JP2010098301A - 有機薄膜パターニング用基板、有機電界発光素子、並びにこれを用いた有機el表示装置および有機el照明 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電荷輸送層上に形成したバンクを有する有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子において、駆動電圧が低く、かつ均一な発光が得られる有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】 基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、該電荷輸送層が、熱および/または活性エネルギー線によって解離する官能基を有する化合物を、熱および/または活性エネルギー線によって解離させることにより得られた化合物を含有することを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板およびこれを用いた有機電界発光素子。
【選択図】 なし
Description
そこで、例えば、特許文献1では、ポリ−3,4−アルキレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との塩と架橋剤としてシランカップリング剤とを含む組成物を成膜し、架橋させることにより基板の全面にバッファー層を形成し、このバッファー層上にバンクを形成する方法が開示されている。この方法によれば、従来よりも簡易な工程で、かつ、バンクで区画された領域内に形成される各層の膜厚の不均一を生じにくい。しかしながら、このように架橋剤等を用いて形成されたバッファー層などの電荷輸送層上にバンクを形成することにより製造された有機電界発光素子は、均一な発光が得られなかったり、駆動電圧が高くなってしまったりするという問題点があった。さらには、製造プロセスとして酸素および水分を極端に減じた雰囲気下で製造しないと出来上がった素子の特性が速く劣化するという問題も抱えていて、製造装置の初期投資額や、維持コスト、製造装置メンテナンス時のダウンタイムの増大などで製造コストが上昇することを余儀なくされるという問題があった。
電荷輸送層に用いて、大気下で熱および/または活性エネルギー線によって解離させることにより得られた化合物を電荷輸送層に含有する素子を作製すると、そうした材料を含まない素子と比べて寿命が大きく延びることが判明した。
すなわち、本発明は、基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、該電荷輸送層が、熱および/または活性エネルギー線によって解離する官能基を有する化合物を、熱および/または活性エネルギー線によって解離させることにより得られた化合物を含有することを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板、およびこれを用いた有機電界発光素子ならびに該有機電界発光素子を用いた有機EL表示装置および有機EL照明に存する。
また、特にバンクと隣接する電荷輸送層に、解離する官能基を有する化合物を、熱及び/又は活性エネルギー線によって解離することにより得られた化合物を含む場合、バンクを形成するための材料とも界面における混合や反応が抑制されるため、残渣が残るなどの悪影響が減り、素子の駆動電圧が上昇することを避けられる。
そのため、本発明の有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子は、駆動電圧が低く、かつ均一な発光が得られる。
本発明において、「熱および/または活性エネルギー線」を「熱等」と言う場合がある。
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、該電荷輸送層が、熱等によって解離する官能基を有する化合物を、熱等によって解離させることにより得られた化合物を含有することを特徴とする。(熱等によって解離する官能基を有す
る化合物(解離基を有する化合物))
熱等により解離する官能基とは、70℃以上で熱解離する基および/または活性エネルギー線の照射を受けて解離する基をいう。さらに好ましくは溶剤に対して可溶性を示す解離基である。ここで、溶剤に対して可溶性を示すとは、解離基が結合している状態、すなわち化合物の状態で、常温でトルエンに0.1重量%以上溶解することをいい、化合物のトルエンへの溶解性は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
このような熱等により解離する官能基の脱離の例としては、例えば脱スルフィニルアセトアミド(JACS,V124,No.30,2002,8813参照)、脱オレフィン、脱アルコール、脱アルキル(H.Kwart and K.King,Department of Chemistry,University of Delaware,Nework,Delaware 19771,p415−447(1967),O.Diels and K.Alder,Ber.,62,554(1929)及びM.C.Kloetzel,Org.Reactions,4,6(1948)参照)、脱1,3−ジオキソール(N.D.Field,J.Am.Chem.Soc.,83,3504(1961)参照)、脱ジエン(R.Huisgen,M.Seidel,G.Wallbillich,and H.Knupfer,Tetrahedron,17,3(1962)参照)、脱イソキサゾール(R.Huisgen and M,Christi,Angew.Chem.Intern.Ed.Engl.,5,456(1967)参照)、脱トリアゾール(R.Kreher and J.Seubert,Z.Naturforach.,20B,75(1965)参照)等が挙げられる。
熱等により解離する官能基を有する化合物としては、下記式(U1)又は下記式(U2)で表される部分構造を有する化合物であることが好ましい。
S1、S2、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していても
よいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。
S11〜S14、R11〜R16は、それぞれ独立に、上記S1、S2、R1〜R6として示したものと同様である。)
ここで、前記式(U1)中、環A0は、芳香族環を表す。また、前記式(U2)中、環B0は、芳香族環を表す。
該芳香族炭化水素環の核炭素数は通常6以上である。また通常40以下であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
上記の中でも環A0および環B0が、それぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環およびテトラセン環からなる群から選ばれることが好ましい。
また芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、等が挙げられる。
前記式(U1)または前記式(U2)で表される部分構造を有する化合物は、更にそれぞれ下記式U9またはU10で表される部分構造を繰り返し単位中に含む重合体であることが好ましい。
Sz21、Sz22、Rz21〜Rz26は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。
下の2価の芳香族炭化水素環基、または置換基を有していてもよい炭素数5以上50以下の2価の芳香族複素環基を表す。
式(U10)中、環Bz1は解離基が結合する芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。該芳香族炭化水素環及び該芳香族複素環は置換基を有していてもよい。また、該置換基同士が直接または2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
nZ1〜nZ4はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表す。)
環Az1および環Bz1の芳香族炭化水素環としては、それぞれ独立に、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンゾピレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。
に、上記芳香族炭化水素環由来の基であって、炭素数が6〜50の2価基が挙げられる。Xz1、Xz2、Xz3及びXz4の2価の芳芳香族複素環基としては、それぞれ独立に、上記芳香族複素環由来の基であって、炭素数が5〜50の2価基が挙げられる。これら置換基は、上記環Az1および環Bz1の置換基として挙げたものと同様である。また、Sz21、Sz22、Rz21〜Rz26、Sz31〜Sz34、Rz31〜Rz36が置換基を有する場合の置換基としては、上記環Az1および環Bz1の置換基として挙げたものと同様である。
また、数平均分子量は、通常2,500,000以下、好ましくは750,000以下、より好ましくは400,000以下であり、また通常500以上、好ましくは1,500以上、より好ましくは3,000以上である。
重合体の1つの重合体鎖の中に含まれる熱等によって解離する官能基は、好ましくは平
均5以上、より好ましくは平均10以上、より好ましくは平均50以上である。この下限値を下回ると加熱前の該重合体の塗布溶剤に対する溶解性が低い場合があり、またさらに加熱後の重合体の溶剤への溶解性の低下の効果も低くなる可能性がある。
本発明における、解離基を有する化合物の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
熱等によって解離する官能基を有する化合物を含有する組成物(解離基含有組成物)を調製する。該組成物は、熱等によって解離する官能基を有する化合物及び溶剤を含むものである。該組成物は、熱等によって解離する官能基を有する化合物の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで含むものであってもよい。
なお、この組成物は、熱等によって解離する官能基を有する化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下含有する。
キシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等のエステル系溶媒等の有機溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。その他の溶剤も用いることができ、例えば、トリフルオロメトキシアニソール、ペンタフルオロメトキシベンゼン、3−(トリフルオロメチル)アニソール、エチル(ペンタフルオロベンゾエート)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等を用いることも可能である。
成膜方法としては、該組成物を用いて例えば、スピンコート法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などにより、所定の乾燥膜厚になるように、例えば、気温23℃、相対湿度50%の大気中で成膜を行なう。
加熱による場合は、着目する化学結合が曝された熱環境によって十分解離するに足る温度と時間を選定する。加熱の方法は適宜選ばれるが、通常、オーブンなどによる雰囲気加熱での対象物の間接加熱、あるいは、ホットプレートやハロゲンランプによる対象物の直接加熱が行なわれる。例えば、ホットプレート上で230℃にて、1時間ベークし、電荷輸送層を形成する。しかし、これに限定されることはなく、より低温あるいはより高温で解離する化合物も含まれる。好ましい温度範囲としては、通常70℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、また通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下に、形成された層を加熱する。加熱時間としては、通常0.1秒以上、好ましくは1分以上、好ましくは24時間以下、より好ましくは10時間以下である。
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、1層または2層以上の電荷輸送層のうち、少なくとも1層の電荷輸送層が、熱等によって解離する官能基を有する化合物を、熱等によって解離させることにより得られた化合物を含有するが、電荷輸送層を2層以上有する場合、これ以外の電荷輸送層(以下、その他の電荷輸送層という)が、熱等によって解離する官能基を有する化合物を、熱等によって解離させることにより得られた化合物を含有することも好ましい。
さらに、熱等によって解離する官能基を有する化合物を熱等によって解離させることによって得られた化合物を含有する電荷輸送層に、ドープ型化合物を含有させてもよい。
また、電荷輸送層を2層以上有し、バンクと隣接する電荷輸送層が、熱などによって解離する官能基を有する化合物を熱等によって解離させることによって得られた化合物を含有する層である場合その他の電荷輸送層は、ドープ型化合物を含有する層や架橋性基を有する電荷輸送性化合物を架橋して得られるポリマーを含有する層であってもよい。いずれの場合でも、ドープ型化合物を含有する層は特に、電極層(陽極)に隣接して形成されることが好ましい。
本発明において、ドープ型化合物とは、電荷輸送層を構成する組成物中において、少量添加されることで電荷供与助剤として働く、すなわち、電子受容性化合物などのアクセプターまたは電子供与性化合物などのドナーとして働く化合物をいう。ここで、電荷輸送層を構成する組成物としては、正孔輸送性化合物であっても、電子輸送性化合物であってもよいが、正孔輸送性化合物である場合を例にとって説明する。
正孔輸送性化合物としては、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。具体的には、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の電荷輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
まず、該電荷輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から湿式成膜法により形成することが好ましい。
湿式成膜法により形成する場合、通常は、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを溶剤に溶解または分散させた組成物(ドープ型化合物含有組成物)を調製し、該組成物を湿式成膜法により成膜する。通常は、ドープ型化合物含有組成物中または電荷輸送層中において、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とが反応することにより、正孔輸送性化合物のラジカルカチオンと電子受容性化合物に由来する対アニオンが形成される。
溶剤としては、限定されるものではないが、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
ベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。組成物中において、溶剤は、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上含有される。
また、本発明において、湿式成膜法としては、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
成膜時の相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
また、電荷輸送層を2層以上有する場合、熱等によって解離する官能基を有する化合物を熱等によって解離させることによって得られた化合物を含有する電荷輸送層以外の電荷輸送層は、架橋性基を有する電荷輸送性化合物を架橋して得られるポリマーを含有する層であってもよい。
本発明において架橋性基とは、近傍に位置するほかの分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。例えば、熱等の照射により、近傍に位置する他の分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基が挙げられる。
ここで、電荷輸送性化合物としては、正孔輸送性化合物であっても、電子輸送性化合物であってもよいが、正孔輸送性化合物である場合を例にとって説明する。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体に架橋性基が結合した化合物が好ましい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
AraおよびArbの置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Xの具体例としては、酸素原子、置換基を有していてもよいホウ素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、置換基を有していてもよいケイ素原子、置換基を有していてもよいリン原子、置換基を有していてもよいイオウ原子、置換基を有していてもよい炭素原子またはこれらが結合してなる基である。
Arc〜Arjの具体例としては、前記式(II)における、Ara及びArbと同様である。
このような架橋性化合物を含有する電荷輸送層の形成方法について、以下に説明する。
まず、該電荷輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から湿式成膜法により形成することが好ましい。
架橋性化合物含有組成物には、上述の架橋性化合物の他、溶剤を含有する。溶剤としては上記ドープ型化合物含有組成物に用いたものとして例示したものと同様である。
架橋性化合物含有組成物は、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤および重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、架橋性化合物含有組成物は、上記ドープ型化合物含有組成物に含有される化合物として例示した電子受容性化合物を含有していてもよい。架橋性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。この場合、架橋性化合物または架橋性化合物を架橋してなるポリマーに電子受容性化合物がドープされ、ドープ型化合物含有組成物の一態様となる。すなわち、これにより形成された層は、ドープ型化合物を含有する層となる。
成膜方法としては、上記例示したような湿式成膜法が用いられることが好ましい。
成膜時の温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
成膜後、加熱乾燥、減圧乾燥等により、形成された膜を乾燥させることが好ましい。加熱により架橋させる場合は、その加熱が乾燥を兼ねていてもよい。
成膜後、加熱および/または活性エネルギー線の照射により、架橋性化合物を架橋させる。
以上のようにして、架橋性化合物を架橋させたポリマーを得ることができる。架橋性化合物を架橋させたポリマーを含有する電荷輸送層は、架橋性化合物を架橋させたポリマーからなるものであってもよいし、架橋性化合物を架橋させたポリマーの他、その他の材料を含有するものであってもよい。
(有機薄膜パターニング用基板の作製)
以下、図1を参照にして、基板上に、電極層として陽極を形成し、第1の電荷輸送層として正孔注入層、第2の電荷輸送層として、熱等によって解離する官能基を有する化合物を、熱等によって解離させることにより得られた化合物を含有する層である正孔輸送層を形成し、該第2の電荷輸送層上にバンクが形成された有機薄膜パターニング用基板を例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない(尚、図1は、陽極を省略した図となっている)。本発明の有機薄膜パターニング用基板における電荷輸送層は、正孔注入層や正孔輸送層以外であってもよいし、1層からなるものであっても、2層以上からなるものであってもよいし、また電極層は陰極であってもよい。
基板としては、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹
脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板1と一体化されたものであってもよい。また、さらには、異なる導電材料が積層されたものであってもよい。
前記基板において、パターニングされた陽極上に有機薄膜を形成して発光素子を作製した場合、該陽極の辺縁部における素子劣化が問題の1つに挙げられる。こうした素子劣化は、該辺縁部が後述の陰極と対向した部分において顕著に現れる。この原因として挙げられるのは、該陽極と陰極に挟まれた有機薄膜に掛かる局所的な電界強度と電流密度の関係が、辺縁部では中央の平坦部と比べて極端に異なることによる。つまり、辺縁部ではその断面形状の特殊性(段差の存在)からくる電界強度の上昇とそれに伴う電流密度の増加により、局所的に有機薄膜を構成する材料の劣化が促進され、もって素子寿命がさらに短縮される結果となる。
パターニングの方法としてはフォトリソグラフィー法が一般的に用いられている。また、開口を形成する方法としては、反応性イオンエッチング法の他、イオンミリング法、ウェットエッチング法などが用いられる。
しかしながら、こうした開口絶縁膜を形成することは、素子作製工程を増やし、歩留りの低下や製造コストの押し上げといったことに影響を与えることになり、できれば無い方が好ましい。これを可能にする方法の1つに、前記バンクを開口絶縁膜として用いる方法がある。それにはバンクの平面形状として前記陽極の辺縁部を覆うように設計することで実現可能である。
(第1の電荷輸送層/正孔注入層)
第1の電荷輸送層(正孔注入層)は、ドープ型化合物を含有する層または架橋性基を有する電荷輸送性化合物を架橋して得られるポリマーを含有する層であることが好ましい。上記陽極のほぼ全面(本発明においてほぼ全面とは、全面も含む)に組成物を成膜して、形成する(図1A)。これらの層の形成方法は上述の通りである。
正孔注入層は、上記の方法に限らず、その他の方法により形成されてもよく、真空蒸着法で形成されたものであってもよい。その場合、上記正孔輸送性化合物として例示したような化合物を用いることが好ましい。
本実施の態様では、第2の電荷輸送層(正孔輸送層)は、熱等によって解離する官能基を有する化合物を、熱等によって解離させることにより得られた化合物を含有する層である。上記のとおり、熱等により解離する基を含有する化合物を含む組成物を上記正孔注入層上のほぼ全面に成膜して熱等により解離させる(図1B)。
(バンクの形成)
上記正孔輸送層上に、バンクを形成する。バンクの形成方法は特に限定されるものではないが、フォトリソグラフィー法により形成されることが好ましく、正孔輸送層上に感光性組成物を成膜して、露光、現像することによりバンクを形成することが好ましい。バンクは撥インク性成分を含有することが好ましい。また、現像後、バンクで区画された領域内に、感光性組成物の残渣が残ると、有機電界発光素子としたときの発光に影響を及ぼす場合があるため、感光性組成物を成膜する前に、親水性化合物含有組成物を成膜し下引き層を形成した後(図1C)、この上に感光性組成物を成膜し(図1D)、露光、現像に供することが好ましい(図1E)。これにより、バンクは、親水性化合物含有組成物により形成される下引き層、感光性組成物により形成される樹脂層の積層構造となる(図1F)。バンクは、このように2層または3層以上からなる積層体であってもよく、単層からなるものであってもよい。
まず、親水性化合物含有組成物を用いて形成される下引き層について説明する。親水性化合物含有組成物は、親水性化合物を含有し、通常、さらに溶剤を含有する。
なお、以下、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を含むことを意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」なども同様の意味である。また、モノマー名の前に「(ポリ)」をつけたものは、当該「モノマー」と、その「ポリマー」との双方を含むことを意味し、「酸(無水物)」
、「(無水)…酸」とは、「酸」とその「酸無水物」の双方を含むことを意味する。また、「酸(塩)基」とは、「酸基」とその「塩基」の双方を含むことを意味する。また、「(共)重合」とは「重合」と「共重合」の双方を含むことを意味する。また、本発明において、「全固形分」とは、組成物の構成成分のうち、溶剤を除くすべての成分を意味する。
この下引き層の形成方法としては特に制限はないが、親水性化合物を含有する親水性化合物含有組成物を正孔輸送層上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。
親水性化合物含有組成物は、感光後に重合または硬化し、その後の現像工程における現像液に対して不溶若しくは難溶の性質を獲得する感光性組成物(いわゆるネガ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよいし、露光部が感光によって変化し、その後の現像工程における現像液に対して易溶の性質を獲得する組成物を含む感光性組成物(いわゆるポジ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよい。また、特に、無機系ネガ型感光性組成物を採用してもよい。その1例としては、ペルオキソポリタングステン酸水溶液が挙げられる。その調製方法としては、以下の文献に記載のものが挙げられる。Excimer laser exposure characteristics of inorganic resists based on peroxopolytungstic acids. Ishikawa, Akira;Okamoto, Hiroshi; Miyauchi, Katsuki; Kudo, Tetsuichi. Cent. Res. Lab., Hitachi, Ltd., Tokyo, Japan. Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering (1989), 1086(Adv. Resist Technol. Process. 6), 180-5. このような無機系感光性組成物を用いたときには、バンクで区画された領域は、界面反応の痕跡を検出することができず、該バンクを形成する以前の表面と同様に良好に保たれる。
本発明において、親水性化合物とは、水に溶解または膨潤する化合物である。具体的には、分子内に、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基などの官能基を有する化合物であることが好ましい。特に、親水性化合物は、有機化合物であることが好ましく、耐性を確保するため、親水性樹脂であることが好ましい。ここで、親水性樹脂とは、上記官能基を有する樹脂であり、通常は、上記官能基を含有する単位(モノマーやポリマー)を重合や縮合して得られる樹脂をいい、重量平均分子量(Mw)が1000〜2,000,000程度の高分子材料をいう。
親水性化合物としては、上記例示の中で、ビニルピロリドンの(共)重合体、(メタ)アクリル酸の(共)重合体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類などの親水性樹脂が好ましい。
親水性化合物は、親水性化合物含有組成物の全固形分中、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上で、100重量%以下含有されることが好ましい。
本発明に係る親水性化合物含有組成物には、上記親水性化合物の他、必要に応じて他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物やその他反応性化合物、界面活性剤、フィラー、基板密着増強剤、酸やアルコールなどの現像促進剤、色材、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤などが挙げられる。特に、親水性化合物含有組成物中に光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物を含有させることにより該組成物に感光性をもたせ、樹脂層と共に露光時に重合させることも、それぞれの界面での接着性を確保する意味で有用である。
親水性化合物含有組成物中の、全固形分濃度は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
下引き層の具体的な膜厚は、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上が特に好ましく、4μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。下引き層の膜厚がこの下限を下回ると、下引き層の効果が得られ難く、上限を上回ると、上述の如く、バンクで区画された領域内に有機薄膜が均一に形成され難くなる。また、下引き層に感光性を持たせない場合は、上層のバンク形成用レジスト層を保持することが難しくなる。
正孔輸送層上または上記下引き層上のほぼ全面に感光性組成物を成膜し、露光、現像することにより、バンクを形成する。本発明では、バンクのうち、感光性組成物により形成される部分を樹脂層という。すなわち、本発明では、露光現像前の感光性組成物により形成される層をバンク形成用レジスト層といい、バンク形成用レジスト層が露光現像により硬化し、バンクを形成した状態となっているものを樹脂層という。
本発明において、エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。重合性、架橋性、露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。特に、そのエチレン性不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
感光性組成物中に、エチレン性不飽和化合物は、1種のみ含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
光重合開始剤は、活性光線によりエチレン性不飽和化合物のエチレン性不飽和結合を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。ここでいう活性光線は、前記活性エネルギー線とは区別して用いているが、物理的には活性エネルギー線に含まれる性質のもので、概ね紫外線を中心とした波長の電磁波である。
エチレン性不飽和化合物に対する光重合開始剤の配合比としては、(エチレン性不飽和化合物)/(光重合開始剤)(重量比)の値として、通常1/1〜100/1、好ましくは2/1〜50/1である。エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤との配合比がこの範囲を逸脱すると、密着性や硬化性が低下する場合がある。
てもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
光重合開始剤として具体的には、ハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、安息香酸エステル誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アンスロン誘導体、チタノセン誘導体、オキシムエステル系化合物などが挙げられる。
(3)溶剤
溶剤としては、特に制限はないが、水あるいは有機溶剤が挙げられる。溶剤は1種を単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。
(4)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、現像液で現像可能な樹脂であれば特に限定されないが、現像液としてアルカリ現像液が好ましいため、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
バインダー樹脂の含有割合は、全固形分に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。下限を下回ると、バンクの形状確保が困難となる場合があり、上限を上回ると、感度や現像性の低下を招く場合がある。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合は均一な塗布膜を得るのが難しく、また、100,000を超える場合は現像性が低下する傾向がある。
[A]アクリル系樹脂
アクリル酸系樹脂としては、アルカリ可溶性を確保するために側鎖または主鎖にカルボキシ基または水酸基を有する単量体由来の構成成分を含むことが好ましく、高アルカリ性溶液での現像が可能な樹脂が好ましい。
[B]エチレン性不飽和基とカルボキシ基を含有する樹脂
エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂としては、公知のエチレン性不飽和基とカルボキシ基とを少なくとも一つずつ有する樹脂の1種または2種以上を用いることが好ましい。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシ基含有ビニル系樹脂としては、カルボキシ基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物、2種以上の不飽和基を有する化合物と不飽和カルボン酸(必要に応じて、不飽和カルボン酸エステル)との共重合体、E−R−N−T樹脂等が挙げられる。尚、E−R−N−T樹脂とは、(E)成分:エポキシ基含有(メタ)アクリレートを5〜90モル%と、(R)成分:(E)成分と共重合し得る他のラジカル重合性化合物を10〜95モル%とを共重合し、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の10〜100モル%に、(N)成分:不飽和一塩基酸を付加し、この(N)成分を付加したときに生成する水酸基の10〜100モル%に、(T)成分:多塩基酸無水物を付加して得られる樹脂である。
基およびカルボキシ基含有エポキシ樹脂が挙げられる
[C]変性ノボラック樹脂
変性ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂の1種または2種以上と不飽和基含有エポキシ化合物の1種または2種以上を反応させ、この反応物の水酸基にさらに多塩基酸および/またはその無水物の1種または2種以上を付加させることで得られる樹脂である(ただし、ノボラック樹脂の代りにレゾール樹脂を用いてもよい。)。
アミノ化合物を架橋剤として用いることができる。感光性組成物中の架橋剤の含有割合としては、全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。上限を上回ると、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。また、下限を下回ると硬化促進効果が期待できない。アミノ化合物としては、例えば、官能基としてメチロール基、それを炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物が挙げられる。
表面改質剤あるいは現像改良剤としては、例えば公知の、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコン系界面活性剤を用いることができる。また、現像改良剤として、有機カルボン酸或いはその無水物など公知のものを用いることもできる。また、その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
本発明において、撥インク性成分は、バンクで区画された領域内に形成される有機薄膜を形成するインクをはじく性質を有する成分であり、撥インク性成分を含有することにより、該インクのバンクに対する接触角が20°以上、より好ましくは30°以上、特に好ましくは45°以上となることである。撥インク性成分としては、バンクに撥インク性を持たせる効果があるものであればよく、特に限定されないが、フッ素含有化合物やシリコン含有化合物が挙げられるが、フッ素含有化合物が好ましい。
また、架橋性基を有するフッ素含有化合物も現像処理の際に流れ出る可能性が低いので好ましい。この架橋性基を有するフッ素含有化合物としては、例えばメガファックRS−101、RS−102、RS−105、RS−401、RS−402、RS−501、R
S−502(以上、DIC社製)、オプツールDAC(ダイキン工業社製)、パーフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
(8)着色剤
着色剤としては、顔料、染料等公知の着色剤を用いることができる。また、例えば、顔料を用いる際に、その顔料が凝集したりせずに安定して感光性組成物中に存在できるように、公知の分散剤や分散助剤が併用されてもよい。特にバンクを黒色に着色することで、鮮明な画素が得られる効果がある。黒色着色剤としては黒色染料や、カーボンブラック、チタンブラックなどの他、有機顔料を混合させて黒く着色することも低導電性を持たせる効果として有効である。
(9)重合禁止剤、酸化防止剤
感光性組成物には、安定性向上の観点等から、ハイドロキノン、メトキシフェノール等の重合禁止剤や、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)等のヒンダードフェノール系の酸化防止剤を含有する事が好ましい。その含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常5ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上600ppm以下の範囲である。下限を下回ると、安定性が悪化する傾向となる。上限を上回ると、例えば光および/または熱による硬化の際に、硬化が不十分となる可能性がある。
感光性組成物には、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系等種々の物が使用できる。その含有割合は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
感光性組成物には、硬化性や基板との密着性を改善するため、エポキシ化合物を添加することも好ましい。
エポキシ化合物としては、所謂エポキシ樹脂の繰返し単位を構成する、ポリヒドロキシ
化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物、ポリカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル化合物、および、ポリアミン化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシエポキシ化合物の含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常40重量%以
下、好ましくは30重量%以下である。上限を上回ると、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。
上述のような感光性組成物を、下引き層上に塗布して、バンク形成用レジスト層を形成する際の塗布方法としては、上記湿式成膜法が挙げられる。中でも、ダイコート法が好ましい。
感光性組成物の塗布量は、乾燥膜厚として、下引き層も含めたバンクの高さが通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1μm以上、通常10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは7μm以下のような膜厚となる量である。この際、乾燥膜厚あるいは最終的に形成されたバンクの高さが、基板全域に渡って均一であることが重要である。このばらつきが大きい場合には、有機薄膜をパターニングした基板にムラ欠陥を生ずることとなる。
下引き層上に感光性組成物を塗布した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用することが好ましい。
乾燥条件は、感光性組成物の溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができ、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、通常130℃以下、好ましくは110℃以下の温度で乾燥する。また、乾燥時間としては、15秒以上が好ましく、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥温度が低過ぎたり乾燥時間が短い場合には十分に乾燥を行うことができず感度が不安定となり、乾燥温度が高過ぎたり、乾燥時間が長過ぎると、生産性低下や、基板、その他の層の熱劣化の問題があり、好ましくない。
{バンク形成工程}
上述のように下引き層の上に、撥インク性成分を含有する感光性組成物を全面塗布、乾燥することでバンク形成用レジスト層を形成した後、露光マスクを用いてバンクパターンを露光し、さらに非画像部を下引き層と共に現像処理で除去することにより、バンクを形成する。
露光は、感光性組成物を塗布、乾燥して形成されたバンク形成用レジスト層上に、ネガの露光マスク(マスクパターン)を重ね、この露光マスクを介し、紫外線または可視光線等の光活性線の光源を照射して行う。このように露光マスクを用いて露光を行う場合には、露光マスクをバンク形成用レジスト層に近接させる方法や、露光マスクをバンク形成用レジスト層から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によってもよい。また、露光マスクを用いないレーザー光による走査露光方式によってもよい。
上記の露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フ
ィルタを利用することもできる。
露光量としては、通常、1mJ/cm2以上、好ましくは5mJ/cm2以上、より好ましくは10mJ/cm2以上であり、通常300mJ/cm2以下、好ましくは200mJ/cm2以下、より好ましくは150mJ/cm2以下である。
(現像)
上記の露光を行った後、現像することで、画像パターンを形成することができる。現像に用いる現像液としては、限定されるものではないが、アルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤を用いることが好ましい。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−またはトリエタノールアミン、モノ−・ジ−またはトリメチルアミン、モノ−・ジ−またはトリエチルアミン、モノ−またはジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−またはトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
この場合、この有機アルカリ水溶液の有機アルカリ性化合物濃度は過度に高濃度であるとバンクにダメージを与える可能性があり、過度に低濃度であると充分な現像性が確保できない可能性がある。
例えば、TMAH等の有機アルカリ0.05〜5重量%と、エチルアルコール等のアルコール類0.1〜20重量%を含む水溶液として用いてもよい。
現像の際、非画像部の下引き層はバンク形成用レジスト層とともに除去される。従って、非画像部にバンク形成用レジスト層及び下引き層は残留せず、非画像部には、下引き層の下層の基板または他の層が表出する。ここで、非画像部とは、露光、現像により除去される部分であって、バンクとして残る以外の部分をいう。また、露光する前の感光性組成物を成膜して得られる層をバンク形成用レジスト層とよび、露光後はこれを樹脂層とよぶ。
現像の後、必要により上記の露光方法と同様な方法により追露光を行ってもよく、また熱硬化処理を行ってもよい。
追露光の条件としては、上記露光条件と同様である。
熱硬化処理条件の温度は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、通常280℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下であり、時間は、通常5分以上、好ましくは20分以上、通常60分以下である。特に、撥液性の発現には、熱硬化処理を200〜240℃で20〜60分程度実施することが好ましい。
本発明は、上記有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子であって、該バンクによって区画された領域に、1層または2層以上の有機薄膜を有することを特徴とする。
バンク区画領域内に形成される有機薄膜は、1層であっても、2層以上であってもよいが、少なくとも1層は発光層であることが好ましい。また、発光層は、最下層、すなわち、バンクが形成された電荷輸送層に接する層であることが好ましい。
また、発光層は、通常、バンク区画領域内にRGBなどの色ごとに区画されて形成されるが、その他の有機薄膜は、バンクとバンク区画領域とに連続して、基板に対してほぼ全面に形成されるものであってもよい。
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上のバンクによって区画された領域内(以下、バンク区画領域内という場合がある。)に有機薄膜を形成するために用いられる。
有機薄膜パターニング用基板の基板上のバンクで区画された領域内に有機薄膜を形成させるには、通常、有機薄膜の成分を溶剤に溶解または分散させたインクをバンク区画領域内に供給して乾燥させる(図1G)。
ト法(液滴吐出法)やノズルプリント法(液流吐出法)といったインク吐出型の塗布法が好ましく(特開昭59−75205号公報、特開昭61−245106号公報、特開昭63−235901号公報)、特にインクジェット法が好ましい。
インク吐出型の塗布法に用いられるインクの溶剤としては、高沸点溶剤成分を比較的多く添加することにより、ノズルの乾燥を防止することが一般的に知られており、溶剤の選定にはこれらを考慮した上で最適な溶剤を選定することが好ましい。
バンク区画領域内にインクを供給した後は、乾燥工程によって有機薄膜を形成させるが、この乾燥条件は公知の方法を自由に選定することができ、例えばホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンなどが挙げられる。また、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法を組み合わせてもよい。またその環境は、形成させる有機薄膜の特性に応じて、大気中、N2ガス中、減圧中などを選定できる。
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
以下、発光材料のうち蛍光発光材料の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、クリセン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
ン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3における正孔輸送性化合物として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年,Vol.72−74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
発光層における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記アミン系架橋性組成物で説明した溶剤と同様である。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
(その他の層)
以下、上記説明した、正孔注入層、正孔輸送層および発光層以外の、有機電界発光素子の電極層の間(すなわち、陽極と陰極の間)に形成される層および陰極について説明する。電極層の間に形成される層は、有機薄膜パターニング用基板における電荷輸送層として用いられてもよいし、バンク区画領域内に形成される有機薄膜として用いられてもよい。
{正孔阻止層}
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
発光層と後述の電子注入層の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率良く発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
陰極は、発光層側の層に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
{電子阻止層}
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
さらに陰極と発光層または電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率
を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices,1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest,pp.154等参照)。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V2O5)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
(合成例1)化合物Q2の合成
続いて、攪拌しながらエタノール(200ml)に化合物Q1(39g)を溶解、ついで
35%NaOH溶液0.1gを添加し、30分間攪拌を保持した後、水(400ml)を加え、析出してくる結晶を濾取、水洗、乾燥させ、化合物Q2(39g)を得た。
化合物Q2:1H NMR(CDCl3,400MHz) δ0.84(d,3H)、0.93(d,3H)、1.04−1.118(m,1H)、1.19−1.23(m,3H)、1.80(s、3H),3.94−3.97(m、1H),4.22(d、1H),5.84(d、1H),6.45(s、2H)、
(合成例2)化合物Q6の合成
化合物Q6:1H NMR(CDCl3,400MHz) δ0.834(d,3H)、1.1019(d,3H)、1.04−1.118(m,1H)、1.19−1.23(m,3H)、1.87(s、3H),3.94−3.97(m、1H),4.22(d、1H),5.83(d、1H),6.59(s、2H)
(Mass測定の結果)
化合物Q6のMASS分析手法は、下記の方法にて行なった。
イオン化法 DEI(positive ion mode)、
DCI(positive ion mode)−イソブタンガス
加速電圧:70eV
エミッター電流変化率:0Aから0.9A
走査質量数範囲:m/z100−1300 2.0sec/scan
結果はm/z=M+538であった。
10分間窒素バブリングしたトルエン(10g)にジパラジウムトリス(ジベンジリデンアセトン)クロロフォルム(0.015g)と1,1’−フェロセンビス(ジフェニルフォスフィン)(0.056g)とを溶解したのち、70℃にて10分間加熱した。その後、このパラジウム触媒溶液を、化合物Q9(2g)、ブロモベンゼン(1.6g)とターシャリーブトキシナトリウム(3,4g)とをトルエン(200ml)に溶解、40分間窒素バブリングを施した溶液に添加、窒素気流中、100℃にて4時間攪拌した。この溶液を室温に戻し、水を100ml添加して析出してくる結晶を濾取、エタノールで洗浄し化合物Q10(1.3g)を得た。
化合物Q10のMASS分析手法は下記の方法により行なった。
DEI法、DCI法(日本電子社製 質量分析計 JMS−700/MStation)
イオン化法 DEI(positive ion mode)、
DCI(positive ion mode)−イソブタンガス
加速電圧:70eV
エミッター電流変化率: 0Aから0.9A
走査質量数範囲: m/z 100−800 2.0sec/scan
結果は、m/z=M+546であった。
化合物Q11:1H NMR(CDCl3,400MHz) δ0.83(d,3H)、0.93(d,3H)、1.04−1.118(m,1H)、1.19−1.23(m,3H)、1.87(s、3H),3.94−4.05(m、1H),4.26(d、1H),5.90(d、1H),6.90−7.3(m、30H)
(合成例5)重合体1の合成
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.013g、0.0013mmol)のトルエン2ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.0210g、0.0104mmol)を加え、50℃まで加温した(溶液B)。
この粗ポリマー1をトルエンに溶解し、アセトンに再沈殿し、析出したポリマーを濾別した。得られた粗ポリマー1をトルエン45mlに溶解させ、ブロモベンゼン(0.041g、0.3mmol)、及びtert−ブトキシナトリウム(1.80g、2mmol)を仕込み、系内を十分に窒素置換して、50℃まで加温した(溶液C)。
窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン(0.22g、1.3mmol)のトルエン(34ml)溶液を添加し、さらに、8時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、メタノールに滴下し、粗ポリマー1を得た。
重量平均分子量(Mw)=106696
数平均分子量(Mn)=47937
分散度(Mw/Mn)=2.23
重合体1の熱解離を示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製:DSC6220)により観測した。熱解離は、温度が230℃で効率よく起こることが確認された。
素バブリング)を加えた。続いて、Pd(PPh3)4 0.54gを加え、反応溶液を8
時間還流した。有機層を分取したのち、水で2回洗浄した。有機層を減圧乾固した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、Q14(2.6 g、収率:66%)を得た。
℃オイルバスにつけ7時間反応した。溶液を室温まで放冷したのち、氷で冷却し、生成物を結晶化した。結晶をろ過した後、水で懸洗、乾燥し、Q15(1.66 g、収率:71 %)を得た。
ブトキシナトリウム(1.81g)、及びトルエン(30ml)を仕込み、系内を十分に
窒素置換して、65℃まで加温した(溶液A)。
一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(60mg)のトルエン溶液(5ml)に、トリ−t−ブチルホスフィン95mgを加え、65℃まで加温した(溶液B)。
反応液を放冷して、反応液をエタノール中に滴下し、粗ポリマー2を晶出させた。
得られた粗ポリマー2をトルエン100mLに溶解させ、ブロモベンゼン0.18g、tert−ブトキシナトリウム1.81gを仕込み、系内を十分に窒素置換して、65℃まで加温した(溶液C)。
窒素気流中、溶液Cに溶液Dを添加し、2時間、加熱還流反応した。この反応液に、N,N−ジフェニルアミン0.99gを添加し、さらに、4時間、加熱還流反応した。反応液を放冷し、エタノールに滴下し、エンドキャップした粗ポリマー2を得た。
数平均分子量(Mn)=18400
分散度(Mw/Mn)=1.68
<有機電界発光素子の作成>
(実施例1)
<陽極の形成>
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ製膜品)を通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。陽極を形成した基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。陽極を形成した基板のITOの表面粗さをVertScan(菱化システム社製)にて測定したところ、Ra:0.62 nm Rmax:3.69 nmであった。
ドープ型化合物含有組成物の調製を行った。下記式P3の繰り返し構造を有する芳香族三級アミン高分子化合物(重量平均分子質量29600;ガラス転移温度177℃)2重量%と、下記式A1で表される電子受容性化合物0.8重量%を、溶剤として安息香酸エチルに溶解し、ドープ型化合物含有組成物を調製した。
<正孔輸送層の形成>
次に、解離基含有組成物の調製を行った。下記式P1の構造を有するポリマーからなる解離基を有する化合物(合成例5で合成された重合体1:重量平均分子量=約11万)が0.4重量%濃度となるように溶剤としてトルエンに溶解し、解離基含有組成物を調製した。トルエンは市販の脱水トルエンを用い、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で該解離基含有組成物を調製した。
面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.49 nm Rmax:3.65 nmであった。
<バンクの形成>
次に、正孔輸送層までを形成した基板を大気中に取り出し、紫外光をカットしたイエロールームにてバンクの形成を行った。
親水性化合物:ポリビニルピロリドン K−85(日本触媒社製)
エチレン性不飽和化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)
光重合開始剤:イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
また、バンク形成用レジスト層(樹脂層)を形成するため、感光性組成物として以下に示す、バインダー樹脂を48重量部、エチレン性不飽和化合物(1)を24重量部、エチレン性不飽和化合物(2)を24重量部、エチレン性不飽和化合物(3)を5重量部、光重合開始剤を1.5重量部、表面改質剤を0.1重量部、撥インク性成分を1重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する組成物を調製した。調製はそれぞれの成分を配合し、よく混ぜ合わせることにより行った。
バインダー樹脂:以下の合成例で合成された樹脂
エチレン性不飽和化合物(1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)
エチレン性不飽和化合物(2):デコナールアクリレートDA−314(ナガセケムテックス社製)/以下の2化合物の混合物
表面改質剤:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン BYK−330(ビックケミー社製)
撥インク性成分:メガファック RS−102(DIC社製)
(合成例/バインダー樹脂の製造)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。これに、スチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製「FA−513M」)82重量部を滴下し、更に、140℃で2時間攪拌し続けた。次に、反応容器内を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ、下記式で表されるアルカリ可溶性樹脂であるバインダー樹脂−1を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は約8000
であった。
さらに該下引き層上に、感光性組成物をスピンコート法により、乾燥膜厚3μmとなるようにバンク形成用レジスト層を該下引き層上のほぼ全面に成膜した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。成膜後、常温で1分間、真空乾燥し、さらにホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥した。形成された下引き層とバンク形成用レジスト層の厚みは、全厚で3.1μmであった。
光条件にて露光を施した。照射後、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の2.38%水溶液およびエタノール10重量%を含む水溶液を現像液として、23℃において、水圧0.1MPaのシャワー現像を2分間施した後、純水スプレーで30秒間リンスし、圧空で水を切った。ついで、基板を窒素グローブボックス中に移し、窒素グローブボックス中で230℃、30分間ポストベークし、正孔輸送層上に下引き層と樹脂層の2層がこの順で積層されたバンクを形成した。形成したバンクは全厚3.1μm、開口部が1辺70μmの長さである略正方形となった。このようにして、バンクが形成された後
で、非露光部の下引き層がバンク形成用レジスト層と共に現像工程で除去され、正孔輸送層が露出した表面の表面粗さを、ITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.48 nm Rmax:3.35 nmであった。
<発光層の形成>
次に、有機薄膜として発光層を形成した。ホスト材料として、以下に示す有機化合物(C5)および(C6)を、(C5):(C6)=100:5(重量比)の比率で、溶剤であるCHBに溶解させ、インクジェット用インクとして用いられる、固形分濃度0.5重量%の発光層形成用組成物を調製した。
なお、20ノズル(該発光層形成用組成物を吐出する開口が20個ならんでいるノズル)を同時に使用して、20×20の区画領域にインクを吐出した。終了後、速やかに発光層が形成された基板を減圧乾燥機に導入し、減圧下(10kPa)、130℃、1時間の乾燥を行った。このようにして膜厚25nmの発光層を形成した。
下記式(iii)で表される化合物を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、発光層が形
成された基板上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.2×10−6Torr、(
1.6×10−4Pa)、蒸着速度1.0Å/秒(0.1nm/sec)とし、膜厚10nmの正孔阻止層を形成した。
下記式(iv)で表される化合物を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、正孔阻止層上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.2×10―6Torr(1.6×10−4
Pa)、蒸着速度1.5Å/秒(0.15nm/sec)とし、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
ここで、電子輸送層までを形成した素子を一度真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して、正孔阻止層や電子輸送層の蒸着時と同様にして装置内の真空度が2×10−6Torr(2.7×10−4Pa)になるまで排気した。フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.05Å/秒(0.005nm/sec)、真空度2.0×10−6Torr(2.7×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜した。
次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度4Å/秒(0.4nm/sec)、真空度5×10−6Torr(6.7×10−4Pa)で膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極を形成した。
<封止>
陰極までを形成した基板を真空蒸着装置内より、大気中に取り出して、窒素グローブボックス(酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppm)に速やかに導入し、その中で封止を行った。
(実施例2)
実施例1において、正孔注入層の形成から発光層の形成までを下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして形成した。
作成した素子は、1辺70μmの正方形の発光領域がムラ無く均一に発光することを確認した。
<正孔注入層の形成>
ドープ型化合物含有解離基含有組成物の調製を行った。下記式P3の構造を有するポリマーからなる解離基を有する重合体(合成例9で合成された重合体2:重量平均分子質量=約3万)2重量%と、前記式A1で表される電子受容性化合物0.8重量%を、溶剤として安息香酸エチルに溶解し、ドープ型化合物含有解離基含有組成物を調製した。
<正孔輸送層の形成>
次に、架橋基含有組成物の調製を行った。下記式P1の構造を有するポリマーからなる架橋基を有する化合物(重量平均分子量=75000)が0.4重量%濃度となるように溶剤としてトルエンに溶解し、解離基含有組成物を調製した。トルエンは市販の脱水トルエンを用い、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で該架橋基含有組成物を調製した。
スピンコートおよびベークは、すべて酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露せずに行った。正孔輸送層の表面粗さを上記ITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.49 nm Rmax:3.65 nmであった。
次に、正孔輸送層までを形成した基板を大気中に取り出し、紫外光をカットしたイエロールームにてバンクの形成を行った。
(感光性組成物)
実施例1の<バンクの形成>(感光性組成物)の項で合成した組成物を用いて、正孔輸送層上のほぼ全面に、スピンコート法によりバンク形成用レジスト層を成膜した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。成膜後、常温で1分間、真空乾燥し、さらにホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥した。形成されたバンク形成用レジスト層の厚みは、乾燥膜厚全厚で2.1μmであった。
H(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の2.38%水溶液を10倍希釈した水溶液を現像液として、23℃において、水圧0.1MPaのシャワー現像を2分間施した後、純水スプレーで30秒間リンスし、圧空で水を切った。ついで、基板を窒素グローブボックス中に移し、窒素グローブボックス中で230℃、30分間ポストベークし、正孔輸送層上にバンクを形成した。形成したバンクは全厚2.1μm、開口部が1辺70μmの
長さである略正方形となった。このようにしてバンクが形成された後で、非露光部のバンク形成用レジストが除去され正孔輸送層が露出した表面の表面粗さを、ITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.48 nm Rmax:3.35 nmであった。
<発光層の形成>
実施例1と同様にして、膜厚35nmの発光層を形成した。
正孔輸送層を以下の方法で形成した他は、実施例2と同様にして、有機電界発光素子を作製した。この素子は、1辺70μmの正方形の発光領域にムラが認められた。駆動電圧は実施例2に比べて高くなった。
尚、バンクで区画された領域の表面粗さは、Ra:0.32 nm Rmax:2.56 nmであった。
<正孔輸送層の形成>
正孔輸送層形成用組成物の調製を行った。下記式P2の構造を有するポリマーからなる架橋性化合物(重量平均分子量35,800、分子量分布1.64)を0.4重量%の濃
度となるように溶剤としてトルエンに溶解し、正孔輸送層形成用組成物を調製した。トルエンは市販の脱水トルエンを用い、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で該正孔輸送層形成用組成物を調製した。
2 電荷輸送層(第1)
3 電荷輸送層(第2)
4 下引き層
5 バンク形成用レジスト層
6 露光マスク
7 活性光線
8 バンクで区画された領域
9 樹脂層
10 有機薄膜
11 バンク
Claims (14)
- 基板上に直接または他の層を介して1層または2層以上の電荷輸送層を有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、
該電荷輸送層が、熱および/または活性エネルギー線によって解離する官能基を有する化合物を、熱および/または活性エネルギー線によって解離させることにより得られた化合物を含有することを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板。 - 前記電荷輸送層が、前記バンクと隣接していることを特徴とする、請求項1に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 基板上に直接または他の層を介して2層以上の電荷輸送層を有し、該バンクと隣接しない電荷輸送層が、熱および/または活性エネルギー線によって解離する官能基を有する化合物を、熱および/または活性エネルギー線によって解離させることにより得られた化合物を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 熱および/または活性エネルギー線によって解離する官能基を有する化合物の、該官能基が解離基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 熱および/または活性エネルギー線によって解離する官能基を有する化合物が、下記式(U1)又は下記式(U2)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の有機薄膜パターニング用基板。
S1、S2、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。
式(U2)中、環B0は芳香族環を表す。該芳香族環は置換基を有していてもよい。また、該置換基同士が直接または2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
S11〜S14、R11〜R16は、それぞれ独立に、上記S1、S2、R1〜R6として示したものと同様である。) - 前記式(1)又は前記式(2)で表される部分構造を有する化合物が、
更にそれぞれ下記式U9またはU10で表される部分構造を繰り返し単位中に含む重合体であることを特徴とする、請求項5に記載の有機薄膜パターニング用基板。
Sz21、Sz22、Rz21〜Rz26は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいへテロアリールアミノ基または置換基を有していてもよいアシルアミノ基を表す。
Xz1及びXz2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6以上50以
下の2価の芳香族炭化水素環基、または置換基を有していてもよい炭素数5以上50以下の2価の芳香族複素環基を表す。
式(U10)中、環Bz1は解離基が結合する芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。該芳香族炭化水素環及び該芳香族複素環は置換基を有していてもよい。また、該置換基同士が直接または2価の連結基を介して環を形成していてもよい。
Sz31〜Sz34、Rz31〜Rz36、Xz3及びXz4は、それぞれ独立に、上記Sz21、Sz22、Rz21〜Rz26、Xz1及びXz2として示したものと同様である。
nZ1〜nZ4はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表す。) - 基板上に直接または他の層を介して2層以上の電荷輸送層を有し、該バンクと隣接しない電荷輸送層が、ドープ型化合物を含有する層であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 該バンクは、撥インク性成分を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 該バンクは、下引き層と該下引き層上の樹脂層を含む積層構造であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
- 該下引き層が親水性化合物を含有し、該樹脂層が撥インク性成分を含有することを特徴
とする、請求項9に記載の有機薄膜パターニング用基板。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子であって、該バンクによって区画された領域に、1層または2層以上の有機薄膜を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
- 該有機薄膜の少なくとも1層が発光層であることを特徴とする、請求項10に記載の有機電界発光素子。
- 請求項11または12に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL表示装置。
- 請求項11または12に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL照明。
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