JP2010073598A - 有機薄膜パターニング用基板、有機電界発光素子、有機el表示装置および有機el照明 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、該電荷輸送層の少なくとも1層が、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有することを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板およびこれを用いた有機電界発光素子。
【選択図】 なし
Description
そこで、例えば、特許文献1では、正孔注入層を基板の全面に形成し、正孔注入層上にバンクを形成する方法が開示されている。この方法によれば、従来のよりも簡易な工程で、かつ、バンクで区画された領域内に形成される各層の膜厚の不均一を生じにくい。しかしながら、このように正孔注入層などの電荷輸送層上にバンクを形成することにより製造された有機電界発光素子は、均一な発光が得られなかったり、十分な寿命が得られなかったり、駆動電圧が高くなってしまったりするという問題点があった。
すなわち、本発明は、基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、該電荷輸送層の少なくとも1層が、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有することを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板、およびこれを用いた有機電界発光素子ならびに該有機電界発光素子を用いた有機EL表示装置および有機EL照明に存する。
また、このような有機電界発光素子を用いた、高性能の有機EL表示装置および有機E
Lディスプレイを得ることができる。
<有機薄膜パターニング用基板>
本発明は、基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、該電荷輸送層の少なくとも1層が、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有することを特徴とする有機薄膜パターニング用基板に関する。
(アミン系架橋性化合物)
本発明においては、基板上に直接または他の層を介して形成される1層または2層以上の電荷輸送層のうち少なくとも1層がアミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有する。
本発明において架橋性基とは、近傍に位置するほかの分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。例えば、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により、近傍に位置する他の分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基が挙げられる。
アミン系架橋性化合物を溶剤に溶解または分散させた組成物(以下、アミン系架橋性組成物という)には、アミン系架橋性化合物が1種のみ含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。アミン系架橋性組成物は、該溶剤を、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上含有する。
リアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などの電荷輸送材料が本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の電荷輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
また、さらに、アミン系架橋性組成物は、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
成膜方法としては、湿式成膜法が用いられることが好ましく、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
成膜時の相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
成膜後、加熱および/または光などの活性エネルギー線の照射により、アミン系架橋性化合物を架橋させる。
加熱の場合の加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。 加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段とし
ては特に限定されないが、成膜された層を有する基板をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
以上のようにして、アミン系架橋性化合物を架橋させたポリマーを得ることができる。アミン系架橋性化合物を架橋させたポリマーを含有する電荷輸送層は、アミン系架橋性化合物を架橋させたポリマーからなるものであってもよいし、アミン系架橋性化合物を架橋させたポリマーの他、その他の材料を含有するものであってもよい。
(電荷輸送層)
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上に直接または他の層を介して形成される1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有することを特徴とする。本発明において、アミン系架橋性化合物を架橋したポリマーを含有する電荷輸送層は、1層または2層以上の電荷輸送層のうちいずれの層であってもよいが、基板に最も近い電荷輸送層であることが好ましい。本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上に電極層を介して形成される1層または2層以上の電荷輸送層を有する構成であることが好ましく、この場合、電極層に隣接して形成される電荷輸送層が、アミン系架橋性化合物を架橋したポリマーを含有する電荷輸送層であることが好ましい。
この場合、第1の電荷輸送層および/または第2の電荷輸送層がアミン系架橋性化合物を架橋したポリマーを含有する電荷輸送層であるが、第1の電荷輸送層がアミン系架橋性化合物を架橋したポリマーを含有する電荷輸送層であることが好ましい。
尚、本発明において電荷輸送層とは、電荷輸送性化合物を含有する層であり、通常は、有機電界発光素子の2つの電極層の間(すなわち、陽極と陰極の間)に形成される層であればよい。ただし、本発明において、有機薄膜パターニング用基板は、発光層のRGBの各色の塗り分けに用いられることが好ましいため、電荷輸送層としては発光層以外の層であることが好ましく、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等であることが好ましい。また、上記第1の電荷輸送層は正孔注入層であることがより好ましく、第2の電荷輸送層は正孔輸送層であることがより好ましい。
(有機薄膜パターニング用基板の作製)
以下、図1を参照にして、基板上に、電極層として陽極を形成し、第1の電荷輸送層として正孔注入層、第2の電荷輸送層として正孔輸送層を形成し、該第2の電荷輸送層上にバンクが形成された有機薄膜パターニング用基板を例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない(尚、図1は、陽極を省略した図となっている)。本発明において、電荷輸送層は上記のとおり、正孔注入層や正孔輸送層以外であってもよいし、1層からなるものであってもよいし、また電極層は陰極であってもよい。
(基板)
基板としては、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光
の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板1と一体化されたものであってもよい。また、さらには、異なる導電材料が積層されたものであってもよい。
前記基板において、パターニングされた陽極上に有機薄膜を形成して発光素子を作製した場合、該陽極の辺縁部における素子劣化が問題の1つに挙げられる。こうした素子劣化は、該辺縁部が後述の陰極と対向した部分において顕著に現れる。この原因として挙げられるのは、該陽極と陰極に挟まれた有機薄膜に掛かる局所的な電界強度と電流密度の関係が、辺縁部では中央の平坦部と比べて極端に異なることによる。つまり、辺縁部ではその断面形状の特殊性(段差の存在)からくる電界強度の上昇とそれに伴う電流密度の増加により、局所的に有機薄膜を構成する材料の劣化が促進され、もって素子寿命がさらに短縮される結果となる。
パターニングの方法としてはフォトリソグラフィー法が一般的に用いられている。また、開口を形成する方法としては、反応性イオンエッチング法の他、イオンミリング法、ウェットエッチング法などが用いられる。
しかしながら、こうした開口絶縁膜を形成することは、素子作製工程を増やし、歩留りの低下や製造コストの押し上げといったことに影響を与えることになり、できれば無い方が好ましい。これを可能にする方法の1つに、前記バンクを開口絶縁膜として用いる方法がある。それにはバンクの平面形状として前記陽極の辺縁部を覆うように設計することで実現可能である。
(第1の電荷輸送層/正孔注入層)
第1の電荷輸送層(正孔注入層)は、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有する層であることが好ましい。この場合、上記のとおり、アミン系架橋性組成物を上記陽極の全面(本発明において全面とは、ほぼ全面も含む)に成膜して、アミン系架橋性化合物を架橋させることにより、架橋により得られたポリマーを含有する層とする(図1A)。アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有する層を正孔注入層に用いる場合は、アミン系架橋性組成物中に電子受容性化合物を含有させる等により、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーとともに、電子受容性化合物を含有する層とすることが好ましい。
以下、正孔注入層がアミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有する層でない場合について説明する。
正孔注入層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物としては、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる
可能性がある。
正孔注入層形成用組成物は、さらに電子受容性化合物を含有することが好ましく、電子受容性化合物の具体例としては、上記アミン系架橋性組成物に含有していてもよい電子受容性化合物として例示したものと同様である。正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(第2の電荷輸送層/正孔輸送層)
第2の電荷輸送層(正孔輸送層)は、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有する層であることが好ましい。この場合、上記のとおり、アミン系架橋性組成物を上記正孔注入層上の全面に成膜して、アミン系架橋性化合物を架橋させることにより、架橋により得られたポリマーを含有する層とする(図1B)。
以下、正孔輸送層がアミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有する層でない場合について説明する。
正孔輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、AraまたはArbが異なっているものであってもよい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)およびフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Xの具体例としては、酸素原子、置換基を有していてもよいホウ素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、置換基を有していてもよいケイ素原子、置換基を有していてもよいリン原子、置換基を有していてもよいイオウ原子、置換基を有していてもよい炭素原子またはこれらが結合してなる基である。
Arc〜Arjの具体例としては、前記式(II)における、Ara及びArbと同様である。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、上記正孔注入層の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層の形成の場合と同様である。
正孔輸送層は、また、アミン系架橋性化合物以外の架橋性基を有する化合物を架橋して形成される層であってもよい。その場合、架橋性化合物は、上記正孔輸送性化合物として例示した化合物の分子内に、上記のような架橋性基を有するものである。
(バンクの形成)
上記正孔輸送層上に、バンクを形成する。バンクの形成方法は特に限定されるものではないが、フォトリソグラフィー法により形成されることが好ましく、正孔輸送層上に感光性組成物を成膜して、露光、現像することによりバンクを形成することが好ましい。また、現像後、バンクで区画された領域内に、感光性組成物の残渣が残ると、有機電界発光素子としたときの発光に影響を及ぼす場合があるため、感光性組成物を成膜する前に、親水性化合物含有組成物を成膜し下引き層を形成した後(図1C)、この上に感光性組成物を成膜し(図1D)、露光、現像に供することが好ましい(図1E)。これにより、バンクは、親水性化合物含有組成物により形成される下引き層、感光性組成物により形成される樹脂層の積層構造となる(図1F)。バンクは、このように2層または3層以上からなる積層体であってもよく、単層からなるものであってもよい。
(下引き層)
まず、親水性化合物含有組成物を用いて形成される下引き層について説明する。親水性化合物含有組成物は、親水性化合物を含有し、通常、さらに溶剤を含有する。
この下引き層の形成方法としては特に制限はないが、親水性化合物を含有する親水性化合物含有組成物を正孔輸送層上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。
親水性化合物含有組成物は、感光後に重合または硬化し、その後の現像工程における現
像液に対して不溶若しくは難溶の性質を獲得する感光性組成物(いわゆるネガ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよいし、露光部が感光によって変化し、その後の現像工程における現像液に対して易溶の性質を獲得する組成物を含む感光性組成物(いわゆるポジ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよい。また、特に、無機系ネガ型感光性組成物を採用してもよい。その1例としては、ペルオキソポリタングステン酸水溶液が挙げられる。その調製方法としては、以下の文献に記載のものが挙げられる。Excimer laser exposure characteristics of inorganic resists based on peroxopolytungstic acids. Ishikawa, Akira;Okamoto, Hiroshi; Miyauchi, Katsuki; Kudo, Tetsuichi. Cent. Res. Lab., Hitachi, Ltd., Tokyo, Japan. Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering (1989), 1086(Adv. Resist Technol. Process. 6), 180-5. このような無機系感光性組成物を用いたときには、バンクで区画された領域は、界面反応の痕跡を検出することができず、該バンクを形成する以前の表面と同様に良好に保たれる。
本発明において、親水性化合物とは、水に溶解または膨潤する化合物である。具体的には、分子内に、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基などの官能基を有する化合物であることが好ましい。特に、親水性化合物は、有機化合物であることが好ましく、耐性を確保するため、親水性樹脂であることが好ましい。ここで、親水性樹脂とは、上記官能基を有する樹脂であり、通常は、上記官能基を含有する単位(モノマーやポリマー)を重合や縮合して得られる樹脂をいい、重量平均分子量(Mw)が1000〜2,000,000程度の高分子材料をいう。
親水性化合物としては、上記例示の中で、ビニルピロリドンの(共)重合体、(メタ)
アクリル酸の(共)重合体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類などの親水性樹脂が好ましい。
親水性化合物は、親水性化合物含有組成物の全固形分中、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上で、100重量%以下含有されることが好ましい。
本発明に係る親水性化合物含有組成物には、上記親水性化合物の他、必要に応じて他の
成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物やその他反応性化合物、界面活性剤、フィラー、基板密着増強剤、酸やアルコールなどの現像促進剤、色材、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤などが挙げられる。特に、親水性化合物含有組成物中に光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物を含有させることにより該組成物に感光性をもたせ、樹脂層と共に露光時に重合させることも、それぞれの界面での接着性を確保する意味で有用である。
親水性化合物含有組成物中の、全固形分濃度は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
下引き層の具体的な膜厚は、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上が特に好ましく、4μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。下引き層の膜厚がこの下限を下回ると、下引き層の効果が得られ難く、上限を上回ると、上述の如く、バンクで区画された領域内に有機薄膜が均一に形成され難くなる。また、下引き層に感光性を持たせない場合は、上層のバンク用レジスト層を保持することが難しくなる。
(樹脂層)
正孔輸送層上または上記下引き層上の全面に感光性組成物を成膜し、露光、現像することにより、バンクを形成する。本発明では、バンクのうち、感光性組成物により形成される部分を樹脂層という。すなわち、本発明では、露光現像前の感光性組成物により形成される層をバンク用レジスト層といい、バンク用レジスト層が露光現像により硬化し、バンクを形成した状態となっているものを樹脂層という。
(1)エチレン性不飽和化合物
本発明において、エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。重合性、架橋性、露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。特に、そのエチレン性不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
感光性組成物中に、エチレン性不飽和化合物は、1種のみ含まれていても、2種以上が
含まれていてもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、および、(メタ)アクリル酸またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
(2)光重合開始剤
光重合開始剤は、活性光線によりエチレン性不飽和化合物のエチレン性不飽和結合を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
エチレン性不飽和化合物に対する光重合開始剤の配合比としては、(エチレン性不飽和化合物)/(光重合開始剤)(重量比)の値として、通常1/1〜100/1、好ましくは2/1〜50/1である。エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤との配合比がこの範囲を逸脱すると、密着性や硬化性が低下する場合がある。
光重合開始剤として具体的には、ハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、安息香酸エステル誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アンスロン誘導体、チタノセン誘導体、オキシムエステル系化合物などが挙げられる。
始剤との併用割合としては、光重合開始剤に対して、水素供与性化合物または熱重合開始剤を5〜300重量%とすることが好ましい。
(3)溶剤
溶剤としては、特に制限はないが、水あるいは有機溶剤が挙げられる。溶剤は1種を単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。
(4)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、現像液で現像可能な樹脂であれば特に限定されないが、現像液としてアルカリ現像液が好ましいため、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル酸系樹脂、エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂、変性ノボラック樹脂、カルボキシ基含有ウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ノボラック樹脂、カルド樹脂、等が好適に用いられるが、各種エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂が特に好ましい。
感光性組成物中に、バインダー樹脂は、1種のみ含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合は均一な塗布膜を得るのが難しく、また、100,000を超える場合は現像性が低下する傾向がある。
以下、アクリル酸系樹脂、エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂、変性ノボラック樹脂について説明する。
[A]アクリル酸系樹脂
アクリル酸系樹脂としては、アルカリ可溶性を確保するために側鎖または主鎖にカルボキシ基またはフェノール性水酸基を有する単量体由来の構成成分を含むことが好ましく、高アルカリ性溶液での現像が可能な樹脂が好ましい。
[B]エチレン性不飽和基とカルボキシ基を含有する樹脂
エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂としては、公知のエチレン性不飽和基とカルボキシ基とを少なくとも一つずつ有する樹脂の1種または2種以上を用いることが好ましい。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシ基含有ビニル系樹脂としては、カルボキシ基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物、2種以上の不飽和基を有する化合物と不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、E−R−N−T樹脂等が挙げられる。尚、E−R−N−T樹脂とは、(E)成分:エポキシ基含有(メタ)アクリレートを5〜90モル%と、(R)成分:(E)成分と共重合し得る他のラジカル重合性化合物を10〜95モル%とを共重合し、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の10〜100モル%に、(N)成分:不飽和一塩基酸を付加し、この(N)成分を付加したときに生成する水酸基の10〜100モル%に、(T)成分:多塩基酸無水物を付加して得られる樹脂である。
[C]変性ノボラック樹脂
変性ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂の1種または2種以上と不飽和基含有エポキシ化合物の1種または2種以上を反応させ、この反応物の水酸基にさらに多塩基酸および/またはその無水物の1種または2種以上を付加させることで得られる樹脂である(ただし、ノボラック樹脂の代りにレゾール樹脂を用いてもよい。)。
(5)アミノ化合物
アミノ化合物を架橋剤として用いることができる。感光性組成物中の架橋剤の含有割合としては、全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。上限を上回ると、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。また、下限を下回ると硬化促進効果が期待できない。アミノ化合物としては、例えば、官能基としてメチロール基、それを炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物が挙げられる。
(6)表面改質剤、現像改良剤
表面改質剤あるいは現像改良剤としては、例えば公知の、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコン系界面活性剤を用いることができる。また、現像改良剤と
して、有機カルボン酸或いはその無水物など公知のものを用いることもできる。また、その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
(7)撥インク性成分
本発明において、撥インク性成分は、バンクで区画された領域内に形成される有機薄膜を形成するインクをはじく性質を有する成分であり、撥インク性成分を含有することにより、該インクのバンクに対する接触角が20°、より好ましくは30°以上、特に好ましくは45°以上となることである。撥インク性成分としては、バンクに撥インク性を持たせる効果があるものであればよく、特に限定されないが、フッ素含有化合物やシリコン含有化合物が挙げられるが、フッ素含有化合物が好ましい。
また、架橋性基を有するフッ素含有化合物も現像処理の際に流れ出る可能性が低いので好ましい。この架橋性基を有するフッ素含有化合物としては、例えばメガファックRS−101、RS−102、RS−105、RS−401、RS−402、RS−501、RS−502(以上、DIC社製)、オプツールDAC(ダイキン工業社製)、パーフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
(8)着色剤
着色剤としては、顔料、染料等公知の着色剤を用いることができる。また、例えば、顔料を用いる際に、その顔料が凝集したりせずに安定して感光性組成物中に存在できるように、公知の分散剤や分散助剤が併用されてもよい。特にバンクを黒色に着色することで、
鮮明な画素が得られる効果がある。黒色着色剤としては黒色染料や、カーボンブラック、チタンブラックなどの他、有機顔料を混合させて黒く着色することも低導電性を持たせる効果として有効である。
(9)重合禁止剤、酸化防止剤
感光性組成物には、安定性向上の観点等から、ハイドロキノン、メトキシフェノール等の重合禁止剤や、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)等のヒンダ
ードフェノール系の酸化防止剤を含有する事が好ましい。その含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常5ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上600ppm以下の範囲である。下限を下回ると、安定性が悪化する傾向となる。上限を上回ると、例えば光および/または熱による硬化の際に、硬化が不十分となる可能性がある。
(10)シランカップリング剤
感光性組成物には、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系等種々の物が使用できる。その含有割合は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
(11)エポキシ化合物
感光性組成物には、硬化性や基板との密着性を改善するため、エポキシ化合物を添加することも好ましい。
エポキシ化合物の含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。上限を上回ると、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。
(感光性組成物の塗布)
上述のような感光性組成物を、下引き層上に塗布して、バンク用レジスト層を形成する際の塗布方法としては、上記湿式成膜法が挙げられる。中でも、ダイコート法が好ましい。
(乾燥)
下引き層上に感光性組成物を塗布した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用することが好ましい。
、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥温度が低過ぎたり乾燥時間が短い場合には十分に乾燥を行うことができず感度が不安定となり、乾燥温度が高過ぎたり、乾燥時間が長過ぎると、生産性低下や、基板、その他の層の熱劣化の問題があり、好ましくない。
{バンク形成工程}
上述のように下引き層の上に、撥インク性成分を含有する感光性組成物を全面塗布、乾燥することでバンク用レジスト層を形成した後、露光マスク20を用いてバンクパターンを露光し、さらに非画像部を下引き層と共に現像処理で除去することにより、バンクを形成する。
(露光)
露光は、感光性組成物を塗布、乾燥して形成されたバンク用レジスト層上に、ネガの露光マスク(マスクパターン)を重ね、この露光マスクを介し、紫外線または可視光線等の光活性線の光源を照射して行う。このように露光マスクを用いて露光を行う場合には、露光マスクをバンク用レジスト層に近接させる方法や、露光マスクをバンク用レジスト層から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によってもよい。
また、露光マスクを用いないレーザー光による走査露光方式によってもよい。
上記の露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
露光量としては、通常、1mJ/cm2以上、好ましくは5mJ/cm2以上、より好ましくは10mJ/cm2以上であり、通常300mJ/cm2以下、好ましくは200mJ/cm2以下、より好ましくは150mJ/cm2以下である。
(現像)
上記の露光を行った後、現像することで、画像パターンを形成することができる。現像に用いる現像液としては、限定されるものではないが、アルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤を用いることが好ましい。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−またはトリエタノールアミン、モノ−・ジ−またはトリメチルアミン、モノ−・ジ−またはトリエチルアミン、モノ−またはジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−またはトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
この場合、この有機アルカリ水溶液の有機アルカリ性化合物濃度は過度に高濃度であるとバンクにダメージを与える可能性があり、過度に低濃度であると充分な現像性が確保できない可能性がある。
例えば、TMAH等の有機アルカリ0.05〜5重量%と、エチルアルコール等のアルコール類0.1〜20重量%を含む水溶液として用いてもよい。
現像の際、非画像部の下引き層はバンク用レジスト層とともに除去される。従って、非画像部にバンク用レジスト層及び下引き層は残留せず、非画像部には、下引き層の下層の基板または他の層が表出する。ここで、非画像部とは、露光、現像により除去される部分であって、バンクとして残る以外の部分をいう。 また、露光する前の感光性組成物を成
膜して得られる層をバンク用レジスト層とよび、露光後はこれを樹脂層とよぶ。
(追露光および熱硬化処理)
現像の後、必要により上記の露光方法と同様な方法により追露光を行ってもよく、また熱硬化処理を行ってもよい。
熱硬化処理条件の温度は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、通常280℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下であり、時間は、通常5分以上、好ましくは20分以上、通常60分以下である。特に、撥液性の発現には、熱硬化処理を200〜240℃で20〜60分程度実施することが好ましい。
<有機電界発光素子>
本発明は、上記有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子であって、該バンクによって区画された領域に、1層または2層以上の有機薄膜を有することを特徴とする。
発光層以外の層としては、有機電界発光素子の電極層の間(すなわち、陽極と陰極の間)に形成される層であればよい。
(有機薄膜の形成)
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上のバンクによって区画された領域内(以下、バンク区画領域内という場合がある。)に有機薄膜を形成するために用いられる。
有機薄膜パターニング用基板の基板上のバンクで区画された領域内に有機薄膜を形成させるには、通常、有機薄膜の成分を溶剤に溶解または分散させたインクをバンク区画領域内に供給して乾燥させる(図1G)。
このインクをバンク区画領域内に供給させる方法は特に限定されないが、インクジェット法(液滴吐出法)やノズルプリント法(液流吐出法)といったインク吐出型の塗布法が好ましく(特開昭59−75205号公報、特開昭61−245106号公報、特開昭63−235901号公報)、特にインクジェット法が好ましい。
また、特に、インクジェット法の場合、20plの液滴サイズで被塗布面に着滴させたとき、着滴後1分経過後の液滴径が100〜400μmのような溶剤であることが好ましく、さらに好ましくはこの液滴径は150〜300μmである。これにより、膜厚ムラやピンホールの発生を防止し、かつ端部の直線性を確保することができる。
(発光層)
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料を
ドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
(発光材料)
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
以下、発光材料のうち蛍光発光材料の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、クリセン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光材料の分子量が大き過ぎると、有機化合物の精製が困難となってしまったり、溶剤に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(正孔輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3における正孔輸送性化合物として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年, Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91, pp.209)等が挙げられる。
発光層における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(電子輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。電子輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記アミン系架橋性組成物で説明した溶剤と同様である。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
(その他の層)
以下、上記説明した、正孔注入層、正孔輸送層および発光層以外の、有機電界発光素子の電極層の間(すなわち、陽極と陰極の間)に形成される層および陰極について説明する。電極層の間に形成される層は、有機薄膜パターニング用基板における電荷輸送層として用いられてもよいし、バンク区画領域内に形成される有機薄膜として用いられてもよい。
{正孔阻止層}
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メ
チル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
{電子輸送層}
発光層と後述の電子注入層の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極9または電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
{電子注入層}
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率良く発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
{陰極}
陰極は、発光層側の層に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
{電子阻止層}
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
さらに陰極と発光層または電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率
を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices,1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest,pp.154等参照)。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V2O5)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
<有機EL照明>
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
<陽極の形成>
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ製膜品)を通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。陽極を形成した基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超
音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。陽極を形成した基板のITOの表面粗さをVertScan(菱化システム社製)にて測定したところ、Ra:0.62 nm Rmax:3.69 nmであった。
<正孔注入層の形成>
次に、正孔注入層形成用組成物(アミン系架橋性組成物)の調製を行った。下記式P1で表されるアミン系架橋性化合物(重量平均分子量63,000)2重量%と、下記式A1で表される電子受容性化合物0.8重量%を、溶剤として安息香酸エチルに溶解し、正孔注入層形成用組成物を調製した。
<正孔輸送層の形成>
次に、正孔輸送層形成用組成物(アミン系架橋性組成物)の調製を行った。下記式(A2)で表されるアミン系架橋性化合物(重量平均分子量10000)が0.4重量%の濃度となるように溶剤としてトルエンに溶解し、正孔注入層形成用組成物を調製した。トルエンは市販の脱水トルエンを用い、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で該正孔注入層形成用組成物を調製した。
正孔輸送層形成用組成物の調製、スピンコートおよびベークは、すべて酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露せずに行った。正孔輸送層の表面粗さを上記ITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.49
nm Rmax:3.65 nmであった。
<バンクの形成>
次に、正孔輸送層までを形成した基板を大気中に取り出し、紫外光をカットしたイエロールームにてバンクの形成を行った。
(親水性化合物含有組成物)
親水性化合物:ポリビニルピロリドン K−85(日本触媒社製)
エチレン性不飽和化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)
光重合開始剤:イルガキュア907(チバスペシャルケミカルズ社製)
また、バンク用レジスト層(樹脂層)を形成するため、感光性組成物として以下に示す、バインダー樹脂を48重量部、エチレン性不飽和化合物(1)を24重量部、エチレン性不飽和化合物(2)を24重量部、エチレン性不飽和化合物(3)を5重量部、光重合開始剤を1.5重量部、表面改質剤を0.1重量部、撥インク性成分を1重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する組成物を調製した。調製はそれぞれの成分を配合し、よく混ぜ合わせることにより行った。
(感光性組成物)
バインダー樹脂:以下の合成例で合成された樹脂
エチレン性不飽和化合物(1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)
エチレン性不飽和化合物(2):デコナールアクリレートDA−314(ナガセケムテックス社製)/以下の2化合物の混合物
表面改質剤:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン BYK−330(ビックケミー社製)
撥インク性成分:メガファック RS−102(DIC社製)
(合成例/バインダー樹脂の製造)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。これに、スチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成(株)製「
FA−513M」)82重量部を滴下し、更に、140℃で2時間攪拌し続けた。次に、反応容器内を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ、下記式で表されるアルカリ可溶性樹脂であるバインダー樹脂を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は約8000であった。
さらに該下引き層上に、感光性組成物をスピンコート法により、乾燥膜厚3μmとなるようにバンク用レジスト層を該下引き層上の全面に成膜した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。成膜後、常温で1分間、真空乾燥し、さらにホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥した。形成された下引き層とバンク用レジスト層の厚みは、全厚で3.1μmであった。
光条件にて露光を施した。照射後、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の2.38%水溶液およびエタノール10重量%を含む水溶液を現像液として、23℃において、水圧0.1MPaのシャワー現像を2分間施した後、純水スプレーで30秒間リ
ンスし、圧空で水を切った。ついで、基板を窒素グローブボックス中に移し、窒素グローブボックス中で230℃、30分間ポストベークし、正孔輸送層上に下引き層と樹脂層の2層がこの順で積層されたバンクを形成した。形成したバンクは全厚3.1μm、開口部が1辺70μmの長さである略正方形となった。このようにして、バンクが形成された後
で、非露光部の下引き層がバンク用レジスト層と共に現像工程で除去され、正孔輸送層が露出した表面の表面粗さを、ITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.48 nm Rmax:3.35 nmであった。
<発光層の形成>
次に、有機薄膜として発光層を形成した。ホスト材料として、以下に示す有機化合物(C3)および(C4)、また、ドーパント材料として以下に示すイリジウム錯体(D2)を、(C3):(C4):(D2)=10:10:1(重量比)の比率で、溶剤であるCHBに溶解させ、インクジェット用インクとして用いられる、固形分濃度0.5重量%の発光層形成用組成物を調製した。
なお、20ノズル(該発光層形成用組成物を吐出する開口が20個ならんでいるノズル)を同時に使用して、20×20の区画領域にインクを吐出した。終了後、速やかに発光層が形成された基板を減圧乾燥機に導入し、減圧下(10kPa)、130℃、1時間の乾燥を行った。このようにして膜厚25nmの発光層を形成した。
<正孔阻止層の形成>
下記式(iii)で表される化合物を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、発光層が形
成された基板上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.2×10-6Torr、(1.6×10−4Pa)、蒸着速度1.0Å/秒(0.1nm/sec)とし、膜厚10nmの正孔阻止層を形成した。
下記式(iv)で表される化合物を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、正孔阻止層上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.2×10-6Torr(1.6×10−4Pa)、蒸着速度1.5Å/秒(0.15nm/sec)とし、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
ここで、電子輸送層までを形成した素子を一度真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して、正孔阻止層や電子輸送層の蒸着時と同様にして装置内の真空度が2×10-6Torr(2.7×10−4Pa)になるまで排気した。フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.05Å/秒(0.005nm/sec)、真空度2.0×10−6Torr(2.7×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜した。
<陰極形成>
次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度4Å/秒(0.4nm/sec)、真空度5×10−6Torr(6.7×10−4Pa)で膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極を形成した。
<封止>
陰極までを形成した基板を真空蒸着装置内より、大気中に取り出して、窒素グローブボックス(酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppm)に速やかに導入し、その中で封止を行った。
縁取り)部と略同形状になるよう、該紫外線硬化樹脂を塗布し、該キャップをその塗布した樹脂とリブ部とが重なり合うように貼り合わせ、該キャップ側からスポット紫外線照射装置によって紫外線硬化樹脂を硬化させた。
(比較例1)
正孔注入層を以下の方法で形成した他は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。形成したバンクは全厚3.1μm、開口部が1辺70μmの長さである略正方
形となった。この素子は、該正方形の発光領域にムラが認められた。また、実施例1の素子に比べて寿命は短かった。
また、バンク表面のCHBに対する接触角を測定した結果、接触角は60°であり、バンクで区画された領域のCHBに対する接触角は7°から15°であった。
<正孔注入層の形成>
正孔注入層形成用組成物の調製を行った。下記式P3の繰り返し構造を有する芳香族三級アミン高分子化合物(重量平均分子質量29600;ガラス転移温度177℃)2重量%と、下記式A1で表される電子受容性化合物0.8重量%を、溶剤として安息香酸エチルに溶解し、正孔注入層形成用組成物を調製した。
2.電荷輸送層(第1)
3.電荷輸送層(第2)
4.下引き層
5.バンク用レジスト層
6.露光マスク
7.活性光線
8.バンクで区画された領域
9.樹脂層
10.有機薄膜
11.バンク
Claims (12)
- 基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、
該電荷輸送層の少なくとも1層が、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有することを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板。 - 基板上に電極層を有し、該電極層上に第1の電荷輸送層および第2の電荷輸送層をこの順に有し、該第2の電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 第1の電荷輸送層が、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有することを特徴とする、請求項2に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 第2の電荷輸送層が、アミン系架橋性化合物を架橋して得られたポリマーを含有することを特徴とする、請求項2に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 該アミン系架橋性化合物が、分子内にフルオレン環を有する化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 該バンクは、撥インク性成分を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 該バンクは、下引き層と該下引き層上の樹脂層を含む積層構造であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 該下引き層が親水性化合物を含有し、該樹脂層が撥インク性成分を含有することを特徴とする、請求項7に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子であって、該バンクによって区画された領域に、1層または2層以上の有機薄膜を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
- 該有機薄膜の少なくとも1層が発光層であることを特徴とする、請求項9に記載の有機電界発光素子。
- 請求項9または10に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL表示装置。
- 請求項9または10に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL照明。
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