JP2008266262A - ビスアントラセン系化合物の製造方法、ビスアントラセン系化合物、ビスアントラセン系化合物の誘導体、及びその組成物、有機電界発光素子、並びに、発光表示装置。 - Google Patents

ビスアントラセン系化合物の製造方法、ビスアントラセン系化合物、ビスアントラセン系化合物の誘導体、及びその組成物、有機電界発光素子、並びに、発光表示装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】アントラキノン系化合物を出発原料として、ビスアントラセン系化合物を製造するにあたり、少ない工程数で、かつ、高収率でビスアントラセン系化合物を製造できる方法を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と、下記式(2)で表わされるアントラキノン系化合物とを反応させて、下記式(3)で表わされるビスアントラセン系化合物を製造する方法において、亜鉛含有物質の存在下で反応させる。
Figure 2008266262

(式(1)〜式(3)中、R1、R2、は置換基を表わし、m、nは0から8の整数を表わす。ただし、R1はビスアントラセン骨格の10位には置換されない。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ビスアントラセン系化合物の製造方法に関する。
ビスアントラセンは、発光材料やその原料として有用である。ビスアントラセンを製造方法として、従来、アントラキノン化合物を出発原料とし、酢酸還流下、金属スズを添加し、還元反応によりビスアトラセン化合物を得る方法が知られていた。しかし、この方法は、収率や純度が低く、精製工程を経なければ十分な純度のビスアントラセン化合物が得られず、工業的には不利であった(非特許文献1)。
また、アントラキノン化合物を出発原料とし、上記の還元反応と、2量化反応と、酸化反応と、還元反応とを逐次行なう方法も知られていた。しかし、この方法は、工程数が多く、操作が煩雑で、工業的には不利であった(非特許文献2)。
その他の方法として、アントラセン化合物を出発原料とし、硝酸による2量化反応と、金属スズによる還元反応と、亜鉛粉による還元反応を逐次行なう方法も知られていた。しかし、この方法も、工程数が多く、操作が煩雑で、工業的には不利であった(非特許文献3)。
Journal of the Chemical Society(1949年)、267ページ Chemische Berichte(1993年)、126巻、1217ページ Journal of the Chemical Society(1923年)、123巻、390ページ
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、アントラキノン系化合物を出発原料として、ビスアントラセン系化合物を製造するにあたり、少ない工程数で、かつ、高収率でビスアントラセン系化合物を製造できる方法を提供することである。
本発明者らが鋭意検討した結果、アントラキノン系化合物を反応させる際に、亜鉛含有物質を存在させることにより、少ない工程数で、かつ、高収率でビスアントラセン系化合物を製造できることができることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と、下記式(2)で表わされるアントラキノン系化合物とを反応させて、下記式(3)で表わされるビスアントラセン系化合物を製造する方法において、亜鉛含有物質の存在下で反応させることを特徴とする、ビスアントラセン系化合物の製造方法に存する。
Figure 2008266262
(式(1)中、R1は置換基を表わし、nは0から8の整数を表わす。nが2以上の場合、R1は同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2008266262
(式(2)中、R2は置換基を表わし、mは0から8の整数を表わす。mが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2008266262
(式(3)中、R1は置換基を表わし、nは0から8の整数を表わす。ただし、R1はビスアントラセン骨格の10位には置換されない。nが2以上の場合、R1は同一であっても異なっていてもよい。また、R2は置換基を表わし、mは0から8の整数を表わす。ただし、R2はビスアントラセン骨格の10’位には置換されない。mが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の別の要旨としては、上記のビスアントラセン系化合物の製造方法により、製造されたことを特徴とする、ビスアントラセン系化合物に存する。
本発明の別の要旨としては、上記のビスアントラセン系化合物を、中間体として用いて製造されたことを特徴とする、ビスアントラセン系化合物の誘導体に存する。
本発明の別の要旨としては、上記のビスアントラセン系化合物を含有することを特徴とする、組成物に存する。
本発明の別の要旨としては、上記のビスアントラセン系化合物の誘導体を含有することを特徴とする、組成物に存する。
本発明の別の要旨としては、陽極、有機層および陰極を有する有機電界発光素子であって、該有機層に上記のビスアントラセン系化合物を含有することを特徴とする、有機電界発光素子に存する。
本発明の別の要旨としては、陽極、有機層および陰極を有する有機電界発光素子であって、該有機層に上記のビスアントラセン系化合物の誘導体を含有することを特徴とする、有機電界発光素子に存する。
本発明の別の要旨としては、上記の有機電界発光素子を備えることを特徴とする、発光表示装置に存する。
本発明のビスアントラセン系化合物の製造方法によれば、アントラキノン系化合物から、少ない工程、特に一段反応で、かつ、高収率にビスアントラセン系化合物を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々に変更して実施することができる。
本発明は、下記式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と、下記式(2)で表わされるアントラキノン系化合物とを(以下、特に断りがない限り、これらのアントラキノン系化合物を、「本発明のアントラキノン系化合物」と総称する。)、亜鉛含有物質の存在下で反応させて、下記式(3)で表わされるビスアントラセン系化合物(以下、「本発明のビスアントラセン系化合物」という。)を製造する方法(以下、適宜「本発明の製造方法」という。)である。本発明の製造方法は、上記の条件を満たせば、本発明の効果を著しく損なわない限り他に制限はなく、他の工程を有していてもよい。
以下、本発明のアントラキノン系化合物、本発明のビスアントラセン系化合物について説明した後、本発明の製造方法について説明する。
Figure 2008266262
(式(1)中、R1は置換基を表わし、nは0から8の整数を表わす。nが2以上の場合、R1は同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2008266262
(式(2)中、R2は置換基を表わし、mは0から8の整数を表わす。mが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2008266262
(式(3)中、R1は置換基を表わし、nは0から8の整数を表わす。ただし、R1はビスアントラセン骨格の10位には置換されない。nが2以上の場合、R1は同一であっても異なっていてもよい。また、R2は置換基を表わし、mは0から8の整数を表わす。ただし、R2はビスアントラセン骨格の10’位には置換されない。mが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい。)
[I−1.アントラキノン系化合物]
<I−1−1.式(1)で表わされるアントラキノン系化合物>
式(1)で表わされるアントラキノン系化合物は、式(1)に示す構造を有していれば、他に制限はない。以下、その構造について詳述する。
(R1について)
式(1)中、R1はアントラキノン系化合物における、置換基を表わしている。R1に示される置換基の具体例としては、有機基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、ホスホノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、等が挙げられる。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、等が挙げられる。
有機基の具体例としては、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールオキシカルボニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1以上、8以下の直鎖又は分岐鎖が好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2以上、9以下が好ましい。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2以上、9以下が好ましい。具体例としては、エチニル基、プロパルギル基、等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上、15以下が好ましい。具体例としては、ベンジル基、等が挙げられる。
アシル基としては、炭素数2以上、10以下が好ましい。具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2以上、10以下が好ましい。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数2以上、10以下が好ましい。具体例としては、フェニルオキシカルボニル基、等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1以上、8以下が好ましい。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1以上、8以下が好ましい。具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6以上、15以下が好ましい。具体例としては、フェノキシ基、ナフトキシ基、等が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数6以上、15以下が好ましい。具体例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、5員環又は6員環の単環、若しくは、それらの単環が2以上、5以下縮合した縮合環に由来する、1価の基が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、等に由来の基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、5員環又は6員環の単環、若しくは、それらの単環が2以上、4以下縮合した縮合環に由来する、1価の基が挙げられる。具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、等に由来の基が挙げられる。
上記の有機基は、更に置換基を有していてもよい。その様な置換基の具体例としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基を含むアリールオキシ基、炭素数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有するアルキルアミノ基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基、炭素数1以上6以下のアルキルチオ基、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基を有するアリールチオ基、炭素数2以上20以下のアシル基、等が挙げられる。
これらの置換基は1つを単独で有していてもよく、複数を任意の組み合わせ、及び比率で有してもよい。
(nについて)
式(1)中、nはアントラキノン系化合物における、置換基R1の数を表わしている。nは、0以上9以下の整数であり、好ましくは1以上、また、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。nが大きすぎると、反応混合物の組成が複雑になりすぎる傾向がある。
nが0の場合、アントラキノン系化合物が置換基R1を備えていないことを表わす。また、nが2以上の場合、ビスアントラセン系化合物一分子中に存在する、複数の置換基R1は、同一の置換基であってもよいし、異なる置換基が任意の割合及び比率で存在していてもよい。
(R1の置換位置)
式(1)に表わされるアントラキノン系化合物における、R1の置換位置は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、好ましくは、アントラキノン環の1位の1置換、2位の1置換、1位と4位の2置換、1位と5位の2置換、1位と8位の2置換、2位と3位の2置換、2位と6位の2置換である。中でも、1位の1置換、2位と3位の2置換が好ましい。
(分子量)
式(1)に表わされるアントラキノン系化合物の分子量は、通常208以上、また、通常1000以下、好ましくは500以下、さらに好ましくは400以下である。この範囲を上回るとビスアントラセン系化合物の昇華法による精製が困難になる傾向がある。
(好ましいアントラキノン系化合物の例)
アントラキノン系化合物の好ましい例としては、ヒドロキシアントラキノン、アミノアントラキノン、アントラキノンスルホン酸、ハロゲン化アントラキノン、ニトロアントラキノン、(置換)アルキルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸、等のアントラキノン化合物が挙げられる。さらに具体例としては、以下に例示するアントラキノン系化合物が挙げられる。
Figure 2008266262
Figure 2008266262
Figure 2008266262
Figure 2008266262
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<I−1−2.式(2)で表わされるアントラキノン系化合物>
式(2)で表わされるアントラキノン系化合物について説明する。
式(2)中、R2は置換基を表わしている。R2に示される置換基の具体例としては、上記のR1と同様である。また、式(2)に示すアントラキノン系化合物における、R2の置換位置も、上記のR1と同様である。
次に、式(2)中、mはアントラキノン系化合物における、置換基R2の数を表わしている。mの値、及びその好ましい範囲はnと同様である。
さらに、式(2)に示すアントラキノン系化合物の分子量の値、及び好ましい範囲は、式(1)に示すアントラキノン系化合物と同様である。
すなわち、式(2)で表わされるアントラキノン系化合物は、式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と同じものでもよく、また、上記条件を満たしていれば、異なるものでもよい。なお、式(2)で表わされるアントラキノン系化合物の好ましい例も、式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と同様である。
<I−1−3.アントラキノン系化合物の入手方法>
本発明のアントラキノン系化合物は、公知の何れの方法で得ることができる。例えば、公知の何れのアントラキノン系化合物の合成方法によって合成してもよいし、試薬や工業原料として入手可能なものを利用してもよい。
例えば、細田豊著「染料化学」(技報堂)に記載の方法で合成することができる。
[I−2.ビスアントラセン系化合物]
本発明のビスアントラセン系化合物は、式(3)に示す構造を有していれば、他に制限はない。以下、その構造について詳述する。
式(3)で表わされる本発明のビスアントラセン系化合物は、式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と、式(2)で表わされるアントラキノン系化合物とが、9,9’位にて単結合により2量化し、更に10,10’位が水素に還元された構造を有する化合物である。
従って、式(3)の式のうち、式(1)及び式(2)と同じ部分に関しては、同じ符号で示されている。即ち、R1とR2の具体例、及びその置換位置、並びに、nとmの数値、及びその好ましい範囲は、式(1)及び式(2)で表わされるアントラキノン系化合物と同じである。
本発明のビスアントラセン系化合物の分子量は、通常358以上、また、通常2000以下、好ましくは1000以下、さらに好ましくは750以下である。分子量が大きすぎると昇華法による精製が困難になる傾向がある。また、小さすぎるとガラス転移点が低くなりすぎる可能性がある。
本発明のビスアントラセン系化合物の具体例としては、以下に示されるアントラセン環のうち、任意の2つの環の結合手同士が単結合した化合物が挙げられる。なお、任意の2つの環とは、同じ環を2つ選択してもよいし、異なる環を選択してもよい。
Figure 2008266262
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上記具体例の中でも、特に好ましいものとしては、以下の例が挙げられる。
Figure 2008266262
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[I−3.亜鉛含有物質]
亜鉛含有物質とは、亜鉛単体、若しくは亜鉛を含有している化合物をいう。本発明の製造方法において、その形状などには制限はなく、例えば、亜鉛フォイル、亜鉛塊、亜鉛粒、亜鉛粉、棒状、ワイヤー状など任意の形態を有していてよい。ただし、アントラキノン系化合物との接触面積がなるべく大きい方が好ましいので、亜鉛粒や亜鉛粉がより好ましい。
亜鉛フォイルの場合、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、厚みが好ましくは0.25mm以上1mm以下である。
亜鉛塊の場合、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、好ましくは2メッシュ以上14メッシュ以下である。
亜鉛粒の場合、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、好ましくは30メッシュ以上100メッシュ以下である。
亜鉛粉の場合、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、好ましくは粒径150ミクロン以下である。
[I−4.本発明の製造方法]
本発明の製造方法について説明する。ただし、以下の説明は、本発明の製造方法の一例を示したに過ぎず、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意に変更して行なうことが出来る。
(反応組成物の調整)
まず、式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と、亜鉛含有物質と、必要に応じて溶剤とを混合した組成物(以下、適宜「反応組成物」という)を調製する。
アントラキノン系化合物は、1種を単独で混合してもよく、また2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で混合してもよい。
また、亜鉛含有物質も同様に、1種を単独で混合してもよく、また2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で混合してもよい。
反応組成物に用いることの出来る溶剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。その具体例としては、酢酸、エタノール、水等のプロトン性溶剤;トルエンやクロロベンゼン等の非プロトン性溶剤;等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
反応組成物に対するアントラキノン系化合物の重量比は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、反応組成物を100とすると、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。重量比がこの範囲を上回ると増粘により撹拌しにくくなる傾向がある。また、下回ると生産性が低くなる傾向がある。
反応組成物に対する亜鉛含有物質の重量比は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、反応組成物を100とすると、通常1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上、また、通常20以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。重量比がこの範囲を上回ると増粘により撹拌しにくくなる傾向がある。また、下回ると生産性が低くなる傾向がある。なお、亜鉛含有物質は、アントラキノン系化合物、及び溶剤と接触していれば制限はなく、溶剤への溶解や懸濁を要しない。ただし、ビスアントラセン系化合物との接触面積が大きいほど好ましいため、溶剤に溶解や懸濁させることが好ましい。
反応組成物における、アントラキノン系化合物と亜鉛含有物質との存在比(モル比)は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、アントラキノン系化合物を1とすると、亜鉛含有物質が通常2以上、好ましくは3以上、また、通常8以下、好ましくは6以下である。この範囲を上回ると、過反応等の副反応が起こる傾向がある。また、下回ると反応が完結しない可能性がある。
(強酸加熱処理)
反応組成物を用意した後、この反応組成物を所定の反応条件下におき、アントラキノン系化合物を反応させる。この際、通常は反応組成物を強酸の存在下で加熱する強酸加熱処理を行なうことが好ましい。また、強酸加熱処理は、還流させることが好ましい。
強酸加熱処理とは、具体的には、加熱・還流下において、反応組成物と、強酸とを混合する処理(以下、適宜「強酸加熱処理」という。)を行なうことをいう。強酸加熱処理は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法を行なうことができるが、以下の方法で行なうことが好ましい。
加熱・還流の方法は、公知の何れの方法で行なうことが出来る。加熱の方法としては、例えば、油浴、水浴、蒸気ジャケット等を用いて行なうことができる。加熱を行なうときには、適宜撹拌を行なってもよい。また、還流に用いる冷却装置としては、空冷管、ジムロート冷却管、リービッヒ冷却管等、を用いることができる。
強酸加熱処理の雰囲気は反応が進行する限り任意であり、例えば大気雰囲気下で行なってもよいし、加熱・還流前に不活性ガスで気相を置換してから行なってもよい。不活性ガスとしては、窒素;アルゴン等の希ガス類;等が挙げられる。これらの不活性ガスは1つを単独で用いてもよく、また2つ以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
強酸加熱処理における加熱温度は、反応が進行する限り任意であるが、通常80℃以上、好ましくは90℃以上、また、通常120℃以下、好ましくは110℃以下である。なお、加熱温度は強酸加熱処理の間、一定に保ってもよく、適宜温度を調節してもよい。
強酸加熱処理における加熱時間は、反応が進行する限り任意であるが、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、また、通常10時間以下、好ましくは6時間以下、さらに好ましくは4時間以下である。この範囲を上回ると過反応等の副反応がおこる可能性がある。また、下回ると反応が完結しにくくなる傾向がある。
強酸加熱処理に用いる強酸としては、反応が進行する限り任意であるが、具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。中でも塩酸が好ましい。また、反応組成物と混合するときは、濃塩酸を混合することが好ましい。
また、これらの酸は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
強酸と反応組成物中のアントラキノン系化合物との混合比(モル比)は、アントラキノン系化合物を1とすると、強酸が通常4以上、好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、さらに好ましくは12以下である。なお、強酸は、全量を一度に反応組成物と混合させるのではなく、強酸加熱処理の時間を通じて、少しずつ混合させることが好ましい。その方が安全に混合できるためである。
なお、強酸加熱処理を反応組成物に対して施すことによって、以下式(4)で示される反応が生じているものと推測される。
Figure 2008266262
(式(4)中、R1は置換基を表わし、nは0から8の整数を表わす。ただし、R1はビスアントラセン骨格の10位には置換されない。nが2以上の場合、R1は同一であっても異なっていてもよい。また、R2は置換基を表わし、mは0から8の整数を表わす。ただし、R2はビスアントラセン骨格の10’位には置換されない。mが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい。Zncat.は、亜鉛含有物質を表わす。)
上記式(4)は、反応組成物中に存在する任意の2つのアントラキノン系化合物を反応させ、1つのビスアントラセン系化合物に変換する反応過程を示した式である。
式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と、式(2)で表わされるアントラキノン系化合物とは、同一のアントラキノン系化合物でもよく、異なったアントラキノン系化合物でもよい。即ち、反応組成物中に2種以上のアントラキノン系化合物が存在する場合、その中から任意の2つのアントラキノン系化合物が組み合わされて、ビスアントラセン系化合物が合成される。従って、上記反応で生成するビスアントラセン系化合物の種類は、アントラキノン系化合物の組み合わせの数だけ存在する。
強酸加熱処理は、上記の反応が終了していることを確認するまで行なうことが好ましい。反応終了の確認は、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等により、出発原料であるアントラキノン系化合物が消失したことを確認する。
なお、未反応のアントラキノン系化合物が存在する場合には、反応組成物に亜鉛含有物質または強酸を再度混合して完全に反応を終了させることが好ましい。なお、このとき加える亜鉛含有物質の混合量は、原料消失に足る量であればよい。
なお、上記反応の反応率は、通常90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。ただし、強酸加熱処理は、上記の反応終了の確認方法で検出限界まで反応が進行していれば足りる。
(濾過洗浄処理)
反応組成物を強酸加熱処理した後、必要に応じて精製を行なう。精製は通常、放冷、静置等により、亜鉛含有物質の残渣を沈降させ、上澄み部分の懸濁液をろ過する。ろ過して得られた粗生成物を洗浄し、本発明のビスアントラセン系化合物を得る。以下、これらの工程を濾過洗浄処理という。
濾過の方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、例えば、自然濾過漏斗、吸引漏斗、汎用の固液分離装置等、何れの方法を用いてもよい。
粗生成物の洗浄方法は、次の工程の内容や、得られたビスアントラセン系化合物に求められる純度により、任意に選択することができる。
洗浄方法として、例えば、弱アルカリ水溶液と、水と、水溶性有機溶媒とを用いて、順次洗浄することが好ましい。弱アルカリ水溶液は、強酸加熱処理で用いた酸を中和することができる。また、水は、該中和により副生する無機塩を除去することができる。さらに水溶性有機溶媒は、反応組成物中に残存する微量の有機不純物を溶解除去し、さらに粗生成物の結晶中の水と置換して、乾燥をより容易に行なわせることができる。このような水溶性有機溶媒としては、アセトン類やアルコール類等が好ましい。なお、水溶性有機溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で混合したものを用いてもよい。また、混合せずに、それぞれの水溶性有機溶媒をもちいて順次洗浄してもよい。
なお、洗浄の回数は、系の大きさや、求められる有機純度や無機純度に応じ任意に定めればよい。
(乾燥処理)
粗生成物に対して濾過洗浄工程を経て生成物を得た後、該生成物を乾燥させることが好ましい。乾燥方法としては、通常40℃以上、また、通常120℃以下、好ましくは100℃以下で、常圧あるいは減圧下、乾燥することが好ましい。ただし、次の工程の内容によっては、乾燥工程を省略してもよい。
(収率・純度)
本発明の製造方法によれば、その収率は通常90%以上である。なお、収率は高いほど好ましく、具体的には93%以上が好ましく、96%以上がさらに好ましく、100%に近い方が好ましいが、本発明の製造方法においては通常99%以下である。
また、本発明の製造方法によれば、通常純度95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上のビスアントラセン系化合物を得ることができる。
これらのことから、本発明の製造方法によれば、アントラキノン系化合物と亜鉛含有物質とを作用させることにより、還元反応と2量化反応とを、一浴で行なうことができ、少ない工程数、特に一段工程でビスアントラセン系化合物を製造することができる。
(その他)
本発明の製造方法は、上述の方法に制限されない。例えば、本発明の製造方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り、バッチ方式、フロー方式など、任意の方法をとることができる。また、亜鉛含有物質存在下で、アントラキノン系化合物からビスアントラセン系化合物が生成すれば、強酸加熱処理以外の処理を行なってもよい。また、精製の方法も制限はなく、上述した濾過洗浄処理以外の方法を用いてもよい。さらに、上述した処理以外の処理を施してもよい。
[I−5.ビスアントラセン系化合物の誘導体]
本発明の製造方法で得られたビスアントラセン系化合物は、そのままを使用してもよいし、このビスアントラセン系化合物を中間体として用いて、さらに置換基などを有する誘導体を製造して用いてもよい。
ビスアントラセン系化合物を中間体として用いて、さらに置換基などを有する誘導体を製造する方法の具体例としては、以下の反応を挙げることができる。
式(3)で表わされるビスアントラセン系化合物が水酸基を有する場合は、公知のアルキル化試薬、アリール化試薬、助剤等を用いて、アルコキシ化合物やアリールオキシ化合物に誘導することができる。
式(3)で表わされるビスアントラセン系化合物がアミノ基を有する場合は、公知のアルキル化試薬、アリール化試薬、助剤等を用いて、アルキルアミノ化合物やアリールアミノ化合物に誘導することができる。
式(3)で表わされるビスアントラセン系化合物がハロゲン原子を有する場合や、ハロゲン化によりハロゲン原子が導入された場合は、ホウ素酸化合物と助剤等を用いて、更にアリール基が導入された化合物に誘導することができる。
このようなビスアントラセン系化合物の誘導体の例としては、10位と10’位の少なくとも何れかが更に置換基を有していてもよいアリール基で置換されたビスアントラセン化合物誘導体;2位、3位、6位、7位、2’位、3’位、6’位、7’位の少なくとも何れかが、更に置換基を有していてもよいアルキル基、更に置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、更に置換基を有していてもよいアリール基、更に置換基を有していてもよいアリールオキシ基、更に置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は更に置換基を有していてもよいアミノ基等で置換された、ビスアントラセン化合物誘導体;1位、4位、5位、8位、1’位、4’位、5’位、8’位の少なくとも何れかが、更に置換基を有していてもよいアルキル基、更に置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、更に置換基を有していてもよいアリール基、更に置換基を有していてもよいアリールオキシ基等、更に置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は更に置換基を有していてもよいアミノ基で置換された、ビスアントラセン化合物誘導体;等が挙げられる。
なお、上記の例示された置換基に更に有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、炭素数6以上12以下のアリールオキシ基、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよいアミノ基等が挙げられる。
このようなビスアントラセン系化合物の誘導体の例としては、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2008266262
Figure 2008266262
[I−6.ビスアントラセン系化合物またはビスアントラセン系化合物の誘導体を含有する組成物]
ビスアントラセン系化合物、又はビスアントラセン系化合物の誘導体は、その用途に制限はない。具体例としては、有機電界発光素子(以下、適宜「有機EL素子」ということがある。)の発光層に好適に用いることが出来る。
本発明のビスアントラセン系化合物、又は本発明のビスアントラセン系化合物の誘導体を発光層に用いる場合は、塗布法を用いて発光層を形成することが好ましい。塗布法を行なうためには、本発明のビスアントラセン系化合物、又は本発明のビスアントラセン系化合物の誘導体を溶剤に溶解して、これらを含有する組成物(以下、適宜「塗布用組成物」ということがある。)を調製することが望ましい。なお、ビスアントラセン系化合物、又はビスアントラセン系化合物の誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
塗布用組成物について、以下具体的に説明する。
塗布用組成物は、本発明のビスアントラセン系化合物、又はビスアントラセン系化合物を、溶剤に溶解することによって得られる。また、このほかに、他の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物、界面活性剤、結晶化阻害剤等を塗布用組成物に含有させてもよい。
塗布用組成物に用いることができる溶剤としては、発光層としての機能を著しく損なわない限り制限はない。
例えば、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;シクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン、シクロオクタノン等の脂環を有するケトン;メチルエチルケトン、ジブチルケトン、フェンコン等の脂肪族ケトン;メチルエチルケトン、シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環を有するアルコール;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル等が挙げられる。
これらの中でも、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素が好ましい。水への溶解度が低く、また、容易には変質しないためである。
これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
塗布用組成物に含有させることができる他の発光材料としては、後述する蛍光発光材料や燐光発光材料等が挙げられる。
これらの発光材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
塗布用組成物に含有させることができる正孔輸送性化合物、及び電子輸送性化合物の具体例としては、後述の正孔輸送性化合物、及び電子輸送性化合物が挙げられる。
界面活性剤は、塗布法を行なう際に塗布性が向上するため含有させることが好ましい。このような塗布用組成物に含有させることができる界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。中でもシリコーン系界面活性剤、またはフッ素系界面活性剤が好ましい。少量の添加で塗布性が向上するためである。
これらの界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
結晶阻害剤は、有機電界発光素子を駆動させる時の経時的結晶化を防止するため含有させることが好ましい。このような塗布用組成物に含有させることができる結晶阻害剤としては、特開2000−208264号公報に記載されているような化合物を用いることが好ましい。
これらの結晶阻害剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
塗布用組成物中のビスアントラセン系化合物、又はビスアントラセン系化合物の誘導体の濃度としては、通常0.001mol/L以上、好ましくは0.002mol/L以上、さらに好ましくは0.005mol/L以上、また、通常1mol/L以下、好ましくは0.5mol/L以下、さらに好ましくは0.25mol/L以下である。この範囲を上回ると増粘し塗布性を損なったり、析出しやすくなったりする傾向がある。また、下回ると粘度が低すぎて塗布性を損なう可能性や、所望の膜厚を得られない可能性がある。
[II.有機電界発光素子]
本発明のビスアントラセン系化合物、及びビスアントラセン系化合物の誘導体は、発光材料として優れた性能を有する。従って、これらは、例えば有機EL素子等の発光素子に用いて好適である。本発明のビスアントラセン系化合物、及びその誘導体を有機EL素子に用いる場合、それらの少なくとも一種が、有機EL素子の有機層のうち少なくとも一層に含まれていればよい。以下、この態様につき、例を示して説明する。
〔II−1.有機電界発光素子の構成〕
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子の層構成を模式的に示す断面図である。図1(a)に示す有機電界発光素子1は、基板2の上に、陽極3、正孔注入層4、有機発光層5、電子注入層6及び陰極7を、この順に積層することにより構成される。
〔II−2.基板〕
基板2は、有機電界発光素子1の支持体となるものである。
基板2の材料は制限されないが、例としては、石英、ガラス、金属、プラスチック等が挙げられる。これらの材料は何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
基板2の形状も制限されないが、例としては、板、シート、フィルム、箔等、或いはこれらの二種以上を組み合わせた形状等が挙げられる。
中でも、基板2としては、ガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。
なお、基板2の材料として合成樹脂を使用する場合には、ガスバリア性に留意することが望ましい。基板2のガスバリア性が低過ぎると、基板2を通過した外気により、有機電界発光素子1が劣化する場合がある。よって、合成樹脂からなる基板2の少なくとも片面に、緻密なシリコーン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する、等の手法を講じることが好ましい。
基板2の厚さは制限されないが、通常1μm以上、好ましくは50μm以上、また、通常50mm以下、好ましくは3mm以下の範囲が望ましい。基板2が薄過ぎると機械的強度が低くなる場合があり、厚過ぎると素子の重量が増加し過ぎる場合がある。
なお、基板2は単一の層からなる構成としてもよいが、複数の層が積層された構成としてもよい。後者の場合、複数の層は同一の材料からなる層であってもよいが、異なる材料からなる層であってもよい。
〔II−3.陽極〕
基板2の上には、陽極3が形成される。
陽極3は、後述する有機発光層5側の層(正孔注入層4又は有機発光層5等)への正孔注入の役割を果たすものである。
陽極3の材料は、導電性を有する材料であれば任意であるが、例としては、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等が挙げられる。
これらの陽極3の材料は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陽極3を形成する手法は制限されないが、通常はスパッタリング法、真空蒸着法等が用いられる。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の金属ハロゲン化物の微粒子、カーボンブラック等の炭素材料の微粒子、導電性金属酸化物の微粒子、導電性高分子の微粉末等の材料を用いる場合には、これらの材料を適当なバインダー樹脂溶液に分散させ、基板2上に塗布することにより、陽極3を形成することもできる。
更に、導電性高分子を材料として用いる場合は、電解重合により基板2上に直接、薄膜を形成したり、基板2上に導電性高分子を塗布したりする等の手法により、陽極3を形成することもできる(Applied Physics Letters,1992年,Vol.60,pp.2711参照)。
陽極3の厚みは、陽極3に求められる透明性により異なる。
陽極3に透明性が求められる場合は、陽極3による可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極3の厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲が望ましい。陽極3が薄過ぎると電気抵抗が大きくなる場合があり、厚過ぎると透明性が低下する場合がある。
一方、陽極3が不透明でよい場合、例えば、陽極3が基板2を兼ねる場合、陽極3の厚さは基板2と同様、通常1μm以上、好ましくは50μm以上、また、通常50mm以下、好ましくは30mm以下の範囲が望ましい。陽極3が薄過ぎると機械的強度が低くなる場合があり、厚過ぎると素子の重量が増加し過ぎる場合がある。
なお、陽極3は単一の層からなる構成としてもよいが、複数の層が積層された構成としてもよい。後者の場合、複数の層は同一の材料からなる層であってもよいが、異なる材料からなる層であってもよい。
更には、陽極3を上述の基板2と一体に形成し、陽極3が基板2を兼ねる構成としてもよい。
なお、陽極3の形成後、陽極3に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的として、陽極3表面に対して、紫外線(UV)処理、オゾン処理、プラズマ処理(例えば酸素プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理等)等の処理を行なうことが好ましい。
〔II−4.正孔注入層〕
陽極3の上には、正孔注入層4が形成される。
正孔注入層4は、陽極3から有機発光層5へ正孔を輸送する層である。
正孔注入層4は、通常は正孔輸送剤及び電子受容性化合物を含有する。更に、他の成分を含有していてもよい。
正孔輸送剤(以下「正孔輸送性化合物」と言う場合がある。)は、従来、有機EL素子における正孔注入・輸送性の薄膜形成材料として利用されてきた各種の化合物の中から、適宜選択することが可能である。中でも、溶剤溶解性の高いものが好ましい。
中でも、正孔輸送性化合物は、4.5eV〜5.5eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物であることが好ましい。なお、イオン化ポテンシャルは、物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、光電子分光法で直接測定されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合は、例えば、飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、下記式で表される(“Molecular Semiconductors”, Springer-Verlag, 1985年, pp.98)。
イオン化ポテンシャル = 酸化電位(vs.SCE)+4.3eV
正孔輸送性化合物は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも、非晶質性、溶剤への溶解度、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。
芳香族アミン化合物の中でも、正孔輸送性化合物としては、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。なお、ここでいう芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族アミン化合物の種類は制限されず、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよいが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、100万以下の高分子化合物であることが好ましい。
高分子の芳香族アミン化合物(以下「芳香族アミン高分子化合物」と言う場合がある。)の好ましい例としては、下記式(I)で表わされる繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物が挙げられる。
Figure 2008266262
(式(I)中、Ar1及びAr2は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。Ar3〜Ar5は各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表わす。Xは、下記の連結基群X1の中から選ばれる連結基を表わす。)
・連結基群X1:
Figure 2008266262
(式中、Ar11〜Ar28は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わす。R1及びR2は各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表わす。)
前記式(I)において、Ar1〜Ar5及びAr11〜Ar28としては、任意の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環由来の、1価又は2価の基が適用可能である。即ち、Ar1、Ar2、Ar16、Ar21及びAr26は、それぞれ1価の基が適用可能であり、Ar3〜Ar5、Ar11〜Ar15、Ar17〜Ar20、Ar22〜Ar25、Ar27及びAr28は、それぞれ2価の基が適用可能である。これらは各々同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、任意の置換基を有していてもよい。
前記の芳香族炭化水素環としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環が挙げられる。その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などが挙げられる。
前記の芳香族複素環としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。その具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などが挙げられる。
また、Ar3〜Ar5、Ar11〜Ar15、Ar17〜Ar20、Ar22〜Ar25、Ar27、Ar28としては、上に例示した1種類又は2種類以上の芳香族炭化水素環及び/又は芳香族複素環由来の2価の基を2つ以上連結して用いることもできる。
また、Ar1〜Ar5及びAr11〜Ar28の芳香族炭化水素環及び/又は芳香族複素環由来の基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、下記の置換基群Wから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なお、置換基は、1個が単独で置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
[置換基群W]
メチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは8以下のアルキル基;ビニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上、通常20以下、好ましくは12以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、通常30以下、好ましくは22以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上、通常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素環基;チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基。
上述した基の中でも、Ar1及びAr2としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の1価の基が好ましく、フェニル基、ナフチル基が更に好ましい。
また、上述したものの中でも、Ar3〜Ar5としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環由来の2価の基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基が更に好ましい。
前記式(I)において、R1及びR2としては、水素原子又は任意の置換基が適用可能である。これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。置換基の種類は、本発明の趣旨に反しない限り特に制限されないが、適用可能な置換基を例示するならば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が挙げられる。これらの具体例としては、先に置換基群Wにおいて例示した各基が挙げられる。
前記式(I)で表わされる繰り返し単位を有する高分子化合物の中でも、特に、下記式(I’)で表わされる繰り返し単位を有する高分子化合物が、正孔注入・輸送性が非常に高くなるので好ましい。
Figure 2008266262
前記式(I’)中、R41〜R45は各々独立に、任意の置換基を表わす。R41〜R45の置換基の具体例は、式(I)のAr1〜Ar5が有してもよい置換基(即ち、[置換基群W]に記載されている置換基)と同様である。また、式(I’)中、p、qは各々独立に、0以上、5以下の整数を表わし、r、s及びtは各々独立に、0以上、4以下の整数を表わす。
また、前記式(I’)中、Y’は、下記の連結基群Y2の中から選ばれる連結基を表わす。
・連結基群Y2:
Figure 2008266262
上記各式中、Ar31〜Ar37は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環由来の1価又は2価の基を表わす。Ar31〜Ar37の具体例は、上記のAr1〜Ar5と同様である。即ち、Ar31〜Ar35及びAr37はAr3〜Ar5と同様のものが適用でき、Ar36はAr1及びAr2と同様のものを適用できる。また、有していてもよい置換基も、上記のAr1〜Ar5と同様である。
以下に、本発明において適用可能な、式(I)又は式(I’)で表わされる繰り返し単位の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008266262
また、他の芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(II−1)及び/又は式(II−1)で表わされる繰り返し単位を含む高分子化合物が挙げられる。
Figure 2008266262
Figure 2008266262
(式(II−1)及び(II−2)中、Ar45、Ar47及びAr48は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。Ar44及びAr46は各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表わす。R46〜R48は各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表わす。)
Ar45、Ar47及びAr48、並びに、Ar44及びAr46の、具体例、好ましい例、有していてもよい置換基の例及び好ましい置換基の例は、それぞれ、Ar21及びAr22、並びに、Ar23〜Ar25と同様である。R46〜R48として好ましくは、水素原子又は[置換基群W]に記載されている置換基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基である。
以下に、本発明において適用可能な、式(II−1)及び(II−2)で表わされる繰り返し単位の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008266262
また、本発明において適用可能な芳香族アミン高分子化合物の好ましい例としては、下記の繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。従って、前記の好ましい高分子量の正孔輸送性化合物として例示した芳香族三級アミン化合物も、下記の繰り返し単位を有することが特に好ましい。但し、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
Figure 2008266262
前記の芳香族アミン高分子化合物は、上に説明した各種の繰り返し単位のうち、何れか一種のみからなる単独重合体であってもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有する共重合体であってもよい。後者の場合、共重合体の形態はブロック共重合でもランダム共重合でもよい。
正孔注入層4の材料として用いられる芳香族三級アミン高分子化合物の重量平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、また、通常50万以下、好ましくは20万以下、より好ましくは10万以下である。
一方、低分子の芳香族三級アミン化合物(以下「芳香族三級アミン低分子化合物」と言う場合がある。)のうち、正孔輸送性化合物として好ましい具体例としては、下記式(III)で表わされるビナフチル系化合物が挙げられる。
Figure 2008266262
式(III)中、Ar51〜Ar58は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表わす。Ar51とAr52、Ar55とAr56は、各々結合して環を形成していてもよい。Ar51〜Ar58の具体例、好ましい例、有していてもよい置換基の例及び好ましい置換基の例は、それぞれ、Ar1〜Ar5について先に例示したものと同様である。
u及びvは、各々独立に、0以上、4以下の整数を表わす。但し、u+v≧1である。特に好ましいのは、u=1かつv=1である。
1及びQ2は各々独立に、直接結合又は2価の連結基を表わす。
式(III)中のナフタレン環は、−(Q1NAr53Ar57(NAr51Ar52))及び−(Q2NAr54Ar58(NAr55Ar56))に加えて、任意の置換基を有していてもよい。
また、これらの置換基−(Q1NAr53Ar57(NAr51Ar52)及び−(Q2NAr54Ar58(NAr55Ar56)は、ナフタレン環の何れの位置に置換していてもよいが、中でも、式(III)におけるナフタレン環の、各々4−位、4’−位に置換したビナフチル系化合物がより好ましい。
また、式(III)で表わされる化合物におけるビナフチレン構造は、2,2’−位に置換基を有することが好ましい。2,2’−位に結合する置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基等が挙げられる。
なお、式(III)で表わされる化合物において、ビナフチレン構造は2,2’−位以外に任意の置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、2,2’−位における置換基として前掲した各基等が挙げられる。式(III)で表わされる化合物は、2−位及
び2’−位に置換基を有することにより、2つのナフタレン環がねじれた配置になるため、溶解性が向上すると考えられる。
式(III)で表わされるビナフチル系化合物の分子量は、通常500以上、好ましくは700以上、また、通常2000以下、好ましくは1200以下の範囲である。
以下に、本発明において正孔輸送性化合物として適用可能な、式(III)で表わされるビナフチル系化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明で適用可能なビナフチル系化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008266262
その他、本発明における正孔輸送性化合物として適用可能な芳香族アミン化合物としては、有機EL素子における正孔注入・輸送性の層形成材料として利用されてきた、従来公知の化合物が挙げられる。例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の第3芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報);4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5−234681号公報);トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4923774号明細書);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4764625号明細書);α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−p−キシレン(特開平3−269084号公報);分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報);ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報);エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報);スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報);チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結したもの(特開平4−304466号公報);スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報);ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報);フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−25473号公報);トリアミン化合物(特開平5−239455号公報);ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報);N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報);フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報);ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報);ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報);シラザン化合物(米国特許第4950950号明細書);シラナミン誘導体(特開平6−49079号公報);ホスファミン誘導体(特開平6−25659号公報);キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの芳香族アミン化合物は、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明における正孔輸送性化合物として適用可能な芳香族アミン化合物のその他の具体例としては、ジアリールアミノ基を有する8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体が挙げられる。上記の金属錯体は、中心金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属、Sc、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Sm、Eu、Tbの何れかから選ばれ、配位子である8−ヒドロキシキノリンはジアリールアミノ基を置換基として1つ以上有するが、ジアリールアミノ基以外に任意の置換基を有することがある。
また、本発明における正孔輸送性化合物として適用可能なフタロシアニン誘導体又はポルフィリン誘導体の好ましい具体例としては、ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリン、29H,31H−フタロシアニン銅(II)、フタロシアニン亜鉛(II)、フタロシアニンチタン、フタロシアニンオキシドマグネシウム、フタロシアニン鉛、フタロシアニン銅(II)、4,4',4'',4'''−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン等が挙げられる。
また、本発明における正孔輸送性化合物として適用可能なオリゴチオフェン誘導体の好ましい具体例としては、α−セキシチオフェン等が挙げられる。
なお、正孔輸送性化合物として適用可能な芳香族アミン化合物(上述した芳香族三級アミン高分子化合物及び式(III)で表わされるビナフチル系化合物を除く。)、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、及びオリゴチオフェン誘導体の分子量は、通常200以上、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、また、通常5000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは1700以下、特に好ましくは1400以下の範囲である。分子量が小さ過ぎると耐熱性が低くなる傾向がある一方で、正孔輸送性化合物の分子量が大き過ぎると合成及び精製が困難となる傾向がある。
正孔注入層4は、上述の各種の正孔輸送性化合物(正孔輸送剤)のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。特に、高分子量の正孔輸送性化合物(例えば、上述の芳香族三級アミン高分子化合物)と低分子量の正孔輸送性化合物とは、何れか一方のみを用いてもよいが、両方を組み合わせて用いてもよい。
正孔注入層4における正孔輸送剤の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常99.9重量%以下、好ましくは90重量%以下の範囲とすることが望ましい。なお、2種以上の正孔輸送剤を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにすることが好ましい。
また、正孔輸送剤として特に芳香族三級アミン高分子化合物を使用する場合、その正孔注入層4における割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、また、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下とすることが望ましい。なお、2種以上の芳香族三級アミン高分子化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにすることが好ましい。
正孔注入層4の材料として用いられる電子受容性化合物の種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その例としては、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩;塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素等が挙げられる。上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で、有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物が好ましく、種々の溶剤に可溶である点で、有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物が好ましい。更に、強い酸化力と高い溶解性とを両立する点から、有機基の置換したオニウム塩が特に好ましく、下記式(IV−1)〜(IV−3)で表わされる化合物であることが特に好ましい。
Figure 2008266262
(上記式(IV−1)〜(IV−3)中、R11、R21及びR31は、各々独立に、A1〜A3と炭素原子で結合する有機基を表わす。R12、R22、R23及びR32〜R34は、各々独立に、任意の基を表わす。R11〜R34のうち隣接する2以上の基が、互いに結合して環を形成していてもよい。A1〜A3は何れも長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第3周期以降の元素であって、A1は長周期型周期表の第17族に属する元素を表わし、A2は長周期型周期表の第16族に属する元素を表わし、A3は長周期型周期表の第15族に属する元素を表わす。Z1 n1-〜Z3 n3-は、各々独立に、対アニオンを表わす。n1〜n3は、各々独立に、対アニオンのイオン価を表わす。)
上記式(IV−1)〜(IV−3)中、R11、R21及びR31は、各々独立に、A1〜A3と炭素原子で結合する有機基を表わす。したがって、R11、R21及びR31としては、A1〜A3との結合部分に炭素原子を有する有機基であれば、本発明の趣旨に反しない限り、その種類は特に制限されない。
11、R21及びR31の分子量は、それぞれ、その置換基を含めた値で、通常1000以下、好ましくは500以下の範囲である。
11、R21及びR31の好ましい例としては、正電荷を非局在化させる点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が挙げられる。中でも、正電荷を非局在化させるとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましい。
アルキル基としては、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であって、その炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、炭素数が通常2以上、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環由来の1価の基であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオレン環等の由来の一価の基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等の由来の一価の基が挙げられる。
上記式(IV−1)〜(IV−3)中、R12、R22、R23及びR32〜R34は、各々独立に、任意の置換基を表わす。したがって、R12、R22、R23及びR32〜R34の種類は、本発明の趣旨に反しない限り特に制限されない。
12、R22、R23及びR32〜R34の分子量は、それぞれ、その置換基を含めた値で、通常1000以下、好ましくは500以下の範囲である。
12、R22、R23及びR32〜R34の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基シアノ基、水酸基、チオール基、シリル基等が挙げられる。中でも、R11、R21及びR31と同様、電子受容性が大きい点から、A1〜A3との結合部分に炭素原子を有する有機基が好ましく、例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が好ましい。特に、電子受容性が大きいとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましい。
以上、R11、R21、R31、R12、R22、R23、及びR32〜R34として例示した基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に他の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、上記R11、R21、R31、R12、R22、R23、及びR32〜R34としてそれぞれ例示した基の他、ハロゲン原子、シアノ基、チオシアノ基、ニトロ基等が挙げられる。中でも、耐熱性及び電子受容性の妨げにならない観点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が好ましい。なお、前記の更に置換する置換基は、1個のみで置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
また、上記式(IV−1)〜(IV−3)中、R11〜R34のうち隣接する2以上の基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(IV−1)〜(IV−3)中、A1〜A3は、何れも周期表第3周期以降(第3〜第6周期)の元素であって、A1は、長周期型周期表の第17族に属する元素を表わし、A2は、第16族に属する元素を表わし、A3は、第15族に属する元素を表わす。
中でも、電子受容性及び入手容易性の観点から、周期表の第5周期以前(第3〜第5周期)の元素が好ましい。即ち、A1としてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子のうち何れかが好ましく、A2としてはテルル原子、セレン原子、硫黄原子のうち何れかが好ましく、A3としてはアンチモン原子、ヒ素原子、リン原子のうち何れかが好ましい。
特に、電子受容性、化合物の安定性の面から、式(IV−1)におけるA1が臭素原子又はヨウ素原子である化合物、又は、式(IV−2)におけるA2がセレン原子又は硫黄原子である化合物が好ましく、中でも、式(IV−1)におけるA1がヨウ素原子である化合物が特に好ましい。
式(IV−1)〜(IV−3)中、Z1 n1-〜Z3 n3-は、各々独立に、対アニオンを表わす。対アニオンの種類は特に制限されず、単原子イオンであっても錯イオンであってもよい。但し、対アニオンのサイズが大きいほど負電荷が非局在化し、それに伴い正電荷も非局在化して電子受容能が大きくなるため、単原子イオンよりも錯イオンの方が好ましい。
式(IV−1)〜(IV−3)中、n1〜n3は、各々独立に、対アニオンZ1 n1-〜Z3 n3-のイオン価に相当する任意の正の整数である。n1〜n3の値は特に制限されないが、何れも1又は2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
1 n1-〜Z3 n3-の具体例としては、水酸化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、ホウ酸イオン、イソシアン酸イオン、水硫化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン;酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸イオン;メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;メトキシイオン、t−ブトキシイオン等のアルコキシイオンなどが挙げられる。
特に、対アニオンZ1 n1-〜Z3 n3-としては、化合物の安定性、溶剤への溶解性の点で、下記式(IV−4)〜(IV−6)で表わされる錯イオンが好ましく、サイズが大きいという点で、負電荷が非局在化し、それに伴い正電荷も非局在化して電子受容能が大きくなるため、下記式(IV−6)で表わされる錯イオンが更に好ましい。
Figure 2008266262
式(IV−4)及び(IV−6)中、E1及びE3は、各々独立に、長周期型周期表の第13族に属する元素を表わす。中でもホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製のし易さの点から、ホウ素原子が好ましい。
式(IV−5)中、E2は、長周期型周期表の第15族に属する元素を表わす。中でもリン原子、ヒ素原子、アンチモン原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製のし易さ、毒性の点から、リン原子が好ましい。
式(IV−4)及び(IV−5)中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表わし、化合物の安定性、合成及び精製のし易さの点からフッ素原子、塩素原子であることが好ましく、フッ素原子であることが特に好ましい。
式(IV−6)中、Ar61〜Ar64は、各々独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わす。芳香族炭化水素基、芳香族複素環基の例示としては、R11、R21及びR31について先に例示したものと同様の、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環由来の1価の基が挙げられる。中でも、化合物の安定性、耐熱性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環由来の1価の基が好ましい。
Ar61〜Ar64として例示した芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に別の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に制限されず、任意の置換基が適用可能であるが、電子吸引性の基であることが好ましい。
中でも、Ar61〜Ar64のうち少なくとも1つの基が、フッ素原子又は塩素原子を置換基として1つ又は2つ以上有することがより好ましい。特に、負電荷を効率よく非局在化する点、及び、適度な昇華性を有する点から、Ar61〜Ar64の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアリール基であることが特に好ましい。パーフルオロアリール基の具体例としては、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロ−2−ナフチル基、テトラフルオロ−4−ピリジル基等が挙げられる。
なお、前記の置換基は、1個のみが置換していてもよく、2個以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
式(IV−4)〜(IV−6)で表わされる錯イオンの式量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常100以上、好ましくは300以上、更に好ましくは400以上、また、通常5000以下、好ましくは3000以下、更に好ましくは2000以下の範囲である。該錯イオンの式量が小さ過ぎると、正電荷及び負電荷の非局在化が不十分なため、電子受容能が低下する場合があり、また、該錯イオンの式量が大き過ぎると、該化合物自体が電荷輸送の妨げとなる場合がある。
以下に式(IV−4)〜(IV−6)で表わされる錯イオンの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008266262
正孔注入層4の材料としては、上に説明した各種の電子受容性化合物のうち、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。2種以上の電子受容性化合物を用いる場合には、上記式(IV−1)〜(IV−3)のうち何れか1つの式に該当する電子受容性化合物を2種以上組み合わせてもよく、それぞれ異なる式に該当する2種以上の電子受容性化合物を組み合わせてもよい。
正孔注入層4中における電子受容性化合物の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、正孔輸送性化合物に対する値で、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常100重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。電子受容性化合物の量は、多い方が不溶化し易くなるため好ましい。電子受容性化合物の量が多いと、加熱時間が短くとも不溶化することができる。なお、2種以上の電子受容性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
また、上述の正孔輸送剤に対する電子受容性化合物の比率は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常100重量%、好ましくは60重量%以下の範囲が望ましい。
なお、正孔注入層4の形成時或いは形成後に、正孔輸送性化合物がこの電子受容性化合物と反応することにより、形成後の正孔注入層4中では正孔輸送性化合物のカチオンラジカル及びイオン化合物が生成している場合がある。
正孔注入層4は、正孔注入層4を構成する成分(電子受容性化合物、正孔輸送剤等)を含有する組成物(以下適宜「正孔注入層用組成物」という場合がある。)を成膜することにより形成される。
正孔注入層用組成物は、正孔注入層4の構成成分である、電子受容性化合物及び正孔輸送剤を含有するとともに、通常は溶剤を含有する。
溶剤としては、正孔注入層用組成物中の各成分を良好に溶解でき、且つ、これらの成分と好ましからぬ化学反応を生じないものであれば、その種類に制限はない。中でも、重合反応開始剤から生じるフリーキャリア(カチオンラジカル)を失活させる可能性のある失活物質又は失活物質を発生させるものを含まない溶剤が好ましい。
好ましい溶剤の例としては、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤が挙げられる。
エーテル系溶剤の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(Propyleneglycol-1-monomethylether acetate:以下適宜「PGMEA」と略する。)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテルなどが挙げられる。これらのエーテル系溶剤は何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
エステル系溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステルなどが挙げられる。これらのエステル系溶剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
また、一種又は二種以上のエーテル系溶剤と、一種又は二種以上のエステル系溶剤とを、任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、上述のエーテル系溶剤及びエステル系溶剤以外に使用可能な溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。また、これらの溶剤のうち一種又は二種以上を、上述のエーテル系溶剤及びエステル系溶剤のうち一種又は二種以上と組み合わせて用いてもよい。特に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤は、酸化剤とポリマーを溶解する能力が低いため、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤と混合して用いることが好ましい。
正孔注入層用組成物における溶剤の含有率は、通常1重量%以上、好ましくは70重量%以上、また、通常99.999重量%以下、好ましくは99重量%以下の範囲が望ましい。
正孔注入層用組成物における正孔輸送剤の含有率は、通常0.001重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、また、通常99重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲が望ましい。
正孔注入層用組成物における電子受容性化合物の含有率は、通常0.00001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、また、通常50重量%以下、通常5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の範囲が望ましい。
更に、正孔注入層用組成物は、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例としては、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
レベリング剤の例としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。レベリング剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔注入層用組成物中におけるレベリング剤の含有率は、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%以上、また、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の範囲である。レベリング剤の含有率が少な過ぎるとレベリング不良となる場合があり、多過ぎると膜の電気特性を阻害する場合がある。
消泡剤の例としては、シリコーンオイル、脂肪酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。消泡剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔注入層用組成物中における消泡剤の含有率は、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%以上、また、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の範囲である。消泡剤の含有率が少な過ぎると消泡効果がなくなる場合があり、多過ぎると膜の電気特性を阻害する場合がある。
上述の各成分を混合して正孔注入層用組成物を調製した後、これを上述の陽極3上に成膜することにより、正孔注入層4を形成する。
正孔注入層4の厚さは制限されないが、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲が望ましい。正孔注入層4が薄過ぎると正孔注入性が不十分となる場合があり、厚過ぎると抵抗が高くなる場合がある。
なお、正孔注入層4は単一の層からなる構成としてもよいが、複数の層が積層された構成としてもよい。後者の場合、複数の層は同一の材料からなる層であってもよいが、異なる材料からなる層であってもよい。
〔II−5.有機発光層〕
正孔注入層4の上には、有機発光層5が形成される。
有機発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極3から正孔注入層4を通じて注入された正孔と、陰極7から電子注入層6を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
有機発光層5は、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する材料(正孔輸送性化合物)、或いは、電子輸送の性質を有する材料(電子輸送性化合物)とを含有する。この際、本発明の有機EL素子においては、この有機発光層5に、本発明のビスアントラセン化合物及び/又はその誘導体を発光材料として含有させる。これらは、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。更に、有機発光層5は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。これらの材料としては、後述のように湿式成膜法で有機発光層5を形成する観点から、何れも低分子系の材料を使用することが好ましい。ただし、湿式成膜法を用いて本発明の有機電界発光素子を製造する場合には、[I−6.ビスアントラセン系化合物またはビスアントラセン系化合物の誘導体を含有する組成物]で説明した塗布用組成物を用いて有機発光層5を形成することが望ましい。
本発明の有機電界発光素子を製造する場合、発光材料として少なくとも蛍光発光材料を有する。ただし、燐光発光材料を併用してもよい。例えば、本発明の有機電界発光素子を備える発光表示装置の場合、発光色ごとに蛍光発光材料と燐光発光材料とを分けて用いてもよく、1つの有機発光素子の中で蛍光発光材料と燐光発光材料とを混合して用いてもよい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることもできる。
青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM(4-(dicyanomethylene)-2-methyl-6-(p-dimethylaminostyryl)-4H-pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
併用することのできる燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
燐光性有機金属錯体に含まれる、周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記式(VI)又は式(VII)で表わされる化合物が挙げられる。
ML(q-j)L′j (VI)
(式(VI)中、Mは金属を表わし、qは上記金属の価数を表わす。また、L及びL′は二座配位子を表わす。jは0、1又は2の数を表わす。)
Figure 2008266262
(式(VII)中、M7は金属を表わし、Tは炭素原子又は窒素原子を表わす。R92〜R95は、それぞれ独立に置換基を表わす。但し、Tが窒素原子の場合は、R94及びR95は無い。)
以下、まず、式(VI)で表わされる化合物について説明する。
式(VI)中、Mは任意の金属を表わし、好ましいものの具体例としては、周期表第7〜11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、式(VI)中、二座配位子Lは、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 2008266262
(上記Lの部分構造において、環A1は、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わす。)
該芳香族炭化水素基としては、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環由来の1価の基などが挙げられる。
該芳香族複素環基としては、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環が挙げられる。具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環由来の1価の基などが挙げられる。
また、上記Lの部分構造において、環A2は、置換基を有していてもよい、含窒素芳香族複素環基を表わす。
該含窒素芳香族複素環基としては、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基が挙げられる。具体例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環由来の1価の基などが挙げられる。
環A1又は環A2がそれぞれ有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基;シアノ基;芳香族炭化水素基等が挙げられる。
また、式(VI)中、二座配位子L′は、以下の部分構造を有する配位子を示す。但し、以下の式において、「Ph」はフェニル基を表わす。
Figure 2008266262
中でも、L′としては、錯体の安定性の観点から、以下に挙げる配位子が好ましい。
Figure 2008266262
式(VI)で表わされる化合物として、更に好ましくは、下記式(VIa)、(VIb)、(VIc)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2008266262
(式(VIa)中、M4は、Mと同様の金属を表わし、wは、上記金属の価数を表わし、環A1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表わし、環A2は、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
Figure 2008266262
(式(VIb)中、M5は、Mと同様の金属を表わし、wは、上記金属の価数を表わし、環A1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わし、環A2は、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
Figure 2008266262
(式(VIc)中、M6は、Mと同様の金属を表わし、wは、上記金属の価数を表わし、jは、0、1又は2を表わし、環A1及び環A1′は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わし、環A2及び環A2′は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
上記式(VIa)〜(VIc)において、環A1及び環A1′の好ましい例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
上記式(VIa)〜(VIc)において、環A2及び環A2′の好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
上記式(VIa)〜(VIc)で表わされる化合物が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、又は、環A1′が有する置換基と環A2′が有する置換基とが結合することにより、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1′、環A2及び環A2′の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、式(VIa)〜(VIc)におけるM4〜M6の好ましい例としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられる。
上記式(VI)及び(VIa)〜(VIc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 2008266262
Figure 2008266262
Figure 2008266262
上記式(VI)で表わされる有機金属錯体の中でも、特に、配位子L及び/又はL′として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、及び、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
また、国際特許公開第2005/019373号明細書に記載の化合物も、発光材料として使用することが可能である。
次に、式(VII)で表わされる化合物について説明する。
式(VII)中、M7は金属を表わす。具体例としては、周期表第7〜11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、式(VII)において、R92及びR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表わす。
更に、Tが炭素原子の場合、R94及びR95は、それぞれ独立に、R92及びR93と同様の例示物で表わされる置換基を表わす。また、Tが窒素原子の場合は、R94及びR95は無い。
また、R92〜R95は、更に置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、その種類に特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
更に、R92〜R95のうち任意の2つ以上の基が互いに連結して環を形成してもよい。
式(VII)で表わされる有機金属錯体の具体例(T−1、T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示物に限定されるものではない。また、以下の化学式において、Meはメチル基を表わし、Etはエチル基を表わす。
Figure 2008266262
発光材料として用いる化合物の分子量は、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。分子量が低過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を招いたりする場合がある。分子量が高過ぎると、有機化合物の精製が困難となったり、溶剤に溶解させる際に時間を要したりする場合がある。
なお、有機発光層5は、上に説明した各種の発光材料のうち、何れか一種をさらに含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率でさらに含有していてもよい。
低分子系の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層4の正孔輸送性化合物として例示した各種の化合物の他、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年, Vol.72-74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91, pp.209)等が挙げられる。
低分子系の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等がある。
これら正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物は発光層においてホスト材料として使用されることが好ましいが、ホスト材料として具体的には以下のような化合物を使用することができる。
Figure 2008266262
有機発光層5の形成法としては、湿式成膜法、真空蒸着法が挙げられるが、上述したように、均質で欠陥がない薄膜を容易に得られる点や、形成のための時間が短くて済む点から、低分子系の材料を用いて湿式成膜法で有機発光層5を形成することが好ましい。
湿式成膜法により有機発光層5を形成する場合、上述の材料を適切な溶剤に溶解させて有機発光層形成用組成物を調製し、それを上述の正孔注入層4の上に塗布・成膜し、乾燥して溶剤を除去することにより形成する。
成膜の手法は制限されないが、有機発光層形成用組成物の成分や下地となる正孔注入層4の性質等に応じて、スピンコート法、スプレー法等の塗布法や、インクジェット法、スクリーン法等の印刷法等を任意に選択して用いることが可能である。
湿式成膜法により成膜を行なった場合、成膜後に乾燥処理等を行なう。
乾燥処理の手法は特に制限されないが、例としては自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。また、加熱乾燥と減圧乾燥とを組み合わせて実施してもよい。
加熱乾燥を行なう場合、その手法の例としては、ホットプレート、オーブン、赤外線照射、電波照射等が挙げられる。
加熱乾燥を行なう場合、加熱温度としては、通常は室温以上、好ましくは50℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは260℃以下の範囲が望ましい。なお、加熱乾燥時の温度は一定でもよいが、変動してもよい。
減圧乾燥を行なう場合、乾燥時の圧力としては、通常は常圧以下、好ましくは10kPa以下、より好ましくは1kPa以下の範囲が望ましい。
乾燥処理の時間は、通常1秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上、また、通常100時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは3時間以下の範囲が望ましい。
有機発光層5の厚さは制限されないが、通常5nm以上、好ましくは20nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは100nm以下の範囲が望ましい。有機発光層5が薄過ぎると発光効率が低下したり、寿命が短くなる場合があり、厚過ぎると素子の電圧が高くなる場合がある。
なお、有機発光層5は単一の層からなる構成としてもよいが、複数の層が積層された構成としてもよい。後者の場合、複数の層は同一の材料からなる層であってもよいが、異なる材料からなる層であってもよい。
〔II−6.電子注入層〕
有機発光層5の上には、電子注入層6が形成される。
電子注入層6は、陰極7から注入された電子を効率良く有機発光層5へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行なうために、電子注入層6を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。
この場合、電子注入層6の厚さは、通常0.1nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常5nm以下、好ましくは2nm以下の範囲が望ましい。
更に、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。
この場合、電子注入層6の厚さは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲が望ましい。
これらの電子注入層6の材料は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子注入層6は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により、有機発光層5上に積層することにより形成される。
湿式成膜法の詳細は、上述の正孔注入層4及び有機発光層5の場合と同様である。
一方、真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼ又は金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、るつぼ又は金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼ又は金属ボートと向き合って置かれた基板2上の有機発光層5上に電子注入層6を形成する。
電子注入層6としてのアルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行なう。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。
有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼ及びディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼ及びディスペンサーと向き合って置かれた基板上に電子注入層6を形成する。
このとき、通常は電子注入層6の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
なお、電子注入層6は単一の層からなる構成としてもよいが、複数の層が積層された構成としてもよい。後者の場合、複数の層は同一の材料からなる層であってもよいが、異なる材料からなる層であってもよい。
〔II−7.陰極〕
電子注入層6の上には、陰極7が形成される。
陰極7は、有機発光層5側の層(電子注入層6又は有機発光層5など)に電子を注入する役割を果たす。
陰極7の材料としては、前記の陽極3に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましい。仕事関数の低い金属の例としては、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等、又はそれらの合金が挙げられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等が挙げられる。
これらの陰極7の材料は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陰極7の厚さは制限されないが、通常は陽極3と同様である。
なお、陰極7は単一の層からなる構成としてもよいが、複数の層が積層された構成としてもよい。後者の場合、複数の層は同一の材料からなる層であってもよいが、異なる材料からなる層であってもよい。
〔II−8.正孔輸送層〕
なお、図1(a)に示す有機電界発光素子1の構成において、正孔注入層4と有機発光層5との間に正孔輸送層を設けた構成の有機電界発光素子を、本発明の製造方法によって製造することも可能である。以下、この場合について以下に説明する。
図1(b)は、本発明の別の実施形態に係る有機電界発光素子の層構成を模式的に示す断面図である。図1(b)に示す有機電界発光素子1’は、基板2の上に、陽極3、正孔注入層4、正孔輸送層8、有機発光層5、電子注入層6及び陰極7を、この順に積層することにより構成される。
なお、図1(b)において、図1(a)と同じ符号を用いて示した有機電界発光素子1’の構成要素、即ち基板2、陽極3、正孔注入層4、有機発光層5、電子注入層6及び陰極7の構成や形成方法等の詳細は、図1(a)の有機電界発光素子1の場合と同様であるので、その説明は省略する。
正孔輸送層8は、正孔注入層4と有機発光層5との間に設けられ、陽極3、正孔注入層4の順に注入された正孔を有機発光層5に注入する機能を有すると共に、有機発光層5から電子が陽極3側に注入されることによる発光効率の低下を抑制する機能を有する。
正孔輸送層8を形成する材料としては、正孔注入層4に使用可能な正孔輸送化合物として例示した化合物と同様の化合物が挙げられる。その他に、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン等の高分子材料も用いることができる。また、高分子材料を用いて正孔輸送層を形成する場合、正孔輸送性モノマーを湿式成膜した後に、重合させた高分子材料によって正孔輸送層を形成してもよい。なお、正孔輸送層8の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔輸送層8は、これらの材料を湿式成膜法又は真空蒸着法で正孔注入層4上に積層することにより形成できる。
正孔輸送層8の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
〔II−9.正孔阻止層〕
また、図1(a)に示す有機電界発光素子1の構成において、有機発光層5と電子注入層6との間に正孔阻止層を設けた構成の有機電界発光素子を、本発明の製造方法によって製造することも可能である。以下、この場合について以下に説明する。
図1(c)は、本発明の更に別の実施形態に係る有機電界発光素子の層構成を模式的に示す断面図である。図1(c)に示す有機電界発光素子1”は、基板2の上に、陽極3、正孔注入層4、有機発光層5、正孔阻止層9、電子注入層6及び陰極7を、この順に積層することにより構成される。
なお、図1(c)において、図1(a)と同じ符号を用いて示した有機電界発光素子1”の構成要素、即ち基板2、陽極3、正孔注入層4、有機発光層5、電子注入層6及び陰極7の構成や形成方法等の詳細は、図1(a)の有機電界発光素子1の場合と同様であるので、その説明は省略する。
正孔阻止層9は、有機発光層5上に、有機発光層5の陰極7側の界面と接するように積層されるが、陽極3から移動してくる正孔が陰極7に到達するのを阻止する役割と、陰極7から注入された電子を効率よく有機発光層5の方向に輸送する役割とを有する化合物(これを「正孔阻止材料」という。)より形成される。
正孔阻止層9を構成する材料(正孔阻止材料)に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
これらの条件を満たす正孔阻止材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト),(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト),(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止材料の具体例としては、以下に挙げる構造の化合物が挙げられる。
Figure 2008266262
これらの正孔阻止材料は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔阻止層9も、正孔注入層4や有機発光層5と同様、湿式成膜法を用いて形成することもできるが、通常は真空蒸着法により形成される。真空蒸着法の手順の詳細は、上述の電子注入層6の場合と同様である。
正孔阻止層9の厚さは制限されないが、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下の範囲が望ましい。正孔阻止層9が薄過ぎると、正孔阻止能力不足による発光効率の低下が生じる場合があり、正孔阻止層9が厚過ぎると、素子の電圧が高くなる場合がある。
なお、正孔阻止層9は単一の層からなる構成としてもよいが、複数の層が積層された構成としてもよい。後者の場合、複数の層は同一の材料からなる層であってもよいが、異なる材料からなる層であってもよい。
〔II−10.正孔阻止層〕
また、図1(a)に示す有機電界発光素子1の構成において、有機発光層5と電子注入層6との間に電子輸送層を設けた構成の有機電界発光素子を、本発明の製造方法によって製造することも可能である。以下、この場合について以下に説明する。
図1(d)は、本発明の更に別の実施形態に係る有機電界発光素子の層構成を模式的に示す断面図である。図1(d)に示す有機電界発光素子1'''は、基板2の上に、陽極3、正孔注入層4、有機発光層5、電子輸送層10、電子注入層6及び陰極7を、この順に積層することにより構成される。
なお、図1(d)において、図1(a)と同じ符号を用いて示した有機電界発光素子1'''の構成要素、即ち基板2、陽極3、正孔注入層4、有機発光層5、電子注入層6及び陰極7の構成や形成方法等の詳細は、図1(a)の有機電界発光素子1の場合と同様であるので、その説明は省略する。
電子輸送層10は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において、陰極7から注入された電子を効率よく有機発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層10に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極7又は電子注入層6からの電子注入効率が高く、且つ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物(以下「電子輸送材料」という。)を用いる。
電子輸送材料の例としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、これらの電子輸送材料は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子輸送層10の形成方法に制限は無い。電子輸送層10は正孔注入層4や有機発光層5と同様、湿式成膜法を用いて形成することもできるが、通常は真空蒸着法により形成される。真空蒸着法の手順の詳細は、電子注入層6の場合と同様である。
電子輸送層10の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
〔II−11.その他〕
以上、本発明の製造方法の詳細について、図1(a)〜(d)に示す有機電界発光素子1,1’,1”,1'''を製造する場合を例として説明したが、本発明の製造方法の詳細は、上記説明によって限定されるものではない。
例えば、本発明の製造方法により製造される有機電界発光素子の構成は、図1(a)〜(d)の有機電界発光素子1,1’,1”,1'''の構成に制限されるものではなく、有機電界発光素子1,1’,1”,1'''の構成に対して任意の変更を加えた構成であってもよい。
変更の例として、図1(a)に示す有機電界発光素子1に対し、図1(b)に示す正孔輸送層8、図1(c)に示す正孔阻止層9、及び図1(d)に示す電子輸送層10のうち二以上の層を組み合わせて設けた構成が挙げられる。
また、別の変更の例として、図1(a)〜(d)に示す有機電界発光素子1,1’,1”,1'''の層構成において、その積層順を変更した構成や、一又は二以上の層を付加又は省略した構成等が挙げられる。
積層順の異なる構成の例としては、図1(a)〜(d)に示す有機電界発光素子1,1’,1”,1'''の層構成において、基板2に対して他の各層を、有機電界発光素子1,1’,1”,1'''とは逆の順に積層した構成等が挙げられる。
別の層を付加した構成の例としては、正孔注入の効率を更に向上させ、かつ、有機層全体の陽極3への付着力を改善させる目的で、陽極3と正孔注入層4との間に陽極バッファ層を設けた構成や、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、陰極7の上に、更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層(例えばアルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等からなる層)を設けた構成等が挙げられる。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、上述の基板2以外の構成要素を順次積層することにより、有機電界発光素子1,1’,1”,1'''を構成することも可能である。
また、上述の各種の有機電界発光素子1,1’,1”,1'''を構成する層のうち、基板2以外の層からなるユニット(発光ユニット)を複数段重ねた構造(複数の発光ユニットを積層した構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V25)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
また、上述の各種層構成を有する有機電界発光素子1,1’,1”,1'''を、単一の有機電界発光素子1,1’,1”,1'''として構成してもよいが、複数の有機電界発光素子1,1’,1”,1'''がアレイ状に配置された構成としてもよい。このような構成の例としては、陽極3と陰極7とがX−Yマトリックス状に配置された構成が挙げられる。なお、アレイ状に配置された複数の有機電界発光素子1,1’,1”,1'''が、一又は二以上の層、例えば基板2を共有する構成としてもよい。
このような有機電界発光素子は、発光装置に備えられるフラットパネルディスプレイや光源として用いられる。
[III.本発明の利点]
本発明の製造方法により得られたビスアントラセン系化合物および該ビスアントラセン系化合物を中間体として用いて製造されたビスアントラセン系化合物の誘導体を、有機電界発光素子に用いると、長い発光寿命を有する素子が得られる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、以下の記載において部とは重量部のことを指す。
[実施例1]
2,3−ジメチルアントラキノン1.0部と、亜鉛粉0.9部とを、酢酸19部に懸濁させて反応組成物を調製した。110℃の油浴の還流条件の下、気相を窒素置換して、反応組成物を加熱した。同じ温度で加熱しつつ、反応組成物に濃塩酸4.2部を30分かけて添加した。
同じ温度で1時間反応させた後、さらに亜鉛粉0.3部を混合した、液体クロマトグラフィーにて出発原料(2,3−ジメチルアントラキノン)が消失したことを確認した。
この時点における液体クロマトグラフィーの分析結果は、主生成物が93.3%、主たる副生成物が4.5%と1.0%との組成(各々面積%値)であった。
次に、この反応組成物を放冷・静置し、亜鉛残渣を沈降させ、上澄み部分である、有機成分と反応溶媒とからなる懸濁液を回収し、濾過した。
得られたウェットケーキを漏斗上で、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、メタノール各8部にて順次洗浄し、80℃で減圧乾燥した。
その結果、純度97.2%(液体クロマトグラフィーの面積値)の乾燥粉体が、0.84部得られた(固形分収率=97%)。
化合物の構造は、マススペクトルとH+NMRで確認し、下記構造であることがわかった。MS:m/z=410(m+)H+NMR(2.1(6H+(s))、2.4(6H+(s))、6.8(2H+、(s))、7.0(2H+(d))、7.1(2H+(t))、7.4(2H+(t))、7.9(2H+(s))、8.1(2H+(d))、8.5(2H+(s))
Figure 2008266262
[比較例1]
非特許文献1に記載の方法により、ビスアントラセン系化合物の製造を試みた。
2,3−ジメチルアントラキノン1.0部と、錫粉3.7部とを、酢酸10部に懸濁させて反応組成物を調整した。110℃の油浴の還流条件の下、気相を窒素置換して、反応組成物を加熱した。同じ温度で加熱しつつ、反応組成物に濃塩酸6.7部を120分かけて添加した。
同じ温度で3時間反応させた後、液体クロマトグラフィーにて出発原料(2,3−ジメチルアントラキノン)が消失したことを確認した。
この時点における液体クロマトグラフィーの分析結果は、主生成物が52.1%、主たる副生成物が25.0%と19.8%との組成(各々面積%値)であった。
次に、この反応組成物を放冷・静置し、錫残渣を沈降させ、上澄み部分にあたる、有機成分と反応溶媒とからなる懸濁液を回収し、濾過した。
得られたウェットケーキを漏斗上で、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、メタノール各8部にて順次洗浄し、80℃で減圧乾燥した。
その結果、純度54.1%(液体クロマトグラフィーの面積値)の乾燥粉体が、0.78部得られた(固形分収率=86%)。
[考察]
比較例1の純度、及び固形分収率は、ともに実施例1の結果に比べて悪いことがわかった。このことは、反応の選択性の悪さがその主因であることが確認された。
本発明は、有機EL光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
本発明の有機EL素子の構造の一例の一部を、模式的に示す断面図である。
符号の説明
1,1’,1”,1''' 有機電界発光素子
2 基板
3 陽極
4 正孔注入層
5 有機発光層
6 電子注入層
7 陰極
8 正孔輸送層
9 正孔阻止層
10 電子輸送層

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表わされるアントラキノン系化合物と、下記式(2)で表わされるアントラキノン系化合物とを反応させて、下記式(3)で表わされるビスアントラセン系化合物を製造する方法において、
    亜鉛含有物質の存在下で反応させる
    ことを特徴とする、ビスアントラセン系化合物の製造方法。
    Figure 2008266262
    (式(1)中、R1は置換基を表わし、nは0から8の整数を表わす。nが2以上の場合、R1は同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2008266262
    (式(2)中、R2は置換基を表わし、mは0から8の整数を表わす。mが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2008266262
    (式(3)中、R1は置換基を表わし、nは0から8の整数を表わす。ただし、R1はビスアントラセン骨格の10位には置換されない。nが2以上の場合、R1は同一であっても異なっていてもよい。また、R2は置換基を表わし、mは0から8の整数を表わす。ただし、R2はビスアントラセン骨格の10’位には置換されない。mが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 請求項1記載のビスアントラセン系化合物の製造方法により、製造された
    ことを特徴とする、ビスアントラセン系化合物。
  3. 請求項2記載のビスアントラセン系化合物を、中間体として用いて製造された
    ことを特徴とする、ビスアントラセン系化合物の誘導体。
  4. 請求項2に記載のビスアントラセン系化合物を含有する
    ことを特徴とする、組成物。
  5. 請求項3に記載のビスアントラセン系化合物の誘導体を含有する
    ことを特徴とする、組成物。
  6. 陽極、有機層および陰極を有する有機電界発光素子であって、該有機層に請求項2に記載のビスアントラセン系化合物を含有する
    ことを特徴とする、有機電界発光素子。
  7. 陽極、有機層および陰極を有する有機電界発光素子であって、該有機層に請求項3に記載のビスアントラセン系化合物の誘導体を含有する
    ことを特徴とする、有機電界発光素子。
  8. 請求項6または7に記載の有機電界発光素子を備える
    ことを特徴とする、発光表示装置。
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