JP7119783B2 - 遷移金属複合水酸化物の製造方法、遷移金属複合水酸化物、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法、リチウムイオン二次電池用正極活物質 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体となる遷移金属複合水酸化物を、晶析反応により製造する遷移金属複合水酸化物の製造方法であって、
反応槽内に、液温25℃基準におけるpH値が9.0以上12.0以下となるように制御しつつ、少なくとも遷移金属を含有する原料水溶液と、アルカリ水溶液とを連続的に供給して反応水溶液を形成し、遷移金属複合水酸化物の晶析反応を行う晶析工程を有し、
前記晶析工程の間、前記反応水溶液の温度を70℃以上80℃以下、前記反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度を1g/L以下に制御し、
前記晶析工程では、前記反応水溶液中に結晶の核を生成させる核生成反応と、前記核の周辺に結晶が析出して粒子が大きくなっていく粒子成長反応とを、並行して進行させ、オーバーフローにより、反応槽外への連続的な前記遷移金属複合水酸化物の排出を行う遷移金属複合水酸化物の製造方法を提供する。
[遷移金属複合水酸化物の製造方法]
以下に、本実施形態の遷移金属複合水酸化物の製造方法の一構成例について説明する。
晶析工程の間、反応水溶液は、液温25℃基準におけるpH値が9.0以上12.0以下となるように反応槽への原料水溶液と、アルカリ水溶液との供給量を制御することが好ましい。
また、晶析工程の間、反応水溶液の温度を70℃以上80℃以下、反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度を1g/L以下に制御することが好ましい。
(少なくとも遷移金属を含有する原料水溶液)
本実施形態の遷移金属複合水酸化物の製造方法によれば、少なくとも遷移金属を含有する原料水溶液(以下、単に「原料水溶液」とも記載する)中の金属元素の物質量の比率が、概ね、得られる遷移金属複合水酸化物中の対応する金属元素の物質量の比(以下、「組成比」とも記載する)となる。このため、原料水溶液は、目的とする遷移金属複合水酸化物の組成比に応じて、各金属元素の含有量を調整することが好ましい。
(アルカリ水溶液)
反応水溶液に添加し、反応水溶液のpH値を調整するアルカリ水溶液は、特に制限されることはなく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの一般的なアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。なお、アルカリ金属水酸化物を、直接、反応水溶液に添加することもできるが、pH制御の容易さから、水溶液として添加することが好ましい。
(晶析工程での操作について)
晶析工程を開始する前に、晶析を行う反応槽内に、アルカリ水溶液を供給、および混合して、液温25℃基準で測定するpH値が9.0以上12.0以下である反応前水溶液を調製しておくことができる。なお、反応槽内には予め水を入れておくことができる。反応前水溶液のpH値はpH計により測定することができる。反応槽内の液温度は、70℃以上80℃以下に制御しておくことが好ましい。
[遷移金属複合水酸化物]
以下に、本実施形態の遷移金属複合水酸化物の一構成例について説明する。
さらに、本実施形態の遷移金属複合水酸化物は平均粒径が1μm以上20μm以下であり、かつ粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕を1.4以上とすることができる
(1)二次粒子の粒子構造
本実施形態の遷移金属複合水酸化物が有する二次粒子は、板状一次粒子および微細一次粒子が凝集して形成されている。この際、二次粒子の少なくとも表面において、隣接する一方の板状一次粒子の主表面と、他方の板状一次粒子の厚み方向を含む面である端面とが接するようにして凝集した構造を有することが好ましい。二次粒子の表面に配置された複数の板状一次粒子は、端面が二次粒子の表面側に配置され、主表面が二次粒子の直径方向に沿って配置されていることが好ましい。
(2)平均粒径
本実施形態の遷移金属複合水酸化物、具体的には遷移金属複合水酸化物の粒子は、平均粒径が1μm以上20μm以下であることが好ましく、3μm以上18μm以下であることがより好ましく、3μm以上17μm以下であることがさらに好ましい。本実施形態の遷移金属複合水酸化物の平均粒径は、該遷移金属複合水酸化物を前駆体とする正極活物質の平均粒径と相関する。そして、本発明の発明者らの検討によれば、本実施形態の遷移金属複合水酸化物の平均粒径を1μm以上20μm以下とすることで、該遷移金属複合水酸化物を前駆体とする正極活物質の平均粒径を容易に所定の範囲に制御することが可能となり好ましい。
(3)粒度分布の広がり
正極活物質の粒度分布は、その前駆体である遷移金属複合水酸化物の粒度分布の影響を強く受ける。
(4)組成
本実施形態の遷移金属複合水酸化物の組成は制限されることはないが、一般式(A):NixCoyAlzMt(OH)2+aで表される遷移金属複合水酸化物であることが好ましい。なお、上記一般式(A)中のx、y、z、t、aは、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5の関係を満たすことが好ましい。また、添加元素Mは、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種類以上の添加元素とすることが好ましい。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法]
次に本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法(以下、単に「正極活物質の製造方法」とも記載する)の一構成例について説明する。
(1)混合工程
混合工程は、既述の遷移金属複合水酸化物の製造方法により製造した遷移金属複合水酸化物と、リチウム化合物とを混合して、リチウム混合物を形成することができる。
(2)焼成工程
焼成工程は、混合工程で得られたリチウム混合物を酸化性雰囲気中、650℃以下800℃以下で焼成し、遷移金属複合水酸化物または酸化焙焼物の粒子中にリチウムを拡散させて、リチウム遷移金属複合酸化物を得る工程である。
(焼成温度)
リチウム混合物の焼成温度は、650℃以上800℃以下とすることが好ましい。焼成温度を650℃以上とすることで、遷移金属複合水酸化物または酸化焙焼物の粒子中にリチウムを十分に拡散することができる。このため、余剰のリチウムや未反応の遷移金属複合水酸化物または酸化焙焼物が残存することを抑制できる。また、得られるリチウム遷移金属複合酸化物の結晶性を十分に高めることができる。
(焼成時間)
焼成時間のうち、上述した焼成温度での保持時間を2時間以上とすることが好ましく、4時間以上24時間以下とすることがより好ましい。焼成温度における保持時間を2時間以上とすることで、遷移金属複合水酸化物または酸化焙焼物の粒子中にリチウムを特に十分に拡散させることができる。このため、余剰のリチウムや未反応の遷移金属複合水酸化物または酸化焙焼物が残存することを抑制できる。また、得られるリチウム遷移金属複合酸化物の結晶性を十分に高めることができる。
(焼成雰囲気)
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気とすることが好ましく、酸素濃度が95容量%以上100容量%以下の雰囲気とすることがより好ましい。
(3)酸化焙焼工程
上述のように本実施形態の正極活物質の製造方法はさらに酸化焙焼工程を有することもできる。酸化焙焼工程は、既述の混合工程の前に実施することができる。酸化焙焼工程では、遷移金属複合水酸化物を105℃以上750℃以下の温度で酸化焙焼することができる。酸化焙焼工程により、遷移金属複合水酸化物を酸化焙焼物とすることができる。
(4)解砕工程
本実施形態の正極活物質の製造方法は、焼成工程の後、得られた正極活物質を解砕する解砕工程を有することもできる。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質]
本実施形態の正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含むことができる。
また、係るリチウム遷移金属複合酸化物は、平均粒径が1μm以上15μm以下であり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕が0.7以上であり、比表面積は0.7m2/g以上とすることができる。さらに、係るリチウム遷移金属複合酸化物は、比表面積×タップ密度で算出される単位体積当たりの表面積を1.7m2/cc以上であり、空隙部率を1.5%以上とすることができる。
(1)粒子構造
本実施形態の正極活物質は、上述のようにリチウム遷移金属複合酸化物を含むことができる。また、本実施形態の正極活物質はリチウム遷移金属複合酸化物から構成することもできる。なお、本実施形態の正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物から構成される場合であっても、製造工程に起因する不可避成分等を含有することを排除するものではない。
(2)平均粒径
本実施形態の正極活物質が含むリチウム遷移金属複合酸化物、具体的にはリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、平均粒径が1μm以上15μm以下であることが好ましく、3μm以上14μm以下であることがより好ましく、3μm以上13μm以下であることがさらに好ましい。
(3)組成
本実施形態の正極活物質が含有するリチウム遷移金属複合酸化物の組成は特に制限されることはないが、一般式(B):Li1+uNixCoyAlzMtO2で表される組成を有することが好ましい。なお、上記一般式(B)内のu、x、y、z、tは-0.05≦u≦0.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1の関係を満たすことが好ましい。また、添加元素Mは、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種類以上の添加元素とすることができる。
本実施形態の正極活物質が含むリチウム遷移金属複合酸化物、具体的にはリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、比表面積が可能な限り大きいことが好ましい。比表面積が大きくなるほど電解質との接触面積が大きく、これを用いた二次電池の出力特性を大幅に改善することができるためである。
本実施形態の正極活物質が含有するリチウム遷移金属複合酸化物、具体的にはリチウム遷移金属複合酸化物の粒子では、空隙部が粒子内部に分散していることが好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の断面積に対する空隙部面積の占有率(以下、「空隙部率」と記載する)は、これが大きくなるほど、比表面積は増大する傾向となる。すなわち、二次電池を構成した場合に、電解質との反応面積を確保することにつながる。このため、内部抵抗を抑制し、初期放電容量を高めることができる。
(6)単位体積当たりの表面積
本実施形態の正極活物質が含むリチウム遷移金属複合酸化物、具体的にはリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、比表面積と、タップ密度との積で算出される単位体積当たりの表面積が1.7m2/cc以上であることが好ましく、1.9m2/cc以上であることがより好ましく、2.3m2/cc以上であることがさらに好ましい。これは、リチウム遷移金属複合酸化物の単位体積当たりの表面積を1.7m2/cc以上とすることで、単位体積当たりのリチウム遷移金属複合酸化物の電解質との接触面積を十分に確保し、出力特性を高めることができるからである。すなわち、内部抵抗を抑制し、初期放電容量を高めることができる。
(7)粒度分布の広がり
本実施形態の正極活物質が含むリチウム遷移金属複合酸化物、具体的にはリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、粒度分布の広がりを示す[(d90-d10)/平均粒径]が0.7以上であることが好ましい。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態のリチウムイオン二次電池(以下、「二次電池」ともいう。)は、既述の正極活物質を含む正極を有することができる。
(1)正極
本実施形態の二次電池が有する正極は、既述の正極活物質を含むことができる。
(2)負極
負極には、金属リチウム、リチウム合金等を用いることができる。また、負極は、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合剤を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを用いてもよい。
(3)セパレータ
正極と負極との間には、必要に応じてセパレータを挟み込んで配置することができる。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(非水系電解質)
非水系電解質としては、例えば非水系電解液を用いることができる。
(二次電池の形状、構成)
以上のように説明してきた本実施形態のリチウムイオン二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、本実施形態の二次電池がリチウムイオンとして非水系電解液を用いる場合であれば、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リードなどを用いて接続し、電池ケースに密閉した構造とすることができる。
[実施例1]
(1)遷移金属複合水酸化物の製造
(晶析工程)
邪魔板を4枚取り付けた槽容積60Lのオーバーフロー式晶析反応槽に、純水55Lと、アルカリ水溶液である25質量%苛性ソーダ溶液と、を供給、混合して反応前水溶液を調製し、25℃基準での槽内の反応前水溶液のpHを10.0に調整した。
(被覆工程)
水洗後の被覆前遷移金属複合水酸化物を、スラリー濃度300g/Lの濃度で再スラリー化させ、該スラリー溶液にアルミン酸ナトリウムをアルミニウム濃度で3.7at%になるよう混合し、その後pHを9.5まで硫酸で下げ30分攪拌した後、固液分離、水洗、乾燥を行った。これにより、被覆前遷移金属複合水酸化物の粒子の表面にアルミニウムを被覆し、粉末状の遷移金属複合水酸化物を得た。
(遷移金属複合水酸化物の評価)
得られた遷移金属複合水酸化物について以下の評価を行った。
ICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPE-9000)を用いた分析により、この遷移金属複合水酸化物は、一般式:Ni0.820Co0.150Al0.030(OH)2で表されるものであることが確認された。
上記被覆工程を実施する前の被覆前遷移金属複合水酸化物が有する二次粒子の一部を樹脂に埋め込み、クロスセクションポリシャ加工によって断面観察可能な状態とした上で、SEM(日本電子株式会社製、型式:JSM-6360LA)により観察した。結果を図1に示す。図1に示すように、この被覆前遷移金属複合水酸化物は、板状一次粒子、及び微細一次粒子が粒子全体に分布、凝集して形成されており、中心部と粒子表面部は連結していることが確認された。なお、微細一次粒子は拡大してさらに観察したところ、粒径が1nm以上5nm以下であることが確認できた。
レーザ光回折散乱式粒度分析計(日機装株式会社製、型式:マイクロトラックHRA)を用いて、遷移金属複合水酸化物の粒子の平均粒径を測定した。この結果、平均粒径は、17.0μmであり、〔(d90-d10)/平均粒径〕は1.4であることが確認された。
(2)正極活物質の作製
以下の手順により、被覆工程後に得られた遷移金属複合酸化物を用いて正極活物質の製造を行った。
(酸化焙焼工程)
得られた遷移金属複合水酸化物を、空気(酸素濃度:21容量%)気流中、600℃で12時間酸化焙焼した。これにより酸化焙焼物を得た。
(混合工程)
得られた酸化焙焼物と、リチウム化合物である平均粒径が25μmである水酸化リチウムとをLi/Meが1.01となるように秤量し、シェーカーミキサ装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製 型式:TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合した。これにより、リチウム混合物を得た。
(焼成工程)
混合工程で得られたリチウム混合物を、酸素気流中、昇温速度を2.3℃/分として最高到達温度725℃まで昇温し、この温度で5時間保持することにより焼成した。焼成後、冷却速度を約4℃/分として室温まで冷却した。
(解砕工程)
焼成工程後に得られた正極活物質は、凝集または軽度の焼結が生じていた。このため、この正極活物質を解砕し、平均粒径および粒度分布を調整した。
(正極活物質の評価)
得られた正極活物質について以下の評価を行った。
ICP発光分光分析装置を用いた分析により、この正極活物質は、一般式:Li1.01Ni0.820Co0.150Al0.030O2で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(リチウムニッケルコバルト複合酸化物)からなることが確認された。
正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の粒子の一部を樹脂に埋め込み、クロスセクションポリシャ加工によって断面観察可能な状態とした上で、SEMにより観察した。この結果、このリチウム遷移金属複合酸化物の粒子は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子から構成され、この二次粒子は、粒子表面部と電気的に導通する一次粒子の凝集部および空隙部とを備えた多孔質構造を有することが確認された。
レーザ光回折散乱式粒度分析計(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)を用いて、正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物の粒子の平均粒径を測定するとともに、d10およびd90を測定し、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕を算出した。この結果、平均粒径は、12.3μmであり、〔(d90-d10)/平均粒径〕は0.94であることが確認された。
[比表面積およびタップ密度]
流動方式ガス吸着法比表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、マルチソーブ)により比表面積を、タッピングマシン(株式会社蔵持科学器械製作所、KRS-406)によりタップ密度を、それぞれ測定した。この結果、得られた正極活物質の比表面積は2.7m2/gであり、タップ密度は2.0g/ccであることが確認された。
(3)二次電池の作製
以下の手順により、初期放電容量測定用にコイン型電池を、電圧緩和測定用にラミネート型電池をそれぞれ作製し、初期放電容量と、電圧緩和との測定を行った。
(コイン型電池の作製、初期放電容量の評価)
得られた正極活物質を用いて図3に示した2032型コイン型電池30を作製した。
(ラミネート型電池の作製、電圧緩和の測定)
得られた正極活物質を用いて、図4に示したラミネート型電池40を作製した。
[実施例2]
混合工程において、Li/Me比を1.03とした点以外は、実施例1と同様にして、遷移金属複合水酸化物、正極活物質および二次電池を得て、その評価を行った。正極活物質を調製する際のLi/Me比、および焼成工程での焼成条件を表1に、評価結果を表2にそれぞれ示す。
[実施例3]
混合工程において、Li/Me比を1.05とした点以外は、実施例1と同様にして、遷移金属複合水酸化物、正極活物質および二次電池を得て、その評価を行った。正極活物質を調製する際のLi/Me比、および焼成工程での焼成条件を表1に、評価結果を表2にそれぞれ示す。
[実施例4]
混合工程において、Li/Me比を1.07とした点以外は、実施例1と同様にして、遷移金属複合水酸化物、正極活物質および二次電池を得て、その評価を行った。正極活物質を調製する際のLi/Me比、および焼成工程での焼成条件を表1に、評価結果を表2にそれぞれ示す。
[実施例5]
焼成工程において、最高到達温度を760℃とした点以外は、実施例1と同様にして、遷移金属複合水酸化物、正極活物質および二次電池を得て、その評価を行った。正極活物質を調製する際のLi/Me比、および焼成工程での焼成条件を表1に、評価結果を表2にそれぞれ示す。
[実施例6]
混合工程において、Li/Me比を1.05とし、焼成工程において、最高到達温度を760℃とした点以外は、実施例1と同様にして、遷移金属複合水酸化物、正極活物質および二次電池を得て、その評価を行った。正極活物質を調製する際のLi/Me比、および焼成工程での焼成条件を表1に、評価結果を表2にそれぞれ示す。
21A 主表面
22A 端面
Claims (10)
- リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体となる遷移金属複合水酸化物を、晶析反応により製造する遷移金属複合水酸化物の製造方法であって、
反応槽内に、液温25℃基準におけるpH値が9.0以上12.0以下となるように制御しつつ、少なくとも遷移金属を含有する原料水溶液と、アルカリ水溶液とを連続的に供給して反応水溶液を形成し、遷移金属複合水酸化物の晶析反応を行う晶析工程を有し、
前記晶析工程の間、前記反応水溶液の温度を70℃以上80℃以下、前記反応水溶液中のアンモニウムイオン濃度を1g/L以下に制御し、
前記晶析工程では、前記反応水溶液中に結晶の核を生成させる核生成反応と、前記核の周辺に結晶が析出して粒子が大きくなっていく粒子成長反応とを、並行して進行させ、オーバーフローにより、反応槽外への連続的な前記遷移金属複合水酸化物の排出を行う遷移金属複合水酸化物の製造方法。 - 前記遷移金属複合水酸化物は、一般式(A):NixCoyAlzMt(OH)2+a(ただし、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、0≦a≦0.5、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種類以上の添加元素)で表される、請求項1に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法。
- 前記遷移金属複合水酸化物は、一次粒子が凝集した二次粒子を有しており、
前記Alおよび添加元素Mから選択された1種類以上は、前記二次粒子の内部及び表面のいずれか一方、もしくは両方に均一に配置されている請求項2に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法。 - リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体となる遷移金属複合水酸化物であって、
平均粒径が1μm以上20μm以下であり、かつ粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕が1.4以上であり、
厚みが30nm以下の板状一次粒子、及び微細一次粒子が凝集して形成された二次粒子を含み、
前記二次粒子は、少なくともその表面において、隣接する一方の前記板状一次粒子の主表面と、他方の前記板状一次粒子の端面とが接するようにして凝集した構造を有する遷移金属複合水酸化物。 - 請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の遷移金属複合水酸化物の製造方法により得られた遷移金属複合水酸化物と、リチウム化合物とを混合して、リチウム混合物を形成する混合工程と、
前記混合工程で形成された前記リチウム混合物を、酸化性雰囲気中、650℃以上800℃以下で焼成する焼成工程とを有する、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記混合工程において、前記リチウム混合物に含まれるリチウム以外の金属の原子数の和を1とした場合に、前記リチウム混合物に含まれるリチウムの原子数の比が0.95以上1.5以下となるように、前記リチウム混合物を形成する請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程において、前記リチウム化合物の平均粒径が110μm以下である、請求項5または請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程の前に、前記遷移金属複合水酸化物を105℃以上750℃以下の温度で酸化焙焼する、酸化焙焼工程をさらに備え、
前記混合工程では、前記酸化焙焼工程で得られた酸化焙焼物と、前記リチウム化合物とを混合して前記リチウム混合物を形成する請求項5~請求項7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記焼成工程後に得られるリチウムイオン二次電池用正極活物質は、一般式(B):Li1+uNixCoyAlzMtO2(ただし、-0.05≦u≦0.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.95、0.05≦y≦0.55、0≦z≦0.4、0≦t≦0.1、Mは、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種類以上の添加元素)で表され、六方晶系のリチウム遷移金属複合酸化物を含み、
前記リチウム遷移金属複合酸化物の粒子は多孔質構造を有する請求項5~請求項8のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - リチウム遷移金属複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、
平均粒径が1μm以上15μm以下であり、粒度分布の広がりを示す指標である〔(d90-d10)/平均粒径〕が0.7以上であり、比表面積が0.7m2/g以上であり、比表面積×タップ密度で算出される単位体積当たりの表面積が1.7m2/cc以上であり、空隙部率が1.5%以上であり、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、複数の一次粒子が凝集して形成された二次粒子を含み、
前記二次粒子は、表面部と電気的に導通する一次粒子の凝集部と、空隙部とを有する多孔質構造を備えるリチウムイオン二次電池用正極活物質。
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