JP5145745B2 - 非水電解質二次電池用正極活物質及びそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質及びそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リン酸マンガン鉄リチウム活物質を用いた非水電解質電池に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器類用、電気自動車用などの電源としてエネルギー密度が高く、かつ自己放電が少なくてサイクル特性の良いリチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池が注目されている。
現在のリチウム二次電池の主流は、2Ah以下の携帯電話用を中心とした小型民生用である。リチウム二次電池用の正極活物質としては数多くのものが提案されているが、最も一般的に知られているのは、作動電圧が4V付近のリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)やリチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、あるいはスピネル構造を持つリチウムマンガン酸化物(LiMn24)等を基本構成とするリチウム含有遷移金属酸化物である。なかでも、リチウムコバルト酸化物は、充放電特性とエネルギー密度に優れることから、電池容量2Ahまでの小容量リチウム二次電池の正極活物質として広く採用されている。
しかしながら、今後の中型・大型、特に大きな需要が見込まれる産業用途への非水電解質電池の展開を考えた場合、安全性が非常に重要視されるため、現在の小型電池向けの仕様では必ずしも充分であるとはいえない。この要因の一つに、正極活物質の熱的不安定性が挙げられ、様々な対策がなされてきたが、未だ十分とはいえない。また、産業用途では小型民生用では使用されないような高温環境において電池が使用されることを想定する必要がある。このような高温環境では、従来の非水電解質二次電池はもとより、ニッケル−カドミウム電池や鉛電池も非常に短寿命であり、ユーザーの要求を満足する従来電池は存在しないのが現状である。また、キャパシターは、唯一この温度領域で使用できるものの、エネルギー密度が小さく、この点においてユーザーの要求を満足するものではなく、高温長寿命でエネルギー密度の高い電池が求められている。
最近、熱的安定性が優れるポリアニオン系の活物質が注目を集めている。このポリアニオン系の活物質は酸素が遷移金属以外の元素と共有結合することで固定化されているため、高温においても酸素を放出することが無く、電極活物質として使用することで電池の安全性を飛躍的に高めることができると考えられる。
しかし、オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4)は、Liイオンの吸蔵・放出が3.4V付近で行われることから、4V系正極活物質に比べてエネルギー密度が低いものとなり、出力も小さいものとなってしまう。
一方、リン酸マンガン(LiMnPO4)はLiイオンの吸蔵・放出が4.0V付近で行われ、大きな理論容量(171mAh/g)をもっているが、電子伝導性が極端に劣るため十分な充放電容量を得ることができない。
特許文献1には、「請求項1」として「一般式LixMnyFe1-yPO4(ただし、0<x≦2であり、0.5<y<0.95である。)で表される化合物を含有することを特徴とする正極活物質」が記載され、具体的には、LiMn0.6Fe0.4PO4(実施例1)、LiMn0.7Fe0.3PO4(実施例2)、LiMn0.75Fe0.25PO4(実施例3)をそれぞれ合成したことが記載されている。
特許文献2の実施例1には、「正極活物質3」としてLiMn0.9Fe0.1PO4を合成したことが記載されている。
このように、リン酸マンガンの一部をFe等の他の元素で置換した材料(LiMnyFe1-yPO4)は、Liイオンが吸蔵・放出する電位として3.4V付近と4.0V付近の2つのプラトーが観察され、Mnを割合が多いほど4.0V付近のプラトーの割合が大きくなることから、Mnの割合を多くすることによって、理論エネルギー密度は大きくなるものの、電子伝導性は低いものとなるため、十分な充放電容量を得ることができないといった問題点があった。
特許文献3には、化学式LixMny1-yPO4(式中MはMg、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Znのうちの何れか一種以上の元素であり、0<x<2であり、0<y<1である。)で示されるオリビン構造を有する正極活物質の製造方法が記載され(請求項1参照)、例えば「サンプル5」としてLi1.05Mn0.875Mg0.125PO4を製造したことが記載されている(段落0063参照)。また、「このオリビン構造を有する正極活物質は、化学式LixMny1-yPO4におけるMnの一部がMg、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されていることから、置換された元素によりオリビン構造を有する化合物の電子状態の変化が引き起こされて、結果として電子伝導性が高くなっている。」(段落0023参照)との記載がある。
しかしながら、特許文献3には、MがFeであるものについては実施例又は実施例に相当する具体的な記載は皆無であり、実施例で得られた正極活物質についても電子伝導度がどの程度向上したのかについては具体的に何ら示されていない。
なお、化学式LixMny1-yPO4においてMとしてMgを選択した場合には、MgはLiの挿入・脱離反応に伴う価数変化を起こさないことから、MとしてFeを選択した場合にみられる3.4V付近のプラトーが現れないため、同じ組成でFeを選択した場合に比べ、Mgで置換した量だけエネルギー密度の低い正極活物質となる。
特開2001−307732号公報 特開2006−286208号公報 特開2004−063270号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電子伝導性に優れたポリアニオン系の非水電解質二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。また、ポリアニオン系の非水電解質二次電池用正極活物質を用い、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、一般式LiMn7/8Fe1/8PO4で表されるリン酸マンガン鉄リチウムからなる非水電解質二次電池用正極活物質である。
ここで、Mn及びFe係数の数値の精度については、元素組成分析の結果、MnとFeの比率が実質的に7:1であると認められれば足り、本発明の技術範囲に属するか否かを判断するにあたっては、測定精度や測定誤差に帰すべき原因によって数値が厳密に一致しないことをもってなされるべきではない。
また、本発明は、一般式LiMn1-yFeyPO4(0<y<0.5)で表されるリン酸マンガン鉄リチウムであって、電子伝導度が1x10-8Scm-1以上である非水電解質二次電池用正極活物質である。
即ち、一般式LiMn1-yFeyPO4(0<y<0.5)で表されるリン酸マンガン鉄リチウムとしては、従来電子伝導度が1x10-8Scm-1未満のもののみが知られていたところ、MnとFeの比率がほぼ7:1付近である組成において特異的に得られるところの、電子伝導度が1x10-8Scm-1以上であるリン酸マンガン鉄リチウムは、本発明の技術範囲に属する。
ここで、電子伝導度の測定方法は、後述する実施例記載の条件と手順で行うものとする。また、ここでいう電子伝導度は、活物質粒子の表面や二次粒子内部を炭素等で被覆すること等による特段の導電性付与処理を行っていない状態での伝導度をいう。
即ち、本発明者らは、LiMPO4(Mは遷移金属元素)において、MをMn及びFeとし、M全体に占めるFeの元素割合を1/8とすることで、極めて特異的に電子伝導度の優れた材料とすることができることを見出し、本発明に至った。そして、この材料を非水電解質二次電池用正極活物質として用いることにより、電子伝導度に優れるうえ、M全体の7/8をMnが占めているため、Liの挿入・脱離反応の多くが約4.0という高い電位において行われるものとなるので、高いエネルギー密度を備えた非水電解質二次電池とすることができる。
本発明によれば、電子伝導性に優れたポリアニオン系の非水電解質二次電池用正極活物質を提供することができる。また、ポリアニオン系の非水電解質二次電池用正極活物質を用い、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質であるリン酸マンガン鉄リチウムは、平均粒子サイズ100μm以下の粉体として非水電解質二次電池用正極に用いることが好ましい。特に、本発明の効果を有効に引き出すためには粒径が小さい方が好ましく、二次粒子の平均粒子径は0.5〜20μmであり、一次粒子の粒径は50〜500nmであることがより好ましい。また、粉体粒子の比表面積は正極のハイレート性能を向上させるために大きい方が良く、1〜100m2/gが好ましい。より好ましくは10〜100m2/gである。粉体を所定の形状で得るため、粉砕機や分級機を用いることができる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等を用いることができる。粉砕時には水、あるいはアルコール、ヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いてもよい。分級方法としては、特に限定はなく、必要に応じて篩や風力分級機などを乾式あるいは湿式にて用いることができる。
導電剤、結着剤については周知のものを周知の処方で用いることができる。
本発明の正極活物質を含有する正極中に含まれる水分量は少ない方が好ましく、具体的には500ppm未満であることが好ましい。
また、電極合材層の厚みは電池のエネルギー密度との兼ね合いからは本発明を適用する電極合材層の厚みは20〜500μmが好ましい。
一般的に、非水電解質電池の形態としては、正極、負極、電解質塩が非水溶媒に含有された非水電解質から構成され、一般的には、正極と負極との間に、セパレータとこれらを包装する外装体が設けられる。
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネ−ト等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエ−テル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
電解質塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiBOB等のイオン性化合物が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.5mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、1mol/l〜2.5mol/lである。
以下に、本発明の非水電解質電池の製造方法について例示するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
(LiMn7/8Fe1/8PO4の作製)
酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が0.875:0.125:1:0.5になるように計り取った。まず、酢酸マンガン四水和物とシュウ酸鉄二水和物と炭酸リチウムと少量の2−プロパノールを加えてペースト状とし、ボ−ルミル(FRITSCH社製プラネタリーミル、ボール径1cm)を用いて0.5時間湿式混合を行った。そこにリン酸を加えてさらにボールミルで0.5時間混合することで、マンガン源、鉄源、リン源及びリチウム源を含む混合物を準備した。
前記混合物をアルミナ製の匣鉢(外形寸法100×100×30mm)に入れ、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速2.0リットル/分)で焼成した。焼成温度は700℃とし、焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は1時間とした。なお、昇温速度は5℃/分、降温は自然放冷とした。このようにしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物LiMn7/8Fe1/8PO4得た。
(比較例1)
酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が1:0:1:0.5になるように計り取ったことを除いては実施例1と同様にしてLiMnPO4を得た。
(比較例2)
上記正極活物質の作製にあたり、酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が0.75:0.25:1:0.5になるように計り取ったことを除いては実施例1と同様にしてLiMn6/8Fe2/8PO4を得た。
(比較例3)
上記正極活物質の作製にあたり、酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が0.625:0.375:1:0.5になるように計り取ったことを除いては実施例1と同様にしてLiMn5/8Fe3/8PO4を得た。
(比較例4)
上記正極活物質の作製にあたり、酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が0.5:0.5:1:0.5になるように計り取ったことを除いては実施例1と同様にしてLiMn4/8Fe4/8PO4を得た。
(比較例5)
上記正極活物質の作製にあたり、酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が0.375:0.625:1:0.5になるように計り取ったことを除いては実施例1と同様にしてLiMn3/8Fe5/8PO4を得た。
(比較例6)
上記正極活物質の作製にあたり、酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が0.25:0.75:1:0.5になるように計り取ったことを除いては実施例1と同様にしてLiMn2/8Fe6/8PO4を得た。
(比較例7)
上記正極活物質の作製にあたり、酢酸マンガン四水和物(Mn(CH3COO)2・4H2O)とシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)と、リン酸(H3PO4)と、炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が0.125:0.875:1:0.5になるように計り取ったことを除いては実施例1と同様にしてLiMn1/8Fe7/8PO4を得た。
(電気伝導度測定)
上記実施例1及び比較例1〜7において合成した各リン酸マンガン鉄リチウム粉末について、電気伝導度測定を行った。まず実施例1及び比較例1〜7の活物質粉末をそれぞれ直径25mmのペレット成型器に約0.7g投入し、油圧プレスを用いて30MPaの目盛りまで圧縮してペレットを成形し、これを流速2リットル/分の窒素気流中700℃で1時間加熱することで焼結ペレットを作製した。このペレットの両面に銀ペーストを塗布しリードを取り付け、直流テスター(日置電気社製、商品名:ハイテスター)を用いて2端子法により電気伝導度を測定した。その結果を表1に示す。また、この結果をプロットして図1に示す。なお、比較例1においては、抵抗が大きすぎ直流テスターの表示がレンジオーバーとなったため、電子伝導度が測定できなかった。
Figure 0005145745
表1、図1からわかるように、一般式LiMn1-yFeyPO4(0<y<0.5)においてyを1/8とすることで、特異的に電子電導度の高いリン酸マンガン鉄リチウムが得られことがわかる。
比較例1〜7の結果からわかるように、リン酸マンガンリチウムにおいてMnの一部をFeに置換することで活物質の電気伝導度がある程度改善されることについては、従来知られており、Feの置換量に比例して電気伝導度が上昇してリン酸鉄リチウムの電気伝導度に近づいていることから電気伝導度の劣るものに電気伝導度がそれより高いものを単純に混合した場合と同様に考えて予測することができる。
しかしながら、実施例1の結果は上記予測から完全に外れたまさに特異点であり、比較例の組成よりも電気伝導度が一桁高くなっている。本発明者らは、この作用機構については現時点ではまるで予測・推察できないが、実施例1の組成付近で偶然にもd軌道の電子状態がリン酸鉄リチウムと同じもしくはもう少し電子軌道が重なる方向になっているのかもしれない。ともかく、ポリアニオン化合物LiMPO4(Mは遷移金属元素)のMとしてMnとFeの組み合わせを選択し、あるいはLiMPO4のMnの一部を置換する元素としてFeを選択し、係数yの値として1/8を選択することによって、公知事項からは全く予測できない特異な効果であることは確かである。
また、実施例1及び比較例2〜7のそれぞれの活物質について、Liの吸蔵・放出反応に伴う各還元段階の開回路電位をプロットしたOCV曲線を得たところ、4.0V付近のプラトーと3.4V付近のプラトーが観察され、MnとFeの元素比率に応じてMn比率が多いほど、4.0V付近のプラトー領域の比率が増加することが確認された。従って、本発明の正極活物質はM全体の7/8をMnが占めていることにより、Liの挿入・脱離反応の多くが約4.0という高い電位において行われるものとなるので、高いエネルギー密度を備えた非水電解質二次電池とすることができる。
以下、比較例1で合成された材料を正極活物質として用いて非水電解質二次電池を作製した手順を示すが、同様にして本発明の正極活物質を用いて非水電解質二次電池を作製することができる。
得られたLiMnPO4にポリビニルアルコール(分子量約1500)を重量比が1:1になるように乾式混合し、この混合物をアルミナ製の匣鉢に入れ、雰囲気置換式焼成炉にて窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、1時間熱処理することでLiMnPO4に対してカーボンコート処理を行った。以下の記述においては、便宜的にこれを正極活物質と称する。
(正極の作製)
前記正極活物質、導電剤である気相成長法炭素繊維(昭和電工社製、商品名:VGCF)、アセチレンブラック及び結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を85:2:8:5の重量比で混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを調整した。該正極ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体上の片面に塗布、乾燥した後、プレス加工を行い、正極とした。該正極にはアルミニウム製の正極端子を超音波溶接により接続した。
(負極の作製)
リチウム金属を使用した。厚さ100μmのリチウム金属箔を厚さ10μmのニッケル箔集電体上に貼り付けたものを負極とする。負極にはニッケル製の負極端子を抵抗溶接により接続した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びメチルエチルカーボネートを体積比6:7:7の割合で混合した混合溶媒に、含フッ素系電解質塩であるLiPF6を1mol/lの濃度で溶解させ、非水電解質を作製した。該非水電解質中の水分量は50ppm未満とした。
(電池の組み立て)
露点−40℃以下の乾燥雰囲気下において非水電解質電池を組み立てた。正極と負極とを各1枚、厚さ20μmのポリプロピレン製セパレ−タを介して対向させる。外装体として、ポリエチレンテレフタレ−ト(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、この極群を前記正極端子及び負極端子の開放端部が外部露出するように注液孔となる部分を除いて気密封止した。前記注液孔から一定量の非水電解質を注液後、減圧状態で前記注液孔部分を熱封口し、電池を組み立てた。
(初期充放電工程)
温度20℃にて、5サイクルの充放電を行うことで初期活性化を行った。このときの充電条件は、電流0.1ItmA(約10時間率)、電圧4.55V、15時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流0.1ItmA(約10時間率)、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。以上の手順により、比較例1で合成された材料を正極活物質として用いた非水電解質電池を作製した。
(高率放電試験)
この非水電解質電池に対して、温度20℃において、上記初期活性化工程と同一の条件で充電を行った後、放電電流2ItmA(約0.5時間率)、放電終止電圧2.0Vの定電流放電を行った。このときの放電容量の前記初期放電容量に対する百分率を求め、「高率放電率(%)」としたところ、48%と低い性能であった。
(低温高率放電試験)
この非水電解質電池に対して、温度−20℃において、上記初期活性化工程と同一の条件で充電を行った後、放電電流2ItmA(約0.5時間率)、放電終止電圧2.0Vの定電流放電を行った。このときの放電容量の前記初期放電容量に対する百分率を求め、「低温高率放電率(%)」としたところ、約1%とほとんど容量が得られなかった。
以上、比較例1で合成された材料を正極活物質として用いた非水電解質電池について述べたが、本発明に係る正極活物質は、比較例2〜7の材料に比べても電子伝導度が著しく高いので、高率放電試験及び低温高率放電試験の結果は極めて優れたものとなることは自明である。
本発明によれば、ポリアニオン系活物質の特徴である優れた安全性を享受でき、作動電位が高いためエネルギー密度が大きく、低温ハイレート性能に優れた非水電解質二次電池を提供することができるので、今後の展開が期待される中型・大型電池、特に産業用電池への応用に適した技術であり、産業上の利用可能性は極めて大である。
実施例及び比較例に係る正極活物質の電子伝導度を示す図である。

Claims (2)

  1. 一般式LiMn7/8Fe1/8 で表されるリン酸マンガン鉄リチウムからなる非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質を用いた非水電解質二次電池。
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