JP7292574B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法、およびリチウムイオン二次電池 Download PDFInfo
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Description
工程(1-b):その表面にチタン化合物を被覆し、かつ、ニッケル、及びマンガン、並びに、任意に元素M2を含み、それぞれの元素の物質量比がNi:Mn:M2=(1-a-b’):a:b’(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b’≦0.60であり、M2は、Ti、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表されるニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、リチウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る、混合工程
工程(1-c):ニッケル、マンガン、及びチタン、並びに、任意に元素M1を含み、それぞれの元素の物質量比がNi:Mn:M1:Ti=(1-a-b-d):a:b:d(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.001≦d≦0.05であり、M1は、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表されるニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、リチウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る、混合工程;
工程(2):前記リチウム混合物を酸化雰囲気中750℃以上1000℃以下で焼成してリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得る、焼成工程;
工程(3)前記焼成後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗して、前記水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物中のホウ素の少なくとも一部を除去する、水洗工程;
工程混合工程において、リチウム混合物 は、リチウムを除く金属元素Meの合計量に対して、チタンを0.1原子%以上5原子%以下含み、かつ、ホウ素を0.1原子%以上3原子%以下で含む。
工程(1-1):晶析によりニッケルマンガン複合化合物を得る晶析工程。
(1-1)晶析によりニッケルマンガン複合化合物を得る晶析工程;
(1-2)ニッケルマンガン複合化合物と水とを混合して得られたスラリーに、ホウ酸及びホウ酸塩の少なくとも一つを含む溶液を添加して、ニッケルマンガン複合化合物にホウ素を含浸させる、ホウ素含浸工程。
(1-3)ニッケルマンガン複合化合物を105℃以上700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程。また、圧粉抵抗測定により求められる4.0g/cm3で圧縮した時の導電率が、前記水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物よりも、前記水洗後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物の方が小さいことが好ましい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」ともいう。)は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗して得られるリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含む。水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、リチウム、ニッケル、マンガン、ホウ素、及びチタン、並びに、任意に元素M1を含み、それぞれの元素の物質量比(モル比)がLi:Ni:Mn:M1:B:Ti=e:(1-a-b-c―d):a:b:c:d(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.001≦c≦0.03、0.001≦d≦0.05、0.95≦e≦1.20であり、元素Mは、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表される。
水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子で構成される。また、水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、リチウム、ニッケル、マンガン、ホウ素、及びチタン、並びに、任意に元素Mを含み、それぞれの元素の物質量比(モル比)がLi:Ni:Mn:M1:B:Ti=e:(1-a-b-c―d):a:b:c:d(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.001≦c≦0.03、0.001≦d≦0.05、0.95≦e≦1.20であり、元素M1は、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表される。なお、各元素の物質量比は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法による定量分析により測定することができる。以下、各元素について説明する。
上記比において、リチウム(Li)の含有量を示すeは、Liと、リチウム以外の金属元素Me(すなわち、Ni、Mn、M1、Ti、及び、B)との物質量比(Li/Me)に対応する。また、eの範囲は、0.95≦e≦1.20であり、1.00≦e≦1.05であってもよい。なお、eの値は1を超えてもよい。
上記比において、マンガン(Mn)の含有量を示すaの範囲は、0.05≦a≦0.60であり、好ましくは0.05≦a≦0.50であり、より好ましくは0.05<a≦0.35であり、さらに好ましくは0.05≦a≦0.25である。aが上記範囲である場合、熱安定性に優れる。また、後述する焼成工程(S3)において、マンガンを含むことにより、焼成温度を高くすることができ、ホウ素、チタンの分散を促進することができる。
元素M1は、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr及びTaの中から選択される少なくとも1種の元素である。上記比において、元素M1の含有量を示すbの範囲は0≦b≦0.60である。bが0を超える場合、熱安定性、保存特性改善、電池特性等を改善することができる。例えば、元素M1がCoを含む場合、電池容量及び出力特性に優れる。上記比において、元素M1に含まれるCoの含有量をb1とする場合、好ましくは0.01≦b1≦0.5であり、より好ましくは0.01≦b1≦0.4である。
上記比において、ホウ素(B)の含有量を示すcの範囲は、0.001≦c≦0.03であり、好ましくは0.001≦c≦0.025であり、より好ましくは0.003≦c≦0.020である。上述したように、チタンとあわせて、ホウ素を上記範囲で含む場合、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の導電性を非常に低下させ、かつ、高い電池特性(電池容量、正極抵抗)を有することができる。一方、cの値が0.03を超える場合、正極抵抗が増加し、十分な電池容量及び出力特性を得ることができない。
上記比において、チタン(Ti)の含有量を示すdの範囲は、0.001≦d≦0.05であり、0.001≦d≦0.04であってもよく、0.005≦d≦0.035であってもよい。上述したように、ホウ素とあわせて、チタンを上記範囲で含む場合、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の導電性を非常に低下させ、かつ、高い電池特性(電池容量、正極抵抗)を有することができる。
上記比において、ニッケル(Ni)の含有量を示す(1-a-b-c―d)の範囲は、リチウム以外の他の金属元素の含有量により変動する値であり、好ましくは0<(1-a-b-c)≦0.948であり、より好ましくは0.3≦(1-a-b-c)≦0.948である。また、(1-a-b-c―d)の値は、電池容量(充放電容量)の向上の観点から、0.5以上であってもよく、0.6以上であってもよい。
リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、水洗により、ホウ素の少なくとも一部が除去される。よって、水洗後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物に含まれるホウ素の含有量は、水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物に含まれるホウ素の含有量よりも小さい。水洗後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、水洗前と比較して、導電性がより向上する。
上記比において、水洗後のホウ素(B)の含有量を示すc’の範囲は、好ましくは0≦c’≦0.005であり、より好ましくは0≦c’≦0.003である。また、水洗後のホウ素(B)の含有量は、ICP発光分析法による定量分析による検出限界以下、すなわち、c’=0であってもよい。メカニズムの詳細は不明であるが、水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物において、ホウ素とチタンとを含むことにより、水洗後にホウ素が除去されたとしても、導電率のさらなる低減が可能となる。
上記比において、水洗後のリチウム(e)の含有量を示すe’の範囲は、好ましくは0.90≦e’≦1.15であり、より好ましくは0.93≦e’≦1.10であり、さらに好ましくは0.95≦e’≦1.05である。
水洗前及び水洗後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、二次粒子内に空隙が存在してもよい。空隙は、二次粒子内の断面を走査電子顕微鏡(SEM)の観察により、確認することができる。二次粒子内の空隙率は、好ましくは0.2%以上10%以下であり、より好ましくは0.2%以上5%以下である。空隙率は、例えば、後述する製造方法において、ホウ素化合物の添加量を適宜調整することにより、上記範囲とすることができる。
式:空隙率=[(二次粒子内の空隙面積)/(二次粒子の断面積)×100]
ただし、上記式の二次粒子内(断面内)の空隙面積、及び、二次粒子の断面積は、画像解析ソフト(ImageJ等)を用いて求める。
正極活物質は、体積平均粒径MVが好ましくは5μm以上40μm以下であり、より好ましくは10μm以上25μm以下である。体積平均粒径MVが上記範囲である場合、正極活物質を二次電池の正極に用いた際、高い出力特性および電池容量と、正極への高い充填性とを両立させることができる。二次粒子の平均粒径が5μm未満になると、正極への高い充填性が得られないことがあり、平均粒径が30μmを超えると、高い出力特性や電池容量が得られないことがある。なお、平均粒径は、例えば、レーザー光回折散乱式粒度分布計により測定される体積積算値から求めることができる。
正極活物質は、圧粉抵抗測定で求められる導電率が、好ましくは1.0×10-6S/cm以上4.0×10-3S/cm以下の範囲である。通常、正極活物質の導電率が高いほど、電気化学反応における抵抗が低い優れた活物質と考えられるが、短絡時の熱安定性を考慮した場合、適度に導電率が低いことにより、短絡時の急激な電流の発生を抑制することができる。よって、正極活物質の導電率が上記範囲である場合、短絡時の高い熱安定性を得ることができる。また、導電率は、電池特性と短絡時の熱安定性との両立の観点から、1.0×10-5S/cm以上3.0×10-3S/cm以下であってもよく、1.0×10-4S/cm以上2.0×10-3S/cm以下であってもよく、1.0×10-4S/cm以上1.0×10-3S/cm以下であってもよい。なお、導電率は、例えば、正極活物質を4.5g以上5.5g以下の範囲内に秤量し、直径20mmの円柱状に4.0g/ccとなるように加圧成型した後、加圧した状態でJIS K 7194:1994に準拠した4探針法による抵抗率試験方法により測定した体積抵抗率を換算して求めることができる。
図2~4は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」という。)の製造方法の一例を示す図である。
工程(1):ニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、チタン化合物と、リチウム化合物と、を混合して、リチウム混合物を得る、混合工程(S1);
工程(3):リチウム混合物を酸化雰囲気中750℃以上1000℃以下で焼成してリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得る、焼成工程(S3)。
工程(3)前記焼成後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗する、水洗工程(S3)。
工程(1-b):チタン化合物を被覆したニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、チタン化合物と、リチウム化合物と、を混合して、リチウム混合物を得る、混合工程(S1-a);
工程(2):リチウム混合物を酸化雰囲気中750℃以上1000℃以下で焼成してリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得る、焼成工程(S2)。
工程(3)前記焼成後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗する、水洗工程(S3)。
(2)ニッケル、マンガン、及びチタンを含むニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、リチウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る、混合工程(S2);
(3)リチウム混合物を酸化雰囲気中750℃以上1000℃以下で焼成してリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得る、焼成工程(S3)。
工程(3)前記焼成後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗する、水洗工程(S3)。
本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、図5(A)に示すように、混合工程(S1)の前に、晶析によりニッケルマンガン複合化合物を得る晶析工程(S1-1)を備えることが好ましい。以下、晶析工程(S1-1)について説明する。
また、本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、図5(B)に示すように、混合工程(S1)及び混合工程(S2)の前に、ニッケルマンガン複合化合物を105℃以上700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程(S1-3)を備えてもよい。
[混合工程(S1-a)]
本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、例えば、図2に示すように、混合工程(S1-a)、焼成工程(S2)及び水洗工程(S3)を備える。混合工程(S1-a)は、図2に示すように、ニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、チタン化合物と、リチウム化合物と、を混合して、リチウム混合物を得る工程である。
ニッケルマンガン複合化合物は、ニッケル、及びマンガン、並びに、任意に元素M2を含み、それぞれの元素の物質量比(モル比)がNi:Mn:M2=(1-a-b’):a:b’(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b’≦0.60であり、M2は、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表される。
ホウ素化合物は、ホウ素を含む化合物であり、好ましくはホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸リチウム、及びホウ酸アンモニウムの少なくとも一つである。なお、ホウ素化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
チタン化合物は、チタンを含む化合物であり、例えば、酸化チタン、硫酸チタン、四臭化チタン、四塩化チタン、珪化チタンなどを用いることができる。これらの中でも、入手のしやすさや、リチウム金属複合酸化物中への不純物の混入を避けるという観点から、酸化チタンが好ましい。なお、チタン化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
リチウム化合物は、特に限定されず、リチウムを含む公知の化合物を用いることができる。リチウム化合物は、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、又は、これらの混合物などが用いられる。これらの中でも、残留不純物の影響が少なく、焼成温度で溶解するという観点から、炭酸リチウム、水酸化リチウム、又は、これらの混合物が好ましい。
ニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、チタン化合物と、リチウム化合物との混合方法は、特に限定されず、ニッケルマンガン複合水酸化物等の形骸が破壊されない程度で、これらの化合物が十分に混合されればよい。混合方法としては、例えば、一般的な混合機を使用して混合することができ、例えばシェーカーミキサーやレーディゲミキサー、ジュリアミキサー、Vブレンダーなどを用いて混合することができる。なお、リチウム混合物は、後述する焼成工程(S3)の前に十分混合しておくことが好ましい。混合が十分でない場合、正極活物質の個々の粒子間でLi/Meがばらつき、十分な電池特性が得られない等の問題が生じることがある。
本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、例えば、図3に示すように、混合工程(S1-b)、焼成工程(S2)、及び、水洗工程(S3)を備える。混合工程(S1-b)は、図3に示すように、チタン化合物を被覆したニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、リチウム化合物と、を混合して、リチウム混合物を得る工程である。
本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、例えば、図4に示すように、混合工程(S1-c)、焼成工程(S2)及び水洗工程(S3)を備える。混合工程(S1-c)は、図4に示すように、チタン(Ti)を含むニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、リチウム化合物と、を混合して、リチウム混合物を得る工程である。
ニッケルマンガン複合化合物は、ニッケル、マンガン、及びチタン、並びに、任意に元素M1を含み、それぞれの元素の物質量比がNi:Mn:M1:Ti=(1-a-b-d):a:b:d(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.001≦d≦0.05であり、M1は、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表される。
焼成工程(S2)は、混合工程(S1)で得られたリチウム混合物を、酸化雰囲気中750℃以上1000℃以下で焼成する工程である。リチウム混合物を焼成すると、ニッケルマンガン複合化合物にリチウム化合物中のリチウムが拡散するので、多結晶構造の粒子からなるリチウムニッケルマンガン複合酸化物が形成される。リチウム化合物は、焼成時の温度で溶融し、ニッケルマンガン複合化合物内に浸透して、リチウムニッケルマンガン複合酸化物を形成する。この際、リチウム混合物中に含まれるホウ素、チタンも、溶融したリチウム化合物とともに、二次粒子内部まで浸透し、一次粒子においても結晶粒界などがあれば浸透すると考えられる。
なお、焼成工程(S2)は、750℃以上1000℃以下の温度で焼成する前に、この焼成温度より低い温度で仮焼する工程をさらに含んでもよい。仮焼は、リチウム混合物中のリチウム化合物、ホウ素化合物が溶融し、ニッケルマンガン複合化合物と反応し得る温度で行うことが好ましい。仮焼の温度は、例えば、350℃以上、かつ、焼成温度より低い温度とすることができる。また、仮焼の温度の下限は、好ましくは400℃以上である。上記の温度範囲でリチウム混合物を保持(仮焼)することにより、リチウム、ホウ素、チタンの拡散が十分に行われ、均一なリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得ることができる。例えば、リチウム化合物として、水酸化リチウムを使用する場合、仮焼は、400℃以上550℃以下の温度で1時間以上10時間程度保持して行うことが好ましい。
なお、焼成工程(S2)後に得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、粒子間の焼結は抑制されているが、弱い焼結や凝集により粗大な粒子を形成していることがある。このような場合には、解砕により上記焼結や凝集を解消して粒度分布を調整することができる。
水洗工程(S3)は、焼成後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗して、水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物中のホウ素の少なくとも一部を除去する、工程である。水洗後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物と比較して、導電率を低減することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、「二次電池」ともいう。)は、上述した正極活物質を含む正極と、負極と、非水系電解質とを備える。二次電池は、例えば、正極、負極、及び非水系電解液を備える。また、二次電池は、例えば、正極、負極、及び固体電解質を備えてもよい。また、二次電池は、リチウムイオンの脱離及び挿入により、充放電を行う二次電池であればよく、例えば、非水系電解液二次電池であってもよく、全固体リチウム二次電池であってもよい。なお、以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本実施形態に係る二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基づいて、種々の変更、改良を施した形態に適用してもよい。
(正極)
まず、上記の正極活物質100、導電材および結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭や、粘度調整などの目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。その際、目的とする二次電池の性能に応じて、正極合材ペースト中のそれぞれの混合比は、適宜、調整することができる。例えば、溶剤を除いた正極合材の固形分を100質量部とした場合、正極活物質の含有量を60質量部以上95質量部以下、導電材の含有量を1質量部以上20質量部以下とし、結着剤の含有量を1質量部以上20質量部以下としてもよい。
負極として、金属リチウムやリチウム合金などを用いてもよい。また、負極として、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを用いてもよい。
正極と負極との間には、必要に応じてセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解質としては、非水系電解液を用いることができる。非水系電解液は、例えば、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものを用いてもよい。また、非水系電解液として、イオン液体にリチウム塩が溶解したものを用いてもよい。なお、イオン液体とは、リチウムイオン以外のカチオンおよびアニオンから構成され、常温でも液体状を示す塩をいう。
二次電池の構成は、特に限定されず、上述したように正極、負極、セパレータ、非水系電解質などで構成されてもよく、正極、負極、固体電解質などで構成されもよい。また、二次電池の形状は、特に限定されず、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。
本実施形態に係る二次電池は、高い電池容量及び低い正極抵抗と、導電性の低下による短絡時の熱安定性とを両立できる。本実施形態に係る二次電池は、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話端末など)の電源に好適である。また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムコバルト系酸化物あるいはリチウムニッケル系酸化物を正極活物質として用いた電池と比較した倍、短絡時の熱安定性に優れており、さらに、出力特性、電池容量の点で優れている。そのため、本実施形態に係る二次電池は、小型化、高出力化が可能であり、搭載スペースに制約を受ける電気自動車用電源や、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車用の電源としても好適に用いることができる。
(1)組成の分析:ICP発光分析法で測定した。
(2)体積平均粒径MV:レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)により行なった。
(4)形態観察、空隙率:正極活物質を樹脂などに埋め込み、クロスセクションポリッシャ加工などにより二次粒子の断面観察が可能な状態とした後、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。次いで、SEM画像から、体積平均粒径(MV)の50%以上となる二次粒子の断面を無作為に20個選択し、それぞれの二次粒子の断面について、画像解析ソフト(ImageJ等)を用いて、下記式から、空隙率の平均値を算出した。
式:[(二次粒子内部の空隙面積)/(二次粒子の断面積)×100](%)
(5)導電率:正極活物質4gあたり1cm3となるように圧縮した状態で、JIS K 7194:1994に準拠した4探針法による抵抗率試験方法により測定した体積抵抗率を換算して求めた。
得られた正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形し、図7に示す正極(評価用電極)PEを作製した。作製した正極PEを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した後、この正極PEを用いて2032型コイン型電池CBAを、露点が-80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。負極NEには、直径17mm厚さ1mmのリチウム(Li)金属を用い、電解液には、1MのLiClO4を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。セパレータSEには膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。また、コイン型電池CBAは、ガスケットGAとウェーブワッシャーWWを有し、正極缶PCと負極缶NCとでコイン型の電池に組み立てた。得られた正極活物質の初期充放電容量および正極抵抗値の測定結果を表2に示す。
(7)初期充電容量:
図7に示すコイン型電池CBAを作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(open circuit voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧4.3Vまで充電して初期充電容量とし、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。充放電容量の測定には,マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
(8)正極抵抗(反応抵抗):
正極抵抗は、測定温度に温度調節したコイン型電池を充電電位4.1Vで充電して、交流インピーダンス法により抵抗値を測定した。測定には、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用して、図8(上段)に示すナイキストプロットを作成し、図8(下段)に示した等価回路を用いてフィッティング計算して、正極抵抗(反応抵抗)の値を算出した。
(晶析工程)
反応槽(60L)に純水を所定量入れ、攪拌しながら槽内温度を45℃に設定した。このとき反応槽内に、反応槽液中の溶存酸素濃度が1.5mg/LとなるようにN2ガスを流した。この反応槽内にニッケル:マンガン:コバルトのモル比が85:10:5となるように、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトの2.0Mの混合水溶液と、アルカリ溶液である25質量%水酸化ナトリウム溶液、錯化剤として25質量%アンモニア水を反応槽に同時に連続的に添加した。このとき混合水溶液の滞留時間は8時間となるように流量を制御し、反応槽内のpHを12.0~12.8に、アンモニア濃度を12~13g/Lに調整した。反応槽が安定した後、オーバーフロー口からニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を含むスラリーを回収した後、濾過を行いニッケルコバルトマンガン複合水酸化物のケーキを得た(晶析工程)。濾過を行ったデンバー内にあるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物140gに対して1Lの純水を通液することで、不純物の洗浄を行った。濾過後の粉を乾燥し、Ni0.85Co0.10Mn0.05(OH)2+α(0≦α≦0.4)で表されるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得た。
得られたニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と、水酸化リチウムと、ホウ酸(H3BO3、平均粒径500μm)と、チタン化合物(TiO2)とを、シェーカーミキサー装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合し、リチウム混合物を得た。なお、各成分は、リチウム混合物において、リチウム以外の金属元素Me(Ni、Mn、Co、B、Ti)の合計量に対して、チタンが2.3原子%、ホウ素が0.3原子%となるように、かつ、リチウム(Li)と、Li以外の金属元素Meとのモル比(Li/Me)が1.01になるように、秤量して、混合した。
得られたリチウム混合物を酸素気流中にて800℃で10時間保持して焼成し、その後、解砕してリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質を得た。
ホウ素が0.5原子%となるようにホウ酸を秤量したこと以外は参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面SEM像を図9に示す。
ホウ素が1.0原子%となるようにホウ酸を秤量したこと以外は参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
チタンが1.2原子%になるようにホウ酸を秤量したこと以外は参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
チタンが3.3原子%になるようにチタン化合物を秤量したこと、及び、焼成温度を830℃とした以外は、参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
焼成温度を830℃とした以外は、参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
焼成温度を850℃とした以外は、参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
ホウ酸の平均粒径を100μmとした以外は、参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
ホウ酸の平均粒径を50μmとした以外は、参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
ホウ酸の平均粒径を10μmとした以外は、参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
ホウ素化合物として、酸化ホウ素(平均粒径500μm)を用いた以外は、参考例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
焼成温度を830℃とした以外は参考例2と同様に得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を、水洗濃度50g/L(正極活物質20g、純水量0.4L)、4時間で水洗して、正極活物質を得た。
焼成温度を830℃とした以外は参考例3と同様に得られたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を、水洗濃度50g/L(正極活物質20g、純水量0.4L)、4時間で水洗して、正極活物質を得た。
混合工程において、ホウ酸とチタン化合物とを混合しなかった以外は、実施例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
ホウ酸を混合せず、焼成温度を830℃とした以外は、実施例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。また、得られた正極活物質の断面SEM像を図10に示す。
チタン化合物を混合せず、焼成温度を830℃とした以外は、実施例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
ホウ素が5原子%となるようにホウ酸を秤量し、焼成温度を830℃としたこと以外は実施例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
チタンが10原子%となるようにチタン化合物を秤量し、焼成温度を830℃としたこと以外は実施例1と同様に正極活物質を得るとともに評価した。製造条件及び評価結果を、表1および表2に示す。
表1及び表2に示すように、チタン及びホウ素を特定量で含有する参考例の正極活物質では、導電率が4.0×10-3S/cm以下の範囲であり、正極抵抗も、チタン及び/又はホウ素を添加しない比較例1~3と比較して、低くなっている。また、参考例の正極活物質では、チタン及びホウ素を含まない比較例1と同程度の充電容量が維持されている。さらに、参考例2、3と焼成温度以外は同様の条件で得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗した、実施例1、2では、参考例2、3と比較して、導電率がより低下することが示された。
PE…正極(評価用電極)
NE…負極
SE…セパレータ
GA…ガスケット
WW…ウェーブワッシャー
PC…正極缶
NC…負極缶
G…空隙
10…リチウムニッケルマンガン複合酸化物
Claims (12)
- 複数の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗して得られるリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含み、
前記水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、リチウム、ニッケル、マンガン、ホウ素、及びチタン、並びに、任意に元素M1を含み、それぞれの元素の物質量比がLi:Ni:Mn:M1:B:Ti=e:(1-a-b-c―d):a:b:c:d(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.001≦c≦0.03、0.001≦d≦0.05、0.95≦e≦1.20であり、元素M1は、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表され、前記ホウ素の少なくとも一部が、前記一次粒子の表面及び粒界の少なくとも一方に偏析し、
前記水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物中のホウ素の少なくとも一部が、前記水洗により除去されてなる、
リチウムイオン二次電池用正極活物質。 - 前記二次粒子内の断面SEM観察において、二次粒子内に空隙が存在し、かつ、前記二次粒子内の空隙率が0.2%以上10%以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 体積平均粒径MVが5μm以上30μm以下である、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 圧粉抵抗測定により求められる4.0g/cm3で圧縮した時の導電率が、1.0×10-6S/cm以上4.0×10-3S/cm以下の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 前記水洗後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物中のホウ素含有量が、ニッケル、マンガン、ホウ素、チタン、及び、元素M1の合計量に対して、0原子%以上0.005原子%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 複数の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
以下の工程(1-a)、(1-b)及び(1-c)のうち少なくとも一つを含む混合工程と、工程(2)と、工程(3)とを備え、
前記リチウムニッケルマンガン複合酸化物は、少なくとも、リチウム、ニッケル、マンガン、ホウ素、及びチタンを含み、リチウムと、リチウム以外の金属元素Meとの物質量比(Li/Me)が、0.95以上1.20以下であり、前記ホウ素の少なくとも一部が、前記一次粒子の表面及び粒界の少なくとも一方に偏析する、
リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
工程(1-a):ニッケル、及びマンガン、並びに、任意に元素M2を含み、それぞれの元素の物質量比がNi:Mn:M2=(1-a-b’):a:b’(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b’≦0.60であり、M2は、Ti、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表されるニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、チタン化合物と、リチウム化合物と、を混合して、リチウム混合物を得る、混合工程;
工程(1-b):その表面にチタン化合物を被覆し、かつ、ニッケル、及びマンガン、並びに、任意に元素M2を含み、それぞれの元素の物質量比がNi:Mn:M2=(1-a-b’):a:b’(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b’≦0.60であり、M2は、Ti、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr、及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表されるニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、リチウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る、混合工程
工程(1-c):ニッケル、マンガン、及びチタン、並びに、任意に元素M1を含み、それぞれの元素の物質量比がNi:Mn:M1:Ti=(1-a-b-d):a:b:d(ただし、0.05≦a≦0.60、0≦b≦0.60、0.001≦d≦0.05であり、M1は、Co、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Cr、Zr及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表されるニッケルマンガン複合化合物と、ホウ素化合物と、リチウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る、混合工程;
工程(2):前記リチウム混合物を酸化雰囲気中750℃以上1000℃以下で焼成してリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得る、焼成工程;
工程(3)前記焼成後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水洗して、前記水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物中のホウ素の少なくとも一部を除去する、水洗工程;
前記混合工程において、前記リチウム混合物は、リチウムを除く金属元素Meの合計量に対して、チタンを0.1原子%以上5原子%以下含み、かつ、ホウ素を0.1原子%以上3原子%以下で含む。 - 前記混合工程の前に、以下の工程(1-1)を備え、前記混合工程における、前記ホウ素化合物の平均粒径が1μm以上1mm以下である、
請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
工程(1-1):晶析により前記ニッケルマンガン複合化合物を得る晶析工程。 - 前記混合工程における、前記ホウ素化合物がホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸リチウム、及びホウ酸アンモニウムの少なくとも一つである、請求項6又は請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程の前に、以下の工程(1-1)及び工程(1-2)を備え、前記混合工程における、前記ホウ素化合物は、前記ニッケルマンガン複合化合物に含侵された状態で混合される、
請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
(1-1)晶析により前記ニッケルマンガン複合化合物を得る晶析工程;
(1-2)前記ニッケルマンガン複合化合物と水とを混合して得られたスラリーに、ホウ酸及びホウ酸塩の少なくとも一つを含む溶液を添加して、前記ニッケルマンガン複合化合物にホウ素を含浸させる、ホウ素含浸工程。 - 前記混合工程の前に、以下の工程(1-3)を備える、
請求項6~9のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質用正極活物質の製造方法。
(1-3)前記ニッケルマンガン複合化合物を105℃以上700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程。 - 圧粉抵抗測定により求められる4.0g/cm3で圧縮した時の導電率が、前記水洗前のリチウムニッケルマンガン複合酸化物よりも、前記水洗後のリチウムニッケルマンガン複合酸化物の方が小さい、請求項6~10のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質用正極活物質の製造方法。
- 正極と負極とセパレータと非水系電解液とを備え、正極は、請求項1~5のいずれか一項に記載の正極活物質を含む、リチウムイオン二次電池。
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