JP2004336207A - 圧電振動片と圧電振動片を利用した圧電デバイス、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話装置および圧電デバイスを利用した電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電振動片の振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域に、振動のためのエネルギーを適切に供給することで、CI値を抑制することができる圧電振動片と、この圧電振動片をパッケージに収容した圧電デバイス、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供すること。
【解決手段】全体が圧電材料により形成され、基部51と、この基部から平行に延びる複数の振動腕34,35とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成された圧電振動片32であって、前記駆動用の電極63,64が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている。
【選択図】 図4
【解決手段】全体が圧電材料により形成され、基部51と、この基部から平行に延びる複数の振動腕34,35とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成された圧電振動片32であって、前記駆動用の電極63,64が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動片と、この圧電振動片をパッケージに収容した圧電デバイス、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、パッケージ内に圧電振動片を収容した水晶振動子や水晶発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図8は、このような圧電デバイスに使用される圧電振動片の公知の構成例を示す概略平面図である(特許文献1参照)。
【0003】
図において、圧電振動片1は、例えば水晶の単結晶からなる水晶ウエハからエッチングにより図示するような音叉型に加工されて形成されている。
すなわち、圧電振動片1は、基部5と、この基部5から平行に延びる一対の振動腕6,7を備える音叉型水晶片で構成されている。
【0004】
圧電振動片1の基部5は、図示しないパッケージ側の電極部に対して固定されるようになっている。振動腕6,7の主面には、駆動用の励振電極3,4がそれぞれ形成されている。振動腕6,7の主面とは図示された表面と、その裏側となる裏面である。この励振電極3,4は互いに異極となるように対とされた電極である。振動腕6の主面には、励振電極3が形成され、この振動腕6の側面には、励振電極4が形成されている。一方、振動腕7の主面には、励振電極4が形成され、この振動腕7の側面には、励振電極3が形成されている。このような電極配置は圧電振動片1の表裏で同一となっている。
【0005】
また、基部5の幅方向両端部には、引出し電極3a,4aが形成されている。引出し電極3aは励振電極3と、引出し電極4aは励振電極4と、それぞれ細い接続電極3b,4bを引き回すことで接続されている。
そして、パッケージ側の電極(図示せず)に対して、各引出し電極3a,4aが、導電性接着剤等により固定されることによって、パッケージ側から各引出し電極3a,4aおよび接続電極3b,4bを介して、励振電極3,4に駆動電圧が印加されるようになっている。
これにより、振動腕6,7はその先端側6a,7aを互いに接近、離間させるようにして矢印に示すように屈曲振動する。このような振動に基づく振動周波数を取り出すことにより、制御用のクロック信号等の各種信号に利用されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−256868
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構造の圧電振動片1が図8の矢印に示すように屈曲振動すると、基部5の各振動腕6,7の間にあり各振動腕6,7の根元の領域である股部2に大きな歪みが生じる。ところが、このような歪みが分布する領域には、図8の構造から理解されるように、励振電極が配置されていない。
このことから、圧電振動片1は、屈曲振動の際に最も歪む領域に励振のためのエネルギーがほとんど供給されておらず、これが原因となってCI(クリスタルインピーダンス)値が高くなる構造であるという欠点があった。
【0008】
本発明は、圧電振動片の振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域に、振動のためのエネルギーを適切に供給することで、CI値を抑制することができる圧電振動片と、この圧電振動片をパッケージに収容した圧電デバイス、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、第1の発明によれば、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成された圧電振動片であって、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている、圧電振動片により、達成される。
第1の発明の構成によれば、圧電振動片の複数の振動腕が屈曲振動する際に歪みが大きくなる領域に対応して駆動用の電極を形成したので、この歪みの大きくなる領域に振動のためのエネルギーを積極的に供給できる。このため、振動腕の屈曲振動をより大きくすることができ、あるいは従来と同様に振動させるためには、少ない駆動電圧で済むことになる。
かくして、本発明によれば、圧電振動片の振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域に、振動のためのエネルギーを適切に供給することで、CI値を抑制することができるという効果を発揮することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記複数の振動腕の間となる股部に近接して、この股部を回り込むように、前記基部の領域まで前記駆動用の電極を形成したことを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、前記複数の振動腕の間となる股部は、振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域であり、特に、従来、駆動電極が形成されることがなかった基部の領域において、前記股部に近接させて駆動用の電極を形成することで、従来利用されていなかった領域を利用しつつ、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給することが可能となる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記駆動用の電極は、前記振動腕の主面に形成された表面電極および裏面電極と、この表面および裏面電極と対となるように前記振動腕の側面に形成された側面電極とを備えており、前記表面および裏面電極が基部の領域まで延長されて形成された基部駆動電極と、前記股部の側面電極との間隔が、前記振動腕に形成された表面または裏面電極と側面電極との間隔に近似する程度に狭く設定されていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、駆動用の表面および裏面電極と、これと対となる側面電極の間隔を狭く設定し、特に、振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域である前記股部の側面電極に対して、振動腕の電極の間隔と近似するような狭い間隔で、表面および裏面電極を配置するようにしているので、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給するためのきわめて有利な構成を実現できる。
【0012】
第4の発明は、第2または3のいずれかの発明の構成において、前記複数の振動腕の表面および裏面に、長さ方向に延びる溝部が形成されており、前記駆動用の電極である表面電極および裏面電極が、各溝部の内側に形成されていることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、前記駆動用の電極である表面電極および裏面電極が、各溝部の内側に形成されることにより、溝部に形成した電極と対となる側面電極との間が溝の壁部を隔てるだけの近い距離となることで、圧電材料内部に効率的に電界を形成することができる。
【0013】
また、上述の目的は、第5の発明によれば、ケースまたはパッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスであって、前記圧電振動片が、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている、圧電デバイスにより、達成される。
第5の発明の構成によれば、ケースまたはパッケージに収容される圧電振動片に関して、その複数の振動腕が屈曲振動する際に歪みが大きくなる領域に対応して駆動用の電極を形成したので、この歪みの大きくなる領域に振動のためのエネルギーを積極的に供給できる。このため、振動腕の屈曲振動をより大きくすることができ、あるいは従来と同様に振動させるためには、少ない駆動電圧で済むから、CI値の低い圧電デバイスを実現できる。
【0014】
また、上述の目的は、第6の発明によれば、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、前記圧電振動片が、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、携帯電話装置により、達成される。
【0015】
さらにまた、上述の目的は、第7の発明によれば、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスを利用した電子機器であって、前記圧電振動片が、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、電子機器により、達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は、本発明の圧電デバイスの実施の形態を示しており、図1はその概略平面図、図2は図1のA−A線概略断面図、図3は図1のB−B線切断端面図である。
図1および図2において、圧電デバイス30は、水晶振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、パッケージ36内に圧電振動片32を収容している。パッケージ36は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成するようにされている。
この内部空間S2が圧電振動片を収容するための収容空間である。
すなわち、図2に示されているように、この実施形態では、パッケージ36は、例えば、下から第1の積層基板52、第2の積層基板53を重ねて形成されている。
【0017】
パッケージ36の内部空間S2内の図において左端部付近において、内部空間S2に露出して内側底部を構成する第1の積層基板52には、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキおよび金メッキで形成した電極部31,31が設けられている。
この電極部31,31は、外部と接続されて、駆動電圧を供給するものである。この各電極部31,31の上に導電性接着剤43,43が塗布され、この導電性接着剤43,43の上に圧電振動片32の基部51が載置されて、導電性接着剤43,43が硬化されるようになっている。尚、導電性接着剤43,43としては、接合力を発揮する接着剤成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、シリコーン系、エポキシ系またはポリイミド系導電性接着剤等を利用することができる。
【0018】
パッケージ36の開放された上端には、ロウ材33を用いて蓋体39が接合されることにより、封止されている。蓋体39は、好ましくは、パッケージ36に封止固定した後で、図2に示すように、外部からレーザ光L2を圧電振動片32の金属被覆部(図示せず)に照射して、質量削減方式により周波数調整を行うために、光を透過する材料,特に、薄板ガラスにより形成されている。
蓋体39として適するガラス材料としては、例えば、ダウンドロー法により製造される薄板ガラスとして、例えば、硼珪酸ガラスが使用される。
【0019】
圧電振動片32は、水晶をエッチングして形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片32は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図1で示す形状とされている。
すなわち、圧電振動片32は、図1に示すX軸が電気軸、Y’軸が機械軸およびZ’軸が光軸となるように水晶の単結晶から切り出された水晶ウエハをウエットエッチングして形成されている。圧電振動片32は、パッケージ36側と後述するようにして固定される基部51と、この基部51を基端として、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片が利用されている。
【0020】
図1に示すように、圧電振動片32の各振動腕34,35の表面および裏面には、それぞれ長さ方向に延びる溝部56と溝部57が設けられている。
図3に示されているように、振動腕34には、その主面である表面と裏面にそれぞれ溝部56,56が設けられており、振動腕35には、その主面である表面と裏面にそれぞれ溝部57,57が設けられている。これらの溝部は、例えば、水晶ウエハをエッチングして圧電振動片32の外形を形成した後で、振動腕の部分をハーフエッチングすることにより形成することができる。
【0021】
さらに、図1において、圧電振動片32の基部51の幅方向両端付近には、引出し電極58,59が形成されている。各引出し電極58,59は、圧電振動片32の基部51の裏面にも同様に形成されている。
これらの各引出し電極58,59は、上述したように図1に示されているパッケージ側の電極部31,31と導電性接着剤43,43により接続される部分である。そして、各引出し電極58,59は、各振動腕34,35の溝部56,57内等に設けた駆動用の電極である励振電極と接続されている。
【0022】
すなわち、図1および図3に示すように、各振動腕34,35の溝部56,57内には、電極が形成されている。具体的には、振動腕34の溝部56,56には、励振電極63,63が、振動腕34の両側面には、これと対となる励振電極64,64とが形成されている。一方、振動腕35の溝部57,57には、励振電極64,64が、振動腕35の両側面には、これと対となる励振電極63,63とが形成されている(側面電極)。これにより、溝部に形成した電極と対となる側面電極との間が溝の壁部を隔てるだけの近い距離となることで、圧電材料内部に効率的に電界を形成することができる。
【0023】
ここで、これら電極の構造は、各振動腕34,35の主面である表面と裏面、すなわち、図3において上面と下面とで同じ構造である。図3の上面の励振電極63,64が表面電極であり、下面の励振電極63,64が裏面電極である。
図4に示すように、本実施形態では、駆動用の電極である各励振電極は、各振動腕34,35の各溝部56,57から、主面に沿って長さ方向に延長されて、圧電振動片32の基部51まで引き回されている。この延長された駆動用の電極が、図4の基部駆動電極63a,64aである。
【0024】
特に、各基部駆動電極63a,64aは、振動腕34と振動腕35との間の股部38の周囲を回り込むように配置されている。これは次の理由による。
図6は、圧電振動片32について、振動腕34,35が、その各先端34a,35aを矢印に示すように接近・離間させるように屈曲振動する場合に、歪みが生じる領域の分布状態をシュミレーションした図であり、符号a、b、cの順に歪みが大きい方からその領域が示されている。つまり、領域aが一番歪みが大きく、領域cは歪みが最も小さい。
図6によると、股部38の部分には、最も歪みが大きな領域aが位置しており、また、振動腕34,35の付け根の近傍の箇所にあたる基部51の振動腕側の先端付近にも、二番目に歪みが大きな領域bが分布している。
【0025】
そこで、図4に示されているように、基部駆動電極63a,64aは、その外縁が曲線状の股部38に近接するように回り込んで形成されるとともに、図6で示す基部51の領域bの箇所を覆うような形状とされている。
さらに、図4のC−C線切断端面図である図5に示すように、基部駆動電極64aの外縁と股部38に位置する側面電極63との間隔G1が、図4における振動腕35の主面に設けた励振電極64と側面電極63との間隔G2とほぼ一致する程度に狭くなるようにされている。この間隔G2は、例えば10μmないし15μm程度である。
これにより、対となる電極が近接して配置されることで、図5に矢印で示すように、効率よく電界が形成される。
尚、図5からも明らかなように、基部駆動電極は圧電振動片の主面である表面および裏面に同様の形状で形成されている。
【0026】
さらに、基部駆動電極63a,64aは、図4に示されているように、それぞれ対応する引出し電極59,58に接続されている。そして、図3に示されているように、振動腕34においては、その主面に形成した励振電極63と側面電極64、振動腕35においては、その主面に形成した励振電極64と側面電極63は、各溝部56,56,57,57の各壁部を構成する水晶材料を挟んで対向するように形成されている。
したがって、圧電振動片32においては、引出し電極58,59を介して印加された駆動電圧の作用で励振電極(側面電極)63と励振電極(側面電極)64に挟まれた水晶材料に電界を生じることができ、これにより、効率的に振動腕35の屈曲振動を生じるようにされている。
【0027】
本実施形態は以上のように構成されており、図4及び図6で説明したように圧電振動片32の振動腕34,35が屈曲振動する際に歪みが大きくなる領域に対応して基部駆動電極63a,64aを設けるようにしたので、この歪みの大きくなる領域に振動のためのエネルギーを積極的に供給できる。このため、振動腕34,35の屈曲振動をより大きくすることができ、あるいは従来と同様に振動させるためには、少ない駆動電圧で済むことになる。そして、圧電振動片32の振動腕34,35が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域に、振動のためのエネルギーを適切に供給することで、従来と比較して15パーセントないし20パーセント程度CI値を抑制することができる。
具体的には、従来、37kΩないし40kΩであったCI値が、本実施形態によれば、30kΩないし32kΩになることが、発明者により確認された。
【0028】
しかも基部駆動電極63a,64aは股部38に近接して、この股部38を回り込むように、基部51の領域まで形成されている。このため従来、駆動電極が形成されることがなかった基部51の領域において、利用されていなかった領域を利用しつつ、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給することが可能となる。
【0029】
特に、股部38において、基部駆動電極63aの外縁は、図5で説明したように側面電極63との間隔G1が、振動腕35に形成された励振電極64と側面電極63との間隔G2に近似する程度に狭く設定されている。このため、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給するためのきわめて有利な構成を実現できる。
【0030】
図7は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図である。
図において、送信者の音声を受信するマイクロフォン308および受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備えており、さらに、送受信信号の変調および復調部に接続された制御部としての集積回路等でなるコントローラ(CPU)301を備えている。
コントローラ301は、送受信信号の変調および復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力のための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RAM,ROM等でなる情報記憶手段であるメモリ303の制御を行うようになっている。このため、コントローラ301には、圧電デバイス30が取り付けられて、その出力周波数をコントローラ301に内蔵された所定の分周回路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにされている。このコントローラ301に取付けられる圧電デバイス30は、圧電デバイス30単体でなくても、圧電デバイス30と、所定の分周回路等とを組み合わせた発振器であってもよい。
【0031】
コントローラ301は、さらに、温度補償水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続されている。これにより、コントローラ301からの基本クロックが、環境温度が変化した場合に変動しても、温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部307および受信部306に与えられるようになっている。
このように、デジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電デバイス30を利用することにより、CI値を抑制することができ信頼性の高いデジタル式携帯電話装置300を得ることができる。
【0032】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、水晶振動子、水晶発振器等の名称にかかわらず、全ての圧電デバイスに適用することができる。
さらに、上述の実施形態では、パッケージに水晶材料を使用した箱状のものを利用しているが、このような形態に限らず、金属やセラミックのシリンダー状のケースに圧電振動片を収容するもの等、いかなるパッケージやケースを伴うものについても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスの実施形態を示す概略平面図。
【図2】図1のA−A線概略断面図。
【図3】図1のB−B線切断端面図。
【図4】図1の圧電デバイスに収容される圧電振動片の基部付近を拡大して示す概略平面図。
【図5】図4のC−C線切断端面図。
【図6】図1の圧電振動片の屈曲振動における歪み領域の分布を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図8】従来の圧電振動片を示す図。
【符号の説明】
30・・・圧電デバイス、32・・・圧電振動片、34,35・・・振動腕、38・・・股部、56,57・・・溝部、63,64・・・励振電極(駆動用の電極)、63a,64a・・・基部駆動電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動片と、この圧電振動片をパッケージに収容した圧電デバイス、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、パッケージ内に圧電振動片を収容した水晶振動子や水晶発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図8は、このような圧電デバイスに使用される圧電振動片の公知の構成例を示す概略平面図である(特許文献1参照)。
【0003】
図において、圧電振動片1は、例えば水晶の単結晶からなる水晶ウエハからエッチングにより図示するような音叉型に加工されて形成されている。
すなわち、圧電振動片1は、基部5と、この基部5から平行に延びる一対の振動腕6,7を備える音叉型水晶片で構成されている。
【0004】
圧電振動片1の基部5は、図示しないパッケージ側の電極部に対して固定されるようになっている。振動腕6,7の主面には、駆動用の励振電極3,4がそれぞれ形成されている。振動腕6,7の主面とは図示された表面と、その裏側となる裏面である。この励振電極3,4は互いに異極となるように対とされた電極である。振動腕6の主面には、励振電極3が形成され、この振動腕6の側面には、励振電極4が形成されている。一方、振動腕7の主面には、励振電極4が形成され、この振動腕7の側面には、励振電極3が形成されている。このような電極配置は圧電振動片1の表裏で同一となっている。
【0005】
また、基部5の幅方向両端部には、引出し電極3a,4aが形成されている。引出し電極3aは励振電極3と、引出し電極4aは励振電極4と、それぞれ細い接続電極3b,4bを引き回すことで接続されている。
そして、パッケージ側の電極(図示せず)に対して、各引出し電極3a,4aが、導電性接着剤等により固定されることによって、パッケージ側から各引出し電極3a,4aおよび接続電極3b,4bを介して、励振電極3,4に駆動電圧が印加されるようになっている。
これにより、振動腕6,7はその先端側6a,7aを互いに接近、離間させるようにして矢印に示すように屈曲振動する。このような振動に基づく振動周波数を取り出すことにより、制御用のクロック信号等の各種信号に利用されるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−256868
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構造の圧電振動片1が図8の矢印に示すように屈曲振動すると、基部5の各振動腕6,7の間にあり各振動腕6,7の根元の領域である股部2に大きな歪みが生じる。ところが、このような歪みが分布する領域には、図8の構造から理解されるように、励振電極が配置されていない。
このことから、圧電振動片1は、屈曲振動の際に最も歪む領域に励振のためのエネルギーがほとんど供給されておらず、これが原因となってCI(クリスタルインピーダンス)値が高くなる構造であるという欠点があった。
【0008】
本発明は、圧電振動片の振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域に、振動のためのエネルギーを適切に供給することで、CI値を抑制することができる圧電振動片と、この圧電振動片をパッケージに収容した圧電デバイス、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、第1の発明によれば、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成された圧電振動片であって、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている、圧電振動片により、達成される。
第1の発明の構成によれば、圧電振動片の複数の振動腕が屈曲振動する際に歪みが大きくなる領域に対応して駆動用の電極を形成したので、この歪みの大きくなる領域に振動のためのエネルギーを積極的に供給できる。このため、振動腕の屈曲振動をより大きくすることができ、あるいは従来と同様に振動させるためには、少ない駆動電圧で済むことになる。
かくして、本発明によれば、圧電振動片の振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域に、振動のためのエネルギーを適切に供給することで、CI値を抑制することができるという効果を発揮することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記複数の振動腕の間となる股部に近接して、この股部を回り込むように、前記基部の領域まで前記駆動用の電極を形成したことを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、前記複数の振動腕の間となる股部は、振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域であり、特に、従来、駆動電極が形成されることがなかった基部の領域において、前記股部に近接させて駆動用の電極を形成することで、従来利用されていなかった領域を利用しつつ、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給することが可能となる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記駆動用の電極は、前記振動腕の主面に形成された表面電極および裏面電極と、この表面および裏面電極と対となるように前記振動腕の側面に形成された側面電極とを備えており、前記表面および裏面電極が基部の領域まで延長されて形成された基部駆動電極と、前記股部の側面電極との間隔が、前記振動腕に形成された表面または裏面電極と側面電極との間隔に近似する程度に狭く設定されていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、駆動用の表面および裏面電極と、これと対となる側面電極の間隔を狭く設定し、特に、振動腕が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域である前記股部の側面電極に対して、振動腕の電極の間隔と近似するような狭い間隔で、表面および裏面電極を配置するようにしているので、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給するためのきわめて有利な構成を実現できる。
【0012】
第4の発明は、第2または3のいずれかの発明の構成において、前記複数の振動腕の表面および裏面に、長さ方向に延びる溝部が形成されており、前記駆動用の電極である表面電極および裏面電極が、各溝部の内側に形成されていることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、前記駆動用の電極である表面電極および裏面電極が、各溝部の内側に形成されることにより、溝部に形成した電極と対となる側面電極との間が溝の壁部を隔てるだけの近い距離となることで、圧電材料内部に効率的に電界を形成することができる。
【0013】
また、上述の目的は、第5の発明によれば、ケースまたはパッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスであって、前記圧電振動片が、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている、圧電デバイスにより、達成される。
第5の発明の構成によれば、ケースまたはパッケージに収容される圧電振動片に関して、その複数の振動腕が屈曲振動する際に歪みが大きくなる領域に対応して駆動用の電極を形成したので、この歪みの大きくなる領域に振動のためのエネルギーを積極的に供給できる。このため、振動腕の屈曲振動をより大きくすることができ、あるいは従来と同様に振動させるためには、少ない駆動電圧で済むから、CI値の低い圧電デバイスを実現できる。
【0014】
また、上述の目的は、第6の発明によれば、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、前記圧電振動片が、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、携帯電話装置により、達成される。
【0015】
さらにまた、上述の目的は、第7の発明によれば、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスを利用した電子機器であって、前記圧電振動片が、全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、電子機器により、達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は、本発明の圧電デバイスの実施の形態を示しており、図1はその概略平面図、図2は図1のA−A線概略断面図、図3は図1のB−B線切断端面図である。
図1および図2において、圧電デバイス30は、水晶振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、パッケージ36内に圧電振動片32を収容している。パッケージ36は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成するようにされている。
この内部空間S2が圧電振動片を収容するための収容空間である。
すなわち、図2に示されているように、この実施形態では、パッケージ36は、例えば、下から第1の積層基板52、第2の積層基板53を重ねて形成されている。
【0017】
パッケージ36の内部空間S2内の図において左端部付近において、内部空間S2に露出して内側底部を構成する第1の積層基板52には、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキおよび金メッキで形成した電極部31,31が設けられている。
この電極部31,31は、外部と接続されて、駆動電圧を供給するものである。この各電極部31,31の上に導電性接着剤43,43が塗布され、この導電性接着剤43,43の上に圧電振動片32の基部51が載置されて、導電性接着剤43,43が硬化されるようになっている。尚、導電性接着剤43,43としては、接合力を発揮する接着剤成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、シリコーン系、エポキシ系またはポリイミド系導電性接着剤等を利用することができる。
【0018】
パッケージ36の開放された上端には、ロウ材33を用いて蓋体39が接合されることにより、封止されている。蓋体39は、好ましくは、パッケージ36に封止固定した後で、図2に示すように、外部からレーザ光L2を圧電振動片32の金属被覆部(図示せず)に照射して、質量削減方式により周波数調整を行うために、光を透過する材料,特に、薄板ガラスにより形成されている。
蓋体39として適するガラス材料としては、例えば、ダウンドロー法により製造される薄板ガラスとして、例えば、硼珪酸ガラスが使用される。
【0019】
圧電振動片32は、水晶をエッチングして形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片32は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図1で示す形状とされている。
すなわち、圧電振動片32は、図1に示すX軸が電気軸、Y’軸が機械軸およびZ’軸が光軸となるように水晶の単結晶から切り出された水晶ウエハをウエットエッチングして形成されている。圧電振動片32は、パッケージ36側と後述するようにして固定される基部51と、この基部51を基端として、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片が利用されている。
【0020】
図1に示すように、圧電振動片32の各振動腕34,35の表面および裏面には、それぞれ長さ方向に延びる溝部56と溝部57が設けられている。
図3に示されているように、振動腕34には、その主面である表面と裏面にそれぞれ溝部56,56が設けられており、振動腕35には、その主面である表面と裏面にそれぞれ溝部57,57が設けられている。これらの溝部は、例えば、水晶ウエハをエッチングして圧電振動片32の外形を形成した後で、振動腕の部分をハーフエッチングすることにより形成することができる。
【0021】
さらに、図1において、圧電振動片32の基部51の幅方向両端付近には、引出し電極58,59が形成されている。各引出し電極58,59は、圧電振動片32の基部51の裏面にも同様に形成されている。
これらの各引出し電極58,59は、上述したように図1に示されているパッケージ側の電極部31,31と導電性接着剤43,43により接続される部分である。そして、各引出し電極58,59は、各振動腕34,35の溝部56,57内等に設けた駆動用の電極である励振電極と接続されている。
【0022】
すなわち、図1および図3に示すように、各振動腕34,35の溝部56,57内には、電極が形成されている。具体的には、振動腕34の溝部56,56には、励振電極63,63が、振動腕34の両側面には、これと対となる励振電極64,64とが形成されている。一方、振動腕35の溝部57,57には、励振電極64,64が、振動腕35の両側面には、これと対となる励振電極63,63とが形成されている(側面電極)。これにより、溝部に形成した電極と対となる側面電極との間が溝の壁部を隔てるだけの近い距離となることで、圧電材料内部に効率的に電界を形成することができる。
【0023】
ここで、これら電極の構造は、各振動腕34,35の主面である表面と裏面、すなわち、図3において上面と下面とで同じ構造である。図3の上面の励振電極63,64が表面電極であり、下面の励振電極63,64が裏面電極である。
図4に示すように、本実施形態では、駆動用の電極である各励振電極は、各振動腕34,35の各溝部56,57から、主面に沿って長さ方向に延長されて、圧電振動片32の基部51まで引き回されている。この延長された駆動用の電極が、図4の基部駆動電極63a,64aである。
【0024】
特に、各基部駆動電極63a,64aは、振動腕34と振動腕35との間の股部38の周囲を回り込むように配置されている。これは次の理由による。
図6は、圧電振動片32について、振動腕34,35が、その各先端34a,35aを矢印に示すように接近・離間させるように屈曲振動する場合に、歪みが生じる領域の分布状態をシュミレーションした図であり、符号a、b、cの順に歪みが大きい方からその領域が示されている。つまり、領域aが一番歪みが大きく、領域cは歪みが最も小さい。
図6によると、股部38の部分には、最も歪みが大きな領域aが位置しており、また、振動腕34,35の付け根の近傍の箇所にあたる基部51の振動腕側の先端付近にも、二番目に歪みが大きな領域bが分布している。
【0025】
そこで、図4に示されているように、基部駆動電極63a,64aは、その外縁が曲線状の股部38に近接するように回り込んで形成されるとともに、図6で示す基部51の領域bの箇所を覆うような形状とされている。
さらに、図4のC−C線切断端面図である図5に示すように、基部駆動電極64aの外縁と股部38に位置する側面電極63との間隔G1が、図4における振動腕35の主面に設けた励振電極64と側面電極63との間隔G2とほぼ一致する程度に狭くなるようにされている。この間隔G2は、例えば10μmないし15μm程度である。
これにより、対となる電極が近接して配置されることで、図5に矢印で示すように、効率よく電界が形成される。
尚、図5からも明らかなように、基部駆動電極は圧電振動片の主面である表面および裏面に同様の形状で形成されている。
【0026】
さらに、基部駆動電極63a,64aは、図4に示されているように、それぞれ対応する引出し電極59,58に接続されている。そして、図3に示されているように、振動腕34においては、その主面に形成した励振電極63と側面電極64、振動腕35においては、その主面に形成した励振電極64と側面電極63は、各溝部56,56,57,57の各壁部を構成する水晶材料を挟んで対向するように形成されている。
したがって、圧電振動片32においては、引出し電極58,59を介して印加された駆動電圧の作用で励振電極(側面電極)63と励振電極(側面電極)64に挟まれた水晶材料に電界を生じることができ、これにより、効率的に振動腕35の屈曲振動を生じるようにされている。
【0027】
本実施形態は以上のように構成されており、図4及び図6で説明したように圧電振動片32の振動腕34,35が屈曲振動する際に歪みが大きくなる領域に対応して基部駆動電極63a,64aを設けるようにしたので、この歪みの大きくなる領域に振動のためのエネルギーを積極的に供給できる。このため、振動腕34,35の屈曲振動をより大きくすることができ、あるいは従来と同様に振動させるためには、少ない駆動電圧で済むことになる。そして、圧電振動片32の振動腕34,35が屈曲振動する際の歪みが大きくなる領域に、振動のためのエネルギーを適切に供給することで、従来と比較して15パーセントないし20パーセント程度CI値を抑制することができる。
具体的には、従来、37kΩないし40kΩであったCI値が、本実施形態によれば、30kΩないし32kΩになることが、発明者により確認された。
【0028】
しかも基部駆動電極63a,64aは股部38に近接して、この股部38を回り込むように、基部51の領域まで形成されている。このため従来、駆動電極が形成されることがなかった基部51の領域において、利用されていなかった領域を利用しつつ、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給することが可能となる。
【0029】
特に、股部38において、基部駆動電極63aの外縁は、図5で説明したように側面電極63との間隔G1が、振動腕35に形成された励振電極64と側面電極63との間隔G2に近似する程度に狭く設定されている。このため、歪みの大きくなる領域に効率良く振動のためのエネルギーを供給するためのきわめて有利な構成を実現できる。
【0030】
図7は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図である。
図において、送信者の音声を受信するマイクロフォン308および受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備えており、さらに、送受信信号の変調および復調部に接続された制御部としての集積回路等でなるコントローラ(CPU)301を備えている。
コントローラ301は、送受信信号の変調および復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力のための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RAM,ROM等でなる情報記憶手段であるメモリ303の制御を行うようになっている。このため、コントローラ301には、圧電デバイス30が取り付けられて、その出力周波数をコントローラ301に内蔵された所定の分周回路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにされている。このコントローラ301に取付けられる圧電デバイス30は、圧電デバイス30単体でなくても、圧電デバイス30と、所定の分周回路等とを組み合わせた発振器であってもよい。
【0031】
コントローラ301は、さらに、温度補償水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続されている。これにより、コントローラ301からの基本クロックが、環境温度が変化した場合に変動しても、温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部307および受信部306に与えられるようになっている。
このように、デジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電デバイス30を利用することにより、CI値を抑制することができ信頼性の高いデジタル式携帯電話装置300を得ることができる。
【0032】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、水晶振動子、水晶発振器等の名称にかかわらず、全ての圧電デバイスに適用することができる。
さらに、上述の実施形態では、パッケージに水晶材料を使用した箱状のものを利用しているが、このような形態に限らず、金属やセラミックのシリンダー状のケースに圧電振動片を収容するもの等、いかなるパッケージやケースを伴うものについても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスの実施形態を示す概略平面図。
【図2】図1のA−A線概略断面図。
【図3】図1のB−B線切断端面図。
【図4】図1の圧電デバイスに収容される圧電振動片の基部付近を拡大して示す概略平面図。
【図5】図4のC−C線切断端面図。
【図6】図1の圧電振動片の屈曲振動における歪み領域の分布を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図8】従来の圧電振動片を示す図。
【符号の説明】
30・・・圧電デバイス、32・・・圧電振動片、34,35・・・振動腕、38・・・股部、56,57・・・溝部、63,64・・・励振電極(駆動用の電極)、63a,64a・・・基部駆動電極
Claims (7)
- 全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成された圧電振動片であって、
前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている
ことを特徴とする、圧電振動片。 - 前記複数の振動腕の間となる股部に近接して、この股部を回り込むように、前記基部の領域まで前記駆動用の電極を形成したことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
- 前記駆動用の電極は、前記振動腕の主面に形成された表面電極および裏面電極と、この表面および裏面電極と対となるように前記振動腕の側面に形成された側面電極とを備えており、前記表面および裏面電極が基部の領域まで延長されて形成された基部駆動電極と、前記股部の側面電極との間隔が、前記振動腕に形成された表面または裏面電極と側面電極との間隔に近似する程度に狭く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動片。
- 前記複数の振動腕の表面および裏面に、長さ方向に延びる溝部が形成されており、前記駆動用の電極である表面電極および裏面電極が、各溝部の内側に形成されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の圧電振動片。
- ケースまたはパッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスであって、
前記圧電振動片が、
全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、
前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている
ことを特徴とする、圧電デバイス。 - パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、
前記圧電振動片が、
全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、
前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにしたことを特徴とする、携帯電話装置。 - パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電デバイスを利用した電子機器であって、
前記圧電振動片が、
全体が圧電材料により形成され、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、前記振動腕の主面である表面と裏面にそれぞれ駆動用の電極が形成されており、
前記駆動用の電極が、前記複数の振動腕の屈曲振動の際の歪みが大きくなる領域に対応して形成されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにしたことを特徴とする、電子機器。
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JP2007081698A (ja) * | 2005-09-13 | 2007-03-29 | Daishinku Corp | 音叉型圧電振動片および圧電振動デバイス |
JP2009152989A (ja) * | 2007-12-21 | 2009-07-09 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 圧電振動片及び圧電デバイス |
US8018127B2 (en) | 2009-02-18 | 2011-09-13 | Epson Toyocom Corporation | Flexural resonator element and flexural resonator for reducing energy loss due to heat dissipation |
-
2003
- 2003-05-01 JP JP2003126594A patent/JP2004336207A/ja not_active Withdrawn
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JP2004120802A (ja) | 振動片、振動子、発振器及び電子機器 |
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