JP4655721B2 - リチウムイオン二次電池及び正極活物質 - Google Patents
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Description
LiMnO2に代表される層状系酸化物や、LiMn2O4に代表されるスピネル系正極材料が良く知られている。層状系酸化物の理論容量は約270mAh/gであり、実用容量でも140mAh/gないし200mAh/gと高いものの、充電生成物が熱安定性に劣り、特に過充電時における安全性に課題があることが良く知られている。一方スピネル系正極材料は、充電生成物の熱安定性に優れ安全性が高いものの、その実用容量は100
mAh/g程度と小さいのが現状である。
(M:Mn以外の2価のカチオン、0.01≦X≦0.4)である空間群Pmnbの対称性を有する斜方晶のリン酸化合物を有し、かつ前記リン酸化合物のa軸,b軸及びc軸の格子定数がそれぞれ1.060nm≦a≦1.120nm,0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nmであることを主要な特徴とする。
LiMn1-xMxPO4(M:Mn以外の2価のカチオン、0≦X≦0.4)である空間群
Pmnbの対称性を有する斜方晶のリン酸化合物を有し、かつ前記リン酸化合物のa軸,b軸及びc軸の格子定数がそれぞれ1.060nm≦a≦1.120nm,0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nmであり、かつ前記正極にカーボンブラックもしくはアセチレンブラックを1〜10重量%有しかつ平均粒系1ないし20μmの炭素材粒子を5〜20重量%有することを主要な特徴とする。
0.515nmである本発明のリン酸化合物を有する。LiMn1-xMxPO4で表記されるリン酸化合物中のMnはその化合物内で2価のカチオンとして存在すると考えられる。本発明のリン酸化合物は2価のカチオンとして主としてMnで構成され、かつMn以外の2価のカチオンで構成されるものである。
nm,0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nmであることが望ましく、格子定数がこれより小さいとLiイオンの拡散に必要な空間が狭められ、また格子定数が上述より大きいと、結晶構造が著しく乱れることでLiイオンの拡散が阻害されるものと考えられる。
0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nmである本発明のリン酸化合物を有するものであり、上述のリン酸化合物の単体でもよく、あるいは炭素材等の他の材料との複合材でもよい。例えばリン酸化合物に気相反応を用いて炭素被覆を形成した複合材においては、正極活物質としての電子伝導性が向上し、より低抵抗の正極活物質と出力に優れたリチウムイオン二次電池が期待できる。
LiMn1-xMxPO4(M:Mn以外の2価のカチオン、0≦X≦0.4)である空間群
Pmnbの対称性を有する斜方晶のリン酸化合物を有し、かつ前記リン酸化合物のa軸,b軸及びc軸の格子定数がそれぞれ1.060nm≦a≦1.120nm,0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nm であり、かつ前記正極にカーボンブラックもしくはアセチレンブラックを1〜10重量%有しかつ平均粒系1ないし20
μmの炭素材粒子を5〜20重量%有するリチウムイオン二次電池である。
nm,0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nmである正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池においては、上述のカーボンブラックもしくはアセチレンブラックと、平均粒系1ないし20μmの炭素材粒子とを適切な比率で正極に配合することにより、より優れた出力特性を発現する。すなわち上記一般式組成において
Mn以外の2価のカチオンを有さないリン酸化合物を用いたリチウムイオン二次電池においても優れた出力特性を有する。ここでカーボンブラックもしくはアセチレンブラックの電池出力に対する作用と、平均粒系1ないし20μmの炭素材粒子の作用は異なるものであることから、どちらか一方のみ正極に含有したとしても十分な出力特性は得られない。
SUSやアルミでできた電池容器に挿入する。セパレータとして用いることが出来るものは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂製多孔質絶縁物フィルムやその積層体,アルミナなどの無機化合物を分散させたものでも構わない。
本発明の正極活物質1ないし正極活物質6を以下のとおり作製した。原料として、酢酸リチウム,酢酸マンガン,酢酸コバルト,酢酸ニッケル,酢酸鉄,酢酸銅、及びリン酸二水素アンモニウムを選択した。これらの原料を、各元素が所定のモル比になるよう秤量し、蒸留水に溶解し原料溶液を得た。この原料溶液をスプレードライ装置に導入し、前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を350℃で1時間不活性ガス雰囲気下で熱分解した後、550℃で8時間不活性ガス下で焼成し、正極活物質を得た。得られた正極活物質1ないし正極活物質6を各々乳鉢で粉砕し、CuKα線による粉末X線回折スペクトルを測定し、得られた回折線の回折角とPmnbの対称性を有する斜方晶で指数付けした値を持って格子定数を求めた。
0.515nmの範囲にあった。
比較例1として、実施例1と同様にLiMnPO4(正極活物質H1) 作製した。また正極活物質H2として、実施例1と同様にLiMn0.5Fe0.5PO4 の作製を試みたが、粉末X線回折の結果は2種類のリン酸化合物の混合物であった。さらにまた正極活物質H3として、焼成温度を500℃とした以外は実施例1と同様に組成式LiMn0.9Fe0.1PO4である正極活物質を作製した。また正極活物質H4として、実施例1と同じ原料を用いて、その原料をボールミルで混合した前駆体を用い実施例1と同じ熱処理により組成式
LiMn0.9Fe0.1PO4である正極活物質を作製した。正極活物質H1,正極活物質
H3,正極活物質H4について実施例1と同様に格子定数を求めた。
本発明のコイン型リチウムイオン二次電池(電池1ないし電池6)を以下のとおり作製した。
PVDFをNMPに溶解した溶液とを加えてさらに混合し正極合剤スラリーを作製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)に実質的に均一かつ均等に塗布した後80℃の温度で乾燥した。このとき、正極の塗工量が正極活物質の違いによらず一定となるよう塗布量を調整した。その後径15mmに打ち抜いたものをプレス機により圧縮成形し、正極を作製した。
比較例2として、比較例1の正極活物質H1,正極活物質H3,正極活物質H4を用い、それ以外は実施例2と同様にコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
作製した実施例2及び比較例2のリチウムイオン二次電池の出力を以下のように測定した。
本発明のコイン型リチウムイオン二次電池(電池A2ないし電池A5)を作製した。正極活物質に、実施例1における正極活物質3を用いた。また、負極活物質には、ラマン分光におけるR値の異なる非晶質炭素被覆黒鉛(負極活物質2ないし負極活物質5)を選択した。それ以外は実施例1と同様に、各々の負極活物質毎にコイン型リチウムイオン二次電池を作成した。
本発明のコイン型リチウムイオン二次電池(電池D1ないし電池D3)を作製した。正極の作製においては、比較例1における正極活物質H1を用い、導電剤としての平均粒径10μmの鱗片状黒鉛を5〜20重量%の範囲で、またアセチレンブラックを1〜10重量%の範囲で用いた。また、負極活物質として、非晶質炭素を用いた。本非晶質炭素のラマン分光による1300〜1400cm-1の範囲にあるピークと1580〜1620cm-1の範囲にあるピークの強度比Rは1.05 であった。それら以外は実施例2と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例3として、正極に平均粒径10μmの鱗片状黒鉛を3重量%、アセチレンブラックを15重量%用いた電池H5、及び平均粒径10μmの鱗片状黒鉛を25重量%、アセチレンブラックを0.5重量%用いた電池H6を、それ以外は実施例3と同様にコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (3)
- 正極活物質を有する正極と、負極と、電解液とを有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極活物質が一般式LiMn1-xMxPO4(M:Mn以外の2価のカチオン、0.01≦X≦0.4)である空間群Pmnbの対称性を有する斜方晶のリン酸化合物を有し、かつ前記リン酸化合物のa軸,b軸及びc軸の格子定数がそれぞれ1.060nm≦a≦1.120nm,0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nmであり、前記2価のカチオンMは、Co,Fe,Ni,Cuの1種以上であり、かつ前記正極にカーボンブラックもしくはアセチレンブラックを1〜10重量%有しかつ平均粒系1ないし20μmの炭素材粒子を5〜20重量%有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 負極に、ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm-1の範囲にあるピーク強度(ID)と1580〜1620cm-1の範囲にあるピーク強度(IG)の強度比であるR値(ID/IG)が0.4以上1.5以下である炭素材料を有することを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- リチウムイオン二次電池の正極に用いる正極活物質であって、前記正極活物質が一般式LiMn1-xMxPO4(M:Mn以外の2価のカチオン、0.01≦X≦0.4) である空間群Pmnbの対称性を有する斜方晶のリン酸化合物を有し、かつ前記リン酸化合物のa軸,b軸及びc軸の格子定数がそれぞれ1.060nm≦a≦1.120nm,0.620nm≦b≦0.66nm,0.486nm≦c≦0.515nmであり、前記2価のカチオンMは、Co,Fe,Ni,Cuの1種以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の正極活物質。
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