JP2011129442A - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、非水電解液の溶媒の酸化分解による性能低下が少なく、かつ、サイクル性に優れた高電圧リチウムイオン二次電池と、それを実現するリチウムイオン二次電池用高電位正極を得ることにある。
【解決手段】本発明は、正極に、金属リチウム基準で4.5V以上の高電位を発現する正極活物質と、導電剤として難黒鉛化炭素とカーボンブラックと、を有し、かつ、正極合剤に占める正極活物質の表面積(SA)に対する導電剤の表面積(SC)の比率(SC)/(SA)が、0.5以上2.5以下となるよう正極を構成するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属リチウム基準で4.5V以上の高電位を発現するリチウムイオン二次電池用正極及びそれを用いた高電圧のリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電気自動車やハイブリッド型電気自動車、あるいは、電力貯蔵等に用いられる電池を多直列で使用する電源として、または、よりエネルギー密度の高い電源として、従来の4V前後の電圧に比べより高電圧のリチウムイオン二次電池が求められている。
高電圧のリチウムイオン二次電池を得るには、金属リチウム基準で4.5V以上の電位を発現する正極活物質を有する高電位のリチウムイオン二次電池用正極が必要である。
このような高電位のリチウムイオン二次電池用正極に用いる正極活物質としては、一般式LiMn2-XX4(M=Ni,Co,Cr,Fe等)で表記される遷移金属置換スピネルマンガン酸化物や、一般式LiMPO4(M=Ni,Co)で表記される通称オリビン系酸化物が知られている。
高電圧のリチウムイオン二次電池は、この高電位の正極と、負極と、リチウム塩を有機溶媒等に溶解した非水電解液とから構成される。
使用電位範囲が、金属リチウム基準で4.5V未満である正極活物質も含めて、一般的に正極活物質は電子伝導性が不十分であるため、通常、正極には導電剤が含有される。
すなわち、一般的に正極は、活物質粒子と導電剤粒子とこれらを結着する樹脂等の結着剤とで構成される正極合剤が、アルミ箔等の集電体に結着されている。
導電剤には、化学的安定性と電子伝導性とから炭素材、特に、黒鉛材がよく用いられている。これに加え、カーボンブラックも用いられている。
ところで、4.5V以上の電位を発現する高電位の正極を用いたリチウムイオン二次電池においては、通常の正極では発現しない課題が生ずることが知られている。
第一の課題は、正極の表面において、非水電解液の溶媒が酸化分解することである。
これにより、酸化分解に電気量が消費されることによるクーロン効率(充電容量に対する放電容量の比)の低下、溶媒の酸化分解による生成ガスの発生に起因する電池内圧の上昇や外装の膨れ、電解液が減少することによる性能低下、が生ずるものである。
第二の課題は、正極の充放電を繰り返すことで、導電剤の黒鉛の層間にリチウム塩のアニオンが挿入脱離し、黒鉛の膨張収縮が繰り返される。これにより、活物質と導電剤との接触性が次第に低下し、電池性能が低下することである。
第二の課題は、高電位の正極における導電剤の課題である。また、第一の課題も、溶媒の酸化反応は活物質と導電剤とのいずれにおいても進行するものであり、導電剤の課題である。
この第二の課題に対しては、特許文献1に、窒化物や酸化物を導電剤に用いた高電位の正極の開示がある。しかし、黒鉛やカーボンブラックに比べ窒化物や酸化物はその電子伝導性が劣るため、電池性能が低下することは明らかである。
また、第二の課題に対しては、特許文献2や特許文献3に、アニオンの挿入脱離の影響の小さいカーボンブラックのみを導電剤として用いる高電位の正極の開示がある。しかし、カーボンブラックは小粒径であるため、必然的に単位重量あたりの比表面積が大きく、このため第一の課題に対して、正極における溶媒の酸化分解が進行する反応面積が大きくなるという問題点がある。これを避けるためにカーボンブラックの量を減らすことは、電池性能の低下を引起すことは明らかである。
また、導電剤に関する従来技術として、特許文献4に、導電剤として難黒鉛化炭素を用いる正極の開示がある。しかし、これは4.5V未満の電位である通常の正極の技術であり、高電位の正極における第一の課題である正極の表面における非水電解液の溶媒が酸化分解、あるいは、第二の課題である充放電サイクルによる電池性能の低下について考慮されていない。
さらにまた、特許文献5には、溶媒の分解が進行する正極の表面、つまり、正極合剤の表面積について記述されている。しかし、これは4.5V未満の電位である通常の正極の技術であり、高電位の正極における第二の課題である充放電サイクルによる電池性能の低下について考慮されていない。
特開2003−142101号公報 特開2006−185792号公報 特開2001−243982号公報 特開2002−358966号公報 特開2007−018863号公報
以上、詳述したように、高電圧のリチウムイオン二次電池に必要な4.5V以上の電位を発現する高電位の正極における2つの課題、非水電解液の溶媒の酸化分解によるクーロン効率の低下、または、導電剤としての黒鉛の膨張収縮によるサイクル特性の低下、を解決するための検討は未だ十分なされていない。
そこで、本発明の目的は、このような2つの課題を解決するものであり、つまり、非水電解液の溶媒の酸化分解によるクーロン効率の低下、または、導電剤としての黒鉛の膨張収縮によるサイクル特性の低下、を抑制するリチウムイオン二次電池用高電位正極を得ることにある。
本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池用正極は、金属リチウム基準で4.5V以上の電位を発現する正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含む正極合剤を有するものであって、導電剤として難黒鉛化炭素とカーボンブラックとを有し、かつ、正極合剤に占める正極活物質の表面積(SA)に対する導電剤の表面積(SC)の比率(SC)/(SA)が、0.5以上2.5以下、望ましくは0.5以上1.5以下であることを特徴とする。
そして、難黒鉛化炭素が、平均粒径は1μm以上15μm以下、かつ、比表面積が1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。
また、難黒鉛化炭素が、X線回折において実質的に(002)面のスペクトルのみ発現し、かつ、d(002)が0.350nm以上0.390nm以下、かつ、Lcが5nm以上15nm以下、かつ、その真密度が1.3g/cm3以上1.9g/cm3以下であることが好ましい。
また、カーボンブラックが、平均粒径は20nm以上100nm以下、かつ、比表面積が15m2/g以上100m2/g以下であることが好ましい。
また、正極活物質の比表面積が、0.1m2/g以上1m2/g以下であることが好ましい。
また、正極合剤に占める正極活物質に対する導電剤の比率が、4重量%以上15重量%以下であることが好ましい。
また、正極活物質が、組成式Li1+aMn2-a-x-yNixy4(0≦a≦0.1,0.3≦x≦0.5,0≦y≦0.2、MはCu,Co,Mg,Zn,Feの少なくとも1種)であるスピネル型酸化物であることが好ましい。
そして、こうした正極を用いて、負極や非水電解液とともにリチウムイオン二次電池を形成することもできる。
そこで、本発明の目的は、このような2つの課題を解決するものであり、つまり、非水電解液の溶媒の酸化分解によるクーロン効率の低下、または、導電剤としての黒鉛の膨張収縮によるサイクル特性の低下、を抑制するリチウムイオン二次電池用高電位正極を得ることにある。
本実施形態の作用を示すための正極の概念図。 本実施形態のボタン型のリチウムイオン二次電池の断面の模式図。 本実施形態の電池及び比較電池の正極の(SC)/(SA)に対する放電容量を示す図。 本実施形態の電池及び比較電池の正極の(SC)/(SA)に対するクーロン効率を示す図。 本実施形態の電池及び比較電池の初期及びサイクル試験後の放電容量の比較を示す図。 本実施形態の電池及び比較電池の正極の(SC)/(SA)に対する放電容量を示す図。 本実施形態の電池及び比較電池の正極の(SC)/(SA)に対するクーロン効率を示す図。 本実施形態の電池及び比較電池の正極の(SC)/(SA)に対する放電容量を示す図。 本実施形態の電池及び比較電池の正極の(SC)/(SA)に対するクーロン効率を示す図。
本実施形態の高電位(金属リチウム基準で4.5V以上)の正極における第一の特徴は、その正極合剤に占める正極活物質の表面積(SA)に対する導電剤の表面積(SC)の比率(SC)/(SA)が、0.5以上2.5以下、望ましくは0.5以上1.5以下であることである。
電解液の溶媒の酸化反応は、正極活物質と導電剤との双方で進行する。この点において、正極活物質および導電剤ともに、正極における表面積は小さいほうが望ましい。
しかし、正極活物質の表面では、リチウムイオンの挿入脱離反応も進行する。このため正極活物質にはある程度の比表面積が必要で、正極における活物質の表面積の低減には性能上の限界がある。
この表面積の限界は必ずしも一定ではなく、例えば、大電流での使用を念頭におく場合、活物質の表面積がより必要となる。
本実施形態の第一の特徴における狙いは、正極における電解液の溶媒の酸化反応面積を低減するため、活物質の表面積を低減するのではなく、リチウムイオンの反応には関与しない導電剤の表面積を一定値以下とすることにある。
すなわち、正極合剤に占める正極活物質の表面積(SA)に対する導電剤の表面積(SC)の比率(SC)/(SA)を、2.5以下、望ましくは1.5以下とする。
一方、(SC)/(SA)が小さすぎると、正極活物質の表面での溶媒の酸化が支配的になり、(SC)/(SA)を低減する効果が小さくなる。同時に、導電剤の表面積が低下することで導電剤と正極活物質との接触点が低減し、電池性能が低下する恐れがある。このため、(SC)/(SA)を0.5以上とする。
(SC)/(SA)は、正極活物質,導電剤である難黒鉛化炭素及びカーボンブラックの各々の比表面積と正極における各材料の重量比率とを用い、数1により求められる。
Figure 2011129442
つまり、数1は、(難黒鉛化炭素の比表面積×難黒鉛化炭素の重量比+カーボンブラックの比表面積×カーボンブラックの重量比)/(正極活物質の比表面積×正極活物質の重量比)を表している。
本実施形態の高電位の正極における第二の特徴は、導電剤として難黒鉛化炭素とカーボンブラックとを有することである。
難黒鉛化炭素は、ガラス状カーボンに代表され、一般にはその平均粒径は1μm以上である。
難黒鉛化炭素は、炭素六角網面が積層した結晶子(基本構造単位)の大きさが黒鉛に比べ小さく、かつ実質的に無配向であることを特徴とする。配向とは、結晶子が集合した組織において、結晶子の結晶面(六角網面)がある方向に揃うように結晶子が集合している状態をいい、一種の異方性とも言える。
黒鉛は、結晶子が大きく発達しており、かつ強く配向しており、易黒鉛化炭素は、結晶子は小さいものの、ある程度配向していることを特徴とする。
このため、両者とも4.5V以上の高電位において、六角網面の層間へのアニオンの挿入脱離反応が起こりえる。
本発明者は、この点において検討し、難黒鉛化炭素は、結晶子が小さく、かつ無配向であるため、アニオンの挿入脱離反応が起きず、この難黒鉛化炭素を高電位の正極の導電剤として用いることにより、充放電サイクルによる電池性能の低下を抑制しうることを見出した。
カーボンブラックは、その製法によりアセチレンブラックやファーネスブラック等の名称で呼ばれている。
一般に、カーボンブラックは、約100nm以下の炭素粒子で、かつ一次粒子が数珠状に繋がったストラクチャーと称する構造を有するのが特徴である。
一般に、粒子における結晶子は極めて小さいが、点配向(放射状配向)あるいは同心球状配向となることが多い。このため、アニオンの挿入脱離反応が起きないか、起きたとしてもその粒径が小さいため、正極の性能に与える影響は小さい。
本実施形態の第二の特徴における狙いは、導電剤として難黒鉛化炭素を用いることで、アニオンの挿入脱離反応を抑え、かつ正極合剤に占める導電剤表面積(SC)を低減し、本実施形態の第一の特徴である(SC)/(SA)を一定値以下とすることである。
この作用を図1に模式的に示す。図1は、本実施形態の作用を示すための正極の概念図を示したものである。
難黒鉛化炭素3の存在により、集電箔2と接触していない活物質粒子(正極活物質1)にまで電子を供給することができる。
さらに、カーボンブラック4により、難黒鉛化炭素3と活物質粒子との間の接触点が増え、電気抵抗が低減し、より優れた電池性能を発現する。
この難黒鉛化炭素3の作用をカーボンブラック4により実現しようとした場合、多量のカーボンブラック4が必要となり、その結果、正極合剤に占める導電剤の表面積(SC)が増大する。
よって、難黒鉛化炭素3の存在により、カーボンブラック4の量を低減でき、電池性能を損なうことなく導電剤の表面積(SC)の低減が実現できる。
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極と、それを用いた高電圧のリチウムイオン二次電池の一実施形態を説明する。
本実施形態の高電位の正極には、金属リチウム基準で4.5V以上の電位を発現する正極活物質を用いる。
本実施形態に用いられる正極活物質には、一般式LiMn2-XX4で表記されるスピネル型酸化物や、一般式LiMPO4(M=Ni,Co)で表記される通称オリビン型酸化物があるが、特に限定はされない。
本実施形態のより望ましい形態としては、正極活物質が、4.5V以上の電位を安定かつ高容量で発現する、組成式Li1+aMn2-a-x-yNixy4(0≦a≦0.1,0.3≦x≦0.5,0≦y≦0.2、MはCu,Co,Mg,Zn,Feの少なくとも1種)であるスピネル型酸化物である。
すなわち、遷移金属元素のうちMnを主構成元素とし、Niを主置換元素とし、かつ必要に応じ若干量の遷移金属元素を置換したものである。また、上記組成に若干量のAlやTi等の表記以外の元素が含まれてもよい。
正極活物質は、一般的な無機化合物の合成方法と同様の方法で合成できる。
スピネル型酸化物を例とすると、原料となる複数の化合物を、所望するLiとMnと元素Mの組成比となるよう秤量し、均質に混合し焼成することで合成できる。
原料となる化合物としては、それぞれの元素の好適な酸化物,水酸化物,塩化物,硝酸塩,炭酸塩等を用いることができる。
また、LiとMnと元素Mのうちの2つ以上の元素を含む化合物を原料として用いることも可能であり、例えば、Mnと元素Mとをあらかじめ湿式原料として弱アルカリ性の水溶液中で沈殿させて水酸化物原料とすることができる。
また、原料の混合と工程と焼成の工程は、必要に応じて、混合,焼成工程を繰り返す製造工程としてもよい。その際は、混合条件,焼成条件は適宜に選択できる。
また、混合,焼成工程を繰り返す製造工程とする場合は、混合工程を繰り返す際に原料を適宜追加し、最終の焼成工程において目的とする組成比になるようにしてもよい。
スピネル型酸化物を例に、好ましい製法の一例を示すと、Mn化合物,Ni化合物及び元素Mの化合物を所望の組成となるよう秤量,混合,焼成し、Mn,Ni及び元素Mの混合酸化物を作製する。
この混合酸化物にLi化合物を所望の組成となるよう秤量,混合し、前記混合酸化物の焼成より低温で焼成することで、不純物相が少なく、4.5V以上の電位を安定かつ高容量で発現する正極活物質が得られる。
本実施形態における正極活物質の組成は、正極活物質を例えば塩酸等に溶解した溶液を、高周波誘導プラズマ分光法や原子吸光法により測定することができる。
本実施形態に用いられる正極活物質の形状は特に限定されない。
本実施形態のより望ましい形態としては、正極活物質の比表面積が、0.1m2/g以上1m2/g以下である。0.1m2/g未満では、リチウムイオンの挿入脱離に要する比表面積として小さく、その電池性能が損なわれる恐れがあり、1m2/gを超えると、電池特性に対する効果に比べ、電解液溶媒の酸化反応の影響が大きくなる恐れがある。
また、上記の範囲の比表面積を実現するには、その正極活物質の平均粒径は凡そ1.5μm以上15μm以下とするのが好適である。
さらに本実施形態の高電位の正極には、導電剤として難黒鉛化炭素を有する。
本実施形態の高電位の正極に用いる難黒鉛化炭素の種類や粒径と比表面積は、特に限定はされないが、難黒鉛化炭素には、活性炭のように多数の微細孔を有し、比表面積が著しく高い種類もある。
また、その電池性能を発現するため正極活物質として望ましい粒径があり、この正極活物質の粒径に対し難黒鉛化炭素の粒径が著しく異なることは、電池性能が低下する恐れがある。
さらに、(SC)/(SA)を本実施形態の範囲とするには、正極における導電剤の使用量や正極活物質の比表面積に応じ、難黒鉛化炭素としてより好ましい粒径の範囲がある。
従って、本実施形態の高電位の正極におけるより望ましい形態は、導電剤として用いる難黒鉛化炭素の平均粒径が1μm以上15μm以下、かつ比表面積が1m2/g以上10m2/g以下である。
難黒鉛化炭素の比表面積が1m2/g未満では、正極活物質との接触点が少なくなり電池性能を損なう恐れがあり、10m2/gを超えると、比表面積が増大し、第一の特徴を満たせない恐れがある。
さらに難黒鉛化炭素の平均粒径が15μmを超えると比表面積が低下し、正極活物質との接触点が少なくなり電池性能を損なう恐れがある。また、平均粒径が1μm未満では比表面積が増大し、第一の特徴を満たせない恐れがあり、また難黒鉛化炭素粒子の製造には通常粉砕工程を伴うため、1μm未満の粒子の製造は困難を伴う。
さらに本実施形態の高電位の正極に導電剤として用いる難黒鉛化炭素のより望ましい形態として、X線回折法により実質的に(002)面のスペクトルのみ発現するものである。
また、X線回折法により測定された、その結晶子の(002)面のC軸方向の結晶子厚み(Lc)が通常15nm以下となるものであり、さらに(002)面の面間隔(d値)が0.350nm以上0.390nm以下となるものである。
このような形態とすることで、アニオンの挿入脱離反応を効果的に抑え、充放電サイクルによる電池性能の低下を効果的に抑制することができる。
また難黒鉛化炭素は無配向であることから、結晶子間に空隙が存在するため、その真密度が通常1.3g/cm3以上1.9g/cm3となるものである。
さらに本実施形態の高電位の正極には、導電剤としてカーボンブラックを有する。
本実施形態に用いられるカーボンブラック種については特に限定はされず、アセチレンブラック,ケッチェンブラック,ファーネスブラック,サーマルブラック等を用いることができる。
本実施形態の高電位の正極におけるより望ましい形態は、導電剤として用いるカーボンブラックの平均粒径は20nm以上100nm以下、かつ比表面積が15m2/g以上100m2/g以下である。
比表面積が15m2/g未満では、正極活物質との接触点が少なくなり電池性能を損なう恐れがあり、100m2/gを超えると、比表面積が増大し、第一の特徴を満たせない恐れがある。
さらに平均粒径が100nmを超えると比表面積が低下し、正極活物質との接触点が少なくなり電池性能を損なう恐れがある。また平均粒径が20nm未満では比表面積が増大し、第一の特徴を満たせない恐れがある。
難黒鉛化炭素のd値とLc値とを測定するには、反射回折式の粉末X線回折法を用いることが好ましい。
Cuをターゲットとし、管電圧50kV,管電流150mAでCuKα線を、望ましくは若干量のSi粉末等を内部標準として混合した難黒鉛化炭素に照射し、回折線をゴニオメータで測定し、粉末X線回折スペクトルを得る。
2θが20〜30°の範囲にある(002)面の回折ピークを基に、Braggの式により(002)面の面間隔(d値)を求め、Scherrerの式によりC軸方向の結晶子厚み(Lc)を求める。
また、作製した正極活物質の不純物相の有無についても、同様に反射回折式の粉末X線回折法を用いることが好ましい。
また難黒鉛化炭素の真密度測定は、ヘリウム吸着法を用い、体積既知の試料容器に、重量既知の炭素材料がある場合とない場合との二つの容器から、その体積の差を測定し、そして、求められた体積の差を用いて、重量を割ることにより、求めることができる。
さらにまた、正極活物質や難黒鉛化炭素等の材料粒子の平均粒径の測定には、光回折法を用いることができる。
材料粒子を純水等の溶媒に分散させ、レーザ光を照射した際の回折光を解析することで、その平均粒径を知ることができる。
また、カーボンブラックのような微小ではあるがその粒径が比較的揃っている材料粒子については、走査型あるいは透過型電子顕微鏡による観察により知ることもできる。
さらにまた正極活物質や難黒鉛化炭素,カーボンブラックの比表面積の測定には、ヘリウムガス等を用いた、ガス吸着法(BET1点、あるいは多点法)を用いることができる。
以上の正極活物質,難黒鉛化炭素,カーボンブラックを用い、本実施形態の高電位の正極を作製する。
正極活物質、及び導電剤である難黒鉛化炭素とカーボンブラックとを、正極活物質の表面積(SA)に対する導電剤の表面積(SC)の比率、(SC)/(SA)、が0.5以上2.5以下、望ましくは0.5以上1.5以下となるよう秤量し、混合する。
これに、所望の合剤組成となるよう結着剤を溶解した溶液を秤量して加え、さらに必要に応じこれらを均一に混合するための溶媒を加えて混合し、正極合剤スラリーを作製する。このスラリーをアルミ箔等の集電箔に塗布し乾燥後、プレス等の成型や所望の大きさにする裁断を行い、正極を作製する。
結着剤には、ポリビニリデンフロライドやポリテトラフルオロエチレン等の高分子性樹脂を用いることができる。
また、結着剤を溶解する溶媒や均一なスラリーを得るための溶媒として、Nメチル2ピロリドン(NMP)を用いることができる。
上記正極における正極活物質と導電剤の重量比は、本実施形態の(SC)/(SA)の範囲とし、かつ優れた電池性能を得るために、適切な範囲とすることが好ましい。
すなわち本実施形態の高電位の正極におけるより望ましい形態は、正極活物質に対する導電剤の重量比が4重量%以上15%以下である。
4重量%未満では、正極の電子抵抗が高く十分な電池性能が得られない恐れがあり、また15%以上では、導電剤の表面積が大きくなり正極の表面積が増大し、第一の特徴を満たせない恐れが生ずる。
このようにして得られた本実施形態の高電位の正極における単位合剤重量あたりの比表面積は、その正極活物質の比表面積により、おおよそ好適な範囲がある。
正極合剤の比表面積は、結着剤の存在により、正極活物質,難黒鉛化炭素,カーボンブラック各々の比表面積と重量比から求められる値より、やや小さくなる。例えば約0.2m2/gの正極活物質であれば、その好適な正極合剤の比表面積はおおよそ0.1m2/gないし0.4m2/gの範囲である。また例えば約0.5m2/gの正極活物質であれば、その好適な正極合剤の比表面積はおおよそ0.4m2/gないし0.8m2/gの範囲である。さらにまた例えば約0.9m2/gの正極活物質であれば、その好適な正極合剤の比表面積はおおよそ0.7m2/gないし1.7m2/gの範囲である。
以上のように作製した本実施形態の正極と、負極と非水電解液とにより、本実施形態のリチウムイオン二次電池を構成する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池に用いる負極は、以下の構成である。
負極活物質としては、特に限定はなく、黒鉛,易黒鉛化炭素,難黒鉛化炭素等の炭素材,金属リチウム,チタン酸リチウムやスズ,シリコン等の酸化物,スズ,シリコン等のリチウムと合金化する金属、これらの活物質を用いた複合材料が挙げられる。
負極活物質と必要に応じカーボンブラック等の導電剤と秤量し、混合する。
これに、所望の合剤組成となるよう結着剤をNMP等に溶解した溶液を秤量して加え、さらに必要に応じこれらを均一に混合するためのNMP等の溶媒を加えて混合し、負極合剤スラリーを作製する。
このスラリーを銅箔等の集電箔に塗布し乾燥後、プレス等の成型や所望の大きさにする裁断を行い、負極を作製する。結着剤には、ポリビニリデンフロライドやポリテトラフルオロエチレン等の高分子性樹脂を用いることができる。
非水電解液は、リチウム塩を非水溶媒に溶解して作製する。
リチウム塩は、電池の充放電により電解液中を移動するリチウムイオンを供給するもので、LiClO4,LiCF3SO3,LiPF6,LiBF4,LiAsF6などを単独もしくは2種類以上を用いることができる。
有機溶媒としては、直鎖状もしくは環状カーボネート類を主成分とすることができる。これにエステル類,エーテル類等を混合することもできる。
カーボネート類として例えばエチレンカーボネート(EC),プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),メチルエチルカーボネート,ジエチルカーボネート,メチルアセテートなどがあげられる。
さらには、これらの溶媒の耐酸化性を向上させる目的で、一部をフッ素等の元素で置換した溶媒を用いることもできる。これらを単独あるいは混合した非水溶媒を用いる。
また、溶媒の耐酸化性を向上させる目的で、あるいは正極表面に溶媒の酸化分解を抑制する保護層を形成する目的で、必要に応じ各種の添加剤を添加してもよい。
用いられる添加剤は、ビニレンカーボネート等の二重結合を有する有機化合物,硫黄系化合物,リン系化合物,ホウ素系化合物等、上記の溶媒に溶解するもの、溶媒をかねるものがあげられる。
これらの、高電位の正極での溶媒の酸化を抑制するための電解液側の対策を施すことにより、本実施形態の高電位の正極の効果はより高められ、同時に本実施形態のリチウムイオン二次電池の効果もより高められる。
以上の本実施形態の正極と、負極と電解液とを用い、ボタン型,円筒型,角型,ラミネート型等の形状を有する、本実施形態のリチウムイオン二次電池を作製する。
円筒型のリチウムイオン二次電池は、以下のとおり作製するものである。
短冊状に裁断し電流を取り出すための端子を設けた正極及び負極を用い、正極と負極との間に厚さ15〜50μmの多孔質絶縁物フィルムからなるセパレータを挟み、これを円筒状に捲回して電極群を作製しステンレス(SUS)やアルミニウムでできた容器に挿入する。
セパレータとして用いることができるものは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂製多孔質絶縁物フィルムやその積層体,アルミナなどの無機化合物を分散させたものでも構わない。
この容器に、乾燥空気中または不活性ガス雰囲気の作業容器内で、非水電解液を注入し、容器を封止して円筒型のリチウムイオン二次電池を作製する。
また、角形のリチウムイオン二次電池とするためには、例えば、以下のように作製する。
上述の捲回において、捲回軸を二軸用い、楕円形の捲回群を作製する。
円筒型のリチウムイオン二次電池と同様に、角型容器にこれを収納し、電解液を注入後、密封する。
また、捲回群の代わりに、セパレータ,正極,セパレータ,負極,セパレータの順に積層していく積層体を用いることもできる。
また、ラミネート型のリチウムイオン二次電池とするためには、例えば、以下のように作製する。
上述の積層体を、ポリエチレンやポリプロピレン等の絶縁性シートで内張りした袋状のアルミラミネートシートに収納する。開口部から電極の端子が突き出た状態として電解液を注入後、開口部を封止する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の用途は特に限定はされないが、その電池電圧の高さから、複数の電池を多直列で使用する用途の電源として好適である。
例えば、電気自動車やハイブリッド型電気自動車等の動力用電源や、運動エネルギーの少なくとも一部を回収するシステムを有するエレベータ等の産業用機器,各種の業務用や家庭用の蓄電システム用の電源として用いることができる。
その他の用途として、各種の携帯型機器や情報機器,家庭用電気機器,電動工具等の電源としても用いることができる。
本実施形態により、非水電解液の溶媒の酸化分解による問題、具体的にはクーロン効率の低下や電解液が減少することによる性能低下、あるいは溶媒の酸化分解生成ガスによる電池内圧の上昇や外装の膨れが少なく、かつ、サイクル性に優れた高電圧のリチウムイオン二次電池と、それを実現するリチウムイオン二次電池用高電位正極が得られる。
以下、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極及びそれを用いたリチウムイオン二次電池の詳細な実施例を具体的に説明する。但し、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
本実施形態の電池である電池A,電池B,電池C,電池D,電池E,電池F、及び電池Gと、それらに用いる正極とを、以下のとおり作製した。
まず、正極活物質Nを作成した。
原料として、二酸化マンガン(MnO2)と酸化ニッケル(NiO)とを所定の組成比になるよう秤量し、遊星型粉砕機で純水を用い湿式混合した。
乾燥後、蓋付のアルミナるつぼに入れ、電気炉により、昇温3℃/分,降温2℃/分で、1000℃12時間、空気雰囲気で焼成した。
この焼成体をメノウ乳鉢で粉砕し、これと所定の組成比になるよう秤量した炭酸リチウム(Li2CO3)を同様に湿式混合した。
乾燥後、蓋付のアルミナるつぼに入れ、電気炉により、昇温3℃/分,降温2℃/分で、800℃20時間、空気雰囲気で焼成した。
これをメノウ乳鉢で粉砕し、表1に示す物性の正極活物質Nを得た。
Figure 2011129442
正極活物質Nの組成はLiMn1.54Ni0.484であった。
X線回折の結果では、不純物相である酸化ニッケル相は僅かな痕跡程度にしか認められなかった。また、その形状は、2μm前後の一次粒子が凝集した塊状粒子であった。
正極活物質Nを用い、本実施例の正極を作製した。
正極活物質Nと、表2に示す難黒鉛化炭素1、表3に示すカーボンブラック9、あらかじめ結着剤であるポリビニリデンフロライド5重量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液を、表4に示す仕様の材料と重量比で加えて混合し、正極合剤スラリーを作製した。
Figure 2011129442
Figure 2011129442
正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電箔)に、乾燥後の合剤重量が約20mg/cm2となるよう塗布後、乾燥した。
その後16mm径に打ち抜いた後、プレス機により所定の合剤密度となるよう圧縮成形し、正極を作製した。
作製した正極を用い、表4に示す本実施例の電池である電池Aを作製した。
同様に、正極活物質Nと、表2に示す難黒鉛化炭素9、表3に示すカーボンブラック7を用いて電池Bを、そして、材料の重量比を変化させて電池Eを、正極活物質Nと、表2に示す難黒鉛化炭素9、表3に示すカーボンブラック9を用いて電池Cを、そして、材料の重量比を変化させて電池Gを、正極活物質Nと、表2に示す難黒鉛化炭素9、表3に示すカーボンブラック4を用いて電池Dを、そして、材料の重量比を変化させて電池Fを、それぞれ作製した。
作製した電池は、図2に模式的に示すボタン電池の形状とした。
円盤状の金属リチウム(Li)11を負極とし、厚さ30μmの多孔質セパレータ12を介して、その合剤が負極と対向するよう正極13を積層した。
これを電池ケース14に納め、電解液15を注入し、パッキン16を介して、正極端子をかねる蓋17をかしめて、電池を作製した。
電解液15には、エチレンカーボネート,ジメチルカーボネート、及びメチルエチルカーボネートの体積比2:2:4の非水混合溶媒に、リチウム塩として六フッ化リン酸リチウム1mol/dm3溶解したものを用いた。
〔比較例1〕
比較例1として、比較電池P,比較電池Q,比較電池R,比較電池S及び比較電池Tを、表4に示す正極使用材料と重量比とした以外は、実施例1と同様に作製した。
Figure 2011129442
(充放電試験)
作製した実施例1及び比較例1の各電池の充放電試験を行った。
充電条件は、充電電流0.8mAで終止電圧5Vの定電流充電後、直ちに電圧5Vで終止時間1時間の定電圧充電を行った。充電後10分間、開回路で放置した。放電条件は、放電電流0.8mAで終止電圧3.5Vの定電流放電を行った。放電後30分間、開回路で放置した。以上の充電と放電を1サイクルとした。
放電容量は、電池性能の安定する5サイクル目の放電時の電気量を正極活物質重量で除したものを、(初期の)放電容量とした。
また(クーロン)効率(%)は、同じく5サイクル目の充電容量に対する放電容量の比率とした。
図3に、実施例1及び比較例1の各電池の正極の(SC)/(SA)に対する放電容量を、また、図4に、同じく正極の(SC)/(SA)に対するクーロン効率を各々示す。
実施例1の電池はいずれも、(SC)/(SA)が2.5より大きい比較電池Q及び比較電池Rに比べ、高いクーロン効率が得られる効果があった。
また、実施例1の電池はいずれも、(SC)/(SA)が0.5より小さい比較電池P、及び導電剤としてカーボンブラックのみを用いた比較電池S、同じく難黒鉛化炭素のみを用いた比較電池Tに比べ、高い放電容量が得られる効果があった。
さらに、(SC)/(SA)が1.5以下である実施例1の電池A,電池B、及び電池Cは、同じ実施例1の電池D,電池E,電池F、及び電池Gに比べ、より高いクーロン効率が得られる効果があった。
〔比較例2〕
比較例2として、比較電池U及び比較電池Vを、表5に示す正極使用材料と重量比とした以外は、実施例1と同様に作製した。
Figure 2011129442
比較例2の正極は、その使用材料の導電剤として難黒鉛化炭素の代わりに、平均粒径10μm,比表面積7.5m2/gの鱗片状黒鉛を用いた。
作製した実施例1の電池Bと電池F及び比較例2の各電池について、40サイクルの充放電試験を行った。
図5に、各電池の初期の放電容量と、40サイクル後の放電容量を示す。
導電剤に難黒鉛化炭素を用いた実施例1の電池Bと電池Fとはいずれも、導電剤に黒鉛を用いた比較例2の電池に比べ、サイクル後の放電容量が高く、また初期からサイクル後の放電容量の低下量も小さく、サイクル特性に優れる効果があった。
本実施形態の電池である電池H,電池J,電池K,電池L及び電池Mと、それらに用いる本発明の正極とを、以下のとおり作製した。
まず、正極活物質Cを作成した。
原料として、二酸化マンガン(MnO2)と酸化ニッケル(NiO)及び酸化コバルト(CoO)を用い、これらを所定の組成比となるよう秤量し、遊星型粉砕機で純水を用い湿式混合した。
乾燥後、蓋付のアルミナるつぼに入れ、電気炉により、昇温3℃/分,降温2℃/分で、1000℃10時間、空気雰囲気で焼成した。
この焼成体をメノウ乳鉢で粉砕し、これと所定の組成比になるよう秤量した炭酸リチウム(Li2CO3)を同様に湿式混合した。
以下、実施例1の正極活物質Nと同様に、表1に示す物性の正極活物質Cを作製した。
正極活物質Cの組成は、LiMn1.45Ni0.45Co0.14であった。
X線回折の結果では、不純物相である酸化ニッケル相は僅かな痕跡程度にしか認められなかった。また、その形状は、3μm前後の一次粒子が凝集した塊状粒子であった。
正極活物質Cと、表2に示す難黒鉛化炭素5もしくは難黒鉛化炭素9と、表3に示すカーボンブラック7,カーボンブラック4,カーボンブラック3、もしくは、カーボンブラック2を用い、表6に示す仕様の材料と重量比で実施例1と同様に、正極及び電池(電池H,電池J,電池K,電池L,電池M)を作製した。
Figure 2011129442
〔比較例3〕
比較例3として、比較電池W及び比較電池Xと、それらに用いる正極とを、表6に示す仕様の材料と重量比とした以外は、実施例2と同様に作製した。
作製した実施例2及び比較例3の各電池の充放電試験を行った。
図6に、実施例2及び比較例3の各電池の、正極の(SC)/(SA)に対する放電容量を、また、図7に、同じく正極の(SC)/(SA)に対するクーロン効率を各々示す。
実施例2の電池はいずれも、(SC)/(SA)が2.5より大きい比較電池Xに比べ、高いクーロン効率が得られる効果があった。
また、実施例2の電池は、(SC)/(SA)が0.5より小さい比較電池Wに比べ、高い放電容量が得られる効果があった。
さらに(SC)/(SA)が1.5以下である実施例2の電池H,電池J、及び電池Kは、同じ実施例2の電池L及び電池Mに比べ、より高いクーロン効率が得られる効果があった。
本実施形態の電池である電池N及び電池Oと、それらに用いる本実施形態の正極とを、以下のとおり作製した。
まず、正極活物質Uを作製した。
原料として、二酸化マンガン(MnO2),酸化ニッケル(NiO)及び酸化銅(CuO)を用い、これらを所定の組成比となるよう秤量し、遊星型粉砕機で純水を用い湿式混合した。
乾燥後、蓋付のアルミナるつぼに入れ、電気炉により、昇温3℃/分,降温2℃/分で、1050℃12時間、空気雰囲気で焼成した。この焼成体をメノウ乳鉢で粉砕し、これと所定の組成比になるよう秤量した炭酸リチウム(Li2CO3)を同様に湿式混合した。
以下実施例1の正極活物質Nと同様に、表1に示す物性の正極活物質Uを作製した。
正極活物質Uの組成は、LiMn1.55Ni0.4Cu0.054であった。
X線回折の結果では、不純物相である酸化ニッケル相は僅かな痕跡程度にしか認められなかった。
また、その形状は、1.5μm前後の一次粒子が凝集した塊状粒子であった。
正極活物質Uと、表2に示す難黒鉛化炭素3と、表3に示すカーボンブラック9、もしくはカーボンブラック7とを用い、表7に示す正極使用材料と重量比とで実施例1と同様に、正極及び電池(電池N,電池O)を作製した。
Figure 2011129442
〔比較例4〕
比較例4として、比較電池Y及び比較電池Zと、それらに用いる正極とを、表7に示す正極使用材料と重量比とした以外は、実施例3と同様に作製した。
作製した実施例3及び比較例4の各電池の充放電試験を行った。
図8に、実施例3及び比較例4の各電池の、正極の(SC)/(SA)に対する放電容量を、また、図9に、同じく正極の(SC)/(SA)に対するクーロン効率を各々示す。
実施例3の電池はいずれも、(SC)/(SA)が2.5より大きい比較例4の電池に比べ、高いクーロン効率が得られる効果があった。
以上のように、本実施例で示す電池は、非水電解液の溶媒の酸化分解によるクーロン効率の低下抑制し、導電剤としての黒鉛の膨張収縮によるサイクル特性の低下を抑制することができる。
本発明は、その電池電圧の高さから、複数の電池を多直列で使用する用途の電源として利用可能である。
1 正極活物質
2 集電箔
3 難黒鉛化炭素
4 カーボンブラック
11 負極
12 セパレータ
13 正極
14 電池ケース
15 電解液
16 パッキン
17 電池蓋

Claims (8)

  1. 金属リチウム基準で4.5V以上の電位を発現する正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含む正極合剤を有するリチウムイオン二次電池用の正極において、
    前記導電剤として難黒鉛化炭素とカーボンブラックとを有し、かつ、前記正極合剤に占める正極活物質の表面積(SA)に対する導電剤の表面積(SC)の比率(SC)/(SA)が、0.5以上2.5以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  2. 請求項1において、
    前記難黒鉛化炭素が、平均粒径は1μm以上15μm以下、かつ、比表面積が1m2/g以上10m2/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 請求項1において、
    前記難黒鉛化炭素が、X線回折において実質的に(002)面のスペクトルのみ発現し、かつ、d(002)が0.350nm以上0.390nm以下、かつ、Lcが5nm以上15nm以下、かつ、その真密度が1.3g/cm3以上1.9g/cm3以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 請求項1において、
    前記カーボンブラックが、平均粒径は20nm以上100nm以下、かつ、比表面積が15m2/g以上100m2/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 請求項1において、
    前記正極活物質の比表面積が、0.1m2/g以上1m2/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 請求項1において、
    前記正極合剤に占める正極活物質に対する導電剤の比率が、4重量%以上15重量%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 請求項1において、
    前記正極活物質が、組成式Li1+aMn2-a-x-yNixy4(0≦a≦0.1,0.3≦x≦0.5,0≦y≦0.2、MはCu,Co,Mg,Zn、Feの少なくとも1種)であるスピネル型酸化物であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  8. 請求項1に記載の正極と、負極と、非水電解液とを有するリチウムイオン二次電池。
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