JP2011155628A - 振動片、振動子、発振器、電子機器、および周波数調整方法 - Google Patents

振動片、振動子、発振器、電子機器、および周波数調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に周波数調整が可能な振動片の構成を提供する。
【解決手段】基部15と、基部15から延びる面外振動をする振動腕11,12,13と、振動腕11,12,13の共振周波数を調整する第1質量部51,52,53と、を有し、第1質量部51,52,53は振動腕11,12,13の面外振動により圧縮または伸長する第1面と、第1面が圧縮した時に伸長し第1面が伸長した時に圧縮する第2面とを有し、第1質量部51,52,53は第1面および第2面の少なくとも一方の面であって、振動腕11,12,13の基部15側の端部から先端部までの長さの略中心に形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、振動片、振動子、発振器、電子機器、および周波数調整方法に関する。
振動腕を有する振動子において、振動腕が面内で振動するのではなく、振動腕の厚み方
向に振動(面外振動)する振動片が知られている。この振動片は、一般に奇数本の振動腕
を有し、3本以上の振動腕を持つ場合、隣り合う振動腕が反対方向の振動を交互に繰り返
す振動(ウォークモード振動)を行う。
面内振動を行う音叉型の振動子における周波数(共振周波数)の調整は、振動腕の先端
部に振動方向の平面に錘を設け、この錘にレーザー光などを照射して錘の一部を除去して
行っている。これは錘の一部を除去し、振動腕の重量を減少させることで周波数を順次高
くして周波数調整が行われる(例えば特許文献1参照)。
これに対して、面外振動を行う振動子の周波数(共振周波数)は、振動腕の振動方向の
厚みに比例し、振動腕の長さの二乗に反比例する。このため、周波数の調整は振動腕の厚
みとなる面に錘を付加せず振動腕の側面に錘を付加し、レーザー光を照射してこの側面の
錘の一部を除去することで行っている。
特開2003−318685号公報
面外振動を行う振動子の小型化を図る場合、振動腕の長さが短くなるため、同じ周波数
を得るためには振動腕の厚みを薄くする必要がある。
しかしながら、薄い振動腕の側面に従来と同様に錘を付加することは困難である。また
、振動腕の側面に錘を付加することができたとしても、レーザー光を照射してこの錘の一
部を削除することは非常に困難であり、面外振動を行う振動子の周波数調整を容易にかつ
精度よく行うことが望まれている。
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態
または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る振動片は、第1軸と該第1軸に直交する第2軸とを含む平
面上に設けられた基部と、前記基部から第1軸方向に延びる振動腕と、前記振動腕の共振
周波数を調整する第1質量部と、を有し、前記振動腕は前記平面に対し垂直方向に屈曲振
動し、屈曲振動により圧縮または伸長する第1面と、前記第1面が圧縮したときに伸長し
前記第1面が伸長したときに圧縮する第2面とを、有し、前記第1質量部は前記第1面お
よび前記第2面の少なくとも一方の面であって、前記振動腕の基部側の端部から先端部ま
での長さの略中心に設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、振動片の第1質量部が振動腕の長さの略中心に形成されている。こ
の振動腕の中心では質量の増減により周波数が増減する錘効果と、振動腕の厚みにより周
波数が増減する厚み効果との境界が存在する。例えば、膜などを除去した場合、錘効果が
支配的な部分では周波数は+側に高く調整され、厚み効果が支配的な部分では周波数は−
側に低く調整される。膜を付加した場合は、この反対に錘効果が支配的な部分では周波数
は−側に低く調整され、厚み効果が支配的な部分では周波数は+側に高く調整される。
このように、この振動腕の中心では振動片の周波数を+側、−側に調整することができ
、さらに、その周波数調整による周波数の変化量は小さく、容易で、かつ精度の高い周波
数調整が可能である。
[適用例2]上記適用例にかかる振動片において、前記第1質量部に金膜を用いたこと
が望ましい。
この構成によれば、第1質量部が金膜であることから、金膜の一部を削除するのが容易
であり、良好な周波数調整ができる。
[適用例3]上記適用例にかかる振動片において、前記第1質量部にスリットが設けら
れたことが望ましい。
この構成によれば、第1質量部にスリットが形成されている。つまり、面に金属膜が疎
に形成されていることから、金属膜を除去して振動片の周波数調整を行う際に、微小な量
を削除でき、周波数の変化量が少なく、精度よく周波数を合わせこむことができる。
[適用例4]上記適用例にかかる振動片において、前記第1質量部が振動腕の全長Lに
対して、基部側の端部から0.30L以上、0.65L以下の範囲の少なくとも一部に設
けられていることが望ましい。
この構成によれば、基部側の端部から0.30L〜0.65Lの間の位置に設けられた
第1質量部では金膜を除去することで周波数偏差±1000ppmの周波数調整が可能で
ある。このように、振動片の周波数の調整は周波数を+側に高くする方向、および周波数
を−側に低くする方向にも調整が可能である。このことから、この第1質量部では調整範
囲の広い周波数調整ができ、かつ精度の高い振動片の周波数調整が可能である。
[適用例5]上記適用例にかかる振動片において、前記第1質量部が振動腕の全長Lに
対して、基部側の端部から0.42L以上、0.57L以下の範囲の少なくとも一部に設
けられたことが望ましい。
この構成によれば、基部側の端部から0.42L〜0.57Lの間の位置に設けられた
第1質量部では金膜を除去することで周波数偏差±200ppmの周波数調整が可能であ
る。このように、振動片の周波数の調整は周波数を+側に高くする方向、および周波数を
−側に低くする方向にも調整が可能である。このことから、この第1質量部では調整範囲
の狭い周波数調整ができ、かつ精度の高い振動片の周波数調整が可能である。
[適用例6]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕の先端部の前記第1面お
よび前記第2面の少なくとも一方の面にさらに共振周波数を調整する第2質量部が設けら
れたことが望ましい。
この構成によれば、振動腕の先端部の粗調用の第2質量部で粗調を行い、略中心の第1
質量部で微調を行うことができる。このことから、調整量の多い振動片の周波数調整にお
ける加工時間を短時間にすることが可能である。
[適用例7]本適用例にかかる周波数調整方法は、第1軸と該第1軸に直交する第2軸
とを含む平面上に形成される基部と、前記基部から第1軸方向に延びる振動腕と、前記振
動腕の共振周波数を調整する第1質量部と、を有し、前記振動腕は前記平面に対し垂直方
向に屈曲振動し、屈曲振動により圧縮または伸長する第1面と、前記第1面が圧縮したと
きに伸長し前記第1面が伸長したときに圧縮する第2面とを、有し前記第1質量部は前記
第1面および前記第2面の少なくとも一方の面であって、前記振動腕の基部側の端部から
先端部までの長さの略中心に形成されている振動片を用意する工程と、前記第1質量部の
質量を変化させることにより前記振動腕の共振周波数を調整する微調工程と、を有するこ
とを特徴とする。
この周波数調整方法によれば、振動腕の長さの略中心に形成されている第1質量部の質
量を変化させることで振動片の共振周波数の微調を行う。
この振動腕の中心では質量の増減により周波数が増減する錘効果と、振動腕の厚みによ
り周波数が増減する厚み効果との境界が存在する。例えば、膜などを除去した場合、錘効
果が支配的な部分では周波数は+側に高く調整され、厚み効果が支配的な部分では周波数
は−側に低く調整される。膜を付加した場合は、この反対に錘効果が支配的な部分では周
波数は−側に低く調整され、厚み効果が支配的な部分では周波数は+側に高く調整される

このように、この振動腕の中心では振動片の周波数を+側、−側に調整することができ
、さらに、その周波数調整による周波数の変化量は小さく、容易でかつ精度の高い周波数
調整が可能である。
[適用例8]上記適用例にかかる周波数調整方法において、前記振動片の周波数は、前
記微調工程前において目標の周波数に対して低くなるように設定され、前記振動腕の前記
第1軸方向の長さの略中心に対し先端部側に形成された前記第1質量部から質量を減少さ
せることが望ましい。
この周波数調整方法によれば、振動腕の第1軸方向の長さの中心に対し先端部側に形成
された第1質量部から質量を減少させる。このようにすれば、周波数を最初に大きく変化
させることができ、効率的な周波数調整ができる。
[適用例9]上記適用例にかかる周波数調整方法において、前記第1質量部に金膜を用
い、前記金膜をレーザーで除去することにより前記第1質量部の質量を減少させることが
望ましい。
この周波数調整方法によれば、レーザー光を金膜に照射して金膜の一部を除去して第1
質量部の質量を減少させる。金膜はレーザーにより容易に除去が可能であり、効率の良い
周波数調整ができる。
[適用例10]本適用例にかかる振動子は、上記適用例のいずれかに記載の振動片と、
前記振動片を収納したパッケージと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、振動子は、周波数調整が容易で、しかも精度よく周波数調整が行え
る振動片を備えており、周波数精度に優れた振動子を提供できる。
[適用例11]本適用例にかかる発振器は、上記適用例のいずれかに記載の振動片と、
前記振動片に接続された回路素子と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、発振器は、周波数調整が容易で、しかも精度よく周波数調整が行え
る振動片を備えており、周波数精度に優れた発振器を提供できる。
[適用例12]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の振動片を
用いたことを特徴とする。
この構成によれば、電子機器は、上記適用例1〜上記適用例6のいずれか一例に記載の
効果を奏する電子機器を提供することができる。
面外振動を行う振動片の一例を説明する概略斜視図。 振動腕に形成された金属膜の形成位置と周波数の関係を示すグラフ。 第1の実施形態の振動片の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は同図(a)のA−A断線に沿う概略断面図、(c)は同図(a)のB−B断線に沿う概略断面図。 第1の実施形態における周波数の調整範囲(調整量)と振動腕の長さに対する質量部の位置に関するグラフ。 第1の実施形態における振動片における周波数調整の手順を説明する模式図。 変形例における第1質量部の金属膜の構成を示す構成図。 第2の実施形態の振動子の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は同図(a)のG−G断線に沿う概略断面図。 第3の実施形態の発振器の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は同図(a)のH−H断線に沿う概略断面図。
実施形態の説明に先立ち、本発明の理解のために、面外振動を行う振動片における質量
部と周波数の関係について説明する。
図1は面外振動を行う振動片の一例を説明する概略斜視図である。図2は振動腕に形成
された金属膜の形成位置と周波数の関係を示すグラフである。
図1に示すように、面外振動を行う振動片1は、基部15と、基部15から平行して延
びる3本の振動腕11,12,13を有している。
ここで、振動腕11,12,13が延びる方向をY方向(第1軸)、Y方向に直交し振
動腕11,12,13が並ぶ方向をX方向(第2軸)としたとき、Y方向とX方向に直交
する方向をZ方向とする。
面外振動は振動腕の先端がZ方向、つまりXY平面に対し垂直方向に振動し、かつ隣り
合う振動腕とは反対の方向になるように振動を繰り返す振動である。このような振動は振
動腕が形成されるXY平面から外れて振動するため、一般的に面外振動と呼ばれている。
このため、振動腕11,13が+Z方向に振動し振動腕12が−Z方向に振動した場合
、XY平面に形成される振動腕11,12,13の対向する第1面11a,12a,13
aと第2面11b,12b,13bは、第1面11a,13aは圧縮し第2面11b,1
3bは伸長し、他方で第1面12aは伸長し第2面12bは圧縮する。また、振動腕11
,13が−Z方向に振動し、振動腕12が+Z方向に振動した場合は、圧縮と伸長の関係
が前述と逆になる。なお、振動腕は3本に限らず、1本であっても良いし5本であっても
良い。
このような面外振動を行う振動片において、振動片の共振周波数をf、振動腕の全長を
L、振動腕の振動方向の厚みをtとすると、f∝(t/L2)、という関係がある。
つまり、面外振動を行う振動片の共振周波数fは、振動腕の振動方向の厚みtに比例し
、振動腕の全長Lの二乗に反比例する。
このような振動片の基本的な特性において、音叉型の面内振動を行う振動片と同様に、
XY平面内にある振動腕の第1面あるいは第2面に、膜の付加または膜の除去を行って周
波数調整をする場合には、単純な錘の効果だけでなく厚みの変化も考慮する必要がある。
このため、振動腕の第1面あるいは第2面に膜の付加または膜の除去による周波数調整は
困難であると考えられていた。
そこで、発明者は基部に1本の振動腕が形成された面外振動を行う振動片をモデルとし
て、XY平面内にある振動腕の一面に金属膜を形成し、それを振動腕の先端側から削除し
ていったときの周波数の変化をシミュレーションして考察を行った。
図2がそのグラフであり、縦軸に規格化した周波数変化量Δfをとり、横軸に振動腕の
全長Lに対する周波数調整膜としての金属膜の基部からの長さをとっている。縦軸のΔf
は、振動腕に金属膜(周波数調整膜)を形成しないときの周波数をf0とし、金属膜(周
波数調整膜)を形成したときの周波数をfとしたときにΔf=(f−f0)/fとし、さ
らにΔfの最大値が1となるようにΔf(規格化)=Δf/(Δfの最大値)として規格
化した数値である。なお、このグラフは金属膜として金(Au)膜を形成した場合のデー
タである。
図2のグラフによれば、振動腕に形成した金属膜を先端側から削除していくと、周波数
は順次高くなるように変化し、振動腕のほぼ中心で周波数の変化がゼロになる。そして、
さらに金属膜を基部に向かって除去していくと、今度は周波数が低くなるように変化して
いく。また、周波数の変化量は中心に近いほど小さくなっている。
振動腕の長さの略中心を境にして、振動腕の先端側では錘効果が支配的になり、金属膜
の除去により周波数は高くなる方向に変化する。また、振動腕の長さの略中心から振動腕
の基部側では厚み効果が支配的になり、金属膜の除去により周波数は低くなる方向に変化
する。
このように、発明者は、振動腕の長さのほぼ中心に周波数変化の方向が異なる境界が存
在することを見出した。そして、これらの知見に基づき、発明者は本発明を創出するに至
った。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明
に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の寸法の割合を適宜
変更している。
(第1の実施形態)
図3は本実施形態の振動片の構成を示し、図3(a)は概略平面図であり、図3(b)
は同図(a)のA−A断線に沿う概略断面図、図3(c)は同図(a)のB−B断線に沿
う概略断面図である。
振動片1は直交座標系でXY平面に展開したときに、Z方向を厚みとする形態である。
振動片1は3本の振動腕11,12,13を有し、振動腕11,12,13はX方向(第
2軸方向)に並列されると共に、Y方向(第1軸方向)に互いに平行に延在している。そ
して、振動腕11,12,13は基部15に連結され、各振動腕11,12,13が片持
ち構造となる振動片1を構成している。このとき基部15はY方向(第1軸)とY方向(
第1軸)に直交するX方向(第2軸)とを含む平面(XY平面)上に形成されているとも
言える。
振動腕11,12,13の基部15に近い位置にはそれぞれ圧電素子61,62,63
が形成されている。
振動腕11に形成された圧電素子61は、図3(b)に示すように、振動腕11の厚み
を規定する対向する面(Z方向に垂直な面)の一方の面側に設けられている。そして圧電
素子61は、下部電極21、圧電膜31、上部電極41が積層されて形成されている。な
お、図示しないが圧電膜31と上部電極41との間に絶縁膜を形成しても良い。
このようにして、圧電膜31を挟んで下部電極21と上部電極41とが対向することで
圧電素子61が形成され、各電極間に正負の電圧をかけることで圧電膜が圧縮または伸長
することが可能である。そして、圧電膜が圧縮または伸長することで、振動腕11をZ方
向に変位させることができる。
同様に、振動腕12,13に形成された圧電素子62,63は、振動腕11の厚みを規
定する対向する面の一方の面側に下部電極22,23、圧電膜32,33、上部電極42
,43が積層されて形成されている。
また、下部電極21,22,23および上部電極41,42,43は振動片1の基部1
5に引き出され、収容器などの基台に固定されて電気的導通が図られるマウント電極45
,46に接続されている。また、下部電極21,23と上部電極42とを繋ぐ接続部47
が設けられ、さらに、下部電極22と上部電極41,43とを繋ぐ接続部48が設けられ
、圧電素子61,63と圧電素子62との極性が逆になるように構成されている。このよ
うに構成することにより、振動腕11,13が+Z方向に振動する場合に、振動腕12は
−Z方向に振動する。
図3(c)に示すように、振動腕11の圧電素子61が形成された面と同じ面には、第
1質量部51が設けられている。この第1質量部51は金(Au)膜で形成されている。
なお、金膜は基材との密着力を強くするために、下地にクロム(Cr)膜などの下地層を
形成しても良い。また、金膜に代えてアルミニウム(Al)膜などの金属膜を採用しても
よい。
この第1質量部51は、振動腕11の周波数を調整するために設けられ、金膜の一部を
除去することで振動腕11の周波数が調整される。そして、第1質量部51は、振動腕1
1のほぼ中心に形成されている。
次に振動腕に配置される第1質量部51の位置について詳しく説明する。
図4は周波数の調整範囲(調整量)と振動腕の全長Lに対する第1質量部の基部からの
位置に関するグラフである。このグラフは図2で説明したグラフと同じものであり、第1
質量部として金膜を形成したときのデータである。
このグラフによれば、振動腕に形成した金膜を先端側から削除していくと、周波数は順
次高くなるように変化し、振動腕のほぼ中央(0.5L)で周波数の変化がゼロになる。
そして、さらに金膜を基部に向かって除去していくと、今度は周波数が低くなるように変
化していく。また、周波数の変化量は中央(0.5L)に近いほど小さくなっている。こ
のように、振動腕の長さの中心を境にして、振動腕の先端側では錘効果が支配的になり、
金属膜の除去により周波数は高くなる方向に変化する。また、振動腕の長さの略中心から
振動腕の基部側では厚み効果が支配的になり、金属膜の除去により周波数は低くなる方向
に変化する。この現象を利用して、例えば、第1質量部51を振動腕11の全長Lに対し
て、基部15から0.30L以上、0.65L以下の範囲の少なくとも一部に設け、0.
30L以上、0.65L以下の範囲内にある金膜を除去することで周波数変化量が±10
00ppmの周波数調整が可能である。また、基部15から0.42L以上、0.57L
以下の範囲の少なくとも一部に設け、0.42L以上、0.57L以下の範囲内にある金
膜を除去することで周波数変化量が±200ppmの周波数調整が可能である。
本実施形態では基部15から0.42L以上、0.57L以下の範囲に第1質量部51
が設けられている。
そして、振動腕12,13においても振動腕11と同様に第1質量部52,53が設け
られている。
さらに、図3(a)に示すように、振動腕11,12,13の第1質量部51,52,
53が形成された同一面であり、その先端部に粗調用の第2質量部55,56,57が設
けられている。粗調用の第2質量部55,56,57は第1質量部51,52,53と同
様に金膜で形成されている。なお、粗調用の第2質量部55,56,57と第1質量部5
1,52,53との間にも金属膜を配置して両者が繋がった形態としてもよい。
この振動腕の先端部に形成された粗調用の第2質量部55,56,57では、図4に示
すように、この金膜を除去することによる周波数の変化量が大きく、調整量の多い振動片
の粗調用の周波数調整として利用できる。このように、振動腕11,12,13の先端部
を粗調用の質量部とし、略中心を微調用の質量部とすることで、短時間に効率よく振動片
1の周波数調整が可能である。
この粗調用の第2質量部55,56,57は振動片1の調整量が少ない場合には、必ず
しも必要ではなく、第1質量部51,52,53だけで周波数の調整が可能である。例え
ば、基部15から0.30L以上、0.65L以下の範囲に第1質量部51,52,53
を設けて、周波数の調整量として±1000ppmの加工ができる。
以上説明したように本実施形態は、面外振動をおこなう振動片において、振動腕の長さ
のほぼ中心に周波数変化の正負の方向が異なる境界が存在することを見出し、振動腕の周
波数を微調整するための第1質量部を振動腕の全長Lに対しほぼ中心に設けることで、精
度の高い周波数の微調整が可能となる。
なお、下部電極および上部電極は金(Au)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)
などの金属材料を利用できる。また、下部電極および上部電極は下地との密着強度を向上
させるために下地との間にクロム(Cr)膜を備えても良い。圧電膜としては、ZnO、
AlN、PZT、LiNbO3、KNbO3などの材料を使用することができるが、特にZ
nO、AlNがより良好な特性が得られ好ましい。絶縁膜はSiO2、SiNなどが用い
られる。
振動片1は水晶またはシリコンなどの基材を用いて形成されている。そして、振動片1
の基材として水晶を用いる場合には、Xカット板、ATカット板、Zカット板などを利用
することができる。
また、上記実施例では、第1質量部51,52,53、および粗調用の第2質量部55
,56,57を振動腕の第1面側に形成しているが、これに限らず、第1質量部および第
2質量部は、振動腕の第2面側に形成しても良いし、振動腕の第1面側および第2面側の
両方に形成しても良い。
次に、以上のような振動片における周波数調整の方法の一例について説明する。
図5は振動片における周波数調整の手順を説明する模式図である。なお、図中では圧電
素子、配線などは省略して表している。
図5(a)に示すように、振動片1の各振動腕11,12,13には粗調用の第2質量
部と微調用の第1質量部とが設けられている。振動腕11,12,13の先端側が粗調用
の第2質量部55,56,57であり、振動腕11,12,13の略中心が微調用の第1
質量部51,52,53である。
なお、振動片1の周波数は調整前において、目標とする周波数に対して低くなるように
設定されている。
まず、図5(b)に示すように、各振動腕11,12,13の粗調用の第2質量部55
,56,57の金属膜にレーザー光を照射して、その一部を除去する。
レーザー光の照射は各振動腕11,12,13を横断するように、X方向に連続して照
射が行われ、ライン状に金属膜が除去され、粗調用の第2質量部55,56,57にレー
ザー加工線59が形成される。このレーザー光の照射は、振動片1の周波数が所望の周波
数範囲になるまで繰り返され、金属膜の除去により振動片1の周波数は高くなるように調
整される。また、粗調後の周波数は、目標とする周波数に対して低くなるように設定され
ている。
次に、振動片1の粗調が終了すると、図5(C)に示すように、各振動腕11,12,
13の微調整用の第1質量部51,52,53の金属膜にレーザー光を照射して、その一
部を除去する。
レーザー光の照射は第1質量部51,52,53の基部15とは反対側の部分から行わ
れる。これは、第1質量部51,52,53の基部15とは反対側の部分では錘効果が支
配的な部分であり、金属膜を除去することで振動片1の周波数が高くなる方向に調整でき
るためである。
レーザー光の照射は各振動腕11,12,13を横断するように、X方向に連続して照
射が行われ、ライン状に金属膜が除去され、微調用の第1質量部51,52,53にレー
ザー加工線59が形成される。このレーザー光の照射は、振動片1の周波数が目標の周波
数になるまで繰り返されて終了する。
ここで、例えば、第1質量部51,52,53にレーザー光を照射して、周波数が高く
なるように調整するが、金属膜を除去しすぎて周波数が目標の周波数より高くなってしま
う場合がある。このときには、第1質量部51,52,53の基部15側の部分にレーザ
ー光を照射して周波数調整を行う。これは、第1質量部51,52,53の基部15側の
部分では厚み効果が支配的な部分であり、金属膜を除去することで振動片1の周波数が低
くなる方向に調整できるためである。
このように、振動片1の周波数を高くする方向だけでなく、周波数を低くすることがで
きるため、周波数を精度良く調整することができる。
また、他の周波数調整方法として、粗調用の第2質量部55,56,57にて、目標と
する周波数を狙って周波数調整を行い、その後、微調用の第1質量部51,52,53に
おいて周波数調整を行う。微調では、振動片1の周波数が目標とする周波数に対して高い
か低いかを判断して、周波数が低い場合には基部15とは反対側の第1質量部51,52
,53の金属膜を除去し、周波数が高い場合には基部15側の第1質量部51,52,5
3の金属膜を除去する。このような方法でも振動片1の周波数調整を行うことができる。
なお、第1質量部の金属膜をライン状に除去したが、間隔をあけてドット状に除去して
もよい。
また、振動片1を収容器にマウントした場合、回路容量などにより周波数が変化するた
め、収容器に振動片1をマウントした後に周波数調整を行うのがより好ましい。
以上、本実施形態の面外振動を行う振動片1は、振動腕11,12,13の全長Lのほ
ぼ中心に第1質量部51,52,53が形成されている。この振動腕11,12,13の
中心では質量の増減により周波数が増減する錘効果と、振動腕11,12,13の厚みに
より周波数が増減する厚み効果との境界が存在する。例えば、金属膜などを除去した場合
、錘効果が支配的な部分では周波数は高く調整され、厚み効果が支配的な部分では周波数
は低く調整される。
このように、この振動腕11,12,13の中間部では振動片1の周波数を+側(高く
)、−側(低く)に調整することができ、その金属膜除去による周波数の変化量は小さく
、精度の高い周波数調整が可能である。
さらに、このように振動腕11,12,13のXY平面に形成された第1質量部51,
52,53にて周波数の調整ができるので、従来のように振動腕11,12,13の側面
を加工することなく周波数調整が容易で、また、振動片1の小型化が可能である。
なお、第1質量部を振動腕の圧電素子を形成した面と同じ面に形成したが、対向する反
対の面に形成しても良い。
さらに、本実施形態では金属膜を除去する方法にて説明したが、金属膜を付加する方法
でも振動片の周波数調整が可能である。
(変形例)
次に、第1の実施形態の第1質量部における金属膜の構成の変形例について説明する。
図6は第1質量部の変形例における金属膜の構成を示し、図6(a)は変形例を示す平
面図、図6(b)は同図(a)のC−C断面図、図6(c)は第2変形例を示す平面図、
図6(d)は同図(c)のD−D断面図、図6(e)は第3の変形例を示す平面図、図6
(f)は同図(e)のE−E断面図である。なお、図6では一つの振動腕について表し、
他の2本の振動腕についても同様の構成とする。
変形例として、図6(a)、(b)に示すように、振動腕11の中間部に第1質量部5
1aが形成され、第1質量部51aの金属膜は振動腕11の延びる方向(Y方向)に多数
の溝部54が形成されスリットが形成されている。
また、第2の変形例として、図6(c)、(d)に示すように、振動腕11の中間部に
第1質量部51bが形成され、第1質量部51bの金属膜は振動腕11の幅方向(X方向
)に多数の溝部54が形成されスリットが形成されている。
このように、第1質量部51a,51bにスリットが形成されていることから、同じ面
積の金属膜の除去に対して周波数の変化量が少なく、精度の高い微調を可能とする。
また、スリットを形成する方向は上記に限らず、斜め方向のスリットであっても良い。
さらに、第3の変形例として、図6(e)、(f)に示すように、振動腕11の中心に
第1質量部51c,51dが形成され、第1質量部51c,51dの金属膜は振動腕の幅
方向(X方向)と長さ方向(Y方向)に多数のブロックに形成しても良い。なお、図示の
ように第1質量部51dを第1質量部51cよりも小さく形成することにより周波数調整
量によって任意に質量部を選択することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、上記で説明した振動片を備えた振動子について説明する

図7は振動子の構成を示し、図7(a)は概略平面図、図7(b)は同図(a)のG−
G断線に沿う概略断面図である。
振動子5は、第1の実施形態の振動片1と、収容器としてのセラミックパッケージ81
と、蓋体85を備えている。
セラミックパッケージ81は、振動片1を収納できるように凹部が形成され、その凹部
には振動片1のマウント電極と接続される接続パッド88が設けられている。接続パッド
88はセラミックパッケージ81内の配線に接続され、セラミックパッケージ81の外周
部に設けられた外部接続端子83と導通可能に構成されている。
また、セラミックパッケージ81の凹部の周囲にはシームリング82が設けられている
。さらに、セラミックパッケージ81の底部には貫通穴86が設けられている。
振動片1は、セラミックパッケージ81の接続パッド88に導電性接着剤84を介して
接着固定され、セラミックパッケージ81の凹部を覆う蓋体85とシームリング82とが
シーム溶接されている。セラミックパッケージ81の貫通穴86には金属材料の封止材8
7が充填されている。この封止材87は、減圧雰囲気内で溶融させられ、セラミックパッ
ケージ81内が減圧状態となるように気密に封止されている。
このように、振動子5は周波数調整が容易でしかも、精度よく周波数調整が行える振動
片1を備えており、周波数精度に優れた振動子5を提供できる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、上記で説明した振動片を備えた発振器について説明する

図8は発振器の構成を示し、図8(a)は概略平面図、図8(b)は同図(a)のH−
H断線に沿う概略断面図である。
発振器6は上記振動子5の構成に回路素子としてのICチップをさらに備えた点が異な
る。このため、振動子5と同じ構成については、同符号を附し説明を省略する。
発振器6は第1の実施形態の振動片1と、収容器としてのセラミックパッケージ81と
、蓋体85と、回路素子としてのICチップ91と、を備えている。
ICチップ91は、振動片1を励振させる発振回路を含み、セラミックパッケージ81
の底部に固着され、金線などの金属ワイヤー92により他の配線と接続されている。
このように、発振器6は周波数調整が容易でしかも、精度よく周波数調整が行える振動
片1を備えており、周波数精度に優れた発振器6を提供できる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態として、上記で説明した振動片を用いた電子機器について説明す
る。なお、図示は省略する。
上述した振動片1は、携帯電話、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、デ
ジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、ペ
ージャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、P
OS端末、タッチパネルを備えた機器などの基準クロック発振源などとして好適に用いる
ことができ、いずれの場合にも上述した各実施形態および変形例で説明した効果を奏する
電子機器を提供することができる。
1…振動片、5…振動子、6…発振器、11,12,13…振動腕、11a,12a,
13a…第1面、11b,12b,13b…第2面、15…基部、21,22,23…下
部電極、31,32,33…圧電膜、41,42,43…上部電極、45,46…マウン
ト電極、47,48…接続部、51,52,53…第1質量部、54…溝部、55,56
,57…粗調用の第2質量部、59…レーザー加工線、61,62,63…圧電素子、8
1…収容器としてのセラミックパッケージ、82…シームリング、83…外部接続端子、
84…導電性接着剤、85…蓋体、86…貫通穴、87…封止材、88…接続パッド、9
1…回路素子としてのICチップ、92…金属ワイヤー。

Claims (12)

  1. 第1軸と該第1軸に直交する第2軸とを含む平面上に設けられた基部と、
    前記基部から第1軸方向に延びる振動腕と、
    前記振動腕の共振周波数を調整する第1質量部と、を有し、
    前記振動腕は前記平面に対し垂直方向に屈曲振動し、屈曲振動により圧縮または伸長す
    る第1面と、前記第1面が圧縮したときに伸長し前記第1面が伸長したときに圧縮する第
    2面とを、有し、
    前記第1質量部は前記第1面および前記第2面の少なくとも一方の面であって、前記振
    動腕の基部側の端部から先端部までの長さの略中心に設けられたことを特徴とする振動片
  2. 請求項1に記載の振動片において、
    前記第1質量部に金膜を用いたことを特徴とする振動片。
  3. 請求項2に記載の振動片において、
    前記第1質量部にスリットが設けられたことを特徴とする振動片。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動片において、
    前記第1質量部が振動腕の全長Lに対して、基部側の端部から0.30L以上、0.6
    5L以下の範囲の少なくとも一部に設けられたことを特徴とする振動片。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の振動片において、
    前記第1質量部が振動腕の全長Lに対して、基部側の端部から0.42L以上、0.5
    7L以下の範囲の少なくとも一部に設けられたことを特徴とする振動片。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動片において、
    前記振動腕の先端部の前記第1面および前記第2面の少なくとも一方の面にさらに共振
    周波数を調整する第2質量部が設けられたことを特徴とする振動片。
  7. 第1軸と該第1軸に直交する第2軸とを含む平面上に形成される基部と、
    前記基部から第1軸方向に延びる振動腕と、
    前記振動腕の共振周波数を調整する第1質量部と、を有し、
    前記振動腕は前記平面に対し垂直方向に屈曲振動し、屈曲振動により圧縮または伸長す
    る第1面と、前記第1面が圧縮したときに伸長し前記第1面が伸長したときに圧縮する第
    2面とを、有し
    前記第1質量部は前記第1面および前記第2面の少なくとも一方の面であって、前記振
    動腕の基部側の端部から先端部までの長さの略中心に形成されている振動片を用意する工
    程と、
    前記第1質量部の質量を変化させることにより前記振動腕の共振周波数を調整する微調
    工程と、を有する周波数調整方法。
  8. 請求項7に記載の前記周波数調整工程において、
    前記振動片の周波数は、前記微調工程前において目標の周波数に対して低くなるように
    設定され、前記振動腕の前記第1軸方向の長さの略中心に対し先端部側に形成された前記
    第1質量部から質量を減少させることを特徴とする周波数調整方法。
  9. 請求項7または8に記載の前記周波数調整工程において、
    前記第1質量部に金膜を用い、前記金膜をレーザーで除去することにより前記第1質量
    部の質量を減少させることを特徴とする周波数調整方法。

  10. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の振動片と、
    前記振動片を収納したパッケージと、
    を備えることを特徴とする振動子。
  11. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の振動片と、
    前記振動片に接続された回路素子と、
    を備えることを特徴とする発振器。
  12. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の振動片を用いたことを特徴とする電子機器。
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