JP2012069920A - 有機電界発光素子、有機elモジュール、有機el表示装置、及び有機el照明 - Google Patents

有機電界発光素子、有機elモジュール、有機el表示装置、及び有機el照明 Download PDF

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Abstract

【課題】光取り出し効率の改善のために散乱層を設けた有機電界発光素子において、散乱層を設けたことによるダークスポットの発生や陽極/陰極間の短絡の問題を改善する。
【解決手段】散乱層、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層を含む積層体を有する有機電界発光素子。該散乱層に含まれる散乱体が気泡或いはガラス粒であり、且つ該正孔注入層及び/又は正孔輸送層が湿式製膜法により形成されている。散乱層に近い正孔注入層及び/又は正孔輸送層を湿式成膜法で形成することにより、正孔注入層及び/又は正孔輸送層が散乱層表面の凹凸に追従する形で成膜され、保護膜としての機能を発揮し、この上に形成される各層の成膜欠陥を防ぎ、ダークスポットや短絡の問題のない高寿命の有機電界発光素子を実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電界発光素子、有機ELモジュール、有機EL表示装置及び有機EL照明に関する。詳しくは、光取り出し効率の改善のために散乱層を設けた有機電界発光素子であって、散乱層を設けたことによるダークスポットの発生や陽極/陰極間の短絡の問題を改善した有機電界発光素子と、この有機電界発光素子を備える有機ELモジュール、有機EL表示装置及び有機EL照明に関する。
コダック社による蒸着法を用いた積層型有機電界発光素子(以下、「有機EL」と称することがある。)の発表以来、有機ELディスプレイや有機EL照明の開発が盛んに行なわれ、現在実用化されつつある。有機電界発光素子は、薄膜形状で、小型、軽量、高い発光効率などの特徴を有するため、フラットディスプレイ用途だけでなく、広く照明用途などにも大きな期待が持たれている。
また、近年の低炭酸ガス排出環境問題、省エネルギーなどの社会的な要請から、有機電界発光素子においても、ますます高い発光効率が求められており、発光材料の開発とともに高い光り取り出し効率の光素子構造や光装置構造の開発も行われている。
有機電界発光素子は、ガラス基板上に陽極、陰極と両電極間に形成された発光層とを含む構成からなり、両電極への通電で発生した光の一部は、高い屈折率の陽極(例えば、ITO等の透明電極)とガラス基板との界面でITO側へ反射され、残部がガラス基板内へ入射される。ガラス基板を通過した光は、ガラス基板から大気へ出射する際に更にガラス基板と低屈折率の空気との界面でもガラス基板内部へ反射され、最終的には約20%の光だけがガラス基板から大気へ放射されている。
従来、有機電界発光素子の光取り出し効率を改善するために、陽極であるITO等の透明電極とガラス基板との間、或いは、ガラス基板の大気側の表面に、散乱体を含む散乱層を設け、透明電極からガラス基板内部へ或いはガラス基板内から大気へ光を効率的に導波する試みが報告されている。
例えば、特許文献1には、ガラスフリット(粉体)を樹脂とともに練りインクとしたものを使用して、ガラス基板上へ塗布し、高温にて焼成・加熱することにより、ガラスフリットを溶融すると共に、樹脂を焼失させ、その際発生するCOガスを利用して散乱機能を有するCO由来の気泡をガラス散乱層内に形成させることが報告されている。
なお、この特許文献1では、透明電極上の有機層の形成方法として、「ここで、有機層は、塗布法と蒸着法の併用により、形成される。例えば、有機層のある1層以上が塗布法により形成されれば、その他の層は蒸着法により形成される。塗布法により形成した層の後、その上の層を蒸着法で形成する場合、蒸着法で有機層を形成する前に、濃縮乾燥硬化を行う。また、有機層が塗布法のみ蒸着法のみで形成するようにしてもよい。」と記載されるのみで、具体的な正孔注入層、正孔輸送層の形成方法についての記載は一切なされていない。
特許文献1に記載される気泡を散乱層の散乱体とする技術であれば、次のような利点がある。
(1) 散乱層の形成に当たり、透明無機粒子等の散乱体を別途添加する必要はなく、CO由来の気泡を散乱体として使用すれば、散乱体並びに散乱層自体の経時安定性を確保することができ、その結果、有機電界発光素子の劣化を防ぐことができる。
(2) CO由来の気泡、即ち光取出しに必要な散乱体を容易に発生させることができる。
(3) CO由来の気泡は、散乱層を形成するガラス成分と屈折率差が大きいため、光の拡散効果が大きく、また、気泡自体も高い透明性を有することによって背向散乱が少なく、透明電極から散乱層への光取出し効率が高い。
国際公開2009/060916号パンフレット
しかしながら、特許文献1の技術では、次のような課題があった。
(1) 散乱層を形成するインクで気泡を発生させると、気泡がガラス基板側に偏って分布するため、この気泡は透明電極近傍に捕捉された光とは強く作用することができず、このため、透明電極側からの光をガラス基板の中に効率よく取り込むことができない。
(2) 散乱層を形成する過程での冷却過程におけるインク由来のガラス成分の収縮及び表面近傍の気泡の影響により、形成される散乱層の表面平坦性が悪い。このような散乱層上に、通常の真空蒸着法によって有機層を積層成膜した有機電界発光素子では、ダークスポットの発生あるいは透明電極と陰極との間に短絡などの欠陥が発生しやすい。
本発明は、光取り出し効率の改善のために散乱層を設けた有機電界発光素子であって、散乱層を設けたことによるダークスポットの発生や陽極/陰極間の短絡の問題を改善した有機電界発光素子、更には、散乱層内の散乱体の分布を制御することにより、光取り出し効率をより一層高めた有機電界発光素子と、この有機電界発光素子を備える有機ELモジュール、有機EL表示装置及び有機EL照明を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、散乱層に近い正孔注入層及び/又は正孔輸送層(以下、正孔注入層と正孔輸送層とを併せて「下地層」と称する場合がある。)を湿式成膜法(以下、「塗布法」と称する場合がある。)で形成することにより、下地層が散乱層表面の凹凸に追従する形で成膜され、保護膜としての機能を発揮し、その結果、下地層の上に形成される各層の成膜欠陥を防ぎ、ダークスポットや短絡の問題のない高寿命の有機電界発光素子を実現することができること、また、散乱層内の散乱体の分布を調節することにより、透明電極からガラス基板への光の導波をより一層効果的に行って、光取出し効率の更なる向上を図ることができること、を見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 散乱層、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層を含む積層体を有する有機電界発光素子において、該散乱層に含まれる散乱体が気泡或いはガラス粒であり、且つ該正孔注入層及び/又は正孔輸送層が湿式製膜法により形成されていることを特徴とする有機電界発光素子。
[2] 前記正孔注入層及び前記正孔輸送層が、熱不溶性のポリアリールアミノ樹脂を用いて形成されることを特徴とする[1]に記載の有機電界発光素子。
[3] 前記積層体を支持するガラス基板を有し、前記散乱層が、該ガラス基板に隣接して或いは該ガラス基板内に形成されていることを特徴とする[1]又は[2]に記載の有機電界発光素子。
[4] 前記散乱層のガラス基板側の面に隣接して、もしくは前記散乱層のガラス基板側とは反対側の面に隣接して、更に透明電極が積層されていることを特徴とする[3]に記載の有機電界発光素子。
[5] 前記散乱体が気泡であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
[6] 前記散乱層の厚み方向の前記散乱体の数密度が、前記透明電極近傍において、前記透明電極に向かって小さくなっていることを特徴とする[4]又は[5]に記載の有機電界発光素子(ただし、「散乱体の数密度」は「散乱層の単位体積当たりの散乱体の個数(個/m)」である。)。
[7] 前記散乱層の厚み方向の前記散乱体の数密度が、前記透明電極の近傍において、前記透明電極に向かって大きくなっていることを特徴とする[4]又は[5]に記載の有機電界発光素子(ただし、「散乱体の数密度」は「散乱層の単位体積当たりの散乱体の個数(個/m)」である。)。
[8] 前記散乱層の厚み方向の中央部分における前記散乱体の数密度と、前記散乱層の双方の界面側における前記散乱体の数密度との差が30%以下であることを特徴とする[5]ないし[7]のいずれかに記載の有機電界発光素子(ただし、「散乱体の数密度」は「散乱層の単位体積当たりの散乱体の個数(個/m)」である。)。
[9] 前記散乱体がガラス粒であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
[10] [1]ないし[9]のいずれかに記載の有機電界発光素子が複数個、前記積層体の積層方向と交叉方向に並列配置されてなる有機ELモジュールであって、該複数の有機電界発光素子に含まれる発光層が、それぞれ特定の発光スペクトルを有することを特徴とする有機ELモジュール。
[11] [1]ないし[9]のいずれかに記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする有機EL表示装置。
[12] [1]ないし[9]のいずれかに記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする有機EL照明。
[13] [10]に記載の有機ELモジュールを有することを特徴とする有機EL照明。
本発明によれば、散乱層に近い正孔注入層及び/又は正孔輸送層(下地層)を湿式成膜法で形成することにより、下地層が散乱層表面の凹凸に追従する形で成膜され、保護膜としての機能を発揮し、その結果、下地層の上に形成される各層の成膜欠陥を防ぎ、ダークスポットや短絡の問題のない高寿命の有機電界発光素子を実現することができる。また、散乱層内の散乱体の分布を調節することにより、透明電極からガラス基板への光の導波をより一層効果的に行って、光取出し効率の更なる向上を図ることができる。
本発明の有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
[1] 有機電界発光素子
本発明の有機電界発光素子は、散乱層、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層を含む積層体を有する有機電界発光素子において、散乱層に含まれる散乱体が気泡或いはガラス粒であり、且つ正孔注入層及び/又は正孔輸送層が湿式製膜法により形成されていることを特徴とする。
なお、本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、ノズルコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる湿式成膜用の組成物特有の液性に合うためである。
以下に、本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例である図1を参照して各層の構成及びその形成方法について説明する。
図1は本発明にかかる有機電界発光素子20の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は散乱層、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極、10は基板を各々表す。
[基板]
基板10は有機電界発光素子の支持体となるものであり、主としてガラス基板など、可視光に対する透過率が高い材料が用いられる。透過率の高い材料は、具体的にはガラス基板のほかにはプラスチック基板が用いられる。ガラス基板の材料としては、アルカリガラス、無アルカリガラス又は石英ガラスなどの無機ガラスがある。また、プラスチック基板の材料としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデンやポリフッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーなどが挙げられる。なお、基板を水分が透過するのを防止するために、プラスチック基板にバリア性をもたせる構成としても良い。このため、プラスチック基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
ガラス基板としては、環境保護の点からPbを含まないものが好ましい。また、本発明に使用するガラス基板は、その屈折率が1〜2.5、特に1.4〜2.2であることが好ましい。屈折率が上記下限以上であると、散乱層とガラス基板との界面の全反射が起こり難くなり、散乱層からガラス基板への光の透過率が高められる。ガラス基板の屈折率が大きいほど散乱層からガラス基板への光の透過率は向上するが、屈折率が上記上限以下であることによりガラス基板と大気との界面での全反射を起こり難くして、ガラス基板から大気への光の透過率を高めることができる。
散乱層とガラス基板界面での全反射を抑制するため、散乱層とガラス基板界面を不均一にするか、散乱層とガラス基板界面の片面あるいは両面を粗面化し、その間に、ガラス基板と同じ屈折率のオイルもしくは接着剤を浸透させるなど、不均一の界面にすることも有効である。
好ましいガラス基板の厚みは0.1〜100mmであり、より好ましくは0.2〜50mm、さらに好ましくは0.3〜10mmである。ガラス基板の厚みが上記上限以下であることにより光の透過率の低下を抑制し、上記下限以上であることにより物理的強度を維持して基板の割れを防止することができる。
なお、散乱層をガラスフリットで作製するには、歪の問題等を防止するために、ガラス基板の熱膨張係数は50×10−7/℃以上、好ましくは70×10−7/℃以上、より好ましくは80×10−7/℃以上が好ましい。また、さらには散乱層の100〜400℃における平均熱膨張係数は、70×10−7〜95×10−7(℃−1)であり、且つガラス転移温度が450〜550℃であることが好ましい。
[散乱層]
散乱層は、有機電界発光素子の光の取り出し効率向上のために形成されるものである。
<屈折率>
散乱層の屈折率は、その上に形成される陽極としての透明電極の屈折率と同等若しくは低いものが好ましく、ガラス基板の屈折率以上のものが、透明電極と散乱層との界面及び散乱層とガラス基板との界面での全反射が抑制されるため好ましい。
本発明では、散乱層を構成するベース層の屈折率と、このベース層に分布している散乱体の屈折率との差を調整することで、散乱層の屈折率を透明電極の屈折率と同等若しくは低いものとすることができる。
散乱体とベース層の屈折率はいずれも高くても構わないが、屈折率の差(Δn)は、少なくとも発光層の発光スペクトル範囲における一部分において0.2以上であることが好ましい。十分な散乱特性を得るために、屈折率の差(Δn)は、発光スペクトル範囲全域(430nm〜650nm)若しくは可視光の波長範囲全域(360nm〜830nm)に亘って0.2以上であることがより好ましい。
最大の屈折率差を得るためには、散乱層のベース層を構成する高光透過率材料(以下、「ベース材」と称す場合がある。)としては高屈折率ガラス、散乱体としては気体の物体すなわち気泡という構成とすることが望ましい。
本発明ではベース材の屈折率が透明電極の屈折率よりも小さくてもよいため、使用できる材料の選択における自由度は高くなる。しかしながら、この場合も、ベース材の屈折率はできるだけ高いことが望ましいため、ベース材を高屈折率のガラスとすることが好ましい。高屈折率のガラスの成分として、ネットワークフォーマとしてはP、SiO、B、GeO、TeO2から選ばれる1種類又は2種類以上の成分を、高屈折率成分として、TiO2、Nb、WO、Bi、La、Gd、Y、ZrO2、ZnO、BaO、PbO、Sbから選ばれる1種類又は2種類以上の成分を含有する高屈折率ガラスを使用することができる。その他に、ガラスの特性を調整する意味で、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物、フッ化物などを屈折率に対して要求される物性を損なわない範囲で使用してもよい。具体的なガラス系としては、B−ZnO−La系、P−B−R’O−R’’O−TiO2−Nb−WO−Bi系、TeO2−ZnO系、B−Bi系、SiO−Bi系、SiO−ZnO系、B−ZnO系、P−ZnO系などが挙げられる。ここで、R’はアルカリ金属元素、R’’はアルカリ土類金属元素を示す。なお、以上は例であり、上記の条件を満たすような構成であれば、この例に限定されるものではない。
ベース材に特定の透過率スペクトルを持たせることにより、発光の色味を変化させることもできる。着色剤としては、遷移金属酸化物、希土類金属酸化物、金属コロイドなどの公知のものを、単独であるいは組み合わせて使うことができる。
<散乱体>
散乱層中の散乱体としては、気泡或いはガラス粒が挙げられる。気泡は、後述のように、散乱層形成時のガス発生で形成される。ガラス粒とは、散乱層形成時の加熱焼成工程で溶融せずに残留したガラスフリットの未溶融核である。
散乱体の粒径は、0.1〜10μm、特に0.2〜8μmの範囲であり、その平均粒径は0.5〜7μm、特に1〜5μmてあることが好ましい。
散乱体の粒径が上記下限以上であることにより高い光散乱効果が得られ、上記上限以下であることにより散乱体が散乱層表面に突出することを抑制し、高い平坦性が保持される。
なお、ここで、散乱体の粒径とは電子顕微鏡観測により測定された散乱体粒子の直径の値であり、平均粒径はその数平均値である。
散乱層内の散乱体の分布については、次のような分布となっていることが好ましい。
(1) 散乱層の厚み方向において、散乱体の数密度が陽極の透明電極近傍で、透明電極側に向って小さくなる。
(2) 散乱層の厚み方向において、散乱体の数密度が散乱体の透明電極近傍で、透明電極側に向って大きくなる。
なお、ここで、数密度とは、散乱層の単位体積当たりの散乱体の個数(個/m)である。
また、陽極の透明電極近傍とは散乱層中の透明電極側から、厚さ方向に1/3までの部分をさす。
上記(1)の散乱体分布であると高い光散乱効果が得られる。
上記(2)の散乱体分布であると高い光散乱効果に加え、透明電極に束縛された光を散乱層中に導くことができ、光取出し効率の更なる向上が期待できる。
ただし、散乱体は散乱層中に均一に分布していてもよく、この場合には高い光の散乱、透明電極に束縛された光の散乱層への導入効果に加え、散乱層中に取り込まれた光が散乱体粒子間を伝わって、ガラス基板中に効率よく導波することで高い光取り出し効率を実現可能にする。
いずれの場合においても、散乱層の厚み方向の中央部分における散乱体の数密度と、散乱層の双方の界面側における散乱体の数密度との差が30%以下、すなわち散乱層の厚み方向の中央部分における散乱体の数密度A(個/m)と散乱層の双方の界面側における散乱体の数密度B(個/m)との差(A―B)の絶対値が、AとBのうち大きい方の値の30%以下であることが、光取出し効率の点から好ましい。ここで、散乱層の厚み方向の中央部分とは散乱層の透明電極側から厚み方向に1/3〜2/3の部分をさす。
<表面粗さ(Ra)>
散乱層の表面(陽極である透明電極形成側の表面)は平滑であることが好ましく、その10μm間におけるJIS B0610−1994に規定される算術平均粗さ(表面粗さ:Ra)は30nm以下が好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
ここで、散乱層の表面の「10μm間」とは、散乱層表面上において任意に選択された2点間の距離をさす。
<散乱層の厚さ>
本発明に係る散乱層の厚さは2〜100μmが好ましく、特に5〜70μmであることが好ましい。
散乱層の厚さが上記下限以上であることにより光散乱効率が高くなり、上記上限以下であることにより散乱層のひび割れを抑制することができる。
<散乱層の形成方法>
散乱層の形成は、塗布及び焼成により行うが、特に、10〜100μmの厚膜かつ大面積の散乱層を均一かつ迅速に形成するという観点から、ガラスをフリットペースト化して形成する方法が好ましい。
ここで、フリットペーストとは、ガラス粉末を樹脂、溶剤、フィラーなどに分散させたものを指す。フリットペーストをスクリーン印刷などのパターン形成技術を用いてパターニング、焼成することで、散乱層のガラス層被覆が可能となる。
フリットペースト法で散乱層を形成する際のガラス基板の熱変形を抑制するべく、散乱層のガラスの軟化点(Ts)が基板を構成するガラスの歪点(SP)よりも低く、かつ熱膨張係数αの差が小さいことが望ましい。この軟化点と歪点の差は30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。また、散乱層と基板を構成するガラスの熱張率の差は、±10×10−7(1/K)以下であることが好ましく、±5×10−7(1/K)以下であることがより好ましい。
以下フリットペーストの技術概要を示す。
(フリットペースト材料)
〈ガラス粉末〉
用いるガラス粉末の粒径は通常1μm〜10μmである。焼成された膜の熱膨張を制御するため、フィラーを入れることがある。フィラーは、具体的には、ジルコン、シリカ、アルミナなどが用いられ、その粒径は0.1μm〜20μmである。
以下にガラス材料について説明する。
本発明では、散乱層が、P:0〜30モル%、B:0〜14モル%、LiOとNaOとKOの総量:0〜20モル%、Bi:10〜20モル%、TiO:3〜15モル%、Nb:0〜20モル%、WO:0〜15モル%を含み、以上の成分の合量が、90モル%以上であるものも好適に用いられる。
散乱層を形成するガラス組成としては、所望の散乱特性が得られ、フリットペースト化して焼成可能であれば特に限定はされないが、取り出し効率を最大化するためには、例えば、Pを必須成分として含有し、さらにNb、Bi、TiO、WO、の一成分以上を含有する系、B、ZnO及びLaを必須成分として含み、Nb、ZrO、Ta、WOの一成分以上を含有する系、SiOを必須成分として含み、Nb、TiOの一成分以上を含有する系、Biを主成分として含有し、ネットワーク形成成分としてSiO、Bなどを含有する系などが挙げられる。
散乱層を形成するガラス組成としては、所望の散乱特性が得られ、フリットペースト化して焼成可能であれば特に限定はされないが、取り出し効率を最大化するためには、例えば、Pを含み、Nb、Bi、TiO、WOの一成分以上を含有する系、B、Laを必須成分として含み、Nb、ZrO、Ta、WOの一成分以上を含有する系、SiOを必須成分として含み、Nb、TiOの一成分以上を含有する系、Biを主成分として含有し、ガラス形成助剤としてSiO、Bなどを含有する系などが挙げられる。
[1] Pを含み、Nb、Bi、TiO、WO、の一成分以上を含有する散乱層は、モル%表記で、P15〜30%、SiO0〜15%、B0〜18%、Nb5〜40%、TiO0〜15%、WO0〜50%、Bi0〜30%、ただし、Nb+TiO+WO+Bi20〜60%、LiO0〜20%、NaO0〜20%、KO0〜20%、ただしLiO+NaO+KO5〜40%、MgO0〜10%、CaO0〜10%、SrO0〜10%、BaO0〜20%、ZnO0〜20%、Ta0〜10%の組成範囲のガラスが好ましい。
各成分の効果は、モル%表記で、以下の通りである。
は、このガラス系の骨格を形成しガラス化させる必須成分であり、ガラスの失透性を大きくすることなくガラスを得るために、15%以上が好ましく、18%以上がより好ましい。また、屈折率の低下を防止するために、含有量は30%以下が好ましく、28%以下がより好ましい。
は、ガラス中に添加することにより耐失透性を向上させ、熱膨張率を低下させる任意成分であるが、屈折率の低下を抑制するために、含有量は18%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
SiOは、微量を添加することによりガラスを安定化させ、耐失透性を向上させる任意成分であるが、屈折率の低下を抑制するために、含有量は15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下が特に好ましい。
Nbは、屈折率を向上させ、耐侯性を高める効果も同時に有する必須成分である。そのため、含有量は、5%以上が好ましく、8%以上がより好ましい。一方、失透性を抑えて安定してガラスを得るためにその含有量は40%以下が好ましく、35%以下がより好ましい。
TiOは、屈折率を向上させる任意成分であるが、ガラスの着色を抑えて散乱層における損失を小さくし、光取り出し効率の向上を図るために、含有量は15%以下が好ましく、13%以下であるとさらに好ましい。
WOは、屈折率を向上させ、ガラス転移温度を低下させて焼成温度を低下させる任意成分であるが、ガラスの着色を防止して光取り出し効率を維持するため、その含有量は50%以下が好ましく、45%以下がさらに好ましい。
Biは屈折率を向上させる成分であり、ガラスの安定性を維持しながら比較的多量にガラス中に導入することができるが、ガラスの着色による透過率の低下を抑制するために、含有量は30%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
屈折率を所望の値よりも高くするためには、上記Nb、TiO、WO、Biのうちの一成分又はそれ以上を必ず含まなくてはならない。具体的には(Nb+TiO+WO+Bi)の合量が20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。一方、着色や失透性を抑えるために、これらの成分の合量は60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましい。
Taは屈折率を向上させる任意成分であるが、耐失透性の低下、価格の上昇を抑えるために、その含有量は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
LiO、NaO、KO等のアルカリ金属酸化物(RO)は、溶融性を向上させ、ガラス転移温度を低下させる効果をもつと同時に、ガラス基板との親和性を高め、密着力を高める効果を奏する。そのため、これらの1種類又は2種類以上を含有していることが望ましい。LiO+NaO+KOの合量として5%以上を含むことが望ましく、10%以上であることがより好ましい。また、ガラスの安定性を保ち、ガラスの屈折率を維持して所望の光取り出し効率の向上を図るために、これらの合計の含有量は40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましい。
LiOは、ガラス転移温度を低下させ、溶解性を向上させるための成分であるが、失透を抑えて、均質なガラスを得るために、また、熱膨張率を抑えて、基板との膨張率差を小さくするとともに屈折率の低下を防止して所望の光取出し効率の向上を図るために、その含有量は20%以下であることが望ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
NaO、KOはいずれも溶融性を向上させる任意成分であるが、屈折率の低下を防止して所望の光取り出し効率を得るために、含有量はそれぞれ20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
ZnOは、屈折率を向上させ、ガラス転移温度を低下させる成分であるが、ガラスの失透性を下げ、均質なガラスを得るために、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
BaOは、屈折率を向上させると同時に、溶解性を向上させる成分であるが、ガラスの安定性を維持するために、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
MgO、CaO、SrOは、溶融性を向上させる任意成分であるが、屈折率の低下を防止するためにいずれも10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
高屈折率かつ安定なガラスを得るためには、上記成分の合量は、90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
以上に記載の成分の他に、必要なガラスの特性を損なわない範囲で、清澄剤やガラス化促進成分、屈折率調整成分、波長変換成分などを少量添加しても良い。具体的には、清澄剤としてはSb、SnOが挙げられ、ガラス化促進成分としては、GeO、Ga、In、屈折率調整成分としては、ZrO、Y、La、Gd、Yb、波長変換成分としては、CeO、Eu、Erなどの希土類成分などが挙げられる。
[2] B、Laを必須成分として含み、Nb、ZrO、Ta、WO、の一成分以上を含有する散乱層は、モル%表記で、B20〜60%、SiO0〜20%、LiO0〜20%、NaO0〜10%、KO0〜10%、ZnO5〜50%、La5〜25%、Gd0〜25%、Y0〜20%、Yb0〜20%、ただし、La+Gd+Y+Yb5%〜30%、ZrO0〜15%、Ta0〜20%、Nb0〜20%、WO0〜20%、Bi0〜20%、BaO0〜20%の組成範囲のガラスが好ましい。
各成分の効果は、モル%表記で、以下の通りである。
は、ネットワーク形成酸化物であり、このガラス系における必須成分である。ガラスを形成すると共に、ガラスの耐失透性の低下を防止するために、その含有量は、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。一方、屈折率、耐候性の低下を防止するために、その含有量は60%以下であり、より好ましくは55%以下である。
SiOは、この系のガラス中に添加されるとガラスの安定性を向上させる成分であるが、屈折率の低下やガラス転移温度の上昇を防止するために、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
LiOは、ガラス転移温度を低下させる成分であるが、ガラスの耐失透性の低下を防止するために、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
NaO及びKOは溶解性を向上させるが、耐失透性や屈折率を維持するために、その含有量はそれぞれ10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
ZnOは、ガラスの屈折率を向上させるとともに、ガラス転移温度を低下させる必須成分である。そのため、その含有量は5%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。一方、耐失透性を維持して均質なガラスを得るために、その含有量は50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましい。
Laは高屈折率を達成し、かつB系ガラスに導入すると耐侯性を向上させる必須成分である。そのため、その含有量は5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましい。一方、ガラス転移温度を下げ、ガラスの耐失透性を維持して均質なガラスを得るために、その含有量は25%以下であることが好ましく、22%以下であることがさらに好ましい。
Gdは高屈折率を達成し、かつB系ガラスに導入すると耐侯性を向上させ、Laと共存させることにより、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、ガラスの安定性を確保するために、その含有量は25%以下であることが好ましく、22%以下であることがさらに好ましい。
及びYbは高屈折率を達成し、かつB系ガラスに導入すると耐侯性を向上させ、Laと共存させることにより、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、ガラスの安定性を維持するために、その含有量はそれぞれ20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
La、Gd、Y、Yb、といった希土類酸化物は、高屈折率を達成し、かつガラスの耐侯性を向上させるためには必須の成分であるため、これらの成分の合量、La+Gd+Y+Ybは5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。しかしながら、ガラスの耐失透性を維持して、均質なガラスを得るために、これらの成分の合量は30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
ZrOは屈折率を向上させるための成分であるが、耐失透性の低下、液相温度の過度な上昇を抑えるために、その含有量は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
Taは屈折率を向上させるための成分であるが、耐失透性の低下、液相温度の過度な上昇を抑えるために、その含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
Nbは屈折率を向上させるための成分であるが、耐失透性の低下、液相温度の過度な上昇を抑えるために、その含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
WOは屈折率を向上させるための成分であるが、耐失透性の低下、液相温度の過度な上昇を抑えるために、その含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
Biは屈折率を向上させるための成分であるが、耐失透性の低下、ガラスの着色及びそれによる透過率の低下を防止して取り出し効率を維持するためにその含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
BaOは屈折率を向上させる成分であるが、耐失透性を確保するために、その含有量は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
また、以上に記載の成分の合量は90%以上であることが望ましく、95%以上であることがさらに好ましい。以上に記載の成分以外であっても、清澄、溶解性向上などの目的で本発明の効果を損なわない範囲で添加しても良い。このような成分として、例えば、Sb、SnO、MgO、CaO、SrO、GeO、Ga、In、フッ素が挙げられる。
[3] SiOを必須成分として含み、Nb、TiO、Biのうち一成分以上を含有する散乱層は、モル%表記で、SiO20〜50%、B0〜20%、Nb1〜20%、TiO1〜20%、Bi0〜15%、ZrO0〜15%、Nb+TiO+Bi+ZrO5〜40%、LiO0〜40%、NaO0〜30%、KO0〜30%、LiO+NaO+KO1〜40%、MgO0〜20%、CaO0〜20%、SrO0〜20%、BaO0〜20%、ZnO0〜20%の組成範囲のガラスが好ましい。
各成分の効果は、モル%表記で、以下の通りである。
SiOはガラス形成をさせるためのネットワークフォーマとして働く必須成分であり、ガラスを形成するために20%以上であることが好ましく、22%以上であることがより好ましい。また、SiOの結晶化を抑制するために50%以下であることが好ましい。
はSiOと共に比較的少量添加することによりガラス形成を助け失透性を低下させるが、屈折率の低下を防止するために、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
Nbは屈折率を向上させるための必須成分であり、その含有量は1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。一方、ガラスの耐失透性を維持して均質なガラスを得るために、その含有量は20%以下であることが望ましく、18%以下であることがより好ましい。
TiOは屈折率を向上させるための必須成分であり、その含有量は1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。一方、ガラスの耐失透性を維持して均質なガラスを得ると共に、着色を防止して、散乱層を光が伝播する際の吸収による損失を小さくするために、その含有量は20%以下であることが望ましく、18%以下であることがより好ましい。
Biは屈折率を向上させるための成分であるが、ガラスの耐失透性を維持して、均質なガラスを得ると共に、着色を防止して散乱層を光が伝播する際の吸収による損失を小さくするために、その含有量は15%以下であることが望ましく、12%以下であることがより好ましい。
ZrOは着色度を悪化させること無く屈折率を向上させる成分であるが、ガラスの耐失透性を維持して、均質なガラスを得るために、その含有量は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
高屈折率のガラスを得るためには、Nb+TiO+Bi+ZrOが5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。一方、この合量は、ガラスの耐失透性を維持すると共に、着色を防止するために、40%以下であることが好ましく、38%以下であることがより好ましい。
LiO、NaO、KOは溶解性を向上させるとともにガラス転移温度を低下させる成分であり、さらにガラス基板との親和性を高める成分である。そのためこれらの成分の合量LiO+NaO+KOは、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。一方、アルカリ酸化物成分の含有量を抑えて、ガラスの耐失透性を維持し、均質なガラスを得るために、この合量は、40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましい。
BaOは屈折率を向上させると同時に溶解性を向上させる成分であるが、ガラスの安定性を維持して、均質なガラスを得るために、その含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
MgO、CaO、SrO、ZnOはガラスの溶解性を向上させる成分であり、適度に添加するとガラスの耐失透性を低下させることができるが、失透性を抑えて均質なガラスを得るために、その含有量はそれぞれ20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
本発明の目的に合致させるためには、以上に記載の成分の合量は90%以上であることが望ましい。また、以上に記載の成分以外であっても、清澄、溶解性向上などの目的で本発明の効果を損なわない範囲で添加しても良い。このような成分として、例えば、Sb、SnO、GeO、Ga、In、WO、Ta、La、Gd、Y、Ybが挙げられる。
[4] Biを主成分として含有し、ガラス形成助剤としてSiO、Bなどを含有する散乱層は、モル%表記で、Bi10〜50%、B1〜95%、SiO0〜30%、ただし、B+SiO10〜40%、P0〜20%、LiO0〜15%、NaO0〜15%、KO0〜15%、TiO0〜20%、Nb0〜20%、TeO0〜20%、MgO0〜10%、CaO0〜10%、SrO0〜10%、BaO0〜10%、GeO0〜10%、Ga0〜10%の組成範囲のガラスが好ましい。
各成分の効果は、モル%表記で、以下の通りである。
Biは、高屈折率を達成し、かつ多量に導入しても安定にガラスを形成する必須成分である。そのため、その含有量は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましい。一方、ガラスの着色及びそれによる光の吸収を防止して取り出し効率を維持すると共に、失透を防止して均質なガラスを得るために、その含有量は50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましい。
は、Biを多量に含むガラスにおいて、ネットワークフォーマとして働き、ガラス形成を助ける必須成分であり、その含有量は、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましい。一方、ガラスの屈折率の低下を防止するために、その含有量は、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。
SiOは、Biをネットワークフォーマとしてガラス形成を助ける働きをする成分であるが、屈折率の低下を防止すると共に、SiOの結晶化を抑制するために、その含有量は、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
とSiOは、組合わせることによってガラス形成を向上させるため、その合量は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。一方、屈折率の低下を防止するために、その含有量は40%以下であることが好ましく、38%であることがより好ましい。
また、BaOの含有量が大きいと、るつぼを侵食、溶解させるため、高価な耐侵食性のるつぼを必要とし、製造コストが高くなることから、10%以下とすることが好ましい。
は、ガラス形成を助けるとともに、着色度の悪化を抑制する成分であるが、屈折率を維持するために、20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
LiO、NaO、KOは、ガラス溶解性を向上させ、さらにガラス転移温度を低下させるための成分であるが、ガラスの耐失透性を維持し、均質なガラスを得るために、それぞれ15%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましい。また、以上のアルカリ酸化物成分の合量、LiO+NaO+KOが多すぎると屈折率の低下を招き、さらにガラスの耐失透性を低下させるため、良好な屈折率と耐失透性のために、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
TiOは、屈折率を向上させる成分であるが、着色を防止し、耐失透性を維持して、均質なガラスを得るために、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
Nbは屈折率を向上させる成分であるが、ガラスの耐失透性を維持して安定なガラスを得るために、その含有量は20%以下であることが好ましく、18%以下であることがさらに好ましい。
TeOは着色度を悪化させずに屈折率を向上させる成分であるが、耐失透性を維持し、フリット化したのちに焼成した時の着色を防止するために、その含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
GeOは、屈折率を比較的高く維持しつつ、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、極めて高価であるため、コスト低減のために、その含有量は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、含まないことがさらに好ましい。
Gaは、屈折率を比較的高く維持しつつ、ガラスの安定性を向上させる成分であるが、極めて高価であるため、コスト低減のために、その含有量は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、含まないことがさらに好ましい。
本発明の目的に合致させるためには、以上に記載の成分の合量は90%以上であることが望ましく、95%以上であることがさらに好ましい。以上に記載の成分以外であっても、清澄、溶解性向上、屈折率調整などの目的で本発明の効果を損なわない範囲で添加しても良い。このような成分として、例えば、Sb、SnO、In、ZrO、Ta、WO、La、Gd、Y、Yb、Alが挙げられる。
なお、本発明において散乱層として使用する全てのガラス系において、環境に対して悪影響を及ぼす成分である、As、PbO、CdO、ThO、HgOについては、原料由来の不純物としてやむを得ず混入する場合を除いて含んでいてはならない。
更にまた、屈折率が低くてよい場合には、RO−RO−BaO−B−SiO、RO−Al−P、RO−B−SiO(ROは、LiO、NaO、KOのいずれかであり、ROは、MgO、CaO、SrOのいずれか)等を用いることができる。
本発明に係る散乱層を形成するガラス組成として、好ましい具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。なお、下表における数値はモル比を表す。
Figure 2012069920
〈樹脂〉
樹脂は、スクリーン印刷後、塗膜中のガラス粉末、フィラーを支持するために用いられる。樹脂の具体例としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂、酢酸ビニル、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂などが挙げられる。主剤として用いられる樹脂としては、エチルセルロースとニトロセルロースが挙げられる。なお、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂は通常塗膜強度向上の為の添加剤として用いられる。焼成時の脱バインダ温度は、エチルセルロースで350℃から400℃、ニトロセルロースで200℃から300℃である。
〈溶剤〉
溶剤は、樹脂を溶解し、かつフリットペーストを印刷に必要な粘度に調整するために用いられる。また、用いる溶剤は、印刷中には乾燥せず、乾燥工程では、すばやく乾燥するものが好ましく、沸点200℃から230℃のものが望ましい。溶剤は、粘度、固形分比、乾燥速度調整のため2種以上をブレンドして用いてもよい。
溶剤の具体例としては、スクリーン印刷時のペーストの乾燥適合性からエーテル系溶剤(ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、酢酸ブチルセロソルブ)、アルコール系溶剤(α−テルピネオール、パインオイル、ダワノール)、エステル系溶剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、フタル酸エステル系溶剤(DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート))などが挙げられる。主に用いられている溶剤は、α−テルピネオールや2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)である。なお、DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)は、可塑剤としても機能する。
〈その他〉
フリットペーストには、粘度調整、フリット分散促進の為、界面活性剤を使用してもよい。フリット表面改質の為、シランカップリング剤を使用してもよい。
(フリットペースト膜の形成方法)
〈フリットペースト〉
上記のガラス粉末とビヒクルを準備する。ここで、ビヒクルとは、上記の樹脂、溶剤、界面活性剤等を混合したものをいう。具体的には、50℃〜80℃に加熱した溶剤中に樹脂、界面活性剤などを投入し、その後4時間から12時間程度静置した後、濾過して調製。
次に、ガラス粉末とビヒクルとを、プラネタリーミキサーで混合した後、3本ロールで均一分散させる。その後、粘度調整のため、混練機で混練する。通常、ガラス材料40〜80重量%に対してビヒクル20〜60重量%とする。
ここで用いるガラス粉末としては、粒径D10が0.2μm以上で、かつD90が5μm以下であるものを用いることが望ましい。粒径D90が5μmを以下であれば、形成される散乱層の表面の均一性が良好となる。一方、粒径D10が0.2μm以上であれば、界面の存在比率が下がり、結晶が析出し難く、失透し難く好ましい。
〈印刷〉
上記のようにして調製したフリットペーストをスクリーン印刷機を用いて印刷する。この際、スクリーン版のメッッシュ粗さ、乳剤の厚み、印刷時の押し圧、スキージ押し込み量などで形成される、フリットペースト膜の膜厚を制御できる。印刷後は焼成炉で乾燥させる。
〈焼成〉
次いで印刷、乾燥した基板を焼成炉で焼成する。焼成は、フリットペースト中の樹脂を分解・消失させる脱バインダ処理とガラス粉末を焼結、軟化させる焼成処理からなる。脱バインダ温度は、エチルセルロースで350℃〜400℃、ニトロセルロースで200℃〜300℃であり、30分から1時間大気雰囲気で加熱する。その後温度を上げて、ガラスを焼結、軟化させる。焼成温度は軟化温度から軟化温度+20℃であり、処理温度により内部に残存する気泡の形状、大きさが異なるが全面に均一に塗布された膜を焼成しているため、基本的には面内にわたって均一な気泡分布を持つように形成される。その後、冷却して基板上にガラス層が形成される。得られる膜の厚さは、5μm〜30μmであるが、印刷時に積層することでさらに厚いガラス層が形成可能である。
なお、上記で印刷工程をドクターブレード印刷法、ダイコート印刷法を用いると、より厚い膜形成が可能となる(グリーンシート印刷)。例えば、PETフィルム等の上に膜を形成した後、乾燥するとグリーンシートが得られる。次いでローラー等によりグリーンシートを基板上に熱圧着し、フリットペーストと同様の焼成工程を経て焼成膜を得る。得られる膜の厚さは、50μm〜400μmであるが、グリーンシートを積層して用いることにより、さらに厚いガラス膜が形成可能である。
なお、前記(1)の散乱体分布を有する散乱層を形成するためには、以下のような方法を採用すればよい。
ガラス基板に塗布したガラスフリットを含むインクを、ガラスフリットインクの軟化温度より10〜20℃高い温度で加熱処理を行うことにより、ガラスフリットを高粘度のガラス溶融体にする。この際、ガラスフリットインクに含有されるヒビクル樹脂の熱分解で生じた0.1〜10μm径の熱分解ガス気泡は、高粘度のガラス材料中では移動速度が遅い。その結果、ガラスインクによって形成された層の透明電極に近い部分にある気泡は、移動し、大気中へガスを放出し、消滅するが、透明電極と反対側の気泡はガラスインクによって形成された層中に残留し、前記(1)の散乱体分布を形成できる。
また、前記(2)の散乱体分布を有する散乱層を形成するためには、以下のような方法を採用すればよい。
ガラス基板に塗布されたガラスフリットインク層は、当該インクの軟化温度より高温で焼成した場合、焼成温度が高くなるにつれて、層内のガラスフリット溶融体の粘度が低下する。これに伴い、ガラスフリットインク層内に発生した気泡の移動速度が上昇し、大きな径の気泡が層表面に移動し、大気中へガスを放出して消滅する。併せて、層の厚み方向における気泡(つまり散乱体)の数密度の差が小さくなり、インクの軟化温度より100℃以上高温になると、層内の散乱体の数密度は、厚み方向においてほぼ一定となる。
このようなガラスフリットインク層の性質を利用し、例えば上記(1)の散乱体分布を有する散乱体の形成方法に記載されたガラスフリットインクの塗布、及び焼成等の工程を繰り返し行い、2層以上の散乱層を積層形成する。形成された積層散乱層の下層にある散乱層は、焼成が2回行われたため、気泡の数密度が上層の散乱層の気泡の数密度より低くなる。よって、上層にある散乱層の膜厚を下層より薄くすることにより前記(2)の散乱体分布が形成される。
また、積層するそれぞれの散乱層の膜厚や加熱条件等を適宜選択することにより散乱層内に散乱体が均一に分散した散乱層を形成することができる。
更に、ガラス未溶融核よりなる散乱体が分布した散乱層を形成するには、以下のような方法を採用すればよい。
ヒビクル等の樹脂成分を除いたガラスフリットインクによって形成された層をガラス材料の軟化点温度より10℃程度高い温度にて焼成処理を行うと、ガラスフリットの粒子の外側は溶融するが、中心部分は未溶融状態からなる状態のガラスフリット溶融層が形成される。
また、本発明に係る散乱層は、ガラス基板を兼ねるものであってもよく、この場合には、以下のようにして光散乱機能を有するガラス基板を作製することができる。
陶板上にガラスフリットインクを乾燥後の膜厚が10〜20mmとなるように塗布、焼成して散乱層を形成した後、自然放冷し、陶板を外し、散乱層よりなるガラス基板を形成する。次いで、当該ガラス基板の両面を研磨して厚み調整し、光散乱機能を有するガラス基板を得る。
<透過率>
散乱層を形成したガラス基板について、後述の実施例の項に記載の方法で測定される波長610nmにおける光の透過率は90%以下、特に80%以下であることが光の散乱効率が高く好ましい。
<平坦膜>
本発明にかかる散乱層には、必要に応じ、散乱層の表面を平滑にする目的で、更に光又は熱硬化性の有機もしくは無機被覆材を散乱層上に塗布して平坦膜を設けることもできる。かかる平坦膜の厚みは、0.001〜5μmであることが好ましく、0.005〜2μmであることがより好ましく、0.01〜1μmであることが更に好ましい。
尚、この平坦膜形成のための被覆材として、油化電子社製アクリル系光硬化樹脂UV1000、大阪ガス化学社製熱硬化樹脂オグソール2A200、ダウコーニング社製シリコン系熱硬化樹脂OE−6665A/B、日興社製液体ガラスデオスコートG等を挙げることができる。
[陽極]
陽極2は発光層5側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
陽極は、発光層5で発生した光を外部に取り出すために、80%以上の透光性が要求される。また、多くの正孔を注入するため、仕事関数が高いものが要求される。具体的には、ITO、SnO、ZnO、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(ZnO−Al:アルミニウムがドーピングされた亜鉛酸化物)、GZO(ZnO-Ga:ガリウムがドーピングされた亜鉛酸化物)、NbドープTiO、TaドープTiOなどの材料が用いられる。
陽極の屈折率は、1.9〜2.2である。ここで、キャリア濃度を増加させると、ITOの屈折率を低下させることができる。市販されているITOは、SnOが10重量%が標準となっているが、これより、Sn濃度を増やすことで、ITOの屈折率を下げることができる。但し、Sn濃度増加により、キャリア濃度は増加するが、移動度及び透過率の低下がある為、これらのバランスをとって、Sn量を決める必要がある。ここで、ITOの屈折率は、散乱層を構成するベース材の屈折率や反射電極となる陰極9の屈折率を考慮して決定することが好ましい。陽極2のITOの屈折率と散乱層1のベース材の屈折率との差は0.2以下で高いことが好ましい。
陽極の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法、及び湿式塗布法等により行われることが多い。
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極の厚みは、通常10〜500nm、好ましくは70〜150nmである。陽極の厚みが上記下限以上であることにより、光取り出し効率が向上し、また、電気抵抗が低下して素子発光時の電圧を低くすることができる。陽極の厚みが上記上限以下であることにより透明性が高められる。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[正孔注入層]
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
本発明に係る正孔注入層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット及び両電極間の短絡低減の観点から正孔注入層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
{湿式成膜法による正孔注入層の形成}
湿式成膜により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
{正孔輸送性化合物}
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物及び溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種又は2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種又は2種以上とを併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2012069920
(式(I)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Zは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2012069920
(上記各式中、Ar〜Ar16は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。))
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
及びRが任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−ethylenedioxythiophene(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
尚、正孔輸送性化合物は、下記<正孔輸送層>の項に記載の架橋性重合体であってもよい。該架橋性重合体を用いた場合の成膜方法についても同様である。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が上記上限以下であると膜厚ムラが防止され、また、上記下限以上であると成膜された正孔注入層の欠陥が防止される。
{電子受容性化合物}
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
{その他の構成材料}
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
{溶剤}
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常80℃以上、好ましくは100℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が上記下限以上であると、乾燥速度が速すぎず、膜質の悪化が防止される。また、溶剤の沸点が上記上限以下であると乾燥工程の温度を高くする必要がなく、他の層や基板に悪影響を与える可能性がない。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
{成膜方法}
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
塗布工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
塗布工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
{真空蒸着法による正孔注入層の形成}
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
[正孔輸送層]
正孔輸送層4は、正孔注入層3の上に形成される。
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット及び両電極間の短絡低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層に接するため、発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ar又はArが異なっているものであってもよい。
Figure 2012069920
(式(II)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
溶解性、耐熱性の点から、Ar及びArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基(ビフェニル基)やターフェニレン基(ターフェニレン基))が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)及びフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
Ar及びArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III-1)及び/又は下記式(III-2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2012069920
(式(III-1)中、R、R、R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。t及びsは、各々独立に、0〜3の整数を表す。t又はsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR又はRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するR又はR同士で環を形成していてもよい。)
Figure 2012069920
(式(III-2)中、R及びRは、各々独立に、上記式(III-1)におけるR、R、R又はRと同義である。r及びuは、各々独立に、0〜3の整数を表す。r又はuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR及びRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するR又はR同士で環を形成していてもよい。Xは、5員環又は6員環を構成する原子又は原子群を表す。)
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR―、―PR―、―SR―、―CR―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の有機基を表す。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
また、ポリアリーレン誘導体としては、前記式(III-1)及び/又は前記式(III-2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III-3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2012069920
(式(III-3)中、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。v及びwは、各々独立に0又は1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III-1)〜(III-3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、上記正孔注入層の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層の形成の場合と同様である。
正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。架橋性基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により近傍に位置する他の分子の同一または異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。不溶化がし易いという点では、例えば以下の[架橋性基群T]に示す基が挙げられる。
[架橋性基群T]
Figure 2012069920
(式中、R11〜R15は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Ar31は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)
架橋性基としては、エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合によって不溶化反応する基が、反応性が高く不溶化が容易な点で好ましい。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化を招くおそれのあるヒドロキシ基が生成しにくい点でビニルエーテル基が好ましい。
架橋性基としてはまた、シンナモイル基などのアリールビニルカルボニル基、ベンゾシクロブテン環由来の基などの環化付加反応する基が、電気化学的安定性をさらに向上させる点で好ましい。
また、架橋性基の中でも、不溶化後の構造が特に安定な点で、ベンゾシクロブテン環由来の基が特に好ましい。具体的には、下記式(IV)で表される基であることが好ましい。
Figure 2012069920
(式(IV)中のベンゾシクロブテン環は、置換基を有していてもよい。また、置換基同士が、互いに結合して環を形成してもよい。)
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖又は側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III-1)〜(III-3)に架橋性基が直接又は連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解又は分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層)上に成膜後、加熱及び/又は光などの活性エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[正孔注入層・正孔輸送層]
本発明において、正孔注入層及び/又は正孔輸送層は湿式成膜法で形成されることを特徴とする。好ましくは、正孔注入層及び正孔輸送層の双方が湿式成膜法により形成される。
また、本発明において、好ましくは、正孔注入層及び/又は前記正孔輸送層、より好ましくは正孔注入層及び正孔輸送層が熱不溶性のポリアリールアミノ樹脂を用いて形成される。
ここで、熱不溶性ポリアリールアミノ樹脂としては、国際公開2009/102027号パンフレットに記載された共役ポリマーや、国際公開2010/016555号パンフレットに記載された重合体等が挙げられる。
このような熱不溶性ポリアリールアミノ樹脂を用いることにより正孔注入層もしくは正孔輸送層上に、他の有機層を積層形成する際、上層の塗布溶媒で下層の熱不溶性樹脂が溶解されるという問題を解消することができる。
なお、本発明における熱不溶性ポリアリールアミノ樹脂は、不溶化基を有する重合体である。不溶化基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により反応する基であり、反応後は反応前に比べて、該基が結合する化合物(重合体など)の有機溶媒や水への溶解性を低下させる効果を有する基である。具体的には、解離基又は架橋性基が挙げられる。
架橋性基や、該基を有する架橋性化合物については、[正孔輸送層]の項にて述べたもの等が挙げられる。架橋性基は、不溶化反応前後で、該基が結合した化合物の溶媒に対する溶解性に大きな差を生じさせることができる点で好ましい。
解離基とは、結合している芳香族炭化水素環から70℃以上で解離し、さらに溶媒に対して可溶性を示す基をいう。該基の解離温度は100℃以上であることが好ましく、また通常300℃以下である。ここで溶媒に対して可溶性を示すとは、化合物が熱及び/又は活性エネルギー線の照射によって反応する前の状態で、常温でトルエンに0.1重量%以上溶解することを言い、化合物のトルエンへの溶解性は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
不溶化基として解離基を有する化合物を用いた場合、不溶化反応後の該化合物を含む層の電荷輸送能が優れる点で好ましい。このような解離基として好ましくは、芳香族炭化水素環側に極性基を形成せずに熱解離する基であり、逆ディールスアルダー反応により熱解離する基であることがより好ましい。
以下に解離基の具体例を挙げるが、本発明における解離基はこれらに限定されるものではない。
解離基が2価の基である場合の具体例は、以下の<2価の解離基群A>の通りである。
<2価の解離基群A>
Figure 2012069920
解離基が1価の基である場合の具体例は、以下の<1価の解離基群B>の通りである。
<1価の解離基群B>
Figure 2012069920
なお、このような不溶化基は、正孔注入層や正孔輸送層の形成材料のみならず、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、あるいは電子注入層の形成材料にも導入することができる。不溶化基を有する材料を用いて湿式成膜し、これを不溶化させて得られた層は、溶剤に不溶であるため、さらに湿式成膜にて別の層を積層することができるため好ましい。
[発光層]
正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
{発光層の材料}
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
{発光材料}
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
以下、発光材料のうち蛍光発光材料の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、クリセン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が上記下限以上であると、耐熱性の低下が防止され、ガス発生が抑えられ、膜を形成した際の膜質の低下が防止され、またマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化が防止される。一方、発光材料の分子量が上記上限以下であると、有機化合物の精製が容易であり、溶剤に溶解させやすくなる。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が上記下限以上であると発光ムラが防止され、上記上限以下であると発光効率が高められる。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
{正孔輸送性化合物}
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72−74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
なお、発光層において、正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が上記下限以上であると短絡の影響を受けにくく、上記上限以下であると、膜厚ムラが防止される。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
{電子輸送性化合物}
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層における電子輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。電子輸送性化合物が上記下限以上であると短絡の影響を受けにくく、上記上限以下であると膜厚ムラが防止される。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
{発光層の形成}
本発明に係る湿式成膜法により発光層を形成する場合は、上記材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶剤と同様である。
発光層を形成するための発光層形成用組成物に対する発光層用溶剤の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常30重量%以上、通常99.9重量%以下、である。なお、発光層用溶剤として2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が上記上限以下であると膜厚ムラが防止され、また、上記下限以上であると膜欠陥が防止される。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、上記下限以上であると膜欠陥が防止され、上記上限以下であると駆動電圧が抑えられる。
[正孔阻止層]
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極側9の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
[電子輸送層]
発光層5と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層7を設けてもよい。
電子輸送層7は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
[電子注入層]
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率良く発光層5へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
[陰極]
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8又は発光層5など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[その他の層]
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層又は正孔輸送層と発光層との間に設けられ、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止することで、発光層内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層を本発明に係る有機層として湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
さらに陰極と発光層又は電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化リチウム(LiO)、炭酸セシウム(II)(CsCO)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters,1997年,Vol.70,pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices,1997年,Vol.44,pp.1245;SID 04 Digest,pp.154等参照)。
また、本発明の有機電界発光素子には、発光の色調を均一にするため、更に光拡散シートを基板の発光層とは反対側の面に密着させて設けてもよい。或いは当該光拡散シートは、素子と離して、具体的には基板から0.1〜100mmの空間を隔てて設置してもよい。光拡散シートとしては、屈折率が異なる散乱体を光学シート中に分散させたもの、光学シートの表面をサンドブラスト、あるいは、光又は熱によるインプリント(金型プレス)により凹凸を形成したもの等を挙げることができるが、光取り出し効率の点から、拡散シートの拡散角は、50°以上であることが好ましく、より好ましくは60°以上100°以下である。
特に、Luminit社等で取り扱われている干渉露光法(Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering(1988),883(Hologr.Opt.:Des.Appl.),84-93、及び Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering(1990),1213(Photopolym. Device Phys.,Chem.,Appl.),100-10の記載と同様の技術)を用い、大面積かつロール(筒)状に表面加工を施したマスターロール(金型)を使用して得られる光拡散制御シート(レリーフホログラフィック拡散シート)(Luminit社製Light Shaping Diffuser:LSD)が散乱効率が高く、且つ、背向散乱などの光の取り出し効率を低下させる光り拡散を抑制できるため、最も好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子では、光取り出しシートを基板の発光層とは反対側の面に密着させて設置することもできる。光取り出しシートとしては、例えばレンズ径が0.5〜500μmで高さ/レンズ径が0.2〜2のレンズシート、プリズムの一辺が0.5〜500μmで頂角50〜150°のプリズムシート、前述した拡散角が50°以上の光拡散シート等が使用できる。光取出しシートと大気との界面での全反射を抑制し、大気へ光を効率よく透過させる点から、前記レリーフホログラフィック拡散シートが特に好ましい。
尚、光り取り出しシートは、前記光拡散シートを兼ねることもできる。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。例えば、図1の層構成であれば、基板上に他の構成要素を陰極、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極、散乱層の順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
尚、本発明の有機電界発光素子には、CO削減、消費エネルギー削減の環境的な配慮から、長時間使用した素子の発光層と陰極を除去し、新たに発光層と陰極を形成、封止を施して有機電界発光素子を再生することができ、又、ガラス基板を繰り返し使用することもできる。
[有機ELモジュール]
本発明の有機ELモジュールは、上述の本発明の有機電界発光素子が複数個、ガラス基板上の散乱層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等の積層方向と交叉方向(通常は直交方向)に並列配置されてなるものであり、該複数の有機電界発光素子に含まれる発光層が、それぞれ特定のスペクトルを有することを特徴とする。
[有機EL表示装置]
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
[有機EL照明]
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子又は有機ELモジュールを用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子又は有機ELモジュールを用いて常法に従って組み立てることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明はその要旨を逸脱しない限り任意に変更して実施できる。
[実施例1]
以下の方法で、図1に示す有機電界発光素子20を作製した。
<散乱層1の形成>
軟化温度550℃の(株)住田光学ガラス製高屈折ガラス(K−VC89)(屈折率n=1.8)を、ボールミル(タナカラック社製「Universal Ball Mill Model RBD−21」)を用いて粉砕して平均粒径5μmのガラスフリット(以下、このガラスフリットを「ガラスフリットA」と称す場合がある。)20gを製造した。このガラスフリットAと、日新化成(株)製15重量%エチルセルロースのα−テルピネオール溶液(E3−260)35g、及びα−テルピネオール20gを60℃にて1時間攪拌し、散乱層塗布溶液(以下、この散乱層塗布溶液を「フリットインク1」と称す場合がある。)を調液した。
このフリットインク1を、厚さ0.7mmのセントラル硝子社製ガラス基板(CP600V)(屈折率n=1.52)の上に、乾燥後の膜厚が15μmとなるよう、アプリケーターにより塗布した後、ホットプレート上にて180℃で20分間乾燥させた。次いで、ケンデン(株)製マッフル炉(KDF−S−7)を用いて560℃になるまで毎分19℃の速度で昇温し、560℃で15分間保持した後、自然放冷し、ガラス基板上に膜厚10μmの気泡タイプの散乱層1を形成した。
日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S4100」により、形成された散乱層の断面を観測したところ、粒径1〜10μm、平均粒径5μmの気泡が以下のように分布していることが確認された。
ガラス基板側から厚さ2μmの領域a:数密度7〜8×10個/m
表層(陽極形成面側)から厚さ2μmの領域c:数密度2〜4×10個/m
上記領域aと領域cの中間の領域b:数密度7〜8×10個/m
また、この散乱層を有するガラス基板について、紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製「U−3900」)により波長610nmにおける光の透過率を測定したところ50%であった。
更に、KLA−Tencor Japan社製段差・表面あらさ・微細形状測定装置(P−6)を用いて、10μm間における散乱層の表面粗さ(Ra)を測定したところ、6nmであった。
<陽極2の形成>
上記散乱層1上に、陽極2として膜厚150nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を形成した。
<正孔注入層3の形成>
以下に示す繰り返し単位を有する高分子化合物(HI−1)と4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートとを重量比100対20で混合し、混合物の濃度が2.0重量%となるよう安息香酸エチルに溶解させた正孔注入層形成用組成物を調製した。
Figure 2012069920
この正孔注入層形成用組成物を、大気雰囲気中で、前記陽極2上に、スピナ回転数500rpmで2秒、そして1500rpmで30秒の2段階でスピンコートした後、230℃で1時間加熱することで、膜厚30nmの正孔注入層3を形成した。
<正孔輸送層4の形成>
下記繰り返し単位を有する高分子化合物(HT−1)を1.0重量%濃度となるようにシクロヘキシルベンゼンに溶解させて正孔輸送層形成用組成物を調製した。
Figure 2012069920
この正孔輸送層形成用組成物を、乾燥窒素雰囲気下で、前記正孔注入層3上に、スピナ回転数500rpmで2秒、そして1500rpmで120秒の2段階でスピンコートした後、230℃で1時間加熱することで、膜厚15nmの正孔輸送層4を形成した。
<発光層5の形成>
以下に示す青色蛍光発光材料BH−1とBD−1とを重量比100対7の割合で混合し、混合物濃度が6.0重量%となるようシクロヘキシルベンゼンに溶解させて青色発光層形成用組成物を調製した。
Figure 2012069920
この発光層形成用組成物を、前記正孔輸送層4上に、スピナ回転数500rpmで2秒、そして2250rpmで120秒の2段階でスピンコートした後、130℃で1時間加熱することで、膜厚50nmの発光層5を形成した。
<正孔阻止層6及び電子輸送層7の形成>
前記発光層5上に、以下に示す化合物HB−1を膜厚10nmとなるように真空蒸着法によって蒸着して、正孔阻止層6を形成した。
Figure 2012069920
更に、正孔阻止層6上に、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウムを膜厚20nmとなるように真空蒸着法によって蒸着して電子輸送層7を形成した。
<電子注入層8及び陰極9の形成>
前記電子輸送層7上に、フッ化リチウム(LiF)を膜厚0.5nmとなるよう真空蒸着法によって蒸着して電子注入層8を形成した後に、アルミニウムを膜厚80nmとなるよう真空蒸着法によって蒸着して陰極9を形成した。
<封止>
引き続き、窒素グローブボックス中で、封止用のガラス板の外周部に光硬化性樹脂を塗布し、中央部に水分ゲッターシートを設置した。
この封止用ガラス板を、上記の、ガラス基板上に散乱層から陰極までの積層体を積層形成した素子と貼り合わせ、その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射して樹脂を硬化させることにより、有機電界発光素子の封止を行った。
<光強度(μW)の測定>
得られた素子に7Vの電圧を印加し、発光させた時の光の強度を、素子表面から2mmの距離において、10mm角のディテクターを有するIndustrial Fiber Optics社「Digital Photometer」により測定した。
[実施例2]
散乱層の形成を以下のようにして行ったこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子の作製と評価を行った。
<散乱層の形成>
実施例1におけるフリットインク1を、厚さ0.7mmのセントラルガラス社製ガラス基板(CP600V)(屈折率n=1.52)の上に乾燥後の膜厚が15μmとなるよう、アプリケーターにより塗布した後、ホットプレート上にて180℃で20分間乾燥させた。次いで、ケンデン(株)製マッフル炉(KDF−S−7)を用いて580℃になるまで毎分19℃の速度で昇温し、580℃で15分間保持した後、自然放冷し、ガラス基板上に膜厚10μmの気泡タイプの第1の散乱層を形成した。
次に、この第1の散乱層上に、フリットインク1を乾燥後の膜厚が10μmとなるよう、アプリケーターにて塗布した以外は第1の散乱層の形成と同様の操作を行って、膜厚6μmの気泡タイプの第2の散乱層を形成した。
以下、この第1の散乱層と第2の散乱層とを併せて「積層散乱層」という。
日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S4100」により、この積層散乱層の断面を観測したところ、粒径1〜4μm、平均粒径2μmの気泡が以下のように分布していることが確認された。
ガラス基板側の厚さ3μmの領域a:数密度3〜5×10個/m
表層(陽極形成面側)の厚さ3μmの領域c:数密度8〜10×10個/m
上記領域aと領域cの中間の領域b:数密度5〜7×10個/m
また、この積層散乱層を有するガラス基板について、紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製「U−3900」)により波長610nmにおける光の透過率を測定したところ40%であった。
更に、KLA−Tencor Japan社製段差・表面あらさ・微細形状測定装置(P−6)を用いて、10μm間における積層散乱層の表面粗さ(Ra)を測定したところ、3nmであった。
[実施例3]
散乱層の形成を以下のようにして行ったこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子の作製と評価を行った。
<散乱層の形成>
実施例1におけるガラスフリットA20g、ポッターズ・バロティーニ(株)製中空ガラスビーズ(SphericeHSC−110)(平均粒径6μm)0.3g、及びα−テルピネオール20gを60℃にて1時間攪拌し、散乱層塗布溶液(以下、この散乱層塗布溶液を「フリットインク2」と称す場合がある。)を調液した。
このフリットインク2を、厚さ0.7mmのセントラルガラス社製ガラス基板(CP600V)(屈折率n=1.52)の上に乾燥後の膜厚が20μmとなるよう、アプリケーターにより塗布した後、ホットプレート上にて180℃20分間乾燥させた。次いで、ケンデン(株)製マッフル炉(KDF−S−7)を用いて波長610℃になるまで毎分20℃の速度で昇温し、610℃で15分間保持した後、自然放冷し、膜厚16μmの気泡タイプの散乱層を形成した。
日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S4100」により、形成された散乱層の断面を観測したところ、粒径1〜10μm、平均粒径6μmの気泡が散乱層中に数密度7〜9×10個/mで散乱層内に均一に分布していた。
また、この散乱層を有するガラス基板について、紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製「U−3900」)により波長610nmにおける光の透過率を測定したところ30%であった。
更に、KLA−Tencor Japan社製段差・表面あらさ・微細形状測定装置(P−6)を用いて、10μm間における散乱層の表面粗さ(Ra)を測定したところ、4nmであった。
[実施例4]
散乱層の形成を以下のようにして行ったこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子の作製と評価を行った。
<散乱層の形成>
実施例1におけるガラスフリットA20gをα−テルピネオール40gを60℃にて1時間攪拌し、散乱層塗布溶液(以下、この散乱層塗布溶液を「フリットインク3」と称す場合がある。)を調液した。
このフリットインク3を、厚さ0.7mmのセントラルガラス社製ガラス基板(CP600V)(屈折率n=1.52)の上に乾燥後の膜厚が10μmとなるよう、アプリケーターにより塗布した後、ホットプレート上にて180℃20分間乾燥させた。次いで、ケンデン(株)製マッフル炉(KDF−S−7)を用いて550℃になるまで毎分18℃の速度で昇温し、550℃で15分間保持した後、自然放冷し、膜厚8μmのガラスフリット未溶融核タイプの散乱層を形成した。
日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S4100」により、この散乱層の断面を観測したところ、粒径1〜3μm、平均粒径2μmのガラスフリット未溶融核が数密度6×10個/mで散乱層内に均一に分布していた。
また、この散乱層を有するガラス基板について、紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製「U−3900」)により波長610nmにおける光の透過率を測定したところ10%であった。
更に、KLA−Tencor Japan社製段差・表面あらさ・微細形状測定装置(P−6)を用いて、10μm間における散乱層の表面粗さ(Ra)を測定したところ、10nmであった。
[実施例5]
ガラス基板に散乱層を形成する代りに、以下のようにして、光散乱機能を有するガラス基板を作製して用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子の作製と評価を行った。
<光散乱機能を有するガラス基板の作製>
実施例1におけるガラスフリットA20gと、日新化成(株)製15重量%エチルセルロースのα−テルピネオール溶液(E3−260)1g及びα−テルピネオール30gを60℃にて1時間攪拌し、散乱層塗布溶液(以下、この散乱層塗布溶液を「フリットインク4」と称す場合がある。)を調液した。
このフリットインク4を、陶板の上に乾燥後の膜厚が12mmとなるよう、アプリケーターにより塗布した後、ホットプレート上にて180℃20分間乾燥させた。次に、マッフル炉を用いて700℃になるまで毎分23℃の速度で昇温し、700℃で30分間保持した後、自然放冷し、陶板から剥離して厚さ8mmの気泡を含有するガラス基板を得た。
次いで、このガラス基板を両面光学研磨し、厚さ0.7mmの気泡タイプ光散乱機能を有するガラス基板を得た。
日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S4100」により、このガラス基板の断面を観測したところ、粒径1〜10μm、平均粒径4μmの気泡が以下のように分布していることが確認された。
陶板と接していた側から厚さ150μmの領域a:数密度7〜9×10個/m
表層(陽極形成面側)から厚さ150μmの領域c:数密度7〜9×10個/m
上記領域aと領域cの中間の領域b:数密度7〜9×10個/m
また、このガラス基板について、紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製「U−3900」)により波長610nmにおける光の透過率を測定したところ20%であった。
更に、KLA−Tencor Japan社製段差・表面あらさ・微細形状測定装置(P−6)を用いて、表面(陽極形成面側)の10μm間における表面粗さ(Ra)を測定したところ、1nmであった。
[実施例6]
散乱層の形成を以下のようにして行ったこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子の作製と評価を行った。
<散乱層の形成>
実施例1におけるフリットインク1の調液において、高屈折ガラス(K−VC89)の代わりに、前掲の表1に記載の「組成2」の高屈折ガラス(軟化温度430℃)(屈折率n=2.0)を使用したこと以外は同様にして散乱層塗布溶液(以下、この散乱層塗布溶液を「フリットインク5」と称す場合がある。)を調液した。
このフリットインク5を、厚さ0.7mmのセントラルガラス社製ガラス基板(CP600V)(屈折率n=1.52)の上に乾燥後の膜厚が15μmとなるよう、アプリケーターにより塗布した後、ホットプレート上にて180℃で20分間乾燥させた。次いで、ケンデン(株)製マッフル炉(KDF−S−7)を用いて500℃になるまで毎分16.5℃の速度で昇温し、500℃で15分間保持した後、自然放冷し、ガラス基板上に膜厚10μmの気泡タイプの第1の散乱層を形成した。
次に、この第1の散乱層上に、フリットインク5を乾燥後の膜厚が10μmとなるよう、アプリケーターにて塗布した以外は第1の散乱層の形成と同様の操作を行って、膜厚6μmの気泡タイプの第2の散乱層を形成した。
以下、この第1の散乱層と第2の散乱層とを併せて「積層散乱層」という。
日立製作所社製走査型電子顕微鏡「S4100」により、この積層散乱層の断面を観測したところ、粒径1〜3μm、平均粒径2μmの気泡が以下のように分布していることが確認された。
ガラス基板側の厚さ3μmの領域a:数密度3〜4×10個/m
表層(陽極形成面側)の厚さ3μmの領域c:数密度7〜10×10個/m
上記領域aと領域cの中間の領域b:数密度5〜10×10個/m
また、この積層散乱層を有するガラス基板について、紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製「U−3900」)により波長610nmにおける光の透過率を測定したところ48%であった。
更に、KLA−Tencor Japan社製段差・表面あらさ・微細形状測定装置(P−6)を用いて、10μm間における積層散乱層の表面粗さ(Ra)を測定したところ、5nmであった。
[参考例1]
散乱層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子の作製と評価を行った。
なお、用いたガラス基板について、KLA−Tencor Japan社製段差・表面あらさ・微細形状測定装置(P−6)を用いて測定した10μm間における表面粗さ(Ra)は0.5nmであった。
実施例1〜6及び参考例1で得られた有機電界発光素子のITO陽極形成面の表面粗さ(Ra)と光強度を表2にまとめて示す。
また、参考例1における光強度に対する割合を算出し、この値を光取り出し効率として表2に併記した。
Figure 2012069920
表2より、散乱層を形成することにより光取り出し効率が向上することが分かる。
[比較例1]
実施例1において、正孔注入層を、正孔注入材料である銅フタロシアニンを真空蒸着することにより膜厚30nmに形成し、正孔輸送層を、正孔輸送材料であるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンを真空蒸着することにより膜厚15nmに形成したこと以外は同様にして有機電界発光素子を作製したが、得られた有機電界発光素子は短絡のために発光を得ることはできなかった。
1 散乱層
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 基板
20 有機電界発光素子

Claims (13)

  1. 散乱層、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層を含む積層体を有する有機電界発光素子において、該散乱層に含まれる散乱体が気泡或いはガラス粒であり、且つ該正孔注入層及び/又は正孔輸送層が湿式製膜法により形成されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記正孔注入層及び前記正孔輸送層が、熱不溶性のポリアリールアミノ樹脂を用いて形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記積層体を支持するガラス基板を有し、前記散乱層が、該ガラス基板に隣接して或いは該ガラス基板内に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記散乱層のガラス基板側の面に隣接して、もしくは前記散乱層のガラス基板側とは反対側の面に隣接して、更に透明電極が積層されていることを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記散乱体が気泡であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記散乱層の厚み方向の前記散乱体の数密度が、前記透明電極近傍において、前記透明電極に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項4又は5に記載の有機電界発光素子(ただし、「散乱体の数密度」は「散乱層の単位体積当たりの散乱体の個数(個/m)」である。)。
  7. 前記散乱層の厚み方向の前記散乱体の数密度が、前記透明電極の近傍において、前記透明電極に向かって大きくなっていることを特徴とする請求項4又は5に記載の有機電界発光素子(ただし、「散乱体の数密度」は「散乱層の単位体積当たりの散乱体の個数(個/m)」である。)。
  8. 前記散乱層の厚み方向の中央部分における前記散乱体の数密度と、前記散乱層の双方の界面側における前記散乱体の数密度との差が30%以下であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の有機電界発光素子(ただし、「散乱体の数密度」は「散乱層の単位体積当たりの散乱体の個数(個/m)」である。)。
  9. 前記散乱体がガラス粒であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の有機電界発光素子が複数個、前記積層体の積層方向と交叉方向に並列配置されてなる有機ELモジュールであって、該複数の有機電界発光素子に含まれる発光層が、それぞれ特定の発光スペクトルを有することを特徴とする有機ELモジュール。
  11. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする有機EL表示装置。
  12. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を有することを特徴とする有機EL照明。
  13. 請求項10に記載の有機ELモジュールを有することを特徴とする有機EL照明。
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