JP2004063422A - 正極活物質、並びに非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高容量化を図ると共に負荷特性の低下を抑制する。
【解決手段】正極活物質を含有する正極2と、負極活物質を含有する負極4と、電解質塩を含有する非水電解液8とを備え、正極2が、正極活物質として、一般式LiaMnbFecMdPO4(式中MはMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、0<a<2であり、0<b<0.8であり、0<d<0.2であり、b+c+d=1である。)で示されるオリビン構造を有する化合物を含有することにより、正極2の導電性が向上することから、高容量化が図れると共に負荷特性の低下が抑制される。
【選択図】 図1
【解決手段】正極活物質を含有する正極2と、負極活物質を含有する負極4と、電解質塩を含有する非水電解液8とを備え、正極2が、正極活物質として、一般式LiaMnbFecMdPO4(式中MはMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、0<a<2であり、0<b<0.8であり、0<d<0.2であり、b+c+d=1である。)で示されるオリビン構造を有する化合物を含有することにより、正極2の導電性が向上することから、高容量化が図れると共に負荷特性の低下が抑制される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オリビン構造を有する正極活物質、並びにこの正極活物質を含有する正極、負極、非水電解質を備え、電池特性が大幅に改良された非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型携帯用コンピューター、情報端末装置(PDA:Personal Digital Assistance)、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(Video Tape Recorder)等の携帯用電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも大きなエネルギー密度を有し、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させることで電池の充放電反応が行われるリチウムイオン二次電池が知られている。
【0003】
現在、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、高エネルギー密度、高電圧を有すること等から、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等が用いられている。しかしながら、LiCoO2、LiNiO2は、電池の充電状態における加熱によって結晶から酸素を放出しやすく、燃焼反応の原因となるため、安全性が低下するという問題がある。また、LiMn2O4では、電池を高温保存した際に結晶が一部崩壊し、容量が低下するという問題がある。そこで、これらに代わる新規正極活物質が求められている。
【0004】
これに対し、リチウムイオン二次電池では、例えば一般式LiMPO4(式中MはFe、Mn、Co、Niのうちの何れか一種以上である。)で示されるオリビン構造を有する化合物をリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることが提案されている。
【0005】
このLiMPO4は、構造中の酸素とリンとが強固に共有結合されていることから、電池の充電状態において、結晶より酸素が放出されにくい構造となっている。このため、正極活物質にLiMPO4を用いたリチウムイオン二次電池は、極めて高い安全性が得られることとなる。また、電池を高温保存した際に結晶が一部崩壊し、容量が低下するということもない。
【0006】
このLiMPO4の中でも、LiMnPO4は、放電電位が4[V vs. Li/Li+]付近にあり、電解液の著しい劣化をもたらすことなく、上述のLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等と比較しても遜色ない放電電圧が得られることから注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このLiMnPO4では、一般的に電子伝導性が低いとされているLiFePO4よりも電子伝導性が低いことから、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いた際に、内部抵抗を高くするため、十分な電池容量を得ることが困難である。
【0008】
このような問題を解決する方法としては、例えばJournal of the Electrochemical Society,144,1188(1997)等に、LiMnPO4におけるMnの一部をFeで置換したLiMnxFe1−xPO4を正極活物質として用いて電池容量を向上させることが提案されている。
【0009】
しかしながら、このLiMnxFe1−xPO4でも、十分な電子伝導性を得ることができず、十分な電池容量を得ることが困難である。具体的に、上述したJournal of the Electrochemical Society,144,1188(1997)によると、LiMnxFe1−xPO4が有する電気容量は80mAh/g程度であり、電気容量が140mAh/gのLiCoO2に比べると低いことから、LiMnxFe1−xPO4をLiCoO2等の代替え品とするには電池容量的に困難である。
【0010】
また、このLiMnxFe1−xPO4は、電子伝導性が低く、正極側の抵抗を大きくしてリチウムイオン二次電池の内部抵抗を向上させることから、例えば大電流を流すといった負荷特性等の電池特性を低下させてしまう。
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、電気容量、負荷特性が優れた正極活物質、並びにこの正極活物質を用いることで電池特性の優れた非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る正極活物質は、非水電解質電池の正極に含有される正極活物質であって、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物を含有し、式中、Mは、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、a、b、c、dは、0<a<2、0<b<0.8、0<d<0.2、b+c+d=1の関係を満たすことを特徴としている。
【0013】
この正極活物質では、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を所定の元素で置換させることにより、電子状態を変化させて電子伝導性を高くさせている。
【0014】
これにより、この正極活物質においては、非水電解質電池の正極に含有された際に、正極の導電性を向上させて電池容量を大きくし、大電流が流れた際でも優れた電池特性が得られるようにさせる。
【0015】
また、本発明に係る非水電解質電池は、正極活物質を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、電解質塩を含有する非水電解質とを備え、正極活物質として、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物を含有し、式中、Mは、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、a、b、c、dは、0<a<2、0<b<0.8、0<d<0.2、b+c+d=1の関係を満たすことを特徴としている。
【0016】
この非水電解質電池では、正極に正極活物質として含有される一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物は、Mnの一部及び/又はFeの一部を所定の元素で置換させることにより電子状態を変化させて電子伝導性を改善しているため、正極の導電性を向上させている。
【0017】
したがって、この非水電解質電池では、正極の導電性が向上されて内部抵抗が低減されているため、放電時に所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間を引き延ばすことができ、結果として電池容量が大きくなる。
【0018】
また、この非水電解質電池では、正極の導電性が向上して内部抵抗が低減されたことにより、大電流が流れた際でも高い電池容量を確保できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した正極活物質、並びにこの正極活物質を用いた非水電解質電池について、図1に示すコイン型のリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)1を参照にして説明する。
【0020】
この電池1は、ペレット状の正極2と、この正極2を収容する正極缶3と、ペレット状の負極4と、この負極4を収容する負極缶5と、正極2及び負極4の間に配されたセパレータ6と、正極缶3と負極缶5との間を絶縁する絶縁ガスケット7と、正極2と負極4との間でリチウムイオンを移動させる非水電解液8とを有している。
【0021】
正極2は、正極集電体9上に、正極活物質を含有する正極合剤層10が形成された構成となっている。この正極2は、正極合剤層10に、正極活物質として例えば一般式LiaMnbFecMdPO4(式中MはMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、0<a<2であり、0<b<0.8であり、0<d<0.2であり、b+c+d=1である。)で示されるオリビン構造を有する化合物等を含有している。具体的に、オリビン構造を有する化合物としては、例えばLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4、LiMn0.7Fe0.25Co0.05PO4、Li1.02Mn0.68Fe0.29Mg0.03PO4、LiMn0.68Fe0.27Zn0. 04Ni0.01PO4、LiMn0.68Fe0.27Zn0.04Cr0.01PO4、Li1.02Mn0.67Fe0.26Co0.04V0.03PO4、LiMn0.7Fe0.26Ti0.03Mg0.01PO4、LiMn0.7Fe0.2V0.1PO4、LiMn0.7Fe0.25Cu0.05PO4、Li1.02Mn0.68Fe0.29Ti0.03PO4、LiMn0.68Fe0.27Cr0.04Ti0.01PO4等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。
【0022】
このオリビン構造を有する化合物は、一般式LiaMnbFecMdPO4におけるMnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換された結果、電子状態の変化が引き起こされて電子伝導性が高くなっている。
【0023】
したがって、正極2は、正極合剤層10中に、正極活物質として、電子伝導性が高くなったオリビン構造を有する化合物が含有されていることから、導電性が向上して電池1の内部抵抗を低減させ、放電時に所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間が引き延ばされて電池1を高容量化させるように作用する。
【0024】
また、正極2は、正極合剤層10に含有される電子伝導性が高くなったオリビン構造を有する化合物により導電性が向上し、電池1の内部抵抗も低下させたことにより、大電流が電池1に流れた際でも高容量の確保を可能とする。
【0025】
なお、オリビン構造を有する化合物においては、一般式LiaMnbFecMdPO4におけるMnの一部及び/又はFeの一部が所定の元素で置換されていることを上述したが、少なくとも置換される元素としてMg、Co、Ni、Znのうちの何れか一種以上が含有されていることにより、電子伝導性を高くさせる効果を大きくできる。
【0026】
一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中におけるMnの元素比率bが0より大きく、0.8より小さい範囲にされている。オリビン構造を有する化合物においては、式中、Mnの元素比率bが0になると、Mnが含有されなくなることから、正極活物質として用いた際に、放電電位4[V vs. Li/Li+]付近の正極の放電がなくなり、電池1の平均放電電圧を小さくさせてしまう。一方、オリビン構造を有する化合物においては、式中、Mnの元素比率bが0.8以上になると、導電性を低くさせるMnの含有量が多すぎることから、Mnの一部及び/又はFeの一部が所定の元素で置換されても電子伝導性を高くすることが困難となる。
【0027】
したがって、LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中、Mnの元素比率bを0より大きく、0.8より小さい範囲することにより、電池1の電池容量を大きくできると共に、電子伝導性が高くなって正極2の導電性を向上させることができる。
【0028】
また、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中における所定の元素の元素比率dが0より大きく、0.2より小さい範囲にされている。オリビン構造を有する化合物においては、式中、所定の元素の元素比率dが0になると、Mnの一部及び/又はFeの一部が所定の元素で置換されていないことになることから、電子伝導性を高くすることが困難になる。一方、オリビン構造を有する化合物においては、式中、所定の元素の元素比率dが0.2以上になると、電子伝導性が低下してしまう。
【0029】
したがって、LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中、Mの元素比率dを0より大きく、0.2より小さい範囲することにより、電子伝導性が高くなって正極2の導電性を向上させ、電池1の電池容量、負荷特性を向上させることができる。
【0030】
正極活物質となるオリビン構造を有する化合物は、以下のようにして合成される。例えばオリビン構造を有する化合物としてLiMn0.6Fe0.3Ni0 .1PO4を合成する場合、先ず、出発原材料として例えば炭酸リチウム(Li2CO3)と、炭酸マンガン(II)(MnCO3)と、シュウ酸鉄(II)二水和物(FeC2O4・2H2O)と、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とを所定の元素比率で混合し、合成前駆体を調合する。このとき、合成前駆体においては、混合が十分に行われることで出発原材料が偏り無く分散されている必要がある。次に、この合成前駆体を、所定の温度で焼成することにより、オリビン構造を有する化合物としてLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4が合成される。以上では、LiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4の合成について説明したが、出発原材料を選択することにより、LiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4とは別のオリビン構造を有する化合物を得ることが可能である。
【0031】
正極2においては、正極集電体9として例えば網状や箔状の導電性金属等が用いられる。具体的に、正極集電体9となる導電性金属としては、例えばアルミニウム等が用いられる。また、正極2においては、正極合剤層10に含有される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常使用される公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばポリフッ化ビニリデン等を用いる。さらに、正極2においては、正極合剤層10に含有させることで導電性を向上させる導電材として、この種の非水電解質電池に通常使用される公知のものを用いることができる。具体的には、導電材として例えばカーボンブラック、グラファイト等を用いる。
【0032】
正極缶3は、正極2を収容する底の浅い皿状、いわゆるシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、電池1の外部正極となる。具体的に、この正極缶3には、正極2が収納された際に、正極2側から例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケルが厚み方向に順次積層された積層構造の金属容器等を用いる。
【0033】
負極4は、負極集電体11上に、負極活物質を含有する負極合剤層12が形成されている。負極4に含有される負極活物質としては、例えばリチウム、リチウム合金、又はリチウムをドープ/脱ドープできる炭素質材料等が用いられる。リチウムをドープ/脱ドープできる炭素質材料としては、例えば2000℃以下の比較的低い温度で焼成して得られる低結晶性炭素材料、結晶化しやすい原材料を3000℃付近の高温で焼成した人造黒鉛等の高結晶性炭素材料等がある。具体的には、例えば難黒鉛化炭素、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等の炭素材料等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等がある。また、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し、炭素化したものである。上述した炭素質材料の他、リチウムをドープ/脱ドープできる材料としては、例えばポリアセチレン、ポリピロール等の高分子や、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化錫等の酸化物や、これら酸化物の酸素を窒素に置き換えた窒化物等を使用することもできる。
【0034】
また、負極4には、負極集電体11として例えば網状や箔状の導電性金属等が用いられる。具体的に、負極集電体11となる導電性金属としては、例えばニッケルや銅等が用いられる。負極4において、負極合剤層12は、上述した負極活物質に、例えばこの種の非水電解質電池に通常使用される公知の樹脂材料からなる結着剤を含有させることで形成される。具体的に、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム等を用いる。
【0035】
負極缶5は、負極4を収容するシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、電池1の外部負極となる。具体的に、この負極缶5には、例えばステンレスや、表面にニッケルめっきが施された鉄等からなる金属容器を用いる。
【0036】
セパレータ6は、正極2と負極4とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ非水電解液8中のリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ6は、微少な孔を多数有する微多孔性膜からなる。ここで、微多孔性膜とは、孔の平均孔径が5μm以下程度の微孔を多数有する樹脂膜のことである。また、セパレータ6としては、材料として従来の電池に使用されてきたものを利用することが可能である。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリプロピレンやポリオレフィン等からなる微多孔性フィルムを用いる。
【0037】
セパレータ6は、その厚みが5μm以上、50μm以下の範囲にされていると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、60%以下の範囲にされている。このような条件に合致するセパレータ6では、製造歩留まり、出力特性、サイクル特性、安全性に優れた電池1を得ることが可能となる。
【0038】
絶縁ガスケット7は、負極缶5に組み込まれ一体化された構成となっており、例えばポリプロピレン等の有機樹脂で形成されている。この絶縁ガスケット7は、外部正極となる正極缶3と外部負極となる負極缶5とを絶縁させていると共に、正極缶3及び負極缶5内に充填された非水電解液8の漏出を防止させるように機能することになる。
【0039】
非水電解液8としては、例えば非プロトン性の非水溶媒にリチウム塩といった電解質塩を溶解させた溶液等が用いられる。非水溶媒としては、比較的誘電率が高い溶媒を用いる。具体的には、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。これらの中でも、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類等を用いることが好ましい。
【0040】
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiSbF6、LiClO4、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、電解質塩としては、酸化還元電位が安定しているLiPF6及び/又はLiBF4を用いる。
【0041】
そして、以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極2を作製する。正極2を作製する際は、正極活物質として上述したオリビン構造を有する化合物と、導電材と、結着剤とを非水溶媒等に分散させた正極合剤塗液を、正極集電体9となる例えばアルミニウム箔上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮して正極合剤層10を形成する。そして、これら正極集電体9と正極合剤層10とを所定の形状に一括して切り抜くことにより正極2が作製される。なお、正極2としては、正極集電体9を用いること無く、例えば正極活物質を導電材、結着剤と一緒に所定の形状に押し固めたものを用いることも可能である。
【0042】
次に、負極4を作製する。負極4を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを非水溶媒等に分散させた負極合剤塗液を、負極集電体11となる例えばニッケル箔上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮して負極合剤層12を形成する。そして、これら負極集電体11と負極合剤層12とを所定の形状に一括して切り抜くことにより負極4が作製される。なお、負極4としては、負極集電体11を用いること無く、例えばリチウムやリチウム合金等をそのまま所定の形状に切り抜いたものや、負極活物質を結着剤と一緒に所定の形状に押し固めたものを用いることも可能である。
【0043】
次に、電解質塩を非水溶媒に溶解させて非水電解液8を調製する。次に、正極2を正極缶3に収容し、負極4を負極缶5に収容し、正極2と負極4との間に、例えばポリプロピレン製の多孔質膜等からなるセパレータ6を配置する。これにより、電池1は、正極2、セパレータ6、負極4が順次積層された内部構造となる。
【0044】
次に、正極缶3と負極缶5とに非水電解液8を注液し、絶縁ガスケット7を介して正極缶3の外周部をかしめて負極缶5を固定する。以上のようにしてコイン型の電池1が製造される。
【0045】
以上のようにして製造された電池1では、正極2の正極合剤層10に正極活物質として含有されるオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されることにより、電子状態の変化が引き起こされてオリビン構造を有する化合物の電子伝導性の向上がもたらされることから、正極2の導電性が向上される。
【0046】
したがって、この電池1では、導電性が向上された正極2によって内部抵抗が低減されて放電時に所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間を引き延ばすことができ、高容量化を図れる。
【0047】
また、この電池1では、正極2の導電性が向上して内部抵抗が低下することから、大電流が流れた際も高容量の確保が可能となる。すなわち、電池1は、優れた負荷特性を有することになる。
【0048】
なお、以上の例では、非水電解質として非水電解液8を用いているが、このことに限定されることはなく、例えば高分子固体電解質又はゲル電解質からなる固体電解質等を非水電解質として用いた場合にも適用可能である。また、以上の例では、コイン型の電池1を用いて説明しているが、このことに限定されることはなく、例えば円筒形、角型、ボタン型等の外装材に金属製容器を用いた電池や、薄型等の外装材にラミネートフィルムを用いた電池等、種々の形状や大きさの非水電解質電池にも適用可能である。さらに、以上の例では、二次電池である電池1を用いて説明しているが、このことに限定されることはなく、非水電解液電池であれば一次電池にも適用可能である。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を適用した正極活物質を用いた非水電解質電池として、コイン型のリチウムイオン二次電池を実際に作製したサンプルについて説明する。
【0050】
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、正極を作製した。正極を作製する際は、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物としてLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を合成した。このLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を合成する際は、炭酸リチウム(Li2CO3)と、炭酸マンガン(MnCO3)と、シュウ酸鉄(II)二水和物(FeC2O4・2H2O)と、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とを、リチウムとマンガンと鉄とニッケルとリンとが所定の元素比率となるように秤量し、乳鉢で30分間混合して合成前駆体を調合した。次に、この合成前駆体をセラミック製のるつぼに入れ、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成し、焼成後に粉砕、分級した。このようにして、正極活物質となるLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を合成した。
【0051】
次に、以上のようにして得られたLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を90重量部と、導電材としてアセチレンブラックを5重量部と、結着剤としてフッ素樹脂粉末を5重量部とを混合し、これらの混合粉末を加圧形成した。このようにして直径15.2mmのペレット状の正極を作製した。このとき、正極には、正極活物質としてLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4が25mg含有されるようにした。
【0052】
次に、負極を作製した。負極には、負極活物質としてリチウム金属を用いた。負極は、板状のリチウム金属を直径15.5mmのペレット状になるようにして打ち抜くことで得られた。
【0053】
次に、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとを等容量で混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解させることで非水電解液を調製した。
【0054】
次に、正極を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、負極をステンレスからなる負極缶に収容し、正極を負極と正極との間に厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータを積層配置した。
【0055】
次に、正極缶及び負極缶内に非水電解液を注入し、ポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介して正極缶の外周部をかしめることにより負極缶を固定した。以上のようにして2025型のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池と記す。
【0056】
〈サンプル2〉
サンプル2では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化コバルト(Co(OH)2)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とコバルトとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.25Co0.05PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.25Co0.05PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0057】
〈サンプル3〉
サンプル3では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とマグネシウムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLi1.02Mn0.68Fe0.29Mg0.03PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.68Fe0.29Mg0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0058】
〈サンプル4〉
サンプル4では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)と、Ni(OH)2と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄と亜鉛とニッケルとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Ni0.01PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Ni0.01PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0059】
〈サンプル5〉
サンプル5では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、Zn(OH)2と、酸化クロム(CrO)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄と亜鉛とクロムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Cr0.01PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Cr0.01PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0060】
〈サンプル6〉
サンプル6では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、Co(OH)2と、酸化バナジウム(VO)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とコバルトとバナジウムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLi1.02Mn0.67Fe0.26Co0.04V0.03PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.67Fe0.26Co0.04V0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0061】
〈サンプル7〉
サンプル7では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、Mg(OH)2と、酸化チタン(TiO)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とマグネシウムとチタンとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.26Mg0.01Ti0.03PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.26Mg0.01Ti0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0062】
〈サンプル8〉
サンプル8では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、VOと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とバナジウムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.2V0.1PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.2V0.1PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0063】
〈サンプル9〉
サンプル9では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化銅(Cu(OH)2)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄と銅とリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.25Cu0.05PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.25Cu0.05PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0064】
〈サンプル10〉
サンプル10では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、TiOと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とチタンとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLi1.02Mn0.68Fe0.29Ti0.03PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.68Fe0.29Ti0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0065】
〈サンプル11〉
サンプル11では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、CrOと、TiOと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とクロムとチタンとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.68Fe0.27Cr0.04Ti0.01PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.27Cr0.04Ti0.01PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0066】
〈サンプル12〉
サンプル12では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.6Fe0.4PO4を合成した。そして、このLiMn0.6Fe0.4PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0067】
〈サンプル13〉
サンプル13では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル12と同様にしてLiMn0.68Fe0.32PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.32PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0068】
〈サンプル14〉
サンプル14では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル12と同様にしてLiMn0.7Fe0.3PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.3PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0069】
〈サンプル15〉
サンプル15では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル12と同様にしてLi1.02Mn0.68Fe0.32PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.68Fe0.32PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0070】
〈サンプル16〉
サンプル16では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とニッケルとリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル1と同様にしてLiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO4を合成した。そして、このLiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0071】
〈サンプル17〉
サンプル17では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とニッケルとリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル1と同様にしてLiMn0.6Fe0.2Ni0.2PO4を合成した。そして、このLiMn0.6Fe0.2Ni0.2PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0072】
そして、以上のように作製したサンプル1〜サンプル17の電池について、0.2mAでの放電容量、2mAでの放電容量、充放電サイクル特性を評価した。
【0073】
以下、各サンプルにおける、0.2mAでの放電容量、2mAでの放電容量、充放電サイクル特性の評価結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
なお、0.2mAでの放電容量は、次のようにして測定した。先ず、各サンプルに対し、0.2mAの電流値で電圧が4.25Vになるまで定電流充電し、電圧が4.25Vになった時点で定電圧充電切り替えて電流値が0.004mAになるまで充電をおこなった。次に、0.2mAの電流値で電圧が3Vになるまで放電し、0.2mAでの放電容量を測定した。そして、表1中、0.2mAでの放電容量は、以上のようにして測定した0.2mAでの放電容量を正極活物質1g当たりに換算して示している。
【0076】
また、2mAでの放電容量は、次のようにして測定した。先ず、上述した定電流定電圧の充電条件で充電を行った。つぎに、2mAの電流値で電圧が3Vになるまで放電し、2mAでの放電容量を測定した。そして、表1中、2mAでの放電容量は、以上のようにして測定した2mAでの放電容量を正極活物質1g当たりに換算して示している。
【0077】
さらに、充放電サイクル特性は、次のようにして測定した。先ず、上述した定電流定電圧の充電条件で充電し、0.2mAの電流値で電圧が3Vになるまで放電することを20回繰り返した。そして、表1中、充放電サイクル特性は、1サイクル目の放電容量に対する20サイクル目の放電容量の比率が98%以上の場合を○印で示し、98%未満の場合を×印で示している。
【0078】
表1に示す評価結果から、Mnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されているオリビン構造を有する化合物を正極活物質に用いたサンプル1〜サンプル11では、Mnの一部及び/又はFeの一部が他の元素で置換されていないオリビン構造を有する化合物を正極活物質に用いたサンプル12〜サンプル15に比べ、0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が大きく、充放電サイクル特性も98%以上と優れていることがわかる。
【0079】
サンプル12〜サンプル15では、Mnの一部及び/又はFeの一部が他の元素で置換されていない従来のオリビン構造を有する化合物を正極活物質として用いており、この正極活物質の電子伝導性が低いことから、正極の導電性も低くなって電池特性が低下する。特に、サンプル12〜サンプル15では、導電性の低い正極により内部抵抗が大きくなることから大電流を流した際の電池特性が大幅に低下してしまう。このため、サンプル12〜サンプル15では、特に、2mAでの放電容量が大幅に小さくなってしまう。
【0080】
一方、サンプル1〜サンプル11では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されていることから、オリビン構造中の電子状態が変化されてオリビン構造を有する化合物の電子伝導性が高くなり、導電性が向上された正極を備えることになる。
【0081】
したがって、サンプル1〜サンプル11では、放電時の電圧降下が抑えられてカットオフ電圧に到達するまでの時間が引き延ばされて放電容量が大きくなる。また、サンプル1〜サンプル11では、内部抵抗が低いことから、大電流が流れた際の電池特性の低下が抑制される。すなわち、サンプル1〜サンプル11では、サンプル12〜サンプル15に比べて2mAでの放電容量が大幅に大きくなる。
【0082】
そして、優れた電池特性を有するサンプル1〜サンプル11の中でも、サンプル1〜サンプル7は、サンプル8〜サンプル11に比べて0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が、更に大きくなっていることがわかる。
【0083】
サンプル1〜サンプル7では、オリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換する元素として、少なくともMg、Co、Ni、Znのうちの何れか一種以上が含有されていることから、正極活物質の電子伝導性を高くさせる効果が大きくなり、更に優れた電池特性が得られる。
【0084】
また、表1に示す評価結果から、オリビン構造を有する化合物におけるMnの元素比率が0.8より少ないサンプル1〜サンプル11では、オリビン構造を有する化合物におけるMnの元素比率が0.8にされたサンプル16に比べ、0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が大きく、充放電サイクル特性も98%以上と優れていることがわかる。
【0085】
サンプル16では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部がNiで置換されているもののMnの含有量が多すぎることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性を高くすることが困難であり、電池特性が低下してしまう。
【0086】
これに対し、サンプル1〜サンプル11では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの元素比率が0.8より少なく、Mnが適宜な量で含有されていることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性が高くなり、電池特性が優れている。
【0087】
さらに、表1に示す結果から、オリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換させる元素の比率が0.2より少ないサンプル1〜サンプル11では、オリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換させたNiの元素比率が0.2にされたサンプル17に比べ、0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が大きくなっていることがわかる。
【0088】
サンプル17では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換するNiの含有量が多すぎることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性が低くなって電池容量を低下させてしまう。
【0089】
これに対し、サンプル1〜サンプル11では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換させる元素の比率が0.2より少なく、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znが適宜な量で含有されていることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性が高くなり、電池特性が優れている。
【0090】
以上のことから、電池を製造する際に、正極活物質として、Mnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されているオリビン構造を有する化合物を用いることは、0.2mAでの放電容量、2mAでの放電容量、充放電サイクル特性の優れた電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
【0091】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、正極活物質として正極に含有されるオリビン構造を有する化合物は、一般式LiaMnbFecMdPO4(式中MはMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、0<a<2であり、0<b<0.8であり、0<d<0.2であり、b+c+d=1である。)で示されるように、Mnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されることで、置換された元素によりオリビン構造を有する化合物の電子状態が変化されて電子伝導性が高くなることから、正極の導電性を向上させることができる。
【0092】
したがって、本発明によれば、導電性が向上された正極によって電池の内部抵抗が低減し、放電時の電圧低下を抑制して所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間を引き延ばすことができ、電池容量が大きな非水電解質電池が得られる。
【0093】
また、本発明によれば、正極の導電性が向上して内部抵抗が低下したことにより、大電流が流れた際の電池特性の低下も抑制された非水電解質電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の内部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 リチウムイオン二次電池、2 正極、3 正極缶、4 負極、5 負極缶、6 セパレータ、7 絶縁ガスケット、8 非水電解液、9 正極集電体、10 正極合剤層、11 負極集電体、12 負極合剤層
【発明の属する技術分野】
本発明は、オリビン構造を有する正極活物質、並びにこの正極活物質を含有する正極、負極、非水電解質を備え、電池特性が大幅に改良された非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型携帯用コンピューター、情報端末装置(PDA:Personal Digital Assistance)、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(Video Tape Recorder)等の携帯用電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも大きなエネルギー密度を有し、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させることで電池の充放電反応が行われるリチウムイオン二次電池が知られている。
【0003】
現在、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、高エネルギー密度、高電圧を有すること等から、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等が用いられている。しかしながら、LiCoO2、LiNiO2は、電池の充電状態における加熱によって結晶から酸素を放出しやすく、燃焼反応の原因となるため、安全性が低下するという問題がある。また、LiMn2O4では、電池を高温保存した際に結晶が一部崩壊し、容量が低下するという問題がある。そこで、これらに代わる新規正極活物質が求められている。
【0004】
これに対し、リチウムイオン二次電池では、例えば一般式LiMPO4(式中MはFe、Mn、Co、Niのうちの何れか一種以上である。)で示されるオリビン構造を有する化合物をリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることが提案されている。
【0005】
このLiMPO4は、構造中の酸素とリンとが強固に共有結合されていることから、電池の充電状態において、結晶より酸素が放出されにくい構造となっている。このため、正極活物質にLiMPO4を用いたリチウムイオン二次電池は、極めて高い安全性が得られることとなる。また、電池を高温保存した際に結晶が一部崩壊し、容量が低下するということもない。
【0006】
このLiMPO4の中でも、LiMnPO4は、放電電位が4[V vs. Li/Li+]付近にあり、電解液の著しい劣化をもたらすことなく、上述のLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等と比較しても遜色ない放電電圧が得られることから注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このLiMnPO4では、一般的に電子伝導性が低いとされているLiFePO4よりも電子伝導性が低いことから、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いた際に、内部抵抗を高くするため、十分な電池容量を得ることが困難である。
【0008】
このような問題を解決する方法としては、例えばJournal of the Electrochemical Society,144,1188(1997)等に、LiMnPO4におけるMnの一部をFeで置換したLiMnxFe1−xPO4を正極活物質として用いて電池容量を向上させることが提案されている。
【0009】
しかしながら、このLiMnxFe1−xPO4でも、十分な電子伝導性を得ることができず、十分な電池容量を得ることが困難である。具体的に、上述したJournal of the Electrochemical Society,144,1188(1997)によると、LiMnxFe1−xPO4が有する電気容量は80mAh/g程度であり、電気容量が140mAh/gのLiCoO2に比べると低いことから、LiMnxFe1−xPO4をLiCoO2等の代替え品とするには電池容量的に困難である。
【0010】
また、このLiMnxFe1−xPO4は、電子伝導性が低く、正極側の抵抗を大きくしてリチウムイオン二次電池の内部抵抗を向上させることから、例えば大電流を流すといった負荷特性等の電池特性を低下させてしまう。
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、電気容量、負荷特性が優れた正極活物質、並びにこの正極活物質を用いることで電池特性の優れた非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る正極活物質は、非水電解質電池の正極に含有される正極活物質であって、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物を含有し、式中、Mは、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、a、b、c、dは、0<a<2、0<b<0.8、0<d<0.2、b+c+d=1の関係を満たすことを特徴としている。
【0013】
この正極活物質では、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を所定の元素で置換させることにより、電子状態を変化させて電子伝導性を高くさせている。
【0014】
これにより、この正極活物質においては、非水電解質電池の正極に含有された際に、正極の導電性を向上させて電池容量を大きくし、大電流が流れた際でも優れた電池特性が得られるようにさせる。
【0015】
また、本発明に係る非水電解質電池は、正極活物質を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、電解質塩を含有する非水電解質とを備え、正極活物質として、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物を含有し、式中、Mは、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、a、b、c、dは、0<a<2、0<b<0.8、0<d<0.2、b+c+d=1の関係を満たすことを特徴としている。
【0016】
この非水電解質電池では、正極に正極活物質として含有される一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物は、Mnの一部及び/又はFeの一部を所定の元素で置換させることにより電子状態を変化させて電子伝導性を改善しているため、正極の導電性を向上させている。
【0017】
したがって、この非水電解質電池では、正極の導電性が向上されて内部抵抗が低減されているため、放電時に所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間を引き延ばすことができ、結果として電池容量が大きくなる。
【0018】
また、この非水電解質電池では、正極の導電性が向上して内部抵抗が低減されたことにより、大電流が流れた際でも高い電池容量を確保できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した正極活物質、並びにこの正極活物質を用いた非水電解質電池について、図1に示すコイン型のリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)1を参照にして説明する。
【0020】
この電池1は、ペレット状の正極2と、この正極2を収容する正極缶3と、ペレット状の負極4と、この負極4を収容する負極缶5と、正極2及び負極4の間に配されたセパレータ6と、正極缶3と負極缶5との間を絶縁する絶縁ガスケット7と、正極2と負極4との間でリチウムイオンを移動させる非水電解液8とを有している。
【0021】
正極2は、正極集電体9上に、正極活物質を含有する正極合剤層10が形成された構成となっている。この正極2は、正極合剤層10に、正極活物質として例えば一般式LiaMnbFecMdPO4(式中MはMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、0<a<2であり、0<b<0.8であり、0<d<0.2であり、b+c+d=1である。)で示されるオリビン構造を有する化合物等を含有している。具体的に、オリビン構造を有する化合物としては、例えばLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4、LiMn0.7Fe0.25Co0.05PO4、Li1.02Mn0.68Fe0.29Mg0.03PO4、LiMn0.68Fe0.27Zn0. 04Ni0.01PO4、LiMn0.68Fe0.27Zn0.04Cr0.01PO4、Li1.02Mn0.67Fe0.26Co0.04V0.03PO4、LiMn0.7Fe0.26Ti0.03Mg0.01PO4、LiMn0.7Fe0.2V0.1PO4、LiMn0.7Fe0.25Cu0.05PO4、Li1.02Mn0.68Fe0.29Ti0.03PO4、LiMn0.68Fe0.27Cr0.04Ti0.01PO4等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。
【0022】
このオリビン構造を有する化合物は、一般式LiaMnbFecMdPO4におけるMnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換された結果、電子状態の変化が引き起こされて電子伝導性が高くなっている。
【0023】
したがって、正極2は、正極合剤層10中に、正極活物質として、電子伝導性が高くなったオリビン構造を有する化合物が含有されていることから、導電性が向上して電池1の内部抵抗を低減させ、放電時に所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間が引き延ばされて電池1を高容量化させるように作用する。
【0024】
また、正極2は、正極合剤層10に含有される電子伝導性が高くなったオリビン構造を有する化合物により導電性が向上し、電池1の内部抵抗も低下させたことにより、大電流が電池1に流れた際でも高容量の確保を可能とする。
【0025】
なお、オリビン構造を有する化合物においては、一般式LiaMnbFecMdPO4におけるMnの一部及び/又はFeの一部が所定の元素で置換されていることを上述したが、少なくとも置換される元素としてMg、Co、Ni、Znのうちの何れか一種以上が含有されていることにより、電子伝導性を高くさせる効果を大きくできる。
【0026】
一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中におけるMnの元素比率bが0より大きく、0.8より小さい範囲にされている。オリビン構造を有する化合物においては、式中、Mnの元素比率bが0になると、Mnが含有されなくなることから、正極活物質として用いた際に、放電電位4[V vs. Li/Li+]付近の正極の放電がなくなり、電池1の平均放電電圧を小さくさせてしまう。一方、オリビン構造を有する化合物においては、式中、Mnの元素比率bが0.8以上になると、導電性を低くさせるMnの含有量が多すぎることから、Mnの一部及び/又はFeの一部が所定の元素で置換されても電子伝導性を高くすることが困難となる。
【0027】
したがって、LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中、Mnの元素比率bを0より大きく、0.8より小さい範囲することにより、電池1の電池容量を大きくできると共に、電子伝導性が高くなって正極2の導電性を向上させることができる。
【0028】
また、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中における所定の元素の元素比率dが0より大きく、0.2より小さい範囲にされている。オリビン構造を有する化合物においては、式中、所定の元素の元素比率dが0になると、Mnの一部及び/又はFeの一部が所定の元素で置換されていないことになることから、電子伝導性を高くすることが困難になる。一方、オリビン構造を有する化合物においては、式中、所定の元素の元素比率dが0.2以上になると、電子伝導性が低下してしまう。
【0029】
したがって、LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物においては、式中、Mの元素比率dを0より大きく、0.2より小さい範囲することにより、電子伝導性が高くなって正極2の導電性を向上させ、電池1の電池容量、負荷特性を向上させることができる。
【0030】
正極活物質となるオリビン構造を有する化合物は、以下のようにして合成される。例えばオリビン構造を有する化合物としてLiMn0.6Fe0.3Ni0 .1PO4を合成する場合、先ず、出発原材料として例えば炭酸リチウム(Li2CO3)と、炭酸マンガン(II)(MnCO3)と、シュウ酸鉄(II)二水和物(FeC2O4・2H2O)と、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とを所定の元素比率で混合し、合成前駆体を調合する。このとき、合成前駆体においては、混合が十分に行われることで出発原材料が偏り無く分散されている必要がある。次に、この合成前駆体を、所定の温度で焼成することにより、オリビン構造を有する化合物としてLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4が合成される。以上では、LiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4の合成について説明したが、出発原材料を選択することにより、LiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4とは別のオリビン構造を有する化合物を得ることが可能である。
【0031】
正極2においては、正極集電体9として例えば網状や箔状の導電性金属等が用いられる。具体的に、正極集電体9となる導電性金属としては、例えばアルミニウム等が用いられる。また、正極2においては、正極合剤層10に含有される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常使用される公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばポリフッ化ビニリデン等を用いる。さらに、正極2においては、正極合剤層10に含有させることで導電性を向上させる導電材として、この種の非水電解質電池に通常使用される公知のものを用いることができる。具体的には、導電材として例えばカーボンブラック、グラファイト等を用いる。
【0032】
正極缶3は、正極2を収容する底の浅い皿状、いわゆるシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、電池1の外部正極となる。具体的に、この正極缶3には、正極2が収納された際に、正極2側から例えばアルミニウム、ステンレス、ニッケルが厚み方向に順次積層された積層構造の金属容器等を用いる。
【0033】
負極4は、負極集電体11上に、負極活物質を含有する負極合剤層12が形成されている。負極4に含有される負極活物質としては、例えばリチウム、リチウム合金、又はリチウムをドープ/脱ドープできる炭素質材料等が用いられる。リチウムをドープ/脱ドープできる炭素質材料としては、例えば2000℃以下の比較的低い温度で焼成して得られる低結晶性炭素材料、結晶化しやすい原材料を3000℃付近の高温で焼成した人造黒鉛等の高結晶性炭素材料等がある。具体的には、例えば難黒鉛化炭素、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等の炭素材料等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等がある。また、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し、炭素化したものである。上述した炭素質材料の他、リチウムをドープ/脱ドープできる材料としては、例えばポリアセチレン、ポリピロール等の高分子や、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化錫等の酸化物や、これら酸化物の酸素を窒素に置き換えた窒化物等を使用することもできる。
【0034】
また、負極4には、負極集電体11として例えば網状や箔状の導電性金属等が用いられる。具体的に、負極集電体11となる導電性金属としては、例えばニッケルや銅等が用いられる。負極4において、負極合剤層12は、上述した負極活物質に、例えばこの種の非水電解質電池に通常使用される公知の樹脂材料からなる結着剤を含有させることで形成される。具体的に、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム等を用いる。
【0035】
負極缶5は、負極4を収容するシャーレ状の導電性金属からなる容器であり、電池1の外部負極となる。具体的に、この負極缶5には、例えばステンレスや、表面にニッケルめっきが施された鉄等からなる金属容器を用いる。
【0036】
セパレータ6は、正極2と負極4とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ非水電解液8中のリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ6は、微少な孔を多数有する微多孔性膜からなる。ここで、微多孔性膜とは、孔の平均孔径が5μm以下程度の微孔を多数有する樹脂膜のことである。また、セパレータ6としては、材料として従来の電池に使用されてきたものを利用することが可能である。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリプロピレンやポリオレフィン等からなる微多孔性フィルムを用いる。
【0037】
セパレータ6は、その厚みが5μm以上、50μm以下の範囲にされていると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、60%以下の範囲にされている。このような条件に合致するセパレータ6では、製造歩留まり、出力特性、サイクル特性、安全性に優れた電池1を得ることが可能となる。
【0038】
絶縁ガスケット7は、負極缶5に組み込まれ一体化された構成となっており、例えばポリプロピレン等の有機樹脂で形成されている。この絶縁ガスケット7は、外部正極となる正極缶3と外部負極となる負極缶5とを絶縁させていると共に、正極缶3及び負極缶5内に充填された非水電解液8の漏出を防止させるように機能することになる。
【0039】
非水電解液8としては、例えば非プロトン性の非水溶媒にリチウム塩といった電解質塩を溶解させた溶液等が用いられる。非水溶媒としては、比較的誘電率が高い溶媒を用いる。具体的には、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。これらの中でも、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類等を用いることが好ましい。
【0040】
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiSbF6、LiClO4、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、電解質塩としては、酸化還元電位が安定しているLiPF6及び/又はLiBF4を用いる。
【0041】
そして、以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極2を作製する。正極2を作製する際は、正極活物質として上述したオリビン構造を有する化合物と、導電材と、結着剤とを非水溶媒等に分散させた正極合剤塗液を、正極集電体9となる例えばアルミニウム箔上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮して正極合剤層10を形成する。そして、これら正極集電体9と正極合剤層10とを所定の形状に一括して切り抜くことにより正極2が作製される。なお、正極2としては、正極集電体9を用いること無く、例えば正極活物質を導電材、結着剤と一緒に所定の形状に押し固めたものを用いることも可能である。
【0042】
次に、負極4を作製する。負極4を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを非水溶媒等に分散させた負極合剤塗液を、負極集電体11となる例えばニッケル箔上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮して負極合剤層12を形成する。そして、これら負極集電体11と負極合剤層12とを所定の形状に一括して切り抜くことにより負極4が作製される。なお、負極4としては、負極集電体11を用いること無く、例えばリチウムやリチウム合金等をそのまま所定の形状に切り抜いたものや、負極活物質を結着剤と一緒に所定の形状に押し固めたものを用いることも可能である。
【0043】
次に、電解質塩を非水溶媒に溶解させて非水電解液8を調製する。次に、正極2を正極缶3に収容し、負極4を負極缶5に収容し、正極2と負極4との間に、例えばポリプロピレン製の多孔質膜等からなるセパレータ6を配置する。これにより、電池1は、正極2、セパレータ6、負極4が順次積層された内部構造となる。
【0044】
次に、正極缶3と負極缶5とに非水電解液8を注液し、絶縁ガスケット7を介して正極缶3の外周部をかしめて負極缶5を固定する。以上のようにしてコイン型の電池1が製造される。
【0045】
以上のようにして製造された電池1では、正極2の正極合剤層10に正極活物質として含有されるオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されることにより、電子状態の変化が引き起こされてオリビン構造を有する化合物の電子伝導性の向上がもたらされることから、正極2の導電性が向上される。
【0046】
したがって、この電池1では、導電性が向上された正極2によって内部抵抗が低減されて放電時に所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間を引き延ばすことができ、高容量化を図れる。
【0047】
また、この電池1では、正極2の導電性が向上して内部抵抗が低下することから、大電流が流れた際も高容量の確保が可能となる。すなわち、電池1は、優れた負荷特性を有することになる。
【0048】
なお、以上の例では、非水電解質として非水電解液8を用いているが、このことに限定されることはなく、例えば高分子固体電解質又はゲル電解質からなる固体電解質等を非水電解質として用いた場合にも適用可能である。また、以上の例では、コイン型の電池1を用いて説明しているが、このことに限定されることはなく、例えば円筒形、角型、ボタン型等の外装材に金属製容器を用いた電池や、薄型等の外装材にラミネートフィルムを用いた電池等、種々の形状や大きさの非水電解質電池にも適用可能である。さらに、以上の例では、二次電池である電池1を用いて説明しているが、このことに限定されることはなく、非水電解液電池であれば一次電池にも適用可能である。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を適用した正極活物質を用いた非水電解質電池として、コイン型のリチウムイオン二次電池を実際に作製したサンプルについて説明する。
【0050】
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、正極を作製した。正極を作製する際は、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物としてLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を合成した。このLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を合成する際は、炭酸リチウム(Li2CO3)と、炭酸マンガン(MnCO3)と、シュウ酸鉄(II)二水和物(FeC2O4・2H2O)と、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とを、リチウムとマンガンと鉄とニッケルとリンとが所定の元素比率となるように秤量し、乳鉢で30分間混合して合成前駆体を調合した。次に、この合成前駆体をセラミック製のるつぼに入れ、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成し、焼成後に粉砕、分級した。このようにして、正極活物質となるLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を合成した。
【0051】
次に、以上のようにして得られたLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4を90重量部と、導電材としてアセチレンブラックを5重量部と、結着剤としてフッ素樹脂粉末を5重量部とを混合し、これらの混合粉末を加圧形成した。このようにして直径15.2mmのペレット状の正極を作製した。このとき、正極には、正極活物質としてLiMn0.6Fe0.3Ni0.1PO4が25mg含有されるようにした。
【0052】
次に、負極を作製した。負極には、負極活物質としてリチウム金属を用いた。負極は、板状のリチウム金属を直径15.5mmのペレット状になるようにして打ち抜くことで得られた。
【0053】
次に、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとを等容量で混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解させることで非水電解液を調製した。
【0054】
次に、正極を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、負極をステンレスからなる負極缶に収容し、正極を負極と正極との間に厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータを積層配置した。
【0055】
次に、正極缶及び負極缶内に非水電解液を注入し、ポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介して正極缶の外周部をかしめることにより負極缶を固定した。以上のようにして2025型のリチウムイオン二次電池を作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池と記す。
【0056】
〈サンプル2〉
サンプル2では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化コバルト(Co(OH)2)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とコバルトとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.25Co0.05PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.25Co0.05PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0057】
〈サンプル3〉
サンプル3では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とマグネシウムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLi1.02Mn0.68Fe0.29Mg0.03PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.68Fe0.29Mg0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0058】
〈サンプル4〉
サンプル4では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)と、Ni(OH)2と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄と亜鉛とニッケルとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Ni0.01PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Ni0.01PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0059】
〈サンプル5〉
サンプル5では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、Zn(OH)2と、酸化クロム(CrO)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄と亜鉛とクロムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Cr0.01PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.27Zn0.04Cr0.01PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0060】
〈サンプル6〉
サンプル6では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、Co(OH)2と、酸化バナジウム(VO)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とコバルトとバナジウムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLi1.02Mn0.67Fe0.26Co0.04V0.03PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.67Fe0.26Co0.04V0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0061】
〈サンプル7〉
サンプル7では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、Mg(OH)2と、酸化チタン(TiO)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とマグネシウムとチタンとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.26Mg0.01Ti0.03PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.26Mg0.01Ti0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0062】
〈サンプル8〉
サンプル8では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、VOと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とバナジウムとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.2V0.1PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.2V0.1PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0063】
〈サンプル9〉
サンプル9では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、水酸化銅(Cu(OH)2)と、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄と銅とリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.7Fe0.25Cu0.05PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.25Cu0.05PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0064】
〈サンプル10〉
サンプル10では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、TiOと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とチタンとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLi1.02Mn0.68Fe0.29Ti0.03PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.68Fe0.29Ti0.03PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0065】
〈サンプル11〉
サンプル11では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、CrOと、TiOと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とクロムとチタンとリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.68Fe0.27Cr0.04Ti0.01PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.27Cr0.04Ti0.01PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0066】
〈サンプル12〉
サンプル12では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、Li2CO3と、MnCO3と、FeC2O4・2H2Oと、NH4H2PO4とをリチウムとマンガンと鉄とリンとが所定の元素比率となるように混合させた合成前駆体を、窒素雰囲気下、600℃で5時間焼成した後に、粉砕、分級させることでLiMn0.6Fe0.4PO4を合成した。そして、このLiMn0.6Fe0.4PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0067】
〈サンプル13〉
サンプル13では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル12と同様にしてLiMn0.68Fe0.32PO4を合成した。そして、このLiMn0.68Fe0.32PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0068】
〈サンプル14〉
サンプル14では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル12と同様にしてLiMn0.7Fe0.3PO4を合成した。そして、このLiMn0.7Fe0.3PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0069】
〈サンプル15〉
サンプル15では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル12と同様にしてLi1.02Mn0.68Fe0.32PO4を合成した。そして、このLi1.02Mn0.68Fe0.32PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0070】
〈サンプル16〉
サンプル16では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とニッケルとリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル1と同様にしてLiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO4を合成した。そして、このLiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0071】
〈サンプル17〉
サンプル17では、正極活物質となるオリビン構造を有する化合物を合成する際に、リチウムとマンガンと鉄とニッケルとリンとの元素比率を調節したこと以外は、サンプル1と同様にしてLiMn0.6Fe0.2Ni0.2PO4を合成した。そして、このLiMn0.6Fe0.2Ni0.2PO4を正極活物質に用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0072】
そして、以上のように作製したサンプル1〜サンプル17の電池について、0.2mAでの放電容量、2mAでの放電容量、充放電サイクル特性を評価した。
【0073】
以下、各サンプルにおける、0.2mAでの放電容量、2mAでの放電容量、充放電サイクル特性の評価結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
なお、0.2mAでの放電容量は、次のようにして測定した。先ず、各サンプルに対し、0.2mAの電流値で電圧が4.25Vになるまで定電流充電し、電圧が4.25Vになった時点で定電圧充電切り替えて電流値が0.004mAになるまで充電をおこなった。次に、0.2mAの電流値で電圧が3Vになるまで放電し、0.2mAでの放電容量を測定した。そして、表1中、0.2mAでの放電容量は、以上のようにして測定した0.2mAでの放電容量を正極活物質1g当たりに換算して示している。
【0076】
また、2mAでの放電容量は、次のようにして測定した。先ず、上述した定電流定電圧の充電条件で充電を行った。つぎに、2mAの電流値で電圧が3Vになるまで放電し、2mAでの放電容量を測定した。そして、表1中、2mAでの放電容量は、以上のようにして測定した2mAでの放電容量を正極活物質1g当たりに換算して示している。
【0077】
さらに、充放電サイクル特性は、次のようにして測定した。先ず、上述した定電流定電圧の充電条件で充電し、0.2mAの電流値で電圧が3Vになるまで放電することを20回繰り返した。そして、表1中、充放電サイクル特性は、1サイクル目の放電容量に対する20サイクル目の放電容量の比率が98%以上の場合を○印で示し、98%未満の場合を×印で示している。
【0078】
表1に示す評価結果から、Mnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されているオリビン構造を有する化合物を正極活物質に用いたサンプル1〜サンプル11では、Mnの一部及び/又はFeの一部が他の元素で置換されていないオリビン構造を有する化合物を正極活物質に用いたサンプル12〜サンプル15に比べ、0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が大きく、充放電サイクル特性も98%以上と優れていることがわかる。
【0079】
サンプル12〜サンプル15では、Mnの一部及び/又はFeの一部が他の元素で置換されていない従来のオリビン構造を有する化合物を正極活物質として用いており、この正極活物質の電子伝導性が低いことから、正極の導電性も低くなって電池特性が低下する。特に、サンプル12〜サンプル15では、導電性の低い正極により内部抵抗が大きくなることから大電流を流した際の電池特性が大幅に低下してしまう。このため、サンプル12〜サンプル15では、特に、2mAでの放電容量が大幅に小さくなってしまう。
【0080】
一方、サンプル1〜サンプル11では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されていることから、オリビン構造中の電子状態が変化されてオリビン構造を有する化合物の電子伝導性が高くなり、導電性が向上された正極を備えることになる。
【0081】
したがって、サンプル1〜サンプル11では、放電時の電圧降下が抑えられてカットオフ電圧に到達するまでの時間が引き延ばされて放電容量が大きくなる。また、サンプル1〜サンプル11では、内部抵抗が低いことから、大電流が流れた際の電池特性の低下が抑制される。すなわち、サンプル1〜サンプル11では、サンプル12〜サンプル15に比べて2mAでの放電容量が大幅に大きくなる。
【0082】
そして、優れた電池特性を有するサンプル1〜サンプル11の中でも、サンプル1〜サンプル7は、サンプル8〜サンプル11に比べて0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が、更に大きくなっていることがわかる。
【0083】
サンプル1〜サンプル7では、オリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換する元素として、少なくともMg、Co、Ni、Znのうちの何れか一種以上が含有されていることから、正極活物質の電子伝導性を高くさせる効果が大きくなり、更に優れた電池特性が得られる。
【0084】
また、表1に示す評価結果から、オリビン構造を有する化合物におけるMnの元素比率が0.8より少ないサンプル1〜サンプル11では、オリビン構造を有する化合物におけるMnの元素比率が0.8にされたサンプル16に比べ、0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が大きく、充放電サイクル特性も98%以上と優れていることがわかる。
【0085】
サンプル16では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部がNiで置換されているもののMnの含有量が多すぎることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性を高くすることが困難であり、電池特性が低下してしまう。
【0086】
これに対し、サンプル1〜サンプル11では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの元素比率が0.8より少なく、Mnが適宜な量で含有されていることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性が高くなり、電池特性が優れている。
【0087】
さらに、表1に示す結果から、オリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換させる元素の比率が0.2より少ないサンプル1〜サンプル11では、オリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換させたNiの元素比率が0.2にされたサンプル17に比べ、0.2mAでの放電容量及び2mAでの放電容量が大きくなっていることがわかる。
【0088】
サンプル17では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換するNiの含有量が多すぎることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性が低くなって電池容量を低下させてしまう。
【0089】
これに対し、サンプル1〜サンプル11では、正極活物質に用いたオリビン構造を有する化合物におけるMnの一部及び/又はFeの一部を置換させる元素の比率が0.2より少なく、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znが適宜な量で含有されていることから、オリビン構造を有する化合物の電子伝導性が高くなり、電池特性が優れている。
【0090】
以上のことから、電池を製造する際に、正極活物質として、Mnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されているオリビン構造を有する化合物を用いることは、0.2mAでの放電容量、2mAでの放電容量、充放電サイクル特性の優れた電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
【0091】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、正極活物質として正極に含有されるオリビン構造を有する化合物は、一般式LiaMnbFecMdPO4(式中MはMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、0<a<2であり、0<b<0.8であり、0<d<0.2であり、b+c+d=1である。)で示されるように、Mnの一部及び/又はFeの一部がMg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素で置換されることで、置換された元素によりオリビン構造を有する化合物の電子状態が変化されて電子伝導性が高くなることから、正極の導電性を向上させることができる。
【0092】
したがって、本発明によれば、導電性が向上された正極によって電池の内部抵抗が低減し、放電時の電圧低下を抑制して所定のカットオフ電圧に到達するまでの時間を引き延ばすことができ、電池容量が大きな非水電解質電池が得られる。
【0093】
また、本発明によれば、正極の導電性が向上して内部抵抗が低下したことにより、大電流が流れた際の電池特性の低下も抑制された非水電解質電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池の内部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 リチウムイオン二次電池、2 正極、3 正極缶、4 負極、5 負極缶、6 セパレータ、7 絶縁ガスケット、8 非水電解液、9 正極集電体、10 正極合剤層、11 負極集電体、12 負極合剤層
Claims (2)
- 非水電解質電池の正極に含有される正極活物質において、
一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物を含有し、
上記式中、Mは、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、
a、b、c、dは、0<a<2、
0<b<0.8、
0<d<0.2、
b+c+d=1の関係を満たすことを特徴とする正極活物質。 - 正極活物質を含有する正極と、
負極活物質を含有する負極と、
電解質塩を含有する非水電解質とを備え、
上記正極は、正極活物質として、一般式LiaMnbFecMdPO4で示されるオリビン構造を有する化合物を含有し、
上記式中、Mは、Mg、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素であり、
a、b、c、dは、0<a<2、
0<b<0.8、
0<d<0.2、
b+c+d=1の関係を満たすことを特徴とする非水電解質電池。
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