JP5376399B2 - リチウム二次電池用正極活物質及びリチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池用正極活物質及びリチウム二次電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器類用、電気自動車用などの電源としてエネルギー密度が高く、かつ自己放電が少なくてサイクル特性の良いリチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池が注目されている。現在のリチウム二次電池の主流は、2Ah以下の携帯電話用を中心とした小型民生用である。リチウム二次電池用の正極活物質としては、充放電特性とエネルギー密度に優れることから、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)が専ら用いられている。
しかしながら、Coは地球上に偏在し、かつ稀少な資源であるため、コストが高くつく他、安定供給が難しいという問題がある。そのため、Coに代わり、資源として豊富に存在し、安価なFeやMnをベースにした正極材料の開発が望まれていた。
最近、熱的安定性に優れるオリビン型結晶構造を有し、資源として豊富に存在し安価なFeを主原料とするリン酸鉄リチウム(LiFePO)が注目を集めている。しかし、LiFePOは、作動電位が約3.4Vと低いことから、従来の4V系正極活物質に比べるとエネルギー密度が低いものとなってしまう。
これに対して、同じくオリビン型結晶構造を有し、やはり資源として豊富に存在し安価なMnを主原料とするLiMnPOが提案される。Mnは4V付近に酸化還元電位を有することから、LiFePOに比べて高い作動電位が得られることが期待される。しかしながら、LiMnPOは、高い電位は示すものの、現実には放電容量自体がほとんど得られないといった問題点があった。
特許文献1の図11には、LiMn0.8Co0.2POの充放電極線が記載されると共に、「図11から明らかなように、このLiMn0.8Co0.2POを正極活物質として用いた電池は、4V付近に平坦な電位を有している。これらのことから、Mnの一部をCoで置換したLiMn0.8Co0.2POは、Mnのレドックス発生を実現し、高放電電圧を有する正極活物質として利用できることがわかった。」(段落0107)との記載がある。
しかしながら、LiMnPOを構成する金属元素であるMnのうち20原子%をCoで置き換えることは、上記したように、稀少資源であることに由来するコスト上の問題点があった。
特許文献2には、比較例5として、LiMn0.9Co0.1POにカーボンコートを施して正極活物質として用いた電池の放電容量が5mAh/gであったこと、及び、比較例1として、LiMnPOにカーボンコートを施さずに正極活物質として用いた電池の放電容量が7mAh/gであったことが記載されている(28頁の[表2]参照)から、少なくとも、特許文献2には、LiMnPOを構成する金属元素であるMnの一部をCoで置き換えた組成物が放電性能上優れることを示す記載は皆無である。さらに、LiMnPOを構成する金属元素であるMnのうち10原子%をCoで置き換えることは、やはり、稀少資源であることに由来するコスト上の問題点があった。
上記特許文献1、2の記載からも解るように、LiMnPOを構成する金属元素であるMnのうち20原子%又は10原子%をCoで置き換えた場合には、電池性能の点で好ましい結果を導くことがあるとしても、Mnの一部をCoで置き換える割合を3原子%未満とすることで放電性能が顕著に向上することについては容易に導き得ない。
特許文献3には、「非水電解質二次電池に適したレート特性を有する正極活物質を容易に量産できる製造方法、並びにこの方法により得られる正極活物質を有する高性能な非水電解質電池を提供すること」を目的として、「金属をドープしたリン酸マンガンリチウムLiMn1−xPO(式中、0<x≦0.1であり、Mはドープ金属元素を表す)と炭素源とを混合し、得られた混合物を不活性ガス雰囲気中にて熱処理する工程を含む正極活物質の製造方法。」(請求項1)の発明が記載され、「上記一般式:LiMn1−xPOにおいて、この化合物中のMn以外のドープ金属元素Mは、特に限定されないが、Co、Ni、Fe、Mg、Zn及びCuから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。Mn以外の金属元素Mの割合を表するxは0<x≦0.1であり、好ましくは0.003≦x≦0.05であり、より好ましくは0.005≦x≦0.05であり、より好ましくは0.007≦x≦0.03、特に0.01≦x≦0.03である。本発明の正極活物質はドープ金属の割合が非常に少ない金属ドープリン酸マンガンリチウムを使用することが特徴である。」(段落0016)との記載がある。このように、上記ドープ金属元素Mの候補として、Co、Ni、Fe、Mg、Zn及びCuが何ら区別無く同列に記載されている。しかしながら、特許文献3の実施例には、MがMg又はTiの場合のみが具体的に記載されているに過ぎない。
本発明者らは、特許文献3に記載されたドープ金属元素Mのうち、Niを選択した場合には下記のように放電容量が低下することを確認している。
すなわち、LiMnPOの放電容量を1.00とした場合に、MがNiでx=0.01であるLiMn0.99Ni0.01POの放電容量は0.97となり、LiMnPOの放電容量よりも小さくなるから、特許文献3は、ドープ金属元素Mとして「Co、Ni、Fe、Mg、Zn及びCuから選ばれる少なくとも1種」すべての有効性を0<x≦0.1の範囲で確認したものではなく、Coを選んだ場合に3原子%未満としなければならないことは導き得ない。
さらに、特許文献3の図10、11等を見ると、MgまたはTiをドープすることによって容量が向上する程度はわずか数%にすぎない。これに対して、Coを選択して3原子%未満適用することで、放電容量が200%前後も顕著に向上することについては導き得ない。
特開2001−307731号公報 国際公開第2007/034821号パンフレット 特開2008−130525号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、稀少金属であるCoを原料として大量に用いることなく、放電性能の優れたリン酸マンガンリチウム系正極活物質と、これを用いたリチウム二次電池を提供することを目的としている。
本発明の構成及び作用効果は以下の通りである。但し、本明細書中に記載する作用機構には推定が含まれており、その正否は本発明を何ら制限するものではない。
本発明は、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)のMnの一部がCoで原子%以下置換された化合物を含むリチウム二次電池用正極活物質である。前記化合物は、Mnの一部がCoで1原子%未満置換されたものであることが好ましい。

本発明に係る正極活物質は、一般式LiMn1−xCoPO(0<x<0.03)で表しうる結晶を含む。前記結晶は、Mn、Co以外の遷移金属元素が一部固溶していることを妨げない。また、ポリアニオン構造としてBOあるいはSiOが一部固溶していることを妨げない。
本発明によれば、稀少金属であるCoを原料として大量に用いることなく、放電性能の優れたリン酸マンガンリチウム系正極活物質と、これを用いたリチウム二次電池を提供することができる。
一般式LiMnPOに対してMnの一部をCoで置換する割合を3原子%未満とすることで、稀少金属であるCo資源の使用を最小限としつつ、リン酸マンガンリチウム系正極活物質の放電容量を向上できる。なかでも、Mnの一部をCoで1原子%以下、好ましくは1原子%未満置換することで顕著に放電容量が向上する。
本発明に係る正極活物質の合成過程は、LiMnPO型の単一相結晶が合成できるようであれば特に限定されるものではない。具体的には、固相法、液相法、ゾル−ゲル法、水熱法等が挙げられる。
なかでも、水熱法を用いると、粒子サイズの小さい正極活物質を得ることが容易であるため、好ましい。
また、電子伝導性を補う目的で正極活物質粒子表面にカーボンを機械的にあるいは有機物の熱分解等により付着及び被覆させることが好ましい。
特に、本発明に係るLiMnPO系の正極活物質においては、本発明の効果を充分に発現させるため、カーボン等により粒子同士の電子伝導を十分に確保することが重要である。後述する実施例に記載する水熱法を用いた合成例では、原料溶液がアスコルビン酸を含有しており、焼成工程で前記アスコルビン酸由来の有機物が分解して粒子表面にカーボンが付与される。しかしながら、これだけのカーボンでは粒子同士の電子伝導を確保するには必ずしも充分であるとはいえない。そこで、後述する実施例に記載するように、焼成工程に置いてPVA等の有機物を共存させることで、粒子同士の電子伝導を補っている。
本発明に係る正極活物質は、平均粒子サイズ100μm以下の粉体としてリチウム二次電池用正極に用いることが好ましい。特に、粒径が小さい方が好ましく、二次粒子の平均粒子径は0.5〜20μmであり、一次粒子の粒径は1〜500nmであることがより好ましい。また、粉体粒子の比表面積は正極のハイレート性能を向上させるために大きい方が良く、1〜100m/gが好ましい。より好ましくは5〜100m/gである。粉体を所定の形状で得る目的で、粉砕機や分級機を用いることができる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等を用いることができる。粉砕時には水、あるいはアルコール、ヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いてもよい。分級方法としては、特に限定はなく、必要に応じて篩や風力分級機などを乾式あるいは湿式にて用いることができる。
本発明に係る正極活物質には、不可避的に、あるいは、活物質としての性能の向上を目的として、不純物が共存していてもよく、そのような場合にも本発明の効果が失われることはない。
導電剤、結着剤については周知のものを周知の処方で用いることができる。
本発明の正極活物質を含有する正極中に含まれる水分量は少ない方が好ましく、具体的には500ppm未満であることが好ましい。
また、電極合材層の厚みは電池のエネルギー密度との兼ね合いから本発明を適用する電極合材層の厚みは20〜500μmが好ましい。
本発明電池の負極は、何ら限定されるものではなく、リチウム金属、リチウム合金(リチウム―アルミニウム、リチウム―鉛、リチウム―錫、リチウム―アルミニウム―錫、リチウム―ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物等が挙げられる。これらの中でもグラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電を実現できるため負極材料として好ましい。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。特に,負極活物質粒子表面を不定形炭素等で修飾してあるグラファイトは、充電中のガス発生が少ないことから望ましい。
一般的に、リチウム二次電池の形態としては、正極、負極、電解質塩が非水溶媒に含有された非水電解質から構成され、一般的には、正極と負極との間に、セパレータとこれらを包装する外装体が設けられる。
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネ−ト等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエ−テル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
電解質塩としては、例えば、LiBF、LiPF等のイオン性化合物が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。また、これらの無機塩に、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)等の有機塩を混合してもよい。非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有するリチウム二次電池を確実に得るために、0.5mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、1mol/l〜2.5mol/lである。
以下に、本発明のリチウム二次電池の製造方法について例示するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
イオン交換水にLiOH・HOを溶解した溶液と、イオン交換水に(NHHPOを溶解した溶液とを混合し、2時間攪拌した。なお、このときの撹拌時間が異なると、溶液のpHが一定とならないので、一定の生成物を得るためには撹拌時間を固定することが望ましい。本実施例では、2時間撹拌した後のpHは約8であった。一方、アスコルビン酸を溶解した水にMnSO・5H O及びCoSO・7HOを溶解した。ここで、アスコルビン酸の量は、MnSOに対してモル比で0.1となるように調製した。次に、この溶液を、窒素雰囲気下でLiOH・HOと(NHHPOとの混合溶液に添加した。なお、このときの雰囲気を窒素雰囲気とするのは、そのようにしないと溶液のpHが低下して最終生成物に不純物が混在するおそれがあるためである。以上の操作によって、前駆体溶液を得た。なお、この前駆体溶液中のLi:P:Mn:Coは、モル比が2:1:0.995:0.005となるように調製した。この溶液をポリテトラフルオロエチレン製の円筒型容器に移し、温度制御装置に設置し、容器内を窒素ガスで充分に置換して密閉し、200rpmで攪拌しながら、170℃、12時間の水熱合成を行った。反応後、沈殿物をろ過したものを、脱イオン水及びアセトンで十分に洗浄した後に、120℃、6時間の真空乾燥を行った。得られた粉末に、その1.1倍程度の重量のポリビニルアルコール粉末(PVA、重合度1,500)を加えて混合し、さらに60℃に加温した水を少量加え、乳鉢で混合−混錬してガム状のペーストとした。次に、窒素雰囲気下で700℃、1時間の熱処理を施すことによって、実施例1のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(実施例2)
前駆体溶液中のLi:P:Mn:Co比が2:1:0.99:0.01となるようにMnSO・5HO及びCoSO・7HOの量を調整して加えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(比較例1)
CoSO・7HOを加えずに、前駆体溶液中のLi:P:Mn比が2:1:1となるようにMnSO・5HOを加えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(比較例2)
前駆体溶液中のLi:P:Mn:Co比が2:1:0.97:0.03となるようにMnSO・5HO及びCoSO・7HOの量を調整して加えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(比較例3)
前駆体溶液中のLi:P:Mn:Co比が2:1:0.95:0.05となるようにMnSO・5HO及びCoSO・7HOの量を調整して加えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
(比較例4)
CoSO・7HOに代えてにNiSO・6HOを使用し、前駆体溶液中のLi:P:Mn:Ni比が2:1:0.99:0.01となるようにMnSO・5HO及びNiSO・6HOの量を調整して加えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4のリチウム二次電池用正極活物質を得た。
<充放電試験>
上記実施例1、2及び比較例1〜4で得られた正極活物質の放電性能試験を次の方法で行った。まず、次の手順で正極活物質を評価するための作用極を製作した。合成した活物質とアセチレンブラック(AB)とを80:8の質量比で秤量した後に、乳鉢で粉砕及び混合した。次に、その混合粉末にPVdF(品番:#1120)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液を正極活物質に対して固形分換算した質量比で80(正極活物質):12(PVdF)となるように滴下して混練した後に、さらに粘度調整のためにNMPを適量添加することによって、正極活物質:AB:PVdF=80:8:12、全固形分濃度30質量%の正極ペーストを得た。この正極ペーストをアルミメッシュ板に塗布し、80℃で30分乾燥後、プレスし、減圧乾燥することによって作用極を得た。そして、対極及び参照極には金属Liを用い、非水電解液を適用することによって、3極式のガラスセルを作製した。非水電解液は、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させたものを用いた。
充放電試験の充電条件は、充電電流0.1ItmAとし、電位が4.3V(vs.Li/Li)に達した以降はその電位を15時間維持する定電流定電位充電とした。放電条件は、放電電流0.1ItmA、終止電位2.0V(vs.Li/Li)の定電流放電とした。
表1に、比較例1の正極活物質(LiMnPO)を用いた場合の5サイクル目の放電容量を100として、実施例1、2及び比較例1〜3の同条件の放電容量比を示した。
Figure 0005376399
表1からわかるように、リン酸マンガンリチウム系正極活物質が遷移金属としてMnの他にCoを含まない場合と比較して、Coを遷移金属全体の3原子%未満含む場合(LiMnPOのMnの一部をCoで3原子%未満置換した場合)の放電容量は顕著に向上していることがわかる。特に、Mnの一部をCoで1原子%置換した場合(実施例2)の放電容量は、Coを含まない場合の300%近い値となり、Mnの一部をCoで0.5原子%置換した場合(実施例1)の放電容量は、Coを含まない場合の300%を超える値となっているから、LiMnPOのMnの一部をCoで1原子%以下置換した化合物、特にMnの一部をCoで1原子%未満置換した化合物を正極物質として用いることにより、予測し得ない効果を奏しているといえる。
これに対して、Mnの一部をCoで3原子%以上置換した場合(比較例1及び2)の放電容量は、Coを含まない場合と同等か、僅かしか増加していないから、Mnの一部をCoで置換する場合、置換量は3原子%未満とする必要がある。
表2に、比較例1の正極活物質(LiMnPO)を用いた場合の5サイクル目の放電容量を100として、比較例4の同条件の放電容量比を示した。
Figure 0005376399
表2からわかるように、添加元素としてCoに代えてNiを用いた場合には、放電容量は同程度かむしろ悪化した。
一般に、リチウム二次電池用正極活物質に用いる遷移金属化合物の遷移金属サイトの一部を他の元素で置換する試みは、正方晶スピネル構造のLiMnなど他の活物質における例を挙げるまでもなく多数検討されている。しかしながら、異種元素置換がもたらす効果については活物質ごとに異なっており、当該技術分野においては、異なる材料において発現した効果が別の材料においても同様に発現するかどうかについては全く予測が困難であることは論を待たない。
Co2+/3+の酸化還元電位は、4.8V(vs.Li/Li)である。上記充放電試験では充電電位を4.3V(vs.Li/Li)としたから、そのような充電条件ではCo2+/Co3+の反応は生じないはずである。従って、Coを添加すると、酸化還元電位の観点から考えると、このような充電条件下での理論容量は減少するはずである。よって、4.3V以下の充電条件下においては、放電性能が低下する結果が得られたということであれば予測できるとしても、Coを3原子%未満加えることで、放電容量が向上したという事実については、従来の技術常識からはまるで予測できるものではない。
然して、LiMnPOに対してCoを3原子%未満加えることで、LiMnPOに比べて、放電容量が向上する作用機構についても、必ずしも明らかではない。
しかし、本発明者らは、上記した予測できない驚くべき結果を前にして、本発明の作用機構についていくつかの推察を行うことができる。即ち、微量のCoの添加によって、LiMnPOのバルクの電子状態が変化したか、あるいは粒子のごく表面の電子伝導性が向上し、これが何らかの作用をした結果、活物質の利用率が向上した可能性があるのではないかと本発明者らは推察している。
一方、表2に示したように、Coに代えてNiを用いた場合には、放電容量は同程度かむしろ悪化したことからも、Coを3原子%未満添加することで放電容量が向上する効果に対しては、添加元素に選択性があることが明らかである。
本発明によれば、エネルギー密度に優れたリン酸マンガンリチウム系化合物からなるリチウム二次電池用正極活物質とそれを用いたリチウム二次電池を提供できるので、今後の展開が期待される電気自動車等、産業用電池において特に高容量化が求められる分野への応用に適しており、産業上の利用可能性は極めて大である。

Claims (3)

  1. リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)のMnの一部がCoで原子%以下置換された化合物を含むリチウム二次電池用正極活物質。
  2. 前記化合物は、Mnの一部がCoで1原子%未満置換されたものであることを特徴とする請求項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1又は2に記載の正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質を備えたリチウム二次電池。
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