JP2010073340A - 有機電界発光素子、有機el表示装置、有機el照明および有機薄膜パターニング用基板 - Google Patents

有機電界発光素子、有機el表示装置、有機el照明および有機薄膜パターニング用基板 Download PDF

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尚範 加藤
Eriko Toshimitsu
恵理子 利光
Kazuyoshi Urano
年由 浦野
Toshimitsu Nakai
敏光 中井
Takashi Otani
敬史 大谷
Mizuki Yamahira
瑞喜 山平
Yasutsugu Yamauchi
康嗣 山内
Shigeki Nagao
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Abstract

【課題】プロセス的に簡便で生産コスト的にも有利なバンクを用いても、バンクによって区画された領域の表面粗さに優れ、バンクで区画された領域内に有機薄膜を均一に成膜することができ、混色や白抜けが生じにくい有機薄膜パターニング用基板により、バンクを用いても、ムラ無く、均一に発光し、初期特性が良好で素子寿命の長い有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を有する有機電界発光素子であって、該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体であることを特徴とする有機電界発光素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL表示装置や有機EL照明等に用いられる有機電界発光素子に関する。詳しくは、カラーディスプレイ等に用いられる有機電界発光素子と、この有機電界発光素子を用いた有機EL表示装置および有機EL照明に関する。本発明は、また、このような有機電界発光素子やカラーフィルター、フィールドエミッションなどの光学素子の画素の形成等に利用される有機薄膜パターニング用基板に関する。
近年、カラーディスプレイの発達は著しく、需要も増加の傾向にあるが、さらなる普及のためには製造の簡易化が求められ、製造プロセスが簡略で歩留まりがよく、低コストであるインクジェット方式を利用して画素を形成させる方法が提案されてきた。インクジェット方式では、まず画素の塗り分けのためのバンクを基板上に形成して区画領域を形成し、この区画された領域内にRGB三原色それぞれの画素を形成するインクを吐出して、乾燥することにより画素を形成させていく。このインクにより形成される画素を、有機電界発光素子では発光材料を含む発光層に、カラーフィルターでは顔料や染料からなる着色層に、フィールドエミッションでは蛍光体を含む発光部や電子源を含有する電界放出素子にすることで、それぞれの用途への応用が可能となる。
特許文献1や特許文献2では、撥インク性を有するレジスト材料を用いて、自己撥液性のバンクを形成している。これらの技術は、フォトリソグラフィーによるバンク製造工程のみで撥インク性のバンクを形成することができるため、工程的に好ましいが、バンク以外の領域にも撥インク性を有するレジスト材料の成分が残り、これが、現像工程で十分に除去され難いという問題点があった。特に、バンク形成面がガラスなどの無機物ではなく、有機物である場合は、バンク形成成分とバンク形成面である下層との親和性が強いため一体化し易く、撥インク性を有するレジスト材料の成分が下層のバンク形成面に吸着し、白抜けを生じたり、バンクで区画された領域内に有機薄膜を形成しようとすると均一に成膜できなかったりするという問題点があった。
また、これらの成分を除去するために、過酷な条件で現像処理を行うと、下層にダメージを与える、例えば、バンク形成前と比較して、下層表面の平滑性が保たれなかったり、その表面粗さが大きく変化してしまったりするという問題点があった。また、該下層が形成されてから、バンクの形成を経て、該下層上に発光層などの有機薄膜を形成して得られる有機電界発光素子は、均一な発光が得られず、電気的特性の変化も大きいという問題点があった。また、このような有機電界発光素子は寿命が著しく短く、実用に供することができないという問題点があった。
特開平10−115703号公報 特開2005−60515号公報
本発明は、プロセス的に簡便で生産コスト的にも有利なバンクを用いても、バンクによって区画された領域の表面粗さに優れ、バンクで区画された領域内に有機薄膜を均一に成膜することができ、混色や白抜けが生じにくい有機薄膜パターニング用基板を提供することを課題とする。また、本発明は、該バンクを用いても、ムラ無く、均一に発光し、初期特性が良好で素子寿命の長い有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、バンクを、最下層に下引き層を有する2層以上の積層体とすることにより、バンクで区画された領域の平滑性、表面粗さが良好で、白抜けが生じず、また、有機電界発光素子としたときに、ムラ無く、均一に発光し、初期特性が良好で素子寿命の長い有機電界発光素子が提供できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を有する有機電界発光素子であって、該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体であることを特徴とする有機電界発光素子、に存する。
本発明の更に別の要旨は、このような有機電界発光素子を用いることを特徴とする有機EL表示装置、および有機EL照明、に存する。
本発明の更に別の要旨は、基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を形成するために用いられる有機薄膜パターニング用基板であって、該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体であることを特徴とする有機薄膜パターニング用基板、に存する。
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、バンクで区画された領域内の平滑性や表面粗さが殆ど変化することなく保たれた基板である。
また、本発明の有機薄膜パターニング用基板のバンクで区画された領域内には、均一で、混色や白抜けの問題の少ない有機薄膜を形成することができる。
従って、本発明の有機薄膜パターニング用基板は、特に、混色と白抜けが発生し易いインクジェット方式などのインク吐出型塗布法で有機薄膜を形成する際に有用である。
本発明の有機電界発光素子は、ムラ無く、均一に発光し、初期特性が良好で素子寿命の長い素子である。従って、本発明の有機電界発光素子を用いれば、高品位な有機EL表示装置および有機EL照明を提供することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を含むことを意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」なども同様の意味である。また、モノマー名の前に「(ポリ)」をつけたものは、当該「モノマー」と、その「ポリマー」との双方を含むことを意味し、「酸(無水物)」、「(無水)…酸」とは、「酸」とその「酸無水物」の双方を含むことを意味する。
また、「…酸(塩)基」とは、「…酸基」と「…酸塩基」の双方を含むことを意味する。
また、「(共)重合」とは「重合」と「共重合」の双方を含むことを意味する。
また、本発明において、「全固形分」とは、組成物の構成成分のうち、溶剤を除くすべての成分を意味する。
また、本発明において、各種の樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
本発明の有機電界発光素子は、基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を有する有機電界発光素子であって、該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体であることを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子において、該バンクによって区画された領域内に有する有機薄膜は、通常、発光層であり、基板上に形成された有機層は、通常正孔注入層または正孔輸送層等の電荷輸送層である。
このような本発明の有機電界発光素子は、通常、基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を形成するために用いられる、有機薄膜パターニング用基板であって、該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体である本発明の有機薄膜パターニング用基板を用いて製造されるが、何らこの有機薄膜パターニング用基板を用いるものに限定されるものではない。
[有機薄膜パターニング用基板]
本発明の有機電界発光素子を説明するに先立ち、まず、本発明の有機薄膜パターニング用基板を、その製造手順の一例に従って、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の有機薄膜パターニング用基板の製造手順と製造された有機薄膜パターニング用基板への有機薄膜の形成工程の実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。尚、図1は、説明上、基板に直接バンクが形成される構成としている。
この方法は、基板11上に有機層12を形成した後、下引き層13を形成し、この下引き層13上にバンク形成用レジスト層14を設け、バンク形成用レジスト層14を、露光および現像することによりバンク15を形成する際に、非画像部のバンク形成用レジスト層14を非画像部の下引き層13とともに除去することにより、基板11上に形成された有機層12上に、下引き層13と該下引き層13上のバンク形成用レジスト層14からなる積層体よりなるバンク15を形成する方法である。
{有機層形成工程}
本発明の有機薄膜パターニング用基板を製造するには、まず、基板11上に、直接または他の層を介して、その全面にわたって有機層12を設ける(図1(A))。ここで、「全面」とは、基板の「ほぼ全面」も含む意味とする。
ここで、基板11上に形成される有機層12としては特に制限はなく、例えば有機電界発光素子用途であれば、陽極や陰極などの電極層上に形成される正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層などの、発光層と電極層との間に設けられる電荷輸送層が挙げられる。有機層12としては、正孔注入層または正孔輸送層が好ましい。また、他の層としては、陽極や陰極などの電極層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、発光層が挙げられる。これら、陽極や陰極などの電極層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、発光層および基板については、後述の有機電界発光素子の説明部分で詳述する。
該有機層12は、高分子化合物を含む材料で構成されていてもよく、特に架橋性化合物を架橋してなる高分子化合物で構成されていてもよい。その場合、バンクで区画された領域に形成する有機薄膜を構成する材料を、該有機層を構成する材料および該バンクを構成する材料に対する貧溶媒に溶解または分散させて塗布することができる。これにより、該有機層12の表面を侵食や変性させることなく、その上に有機薄膜を形成することができる。
{下引き層形成工程}
基板11上に所定の有機層12を、その全面にわたって形成した後に、下引き層13を形成する(図1(B))。
この下引き層13の形成方法としては特に制限はないが、親水性化合物を含有する親水性化合物含有組成物を有機層12上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。
親水性化合物含有組成物は、感光後に重合または硬化し、その後の現像工程における現像液に対して不溶若しくは難溶の性質を獲得する感光性組成物(いわゆるネガ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよいし、露光部が感光によって変化し、その後の現像工程における現像液に対して易溶の性質を獲得する組成物を含む感光性組成物(いわゆるポジ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよい。また、特に、無機系ネガ型感光性組成物を採用してもよい。その1例としては、ペルオキソポリタングステン酸水溶液が挙げられる。その調製方法としては、以下の文献に記載のものが挙げられる。
Excimer laser exposure characteristics of inorganic resists based on peroxopolytungstic acids.Ishikawa,Akira;Okamoto,Hiroshi;Miyauchi,Katsuki;Kudo,Tetsuichi.Cent.Res.Lab.,Hitachi,Ltd.,Tokyo,Japan.Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering(1989),1086(Adv.Resist Technol.Process.6),180-5.
このような無機系感光性組成物を用いたときには、バンクで区画された領域は、界面反応の痕跡を検出することができず、該バンクを形成する以前の表面と同様に良好に保たれる。
このように下引き層が感光性を有する場合には、通常、下記詳述するバンク形成用レジスト層とその感光型(ネガ型またはポジ型)が一致するようにする。
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、例えば、後述の撥インク性成分を含有する感光性組成物(以下「撥インク性レジスト材料」と称す場合がある。)を塗布してバンク形成用レジスト層を形成した後、露光および現像してバンクを形成したときに、このような撥インク性レジスト材料との親和性が強く、撥インク性レジスト材料が残り易い有機層12が基板11上に全面的に形成されていても、このような下引き層13を設けることにより、該バンク形成工程の現像過程において、非画像部のバンク形成用レジスト層14を、非画像部の下引き層13とともに除去することで、バンクで区画された領域内にこの撥インク性レジスト材料が残りにくいものとすることができる。
従来の方法では、過酷な条件で現像処理を行わないと撥インク性レジスト材料を除去することができなかったため、この現像処理により、例えば、バンク形成前と比較して、バンクが形成された層(バンクで区画された領域)の表面の平滑性が保たれない、あるいはその表面粗さが大きく変化してしまいうなどのダメージがあった。そのため、バンクで区画された領域に、発光層などの有機薄膜を形成すると、有機電界発光素子としたときに、ムラ無く、均一に発光できなかったり、電気的特性が大きく変化してしまい、素子の寿命が著しく短縮するといった問題点があった。しかしながら、本発明によれば、上記のようなダメージを与えることなく、バンクを形成することができ、良好な有機電界発光素子を得ることができる。
<親水性化合物含有組成物>
下引き層の形成に好適に用いられる親水性化合物含有組成物は、親水性化合物を含有し、通常、さらに溶剤を含有する。
本発明において、親水性化合物とは、水に溶解または膨潤する化合物である。具体的には、分子内に、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基などの官能基を有する化合物であることが好ましい。特に、親水性化合物は、有機化合物であることが好ましい。
親水性化合物は、上記条件を満たし、膜を形成し得るものであれば特に限定されないが、膜形成やその後のバンク形成用レジスト層を形成するための感光性組成物に対する耐性を確保するためには、この親水性化合物は親水性樹脂であることが好ましい。ここで、親水性樹脂とは、上記官能基を有する樹脂であり、通常は、上記官能基を含有する単位(モノマーやポリマー)を重合や縮合して得られる樹脂をいう。また、通常GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量(Mw)が1000〜2,000,000程度の高分子材料をいう。
親水性化合物として用い得る親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド、無水マレイン酸共重合体、アラビアゴム、水溶性大豆多糖類、ホワイトデキストリン、プルラン、カードラン、キトサン、アルギン酸、酵素分解エーテル化デキストリン等の他、親水性モノマーを用いて(共)重合された(共)重合体などが挙げられる。
親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルピロリドン、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基およびエーテル基などから選ばれる親水性基を有するモノマーが挙げられる。
また、親水性樹脂以外の親水性化合物としては、上記親水性モノマーとして例示したものが挙げられ、これらが親水性化合物含有組成物中にモノマーのまま含有されることも好ましい。
親水性化合物としては、上記例示の中で、ビニルピロリドンの(共)重合体、(メタ)アクリル酸の(共)重合体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類などの親水性樹脂が好ましい。
本発明で用いる親水性化合物含有組成物は、これらの親水性化合物の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
親水性化合物は、親水性化合物含有組成物の全固形分中、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上で、100重量%以下含有されることが好ましい。親水性化合物含有組成物中の親水性化合物の含有量が、上記下限より少ない場合、形成された下引き層を現像によって完全に除去することが困難となり、白抜けに繋がる。また、バンクによって区切れられた領域に、インク吐出型の塗布法によって、均一な有機薄膜の形成が困難となる。
本発明に係る親水性化合物含有組成物には、上記親水性化合物の他、必要に応じて他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物やその他反応性化合物、界面活性剤、フィラー、基板密着増強剤、酸やアルコールなどの現像促進剤、色材、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤などが挙げられる。特に、親水性化合物含有組成物中に光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物を含有させることにより該組成物に感光性をもたせ、バンク形成用レジスト層と共に露光時に重合させることも、それぞれの界面での接着性を確保する意味で有用である。
この場合に用いられる光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物としては、例えば、後述の感光性組成物に含有される光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物として例示するものなどを用いることができる。親水性化合物含有組成物が、光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分中、通常0.01重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。親水性化合物含有組成物がエチレン性不飽和化合物を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物の含有量が少な過ぎるとこれを含有させたことによる感光性を得ることができず、多過ぎると、相対的に親水性化合物の含有量が少なくなり、上述の問題が発生する。
もちろん、親水性化合物含有組成物は感光性である必要はなく、バンク形成用レジスト層の材料や現像液の選定や下引き層の膜厚の制御で、感光性でなくても十分にバンク形成用レジスト層に対する接着性を確保することは可能であり、むしろ感光性でないことを利用してバンクの裾引きを回避するなどの工夫をすることもできる。
親水性化合物含有組成物に含有される溶剤としては、親水性化合物含有組成物の固形分が溶解若しくは分散可能で、均一な塗布を可能とするものであればよく特に限定されないが、親水性化合物はこの溶剤に分散しているよりも溶解している方が好ましく、この溶解性を確保する点から、水および/またはアルコール系溶剤を用いることが好ましく、特に、水および/またはアルコール系溶剤が、親水性化合物含有組成物に含まれる溶剤の主成分であることが好ましい。
また、水および/またはアルコール系溶剤は、特に、本発明のように、下引き層が有機層上に設けられる場合に、該有機層を溶解させないという点においても好ましく、特にその有機層が有機電界発光素子の正孔注入層や正孔輸送層である場合に有用である。さらに、下引き層を形成後、バンク形成用レジスト層形成工程における、後述の感光性組成物の塗布の際に、下引き層が感光性組成物に含有される有機溶剤によって流れ出させないためにも、親水性化合物含有組成物の固形分は水および/またはアルコール系溶剤への溶解性が高く、後述の感光性組成物の溶剤である有機溶剤には難溶ないし不溶であることが好ましい。
親水性化合物含有組成物に用いられるアルコール系溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−メチル−3−n−プロポキシブタノール、3−メチル−3−イソプロポキシブタノール、3−メチル−3−n−ブトキシシブタノール、3−メチル−3−イソブトキシシブタノール、3−メチル−3−sec−ブトキシブタノール、3−メチル−3−tert−ブトキシシブタノール、3−メトキシブタノール等のアルコキシアルコール類が挙げられる。
アルコール系溶剤のアルキル基鎖は、あまり長くない方が親水性化合物の溶解性の点で好ましく、アルキルアルコール類としてはアルキル基の炭素数が2〜4程度であるものが好ましく、グリコールエーテル類としてはアルキレングリコール部分のアルキレン基の炭素数が3〜5程度であるもの、アルコキシアルコール類としては、アルコキシ基の炭素数が2〜4程度のものが好ましい。
なお、親水性化合物含有組成物の溶剤としては、水、アルコール系溶剤以外の溶剤であってもよく、親水性化合物含有組成物に使用し得る、水、アルコール系溶剤以外の溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン等のケトン類、3−メトキシブチルアセテート、ブチルジグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類などが挙げられる。これらは単独で用いても、水やアルコール系溶剤と混合して用いてもよい。
親水性化合物含有組成物に含まれる溶剤は、水、上述のアルコール系溶剤、およびその他の溶剤から選ばれる1種のみであってもよく、2種以上の混合溶剤であってもよい。
ただし、親水性化合物含有組成物中の溶剤は、水および/アルコール系溶剤よりなることが好ましく、その他の溶剤を混合して用いることも可能であるが、全溶剤中に水および/またはアルコール系溶剤が、5重量%以上、特に20重量%以上、100重量%以下含有されることが好ましい。特に、水および/またはアルコール系溶剤は、親水性化合物含有組成物の溶剤の主成分として含有されていることが好ましい。溶剤の主成分として含有されるとは、水、アルコール系溶剤、または水とアルコール系溶剤との混合溶剤が、溶剤中において、最も多い重量含有されていることをいう。
親水性化合物含有組成物中の、全固形分濃度は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。親水性化合物含有組成物の全固形分濃度が上記下限を下回ると、塗膜の形成が難しく、上限を上回ると薄膜を形成することが難しくなる。
上記親水性化合物含有組成物を、基板上の有機層上に、塗布、乾燥することにより下引き層を形成する際の塗布方法は限定されないが、例えば、スピンコート法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法、浸漬塗布法などによって塗布することができる。これらの塗布方法は、用途や膜厚によって自由に選定することができる。
乾燥方法としては、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用して乾燥させる方法が好ましい。乾燥条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥温度としては、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、通常200℃以下、好ましくは130℃以下の温度で加熱乾燥する。また、乾燥時間としては、15秒以上が好ましく、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥温度が低過ぎたり乾燥時間が短い場合には十分に乾燥を行うことができず感光性組成物を塗布する際に流れでてしまう恐れがあり、乾燥温度が高過ぎたり、乾燥時間が長過ぎると、生産性低下や基板、その他の層の熱劣化の問題があり、好ましくない。
なお、乾燥は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う減圧乾燥法であってもよく、また減圧乾燥と加熱乾燥との併用でもよい。
乾燥後に得られる下引き層の膜厚は、特に限定されないが、下引き層も含んだ出来上がりのバンク高さ(図1(E)のHの高さ)の1/3以下が好ましく、1/4以下であることが特に好ましく、また1/200以上であることが好ましく、1/50以上であることが特に好ましい。これよりも下引き層の膜厚が大きくなると、次のような問題がある。即ち、下引き層は通常バンク形成用レジスト層の部分よりも、有機薄膜形成用のインクに対する濡れ性が高いため、有機薄膜を形成する際、バンク壁面の下引き層表出部分において、有機薄膜の塗布膜厚が高くなり、この状態で乾燥されてしまい、乾燥後も平らにならずに、バンクによって区画された領域の中心部の厚みが薄く、周囲が厚い不均一な有機薄膜が形成されてしまう恐れがある。逆に、下引き層の膜厚が上記下限よりも小さいと下引き層を形成したことによる本発明の効果が得られにくい。
下引き層の具体的な膜厚は、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上が特に好ましく、4μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。下引き層の膜厚がこの下限を下回ると、下引き層の効果が得られ難く、上限を上回ると、上述の如く、バンクで区画された領域内に有機薄膜が均一に形成され難くなる。また、下引き層に感光性を持たせない場合は、上層のバンク形成用レジスト層を保持することが難しくなる。
{レジスト層形成工程}
上述のように下引き層13を形成した後は、下引き層13上にバンク形成用レジスト層14を形成する(図1(C))。このバンク形成用レジスト層14の形成方法としては特に制限はないが、撥インク性成分を含有する感光性組成物を塗布して形成することが好ましい。通常、この感光性組成物は、下引き層13の全面に塗布して下引き層13上に全面的にバンク形成用レジスト層14を形成する。バンク形成用レジスト層は、1層からなるものであっても、2層以上が積層されたものであってもよい。
<感光性組成物>
バンク形成用レジスト層14の形成に用いる感光性組成物は、撥インク性成分を含有するが、通常、さらに溶剤を含有し、さらに、エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂、エチレン性不飽和化合物、および光重合開始剤を含有することが好ましい。
(撥インク性成分)
本発明において、撥インク性とは、バンクによって区画された領域内に形成される有機薄膜を形成するインクをはじく性質であり、撥インク性成分とは、このような撥インク性を有する材料を意味する。好ましくは、撥インク性成分を含有することにより、該有機薄膜を形成するインクのバンクに対する接触角が20°以上、より好ましくは30°以上、特に好ましくは45°以上となることである。尚、ここでいう接触角は、後述の実施例において測定される接触角と同様の条件で測定されるものである。
撥インク性成分としては、バンクに撥インク性を持たせる効果があるものであればよく、特に限定されないが、フッ素含有化合物やシリコン含有化合物が挙げられる。
感光性組成物には通常溶剤が含有され、溶剤としては有機溶剤が用いられることが好ましい。そのため、撥インク性成分としては、シリコン含有化合物よりは、フッ素含有化合物が有機溶剤に対する溶解性の面で好ましいが、感光性組成物はこれらの両方を含んでいてもよい。
フッ素含有化合物としては、分子量は特に制限されず、低分子量の化合物でも、高分子量の化合物であってもよい。
フッ素含有化合物としては、パーフルオロアルキル基を含む化合物(パーフルオロアルキル基含有化合物)が好ましく、例えば、特開平7−35916号公報、特開平11−281815号公報、国際公開2004−042474号パンフレット、特開2005−60515号公報、特開2005−315984号公報、特開2006−171086号公報等に開示されている撥液性化合物などの他、BYK−340(ビッグケミー社製)、モディパーF200、F600、F3035(以上、日油(株)社製)フタージェントMシリーズ、Sシリーズ、Fシリーズ、Gシリーズ、Dシリーズ、オリゴマーシリーズ(以上、(株)ネオス社製)、ユニダイン(ダイキン工業社製)、トリフロロプロピルトリクロロシラン(信越シリコーン社製)、サーフロンS−386(AGCセイミケミカル社製)等の市販品や、パーフルオロ基含有アクリルモノマーを成分として共重合した樹脂等も挙げられる。さらには安全性に懸念がある炭素数が6を超えるパーフルオロアルキル基を回避できるパーフルオロポリエーテル基などを含む化合物等も有効である。
また、フッ素含有化合物としては、フッ素化エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアミド樹脂、フッ素化ポリウレタン樹脂、フッ素化シロキサン樹脂およびそれらの変性樹脂なども用いることができる。
なお、本発明に用いられる撥インク性成分を含有する感光性組成物は、露光後現像される際に、撥インク性成分が現像処理で流れ出てしまうことは好ましくない。この点において、撥インク性成分として、撥インク性樹脂を用いるのも有効であるが、撥インク性成分として、露光時に架橋反応をすることができる架橋性基を有する化合物(以下、「架橋性基含有撥インク剤」と称す場合がある。)を用いることが好ましい。
この架橋性基含有撥インク剤であるフッ素含有化合物としては、例えばメガファックRS−101、RS−102、RS−105、RS−401、RS−402、RS−501、RS−502(以上、DIC社製)、オプツールDAC(ダイキン工業社製)、パーフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
なお、これらの撥インク性成分は、1種を単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、感光性組成物中の撥インク性成分の含有量は、撥インク性成分のフッ素含有量によっても異なり、撥インク性成分におけるフッ素含有量(撥インク性成分の化合物のフッ素濃度)が10重量%以上の場合は、感光性組成物の溶剤を除く全固形分に対して、撥インク性成分は0.001〜10重量%、特に0.05〜6重量%であることが好ましい。撥インク性成分のフッ素含有量が10重量%より少ない場合は撥インク性成分は感光性組成物の全固形分に対して0.1〜70重量%、特に1〜50重量%であることが好ましい。撥インク性成分の含有量がこれより少ないと、バンクの撥インク性が不十分なためインクが隣の区画に流れ出してしまうため混色してしまう傾向があり、これより多いと現像性の確保が困難となる場合がある。
(バインダー樹脂)
感光性組成物は、バインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このバインダー樹脂としては現像液で現像可能な樹脂であれば得に限定されないが、現像液としてはアルカリ現像液が好ましいため、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル酸系樹脂、カルボキシ基含有ウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ノボラック樹脂、カルド樹脂、各種エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂等が好適に用いられるが、各種エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂が特に好ましい。
感光性組成物中におけるバインダー樹脂の含有割合は、溶剤を除く全固形分に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。感光性組成物中のバインダー樹脂の含有量がこの下限を下回ると、バンクの形状確保が困難となる傾向があり、上限を上回ると、感度や現像性の低下を招く恐れがある。
以下に、本発明に係る感光性組成物に好適なバインダー樹脂のうち、[A]アクリル酸系樹脂、[B]エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂、および[C]変性ノボラック樹脂について詳細に説明する。
[A]アクリル酸系樹脂
アクリル酸系樹脂としては、アルカリ可溶性を確保するために側鎖または主鎖にカルボキシ基またはフェノール性水酸基を有する単量体由来の構成成分を含むことが好ましく、高アルカリ性溶液での現像が可能な樹脂が好ましい。
例えば、(メタ)アクリル酸系(共)重合体またはカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸系樹脂(中でも(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体)であることが好ましい。これらのアクリル酸系樹脂は、種々の単量体と組合せて性能の異なる共重合体を得ることができ、かつ、製造方法が制御し易い利点がある。
本発明に係るアクリル酸系樹脂は、例えば、次に挙げる単量体を主成分とする(共)重合体であることが好ましい。
即ち、この単量体としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに酸(無水物)を付加させた化合物などが挙げられる。
上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル等が挙げられ、酸(無水物)としては、(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などが挙げられる。
これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートも、酸(無水物)も、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の単量体と共重合させることができる単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体類、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和基含有カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させた化合物類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のアクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル類などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
予めカルボキシ基または水酸基を有するアクリル酸系樹脂に、エチレン性不飽和基(エチレン性二重結合)を導入してもよい。これにより、エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂とすることができる。
この場合、カルボキシ基や水酸基を有するアクリル酸系樹脂のカルボキシ基や水酸基に対して、通常好ましくは2モル%以上、より好ましくは5モル%以上、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下のエチレン性二重結合を有する化合物を結合させることが好ましい。また、アクリル酸系樹脂における、カルボキシ基の含有量は、酸価として5〜200mg−KOH/gの範囲が好ましい。酸価が5mg−KOH/g未満の場合はアルカリ性現像液に不溶となり、また、200mg−KOH/gを超える場合は現像感度が低下することがある。
上記のアクリル酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合は均一な塗布膜を得るのが難しく、また、100,000を超える場合は現像性が低下する傾向がある。
[B]エチレン性不飽和基とカルボキシ基を含有する樹脂
エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂としては、公知のエチレン性不飽和基とカルボキシ基とを少なくとも一つずつ有する樹脂の1種または2種以上を用いることが好ましい。
このような樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独または共重合体;酸変性型エポキシアクリレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ現像性等の面から、[B−1]側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシ基含有ビニル系樹脂、[B−2]酸変性型エポキシ(メタ)アクリレートが好適である。
[B−1]側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシ基含有ビニル系樹脂
側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシ基含有ビニル系樹脂としては、[B−1−1]カルボキシ基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物、「B−1−2」2種以上の不飽和基を有する化合物と不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、[B−1−3]E−R−N−T樹脂が挙げられる。
[B−1−1]カルボキシ基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物
カルボキシ基含有ビニル系樹脂としては、具体的には、不飽和カルボン酸の1種または2種以上とビニル化合物の1種または2種以上との共重合体が挙げられる。
ここで、不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
また、ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、等が挙げられる。
カルボキシ基含有ビニル系樹脂の中でも、(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。そして、(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体においては、(メタ)アクリレート5〜80モル%と、(メタ)アクリル酸20〜95モル%とからなる共重合体が更に好ましく、(メタ)アクリレート10〜90モル%と、(メタ)アクリル酸10〜90モル%とからなる共重合体が特に好ましい。
また、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体においては、スチレン3〜60モル%と、(メタ)アクリレート10〜70モル%と、(メタ)アクリル酸10〜60モル%とからなる共重合体が好ましく、スチレン5〜50モル%と、(メタ)アクリレート20〜60モル%と、(メタ)アクリル酸15〜55モル%とからなる共重合体が特に好ましい。
また、これらカルボキシ基含有ビニル系樹脂の酸価は、これらと反応させるエポキシ基含有不飽和化合物の量および得られる反応生成物において必要とされる酸価に応じて調整されるものであるが、通常は、50〜500mg−KOH/gである。カルボキシ基含有ビニル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、1,000〜300,000である。
一方、そのエポキシ基含有不飽和化合物としては、脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物および脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が挙げられ、その脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルモノグリシジルエステル等が挙げられる。
また、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕オキシメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述のようなカルボキシ基含有ビニル系樹脂の1種または2種以上とエポキシ基含有不飽和化合物の1種または2種以上とは、カルボキシ基含有ビニル系樹脂が有するカルボキシ基の5〜90モル%、好ましくは30〜70モル%程度のエポキシ基含有不飽和化合物の量比で反応させる。なお、反応は公知の方法により実施することができる。
カルボキシ基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物の酸価は、好ましくは30〜250mg−KOH/gである。また重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜300,000である。
「B−1−2」2種以上の不飽和基を有する化合物と不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体
2種以上の不飽和基を有する化合物としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、クロトニル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、ビニル(メタ)アクリレート、1−クロロビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、1−プロペニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、ビニル(メタ)アクリルアミド等の1種または2種以上が挙げられる。
一方、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。
2種以上の不飽和基を有する化合物の共重合体全体に占める割合は、10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度である。
2種以上の不飽和基を有する化合物と不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体の酸価は、好ましくは、30〜250mg−KOH/gである。また重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、1,000〜300,000である。
[B−1−3]E−R−N−T樹脂
E−R−N−T樹脂とは、(E)成分:エポキシ基含有(メタ)アクリレートを5〜90モル%と、(R)成分:(E)成分と共重合し得る他のラジカル重合性化合物を10〜95モル%とを共重合し、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の10〜100モル%に、(N)成分:不飽和一塩基酸を付加し、この(N)成分を付加したときに生成する水酸基の10〜100モル%に、(T)成分:多塩基酸無水物を付加して得られる樹脂である。
ここで、E−R−N−T樹脂におけるエポキシ基含有(メタ)アクリレート((E)成分)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
(E)成分と(R)成分との共重合体における(E)成分の共重合割合は、前述した通り、通常、5モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。また、通常、90モル%以下、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。ここで、(R)成分は、(E)成分と共重合し得る他のラジカル重合性化合物である。
(E)成分と(R)成分との共重合体における(E)成分の共重合割合が過度に多いと、相対的に(R)成分が少ないことにより、耐熱性や強度が低下する傾向がある。(E)成分の共重合割合が過度に少ないと、重合性成分およびアルカリ可溶性成分の付加量が不十分となる傾向がある。
一方、(E)成分と(R)成分との共重合体における(R)成分の共重合割合は、前述した通り、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。また、通常、95モル%、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。(E)成分と(R)成分との共重合体における(R)成分の共重合割合が過度に多いと、相対的に(E)成分が少ないことにより重合性成分およびアルカリ可溶性成分の付加量が不十分となる傾向がある。また、(R)成分の共重合割合が過度に少ないと耐熱性や強度が低下する傾向がある。
ここで、(R)成分としては、例えば、下記式(13)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートの1種または2種以上を用いることが好ましい。
Figure 2010073340
(式(13)中、R1d〜R6dは、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3のアルキル基を表し、R7dとR8dは、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基の炭素数1〜3のアルキル基を表す。また、R7dとR8dは連結して環を形成していてもよい。R7dとR8dが連結して形成される環は、好ましくは脂肪族環であり、飽和または不飽和の何れでもよく、好ましくは炭素数5〜6である。)
上記式(13)の中では、下記式(14)、式(15)、または式(16)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの部分構造を導入することによって、モノ(メタ)アクリレートの耐熱性や強度を増すことが可能である。なお、これらのモノ(メタ)アクリレートは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
Figure 2010073340
前記の式(13)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、公知の各種のものが使用できるが、特に次の式(17)で表されるものが好ましい。
Figure 2010073340
(式(17)中、R9dは水素原子またはメチル基を表し、R10dは前記の式(13)を表す。)
(E)成分と(R)成分との共重合体中の前記の式(13)で示される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートの含有量は、通常、5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上である。また、通常、90モル%以下、好ましくは70モル%以下、より好ましくは50モル%以下である。
(E)成分と(R)成分との共重合体中の式(13)で示されるモノ(メタ)アクリレートの含有量が過度に少ないと、耐熱性が不足する傾向がある。また、式(13)で示されるモノ(メタ)アクリレートの含有量が過度に多いと、分散安定性が低下する傾向がある。
また、(R)成分としては、以下に具体例を示すような、上述した式(13)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性化合物も挙げられる。
スチレン;
スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体;
ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;
(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物;
シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド;
N−(メタ)アクリロイルフタルイミド:
これらの中でも、より優れた耐熱性および強度を付与させるためには、(R)成分として、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートおよびモノマレイミドから選択された少なくとも1種を使用することが有効である。
この場合、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートおよびモノマレイミドから選択された少なくとも1種の共重合割合は、通常1モル%以上、好ましくは3モル%以上、また、通常、70モル%以下、好ましくは50モル%以下である。
(E)成分と(R)成分との共重合体に含まれるエポキシ基に付加させる(N)成分(不飽和一塩基酸)としては、公知のものを使用することができる。このような不飽和一塩基酸としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
このようなエチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミドまたは、これらの(共)重合体が挙げられ、中でも、アクリル酸および/またはメタクリル酸が好ましい。これらの(N)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
(E)成分と(R)成分との共重合反応で得られた共重合体に含まれるエポキシ基に(N)成分を付加させる量は、該共重合体に含まれるエポキシ基の通常10モル%、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上である。(N)成分の付加割合が過度に少ないと、経時安定性が低下する等、残存エポキシ基による悪影響が出る傾向がある。
(E)成分と(R)成分との共重合体に(N)成分を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
(E)成分と(R)成分との共重合体に(N)成分を付加させたときに生成する水酸基に付加させる(T)成分(多塩基酸無水物)としては、特に限定されず公知のものが使用できる。
なお、(T)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。このような成分を付加させることにより、アルカリ可溶性にすることができる。
(T)成分を付加させる量は、(E)成分と(R)成分との共重合体に(N)成分を付加させたときに生成する水酸基の、通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上である。また、通常100モル%以下、好ましくは、90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
(T)成分の付加量が過度に多いと、現像時の残膜率が低下する傾向がある。(T)成分の付加量が過度に少ないと、溶解性が不十分となる傾向がある。
また、(E)成分と(R)成分との共重合物に(N)成分を付加させたときに生成される水酸基に(T)成分を付加させる方法としては、公知の方法を任意に採用することができる。
E−R−N−T樹脂は、(T)成分付加後に生成したカルボキシ基の一部に、グリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させることにより、さらに光感度を向上させることができる。
また、(T)成分付加後、生成したカルボキシ基の一部に重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させることにより、現像性を向上させることもできる。
さらに、(T)成分付加後にこれらの両者を付加させてもよい。
なお、上述したE−R−N−T樹脂としては、例えば、特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載の樹脂が挙げられる。
また、上記E−R−N−T樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常3,000以上、好ましくは5,000以上、また、通常100,000以下、好ましくは50,000以下である。E−R−N−T樹脂の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと耐熱性、膜強度に劣る傾向がある。E−R−N−T樹脂の重量平均分子量(Mw)が過度に大きいと、現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。また、E−R−N−T樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、2.0〜5.0が好ましい。
[B−2]酸変性型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂
酸変性型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、エポキシ樹脂のα,β−不飽和基含有カルボン酸付加体に、多価カルボン酸および/またはその無水物が付加された、不飽和基およびカルボキシ基含有エポキシ樹脂が挙げられる。即ち、(B−2−i)エポキシ樹脂のエポキシ基に、(B−2−ii)α,β−不飽和モノカルボン酸のカルボキシ基が開環付加されることにより、エポキシ樹脂にエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されていると共に、その際生じた水酸基に、(B−2−iii)多価カルボン酸および/またはその無水物のカルボキシ基が付加されたものが挙げられる。以下、酸変性型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂である不飽和基およびカルボキシ基含有エポキシ樹脂の構成成分について説明する。
(B−2−i)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタンとの重合エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルフルオレン型エポキシ、ジハイドロオキシルアルキレンオキシルフルオレン型エポキシ、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、等が挙げられる。中でも、高い硬化膜強度の観点から、フェノールノボラックエポキシ樹脂、またはクレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタジエンとの重合エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレートとアルキル(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、などが好ましい。さらに、高いテーパ角と溶融特性の観点から、グリシジルメタアクリレートとアルキル(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。
(B−2−ii)α,β−不飽和モノカルボン酸
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等、および、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物等が挙げられる。 中でも、感度の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
(B−2−iii)多価カルボン酸および/またはその無水物
多価カルボン酸および/またはその無水物としては、例えば、琥珀酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、およびそれらの無水物等が挙げられる。中でも、画像再現性、現像性の観点から、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、またはヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましく、テトラヒドロフタル酸無水物が更に好ましい。
本発明における酸変性型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、酸価が20〜200mg−KOH/gであるものが好ましく、30〜180mg−KOH/gであるものが更に好ましい。また、酸変性型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、通常1,000以上、好ましくは1,500以上であり、通常30,000以下、好ましくは20,000以下、更に好ましくは10,000以下である。
上記酸変性型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、従来公知の方法により合成することができる。具体的には、前記(B−2−i)エポキシ樹脂を有機溶剤に溶解させ、触媒と熱重合禁止剤の共存下、前記(B−2−ii)α,β−不飽和モノカルボン酸を加えて付加反応させ、更に(B−2−iii)多価カルボン酸および/またはその無水物を加えて反応を続ける方法を用いることができる。
ここで、反応に用いる有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤の1種または2種以上が挙げられる。
また、上記触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリベンジルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンミニウム塩類、トリフェニルホスフィン等の燐化合物、トリフェニルスチビン等のスチビン類等の1種または2種以上が挙げられる。
更に、熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン等の1種または2種以上が挙げられる。
(B−2−ii)α,β−不飽和モノカルボン酸の配合量としては、(B−2−i)エポキシ樹脂のエポキシ基の1化学当量に対して通常0.7〜1.3化学当量、好ましくは0.9〜1.1化学当量となる量とすることができる。
また、付加反応時の温度としては、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度とすることができる。
更に、(B−2−iii)多価カルボン酸および/またはその無水物の配合量としては、前記付加反応で生じた水酸基の1化学当量に対して、通常0.1〜1.2化学当量、好ましくは0.2〜1.1化学当量となる量とすることができる。
酸変性型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂について、構成繰返し単位の具体例を以下に示す。
Figure 2010073340
Figure 2010073340
[C]変性ノボラック樹脂
変性ノボラック樹脂は、(C−i)ノボラック樹脂の1種または2種以上と(C−ii)不飽和基含有エポキシ化合物の1種または2種以上を反応させ、この反応物の水酸基にさらに(C−iii)多塩基酸および/またはその無水物の1種または2種以上を付加させることで得られる。(ただし、ノボラック樹脂の代りにレゾール樹脂を用いてもよい。)
(C−i)ノボラック樹脂
ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノール−A、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、安息香酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、サリチル酸、フロログルシノール等のフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類、または、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂が挙げられる。
上記フェノール類とアルデヒド類との縮合反応は、無溶媒下または溶媒中で行われる。またノボラック樹脂の重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させたレゾール樹脂も使用可能である。
ノボラック樹脂の重量平均分子量(Mw)は通常1,000〜20,000であり、好ましくは1,000〜10,000であり、更に好ましくは1,000〜8,000である。重量平均分子量が1,000未満では画像強度が確保されず、20,000を超えると現像性が低下する。
(C−ii)不飽和基含有エポキシ化合物
不飽和基含有エポキシ化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ビニルなどが挙げられる。
これらのうち、特にグリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
ノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物の反応には公知の方法を用いることができる。例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等の1種または2種以上を触媒として、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより、ノボラック樹脂に不飽和基含有エポキシ化合物を付加することができる。
該触媒の使用量は、反応原料混合物(ノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物との合計)に対して好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.3〜5重量%である。また反応中の重合を防止するために、重合防止剤(例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ジブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジン等の1種または2種以上)を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.03〜5重量%である。
ノボラック樹脂のフェノール性水酸基に不飽和基含有エポキシ化合物を付加させる割合は、1〜100モル%である。この割合はフェノール性水酸基に対して加える不飽和基含有エポキシ化合物の量で調整できる。
(C−iii)多塩基酸および/またはその無水物
ノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物の反応物の水酸基にさらに多塩基酸および/またはその無水物を付加させることができる。ここで用いる多塩基酸および/またはその無水物としては、公知のものが使用でき、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等の二塩基性カルボン酸またはその無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸等の多塩基性カルボン酸またはその無水物等が挙げられる。中でも好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸または無水コハク酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多塩基酸および/またはその無水物の付加率は、ノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物の反応物の水酸基の、通常10〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。この付加率が少なすぎると現像性が不足することがある。
(エチレン性不飽和化合物)
感光性組成物はエチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。
ここで使用されるエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味するが、重合性、架橋性、およびそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
感光性組成物中のエチレン性不飽和化合物の含有割合は、溶剤を除く全固形分に対して通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下である。感光性組成物中のエチレン性不飽和化合物の含有量が、この下限を下回ると、露光の際に充分な感度が得られない恐れがあり、上限を上回ると好ましいバンク形状を確保できない恐れがある。
以下に本発明に係る感光性組成物に好適に含まれるエチレン性不飽和化合物について説明する。
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、およびそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、および、(メタ)アクリル酸またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、具体的には以下の化合物が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価アルコールとの反応物;多価アルコールは具体的には、エチレング
リコール、ポリエチレングリコール(付加数2〜14)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(付加数2〜14)、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物との反応物;多価アルコールは上記と同じ。アルキレンオキサイド付加物とは具体的にはエチレンオキサイド付加物、またはプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸とアルコールアミンとの反応物;アルコールアミン類とは具体的にはジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
具体的な不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類は以下の通りである。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールプロピレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、および同様のクロトネート、イソクロトネート、マレエート、イタコネート、シトラコネート等
その他、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類としては、不飽和カルボン酸と、ヒドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の芳香族ポリヒドロキシ化合物、或いはそれらのエチレンオキサイド付加物との反応物が挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAビス〔オキシエチレン(メタ)アクリレート〕、ビスフェノールAビス〔グリシジルエーテル(メタ)アクリレート〕等、また、前記の如き不飽和カルボン酸と、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等、また、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸とポリヒドロキシ化合物との反応物、例えば、(メタ)アクリル酸とフタル酸とエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物、(メタ)アクリル酸とアジピン酸とブタンジオールとグリセリンとの縮合物等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類としては、下記一般式(5)、(6)、または(7)で表されるものが好ましい。
Figure 2010073340
〔式(5),(6)および(7)中、R10は水素原子またはメチル基を示し、pおよびrは1〜25の整数、qは1、2、または3である。〕
ここで、pおよびrは1〜10、特に1〜4であるのが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類の具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチレングリコールホスフェート等が挙げられ、これらはそれぞれが単独で用いられても混合物として用いられてもよい。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族ポリイソシアネート、イソシアヌレート等の複素環式ポリイソシアネート、等のポリイソシアネート化合物との反応物等が挙げられる。
このようなウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、新中村化学社製商品名「U−4HA」「UA−306A」「UA−MC340H」「UA−MC340H」「U6LPA」等が挙げられる。
これらの中でも、1分子中に4個以上のウレタン結合〔−NH−CO−O−〕および4個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましく、該化合物は、例えば、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン等の1分子中に4個以上の水酸基を有する化合物に、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を反応させて得られた化合物、或いは、エチレングリコール等の1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物に、旭化成工業社製「デュラネート24A−100」、同「デュラネート22A−75PX」、同「デュラネート21S−75E」、同「デュラネート18H−70B」等ビウレットタイプ、同「デュラネートP−301−75E」、同「デュラネートE−402−90T」、同「デュラネートE−405−80T」等のアダクトタイプ等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する化合物を反応させて得られた化合物、或いは、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等を重合若しくは共重合させて得られた化合物等の、1分子中に4個以上、好ましくは6個以上のイソシアネート基を有する化合物等、例えば、旭化成工業社製「デュラネートME20−100」と、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の、1分子中に1個以上の水酸基および2個以上、好ましくは3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とを、反応させることにより得ることができる。
(メタ)アクリル酸またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、または前記の如きヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物と、(ポリ)エチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)テトラメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ペンタメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ヘキサメチレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)ソルビトールポリグリシジルエーテル等の脂肪族ポリエポキシ化合物、フェノールノボラックポリエポキシ化合物、ブロム化フェノールノボラックポリエポキシ化合物、(o−,m−,p−)クレゾールノボラックポリエポキシ化合物、ビスフェノールAポリエポキシ化合物、ビスフェノールFポリエポキシ化合物等の芳香族ポリエポキシ化合物、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の複素環式ポリエポキシ化合物、等のポリエポキシ化合物との反応物等が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和化合物として、前記以外に、例えば、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物類、エーテル結合含有エチレン性不飽和化合物のエーテル結合を5硫化燐等により硫化してチオエーテル結合に変えることにより架橋速度を向上せしめたチオエーテル結合含有化合物類、および、例えば、特許第3164407号公報および特開平9−100111号公報等に記載の、多官能(メタ)アクリレート化合物と、粒子径5〜30nmのシリカゾル〔例えば、イソプロパノール分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「IPA−ST」)、メチルエチルケトン分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「MEK−ST」)、メチルイソブチルケトン分散オルガノシリカゾル(日産化学社製「MIBK−ST」)等〕とを、イソシアネート基或いはメルカプト基含有シランカップリング剤を用いて結合させた化合物等の、エチレン性不飽和化合物にシランカップリング剤を介してシリカゾルを反応させ結合させることにより硬化物としての強度や耐熱性を向上せしめた化合物類、等が挙げられる。
以上のエチレン性不飽和化合物は、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明において、エチレン性不飽和化合物としては、エステル、または、ウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等、5官能以上のものが特に好ましい。
(光重合開始剤)
感光性組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤は、活性光線によりエチレン性不飽和基を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
感光性組成物中の光重合開始剤の含有割合としては、溶剤を除く感光性組成物の全固形分に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上であり、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。感光性組成物中の光重合開始剤の含有量が過度に大きいと、基板に対する密着性が低下する場合がある。一方、過度に少ないと、硬化性が低下する場合がある。
また、感光性組成物中のエチレン性不飽和化合物に対する光重合開始剤の配合比としては、(エチレン性不飽和化合物)/(光重合開始剤)(重量比)の値として、通常1/1〜100/1、好ましくは2/1〜50/1である。エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤との配合比がこの範囲を逸脱すると、密着性や硬化性が低下する場合がある。
以下に、本発明に係る感光性組成物に用い得る光重合開始剤の具体例を挙げる。
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;
9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;
9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
ジシクロペンタジエニル−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体;
特開2000−80068号公報、特開2006−036750号公報等に記載されている、アセトフェノンオキシム−o−アセテート、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、1−[9−エチル−6−(2−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物:
その他、本発明で用いることができる光重合開始剤としては、ファインケミカル、1991年3月1日号、Vol.20、No.4,P16〜P26や、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭58−40302号公報、特開平10−39503号公報等に記載されているものが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、感光性組成物中にその1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
また、光重合開始剤には、感度の向上などを目的として、以下に挙げるような水素供与性化合物が併用されてもよい。
その水素供与性化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン、エチレングリコールジチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等のメルカプト基含有化合物類;
ヘキサンジチオール、トリメチロールプロパントリスチオグリコネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等の多官能チオール化合物類;
N,N−ジアルキルアミノ安息香酸エステル、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシンのアンモニウム塩やナトリウム塩等の誘導体;
フェニルアラニン、フェニルアラニンのアンモニウム塩やナトリウム塩等の誘導体;
フェニルアラニンのエステル等の誘導体;
等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
水素供与性化合物としては中でも、感光性組成物の感度の観点から、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプト基含有へテロ環状化合物が好ましい。
パターンの矩形性の観点から、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、および2−メルカプトベンゾオキサゾールよりなる群から選択された1または2以上の水素供与性化合物と、光重合開始剤として上記ヘキサアリールビイミダゾール誘導体の1種または2種以上とを組み合わせて、光重合開始剤系として使用することが好適である。
更に、本発明における光重合開始剤系には、熱重合開始剤を配合してもよい。このような熱重合開始剤の具体例としては、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合開始剤に水素供与性化合物や熱重合開始剤を併用する場合、これらの合計で、前述の感光性組成物中の光重合開始剤含有割合となるようにすることが好ましく、また、光重合開始剤と水素供与性化合物と熱重合開始剤との併用割合としては、光重合開始剤に対して水素供与性化合物を5〜300重量%、光重合開始剤に対して熱重合開始剤を5〜300重量%とすることが好ましい。
(アミノ化合物)
本発明に係る感光性組成物には、硬化を促進するためにアミノ化合物が含まれていてもよい。
この場合、感光性組成物中のアミノ化合物の含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。感光性組成物中のアミノ化合物の含有量が過度に多いと、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。また、含有量が少ないと硬化促進効果が期待できない。
アミノ化合物としては、例えば、官能基としてメチロール基、それを炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物が挙げられる。
より具体的には、例えば、
メラミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたメラミン樹脂;
ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたベンゾグアナミン樹脂;
グリコールウリルとホルムアルデヒドとを重縮合させたグリコールウリル樹脂;
尿素とホルムアルデヒドとを重縮合させた尿素樹脂;
メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、または尿素等の2種以上とホルムアルデヒドとを共重縮合させた樹脂;
上述の樹脂のメチロール基をアルコール縮合変性した変性樹脂;
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミノ化合物としては中でも、メラミン樹脂およびその変性樹脂が好ましく、メチロール基の変性割合が、70%以上の変性樹脂が更に好ましく、80%以上の変性樹脂が特に好ましい。
上記アミノ化合物の具体例として、メラミン樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、三井サイテック株式会社製の「サイメル」(登録商標)300、301、303、350、736、738、370、771、325、327、703、701、266、267、285、232、235、238、1141、272、254、202、1156、1158、および、株式会社三和ケミカルの「ニカラック」(登録商標)MW−390、MW−100LM、MX−750LM、MW−30M、MX−45、MX−302等が挙げられる。
また、上記ベンゾグアナミン樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、「サイメル」(登録商標)1123、1125、1128等が挙げられる。
また、上記グリコールウリル樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、「サイメル」(登録商標)1170、1171、1174、1172、および、「ニカラック」(登録商標)MX−270等が挙げられる。
また、上記尿素樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、三井サイテック社の「UFR」(登録商標)65、300、および、「ニカラック」(登録商標)MX−290等が挙げられる。
(その他の成分)
感光性組成物には、また、着色剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物、その他の樹脂等を適宜配合することができる。
<着色剤>
着色剤としては、顔料、染料等公知の着色剤を用いることができる。また、例えば、顔料を用いる際に、その顔料が凝集したりせずに安定して感光性組成物中に存在できるように、公知の分散剤や分散助剤が併用されてもよい。特にバンクを黒色に着色することで、鮮明な画素が得られる効果がある。黒色着色剤としては黒色染料や、カーボンブラック、チタンブラックなどの他、有機顔料を混合させて黒く着色することも低導電性を持たせる効果として有効である。
着色剤の含有量としては感光性組成物の全固形分に対して、通常60重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
<表面改質剤、現像改良剤>
表面改質剤あるいは現像改良剤としては、例えば公知の、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコン系界面活性剤を用いることができる。また、現像改良剤として、有機カルボン酸或いはその無水物など公知のものを用いることもできる。また、その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
<重合禁止剤、酸化防止剤>
感光性組成物には、安定性向上の観点等から、ハイドロキノン、メトキシフェノール等の重合禁止剤や、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)等のヒンダードフェノール系の酸化防止剤を含有する事が好ましい。その含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常5ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上600ppm以下の範囲である。その含有量が過度に小さいと、安定性が悪化する傾向となる。一方、過度に多いと、例えば光および/または熱による硬化の際に、硬化が不十分となる可能性がある。特に、通常のフォトリソグラフィー法に使用される場合には、感光性組成物の保存安定性および感度の両面から鑑みた最適量に設定する必要がある。
<シランカップリング剤>
感光性組成物には、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系等種々の物が使用できるが、特にエポキシ系、イミダゾール系のシランカップリング剤が好ましい。その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
<エポキシ化合物>
感光性組成物には、硬化性や基板との密着性を改善するため、エポキシ化合物を添加することも好ましい。
エポキシ化合物としては、所謂エポキシ樹脂の繰返し単位を構成する、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物、ポリカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル化合物、および、ポリアミン化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルアミン化合物等の、低分子量物から高分子量物にわたる化合物が挙げられる。
上記ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)のジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、テトラメチルビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、エチレンオキシド付加ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ、フルオレン型ビスフェノールのジグリシジルエーテル型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ等が挙げられる。これらのポリグリシジルエーテル化合物は、残存するヒドロキシル基に酸無水物や2価の酸化合物等を反応させカルボキシ基を導入したものであってもよい。
また、上記ポリグリシジルエステル化合物としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ、フタル酸のジグリシジルエステル型エポキシ等が挙げられる。また、上記ポリグリシジルアミン化合物としては、例えば、ビス(4−アミノフェニル)メタンのジグリシジルアミン型エポキシ、イソシアヌル酸のトリグリシジルアミン型エポキシ等が挙げられる。
エポキシ化合物の含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。エポキシ化合物の含有量が多すぎる場合には、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。
(溶剤)
本発明で用いる感光性組成物は、通常溶剤を含有し、前述の各成分を溶剤に溶解または分散させた状態で使用される。
その溶剤としては、特に制限は無いが、例えば、水や、以下に記載する有機溶剤が挙げられる。好ましくは有機溶剤である。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1およびNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
上記溶剤は、感光性組成物中の各成分を溶解または分散させることができるもので、感光性組成物の使用方法に応じて選択されるが、沸点が60〜280℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは70℃以上、260℃以下の沸点をもつものであり、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、イソプロパノール等が好ましい。これらの溶剤は1種を単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。
また、これらの溶剤は、感光性組成物溶液中の全固形分の割合が、通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、通常90重量%以下、好ましくは50重量%以下となるように使用されることが好ましい。
感光性組成物中の全固形分濃度がこの下限を下回ると、均一な塗膜が得られない恐れがあり、上限を上回ると必要な膜厚に制御できない恐れがある。
<感光性組成物の塗布>
上述のような感光性組成物を、図1(C)に示す如く、下引き層13上に塗布して、バンク形成用レジスト層14を形成する際の塗布方法としては、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などを採用することができる。
中でも、ダイコート法は、塗布液の使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くない、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
感光性組成物の塗布量は、乾燥膜厚として、下引き層13も含めたバンクの高さ、即ち、図1(E)の厚さHが通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、通常10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは7μm以下のような膜厚となる量である。この際、乾燥膜厚あるいは最終的に形成されたバンクの高さが、基板全域に渡って均一であることが重要である。このばらつきが大きい場合には、有機薄膜をパターニングした基板に膜厚ムラに起因するムラ欠陥を生ずることとなる。
<乾燥>
下引き層13上に感光性組成物を塗布した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用することが好ましい。
乾燥条件は、感光性組成物の溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができ、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、通常130℃以下、好ましくは110℃以下の温度で乾燥する。また、乾燥時間としては、15秒以上が好ましく、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥温度が低過ぎたり乾燥時間が短い場合には十分に乾燥を行うことができず感度が不安定となる傾向があり、乾燥温度が高過ぎたり、乾燥時間が長過ぎると、生産性低下や、基板、その他の層の熱劣化の問題を生じる場合がある。
なお、乾燥は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う減圧乾燥法であってもよく、また加熱乾燥との併用でもよい。
{バンク形成工程}
上述のように下引き層13の上に、撥インク性成分を含有する感光性組成物を全面塗布、乾燥することでバンク形成用レジスト層14を形成した後、バンクパターンを露光し、さらに非画像部を下引き層13と共に現像処理で除去することにより、バンク15を形成する(図1(D),(E))。
<露光>
露光は、感光性組成物を塗布、乾燥して形成されたバンク形成用レジスト層14上に、露光マスク(マスクパターン(ネガ型))20を重ね、この露光マスク20を介し、紫外線または可視光線等の活性光線を照射して行う。このように露光マスク20を用いて露光を行う場合には、露光マスクをバンク形成用レジスト層に密着させる方法、近接させる方法の他、露光マスク20をバンク形成用レジスト層から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によってもよい。
また、露光マスクを用いないレーザー光による走査露光方式によってもよい。
この際、必要に応じ、酸素によるバンク形成用レジスト層の感度の低下を防ぐため、脱酸素雰囲気下で行ったり、バンク形成用レジスト層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。
上記の露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
光学フィルタとしては、例えば薄膜で露光波長における光透過率を制御可能なタイプでもよく、その場合の材質としては、例えばCr化合物(Crの酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物など)、MoSi、Si、W、Al等が挙げられる。
露光量としては、通常、1mJ/cm以上、好ましくは5mJ/cm以上、より好ましくは10mJ/cm以上であり、通常300mJ/cm以下、好ましくは200mJ/cm以下、より好ましくは150mJ/cm以下である。
また、近接露光方式の場合には、露光対象とマスクパターンとの距離としては、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。
<現像>
上記の露光を行った後、現像することで、画像パターンを形成することができる。現像に用いる現像液としては、限定されるものではないが、アルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤を用いることが好ましい。
現像液には、さらに界面活性剤、緩衝剤、錯化剤、染料または顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−またはトリエタノールアミン、モノ−・ジ−またはトリメチルアミン、モノ−・ジ−またはトリエチルアミン、モノ−またはジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−またはトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
なお、本発明の有機薄膜パターニング用基板を有機電界発光素子に用いる場合は、残留不純物の点で現像液として、有機アルカリ性化合物の水溶液を用いることが好ましい。
この場合、この有機アルカリ水溶液の有機アルカリ性化合物濃度は過度に高濃度であるとバンクにダメージを与える可能性があり、過度に低濃度であると充分な現像性が確保できない可能性がある。
有機溶剤としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよく、また水溶液として用いてもよい。
例えば、TMAH等の有機アルカリ0.05〜5重量%と、エチルアルコール等のアルコール類0.1〜20重量%を含む水溶液として用いてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤:が挙げられる。
現像処理の方法については特に制限は無いが、通常10℃以上、好ましくは15℃以上、通常50℃以下、好ましくは45℃以下の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
現像の際、非画像部の下引き層はバンク形成用レジスト層とともに除去される。従って、非画像部にバンク形成用レジスト層および下引き層は残留せず、非画像部には、下引き層13の下層の有機層12が表出する。ここで、非画像部とは、露光、現像により除去される部分であって、バンクとして残る以外の部分をいう。尚、露光された領域が現像によって除去されなくなるタイプのレジスト層をネガ型、露光された領域が現像によって除去されるタイプのレジスト層をポジ型と区別するが、本発明はどちらのタイプも適用可能である。
下引き層はバンク形成用レジスト層と基板、有機層または他の層との界面に存在し、下引き層とバンク形成用レジスト層は完全に一体化したバンクを形成するため、例えば特開2005−326799公報に提案されている様な、二段式のバンクとは全く異なるものである。又、特開2005−174906公報に提案されている様な2層式のバンクとも異なるものである。上述の製造手順で形成されるバンクは、側面は、撥インク性成分を含有するものとなり、下引き層は、基板上の有機層との界面の極下層部だけに存在するものである。
なお、下引き層とバンク形成用レジスト層からなるバンクは形状的に一体化してはいるものの、感光性組成物の塗布時に下引き層は膜を維持しており、通常は、バンク形成後も二層になっている様子が観察される。
以上、下引き層とレジスト層からなる二層の積層体からなるバンクについて説明したが、本発明は二層に限らず、三層以上の積層体からなるバンクを用いてもよい。
<追露光および熱硬化処理>
現像の後、必要により上記の露光方法と同様な方法により追露光を行ってもよく、また熱硬化処理を行ってもよい。
追露光の条件としては、上記露光条件と同様である。
熱硬化処理条件の温度は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、通常280℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下であり、時間は、通常5分以上、好ましくは20分以上、通常60分以下である。特に、撥液性の発現には、熱硬化処理を200〜240℃で20〜60分程度実施することが好ましい。
{有機薄膜パターニング用基板の特長}
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上の有機層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を形成するために用いられる有機薄膜パターニング用基板であって、該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体である。特に、上述の方法で形成されたバンクは、下引き層と下引き層上のレジスト層からなる積層体であり、下引き層は親水性化合物を含有する層であり、また、レジスト層は撥インク性成分を含有する層である。
該有機薄膜パターニング用基板は、特に、基板上の有機層としての有機電界発光素子の正孔注入層や正孔輸送層上にバンクが形成されている場合に有効である。
すなわち、有機層上にバンクを形成する場合、バンク形成用レジスト層と有機層との親和性が高く、現像の際に非画像部のバンク形成用レジスト層を除去し難い。また、現像で有機層にダメージやイオン性の付着物を与えてしまうと、素子性能を顕著に悪化させる。従って、有機層に影響を及ぼすことなく非画像部のバンク形成用レジスト層を完全に現像除去することが特に重要となる。この場合において、現像除去性に優れた下引き層を介してバンク形成用レジスト層を形成することにより、現像除去も過酷な条件を避け、よりマイルドな条件で行うことができ、製造プロセスにおいても、得られる素子性能においても、従来法に比べて格段に改善することができる。
[有機薄膜の形成]
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上のバンクによって区画された領域内に有機薄膜を形成するために用いられ、本発明の有機電界発光素子は、このようにして有機薄膜を形成して製造される。
以下にこの有機薄膜の形成方法について説明する。
有機薄膜パターニング用基板の基板11上のバンク15で区画された領域16内に有機薄膜17を形成させる(図1(F))には、通常、有機薄膜17の成分を溶剤に溶解または分散させたインクをバンク区画領域16内に供給して乾燥させる。
このインクをバンク区画領域16内に供給させる方法は特に限定されないが、インクジェット法(液滴吐出法)やノズルプリント法(液流吐出法)といったインク吐出型の塗布法が好ましい(特開昭59−75205号公報、特開昭61−245106号公報、特開昭63−235901号公報)。
即ち、インク吐出型の塗布法は特定の領域にのみ選択的にインクを塗布することができ、材料ロスが少なく、また効率的な製造プロセスで良好に有機薄膜を形成することができるという利点を有している。また、インクの塗布とパターニングの両方を同時に行うことが可能であるという特徴があるため、製造コストの点で極めて有利な製造法である。
インク吐出型の塗布法に用いられるインクの溶剤としては、高沸点溶剤成分を比較的多く添加することにより、ノズルの乾燥を防止することが一般的に知られており、また、パターニングを塗布と同時に行う吐出型の塗布法においては、スピンコート法やダイコート法と異なり、組成物中の溶剤成分が、最終的に得られる塗膜の膜厚や、形状、均一性にことのほか影響を与えることが報告されており(「表面科学セミナー」2001年65〜77頁など)、溶剤の選定にはこれらを考慮した上で最適な溶剤を選定することが好ましい。
また、特に、インクジェット法の場合、20plの液滴サイズで被塗布面に着滴させたとき、着滴後1分経過後の液滴径が100〜400μmのような溶剤であることが好ましく、さらに好ましくはこの液滴径は150〜300μmである。これにより、膜厚ムラやピンホールの発生を防止し、かつ端部の直線性を確保することができるが、この点でもインクに用いられる溶剤の与える影響が最も大きい。インクジェット法による液滴径は濡れ拡がり性(接触角)と強い相関が見られるが、通常は粘度や表面張力を低くすることで、液滴径を大きくすることができる。また被塗布面への親和性が高い溶剤の含有量を増やすと、液滴径を大きくすることができる。
バンク区画領域内にインクを供給した後は、乾燥工程によって有機薄膜を形成させるが、この乾燥条件は公知の方法を自由に選定することができ、例えばホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンなどが挙げられる。また、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法を組み合わせてもよい。またその環境は、形成させる有機薄膜の特性に応じて、大気中、Nガス中、減圧中などを選定できる。
バンク区画領域内には、有機薄膜が複数層形成されていてもよく、その場合、少なくとも一層は発光層であることが好ましい。また、有機薄膜は少なくとも一層が、バンクによって区画されていればよく、他の層はバンクとバンクで区画された領域に連続して成膜された層であってもよい。また、バンクで区画された領域には、有機薄膜に限らず、他の膜が形成されていてもよい。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を有する有機電界発光素子であって、該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体であることを特徴とするものである。
本発明の有機電界発光素子において、バンク区画領域内に形成される最下層の有機薄膜としては、高精度に色分けができるという点においても発光層であることが好ましい。また、バンクが形成される基板上の有機層としては、正孔注入層および/または正孔輸送層が好ましい。
以下に、本発明の有機電界発光素子の層構成およびその一般的形成方法等について、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図2において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
なお、本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる塗布用組成物特有の液性に合うためである。
以下詳述する各層は、湿式成膜法で形成されるものであっても、真空蒸着法で形成されるものであっても、所望の積層構造あるいはバンクを形成できる方法であれば限定されるものではない。
{基板}
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等の基材が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
さらには、このような基材の上に、有機電界発光素子を駆動するための薄膜トランジスタ等が形成された、あるいは、形成可能な基板を用いることもできる。このような薄膜トランジスタ基板(いわゆる、バックプレーン)の場合、後述する陽極がすでに形成されているものを用いてもよい。
{陽極}
陽極2は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極2表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは、好ましい。
前記基板において、パターニングされた陽極上に有機薄膜を形成して発光素子を作製した場合、該陽極の辺縁部における素子劣化が問題の1つに挙げられる。こうした素子劣化は、該辺縁部が後述の陰極と対向した部分において顕著に現れる。この原因として挙げられるのは、該陽極と陰極に挟まれた有機薄膜に掛かる局所的な電界強度と電流密度の関係が、辺縁部では中央の平坦部と比べて極端に異なることによる。つまり、辺縁部ではその断面形状の特殊性(段差の存在)からくる電界強度の上昇とそれに伴う電流密度の増加により、局所的に有機薄膜を構成する材料の劣化が促進され、もって素子寿命がさらに短縮される結果となる。
この問題を解決する1つの方法として、該陽極上に絶縁膜を設置し、辺縁部を覆って、発光させたい領域をパターニングして電流が流れる開口を形成する方法が知られており、そうした開口を有する絶縁薄膜を「開口絶縁膜」と一般的に称している。こうすることにより辺縁部の形状特殊性からくる電界集中を排除し、電界が陽極から陰極に向かって一様に分布するようにできる。
前記絶縁膜としては、二酸化シリコン薄膜が一般的によく用いられているが、他に、酸化窒化シリコン薄膜や、ポリイミド薄膜に代表される有機薄膜を用いることもできる。
パターニングの方法としてはフォトリソグラフィー法が一般的に用いられている。また、開口を形成する方法としては、反応性イオンエッチング法の他、イオンミリング法、ウェットエッチング法などが用いられる。
さらに、開口を形成して陽極が露出した後の表面に紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは、好ましい。
しかしながら、こうした開口絶縁膜を形成することは、素子作製工程を増やし、歩留りの低下や製造コストの押し上げといったことに影響を与えることになり、できれば無い方が好ましい。これを可能にする方法の1つに、前記バンクを開口絶縁膜として用いる方法がある。それにはバンクの平面形状として前記陽極の辺縁部を覆うように設計することで実現可能である。
特に、基板上に有機層を全面に、あるいは略全面に渡って形成した上に上記設計のバンクを形成した場合には、該バンクがより有効に開口絶縁膜としての機能を果たす。
以下、説明する各層は、バンクで区画された領域内に形成されるものであっても、基板または他の層上の全面に形成されるものであってもよい。
{正孔注入層}
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
本発明に係る正孔注入層3の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層3を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜法により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、高分子化合物であっても、低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのものおよび芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物の1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物の1種または2種以上を併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2010073340
(式(I)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2010073340
(上記各式中、Ar〜Ar16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または任意の置換基を表す。))
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
およびRが任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−ethylenedioxythiophene(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(WO2005/089024号公報);塩化鉄(いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(その他の構成材料)
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があり、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成することができる。
成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
成膜工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
成膜後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブンおよびホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着法により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。 蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒(0.01nm/sec)以上、通常5.0Å/秒(0.5nm/sec)以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
{正孔輸送層}
正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層4は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。ただし、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層4を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層5に接するため、発光層5からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層4の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層3に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
正孔輸送層4を形成する材料としては、また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、ArまたはArが異なっているものであってもよい。
Figure 2010073340
(式(II)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
溶解性、耐熱性の点から、ArおよびArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基やターフェニル基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)およびフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ArおよびArの置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2010073340
(式(III−1)中、Ra、Rb、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。tおよびsは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。tまたはsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRaまたはRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRaまたはRbどうしで環を形成していてもよい。)
Figure 2010073340
(式(III−2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、RまたはRと同義である。kおよびuは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。kまたはuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRおよびRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRまたはRどうしで環を形成していてもよい。Xは、5員環または6員環を構成する原子または原子群を表す。)
Xの具体例としては、酸素原子、置換基を有していてもよいホウ素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、置換基を有していてもよいケイ素原子、置換基を有していてもよいリン原子、置換基を有していてもよいイオウ原子、置換基を有していてもよい炭素原子またはこれらが結合してなる基である。
また、ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2010073340
(式(III−3)中、Ar〜Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。vおよびwは、それぞれ独立に0または1を表す。)
Ar〜Rの具体例としては、前記式(II)における、ArおよびArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例およびポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜で正孔輸送層4を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。
正孔輸送層4は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層4は架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。ここで、架橋性化合物は、架橋基を有する化合物であって、架橋することによりポリマーを形成する。架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋基が主鎖または側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋基が直接または連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物の架橋基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物、すなわち、架橋基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーが有する架橋基の数に特に制限はないが、単位電荷輸送ユニットあたり通常2.0未満、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下となる数が好ましい。これは正孔輸送層形成材料の比誘電率を好適な範囲に調整するためである。また、架橋基の数が多すぎると、反応活性種が発生し、他の材料に悪影響を与える可能性があるためである。ここで、単位電荷輸送ユニットとは、架橋性ポリマーを形成する材料がモノマー体の場合、モノマー体そのものであり、架橋基を除いた骨格(主骨格)のことを示す。他種類のモノマーを混合する場合においても、それぞれのモノマーの主骨格のことを示す。架橋性ポリマーを形成する材料がオリゴマーやポリマーの場合、有機化学的に共役がとぎれる構造の繰り返しの場合は、その繰り返しの構造を単位電荷輸送ユニットとする。また、広く共役が連なっている構造の場合には、電荷輸送性を示す最小繰り返し構造、乃至はモノマー構造を示す。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、ピレン、ペリレンなどの多環系芳香族、フルオレン、トリフェニレン、カルバゾール、トリアリールアミン、テトラアリールベンジジン、1,4−ビス(ジアリールアミノ)ベンゼンなどが挙げられる。
さらに、架橋性化合物としては、架橋基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。この場合の正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物の分子量は、通常5000以下、好ましくは2500以下であり、また好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上である。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層4を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解または分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜法により成膜し、その後架橋性化合物を架橋させる。
この正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤および重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
また、正孔輸送層形成用組成物は、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤、電子受容性化合物、バインダー樹脂などを含有していてもよい。
この正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層3)上に成膜後、加熱および/または光などの電磁エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させてポリマー化する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されないが、例としては加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。加熱乾燥の場合の加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの電磁エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の電磁エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱および光などの電磁エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
{発光層}
正孔注入層3の上、または正孔輸送層4を設けた場合には正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
<発光層の材料>
発光層5は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層5は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層5を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
(発光材料)
発光材料とは、不活性ガス雰囲気下、室温で、希薄溶液中における、蛍光量子収率が30%以上である材料であって、希薄溶液中における蛍光スペクトルとの対比から、それを用いて作製された有機電界発光素子に通電した際に得られるELスペクトルの一部または全部が、該材料の発光に帰属される材料、と定義される。
発光材料としては、通常、有機電界発光素子の発光材料として使用されているものであれば限定されない。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
なお、発光材料としては、溶剤への溶解性を向上させる目的で、分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基が導入されたりしている材料を用いることが好ましい。
以下、発光材料のうち蛍光発光材料(蛍光色素)の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光色素(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、クリセン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。 中でも、アントラセン、クリセン、ピレンおよびそれらの誘導体等が好ましい。
緑色発光を与える蛍光色素(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン、クマリン、Al(CNO)などのアルミニウム錯体およびそれらの誘導体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光色素(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光色素(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチレン)−4H−ピラン)系化合物、ベンゾピラン、ローダミン、ベンゾチオキサンテン、アザベンゾチオキサンテン等のキサンテンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を中心金属として含むウェルナー型錯体または有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられ、中でもより好ましくはイリジウムまたは白金である。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光材料の分子量が大き過ぎると、有機化合物の精製が困難となってしまったり、溶剤に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層5における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(正孔輸送性化合物)
発光層5には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年, Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91, pp.209)等が挙げられる。
これらの正孔輸送性化合物は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
また、発光層5が正孔輸送性化合物を含む場合、発光層5における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(電子輸送性化合物)
発光層5には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。
これらの電荷輸送性化合物は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層5が電子輸送性化合物を含む場合、発光層5における電子輸送性化合物の含有割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。電子輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
<発光層の形成>
湿式成膜法により発光層5を形成する場合は、上記材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層5を湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶剤と同様である。
発光層5を形成するための発光層形成用組成物中の発光層用溶剤の含有割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。なお、発光層用溶剤として2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、通常70重量%以下、好ましくは30重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
このような発光層形成用組成物を用いて発光層5を形成するには、発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除去する。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。湿式成膜の具体的な方法は、上記正孔注入層3の形成において記載した方法と同様である。
このようにして形成される発光層5の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層5の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
{正孔阻止層}
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔が陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層6の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層6の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はなく、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法を採用することができる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
{電子輸送層}
発光層5と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層7を設けてもよい。
電子輸送層7は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極9または電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層7の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子輸送層7の形成方法に制限はなく、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法を採用することができる。
電子輸送層7の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
{電子注入層}
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層8の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子注入層8の形成方法に制限はなく、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法を採用することができる。
{陰極}
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8または発光層5など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極9の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
陰極9の膜厚は、通常、陽極2と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極9を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
{その他の層}
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
上記説明にある層の他に有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層3または正孔輸送層4と発光層5との間に設けられ、発光層5から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層5内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は、電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層5を本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて湿式成膜法で作製する場合、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号公報記載)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はなく、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法を採用することができる。
さらに陰極9と発光層5または電子輸送層7との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化リチウム(LiO)、炭酸セシウム(II)(CsCO)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。例えば、図2の層構成であれば、基板1上に他の構成要素を陰極9、電子注入層8、電子輸送層7、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
{各層の形成}
本発明の有機薄膜パターニング用基板を用いて、図2に示す上述のような本発明の有機電界発光素子を製造するには、基板1上に陽極2と、図1(A)における有機層12としての正孔注入層3または正孔輸送層4とを形成したものを、図1(A)に示す有機層12付き基板11として用い、この上に前述の方法で下引き層13およびバンク形成用レジスト層14を順次積層形成し、その後、露光、現像を行って、図1(E)に示すようなバンク15を形成する。その後、バンク15で区画された領域16内に、図1(F)に示すように有機薄膜17として発光層5を形成し、更に、必要に応じて正孔阻止層6、電子輸送層7、電子注入層8を形成し、更に陰極9を形成して有機電界発光素子10とする。このとき、陽極2と有機層12との間に、開口絶縁膜が形成されていてもよい。
こうした開口絶縁膜が存在する場合は、バンク15との平面的な配置関係が問題となることがある。開口絶縁膜上にバンク15を形成する際の好ましい配置関係は、開口絶縁膜の開口が、バンク15の開口に対して常に内部に存在しているような配置関係にあることである。言い換えれば、バンク15の辺縁が、開口絶縁膜の開口の辺縁から開口絶縁膜開口の内部へ乗り越えない、という配置が好ましい。こうすることで、バンク15の辺縁近傍における厚みの変化が後の工程で形成する有機薄膜17の膜厚均一性に対して及ぼす影響を、最小限にできるということが利点として挙げられる。
[有機EL表示装置]
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
[有機EL照明]
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例で用いた親水性化合物含有組成物および感光性組成物の組成をそれぞれ表1,表2に示す。
ただし、表1,2中の各成分の詳細は次の通りである。
<親水性化合物−1>
ポリビニルピロリドン K−85(日本触媒社製)
<バインダー樹脂−1>
以下の合成例1で製造された樹脂
<エチレン性不飽和化合物−1>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)
<エチレン性不飽和化合物−2>
デコナールアクリレートDA−314(ナガセケムテックス社製):以下の2化合物の混合物
Figure 2010073340
<エチレン性不飽和化合物−3>(長瀬産業社製)
Figure 2010073340
<光重合開始剤−1>
イルガキュアー907(チバスペシャルケミカルズ社製)
Figure 2010073340
<撥インク性成分−1>
メガファック RS−102(DIC社製)
<表面改質剤−1>
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン BYK−330(ビックケミー社製)
<溶剤−1>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<溶剤−2>
3−メトキシ−1−ブタノール
[合成例1:バインダー樹脂−1の製造]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。これに、スチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成(株)製「FA−513M」)82重量部を滴下し、更に、140℃で2時間攪拌し続けた。次に、反応容器内を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ、下記式で表されるアルカリ可溶性樹脂であるバインダー樹脂−1を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は約8000であった。
Figure 2010073340
Figure 2010073340
Figure 2010073340
[実施例1]
<陽極の形成>
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ製膜品)を通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。陽極を形成した基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。陽極を形成した基板のITOの表面粗さをVertScan(菱化システム社製)にて測定したところ、Ra:0.62nm Rmax:3.69nmであった。
<正孔注入層の形成>
次に、正孔注入層形成用組成物の調製を行った。下記式P1の繰り返し構造を有する芳香族三級アミン高分子化合物(重量平均分子量29600;ガラス転移温度177℃)2重量%と、下記式A1で表される電子受容性化合物0.8重量%を、溶媒として安息香酸エチルに溶解させることにより、正孔注入層形成用組成物を調製した。
Figure 2010073340
上記洗浄された陽極を形成した基板上に、上記正孔注入層形成用組成物を用いて、スピンコート法にて乾燥膜厚30nmになるように、気温23℃、相対湿度50%の大気中で成膜を行なった。成膜後、ホットプレート上で80℃、1分間加熱乾燥した後、オーブン大気中で230℃、3時間ベークし、正孔注入層を形成した。
<正孔輸送層の形成>
次に、正孔輸送層形成用組成物の調製を行った。下記式(i)の構造を有するポリマーからなる架橋性化合物(重量平均分子質量10000;ガラス転移温度138℃)を0.4重量%濃度となるように溶媒としてトルエンに溶解し、正孔輸送層形成用組成物を調製した。トルエンは市販の脱水トルエンを用い、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で該正孔輸送層形成用組成物を調製した。
Figure 2010073340
前記正孔注入層を形成した基板を窒素グローブボックスに入れ、正孔注入層上に、上記正孔輸送層形成用組成物を用いてスピンコート法にて乾燥膜厚20nmになるように、気温23℃、相対湿度50%の大気中で成膜を行なった。成膜後、ホットプレート上で230℃にて、1時間ベークし、架橋性化合物を架橋させ、正孔輸送層を形成した。
正孔輸送層形成用組成物の調製、スピンコートおよびベークは、すべて酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露せずに行った。正孔輸送層の表面粗さを上記ITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.49nm Rmax:3.65nmであった。
<バンクの形成>
次に、正孔輸送層までを形成した基板を大気中に取り出し、紫外光をカットしたイエロールームにてバンクの形成を行った。
下引き層を形成するための親水性化合物含有組成物(下引き層形成液)として、前記表1に示した組成物を調製した。また、バンクを形成するための感光性組成物(バンク用フォトレジスト液)として、前記表2に示した組成物を調製した。調製は、それぞれの成分を配合し、よく混ぜ合わせることにより行った。
親水性化合物含有組成物を用いてスピンコート法により、乾燥膜厚0.1μmになるように下引き層を該正孔輸送層上に成膜した。スピンコートは、気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。成膜後、ホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥させた。さらに、該下引き層上に、調製した該感光性組成物をスピンコート法により、乾燥膜厚3μmになるように成膜した。スピンコートは、気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。成膜後、常温で1分間、真空乾燥し、さらにホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥させた。成膜された2層の厚みは、全厚で3.1μmであった。
感光性組成物がネガ(光が照射された領域が硬化して残る)タイプであったことから、紫外光を遮光するクロムメッキが、感光性組成物を硬化させたい領域において紫外光を透過するように除去された石英基板のマスクを用いた。該マスクのマスクパターンは、紫外光透過部幅30μmで、クロムメッキ部(1辺70μmの正方形)がマスク面内で縦横に各20個、碁盤の目のように並んだアレイパターンであった。このアレイパターンの紫外光透過領域が、2mm幅にパターン形成された陽極の辺縁に対してすべてはみ出すことなく位置合わせを行った。位置合わせ後、3kW高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2の露光条件にて露光を施した。照射後、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の2.38重量%およびエタノール10重量%を含む水溶液を現像液として、23℃において、水圧0.1MPaのシャワー現像を2分間施した後、純水スプレーで30秒間リンスし、圧空で水を切った。ついで、基板を窒素グローブボックス中に移し、窒素グローブボックス中で、230℃、30分間ポストベークし、正孔輸送層上に下引き層とバンク形成用レジスト層の2層がこの順で積層されたバンクを形成した。形成したバンクは全厚3.1μm、開口部が1辺70μmの長さである略正方形となった。このようにして、バンクが形成された後で、非露光部の下引き層がレジスト層と共に現像工程で除去され、正孔輸送層が露出した表面(すなわちバンクで区画された領域)の表面粗さを、ITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.48nm Rmax:3.35nmであった。
また、この後、インクジェット法で形成する発光層は、溶媒としてシクロヘキシルベンゼン(CHB)を用いた組成物により形成されるため、バンク表面のCHBに対する接触角を測定した。その結果、接触角は60°であった。一方、バンクで区画された領域のCHBに対する接触角は3°以下であった。
<発光層の形成>
次に、ホスト材料として、以下に示す有機化合物(C3)および(C4)、また、ドーパント材料として以下に示すイリジウム錯体(D2)を、(C3):(C4):(D2)=10:10:1(重量比)の比率で、溶媒であるCHBに溶解させ、固形分濃度0.5重量%の発光層形成用組成物を調製した。
Figure 2010073340
この発光層形成用組成物をインクジェット装置に仕込み、正孔輸送層の上の該バンクで区画された領域(1辺70μm)1つ当たり液滴量25plで吐出し、発光層を形成した。
なお、20ノズル(発光層形成用組成物を吐出する開口が20個並んでいるノズル)を同時に使用して、20×20の区画領域にインクを吐出した。
終了後、速やかに発光層が形成された基板を減圧乾燥機に導入し、減圧下(10kPa)、130℃にて、1時間の乾燥を行った。このようにして膜厚25nmの発光層を形成した。
<正孔阻止層の形成>
下記式(iii)で表される化合物を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、発光層が形成された基板上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.2×10-6Torr(1.6×10−4Pa)、蒸着速度1.0Å/秒(0.1nm/sec)とし、膜厚10nmの正孔阻止層を形成した。
Figure 2010073340
<電子輸送層の形成>
下記式(iv)で表される化合物を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、該正孔阻止層上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.2×10-6Torr(1.6×10−4Pa)、蒸着速度1.5Å/秒(0.15nm/sec)とし、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
Figure 2010073340
<電子注入層の形成>
ここで、電子輸送層までを形成した素子を一度真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して、正孔阻止層や電子輸送層の蒸着時と同様にして装置内の真空度が2×10-6Torr(2.7×10−4Pa)になるまで排気した。フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.05Å/秒(0.005nm/sec)、真空度2×10-6Torr(2.7×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜し、電子注入層とした。
<陰極の形成>
次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度4Å/秒(0.4nm/sec)、真空度5×10-6Torr(6.7×10−4Pa)で膜厚80nmのアルミニウム層からなる陰極を形成した。
<封止>
陰極までを形成した基板を真空蒸着装置内より、大気中に取り出して、窒素グローブボックス(酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppm)に速やかに導入し、その中で封止を行った。
まず、該基板の発光領域をすべて覆うことができる面積の窪みを有し、該基板の外形よりは小さい外形を有するガラス製キャップを用意し、水分除去のための乾燥剤を該窪みの底部に貼付した。該基板上に、該キャップのリブ(窪みの周囲にある縁取り)部と略同形状になるよう、該紫外線硬化樹脂を塗布し、該キャップをその塗布した樹脂とリブ部とが重なり合うように貼り合わせ、該キャップ側からスポット紫外線照射装置によって紫外線硬化樹脂を硬化させた。
以上の様にして、基板上に形成された有機層(正孔輸送層)上に、最下層に下引き層を有する2層の積層体からなるバンクを有する有機電界発光素子が得られた。
この素子は、1辺70μmの正方形の発光領域がムラ無く均一に発光することを確認した。
[比較例1]
バンクを以下の方法で形成した他は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。この素子は、1辺70μmの正方形の発光領域にムラが認められた。
<バンクの形成>
正孔輸送層までを形成した基板を大気中に取り出し、紫外光をカットしたイエロールームにて次のようにしてバンクの形成を行った。
バンクを形成するための感光性組成物(バンク用フォトレジスト液)として、前記表2に示した組成物を調製した。調製は、それぞれの成分を配合し、よく混ぜ合わせることにより行った。
該正孔輸送層上に、調製した該感光性組成物をスピンコート法により、乾燥膜厚3μmになるように成膜した。スピンコートは、気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。成膜後、常温で1分間、真空乾燥し、さらにホットプレート上で80℃にて、60秒間加熱乾燥させた。
その後、実施例1と同様にして、マスクを用い、露光、現像、ポストベークを行い、レジスト層のみからなる単層のバンクを形成した。形成したバンクは全厚3.0μm、開口部が1辺70μmの長さである略正方形となった。バンクで区画された領域の表面粗さを、実施例1におけるITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.32nm Rmax:2.56nmであった。
また、バンク表面のCHBに対する接触角を測定した結果、接触角は60°であった。一方、バンクで区画された領域のCHBに対する接触角は7°〜15°であった。
[実施例2]
発光層を以下のようにして、真空蒸着法で形成した他は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。この素子は、1辺70μmの正方形の発光領域がムラ無く均一に発光することを確認した。
<発光層の形成>
ホスト材料として下記式(v)で表される化合物と、ドーパント材料として下記式(vi)で表される化合物を入れた各坩堝を同時に通電加熱して、正孔輸送層の上に共蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.2×10-6Torr(1.6×10−4Pa)、下記式(v)で表される化合物の蒸着速度を0.6Å/秒(0.06nm/sec)、下記式(vi)で表される化合物の蒸着速度0.036Å/秒(0.0036nm/sec)とし、下記式(v)で表される化合物:下記式(vi)で表される化合物=100:6(重量比)の、膜厚30nmの発光層を形成した。
Figure 2010073340
[比較例2]
バンクを以下の方法で形成した他は、実施例2と同様にして、有機電界発光素子を作製した。この素子は、1辺70μmの正方形の発光領域にムラが認められた。
<バンクの形成>
正孔輸送層までを形成した基板を大気中に取り出し、紫外光をカットしたイエロールームにてバンクの形成を行った。
バンクを形成するための感光性組成物(バンク用フォトレジスト液)として、前記表2の1を調製した。調製は、それぞれの成分を配合し、よく混ぜ合わせることにより行った。
該正孔輸送層上に、調製した該感光性組成物をスピンコート法により、乾燥膜厚3μmになるように成膜した。スピンコートは、気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。成膜後、常温で1分間、真空乾燥し、さらにホットプレート上で80℃にて、60秒間加熱乾燥させた。
その後、実施例1と同様にして、マスクを用い、露光、現像、ポストベークを行い、レジスト層のみからなる単層のバンクを形成した。形成したバンクは全厚3.0μm、開口部が1辺70μmの長さである略正方形となった。バンクで区画された領域の表面粗さを、実施例1におけるITO表面と同様に測定したところ、その表面粗さは、Ra:0.32nm Rmax:2.56nmであった。
また、バンク表面のCHBに対する接触角を測定した結果、接触角は60°であった。一方、バンクで区画された領域のCHBに対する接触角は7°〜15°であった。
本発明の有機薄膜パターニング用基板の製造手順と製造された有機薄膜パターニング用基板への有機薄膜の形成工程の実施の形態を示す模式的な断面図である。 本発明の有機電界発光素子の一例を示した模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子
11 基板
12 有機層
13 下引き層
14 バンク形成用レジスト層
15 バンク
16 バンク区画領域
17 有機薄膜
20 露光マスク

Claims (8)

  1. 基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を有する有機電界発光素子であって、
    該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、
    該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、
    該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体であることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記有機薄膜が、発光層であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記有機層が、正孔注入層または正孔輸送層であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記バンクは、前記下引き層と該下引き層上のレジスト層からなる積層体であり、
    該下引き層は親水性化合物を含有する層であり、該レジスト層は撥インク性成分を含有する層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いたことを特徴とする有機EL表示装置。
  6. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いたことを特徴とする有機EL照明。
  7. 基板上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有し、該バンクによって区画された領域内に有機薄膜を形成するために用いられる、有機薄膜パターニング用基板であって、
    該基板上に、直接または他の層を介して形成された少なくとも1層の有機層を有し、
    該バンクおよび該バンクによって区画された領域は該有機層上にあり、
    該バンクは最下層に下引き層を有する2層以上の積層体であることを特徴とする有機薄膜パターニング用基板。
  8. 前記バンクは、前記下引き層と該下引き層上のレジスト層からなる積層体であり、
    該下引き層は親水性化合物を含有する層であり、該レジスト層は撥インク性成分を含有する層であることを特徴とする請求項7に記載の有機薄膜パターニング用基板。
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