JP6341516B2 - リチウム二次電池用正極材料の製造方法 - Google Patents
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Description
加えて、LFP等は、電子伝導性が低いことから、粒子状を呈するLFP等の表面に炭素を被覆させる必要がある。しかし、LFP等の表面を炭素で被覆すると、リチウムイオンの拡散性をさらに低下させることとなる。
つまり、リチウム二次電池の正極材料としてLFP等を採用する場合、リチウムイオンの拡散性が低いという問題、言い換えると、リチウムイオン伝導性が悪いという問題を解消する必要がある。
例えば、特許文献1には、LiMnPO4等からなる粒子の表面を、LiyEzPO4(但し、EはFe、Niの群から選択される1種または2種、0<y≦2、0<z≦1.5)とLiTi複合酸化物とを含む被覆層により被覆してなることを特徴とする電極活物質が開示されている。
また、本発明に係るリチウム二次電池用正極材料によると、正極活物質に隣接する粒子状のリチウムイオン伝導体がリチウムイオンの拡散を助けるため、リチウムイオン伝導性を向上させることができる。
また、本発明に係るリチウム二次電池用正極材料の製造方法によると、混合粉砕工程において正極活物質の前駆体だけでなく、リチウムイオン伝導体の前駆体を混合・粉砕していることから、正極活物質とリチウムイオン伝導体をそれぞれ粒子状とすることができる。その結果、本発明に係るリチウム二次電池用正極材料の製造方法によると、正極活物質に隣接する粒子状のリチウムイオン伝導体がリチウムイオンの拡散を助けるため、リチウムイオン伝導性が向上したリチウム二次電池用正極材料を製造することができる。
最初に、本実施形態に係る正極材料の適用対象であるリチウム二次電池について、説明する。
適用対象となる「リチウム二次電池」とは、充放電の際にリチウムイオン(Li+)がイオン伝導を担う電池であり、正極、負極、電解質等の部材を含んで構成される。そして、適用対象となるリチウム二次電池は、正極以外の部材の材質や構成等については特に限定されない。
例えば、負極として、炭素系材料、金属酸化物系材料、シリコン系材料、スズ系合金材料等の様々な材料を用いたリチウム二次電池が適用対象となる。また、電解質として、有機電解液系、イオン液体系、固体電解質系といった様々な電解質を用いたリチウム二次電池も適用対象となる。
本実施形態に係る正極材料は、前記したリチウム二次電池の正極の材料となる物質である。具体的には、正極材料は、集電体である金属箔に塗工されることにより正極を構成する。
ここで、「それぞれ粒子状を呈する」とは、粒子状の正極活物質1の表面がリチウムイオン伝導体2によって完全に被覆されているといった状態を除外する意図の規定である。そして、この「粒子状」とは、形状を球に限定するものではなく、ラグビーボールのような長球でも、表面が凸凹であったり突起が存在したりするような略球(略長球)であってもよい。
図1では省略しているが、正極活物質1は、炭素により被覆されていてもよい。また、図1では、正極活物質1とリチウムイオン伝導体2とは同じサイズとなっているが、当然、異なるサイズであってもよい。
なお、正極材料10の正極活物質1やリチウムイオン伝導体2の形状(粒子状)については、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)などで確認することができる。
正極活物質1は、正極側において、充放電反応に直接関与する物質である。詳細には、正極活物質1は、放電時において、リチウムイオンの挿入反応が生じ、充電時において、リチウムイオンの脱離反応が生じる物質である。
そして、正極活物質1は、リン酸マンガン鉄リチウム(以下、適宜「LMFP」という)およびリン酸鉄リチウム(以下、適宜「LFP」という)の少なくとも1種で構成される。
一方、LFPは、LinFePO4(nは0<n≦1を満たす)という組成式で示すことができる。
なお、LMFPとLFPは、併せてLinMnXFe(1−X)PO4(nは0<n≦1、Xは0≦X≦1を満たす)という組成式で示すこともできる。
粒子状を呈する正極活物質1は、炭素により被覆(カーボンコート)されていてもよい。特に、LFPよりも電子伝導性の低いLMFPを用いる場合、電子伝導性を向上させるべく、正極活物質1はカーボンコートされているのが好ましい。
リチウムイオン伝導体2は、正極材料10内において、リチウムイオンの拡散を助ける働きをする物質である。詳細には、このリチウムイオン伝導体2が、リチウムイオンの伝導経路となることにより、隣接する正極活物質1からのリチウムイオンが拡散し易くなる結果、正極材料10全体のリチウムイオン伝導性を向上させることとなると考える。
そして、リチウムイオン伝導体2は、リン酸リチウムアルミニウムチタン(以下、適宜「LTAP」という)であって、Li1+XTi2−XAlX(PO4)3(Xは0<X≦1を満たす)という組成式で示すことができ、例えば、Li1.3Ti1.7Al0.3(PO4)3という組成式のものを挙げることができる。また、LTAPは、ナシコン型の結晶構造を有する。
リチウムイオン伝導体の含有量は、リチウムイオンの拡散という効果を十分に得るために、所定量以上であるのが好ましい。一方、リチウムイオン伝導体の含有量は、多過ぎても前記の効果が飽和するとともに、リチウム二次電池の充放電容量が低下する虞がある。
詳細には、正極活物質としてLFPを用いる場合において、正極活物質とリチウムイオン伝導体の合計モル数に対するリチウムイオン伝導体のモル数の比率(=リチウムイオン伝導体のモル数/(正極活物質のモル数+リチウムイオン伝導体のモル数)×100)は2mol%以上であるのが好ましい。
本実施形態に係る正極材料は、前記した正極活物質およびリチウムイオン伝導体以外にも、公知のバインダや、導電剤(導電助剤)等を含んでいてもよい。
また、本実施形態に係る正極材料は、前記した正極活物質とは異なる正極活物質をさらに含んでいてもよい。
[リチウム二次電池用正極材料の製造方法]
本実施形態に係る正極材料の製造方法は、混合粉砕工程S1と、焼成工程S2・S4と、を含む。そして、本実施形態に係る正極材料の製造方法は、焼成工程が一次焼成工程S2と、二次焼成工程S4とからなり、一次焼成工程S2と二次焼成工程S4との間に炭素混合工程S3を含んでいてもよい。さらに、本実施形態に係る正極材料の製造方法は、二次焼成工程S4の後に、分級工程S5を含んでいてもよい。
よって、以下では、焼成処理S2・S4を2工程で行い、両工程の間に炭素混合工程S3が含まれる場合の正極材料の製造方法について、工程毎に説明する。
混合粉砕工程S1とは、正極活物質の前駆体とリチウムイオン伝導体の前駆体とを混合し、粉砕する工程である。
例えば、混合粉砕工程S1では、正極活物質の前駆体とリチウムイオン伝導体の前駆体に対し、乾式または湿式のビーズミル(ボールミル)、擂潰機等を用いて60分程度、混合・粉砕処理を施せばよい。
なお、混合粉砕工程S1において、正極活物質の前駆体とリチウムイオン伝導体の前駆体とを混合し、粉砕することにより、最終的に得られる正極材料中の正極活物質およびリチウムイオン伝導体をそれぞれ粒子状にすることができる。
混合粉砕工程S1において使用する原料(LMFPの原料、LFPの原料、LTAPの原料)は、詳細には以下のとおりである。
LMFPの原料(前駆体)について、リチウム導入用の原料としては、例えば、LiOH等の水和物、Li2CO3等の炭酸塩や炭酸水素塩、LiCl等の塩化物を含むハロゲン化物、LiNO3等の硝酸塩、その他有機酸塩等のLiのみ目的の正極材料中に残留するようなLi含有分解揮発性化合物を用いることができる。リン酸リチウムやリン酸二水素リチウムなどのような二種類の元素が含まれているものを用いてもよい。また、鉄導入用の原料としては、例えば、水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、塩化物等のハロゲン化物、硝酸塩、その他、Feのみが目的の正極材料中に残留するような分解揮発性化合物(例えば、シュウ酸塩や酢酸塩等の有機酸塩、アセチルアセトナート錯体類や、メタロセン錯体等の有機錯体等)のほか、リン酸塩やリン酸水素塩を用いることができる。また、マンガン導入用の原料としては、例えば、炭酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩等を用いることができる。また、リン酸導入用の原料としては、例えば、無水リン酸P2O5、リン酸H3PO4、およびリン酸イオンのみ正極材料中に残留するような分解揮発性リン酸塩やリン酸水素塩を用いることができる。
なお、混合粉砕工程S1では、前記のLMFPの原料、LFPの原料、LTAPの原料以外にも、例えば、スクロース、アスコルビン酸等の炭素化合物を還元剤として添加してもよい。
混合粉砕工程S1において使用するLMFPの原料(前駆体)の配合割合は特に限定されないが、例えば、「Li:Mn:Fe:P」の元素比が、「1〜1.1:1−x:x:1」(0≦x<1)となるように、前記の各原料を配合すればよい。
また、LFPの原料(前駆体)の配合割合も特に限定されないが、例えば、「Li:Fe:P」の元素比が、「1:1:1」となるように、前記の各原料を配合すればよい。
なお、炭素化合物を還元剤として添加する場合、炭素化合物の配合割合も特に限定されないが、全体重量(LMFPまたはLFPの原料の重量+LTAPの原料の重量+炭素化合物の重量)に対して0〜10wt%となるように配合すればよい。
一次焼成工程S2とは、混合粉砕工程S1で得られた粉砕物に対して一次焼成(仮焼成)を行う工程である。
そして、一次焼成工程S2は、粉砕物が加熱されることにより、最終的な正極活物質に至る前の中間的な状態まで反応する工程であり、その際、多くの場合は熱分解によるガスの発生を伴う。よって、一次焼成の焼成温度(到達温度)としては、ガスの大部分が放出し終わり、かつ正極活物質に至る反応が完全には進行しない温度、すなわち、より高温域での第二段階の二次焼成時に正極活物質中の構成元素の再拡散・均一化が起こる余地を残した温度を選択すればよい。
具体的には、一次焼成工程S2での焼成温度(到達温度)は、300℃以上600℃以下が好ましく、350℃以上500℃以下がさらに好ましい。
また、一次焼成工程S2での焼成雰囲気は、特に限定されないが、不純物である酸化体の生成防止や、残存する酸化体の還元を促すため、酸素ガス不存在下(不活性ガス雰囲気下)であるのが好ましい。
炭素混合工程S3とは、正極活物質に炭素を被覆させるために、一次焼成工程S2後の焼成物に炭素原料を混合する工程である。なお、炭素混合工程S3において、炭素原料を混合させつつ、粉砕処理を行ってもよい。
炭素混合工程S3において混合する炭素原料としては、ビチューメン等が挙げられ、好ましくは軟化点が300℃以下の石炭ピッチ、特に好ましくは軟化点が200℃以下の石炭ピッチが挙げられる。軟化点の低い石炭ピッチを用いることにより、正極活物質が適切にカーボンコートされ製品の粒子群が均一になり、最終的に正極材料の充放電容量を増大させることができる。
二次焼成工程S4とは、炭素混合工程S3の後の焼成物に、二次焼成(本焼成)を行う工程である。
そして、二次焼成工程S4においては、最終生成物の正極材料に至る反応を完全に進行させる必要がある。よって、二次焼成の焼成温度(到達温度)としては、前記の反応が完全に進行する温度を選択すればよい。
具体的には、二次焼成工程S4での焼成温度(到達温度)は、600℃以上800℃以下が好ましく、650℃以上780℃以下がさらに好ましい。
また、二次焼成工程S4での焼成雰囲気は、特に限定されないが、不純物である酸化体の生成防止や、残存する酸化体の還元を促すため、酸素ガス不存在下(不活性ガス雰囲気下)であるのが好ましい。
分級工程S5とは、二次焼成工程S4で得られた焼成物から、粗大な粒子を除外するために、分級を行う工程である。
例えば、分級工程S5の分級処理は、ふるい機等により、直径30μm以上の粒子を除外すればよい。
なお、実施例1では、正極活物質としてリン酸マンガン鉄リチウムを用いた場合について説明する。
(供試材1)
供試材1の正極材料の製造方法を以下に示す。
まず、正極活物質の前駆体として、水酸化リチウム(LiOH・H2O、東洋ケミカル社製)30.52gと、リン酸マンガン(Mn3(PO4)2・2H2O、Budenheim社製)72.95gと、リン酸第二鉄(FePO4・2H2O、Budenheim社製)26.16gと、リン酸(H3PO4、キシダ化学社製)28.78gを準備した。なお、顆粒状の水酸化リチウムについては、D50(レーザ回折・散乱法に基づき測定した体積基準の50%粒子径)が100μm以下となるまで粉砕処理を実施した。
また、リチウムイオン伝導体の前駆体として、アナターゼ型酸化チタン(TiO2、キシダ化学社製)2.85gと、酸化アルミニウム(Al2O3、キシダ化学社製)0.32gを準備した。
また、還元剤として、アスコルビン酸(キシダ化学社製)6.4gを準備した。
そして、解砕・分級後の焼成物、アセチレンブラック(デンカブラック(登録商標)、電気化学工業株式会社製、75%プレス品)、ポリフッ化ビニリデン(クレハバッテリーマテリアルズジャパン社製、#9100)を、86:7:7(質量比)の割合で混合した。次いで、得られた混合物をN−メチルピロリドン中で撹拌および混合することで、正極合剤スラリー(正極材料)を得た。
供試材2の正極材料の製造方法について、供試材1の正極材料の製造方法と異なる点のみを以下に示す。
まず、正極活物質の前駆体として、水酸化リチウム(LiOH・H2O、東洋ケミカル社製)29.37gと、リン酸マンガン(Mn3(PO4)2・2H2O、Budenheim社製)72.95gと、リン酸第二鉄(FePO4・2H2O、Budenheim社製)26.16gと、リン酸(H3PO4、キシダ化学社製)21.52gを準備した。なお、顆粒状の水酸化リチウムについては、D50(レーザ回折・散乱法に基づき測定した体積基準の50%粒子径)が100μm以下となるまで粉砕処理を実施した。
また、還元剤として、アスコルビン酸(キシダ化学社製)6.4gを準備した。
なお、供試材2は、リチウムイオン伝導体を用いない場合を想定したものである。
供試材3の正極材料の製造方法について、供試材1の正極材料の製造方法と異なる点のみを以下に示す。
まず、正極活物質の前駆体として、水酸化リチウム(LiOH・H2O、東洋ケミカル社製)32.90gと、リン酸マンガン(Mn3(PO4)2・2H2O、Budenheim社製)72.95gと、リン酸第二鉄(FePO4・2H2O、Budenheim社製)26.16gと、リン酸(H3PO4、和光純薬株式会社製)21.52gを準備した。なお、顆粒状の水酸化リチウムについては、D50(レーザ回折・散乱法に基づき測定した体積基準の50%粒子径)が100μm以下となるまで粉砕処理を実施した。
また、リチウムイオン伝導体の前駆体として、アナターゼ型酸化チタン(キシダ化学社製)8.39gを準備した。
また、還元剤として、アスコルビン酸(キシダ化学社製)6.4gを準備した。
なお、供試材3は、リチウムイオン伝導体としてチタン酸リチウム(以下、適宜「LTO」という)を用いる場合を想定したものである。
前記した製造方法によって得られた正極材料を、集電体であるアルミニウム箔表面に塗布(塗布量:8mg/cm2)した。そして、塗布後、乾燥させることにより、正極を製造した。
そして、ステンレス製コイン電池ケース(型番CR2032)に金属アルミニウム板、正負極集電体、前記正極および金属リチウム箔負極をセパレーター(セルガード社製)を介して組入れ、電解液として1MのLiPF6を溶解したエチルメチルカーボネート/エチレンカーボネートの7/3混合電解液(キシダ化学社製)を満たして封入し、コイン型リチウム二次電池を製造した。
なお、正負極、隔膜、電解液等の一連の電池組立ては、アルゴン置換されたグローブボックス内で行った。
供試材1〜3のリチウム二次電池について、室温(25℃)において放電特性の評価を行った。
具体的には、放電容量と電池電圧との関係を示す放電曲線(1C放電)を作成した。なお、放電曲線は、1Cで放電させた場合のものであるが、この「1C」とは、電池の全容量を1時間で放電させる電流値のことである。
なお、図3において、実線は供試材1の放電曲線であり、点線は供試材2の放電曲線であり、1点鎖線は供試材3の放電曲線である。
図3において、供試材1と供試材2との放電曲線を比較すると、供試材1の電池電圧の方が高くなっていることが確認できる。加えて、供試材1の放電曲線と縦横両軸で囲まれた面積が、供試材2の面積よりも広くなっていることが確認できる。
これらの結果から、リチウムイオン伝導体を含んだ供試材1は、リチウムイオン伝導体を含んでいない供試材2よりも、リチウムイオン伝導性が高くなった結果、作動電圧や放電容量を向上できたことがわかった。
この結果から、リチウムイオン伝導体の中でも、LTOを用いた場合は、リチウムイオン伝導性を高めることができないことがわかった。
以上の供試材1〜3の結果より、正極活物質としてリン酸マンガン鉄リチウムを用いた場合、リチウムイオン伝導体として粒子状を呈するLTAPを用いることにより、リチウムイオン伝導性が高まり、その結果、作動電圧や放電容量を向上できることがわかった。
(供試材4)
供試材4の正極材料の製造方法について、供試材1の正極材料の製造方法と異なる点のみを以下に示す。
まず、正極活物質の前駆体として、炭酸リチウム(Li2CO3、東洋ケミカル社製)113.17gと、シュウ酸鉄(FeC2O4・2H2O、湖北浩元社製)534.51gと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4、下関三井化学社製)352.33gを準備した。これらを混合・粉砕して、405度まで昇温し4時間保持した(一次焼成)。そして、一次焼成後の焼成物に対して、炭素原料として石炭ピッチ(MCP−110C、JFEケミカル社製)を3.5wt%混合して、760度まで昇温し6時間保持した(二次焼成)。
なお、供試材4は、正極活物質とリチウムイオン伝導体の合計に対するリチウムイオン伝導体の比率が0mol%の場合を想定したものである。
供試材5の正極材料の製造方法について、供試材4の正極材料の製造方法と異なる点のみを以下に示す。
まず、正極活物質の前駆体として、炭酸リチウム(Li2CO3、東洋ケミカル社製)114.64gと、シュウ酸鉄(FeC2O4・2H2O、湖北浩元社製)534.51gと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4、下関三井化学社製)362.90g、また、リチウムイオン伝導体の前駆体として、酸化チタン(TiO2、キシダ化学社製)4.16gと、酸化アルミニウム(Al2O3、キシダ化学社製)0.47gを準備した。
なお、供試材5は、正極活物質とリチウムイオン伝導体の合計に対するリチウムイオン伝導体の比率が1mol%の場合を想定したものである。
供試材6の正極材料の製造方法について、供試材4の正極材料の製造方法と異なる点のみを以下に示す。
まず、正極活物質の前駆体として、炭酸リチウム(Li2CO3、東洋ケミカル社製)116.64gと、シュウ酸鉄(FeC2O4・2H2O、湖北浩元社製)534.51gと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4、下関三井化学社製)373.47gを準備した。
また、リチウムイオン伝導体の前駆体として、酸化チタン(TiO2、キシダ化学社製)8.32gと、酸化アルミニウム(Al2O3、キシダ化学社製)0.94gを準備した。
なお、供試材6は、正極活物質とリチウムイオン伝導体の合計に対するリチウムイオン伝導体の比率が2mol%の場合を想定したものである。
供試材7の正極材料の製造方法について、供試材4の正極材料の製造方法と異なる点のみを以下に示す。
まず、正極活物質の前駆体として、炭酸リチウム(Li2CO3、東洋ケミカル社製)117.58gと、シュウ酸鉄(FeC2O4・2H2O、湖北浩元社製)534.51gと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4、下関三井化学社製)384.04gを準備した。
また、リチウムイオン伝導体の前駆体として、酸化チタン(TiO2、キシダ化学社製)12.48gと、酸化アルミニウム(Al2O3、キシダ化学社製)1.41gを準備した。
なお、供試材7は、正極活物質とリチウムイオン伝導体の合計に対するリチウムイオン伝導体の比率が3mol%の場合を想定したものである。
リチウム二次電池の製造方法については、実施例1と同じ条件で行った。
供試材4〜7のリチウム二次電池について、室温(25℃)において放電特性の評価を行った。
具体的には、放電容量と電池電圧との関係を示す放電曲線(5C放電)を作成した。なお、放電曲線は、5Cで放電させた場合のものを作成したが、ここで「1C」とは、電池の全容量を1時間で放電させる電流値のことであり、この「5C」とは、前記電流値の5倍の電流値のことである。
なお、図4、5において、点線は、供試材4の放電曲線であり、1点鎖線は供試材5の放電曲線であり、2点鎖線は供試材6の放電曲線であり、実線は供試材7の放電曲線である。
放電開始時の状態を示す図5において、供試材4と供試材5とは、ほとんど同じ電池電圧を示すが、供試材6と供試材7とは、供試材4と供試材5よりも電池電圧が高くなっていることが確認できる。
この結果から、リチウムイオン伝導体の含有量が2mol%以上であれば、リチウムイオン伝導率が高くなり、より確実に作動電圧を向上できることがわかった。
以上の供試材4〜7の結果より、正極活物質としてリン酸鉄リチウムを用いた場合、リチウムイオン伝導体として粒子状を呈するLTAPを2mol%以上含有させることにより、リチウムイオン伝導性が確実に高まり、その結果、作動電圧を向上できることがわかった。
2 リチウムイオン伝導体
10 リチウム二次電池用正極材料(正極材料)
S1 混合粉砕工程
S2 一次焼成工程(焼成工程)
S3 炭素混合工程
S4 二次焼成工程(焼成工程)
S5 分級工程
Claims (2)
- 正極活物質の前駆体とリチウムイオン伝導体の前駆体とを混合し、粉砕する混合粉砕工程と、
前記混合粉砕工程後の粉砕物に対して焼成を行う焼成工程と、
を含み、
前記正極活物質は、リン酸マンガン鉄リチウムおよびリン酸鉄リチウムの少なくとも1種であり、前記リチウムイオン伝導体は、リン酸リチウムアルミニウムチタンであることを特徴とするリチウム二次電池用正極材料の製造方法。 - 前記焼成工程は、所定温度で焼成を行う一次焼成工程と、前記所定温度よりも高い温度で焼成を行う二次焼成工程と、からなり、
前記一次焼成工程と前記二次焼成工程との間に、炭素原料を混合する炭素混合工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
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