JP5540625B2 - 有機電界発光素子の製造方法、有機電界発光素子、有機elディスプレイおよび有機el照明 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法、有機電界発光素子、有機elディスプレイおよび有機el照明 Download PDF

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本発明は、バンクを有する有機電界発光素子の製造方法、並びにその有機電界発光素子を用いた有機ELディスプレイおよび有機EL照明に関する。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(有機電界発光素子)の開発が行われている。有機電界発光素子は、通常、陽極と陰極との間に複数の有機層(発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層等)が積層して設けられる。有機電界発光素子における有機層の形成方法としては、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げられる。
このうち、真空蒸着法は積層化が容易であるため、陽極および/または陰極からの電荷
注入の改善、励起子の発光層封じ込めが容易であるという利点を有する。
一方、湿式成膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、1つの層(組成物)に様々な機能をもった複数の材料を混合して入れることが容易である等の利点がある。
さらに、特許文献1には、有機層上に形成する陰極配線を分離配置すること等を目的として、陽極上にバンクを設けた有機電界発光素子が開示されている。しかしながら、陽極上にバンクを設けた有機電界発光素子では、バンクで区画された領域内に設けられる有機層の膜厚が不均一となり、ディスプレイを作製した際に表示ムラが生じてしまうことがあった。
この膜厚が不均一となることを解決するために、特許文献2や特許文献3では、有機層上にバンクを形成する技術が開示されている。
特開2001−351779号公報 特開2004−234901号公報 特開2004−235128号公報
しかしながら、有機層上にバンクを有する有機電界発光素子は、駆動電圧が高く、駆動寿命が短くなってしまうという問題点が生じていた。
本発明は、有機層上にバンクを形成した場合でも、駆動電圧が低く、駆動寿命の長い有機電界発光素子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明はまた、駆動電圧が低く、駆動寿命の長い有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、有機層上に形成されたバンクにより区画された領域(バンク開口部)に存在するバンク形成用組成物の残渣(以下、単に「バンク形成用組成物の残渣」と称する場合がある)が駆動電圧の上昇や、寿命が短くなる要因の一つであることを見出した。
さらに、本発明者らは、該バンクを形成する工程中に現像工程と加熱工程を有し、該現像工程と加熱工程の間に、極性有機溶媒で洗浄する工程含むこと、および/または、該バンクを形成する工程中に現像工程を有し、該現像工程で、アルカリ性化合物、極性有機溶
媒および水を含む現像液で現像することで、バンク形成用組成物の残渣が低減して、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の第一は、第一の電極、および該第一の電極と対向するように形成された第二の電極を有し、該第一の電極および第二の電極の間に、第一の有機層、該第一の有機層上にパターン状に形成されたバンクと、該バンクにより区画された領域内に形成された第二の有機層とを有する有機電界発光素子の製造方法において、該バンクを形成する工程中に現像工程と加熱工程を有し、該現像工程と該加熱工程の間に、極性有機溶媒で洗浄する工程を有することを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法に存する。
また、本発明の第二は、第一の電極、および該第一の電極と対向するように形成された第二の電極を有し、該第一の電極および第二の電極の間に、第一の有機層、該第一の有機層上にパターン状に形成されたバンクと、該バンクにより区画された領域内に形成された第二の有機層とを有する有機電界発光素子の製造方法において、該バンクを形成する工程中に現像工程を有し、該現像工程で、アルカリ性化合物、極性有機溶媒、および水を含む現像液を用いて現像することを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法に存する。
更に、本発明は、上記のいずれかの有機電界発光素子の製造方法により製造されたことを特徴とする有機電界発光素子、並びに該有機電界発光素子を用いたことを特徴とする有機ELディスプレイおよび有機EL照明に存する。
有機層上にバンクを有する有機電界発光素子において、発光ムラや欠陥が少なく、駆動電圧が低く、駆動寿命の長い有機電界発光素子を製造することができる。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の有機電界発光素子の構造の別の例を模式的に示す断面図である。 本発明の有機電界発光素子の構造の更に別の例を模式的に示す断面図である。 本発明の有機電界発光素子の構造の更に別の例を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の有機電界発光素子の製造方法、有機電界発光素子、有機ELディスプレイおよび有機EL照明の実施態様を詳細に説明するが、下記の構成要件についての説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
本発明の有機電界発光素子は、第一の電極、および該第一の電極と対向するように形成された第二の電極を有し、該第一の電極および第二の電極の間に、第一の有機層、該第一の有機層上にパターン状に形成されたバンクと、該バンクにより区画された領域内に形成された第二の有機層とを有する有機電界発光素子である。
上記第一の有機層および第二の有機層は、有機電界発光素子の第一の電極および第二の電極の間に有する層であればいずれであってもよいが、第一の有機層としては、正孔注入層または正孔輸送層であることが好ましく、第二の有機層としては、発光層であることが好ましい。
本発明においては、第一の有機層と第二の有機層とが隣接して形成されていればよく、第一の電極と第二の電極との間には、第一の有機層および第二の有機層の他に、他の層が形成されていてもよい。
これらの有機層およびバンクの形成方法について、以下詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<有機電界発光素子の製造方法>
以下、第一の電極を陽極、第二の電極を陰極とし、基板上に第一の電極を形成した後に、正孔注入層を形成し、該正孔注入層上に第一の有機層として正孔輸送層、第二の有機層として発光層を形成し、該発光層上に電子輸送層および電子注入層を形成する場合を例にとって説明する。この例は、本発明の有機電界発光素子の製造方法の適用例として好適な例であるが、本発明はこの例に限られるものではない。
図2に、この例の有機電界発光素子の断面を表した模式図を示す。図2において、1は基板、2は陽極(第一の電極)、3は正孔注入層、4は正孔輸送層(第一の有機層)、5はバンク、6は発光層(第二の有機層)、8は電子注入層、9は電子輸送層、7は陰極(第二の電極)を各々表す。
尚、本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、エアロゾル法、エアロゾルジェット法等、湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる塗布用組成物特有の液性に合うためである。
(基板)
基板は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
陽極は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより陽極を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、
陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調製して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
(正孔注入層)
本発明における正孔注入層の形成方法は特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層を湿式成膜法により形成することが好ましい。また湿式成膜法は、従来の真空蒸着法と比較して均質で欠陥がない薄膜が得られる点、形成のための時間が短く、工業的にも優れている。
湿式成膜法により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層の材料を適切な溶媒(正孔注入層用溶媒)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を用意し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の材料として少なくとも正孔輸送性化合物および溶媒を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁の観点から4.5eV以上、6.0eV以下のイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのものおよび芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合体)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 0005540625
(式(I)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Ar11は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Ar11のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 0005540625
(上記各式中、Ar12〜Ar22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を表す。)
Ar〜Ar22としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。これらはそれぞれ同一であっても、互いに異なっていてもよい。Ar〜Ar22の芳香族炭化水素基および/または芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。ArおよびArとしては、芳香族アミン系ポリマーの溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、フェニル基(ベンゼン環由来の基)、ナフチル基(ナフタレン環由来の基)が好ましい。また、Ar〜Ar11としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、フェナントレン環由来の基が好ましく、フェニレン基(ベンゼン環由来の基)、ビフェニレン基(ベンゼン環由来の基)、ナフチレン基(ナフタレン環由来の基)が好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例とし
ては、例えば国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられ、例えば、下記式で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 0005540625
又、正孔輸送性化合物としては、後述の(正孔輸送層/第一の有機層)の項で記載した材料を用いることができる。
さらに、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端
をメタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は電子受容性化合物を含有していることが好ましい。電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251
067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。これらの電子受容性化合物は、正孔輸送材料を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。電子受容性化合物の正孔輸送材料に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(溶媒)
湿式成膜法に用いる溶媒のうち少なくとも1種は、正孔注入層の材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。溶媒の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中
でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。有機溶媒の沸点が低すぎると、乾燥速度が速く、膜質が悪化する可能性がある。また、有機溶媒の沸点が高すぎると高い乾燥工程の温度を高くする必要がある。そのため、他の層やガラス基板に悪影響を与える可能性がある。溶媒として例えば、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒などが挙げられる。具体的に、エーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
上述した溶媒の中でも、正孔注入層の材料を溶解する能力(溶解能)、若しくは材料との親和性が高い溶媒の方が好ましい。正孔注入層形成用組成物の濃度を任意に設定して、湿式成膜法で、膜を形成するのに優れる濃度の組成物を調製できるためである。
(濃度)
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された有機層に欠陥が生じる可能性がある。
(その他含まれてもよいもの)
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
成膜後、通常加熱等により乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されない。加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブンおよびホットプレートが好
ましい。
尚、真空蒸着による層形成の場合には、材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱し蒸発させて正孔注入層形成に用いることもできる。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
(正孔輸送層/第一の有機層)
上記正孔注入層上に第一の有機層として正孔輸送層を形成する。
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜により形成することが好ましい。
正孔輸送層に利用できる材料としては、正孔輸送能が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合発光層に接するため、発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体またはグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、ArまたはArが異なっているものであってもよい。
Figure 0005540625
(式(II)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
有機溶媒に対する溶解性、耐熱性の点から、ArおよびArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基やターフェニル基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)およびフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ArおよびArにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有してもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 0005540625
(式(III−1)中、Ra、Rb、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルボキシ基を表す。tおよびsは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。tまたはsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRaまたはRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRaまたはRb同士で環を形成していてもよい。)
Figure 0005540625
(式(III−2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、RまたはRと同義である。rおよびuは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。rまたはuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRおよびRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRまたはR同士で環を形成していてもよい。Xは、5員環または6員環を構成する原子または原子群を表す。)
Xの具体例としては、酸素原子、置換基を有していてもよいホウ素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、置換基を有していてもよいケイ素原子、置換基を有していてもよいリン原子、置換基を有していてもよいイオウ原子、置換基を有していてもよい炭素原子またはこれらが結合してなる基である。
また、ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 0005540625
(式(III−3)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。vおよびwは、それぞれ独立に0または1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、ArおよびArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例およびポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008―98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、上記正孔注入層の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、成膜、加熱乾燥させる。正孔輸送層形成用組成物には、正孔輸送性化合物の他、溶媒を含有する。溶媒は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層形成時と同様である。
尚、真空蒸着により正孔輸送層を形成する場合もまた、成膜条件等は上記正孔注入層の形成と同様である。
正孔輸送層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記正孔輸送性化合物の他、各種の電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層は架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、後述する架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。架橋性化合物は、低分子化合物であってもよく、また高分子化合物であってもよい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で有していてもよい。
また、架橋性基とは近傍に位置するほかの分子の同一または異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。例えば、熱および/または活性エネルギー線の照射により、近傍に位置する他の分子の同一または異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基が挙げられる。
架橋性基の例を挙げると、オキセタン基、エポキシ基などの環状エーテル;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル基、シンナモイル基等の不飽和二重結合;ベンゾシクロブテン環由来の一価の基などが挙げられる。
架橋性基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーが有する架橋性基の数に特に制限はないが、電荷輸送ユニットあたり通常2.0未満、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下となる数が好ましい。電荷輸送膜形成材料の比誘電率を好適な範囲に納めるためである。また、架橋性基の数が多すぎると、反応活性種が発生し、他の材料に悪
影響を与える可能性があるためである。ここで、電荷輸送ユニットとは、網目状高分子化合物を形成する材料が低分子化合物の場合、低分子化合物そのものであり、架橋性基をのぞいた骨格(主骨格)のことを示す。他種類の低分子化合物を混合する場合においても、それぞれの低分子化合物の主骨格のことを示す。網目状高分子化合物を形成する材料が高分子化合物の場合、有機化学的に共役がとぎれる構造の場合は、その繰り返しの構造を電荷輸送ユニットとする。また、広く共役が連なっている構造の場合には、電荷輸送性を示す最小繰り返し構造は低分子化合物の構造を示す。例えば、ナフタレン、トリフェニレン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、ピレン、ペリレンなどの多環系芳香族、フルオレン、トリフェニレン、カルバゾール、トリアリールアミン、テトラアリールベンジジン、1,4−ビス(ジアリールアミノ)ベンゼンなどが挙げられる。
さらに、架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物の分子量は、通常3,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、また好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上である。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層を形成するには、通常、架橋性化合物を溶媒に溶解または分散した組成物(正孔輸送層形成用組成物)を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
このような架橋性化合物の好ましい例としては、例えば、特開2008−248241号公報、特開2009−074074号公報、特開2009-196982号公報、国際
公開第2009/102027号パンフレット記載の化合物が挙げられる。
また、架橋性基の代わりに、国際公開第2009/102027号パンフレット記載の、解離基を有する化合物を用いてもよい。解離基を有する化合物の好ましい分子量は、架橋性基を有する化合物の分子量と同じである。
解離基を有する化合物の好ましい例としては、例えば、国際公開第2009/102027号パンフレット記載の化合物が挙げられる。
以下に、架橋性化合物および解離基を有する化合物の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005540625
(上記式において、例えば、a=0.9、b=0.1、のものが挙げられる。)
Figure 0005540625
(上記式において、例えば、a=0.9、b=0.1、のものが挙げられる。)
Figure 0005540625
(上記式において、例えば、a=0.8、b=0.2、のものが挙げられる。)
Figure 0005540625
(上記式において、例えば、a=0.475、b=0.475、c=0.025、d=0.025のものが挙げられる。)
Figure 0005540625
(上記式において、例えば、a=0.94、b=0.06、のものが挙げられる。)
Figure 0005540625
(上記式において、例えば、a=0.5、b=0.5、c=0.7、d=0.3のものが挙げられる。)
Figure 0005540625
組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の架橋開始剤および架橋促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物:バインダー樹脂、などを含有していてもよい。
組成物に用いられる溶媒は、前記正孔注入層を形成するための溶媒として例示したものと同様である。組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
組成物を成膜後、加熱および/または光などの活性エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化する。加熱条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下に成膜された層を加熱する。加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱および光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
加熱および光を含む活性エネルギー照射は、実施後に層に含有する水分および/または表面に吸着する水分の量を低減するために、窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で
行うことが好ましい。同様の目的で、加熱および/または光などの活性エネルギー照射を組み合わせて行う場合には、少なくとも有機発光層の形成直前の工程を窒素ガス雰囲気等の水分を含まない雰囲気で行うことが特に好ましい。
正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[バンク]
本発明の有機電界発光素子は、第一の有機層上に、パターン状に形成されたバンクを有する。バンクは、第二の有機層、例えば発光層、また陰極(第二の電極)を区画すること等を目的として設けられる。バンクのパターンの形状は特に限定されるものではなく、第二の有機層の形状や陰極の形状等に合わせて適宜選択される。
また、バンクの断面形状についても特に限定されず、例えば断面形状は矩形状であってもよく、半円形状であってもよく、また逆テーパー形状の台形状や順テーパー形状の台形状等であってもよい。またバンクの上面から見た形状についても特に限定されず、開口部が矩形、楕円形、または角が丸い長方形等の形状、あるいは直線上の形状であってもよい。
(1.バンク形成用組成物)
バンクを形成するための組成物(バンク形成用組成物)としては、目的とするパターン状にバンクを形成可能な組成物であれば特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷用レジスト、フォトレジスト、または上記第一の有機層の形成に用いられる材料等が挙げられる。
スクリーン印刷法は、直接必要な部分にのみ樹脂を印刷することができるため、該印刷法にてバンクを形成した場合、比較的バンク形成用組成物の無駄が少なくまた大面積にも対応し易い。また現像工程が必要ないため、現像液等による第一の有機層の特性に対する影響が少ないという利点がある。これより、バンク形成組成物としてスクリーン印刷用レジストを用いることが好ましい。
フォトレジストは、汎用されていることから、バンク形成用組成物としてフォトレジストを用いた場合、微細加工精度が高く、さらにはポジ型、ネガ型等の種類を含む材料選択、露光、現像、ベーク等の条件を適切に設定することにより、逆テーパー形状や順テーパー形状の台形状等の断面形状を比較的容易に作製することができるという利点がある。これより、バンク形成組成物として、フォトレジストを用いることが好ましい。
また、第一の有機層の形成に用いられる材料と同じ材料を用いた場合は、例えば、第一の有機層上にバンク形成用組成物の残渣が残った場合でも、バンク形成用組成物が電荷輸送性を有するため、素子とした際の発光ムラが小さく、第二の有機層への影響を低減しうるという利点がある。または、フォトマスクを用いるフォトリソグラフィ等により、凹型の断面形状を持ち、第一の有機層とバンクを兼用する構造を形成し、製造工程を簡略化できるという利点が挙げられる。
また、バンク形成用組成物としては、上記組成物以外のものを用いてもよい。
以下、フォトレジストについて詳説するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(2.フォトレジスト)
バンク形成用組成物として、フォトレジストを用いる場合、フォトレジストに含有されていることが好ましい材料としては、バインダー樹脂、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、およびアミノ化合物などが挙げられる。
以下、これらについて詳述する。
(2−1.バインダー樹脂)
本発明におけるフォトレジストは、バインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂としては、現像液で現像可能な樹脂が用いられる。現像液としては通常アルカリ現像液が好適に用いられることから、バインダー樹脂はアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル酸系樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ノボラック樹脂、カルド樹脂、カルボキシル基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物、各種エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを含有する樹脂等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸系樹脂、カルボキシル基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物、エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを含有する樹脂、および変性ノボラック樹脂が挙げられる。
以下に、上記の中でも特に好適に用いられるバインダー樹脂として、アクリル酸系樹脂、カルボキシル基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物、エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを含有する樹脂および変性ノボラック樹脂について、さらに詳述する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を含むことを意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」なども同様の意味である。また、モノマー名の前に「(ポリ)」をつけたものは、当該モノマーと、そのポリマーとの双方を含むことを意味し、「(酸)無水物」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。
さらに、(共)重合体とは、重合体と共重合体の双方を含むことを意味する。
また、本発明において、「全固形分」とは、本発明のフォトレジストの構成成分のうち、溶媒を除くすべての成分を意味する。
(2−1−1.アクリル酸系樹脂)
本発明におけるフォトレジストに含有されるバインダー樹脂としては、アクリル酸系樹脂であることが好ましい。
アクリル酸系樹脂は、アルカリ可溶性が向上する点で、側鎖または主鎖に、カルボキシル基またはフェノール性水酸基のいずれかを有する単量体を重合させて得られる(共)重合体であることが好ましい。
主鎖または側鎖に、カルボキシル基またはフェノール性水酸基のいずれかを有する単量体としては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに酸(無水物)を付加させた単量体が挙げられる。酸(無水物)としては、(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などが挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに酸(無水物)を付加させた単量体としては、例えば、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル等が挙げられる。
さらに、上記の単量体と共重合させることができる単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体類、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和基含有カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類
、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類を付加させた化合物類等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のアクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル類が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−1−2.カルボキシル基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物)
本発明におけるフォトレジストに含有される別の好ましいバインダー樹脂としては、カルボキシル基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸系重合体が挙げられ、エポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(2−1−3.エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを含有する樹脂)
本発明におけるフォトレジストに含有されるさらに別の好ましいバインダー樹脂としては、エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを含有する樹脂が挙げられる。
エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを含有する樹脂としては、2種以上の不飽和基を有する化合物と不飽和カルボン酸、および必要に応じて不飽和カルボン酸エステルとの共重合体などが挙げられる。
2種以上の不飽和基を有する化合物としては例えば、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、ビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(エステル)、および(メタ)アクリル酸(エステル)等が挙げられる。
(2−1−4.変性ノボラック樹脂)
本発明におけるフォトレジストに含有されるバインダー樹脂としては、変性ノボラック樹脂であることが好ましい。
変性ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物を反応後、得られた反応物の水酸基と(無水)多塩基酸とを付加させることで得られる樹脂である。
ノボラック樹脂類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、安息香酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、サリチル酸、等のフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類、または、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の1種または2種以上を重合して得られる樹脂が挙げられる。
また、ノボラック樹脂の代わりに、レゾール樹脂を用いてもよい。
不飽和基含有エポキシ化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシ(ポ
リ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ビニル等が挙げられる。
(無水)多塩基酸としては、水酸基と付加する基を有する化合物であればとくに制限はなく、公知の材料を用いることができるが、例えば、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等の二塩基性カルボン酸およびその無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、等の多塩基性カルボン酸およびその無水物、などが挙げられる。
(2−1−5.バインダー樹脂の含有量など)
フォトレジスト中におけるバインダー樹脂の含有割合は、溶媒を除く全固形分に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上であり
、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。この下限値を下回るとバンクを形成するのに十分な硬性が得られず、所望の形状のバンクが形成できないおそれがある。また、この上限値を上回ると塗布性や現像性が低下するおそれがある。
上記バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、異なる2種を混合して用いてもよい。
(2−2.エチレン性不飽和化合物)
本発明におけるフォトレジストは、エチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、特に制限はないが、後述の(3.バンク形成工程)における現像工程で、露光部と非露光部との現像液に対する溶解性の差が大きくなり、基板上に形成される画像パターンが所望の形状に形成される点で、エチレン性不飽和基を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和基は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来することが更に好ましい。
エチレン性不飽和基を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、および、(メタ)アクリル酸またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられ、好ましくは、エステル(メタ)アクリレート類、または、ウレタン(メタ)アクリレート類であり、特に好ましくはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等、5官能以上のものである。
フォトレジスト中の、エチレン性不飽和化合物の濃度は、溶媒を除く全固形分に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下である。この下限値を下回ると、後述の露光工程において、露光による硬化性が十分でなく、所望の形状のバンクが形成できないおそれがあり、また、この上限値を上回ると所望の形状のバンクが形成できないおそれがある。
上記エチレン性不飽和化合物は、1種を単独で用いてもよく、異なる2種以上を併用してもよい。
(2−3.光重合開始剤)
本発明におけるフォトレジストは、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、活性光線によりエチレン性不飽和基を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の光重合開始剤を用いる事ができる。
フォトレジスト中の、光重合開始剤の濃度は、溶媒を除く全固形分に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。フォトレジスト中の光重合開始剤の濃度が過度に大きいとバンクを形成する第一の有機層との密着性が低下するおそれがあり、また濃度が小さ過ぎると形成するバンクの硬化性が低下するおそれがある。
上記光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、また異なる2種以上を併用してもよい。
(2−4.アミノ化合物)
本発明におけるフォトレジストは、露光によるフォトレジストの架橋を促進する点で、アミノ化合物を含有することが好ましい。
アミノ化合物としては、公知の化合物を用いることができるが、例えば、官能基としてメチロール基、それを炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物が挙げられる。
フォトレジスト中の、アミノ化合物の濃度は、溶媒を除く全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。濃度が大き過ぎると、フォトレジストの保存安定性に影響するおそれがあり、また濃度が小さ過ぎると、形成したバンクの硬化性が低下するおそれがある。
上記アミノ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−5.その他の成分)
本発明におけるフォトレジストは、さらに、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、撥液剤、着色剤、表面改質剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物、その他の樹脂、溶媒等が挙げられる。
(2−5−1.撥液剤)
本発明におけるフォトレジストは、撥液剤を含有することが好ましい。
撥液剤としては、バンクに撥液性を持たせる効果があれば特に限定されないが、例えば、フッ素含有化合物やシリコン含有化合物が挙げられるが、組成物の溶媒として有機溶媒を用いる場合は、フッ素含有化合物が好ましい。
フッ素含有化合物としては、特に制限されず、低分子化合物でも、高分子化合物であってもよいが、例えば、パーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル基などを含む化合物が挙げられる。
パーフルオロアルキル基を含む化合物としては、例えば、特開平7−35916号公報、特開平11−281815号公報、国際公開第2004−042474号パンフレット、特開2005−60515号公報、特開2005−315984号公報、特開2006−171086号公報、等に記載の化合物;
BYK−340(ビッグケミー社製)、モディパーF200、F600、F3035(以上、日油社製)フタージェントMシリーズ、Sシリーズ、Fシリーズ、Gシリーズ、Dシリーズ、オリゴマーシリーズ(以上、ネオス社製)、ユニダイン(ダイキン工業社製)、トリフロロプロピルトリクロロシラン(信越シリコーン社製)、サーフロンS−386(AGCセイミケミカル社製)、等のパーフルオロ基含有アクリルモノマーを成分として共重合した樹脂が挙げられる。
さらに、撥液剤として用いられる樹脂(以下、「撥インク性樹脂」と称する)としては、例えば、フッ素化エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアミド樹脂、フッ素化ポリウレタン樹脂、フッ素化シロキサン樹脂およびそれらの変性樹脂などのも挙
げられる。
また、撥液剤として、バンク形成工程中、例えば現像工程などで撥液剤が流出するおそれがない点で、撥インク性樹脂を用いることが好ましい。さらに、撥インク性樹脂は、側鎖として架橋性基を有する撥インク性樹脂(以下、「架橋性基含有撥インク性樹脂」と称する)を用いることが好ましい。
架橋性基含有撥インク樹脂としては、特に制限はないが、例えば、メガファックRS−101、RS−102、RS−105、RS−401、RS−402、RS−501、RS−502(以上、DIC社製)、オプツールDAC(ダイキン工業社製)、パーフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記の撥液剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における撥液剤の濃度は、撥液剤に於けるフッ素原子含有量が10重量%以上の場合は、フォトレジストの溶媒を除く全固形分に対して、通常0.001重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、また通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。
また、フッ素原子含有量が10重量%より少ない場合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
この下限値を下回ると、バンクの撥インク性が不十分となり、後述の第二の有機層(発光層)を形成する際に、第二の有機層用組成物(発光層形成用組成物)がバンクにより区画された領域に流れ出してしまうおそれがある。また、この上限値を上回ると、後述の現像工程での現像が困難となり、所望の形状のバンクが形成されにくくなるおそれがある。
上記撥液剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−5−2.着色剤)
本発明におけるフォトレジストは、着色剤を含んでいてもよい。
着色剤としては、公知の着色剤を用いることができ、例えば、顔料、染料等が挙げられるが、バンクを黒色に着色することで、より鮮明な画素が得られる点で、黒色着色剤が好ましい。黒色着色剤としては、例えば、黒色染料や、カーボンブラック、チタンブラック、有機顔料などが挙げられる。
本発明における着色剤の濃度は、フォトレジスト中の溶媒を除く全固形分に対して、通常60重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
着色剤として顔料を用いる場合は、フォトレジスト中で顔料が凝集するのを防止する点で、さらに分散剤や分散助剤を含んでいてもよい。
上記着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−5−3.表面改質剤、現像改良剤)
本発明におけるフォトレジストは、表面改質剤および現像改良剤を含んでいてもよい。
表面改質剤および現像改良剤としては、特に制限はなく、公知の材料をもちいることができるが、例えば、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコン系界面活性剤などが挙げられる。
表面改質剤または現像改良剤の濃度は、溶媒を除く全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
上記表面改質剤および現像改良剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−5−4.重合禁止剤、酸化防止剤)
本発明におけるフォトレジストは、フォトレジストの安定性が向上する点で、重合禁止剤や酸化防止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキシフェノール等が挙げられる。
また酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)等のヒンダードフェノール系の化合物などが挙げられる。
重合開始剤および酸化防止剤の濃度は、フォトレジスト中の溶媒を除く全固形分に対して、通常5ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上600ppm以下である。
この濃度が小さすぎると、フォトレジストが重合したり酸化したりして、バンク形成材料として用いることが困難となるおそれがある。また、この濃度が大きすぎると、例えば、後述の加熱工程によるフォトレジストの硬化が不十分となるおそれがある。
上記重合禁止剤および酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−5−5.シランカップリング剤)
本発明におけるフォトレジストは、形成したバンクと基板との密着性を向上する点で、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系シランカップリング剤等が挙げられ、中でもエポキシ系、およびイミダゾール系シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の濃度は、フォトレジスト中の溶媒を除く全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
上記シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2−5−6.エポキシ化合物)
本発明におけるフォトレジストは、形成したバンクの硬化性や、形成したバンクと基板との密着性を向上する点で、エポキシ化合物を含有していてもよい。
エポキシ化合物としては、エポキシ基を有する繰り返し単位を含む化合物が好ましく、公知の材料を用いることができるが、例えば、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物、ポリカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル化合物、および、ポリアミン化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルアミン化合物、等が挙げられる。
エポキシ化合物の濃度は、フォトレジスト中の溶媒を除く全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。濃度が大きすぎると、フォトレジストの保存安定性に影響するおそれがある。
(2−5−7.溶媒)
本発明におけるフォトレジストは、さらに溶媒を含有する。
フォトレジストに含有される溶媒としては、特に制限は無く、フォトレジストおよび各成分を溶解または分散させるための溶媒が適宜選択されるが、例えば、水、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチル
ケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、Socal solvent No.1およびNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、酢酸ブチル(n、sec、t)、ヘキセン、シェル TS28 ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾネート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、シクロヘキシルアセテート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールアセテート、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、等が挙げられる。
また、フォトレジストに含有される溶媒の沸点は、通常60℃以上、好ましくは70℃以上、また通常280℃以下、好ましくは260℃以下である。
上記溶媒は、フォトレジスト溶液中の全固形分の割合が、通常10重量%以上、また通常90重量%以下となるように使用される。
上記溶媒は、1種を単独で用いてもよく、また異なる2種を混合して用いてもよい。
(3.バンク形成工程)
以下、バンク形成工程について詳述するが、本発明の効果を損なわない限り、他の工程を含んでいてもよい。
バンク形成工程は、上記材料に応じて適宜選択される。例えばバンク形成用組成物がフォトレジストである場合には、バンク形成用組成物(フォトレジスト)を第一の有機層上に成膜し、フォトマスク等により目的とするパターン形状で露光・現像することで、所望のバンクを形成することができる。以下、フォトレジストを用いて、フォトマスク等により目的とするパターン状で露光・現像することで、バンクを形成する場合を例にとって説明する。
(3−1.塗布工程)
前記正孔注入層上に形成された第一の有機層(正孔輸送層)上に、バンク形成用組成物を、通常第一の有機層上の全面に、湿式成膜法により成膜する。
フォトレジストの湿式成膜法の方式は本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。
湿式成膜法としては、前記説明したとおりであるが、中でも、ダイコート法が好ましい。
(3−2.プリベーク工程)
バンク形成工程において、必要に応じて、フォトレジストを用いて成膜後、露光前にプリベーク工程を行ってもよい。
プリベーク工程は、フォトレジストを成膜した直後に、フォトレジストの溶媒を除去する目的で行なう。
プリベーク工程の条件はフォトレジストの種類により適宜選択されるが、プリベーク工程における温度は、通常、室温以上、好ましくは40℃以上であり、また、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。この上限値を上回ると、フォトレジストの架橋反応が促進して、所望の形状に現像できなくなるおそれがある。またこの下限値を下回ると溶媒が十分除去されずに、所望の形状にバンクが形成されないおそれがある。
プリベーク工程におけるベークの時間は、通常1秒以上、好ましくは10秒以上であり、また、通常30分以下、好ましくは20分以下である。この上限値を上回ると長時間の加熱によって、フォトレジストの架橋反応が促進して現像できなくなるおそれがあり、またこの下限値を下回ると溶媒が十分除去されずに、所望の形状のバンクを形成できなくなるおそれがある。
加熱手段については、特に制限はないが、ホットプレート、オーブン、赤外線や電磁波などの活性エネルギー線照射等が挙げられる。
加熱時の雰囲気については、大気中で行なってもよいし、ポストベーク後に水分が再吸着すること、あるいは高温時のバンクまたは下地の酸化を防ぐために、雰囲気として、露点0℃未満の乾燥空気中や、窒素などの不活性ガス中で行ってもよく、また、圧力0.1MPa未満の減圧下で行ってもよい。
さらに、真空乾燥をおこなってもよい。
真空乾燥を行う時期は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、対流により生じる膜厚ムラを抑制し、均一な膜を形成し易い点から、フォトレジストを用いて湿式成膜した直後で、上記プリベーク工程の前に行うことが好ましい。
真空乾燥の真空度としては、通常大気圧より小さい圧力、好ましくはフォトレジストに含有される溶媒の蒸気圧以下である。
(3−3.露光工程)
本発明の有機電界発光素子の製造方法において、バンク形成工程は、上記フォトレジストを用いて成膜した後に露光工程を有する。
露光工程における露光条件等は、上記フォトレジストの種類等に応じて適宜選択されるが、例えば、露光波長に関しては、g線(波長436nm)、i線(波長 365nm)、ブロード(g,h,i線の3波長) 、KrFエキシマレーザー(波長 248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長 157nm)等が
選択可能である。
中でも、要求されるレジスト線幅と、取り扱い設備の簡便さから、放電ランプ等を光源に用いるg線、i線、またはブロードを用いることが好ましい。
露光量については、通常所望のバンク形状を得るために適切な条件を選択するが、露光時間の観点から、2J/cm以下であることが好ましい。
(3−4.現像工程)
フォトレジストを用いてバンクを形成する場合、通常露光工程の後に現像工程を有する
。現像工程で用いる現像液は、フォトレジストの種類により適宜選択されるが、アルカリ性化合物の水溶液や有機溶媒が用いられる。特にバンク形成用組成物の残渣が低減される点で、アルカリ性化合物、極性有機溶媒、および水を含む現像液を用いることが好ましい。
即ち、本発明の第二に係る有機電界発光素子の製造方法は、バンクを形成する工程中に現像工程を有し、該現像工程で、アルカリ性化合物、極性有機溶媒、および水を含む現像液(以下、単に「本発明の第二における現像液」と称する場合がある。)を用いて現像することを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法である。
後述の極性有機溶媒で洗浄する工程を有する場合(即ち、本発明の第一)は、本発明の第二における現像液以外の現像液で現像してもよいが、バンク形成用組成物の残渣が低減して、本発明の効果が得られる点で、本発明の現像液を用いて現像することが好ましい。
現像工程とは、溶媒または溶液を用いて、第一の有機層上に画像パターン(すなわち、バンク)を形成する工程をいい、通常上記の露光工程の後に有する。
以下、本発明の第二における現像工程について詳述する。
(3−4−1.現像液)
本発明の第二における現像液は、アルカリ性化合物、極性有機溶媒、および水を含む現像液である。
アルカリ性化合物としては、無機アルカリ性化合物および有機アルカリ性化合物が挙げられ、無機アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどが挙げられ、
また、有機アルカリ性化合物としては、例えば、モノ−・ジ−またはトリエタノールアミン、モノ−・ジ−またはトリメチルアミン、モノ−・ジ−またはトリエチルアミン、モノ−またはジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−またはトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどが挙げられる。
上記のアルカリ性化合物は、1種を単独で用いてもよく、また異なる2種以上を混合して用いてもよい。尚、有機層中に残存した場合、より有機電界発光素子に悪影響を及ぼさない点で、有機アルカリ性化合物を用いることが好ましい。
極性有機溶媒としては、分子内に酸素原子を有する有機化合物からなる有機溶媒であることが好ましい。
分子内に酸素原子を有する有機化合物からなる有機溶媒とは、具体的には、分子内に、ヒドロキシル基、カルボニル基、エーテル結合、およびエステル結合の少なくとも一種を有する有機化合物からなる有機溶媒である。
ヒドロキシル基を有する有機化合物からなる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の一価アルコール類、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類が挙げられ、
カルボニル基を有する有機化合物からなる有機溶媒としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、
エーテル結合を有する有機化合物からなる有機溶媒としては例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等が挙げられ、
エステル結合を有する有機化合物からなる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、2−エチルヘキシルアセテート等が挙げられる。
また、1分子中にヒドロキシル基、カルボニル基、エーテル結合、およびエステル結合からなる群より選ばれた構造を複数有する有機化合物からなる有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
また、上記具体例のうち、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルは、水に溶解するため、後述するように、現像工程後に該溶媒を除去する目的でリンス処理をする場合、リンス液として純水が使用できるため好ましい。
さらに、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の炭素数1〜3の一価アルコール類が取り扱いやすさの観点から特に好ましい。
本発明の現像液に含まれるアルカリ性化合物の濃度は、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.01重量%以上、また通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
この上限値を上回ると、基板や有機層に悪影響を及ぼしたり、所望の形状にバンクを形成できなかったりするおそれがある。また、この下限値を下回ると、現像工程に長時間を要するため工業的に不利益が生じるおそれがある。
本発明の現像液に含まれる極性有機溶媒は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、また通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
この上限値を上回ると所望の形状のバンクが得られないおそれがある。またこの下限値を下回ると現像が十分ではなくバンク形成用組成物の残渣が残り本発明の効果が得られないおそれがある。
本発明の現像液に含まれる水は、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、また通常100重量%未満、好ましくは99重量%以下である。
この上限値を上回ると、アルカリ性化合物と極性有機溶媒の濃度が低くなるため、現像が不十分となり、バンク形成用組成物の残渣が残り本発明の効果が得られないおそれがある。またこの下限値を下回ると、露光工程後の膜の除去されるべきフォトレジストが現像液に溶解せず析出物として再付着することで、得られた素子の特性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の現像液に含まれる極性有機溶媒の沸点は、通常40℃以上、好ましくは60℃以上、また通常300℃以下、好ましくは200℃以下である。この上限値を上回ると、粘度が高すぎて形成したバンクや有機層が極性有機溶媒に濡れにくくなったりして、本発明の効果が得られないおそれがある。またこの下限値を下回ると極性有機溶媒の蒸発が早
すぎて処理が不十分となり本発明の効果が得られないおそれがある。
本発明における極性有機溶媒の分子量は、通常25以上、好ましくは30以上、また通常300以下、好ましくは200以下である。この上限値を上回ると、沸点が高くなりすぎて上記問題が生じるおそれがある。また、この下限値を下回ると溶媒の沸点が低くなりすぎ、上記問題が生じるおそれがある。
本発明における極性有機溶媒の誘電率は、通常3.0以上、好ましくは4.0以上、また通常60以下、好ましくは40以下である。上記範囲を超えると、現像が十分に行われずにバンク形成用組成物の残渣が残り、本発明の効果が得られないおそれがある。
本発明における極性有機溶媒の水に対する溶解性は、通常0.1wt%以上、好ましくは1.0wt%以上であり、また理想的には上限はなく、水に対する溶解度は高い方が好ましい。この下限値を下回ると本発明の効果が得られないおそれがある。
本発明の現像液は、さらに界面活性剤、緩衝剤、錯化剤などを含有して用いてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤、などが挙げられる。
また、後述の極性有機溶媒で洗浄する工程を行う場合(即ち、本発明の第一)は、本発明の現像液以外の溶媒または溶液を現像液として用いることができる。
本発明の第一において、現像液として用いることができる溶媒または溶液としては、アルカリ性化合物の水溶液、および有機溶媒が挙げられる。
アルカリ性化合物の水溶液からなる現像液を用いる場合、アルカリ性化合物としては、上記本発明の現像液で挙げたアルカリ性化合物を用いることができる。
有機溶媒のみを用いて現像を行う場合は、特に制限はなく、現像液として用いられる公知の有機溶媒を用いることができ、本発明における極性有機溶媒を用いてもよく、非極性溶媒、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒を用いてもよい。有機溶媒のみを用いて現像を行う場合は、1種を単独で用いてもよく、また異なる2種以上を混合して用いてもよい。
現像条件は上記フォトレジストの種類により適宜選択される。
現像工程における現像温度は、特に制限はないが、通常10℃以上、好ましくは15℃以上、また通常100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは45℃以下である。
また現像方法については、特に制限はないが、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等が挙げられる。
基板を現像液に浸漬する場合(浸漬現像)、通常、室温以上、また通常100℃以下に加熱した現像液に一定時間浸漬することが行われる。この場合、現像時間を短縮し、または量産時に複数の基板をバラツキなく安定的に現像させるため、基板を揺動させたり現像液を撹拌したりしてもよい。
また、基板に現像液を噴射する場合(スプレー現像)、通常室温以上、また通常100℃以下に加熱した現像液を用いて噴射して現像をおこなう。
現像液が必要な時間を超えて、露光されたフォトレジスト上に付着することにより、所望の形状に形成されたバンクが、過度に現像されて望ましくない形状に変化することを防
止するため、現像終了後に現像液を除去する目的、および現像液に含まれる成分が、前記第一の有機層またはバンクに付着・残留することを防ぐ目的で、通常、現像の後にリンス処理を行なってもよい。
リンス処理は、リンス液中に浸漬したり、リンス液を基板に棒状ないしシャワー状に注いだりする方法で行われる。リンス液は、上記フォトレジストの種類により適宜選択されるが、本発明における極性有機溶媒を含まない溶媒または溶液を用いる。通常は、リンス液として超純水が用いられる。
リンス液に、有機電界発光素子の特性に影響する不純物が含まれていると、アクティブ駆動有機電界発光素子パネルにおける駆動用薄膜トランジスタ(TFT)特性に対して影響したり、得られた有機電界発光素子の特性、例えば素子電圧、発光効率、駆動寿命等に影響を及ぼしたりするおそれがある。
上記の不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、パラジウムなどの金属イオンまたはそれらの金属酸化物、金属化合物、あるいはポリマーを含む有機化合物、バクテリア、微生物およびその死骸等が挙げられる。
特に好ましくない不純物の例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン、銅イオン、アルミニウムイオン、パラジウムイオンなどの金属イオン、および有機ハロゲン化物が挙げられる。中でも、金属イオンおよび沸点が150℃以上の有機ハロゲン化物は、後述する加熱工程によっても除去できない可能性が高いため、好ましくない。これら不純物のリンス液中濃度は、通常0.1%以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは1ppm以下に低減されていることが好ましい。含まれていないことが好ましいため、下限値は理想的には0である。
さらに、現像またはリンス処理後に、基板に付着して残っている現像液またはリンス液を除去してもよい。除去する方法は特に限定されないが、例えば基板をスピンで回転させてもよいし、基板にガスを吹き付けてもよく、またリンス液が揮発性の溶媒である場合は、真空乾燥をおこなってもよい。
リンス液を除去する方法が、スピンで回転する方法である場合、回転速度は通常10rpm以上、好ましくは100rpm以上であり、通常10000rpm以下、好ましくは5000rpm以下である。この上限値を越える場合、工業的観点から不利益が生じるおそれがあり、またこの下限値を下回ると、基板に付着して残っている現像液またはリンス液の除去が十分でないおそれがある。
また、スピンで回転する方法である場合の回転回数は、通常1回転以上、好ましくは2回転以上、また、通常10000回転以下、5000回転以下である。上記範囲内であると、基板に付着して残っている現像液またはリンス液の除去が十分となる。
リンス液を除去する方法が、ガスを吹き付ける方法である場合、用いるガスとしては、特に限定されないが、空気、乾燥空気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが挙げられ、通常、空気、乾燥空気、窒素が取り扱いやすさの観点から特に好ましい。また、用いるガスは、配管途中にフィルターを設置して微粒子を除去して用いることが好ましい。フィルターは微粒子を有効に除去することから、ろ過精度0.01μmを用いることが好ましい。ガスを吹き付ける圧力は、通常大気圧以上、好ましくは0.11MPa以上、また通常2MPa以下、好ましくは1MPa以下である。
この上限値を上回ると、ガス圧力が強すぎてバンクが剥がれたり変形するおそれがあり、またこの下限値を下回るとガス圧力が弱すぎて基板に付着した現像液またはリンス液の除去が十分でないおそれがある。
(3−5.極性有機溶媒で洗浄する工程)
本発明の第一に係る有機電界発光素子の製造方法は、バンクを形成する工程中、現像工程と、それより後に行われる加熱工程の間に、極性有機溶媒で洗浄する工程(以下、「極性有機溶媒洗浄工程」と称する場合がある。)を有する有機電界発光素子の製造方法である。
また、本発明の有機電界発光素子の製造方法は、前記現像工程において本発明の現像液を用いて現像した場合(即ち、本発明の第二)は、極性有機溶媒洗浄工程は有していても有していなくてもよいが、バンク形成用組成物の残渣がより低減する点で、極性有機溶媒洗浄工程を有していることが好ましい。
以下、極性有機溶媒洗浄工程について詳述するが、本工程については、バンク形成用組成物として、フォトレジストを用いた場合に限定されるものではない。
(3−5−1.極性有機溶媒)
極性有機溶媒洗浄工程において用いられる極性有機溶媒は、前記(3−4.現像工程)の項で記載の極性有機溶媒と同様であり、また好ましい例も同様である。
(3−5−2.極性有機溶媒の物性など)
本発明における極性有機溶媒の沸点は、通常40℃以上、好ましくは60℃以上、また通常300℃以下、好ましくは200℃以下である。この上限値を上回ると、極性有機溶媒洗浄後の乾燥または後述の加熱工程で極性有機溶媒が除去されなかったり、粘度が高すぎて形成したバンクや有機層が極性有機溶媒に濡れにくくなったりして、本発明の効果が得られないおそれがある。またこの下限値を下回ると極性有機溶媒の蒸発が早すぎて処理が不十分となり本発明の効果が得られないおそれがある。
本発明における極性有機溶媒の分子量は、通常25以上、好ましくは30以上、また通常300以下、好ましくは200以下である。この上限値を上回ると、沸点が高くなりすぎて上記問題が生じるおそれがある。また、この下限値を下回ると溶媒の沸点が低くなりすぎ、上記問題が生じるおそれがある。
本発明における極性有機溶媒の誘電率は、通常3.0以上、好ましくは4.0以上、また通常60以下、好ましくは40以下である。上記範囲を超えると、有機層上に残存するバンク形成用組成物の残渣が十分除去されず、本発明の効果が得られないおそれがある。
本発明における極性有機溶媒の水に対する溶解性は、通常0.1wt%以上、好ましくは1.0wt%以上であり、また理想的には上限はなく、水に対する溶解度は高い方が好ましい。この下限値を下回ると本発明の効果が得られないおそれがある。
上記の極性有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、異なる2種を混合して用いてもよい。
また、本発明における極性有機溶媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の極性有機溶媒に混合可能な他の非極性有機溶媒を併用してもよく、また水と混合可能な溶媒は水と混合して用いてもよい。
上記の極性有機溶媒に混合してもよい他の非極性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
本発明における極性有機溶媒と、上記の水または非極性溶媒とを混合する場合、本発明における極性有機溶媒の配合比は、通常50重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、上限は100重量%である。
上記範囲内であると、極性有機溶媒による洗浄効果が十分で、また洗浄が短時間で済む点で工業的に有利であり好ましい。
(3−5−3.極性有機溶媒で洗浄する方法)
極性有機溶媒で洗浄する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、例えば、基板を極性有機溶媒に浸漬してもよいし、極性有機溶媒を噴射して基板に吹き付けてもよい。
(3−5−3−1.浸漬する場合)
基板を極性有機溶媒に浸漬する場合は、極性有機溶媒の温度は、通常用いる極性有機溶媒の融点以上、好ましくは0℃以上、また、通常用いる極性有機溶媒の沸点以下、好ましくは200℃以下である。この上限値を上回ると、バンク形成用組成物が分解したり溶解するおそれがあり、またこの下限値を下回るとバンク形成用組成物の残渣の溶解性が低下し、水分の凝固によりバンクを形成する下層である有機層やバンクに欠陥が発生したり、本発明の効果が得られないおそれがある。
また、浸漬時間は、通常0.5秒以上、好ましくは1秒以上、また通常5分以下、好ましくは3分以下である。この上限値を上回ると、バンクを形成する下層である有機層が劣化したり、バンクが劣化したりするおそれがある。また、この下限値を下回るとバンク形成用組成物の残渣の除去が不十分となり本発明の効果が得られないおそれがある。
さらに、処理時間を短縮し、または量産時に複数の基板をバラツキなく安定的に現像させるため、基板を揺動させたり、極性有機溶媒を撹拌したりしてもよい。また、超音波をかけて浸漬をおこなってもよい。
(3−5−3−2.基板に極性有機溶媒を噴射する場合)
基板に極性有機溶媒を噴射する場合、極性有機溶媒の温度は、通常用いる極性有機溶媒の融点以上、好ましくは0℃以上、また、通常用いる極性有機溶媒の沸点以下、好ましくは200℃以下である。この上限値を上回ると、バンク形成用組成物が分解したり溶解したり、また、噴射された極性有機溶媒が蒸発して十分な量が基板に到達しないおそれがあり、またこの下限値を下回るとバンク形成用組成物の残渣の溶解性が低下し、水分の凝固による欠陥が発生したり、本発明の効果が得られないおそれがある。
噴射時間は、通常0.5秒以上、好ましくは1秒以上、また通常5分以下、好ましくは3分以下である。この上限値を上回ると、電極上の有機層が劣化したり、バンク部分が劣化するおそれがあり、またこの下限値を下回ると残渣が十分除去されず本発明の効果が得られないおそれがある。
噴射圧力は、薬液タンクを加圧して極性有機溶媒を噴射する場合、通常大気圧以上、好ましくは0.11MPa以上、また通常2MPa以下、好ましくは1MPa以下である。この上限値を上回ると、噴射圧力が強すぎてバンクが剥がれたり変形するおそれがあり、またこの下限値を下回ると極性有機溶媒が噴射できないおそれがある。
噴射流量は、基板のサイズによって必要な液量が変わってくるので適切に調製する必要があり、一概には言えないが、例えば、10cm×10cmの基板を処理する場合、通常10ml/min以上、好ましくは50ml/min以上、また通常10000ml/min以下、好ましくは5000ml/min以下である。この上限値を上回ると、必要以上の極性有機溶媒を使用してコストが高くなるおそれがあり、またこの下限値を下回ると必要な量の極性有機溶媒が供給されずに残渣の除去が不十分で、本発明の効果が得られないおそれがある。
極性有機溶媒で洗浄した後に、第一の有機層およびバンクに付着する極性有機溶媒を除去する目的、および極性有機溶媒に含まれる成分が、第一の有機層またはバンクに付着・残留することを防ぐ目的で、リンス処理を行ってもよい。リンス処理を行なう場合は、リンス液中に浸漬したり、リンス液を基板に棒状ないしシャワー状に注いだりする方法で行われる。リンス液としては、極性有機溶媒洗浄で用いた溶媒の種類により適宜選択される
が、極性有機溶媒洗浄で用いた溶媒を良好に溶解するものが好ましい。
例えば、極性有機溶媒洗浄で用いる溶媒として、水に溶解する溶媒、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン等を用いた場合は、リンス液として超純水が挙げられる。
また、極性有機溶媒洗浄で用いる溶媒として、水に溶解しにくい溶媒を用いた場合は、リンス液として、非極性有機溶媒が挙げられる。
非極性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
極性有機溶媒洗浄工程の回数は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、何回含んでいてもよいが、通常5回以下、好ましくは3回以下、また通常1回以上である。
尚、極性有機溶媒で洗浄する工程を、2回以上含んでいる場合は、それぞれ異なる溶媒で、本工程を行ってもよい。
さらに、極性有機溶媒洗浄工程の最後に、前述した、リンス処理および基板に付着した現像液またはリンス液の除去と同様にして、リンス処理および基板に付着した極性有機溶媒またはリンス液を除去してもよい。
(3−6.加熱工程)
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、バンクを形成する工程中、現像工程よりも後に加熱工程を有する。特に、本発明の第一においては、前記極性有機溶媒洗浄工程の後に加熱工程を有する。
加熱工程は、フォトレジストの架橋反応を促進させる目的、所望の形状に形成されたバンクと下地との密着性を高める目的、またリンス液およびリンス液に含まれる好ましくない不純物を加熱により除去する目的のために行われる。
加熱工程における加熱条件も上記フォトレジストの種類により適宜選択されるが、加熱温度については、通常80℃以上、好ましくは100℃以上であり、また通常350℃未満、好ましくは300℃未満である。この下限値を下回ると、フォトレジストが十分架橋反応を行わないおそれがあり、またこの上限値を上回るとバンクおよび第一の有機層の構造変化や化学変化を起こすおそれがある。
加熱手段については、特に制限はないが、ホットプレート、オーブン、赤外線や電磁波などの活性エネルギー線照射等が挙げられる。
加熱時の雰囲気については、大気中で行なってもよいし、加熱工程後に水分が再吸着すること、あるいは高温時のバンクまたは下地の酸化を防ぐため、露点0℃以下の乾燥空気中、窒素などの不活性ガス中、圧力100Pa以下で行ってもよい。
加熱工程における加熱時間については、特に制限はないが、工業的観点から、通常3時間以内、好ましくは1時間以内で行われる。
一方、上記バンクの形成に第一の有機層と同様の材料を用いる場合、上記バンクの形成は、上記フォトレジストを用いた場合と同様に、層形成後、露光・現像する方法であってもよく、ハーフトーンマスク等を用いて、凹型の断面形状を有するように露光・現像する方法であってもよく、また湿式成膜法等によってバンクを形成する領域のみに上記材料を塗布する方法等であってもよい。
なお、上記バンクは、1層でもよく、また2層以上形成してもよい。
バンクが2層以上である場合、同一種のバンク形成用組成物を用いて形成してもよく、また異なる2種のバンク形成用組成物を用いて形成してもよい。さらに、2層以上のバンクは、各々異なったバンク形成用組成物で形成されてもよい。
バンクの表面は、例えば第二の有機層(例えば、発光層)の形成方法や形成材料等に合わせて適宜、親液化処理や撥液化処理等を行なってもよい。
親液化処理や撥液化処理の方法としては特に制限はないが、例としては、大気圧または減圧条件で、CFなどのフッ素化物、酸素、アルゴンなどの希ガス、またはそれらの混合ガス雰囲気中でプラズマ放電を行う方法、前記の(2.フォトレジスト)の項で記載したように、バンク形成用組成物に親液性や撥液性の材料を用いる方法、あるいはバンク形成用組成物に親液性や撥液性の添加物、例えば界面活性剤を混合する方法などが挙げられる。
(3−7.バンクの物性等)
(3−7−1.膜厚)
バンクの膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10nm以上、好ましくは100nm以上、また、通常100μm以下、好ましくは10μm以下である。
上記範囲内であると、第二の有機層および第二の有機層上に形成される層の膜厚ムラを抑制することができるため好ましい。
なお、第二の有機層が発光層である場合は特に、バンクの膜厚は、発光層の膜厚より大きいことが好ましい。
(3−7−2.バンクの幅)
バンクの幅は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、フォトレジストの解像度、第一の有機層とバンクとの密着性等の面から、通常1μm以上、好ましくは10μm以上である。
また、上記バンクが設けられた領域は、有機電界発光素子の非発光領域とされるため、有機電界発光素子の発光効率や発光面積等の面から、通常500μm以下、好ましくは100μm以下である。
(3−7−3.極性有機溶媒洗浄工程前後における膜厚差)
前記極性有機溶媒洗浄工程前後でのバンクの膜厚差は、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。洗浄前後での膜厚差が大きいと、膜厚が不均一になりやすく、得られる素子の発光ムラが生じるおそれがある。
(4.下引き層)
本発明においては、第一の有機層上に親水性化合物を含有する親水性化合物含有組成物を用いて下引き層を設けてもよい。
本発明においては、バンク形成用組成物を第一の有機層上に塗布し、露光、現像および加熱してバンクを形成したときに、バンクで区画された領域内にバンク形成用組成物が残渣として残りにくいことが重要である。そのため、第一の有機層との親和性が強く残渣が残り易いバンク形成用組成物を用いる場合、下引き層を設けることが好ましい。
本発明において、下引き層は、第一の有機層上に、親水性化合物含有組成物を塗布して乾燥することにより形成される。
(4−1.親水性化合物含有組成物)
下引き層の形成に用いる親水性化合物含有組成物は、親水性化合物を含有し、通常、さらに溶媒を含有する。
本発明において、親水性化合物とは、水に溶解または膨潤する化合物である。ここで、水に溶解するとは、25℃で、水に対する溶解度が通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%である化合物である。上記範囲内であると、下引き層としての膜が、良好に形成できる。
また、親水性化合物について、より具体的には、分子内に、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基などの官能基を有する化合物であることが好ましい。特に、親水性化合物は、有機化合物であることが好ましい。
親水性化合物は、上記条件を満たし、膜を形成し得るものであれば特に限定されないが、膜形成性や、前述のようにバンク形成用組成物がフォトレジストである場合の感光性組成物に対する耐性を確保するためには、この親水性化合物は親水性樹脂であることが好ましい。ここで、親水性樹脂とは、上記官能基を有する樹脂であり、通常は、上記官能基を含有する単位(モノマーやポリマー)を重合や縮合して得られる樹脂をいう。また、通常GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量(Mw)が1000〜2,000,000程度の高分子材料をいう。
(4−1−1.親水性樹脂)
親水性化合物として用い得る親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリアリールアミン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド、無水マレイン酸共重合体、アラビアゴム、水溶性大豆多糖類、ホワイトデキストリン、プルラン、カードラン、キトサン、アルギン酸、酵素分解エーテル化デキストリン等の他、親水性モノマーを用いて(共)重合された(共)重合体などが挙げられる。
(4−1−2.親水性モノマー)
親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリールアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルピロリドン、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基およびエーテル基などから選ばれる親水性基を有するモノマーが挙げられる。
(4−1−3.親水性樹脂以外の親水性化合物)
また、親水性樹脂以外の親水性化合物としては、上記親水性モノマーとして例示したものが挙げられ、これらが親水性化合物含有組成物中にモノマーのまま含有されることも好ましい。
親水性化合物としては、上記例示の中で、ビニルピロリドンの(共)重合体、(メタ)アクリル酸の(共)重合体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類などの親水性樹脂が好ましい。
本発明で用いる親水性化合物含有組成物は、これらの親水性化合物の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
親水性化合物は、親水性化合物含有組成物の全固形分中、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上で、100重量%以下含有されることが好ましい。親水性
化合物含有組成物中の親水性化合物の含有量が、上記下限より少ない場合、形成された下引き層を現像によって完全に除去することが困難となり、白抜けに繋がる。また、バンクによって区切れられた領域に、インク吐出型の塗布法によって、均一な有機薄膜の形成が困難となる。
(4−1−4.他の成分)
本発明における親水性化合物含有組成物には、上記親水性化合物の他、必要に応じて他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物やその他反応性化合物、界面活性剤、フィラー、基板密着増強剤、酸やアルコールなどの現像促進剤、色材、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤などが挙げられる。特に、バンク形成用組成物がフォトレジストである場合は、親水性化合物含有組成物中に光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物を含有させることにより該組成物に感光性をもたせ、バンク形成用組成物層と共に露光時に重合させることも、それぞれの界面での接着性を確保する意味で有用である。
この場合に用いられる光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物としては、例えば、後述の感光性組成物に含有される光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物として例示するものなどを用いることができる。親水性化合物含有組成物が、光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分中、通常0.01重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。親水性化合物含有組成物がエチレン性不飽和化合物を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物の含有量が少な過ぎるとこれを含有させたことによる感光性を得ることができず、多過ぎると、相対的に親水性化合物の含有量が少なくなり、上述の問題が発生する場合がある。
ここで、親水性化合物含有組成物は感光性である必要はなく、バンク形成用組成物の材料や現像液の選定や下引き層の膜厚の制御で、感光性でなくても十分にバンク形成用組成物層に対する接着性を確保することは可能である。また、バンク形成用組成物がフォトレジストである場合、下引き層が感光性でないことを利用してバンクの裾引きを回避するなどの工夫をすることもできる。
(4−1−5.溶媒)
親水性化合物含有組成物に含有される溶媒としては、親水性化合物含有組成物の固形分が溶解若しくは分散可能で、均一な塗布を可能とするものであればよく特に限定されないが、親水性化合物はこの溶媒に分散しているよりも溶解している方が好ましく、この溶解性を確保する点から、水および/またはアルコール系溶媒を用いることが好ましく、特に、水および/またはアルコール系溶媒が、親水性化合物含有組成物に含まれる溶媒の主成分であることが好ましい。
また、水および/またはアルコール系溶媒は、特に、下引き層が有機層上に設けられる場合に、該有機層を溶解させないという点においても好ましく、特にその有機層が有機電界発光素子の正孔注入層や正孔輸送層である場合に有用である。さらに、下引き層を形成後、バンク形成用組成物の塗布の際に、下引き層がバンク形成用組成物に含有される有機溶媒によって流れ出させないためにも、親水性化合物含有組成物の固形分は水および/またはアルコール系溶媒への溶解性が高く、前述のバンク形成用組成物の溶媒である有機溶媒には難溶ないし不溶であることが好ましい。
親水性化合物含有組成物に用いられるアルコール系溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2
−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−メチル−3−n−プロポキシブタノール、3−メチル−3−イソプロポキシブタノール、3−メチル−3−n−ブトキシシブタノール、3−メチル−3−イソブトキシシブタノール、3−メチル−3−sec−ブトキシブタノール、3−メチル−3−tert−ブトキシシブタノール、3−メトキシブタノール等のアルコキシアルコール類が挙げられる。
アルコール系溶媒のアルキル基鎖は、あまり長くない方が親水性化合物の溶解性の点で好ましく、アルキルアルコール類としてはアルキル基の炭素数が2〜4程度であるものが好ましく、グリコールエーテル類としてはアルキレングリコール部分のアルキレン基の炭素数が3〜5程度であるもの、アルコキシアルコール類としては、アルコキシ基の炭素数が2〜4程度のものが好ましい。
なお、親水性化合物含有組成物の溶媒としては、水、アルコール系溶媒以外の溶媒であってもよく、親水性化合物含有組成物に使用し得る、水、アルコール系溶媒以外の溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン等のケトン類、3−メトキシブチルアセテート、ブチルジグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類などが挙げられる。これらは単独で用いても、水やアルコール系溶媒と混合して用いてもよい。
親水性化合物含有組成物に含まれる溶媒は、水、上述のアルコール系溶媒、およびその他の溶媒から選ばれる1種のみであってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。
ただし、親水性化合物含有組成物中の溶媒は、水および/アルコール系溶媒よりなることが好ましく、その他の溶媒を混合して用いることも可能であるが、全溶媒中に水および/またはアルコール系溶媒が、5重量%以上、特に20重量%以上、100重量%以下含有されることが好ましい。特に、水および/またはアルコール系溶媒は、親水性化合物含有組成物の溶媒の主成分として含有されていることが好ましい。溶媒の主成分として含有されるとは、水、アルコール系溶媒、または水とアルコール系溶媒との混合溶媒が、溶媒中において、最も多い重量含有されていることをいう。
親水性化合物含有組成物中の、全固形分濃度は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。親水性化合物含有組成物の全固形分濃度が上記下限を下回ると、塗膜の形成が難しく、上限を上回ると薄膜を形成することが難しくなる恐れがある。
(4−2.親水性化合物含有組成物成膜方法)
上記親水性化合物含有組成物を、基板上に直接または他の層上に、塗布、乾燥することにより下引き層を形成する際の塗布方法は限定されないが、例えば、スピンコート法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法、浸漬塗布法などによって塗布することができる。これらの塗布方法は、膜厚によって自由に選定することができる。
乾燥方法としては、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用して乾燥させる方法が好ましい。乾燥条件は、前記溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥温度としては、通常40℃以上、好
ましくは50℃以上、通常200℃以下、好ましくは130℃以下の温度で加熱乾燥する。また、乾燥時間としては、15秒以上が好ましく、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥温度が低過ぎたり乾燥時間が短い場合には十分に乾燥を行うことができず感光性組成物を塗布する際に流れ出てしまう恐れがあり、乾燥温度が高過ぎたり、乾燥時間が長過ぎると、生産性低下や基板、その他の層の熱劣化の問題があり、好ましくない。
なお、乾燥は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う減圧乾燥法であってもよく、また減圧乾燥と加熱乾燥との併用でもよい。
乾燥後に得られる下引き層の膜厚は、特に限定されないが、下引き層も含めた出来上がり後のバンク高さの1/3以下が好ましく、1/4以下であることがさらに好ましく、また1/200以上であることが好ましく、1/50以上であることがさらに好ましい。これよりも下引き層の膜厚が厚くなると、次のような問題がある。即ち、下引き層は通常バンク用レジスト層の部分よりも、有機薄膜形成用のインクに対する濡れ性が高いため、有機薄膜を形成する際、バンク壁面の下引き層表出部分において、有機薄膜の塗布膜厚が高くなり、この状態で乾燥されてしまい、乾燥後も平らにならずに、バンクによって区画された領域の中心部の厚みが薄く、周囲が厚い不均一な有機薄膜が形成されてしまう恐れがある。逆に、下引き層の膜厚が上記下限よりも小さいと下引き層を形成したことによる本発明の効果が得られにくい。
下引き層の具体的な膜厚としては5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上が特に好ましく、4μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。下引き層の膜厚がこの下限を下回ると、下引き層の効果が得られ難く、上限を上回ると、上述の如く、バンクで区画された領域内に有機薄膜が均一に形成され難くなる。また、下引き層に感光性を持たせない場合は、上層のバンク形成用組成物層を保持することが難しくなる。
[表面粗さ]
本発明においては、バンクを形成した後の、バンクによって区画された領域の第一の有機層表面のRa(算術平均粗さ)が、1.0nm以下および/または最大高さ(高低差の最大値)が10nm以下であることが好ましい。ここで、Ra(算術平均粗さ)および、最大高さ(高低差の最大値)は、JIS B 0601記載の方法により算出される。
バンクを形成した後の、バンクによって区画された領域の第一の有機層表面のRaは、好ましくは1.0nm以下、さらに好ましくは0.5nm以下であり、また最大高さは、好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。Ra、最大高さともいずれか一方が上限を超えると第二の有機層を均一な膜厚で成膜しにくくなり有機電界発光素子の発光ムラが発生したりショートしやすくなったりする。また、Ra、最大高さともいずれか一方が上限を超えるということは残渣が存在したり、第一の有機層が変質して盛り上がったりすることがあり、そのため有機電界発光素子の電圧上昇、発光効率低下、寿命低下が起きたりする場合がある。
[第二の有機層]
本発明の有機電界発光素子は、上記バンクが形成された第一の有機層上に第二の有機層を有する。本発明における第二の有機層は、好ましくは発光層である。
本発明においては、第一の有機層のうち、バンクにより区画された領域、すなわちバンクが形成されておらず第一の有機層が露出している領域のみに第二の有機層を形成してもよく、また上記バンクにより区画された領域およびバンク上に第二の有機層を形成してもよい。
第二の有機層の形成方法は、具体的には、インクジェット法、ノズルプリンティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、エアロゾル法、エアロゾルジェット法等に代表される湿式成膜法により、上記バンクにより区画された領域のみに、第二の有機層を形成するための第二の有機層用組成物を用いて成膜し、第二の有機層を形成する方法であってもよく、また、例えば真空蒸着法や湿式成膜法等により、上記有機層およびバンクを覆うように成膜して第二の有機層を形成する方法等であってもよい。
また有機層およびバンクを覆うように成膜した後、この層をパターニングして、必要な領域のみに第二の有機層を形成してもよい。なお、バンクにより区画された領域ごとに、異なる材料を用いて複数種類の第二の有機層を形成してもよい。
好ましくは、インクジェット法によりバンクにより区画された領域に成膜する。
なお、本工程における第二の有機層の形成方法や、形成する第二の有機層の膜厚、形状等については、形成する第二の有機層の種類等に応じて適宜選択する。
本発明の有機電界発光素子では、発光層を第二の有機層として、上記バンクに区画された領域に設けられることが好ましいが、その他の層を第二の有機層として用いてもよい。
また、本発明においては、上記各工程の前後や各工程間に、必要に応じて適宜他の工程を有していてもよい。
以下、第二の有機層として好適な発光層について説明する。
本発明の製造方法により製造される有機電界発光素子は、少なくとも上記バンクにより区画された領域、すなわちバンクが形成されていない領域の正孔輸送層上に、発光層が設けられることが好ましい。特に、各バンクで区画された領域内に、赤色、緑色、青色の発光層をそれぞれ形成することにより、各色の塗り分けが可能となる。
発光層は、電界を与えられた電極間において、陽極から正孔注入層等を通じて注入された正孔と、陰極から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
(発光層の材料)
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
(発光材料)
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
なお、溶媒への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
以下、発光材料のうち蛍光発光材料の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、クリセン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)
ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光材料の分子量が大き過ぎると、有機化合物の精製が困難となってしまったり、溶媒に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(正孔輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正
孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence,1997年,Vol.72−74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年,Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
なお、発光層において、正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(電子輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における電子輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。電子輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(発光層の形成)
発光層を形成する場合は、上記材料を適切な溶媒に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶媒としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶媒の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶媒と同様である。
発光層を形成するための発光層形成用組成物に対する発光層用溶媒の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下、である。なお、発光層用溶媒として2種以上の溶媒を混合して用いる場合には、これらの溶媒の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固
形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶媒を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
(電子輸送層)
発光層上には電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極または電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。電子輸送層は、バンクにより区画された領域のみに形成してもよいが、全面に形成することが好ましい。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
(電子注入層)
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率よく発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表わされる有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウ
ム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。電子注入層は、バンクにより区画された領域のみに形成してもよいが、全面に形成することが好ましい。
(陰極)
陰極は、発光層側の層(電子注入層または発光層など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。陰極はバンクに区画された領域のみに形成してもよいが、全面に形成することが好ましい。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
(その他の層)
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
(正孔阻止層)
発光層と電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾー
ル等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。正孔阻止層は、バンクにより区画された領域のみに形成してもよいが、全面に形成することが好ましい。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
(正孔緩和層)
正孔緩和層は、発光層の陰極側に隣接して形成される層であり、発光層と正孔緩和層界面への正孔の蓄積を緩和する働きをする層である。また、電子を効率よく発光層の方向へ輸送する役割も有する。正孔緩和層には、正孔輸送性のユニットを有する電子輸送性化合物(正孔緩和材料)が用いられる
(電子阻止層)
また、正孔注入層または正孔輸送層と発光層との間に、電子阻止層を設けてもよい。
電子阻止層は、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止することで、発光層内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層を湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表わされるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。電子阻止層は、バンクにより区画された領域のみに形成してもよいが、全面に形成することが好ましい。
さらに陰極と発光層または電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率
を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters,1997年,Vol.70,pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44,pp.1245;SID 04 Digest,pp.154等参照)。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可
能である。例えば、図1の層構成であれば、基板上に他の構成要素を陰極、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に設けてもよい。第一の有機層は、正孔輸送層以外に、正孔注入層であってもよく、また、その他の層であってもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V25)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
<有機ELディスプレイ>
本発明の有機ELディスプレイは、上述のような本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機ELディスプレイの型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイを形成することができる。
<有機EL照明>
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、以下の実施例は、本発明を詳細に説明する為に示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
第一の有機層としての正孔輸送層上にフォトレジストにてバンクを形成する工程において、バンク形成組成物の残渣、すなわち、レジスト残渣による有機電界発光素子への影響を評価するため、次のようにして正孔輸送層表面をレジスト処理し、評価することが簡便で有効である。すなわち、第一の有機層としての正孔輸送層上にフォトレジスト(バンク形成用組成物)を全面に湿式成膜し、マスク露光工程を行わずに現像工程に移り、現像液にて成膜されたフォトレジストを全面除去し、目的に応じて極性有機溶媒洗浄を行い、次いでベークする。これにより、バンクは形成されないが正孔輸送層の表面はバンクの開口部と同様の表面となる。
このようにして正孔輸送層表面をレジスト処理し、有機電界発光素子を作製し評価することによって、レジスト残渣による有機電界発光素子への影響を簡便に評価することが出来る。
[実施の説明1]
まず、レジスト処理において、現像工程と加熱工程の間で極性有機溶媒洗浄を行った。
実施例1〜2、比較例1〜3では、第一の有機層としての正孔輸送層をレジスト処理し、有機電界発光素子を作製し評価した。
[実施例1]
(陽極の形成)
まず、ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ成膜品)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。
(正孔注入層の形成)
次に、正孔注入層形成用組成物の調製を行った。下記式(i)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量29600;ガラス転移温度177℃)2重量%と、下記式(ii)で表される電子受容性化合物0.8重量%を、溶媒として安息香酸エチルに溶解し、正孔注入層形成用組成物(A1)を調製した。
Figure 0005540625
洗浄処理したITO基板上に、上記正孔注入層用組成物(A1)を用いて、スピンコート法にて正孔注入層を形成した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行ない、スピン回転数は1500rpm、スピン時間は30秒とした。塗布後、ホットプレート上で80℃1分間加熱乾燥した後、オーブン大気中で230℃、1時間ベークし、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
次に、正孔輸送層形成用組成物の調製を行った。下記式(iii)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量10000;ガラス転移温度138℃)0.4重量%を、溶媒としてトルエンに溶解し、正孔輸送層用組成物を作製した。トルエンは市販の脱水トルエンを用い、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で正孔輸送層形成用組成物(B1)を調製した。
Figure 0005540625
正孔注入層を塗布した基板を窒素グローブボックスに入れ、正孔注入層上に、上記正孔輸送層形成用組成物(B1)を用いてスピンコート法にて正孔輸送層を形成した。スピン回転数は1500rpm、スピン時間は30秒とした。塗布後、ホットプレート上で230℃1時間ベークし、膜厚20nmの正孔輸送層を形成した。
正孔輸送層形成用組成物の調製、スピンコートおよびベークは、すべて酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露させずに行った。
(バンク形成用組成物の調製)
次に、バンク形成用組成物(C1)の調製を行った。
バインダー樹脂:下記式(iv)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子量4000)72重量部、
エチレン性不飽和化合物:下記式(v)の構造を有する化合物24重量部、
光重合開始剤:下記式(vi)の構造を有する化合物を4重量部、
光重合開始剤:下記式(vii)の構造を有する化合物1.5重量部、
界面活性剤:メガファックF475(大日本インキ化学工業(株)製)0.1重量部を
溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、固形分濃度25重量%のバンク形成用組成物(C1)を調製した。
Figure 0005540625
(バンク形成用組成物処理された正孔輸送層の作製)
次に、正孔注入層および正孔輸送層がこの順に積層成膜された基板を大気中に取り出し、紫外光をカットしたイエロールームにて、調製したバンク形成用組成物(C1)にて正孔輸送層表面を下記の手順で処理した。
(塗布工程・プリベーク工程)
まず、スピンコート法にてバンク形成用組成物(C1)を正孔輸送層上に塗布した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。スピン条件は、300rpmで2秒間回転させた後、連続して1200rpmで3秒間回転させた。塗布後、ホットプレート上で90℃、60秒間加熱乾燥(プリベーク)した。
(現像工程)
次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38%水溶液に120秒間浸漬し、その後、純水による水洗を120秒間行い、窒素ブローして乾燥させた。これにより、バンク形成用組成物を用いて形成された層を全面除去した。
(極性有機溶媒洗浄工程)
次に、極性有機溶媒としてエタノールを用いて、23℃、60秒間浸漬した。その後リンス処理として純水を10秒間の流水を行い、窒素ブローして乾燥させた。
(加熱工程)
最後に、上記極性有機溶媒洗浄工程を経た基板をホットプレート上で230℃、30分間加熱をおこなった。
この基板を真空蒸着装置のチャンバー内に設置した。チャンバーはロータリーポンプで粗引きした後、クライオポンプにて減圧した。真空度は1.0×10−4Paであった。基板には、所定の領域に、蒸着用マスクを配置し、チャンバーにはあらかじめ必要な蒸着材料をそれぞれ個別に、ヒーター線を巻いた坩堝に入れて配置しておいた。
(発光層の形成)
ホスト材料として下記式(viii)で表される4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)と、ドーパントとして下記式(ix)で表されるIr(ppy)を入れた各坩堝を同時にヒーター線で通電加熱して、正孔輸送層の上に共蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.0×10−4Pa、CBPの蒸着速度を0.6Å/s、Ir(ppy)の蒸着速度0.036Å/sとし、CBP:Ir(ppy)3=100:6、膜厚30nmの発光層を形成した。
Figure 0005540625
(正孔阻止層の形成)
下記式(x)で表されるBAlqを入れた坩堝をヒーター線で通電加熱し、発光層の上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.0×10−4Pa、蒸着速度1.0Å/sとし、正孔阻止層を膜厚10nmで形成した。
Figure 0005540625
(電子輸送層の形成)
Alq(8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体)を入れた坩堝をヒーター線で通電加熱し、正孔阻止層の上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度1.0×10−4Pa、蒸着速度1.5Å/sとし、電子輸送層を膜厚30nmで形成した。
(電子注入層の形成)
ここで、蒸着を行なった素子を一度真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して、電子輸送層の蒸着時と同様にして装置内の真空度が3.0×10−4Paになるまで排気した。
フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.05Å/秒、真空度3.0×10−4Paで、0.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜し、電子注入層とした
(陰極の形成)
アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度4Å/秒、真空度5.0×10−4Paで膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極を形成した。
(封止)
次に、真空蒸着装置を大気圧に戻し、蒸着を行なった基板を一度大気中に取り出し、窒素置換されたグローブボックスに移した。
窒素置換されたグローブボックス中では封止ガラス板の凹部に吸湿剤シートを貼り付け、封止ガラス板の凹部の周囲にUV硬化樹脂塗をディスペンサーにて塗布し、蒸着を行なった基板の蒸着部を封止ガラス板で密封するように密着させ、UVランプにてUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化させた。
以上の様にして、正孔輸送層の表面がバンク形成工程を経た後の、バンクにより区画された領域と同様の表面を有する有機電界発光素子を得た。
(素子評価)
この素子が1000cd/mで発光するときの電圧は8.0V、電流発光効率は15.3cd/Aであり、1辺2mmの正方形の発光領域がムラなく均一に発光することを確認した。
また、この素子に電流密度30mA/cmで連続通電して耐久性試験を行ったところ、素子の輝度が半減するまでの時間は75時間であった。
結果を表1に纏めた。
[比較例1]
実施例1において、極性有機溶媒洗浄工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。
(素子評価)
この素子が1000cd/mで発光するときの電圧は8.5V、電流発光効率は15.3cd/Aであり、1辺2mmの正方形の発光領域がムラなく均一に発光することを確認した。
また、この素子に電流密度30mA/cmで連続通電して耐久性試験を行ったところ、素子の輝度が半減するまでの時間は10時間であった。
結果を表1に纏めた。
[比較例2]
実施例1において、極性有機溶媒洗浄工程で用いたエタノールを非極性有機溶媒であるトルエンに変更した以外は、実施例2と同様にして素子を作製した。
(素子評価)
この素子が1000cd/mで発光するときの電圧は8.5V、電流発光効率は11.2cd/Aであり、1辺2mmの正方形の発光領域がムラなく均一に発光することを確認した。
また、この素子に電流密度30mA/cmで連続通電して耐久性試験を行ったところ、素子の輝度が半減するまでの時間は25時間であった。
結果を表1に纏める。
Figure 0005540625
表1に示すが如く、本発明の有機電界発光素子の製造方法で形成された有機電界発光素子の方が、駆動寿命が長いことが分かる。
[実施例2]
陽極から正孔輸送層の形成までは、実施例1と同様にして作製し、
バンク形成用組成物(C1)を下記の手順で調製したバンク形成用組成物(C2)に変更して下記の手順にて正孔輸送層表面をレジスト処理し、発光層として、下記の手順で調製した発光層形成用組成物(D1)を下記の手順にて成膜した以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。
(バンク形成用組成物の調製)
バンク形成用組成物(C2)の調製を次のように行った。
バインダー樹脂:前記式(iv)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子量4000)を48重量部、
エチレン性不飽和化合物:前記式(v)の構造を有する化合物を24重量部、
エチレン性不飽和化合物:下記式(xii)の構造を有する化合物を24重量部、
光重合開始剤:下記式(xiii)の構造を有する化合物を3重量部、
界面活性剤:前記式(vii)の構造を有する化合物を1.5重量部、
撥液剤:メガファックRS−102(大日本インキ化学工業社製、有効成分40wt%、溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK):シクロヘキサノン=75:25)を2.5重量部を、
溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、固形分濃度27重量%のバンク形成用組成物(C2)を調製した。
Figure 0005540625
(塗布工程・プリベーク工程)
次に、スピンコート法にてバンク形成用組成物(C2)を正孔輸送層上に塗布した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。スピン条件は、300rpmで2秒間回転させた後、連続して1200rpmで3秒間回転させた。塗布後、ホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥(プリベーク)した。
(現像工程)
次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38%水溶液に120秒間浸漬し、その後、純水による水洗を10秒間行い、窒素ブローして乾燥させた。これにより、バンク形成用組成物を用いて形成された層を全面除去した。
(極性有機溶媒洗浄工程)
次に、極性有機溶媒としてエタノールを用いて、23℃、10秒間浸漬した。その後リンス処理として純水にて10秒間の流水を行い、窒素ブローして乾燥させた。
(加熱工程)
最後に、上記極性有機溶媒洗浄工程を経た基板をホットプレート上で230℃、30分間加熱をおこなった。
(発光層形成用組成物(D1)の調製)
下記式(xvi)で表される化合物を50重量部、下記式(xvii)で表される化合物を50重量部、下記式(xviii)で表される化合物を5重量部を、溶媒として市販の脱水キシレン4095重量部に溶解させ、0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、発光層形成用組成物(D2)を調製した。発光層形成用組成物の調製は、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行った。
Figure 0005540625
(発光層成膜)
正孔輸送層上にバンクを形成した基板に、発光層形成用組成物(D1)を用いてスピンコート法にて発光層を形成した。スピンコートは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行い、スピン回転数は1500rpm、スピン時間は30秒とした。塗布後、ホットプレート上で130℃、1分間プレ乾燥した後、電極上の不要部分を拭き取り、次いで、ホットプレート上で130℃、1時間真空で加熱乾燥し、膜厚40nmの発光層を形成した。
(素子作製)
正孔阻止層から封止までは実施例1と同様にして有機電界発光阻止を作成した。
(素子評価)
この素子が1000cd/mで発光するときの電圧は11.6V、電流発光効率は11.2cd/Aであり、1辺2mmの正方形の発光領域がムラなく均一に発光すること
を確認した。
また、この素子に電流密度30mA/cmで連続通電して耐久性試験を行ったところ、素子の輝度が半減するまでの時間は190時間であった。
結果を表2に纏めた。
[比較例3]
実施例2において、極性有機溶媒洗浄工程を実施しなかった以外は、実施例2と同様にして素子を作製した。
(素子評価)
この素子が1000cd/mで発光するときの電圧は11.6V、電流発光効率は14.2cd/Aであり、1辺2mmの正方形の発光領域がムラなく均一に発光することを確認した。
また、この素子に電流密度30mA/cmで連続通電して耐久性試験を行ったところ、素子の輝度が半減するまでの時間は10時間であった。
結果を表2に纏めた。
Figure 0005540625
表2に示すが如く、本発明の有機電界発光素子の製造方法で製造された有機電界発光素子の方が、駆動寿命が長いことが分かる。
[実施の説明2]
次に、レジスト処理において現像工程と加熱工程の間に極性有機溶媒洗浄を行なった。
実施例3、4、および比較例4、5では、第一の有機層としての正孔輸送層上にバンクを形成し、有機電界発光素子を作製し評価した。
[実施例3]
実施例2において、フォトレジストの塗布工程・プリベーク工程と、現像工程の間に、次に記す露光工程を実施した以外は実施例2と同様にし、第一の有機層である正孔輸送層上に下記形状のバンクを形成し、バンク開口領域内の第一の有機層上に第二の有機層である発光層を形成した素子を作成し評価した。
(露光工程)
露光装置は、露光装置UX−1000SM−ACS01(ウシオ電機製)を用いた。
フォトマスクは、縦開口幅30μm、横開口幅50μm、パターンピッチは縦横とも300μmで格子状に遮光部を有するマスク、すなわち、縦マスク幅270μm、横マスク幅250μmのパターンが縦横とも300μmピッチで複数並んでいるパターンを用いた。基板とフォトマスクのギャップは100μmとした。
露光条件は120mJ/cm(@365nm)とした。
(バンク形状)
現像工程および加熱工程は実施例2と同様にしておこなった。これにより、バンク形成用組成物にて形成したバンクは、開口部が縦270μm、横250μmの長方形、縦のバンク幅が30μm、横のバンク幅が50μmであり、縦横に300μmピッチで並んでいる形状であった。
(素子評価)
この素子に通電し、バンク開口部が発光することを確認した。
また、この素子に電流密度30mA/cmで連続通電して耐久性試験を行ったところ、素子の輝度が半減するまでの時間は160時間であった。
(残渣観察)
バンク形成用組成物(C2)が現像工程、極性溶媒洗浄工程で除去され、加熱工程を経た正孔輸送層表面を、三次元非接触表面形状計測システムMicromap(菱化システム社製)を用いて観察を行った。観察条件は、対物レンズ50倍、Phaseモードで行ったところ、表面は平滑で残渣は確認されなかった。また上記三次元非接触表面形状計測システムで、Ra(算術平均粗さ)と最大高さ(高低差の最大値)を測定したところ、Ra=0.39nm、最大高さ=3.93nmであった。
結果を表3に纏めた。
[比較例4]
実施例3において、極性有機溶媒洗浄工程を実施しなかった以外は、実施例3と同様にしてバンクを形成した。正孔輸送層上にバンクを形成した基板に、発光層形成用組成物(D1)を用いてスピンコート法にて発光層を形成しようとしたところ、発光層形成用組成物(D1)がはじかれてバンク内に塗布成膜出来なかった。
(残渣観察)
バンク形成用組成物(C2)が現像工程、極性溶媒洗浄工程で除去され、加熱工程を経た正孔輸送層表面を実施例4と同様に観察したところ、表面に残渣が確認され、Ra=1.33nm、最大高さ=12.34nmであった。
この結果より、極性有機溶媒洗浄工程を行わなかったために、バンクで区画された領域内に撥液性を有するレジスト残渣が残っており、そのため発光層形成用組成物がはじかれて塗布できなかったと考えられる。
結果を表3に纏めた。
Figure 0005540625
表3に示すが如く、本発明の有機電界発光素子の製造方法で形成した有機電界発光素子の方が、発光層の塗布面が均一に作成されていることが分かる。
[実施例4]
正孔輸送層として、下記の手順で調製した正孔輸送層形成用組成物(B2)を用い、発光層として、下記の手順で調製した発光層形成用組成物(D2)を用いた以外は、実施例
3と同様にして素子を作製した。
(正孔輸送層形成用組成物の調製)
下記式(xi)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量95000)0.4重量%を、溶媒としてトルエンに溶解し、正孔輸送層用組成物を調製した。トルエンは市販の脱水トルエンを用い、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で正孔輸送層形成用組成物(B2)を調製した。
Figure 0005540625
(発光層形成用組成物の調製)
下記式(xiv)で表される化合物を10重量部、
下記式(xv)で表される化合物を1重量部を、
市販の脱水トルエン1470重量部に溶解させ、0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、発光層形成用組成物(D2)を調製した。発光層形成用組成物(D2)は、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行った。
Figure 0005540625
(素子評価)
この素子に通電し、バンク開口部が発光することを確認した。
また、この素子を、初期輝度2000cd/mとして、連続定電流通電して耐久性試験を行ったところ、素子の輝度が半減するまでの時間は150時間であった。
結果を表4に纏めた。
[比較例5]
実施例4において、極性有機溶媒洗浄工程を実施しなかった以外は、実施例4と同様にしてバンクを形成した。正孔輸送層上にバンクを形成した基板に、発光層形成用組成物(D2)を用いてスピンコート法にて発光層を形成しようとしたところ、発光層形成用組成物(D2)がはじかれてバンク内に塗布成膜出来なかった。
結果を表4に纏めた。
Figure 0005540625
表4に示すが如く、本発明の有機電界発光素子の製造方法で形成された有機電界発光素子は、発光面が均一であることが分かる。
[実施の説明3]
次に、レジスト処理において、現像工程では極性有機溶媒を含有する現像液を用い、現像工程と加熱工程の間で極性有機溶媒洗浄は行わなかった。
実施例5および比較例6では、第一の有機層としての正孔輸送層をレジスト処理した表面の観察を行った。
[実施例5]
(ガラス基板の調製)
まず、ガラス基板上を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。
(正孔注入層・正孔輸送層の形成)
次に、正孔注入層と正孔輸送層を実施例1と同様に、この順番で先のガラス基板上に形成した。
(バンク形成用組成物の調製)
次に、バンク形成用組成物溶液(C3)の調製を行った。
バインダー樹脂:前記式(iv)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子量4000)48重量部、
エチレン性不飽和化合物:前記式(v)の構造を有する化合物48重量部、
光重合開始剤:前記式(vi)の構造を有する化合物を3重量部、
光重合開始剤:前記式(vii)の構造を有する化合物1.5重量部、
界面活性剤:メガファックF475(大日本インキ化学工業社製)0.1重量部を
溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、固形分濃度37重量%のバンク形成用組成物(C3)を調製した。
(バンク形成用組成物処理された正孔輸送層の作製)
次に、紫外光をカットしたイエロールームにて、正孔注入層および正孔輸送層がこの順に積層成膜された基板に、以下の手順にてバンク形成用組成物(C3)にて正孔輸送層表面をレジスト処理した。
(塗布工程・プリベーク工程)
まず、スピンコート法にてバンク形成用組成物(C3)を塗布した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。スピン条件は、300rpmで2秒間回転させた後連続して700rpmで3秒間回転させた。塗布後、ホットプレート上で80℃60秒間加熱乾燥した。
(現像工程)
次に、現像液として、アルカリ性化合物としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を2.38wt%、極性有機溶媒としてエタノールを5wt%溶解させた水溶液を用いた。この現像液に120秒間浸漬した。その後、リンス処理として純水による水洗を10秒間行い、窒素ブローして乾燥させた。これにより、バンク形成用組成物を用いて形成された層を全面除去した。
(加熱工程)
最後に、上記現像工程を経た基板をホットプレート上で230℃、30分間加熱をおこなって、観察用サンプルを作製した。
(残渣観察)
次に、バンク形成用組成物処理された正孔輸送層表面を、実施例4同様に観察を行ったところ、表面は平滑で残渣は確認されなかった。また、Ra=0.42nm、最大高さ=8.84nmであった。
これより、本発明の第二における現像液を用いて現像することで、バンク形成用組成物の残渣が少ないことがわかる。
結果を表5に示す。
[比較例6]
現像液として、TMAHを2.38%溶解させた水溶液を用いた以外は、実施例5と同様にして観察用サンプルを作製した。
(残渣観察)
実施例5と同様にして、バンク形成用組成物処理された正孔輸送層表面を、三次元非接触表面形状計測システムMicromap(菱化システム社製)を用いて観測した。表面には残渣が島状に多数確認された。また、Ra=5.04nm、P−V=38.72nmであった。
結果を表5に示す。
Figure 0005540625
表5に示すが如く、本発明の有機電界発光素子の製造方法で製造された有機電界発光素子は、バンク形成用組成物処理された正孔輸送層表面は、平坦であることが分かる。
[実施の説明4]
次に、レジスト処理において、現像工程で極性有機溶媒を含有する現像液を用い、素子作製評価を行った。
実施例6では、第一の有機層としての正孔輸送層をレジスト処理してバンクは形成せず、実施例7、8、および比較例6では第一の有機層としての正孔輸送層上にバンクを形成し、有機電界発光素子を作製し評価した。
また、実施例6および7のレジスト処理においては、現像工程と加熱工程の間で極性有機溶媒洗浄を行った。
[実施例6]
(陽極の形成)
陽極の形成は、実施例1と同様にして形成した。
(正孔注入層の形成)
次に、正孔注入層形成用組成物の調製を行った。下記式(xix)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量60000)2重量%と、前記式(ii)であらわされる化合物0.4重量%を、溶媒として安息香酸エチルに溶解し、固形分濃度2.4重量%の正孔注入層形成用組成物(A2)を調製した。
Figure 0005540625
洗浄処理したITO基板上に、上記正孔注入層形成用組成物を用いてスピンコート法にて正孔注入層を形成した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行ない、スピン回転数は1500rpm、スピン時間は30秒とした。塗布後、ホットプレート上で80℃1分間加熱乾燥した後、オーブン大気中で230℃1時間ベークし、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
次に、正孔輸送層形成用組成物の調製を行った。前記式(xi)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量95000)1.4重量%を、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンに溶解し、正孔輸送層用組成物を調製した。シクロヘキシルベンゼンは市販品にモレキュラーシーブを入れて脱水し、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で正孔輸送層形成用組成物を調製した。
正孔注入層を塗布した基板を窒素グローブボックスに入れ、正孔注入層上に、上記正孔輸送層形成用組成物を用いてスピンコート法にて正孔注入層を形成した。スピン回転数は1500rpm、スピン時間は30秒とした。塗布後、ホットプレート上で230℃1時間ベークし、膜厚20nmの正孔輸送層を形成した。
正孔輸送層形成用組成物調製、スピンコート、ベークすべて、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露させずに行った。
(バンク形成用組成物の調製)
異なる2種のバンク形成用組成物を用いて、2層のバンクを形成した。
(バンク形成用組成物(C4)の調製)
バンク形成用組成物溶液(C4)の調製を行った。
ポリビニルピロリドン樹脂K−30(日本触媒社製)を75重量部、
ポリビニルピロリドン樹脂K−90(日本触媒社製)を25重量部、
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤BYK−330(ビックケミー社製、固形分濃度51%、メトキシプロピルアセテート)を0.2重量部を、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と、2−メトキシブタノール(MB)の8:2混合溶媒に溶解し、
固形分濃度0.5重量%のバンク形成用組成物C4)を調製した。
(バンク形成用組成物(C5)の調製)
まず、次のようにして、下記式(xxi)で表されるアルカリ可溶性樹脂を合成した。
プロピレングリコールモノメチルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)82重量部を滴下し、さらに140℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部と、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ、アルカリ可溶性樹脂(xxi)を得た。得られたアルカリ可溶性樹脂(xxi)の重量平均分子量は8000であった。
Figure 0005540625
次に、バンク形成用組成物溶液(C5)の調製を行った。
まず、バインダー樹脂:アルカリ可溶性樹脂(xxi)を48重量部、
エチレン性不飽和化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)を24重量部、
エチレン性不飽和化合物:前記式(xii)で表される化合物24重量部、
エチレン性不飽和化合物:下記式(xxii)で表される化合物を5重量部、
光重合開始剤:イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を1.5重量部、
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤:BYK−330(ビックケミー社製)を0.2重量部、
撥液剤:メガファックRS−102(大日本インキ化学工業社製)を1.63重量部を、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、固形分濃度25重量%のバンク形成用組成物溶液(C5)を調製した。
Figure 0005540625
(バンク形成用組成物処理された正孔輸送層の作製)
次に、紫外光をカットしたイエロールームにて、正孔注入層および正孔輸送層がこの順に積層成膜された基板に、まず、バンク形成用組成物(C4)を、スピンコート法にて塗布した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。スピン条件は、300rpmで2秒間回転させた後、連続して500rpmで30秒間回転させた。塗布後、ホットプレート上で80℃60秒間加熱乾燥した。
バンク形成用組成物(C4)を塗布した上に、さらにバンク形成用組成物(C5)を、スピンコート法にて塗布した。スピンコートは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。スピン条件は、300rpmで2秒間回転させた後、連続して650rpmで30秒間回転させた。塗布後、ホットプレート上で80℃60秒間加熱乾燥した。
このようにして、正孔輸送層上にバンク形成用組成物(C4)とバンク形成用組成物(C5)を積層成膜した。
(現像工程)
次に、アルカリ性化合物としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を0.48wt%、ノニオン系界面活性剤としてエマルゲンA−60(花王社製)を0.4wt%、極性有機溶媒としてエタノールを2wt%溶解させた水溶液を、現像液として用いた。
現像は、自動現像機(滝沢産業社製)を用いた。現像条件は、液温23℃、液圧0.1MPaにて30秒間、上記現像液を噴射して現像をおこなった。その後、リンス処理として液温23℃、液圧0.1MPaにて30秒間純水を噴射した。これにより、バンク形成用組成物を用いて形成された層を全面除去した。
(極性有機溶媒洗浄工程)
続いて、極性有機溶媒としてエタノールを用いて、液温23℃、液圧0.1MPaにて5秒間噴射して洗浄をおこなった。その後、リンス処理として液温23℃、液圧0.1MPaにて純水を30秒間噴射をおこない、窒素ブローにて乾燥させた。
(加熱工程)
最後に、上記局西友気宇溶媒洗浄工程を経た基板を窒素グローブボックスに入れ、窒素グローブボックス中のホットプレート上で230℃30分間加熱して、正孔輸送層表面をバンク形成用組成物で処理した。
窒素グローブボックスは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmであった。
(発光層の形成)
次に、発光層を塗布成膜するための発光層形成用組成物を調製した。
(発光層形成用組成物の調製)
前記式xivで表される化合物を100重量部、
前記式xvで表される化合物を10重量部を、
シクロヘキシルベンゼンに溶解させ、0.2μmのPTFEフィルターでろ過して3.1wt%の発光層形成用組成物(D3)を調製した。
シクロヘキシルベンゼンは市販品にモレキュラーシーブを入れて脱水し、発光層形成用組成物(D3)は、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で調製した。
(発光層成膜)
バンク形成用組成物を処理した正孔輸送層上に、発光層形成用組成物(D3)を用いてスピンコート法にて発光層を形成した。スピンコートは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行い、スピン回転数は1200rpm、スピン時間は30秒とした。塗布後、ホットプレート上で130℃1分間プレ乾燥した後、次いで、ホットプレート上で130℃1時間真空加熱して乾燥し、膜厚49nmの発光層を形成した。
この基板をグローブボックスに連結されている真空蒸着装置のチャンバー内に大気暴露させずに配置した。チャンバー内の真空度は、1.0×10−5Paであった。基板には、所定の領域に、蒸着用マスクを配置し、チャンバーにはあらかじめ必要な蒸着材料をそ
れぞれ個別に、ヒーター線を巻いた坩堝に入れて配置しておいた。
(正孔緩和層の形成)
まず、下記式(xxiii)で表される化合物を入れた坩堝をヒーター線で通電加熱し、発光層の上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は1.0×10−5Pa、蒸着速度1.0Å/sとし、正孔緩和層を膜厚10nmで形成した。
Figure 0005540625
(電子輸送層の形成)
次に、Alqを入れた坩堝をヒーター線で通電加熱し、第1の発光層の上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は1.0×10−5Pa、蒸着速度1.0Å/sとし、電子輸送層を膜厚30nmで形成した。
(陰極形成)
次に、基板を大気暴露させずに別の真空チャンバーに設置し、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように配置した。チャンバー内の真空度は1×10−5Paであった。陰極として、先ず、フッ化リチウム(LiF)を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、電子輸送層の上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は1.0×10−5Pa、蒸着速度0.05Å/sとし、膜厚0.5nmで成膜した。最後に、アルミニウムを入れたモリブデン製ボートを通電加熱して陰極を蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は5.0×10−5Pa、蒸着速度3.0Å/sとし、膜厚80nm成膜した。
(封止)
次に、基板を大気暴露させずに窒素置換されたグローブボックスに移した。窒素置換されたグローブボックス中では封止ガラス板の凹部に吸湿剤シートを貼り付け、封止ガラス板の凹部の周囲にUV硬化樹脂塗をディスペンサーにて塗布し、蒸着を行なった基板の蒸着部を封止ガラス板で密封するように密着させ、UVランプにてUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化させた。
以上の様にして、正孔輸送層上にバンク形成用組成物にて形成したバンクを有する有機電界発光素子を得た。
(素子発光確認)
この素子に通電したところ、均一な青色発光が得られた。この素子を1000cd/mで発光するときの電圧は7.4V、電流発光効率は5.0cd/Aであった。また、この素子の寿命試験を、初期輝度2000cd/mで定電流連続通電して実施したところ、輝度が半減するまでの時間は500時間であった。
結果を表6に纏めた。
以下、実施例7、8および、比較例7では、実際にバンクを有する有機電界発光素子を作製し、評価した。
[実施例7]
(陽極の形成〜フォトレジストの塗布・プリベーク)
陽極の形成〜フォトレジストの塗布・プリベーク工程までは、実施例6と同様にした。
(露光工程)
次に、露光を行なった。露光装置は、実施例3で使用したものと同じ装置を用いた。
フォトマスクは、縦横とも開口幅30μm、パターンピッチは縦横とも100μmで格子状に遮光部を有するマスク、すなわち、縦横のマスク幅70μm、バンク幅30μmで複数並んでいるパターンを用いた。基板とフォトマスクのギャップは100μmとした。露光条件は1200mJ/cm(@365nm)とした。
(現像工程・加熱工程)
現像工程および加熱工程は実施例6と同様にしておこなった。これにより、バンク形成用組成物にて形成したバンクは、開口部が1辺70μmの正方形、バンク幅が30μmで
、縦横に100μmピッチで並んでいるメッシュ状の形状であった。
(発光層の形成)
次に、バンクで区画された領域内に発光層を湿式成膜するための発光層形成用組成物を調製した。
(発光層形成用組成物の調製)
前記式xviで表される化合物を50重量部、
前記式xviiで表される化合物を50重量部、
前記式xviiiで表される化合物を5重量部を、
シクロヘキシルベンゼンに溶解させて0.5wt%の溶液とし、0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、発光層形成用組成物(D4)を調製した。
(発光層塗布成膜)
正孔輸送層上にバンクを形成した基板に、発光層形成用組成物(D4)を用いてインクジェット装置にて発光層を形成した。インクジェットは、25ノズルを同時に使用して、25×50の開口領域に、1開口領域あたり25plのインクを吐出して発光層を塗布した。
次に、発光層を塗布した基板を、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中に移し、グローブボックス中に設置した減圧ホットプレートにて、10kPa減圧下で130℃1時間乾燥し、膜厚25μmの発光層を形成した。
(正孔緩和層〜陰極)
次いで、基板を一度大気中に取り出し、蒸着装置にセットして、実施例6と同様にして、正孔緩和層、電子輸送層、陰極を形成後、封止して有機電界発光素子を作製した。
(素子発光確認)
この素子に通電し、バンク開口部が緑色発光することを確認した。
結果を表6に纏めた。
Figure 0005540625
[実施例8]
(陽極の形成、正孔注入層の形成)
陽極の形成〜正孔輸送層の形成までは、実施例6と同様にして形成した。
(バンク形成用組成物の調製)
次に、バンク形成用組成物溶液(C6)の調製を行った。
まず、バインダー樹脂:アルカリ可溶性樹脂(xxi)を48重量部、
エチレン性不飽和化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)を24重量部、
エチレン性不飽和化合物:前記式(xii)で表される化合物24重量部、
エチレン性不飽和化合物:下記式(xxii)で表される化合物を5重量部、
光重合開始剤:イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を1.5重量部、
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤:BYK−330(ビックケミー社製)を0.2重量部、
撥液剤:メガファックRS−102(大日本インキ化学工業社製)を0.65重量部を、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、固形分濃度25重量%のバンク形成用組成物溶液(C6)を調製した。
(バンク形成用組成物の成膜)
次に、実施例6において、バンク形成用組成物(C5)のかわりにバンク形成用組成物(C6)を用い、実施例6と同様にして、正孔輸送層上にバンク形成用組成物(C4)とバンク形成用組成物(C6)を積層成膜した。
(露光工程)
次に、露光を行なった。露光装置は、実施例3で使用したものと同じ装置を用いた。
フォトマスクは、縦横とも開口幅30μm、パターンピッチは縦横とも400μmで格子状に遮光部を有するマスク、すなわち、縦横のマスク幅370μm、バンク幅30μmで複数並んでいるパターンを用いた。基板とフォトマスクのギャップは100μmとした。露光条件は400mJ/cm(@365nm)とした。
(現像工程)
次に現像を行った。現像は、アルカリ性化合物としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を0.48wt%、極性有機溶媒としてエタノールを10wt%を純水に溶解させた現像液に30秒間浸漬して行ない、その後、純水による水洗を10秒間行い、窒素ブローして乾燥させた。
(加熱工程)
最後に、現像後の基板をクリーンオーブンに入れ、230℃30分間加熱した。これにより、開口部が1辺370μmの正方形、幅が30μm、高さが1.2μmで、縦横に4
00μmピッチで並んでいるメッシュ形状のバンクを形成した。
(発光層の形成)
次に、発光層を塗布成膜するための発光層形成用組成物を調製した。
(発光層形成用組成物の調製)
前記式(xvi)で表される化合物を25重量部、下記式(xxv)で表される化合物を75重量部、下記式(xxvi)で表される化合物を5重量部を、市販の脱水グレードのキシレン3370重量部に溶解させ、0.2μmのPTFEフィルターで不溶分をろ過して発光層形成用組成物(D5)を調製した。
発光層形成用組成物(D5)は、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で調製した。
Figure 0005540625
(発光層成膜)
バンクを形成した正孔輸送層上に、発光層形成用組成物(D5)を用いてスピンコート法にて発光層を形成した。スピンコートは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行い、スピン回転数は1500rpm、スピン時間は30秒とした。次いで、ホットプレート上で130℃1時間真空加熱して乾燥し、膜厚60nmの発光層を形成した。
(正孔緩和層〜陰極)
次いで、実施例6と同様にして、正孔緩和層、電子輸送層、陰極を形成後、封止して有機電界発光素子を作製した。
(素子発光観察)
この素子に通電したところ、2mm×2mm□内で、均一に全てのバンク開口部から緑色発光することを確認した。
結果を表7に纏めた。
[比較例7]
実施例8において、現像工程において、アルカリ性化合物としてテトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシド(TMAH)を0.48wt%純水に溶解させた現像液を用いた以外は実施例8と同様にして素子を作成した。
(素子発光観察)
この素子に通電したところ、2mm×2mm□内の複数のバンク開口部において、明るく発光している開口部と暗く発光している開口部があり、不均一に緑色発光した。
このことより、残渣が多いバンク開口部があったり、残渣が多いために発光層膜厚にムラができていると考えられる。
結果を表7に纏めた。
Figure 0005540625
表7に示すが如く、本発明の有機電界発光素子の製造方法で製造された有機電界発光素子は、発光面が均一であることが分かる。
本発明は、有機電界発光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 バンク
6 発光層
7 陰極
8 電子注入層
9 電子輸送層
10a〜10d 有機電界発光素子
11 電子阻止層

Claims (7)

  1. 第一の電極、および該第一の電極と対向するように形成された第二の電極を有し、該第一の電極および第二の電極の間に、正孔注入層または正孔輸送層である第一の有機層、該第一の有機層上にパターン状に形成されたバンクと、該バンクにより区画された領域内に形成された発光層である第二の有機層とを有する有機電界発光素子の製造方法において、該バンクを形成するための組成物がフォトレジストであり、該バンクを形成する工程中に現像工程と加熱工程を有し、該現像工程と該加熱工程の間に、極性有機溶媒で洗浄する工程を有することを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法。
  2. 前記極性有機溶媒が、分子内に酸素原子を含む化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. バンクを形成した後の、バンクによって区画された領域の第一の有機層表面のRa(算術平均粗さ)が、1.0nm以下および/または最大高さ(高低差の最大値)が10nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 第一の有機層および/または第二の有機層が、湿式成膜法で形成されることを特徴とする、請求項1乃至の何れか一項に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  5. 請求項1乃至の何れか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、有機電界発光素子。
  6. 請求項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
  7. 請求項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL照明。
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