20nmとなるように隔壁区画内に塗布し、乾燥させ、更に、窒素雰囲気下、230℃で60分間加熱することにより正輸送層を形成し、次いで、この正孔輸送層上に、前述したと同様にして、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極を形成し、封止処理を行うことにより、有機電界発光素子を作製した。
実施例12〜14の隔壁用感光性組成物を用いて作製した各有機電界発光素子について、電圧を印加して発光状況を確認したところ、発光層が隔壁区画から溢れて隣の画素と混ざり合うこともなく、隔壁区画内および発光層全面でほぼ均一な発光を呈することを確認することができた。また、隔壁区画内面積に対する発光部分の面積の割合〔発光面積率(%)=(発光面積/隔壁区画内面積)×100〕は、実施例12が65%、実施例13が75%、実施例14が40%であった。
実施例15
実施例2と同様にして、正孔輸送層までを形成した。次いで、表1に示す成分組成において、界面活性剤(E1)を界面活性剤(E2):大日本インキ化学工業社製「メガファックF475」にとしたこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製し、吸光度を測定し、上記下引き層(1)上に実施例1と同様にして細線画像までを形成し、同様に評価を行った。この場合、下引き層も含めて細線画像とする。結果を表1に示す。更に、この隔壁用感光製組成物及び下引き層を用い、実施例10と同様にして隔壁を形成し、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極を形成し、封止を行い、有機電界発光素子を作製し、評価したところ、発光層が隔壁区画から溢れて隣の画素と混ざり合うこともなく、隔壁区画内および発光層全面でほぼ均一な発光を呈することを確認することができた。
比較例4
実施例2と同様にして、正孔輸送層までを形成した。次いで、表1に示す成分組成において、撥液剤をエチレン性不飽和基を有さないもの、住友スリーエフ社製「ノベックFC−4430」としたこと以外は、それぞれ実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製し、撥液性評価を行ったところ、評価はCであった。
比較例5
実施例2と同様にして、正孔輸送層までを形成した。次いで、表1に示す成分組成において、界面活性剤(E1)を除いた以外、それぞれ実施例1と同様にして隔壁用感光性組成物を調製し、撥液性評価を行ったところ、評価はBであった。また、隔壁要感光性組成物塗布層には、1から10μm径の塗布欠陥(ピンホール)が多数発生した。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子
11 細線画像
12 基板
Claims (11)
- (A)成分;エチレン性不飽和化合物、(B)成分;光重合開始剤、(C)成分;アルカリ可溶性バインダー、および(D)成分;撥液剤、(E)成分;界面活性剤を含有するアクティブ駆動型有機電界発光素子の有機層を区画する断面順テーパ状撥液性隔壁を形成するために用いられる隔壁用感光性組成物であって、(C)成分のアルカリ可溶性バインダーが側鎖にエチレン性不飽和基を有する, (D)成分の撥液剤が側鎖にエチレン性不飽和基を有するフッ素系化合物であり、(E)成分の界面活性剤が、フッ素系界面活性剤および/またはシリコーン系界面活性剤であることを特徴とする、アクティブ駆動型有機電界発光素子の隔壁用感光性組成物。
- 隔壁用感光性組成物が、膜厚2μmの塗膜におけるパターン露光用の光に対する吸光度が0.9未満のものであることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁用感光性組成物。
- (B)成分の光重合開始剤の含有量が感光性組成物に対して20重量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の隔壁用感光性組成物。
- (A)成分のエチレン性不飽和化合物を、重量比で、(C)成分のアルカリ可溶性バインダーの0.15以上1.5以下の割合で含有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の隔壁用感光性組成物。
- 隔壁用感光性組成物が、膜厚2μmの塗膜におけるパターン露光用の光に対する吸光度が0.5未満であり、且つ、以下の方法で形成した細線画像を230℃で30分間加熱したときの加熱前後の細線画像の側面のテーパ角が共に順テーパ状のものであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の隔壁用感光性組成物。
細線画像の形成方法;隔壁用感光性組成物を用いて基板上に形成した膜厚2μmの塗膜に、線幅15μmの細線パターンを有するマスクを介して、パターン露光用の光を100mJ/cm2 で照射し、次いで、23℃、水圧0.14MPaのシャワー現像を行う方法。 - 隔壁用感光性組成物が、膜厚2μmの塗膜におけるパターン露光用の光に対する吸光度が0.5以上0.9未満であり、且つ、以下の方法で形成した細線画像の側面のテーパ角が逆テーパ状であり、該細線画像を230℃で30分間加熱したときの細線画像の側面のテーパ角が順テーパ状のものであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の隔壁用感光性組成物。
細線画像の形成方法;隔壁用感光性組成物を用いて基板上に形成した膜厚2μmの塗膜に、線幅15μmの細線パターンを有するマスクを介して、パターン露光用の光を10mJ/cm2 で照射し、次いで、23℃、水圧0.14MPaのシャワー現像を行う方法。 - 基板上に、直接または他の層を介して、断面順テーパ状隔壁および該隔壁によって区画された領域を有し、該隔壁によって区画された領域内に有機層を有するアクティブ駆動型有機電界発光表示装置において、該隔壁が請求項1ないし6のいずれか一項に記載の隔壁用感光性組成物を用いて形成されたことを特徴とするアクティブ駆動型有機電界発光表示装置。
- 基板上に、陽極、並びに、正孔注入層および/または正孔輸送層を有し、該正孔注入層または正孔輸送層上に、該隔壁用感光性組成物を用いて形成された断面順テーパ状隔壁を有することを特徴とする、請求項7に記載のアクティブ駆動型有機電界発光表示装置。
- 断面順テーパ状隔壁で区画される有機層が発光層であることを特徴とする、請求項7または8に記載のアクティブ駆動型有機電界発光表示装置。
- 該隔壁が下引き層を有する積層構造であることを特徴とする、請求項7ないし9のいずれか一項に記載のアクティブ駆動型有機電界発光表示装置。
- 基板上に、直接または他の層を介して、断面順テーパ状隔壁及び該隔壁によって区画された領域を有し、該隔壁によって区画された領域内に有機層を有するアクティブ駆動型有機電界発光表示装置において、該隔壁の側面と基板または他の層とが形成するテーパ角が15°以上であることを特徴とする、請求項4または5のいずれか一項に記載のアクティブ駆動型有機電界発光表示装置。
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