JP2004342459A - 非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電サイクル特性の劣化を抑制する。
【解決手段】充電した直後に、23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比を制御することで、充電により負極6にドープしたリチウムを放電で脱ドープさせた際に、負極6が比較的卑な電位でリチウムの脱ドープ反応を行うことになることから、負極6の劣化を抑制でき、充放電サイクル特性の劣化を抑制できる。
【選択図】 図1
【解決手段】充電した直後に、23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比を制御することで、充電により負極6にドープしたリチウムを放電で脱ドープさせた際に、負極6が比較的卑な電位でリチウムの脱ドープ反応を行うことになることから、負極6の劣化を抑制でき、充放電サイクル特性の劣化を抑制できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極、負極及び非水電解質を備え、正極及び負極がリチウムをドープ/脱ドープすることで充放電が行われる非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)等の電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも大きなエネルギー密度を有し、負極に炭素質材料を用いたリチウムイオン二次電池がある。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、負極に用いる炭素質材料、具体的には例えば黒鉛等の黒鉛層間にリチウムイオンをインターカレーションさせる反応を電池反応に用いている。このため、リチウムイオン二次電池では、負極活物質にリチウムのドープ/脱ドープが可能な炭素質材料が用いられる。これにより、リチウムイオン二次電池では、充電時に負極にリチウムが析出することが抑制されて、優れた充放電サイクル特性が得られる。また、このリチウムイオン二次電池においては、負極に用いられる炭素質材料が空気中でも安定なため、電池を生産する際の歩留まりを向上させることができる。
【0004】
しかしながら、このリチウムイオン二次電池では、炭素質材料へのリチウムイオンのインターカレーションによる負極側の容量に炭素質材料における第1ステージ黒鉛層間化合物の組成C6Liに上限があることから高容量化を行うにも限界を生じてしまう。また、このリチウムイオン二次電池においては、負極活物質とする炭素質材料の微細な層状構造又は細孔構造を制御することは、炭素質材料を合成する際の難問でもある。さらに、このリチウムイオン二次電池おいては、負極活物質とする炭素質材料の比重が比較的小さく負極の単位体積当たりの負極容量が小さくなることから、エネルギー密度を向上させることが困難である。
【0005】
したがって、リチウムイオン二次電池では、負極に炭素質材料を用いた場合、電子機器の進歩に伴い求められる更なる高容量化、高エネルギー密度化に対応することが困難なことから、リチウムのドープ/脱ドープ能力が向上された負極活物質が望まれている。
【0006】
このような問題を解決する二次電池としては、負極活物質に炭素質材料ではなく例えばSn、Pb、Si、Ge、Al等を含有するリチウム合金若しくはSn、Pb、Si、Ge、Al等を含有する金属間化合物を用い、このリチウム合金若しくは金属間化合物がリチウムを吸蔵、放出する反応を応用させることで充放電を行うリチウム二次電池がある。
【0007】
この負極活物質にリチウム合金を用いることについては、例えばLi−Al合金やLi−Si合金等を負極活物質として用いることがすでに知られ、Si合金等を負極に用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、負極にリチウム合金若しくは金属間化合物を用いたリチウム二次電池では、充放電に伴う負極活物質の膨張収縮、すなわち体積変化が大きく、充放電の繰り返しによるリチウム合金の膨張収縮の繰り返しでリチウム合金が崩壊して電池特性が劣化、いわゆる充放電サイクル特性が劣化することがある。
【0009】
具体的に、リチウム二次電池において、リチウム合金を用いた負極では、充放電に伴う体積変化により負極活物質の粒子に亀裂が生じ、この亀裂が充放電に伴う体積変化で開閉するが、亀裂の内部表面に例えば電解質等との反応によりリチウム酸化物等の副生成物が蓄積すると、充放電に伴う亀裂の開閉が困難になる。このため、このリチウム二次電池では、充放電に伴い負極活物質の粒子に更なる亀裂が生じ、この亀裂の内部表面にも副生成物が順次蓄積することから、充放電が繰り返されることで負極活物質の粒子に次々と亀裂が生じて負極活物質が微粉化し、これによる負極の劣化で電池特性が劣化してしまう。
【0010】
このような問題を解決する方法としては、例えばリチウムと合金を形成する金属元素を少なくとも1つと、リチウムと合金を形成しない元素を少なくとも1つとを合金、金属間化合物、酸化物にして負極活物質として用いることで負極活物質が微粉化して起こる電池特性の劣化を抑制できることが提案されている(特許文献2及び特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献1】
米国特許第4950566号明細書
【特許文献2】
特開平7−230800号公報
【特許文献3】
特開平11−102705号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの提案でも、負極に炭素質材料を用いたときと同等以上の充放電サイクル特性を得ることは困難であり、高容量化が可能な負極活物質の特徴を生かし切れていないのが現状である。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、エネルギー密度が高く、充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題を解決するため鋭意検討した結果、従来指摘されていた充放電時の負極活物質の体積変化による不具合の他に、充放電時に負極活物質の表面で起こる副反応により電池特性が劣化することに着目したものである。すなわち、本発明は、負極に負極活物質としてリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を有する非水電解質電池が、放電深度の深い側、いわゆる放電末期の放電曲線形状と充放電サイクル特性とに相関があり、この点に着目したものである。
【0015】
具体的に、リチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を主に負極活物質とする非水電解質電池では、充電で負極活物質にドープしたリチウムを放電で脱ドープするときに、負極が比較的貴な電位、いわゆる負極が高い電位になるまで脱ドープ反応が継続されるため、例えば負極活物質を主に黒鉛系材料とする非水電解質電池に比べて放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かってなだらかに電圧降下する形状になっている。本発明は、リチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を主に負極活物質とする非水電解質電池における放電末期の放電曲線を、放電終止電圧に向かってなだらかに電圧降下する形状から放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状にさせることで、充放電サイクル特性を改善させるものである。
【0016】
このような知見に基づく本発明に係る非水電解質電池は、リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極合剤層を備える正極と、リチウムのドープ/脱ドープが可能であると共にリチウムと化合可能な金属、若しくはその合金又は化合物のうち何れか一種以上からなる負極活物質を有する負極合剤層を備える負極と、電解質塩を含有する非水電解質とを有し、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.8Vまで放電したときの放電容量C2.8との放電容量比C2.8/C2.5 が、C2.8/C2.5 ≧0.95の関係を満たしていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る非水電解質電池は、リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極合剤層を備える正極と、リチウムのドープ/脱ドープが可能であると共にリチウムと化合可能な金属、若しくはその合金又は化合物のうち何れか一種以上からなる負極活物質を有する負極合剤層を備える負極と、電解質塩を含有する非水電解質とを有し、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.6Vまで放電したときの放電容量C2.6との放電容量比C2.6/C2.5が、C2.6/C2.5 ≧0.98の関係を満たしていることを特徴としている。
【0018】
以上のような非水電解質電池によれば、充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比C2.8/C2.5が0.95以上であり、及び/又は放電容量比C2.6/C2.5が0.98以上であることにより、充電により負極活物質にドープしたリチウムを放電で脱ドープした際に、負極が比較的卑な電位、すなわち負極のLiに対する電位が低い状態でリチウムの脱ドープ反応を行うことになることから、負極の劣化を抑制できる。これにより、非水電解質電池によれば、放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状となって充放電サイクル特性を向上できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質電池について説明する。この非水電解質電池としてリチウム二次電池(以下、電池と記す。)の一構成例を図1に示す。この電池1は、発電要素となる電池素子2が外装缶3内部に非水電解液4と一緒に封入された構造となっている。
【0020】
電池素子2は、帯状の正極5と、帯状の負極6とが、セパレータ7を介して密着状態で巻回された構成となっている。
【0021】
正極5は、正極集電体8上に、正極活物質を含有する正極合剤層9が形成されている。正極5には、正極端子10が正極集電体8の所定の位置に、正極集電体8の幅方向の一方端部から突出するように接続されている。この正極端子10には、例えばアルミニウム等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0022】
この正極5には、正極活物質としてリチウムのドープ/脱ドープが可能な金属硫化物、金属酸化物等を用いる。具体的には、例えばTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物や、LixMO2(xは0.5以上、1.1以下の範囲であり、Mは遷移金属のうちの何れか一種又は複数種の化合物である。)等で示されるリチウム複合酸化物等を用いる。リチウム複合酸化物としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LixNiyCo1−yO2(xは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1であり、また0<y<1である。)や、LiMn2O4等で示されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物等が挙げられる。また、正極活物質としては、大型電池を形成する場合は極めて高い電池安全性が要求されることから、電気化学的及び熱的に安定なオリビン構造を有するLiFePO4や、LiFePO4の鉄及び/又はリンを異種元素で一部置換したリチウム複合酸化物も使用できる。そして、正極5では、正極活物質として、上述した金属硫化物、金属酸化物、リチウム複合酸化物のうちの何れか一種以上を混合して用いることも可能である。また、正極5には、正極集電体8として例えば網状や箔状のアルミニウム等が用いられる。
【0023】
正極5においては、正極合剤層9に含有される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。また、正極5においては、正極合剤層9に含有される導電材として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知のものを用いることができる。具体的には、導電材として例えばカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
【0024】
正極5では、上述した正極活物質の中でも例えば初回にリチウムを脱ドープ/ドープさせたときに不可逆容量が比較的大きな材料、すなわち初回に脱ドープしたリチウム量に対して再びドープするリチウム量が少ない材料を用いる。これにより、正極5における初回不可逆容量の総和が、負極6における初回不可逆容量の総和より大きくなり、電池1の放電容量を正極5の放電容量で規制できることから、負極6が貴な電位になる前に、すなわち負極6側の電位が上昇する前に放電を終了させることが可能となる。したがって、正極5においては、正極活物質として初回充放電の不可逆容量が比較的大きな材料を用いることで負極6側の終止電圧を規制でき、負極6側で起こる負極6を劣化させる副反応を抑制できる。すなわち、負極6を低い電位で脱ドープ反応させて負極6の放電末期の放電曲線を放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状させることがきる。具体的に、初回充放電の不可逆容量が比較的大きな正極活物質としては例えばLi、Co、Al、Mgを含有する酸化物等が挙げられる。また、正極5においては、正極活物質にリチウムマンガン複合酸化物を用いた場合、正極5側の放電曲線が所定の閉回路電圧で保持された後に急峻に電圧降下するような形状を有することから、負極6側の終止電圧を規制し易くなる。
【0025】
負極6は、負極集電体11上に、負極活物質を含有する負極合剤層12が形成されている。負極6には、負極端子13が負極集電体11の所定の位置に、負極集電体11の幅方向の一方端部より突出するように接続されている。この負極端子13には、例えば銅、ニッケル等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0026】
負極6に含有される負極活物質としては、例えばリチウムと合金を形成することが可能な金属、若しくはこの金属の合金、又は化合物等が挙げられる。具体的に、負極活物質としては、例えばリチウムと合金を形成可能な金属をMとしたときにMxM’yLiz(M’はM元素以外の金属元素であり、xは0より大きな数値であり、y及びLzは0以上の数値である。)の化学式で示される化合物である。この第1の負極活物質としては、例えば半金属元素であるB、Si、As等を含有する化合物等も挙げられ、具体的にはMg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Yの元素及びこれらの元素を含有する化合物、Li−Al、Li−Al−M(Mは2A族、3B族、4B族の遷移金属元素のうちの何れか一種又は複数種である。)、Al−Sb、Cu−Mg−Sb等が挙げられる。そして、リチウムと合金を形成可能な元素としては、例えば3B族典型元素が挙げられ、その中でもSi、Snを用いることが好ましい。
【0027】
さらに、負極活物質としては、一つ以上の非金属元素を含有する炭素以外の4B族の元素化合物も利用できる。この化合物には、複数種の4B族の元素を含有していても良い。具体的には、例えばSiC、Si3N4、Si2N2O、SiOx(0<x≦2)、SnOx(0<x≦2)、LiSiO、LiSnO等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。さらにまた、上述した化合物の他に、例えばリチウムイオンのドープ/脱ドープが可能な炭素質材料等を負極活物質として含有させることもできる。この炭素質材料としては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等の黒鉛類、難黒鉛化性炭素、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。この黒鉛系材料は、負極合剤層12に含有された場合、リチウムをドープ/脱ドープする負極活物質として機能する他、電子導電性に優れていることから、負極合剤層12中で導電材としても機能する。
【0028】
負極6には、負極集電体11として例えば網状や箔状の銅等が用いられる。また、負極6においては、負極合剤層12に含有される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばスチレン−ブタジエン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0029】
負極6においては、上述した負極活物質の中でも例えばLiに対して比較的貴な電位では充放電容量を持たないものを用いることで、低い電位でリチウムの脱ドープ反応を行うことが可能となることから、劣化する副反応を抑制でき、放電末期の放電曲線を放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状させることがきる。このように、Liに対して比較的貴な電位では充放電容量を持たない負極活物質としては、例えばSn−Co−Cからなる化合物もしくは混合物等が挙げられる。
【0030】
電池素子2において、セパレータ7は、正極5と負極6とを離間させるものであり、この種の非水電解質電池の絶縁性多孔質膜として通常用いられている公知の材料を用いることができる。具体的には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータ7の厚みはできるだけ薄い方が好ましく、その厚みを30μm以下にして用いる。
【0031】
外装缶3は、例えば底面を略円形状、略矩形状とする有底筒状容器であり、正極5と導通する場合はアルミニウム等で形成され、負極6と導通する場合は鉄、ステンレス、ニッケル等で形成される。外装缶3は、例えば鉄等で形成された場合はその表面にはニッケルめっき等が防錆等のために施されることになる。
【0032】
非水電解液4としては、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解させた溶液等が用いられる。非水溶媒としては、例えば環状の炭酸エステル化合物、水素をハロゲン基やハロゲン化アクリル基で置換した環状炭酸エステル化合物や鎖状炭酸エステル化合物等を用いる。具体的には、非水溶媒としてプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネートを使用する。
【0033】
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiSbF6、LiClO4、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0034】
非水電解液4においては、例えばLiイオンの移動度が低いものを用いることにより電池内でLiイオンの濃度分布に偏りが生じやすくなることから、放電末期の分極抵抗が大きくなって負極6がLiに対して貴な電位に達する前に放電を停止させることができる。具体的に、非水電解液4のLiイオンの移動度が低いものを用いて放電末期で分極抵抗の上昇を利用する場合、放電を停止する前に負極6側の電位が一瞬高くなるが、放電が停止されて放電電流が流れなくなると負極6の電位は抵抗が大きくなっていた分低下するので、実質的には負極6がLiに対して貴な電位に達する前に放電を停止させたことになる。そして、非水電解液4においては、例えば電解液の粘度を高くしたり、含有される電解質塩の量を少なくしたりすることでLiイオンの移動度を低くすることができる。
【0035】
以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極5を作製する。正極5を作製する際は、正極活物質と導電材と結着剤とを含有する正極合剤塗液を調製し、この正極合剤塗液を例えばアルミニウム箔等からなる正極集電体8の両主面上に均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで正極合剤層9を形成し、所定の寸法に裁断して所定の位置に正極端子10を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長尺状の正極5が作製される。
【0036】
次に、負極6を作製する。負極6を作製する際は、負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを含有する負極合剤塗液を調製する。次に、この負極合剤塗液を例えば銅箔等からなる負極集電体11の両主面上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮することで負極合剤層12を形成し、所定の寸法に裁断して所定の位置に負極端子13を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長尺状の負極6が作製される。
【0037】
次に、以上のようにして得られて正極5と負極6とを、長尺状のセパレータ7を介して積層し、多数回巻回することにより電池素子2を作製する。このとき、電池素子2は、セパレータ7の幅方向の一端面から正極端子10が、他端面から負極端子13が突出するように巻回されている。
【0038】
次に、電池素子2の両端面に絶縁板14a、14bを設置し、さらに電池素子2を内側にニッケルメッキ等を施した鉄製の外装缶3に収納する。そして、負極6の集電をとるために、負極端子13の電池素子2より突出している部分を外装缶3の底部等に溶接する。これにより、外装缶3は、負極6と導通することとなり、電池1の外部負極となる。また、正極5の集電をとるために、正極端子10の電池素子2より突出している部分を電流遮断用薄板15に溶接することでこの電流遮断用薄板15を介して電池蓋16と電気的に接続する。この電流遮断用薄板15は、電池内圧に応じて電流を遮断するものである。これにより、電池蓋16は、正極5導通することとなり、電池1の外部正極となる。
【0039】
次に、この外装缶3の中に非水電解液4を注入する。この非水電解液4は、電解質塩を非水溶媒に溶解させて調製される。次に、アスファルトと塗布した絶縁ガスケット17を介して外装缶3の開口部をかしめることにより電池蓋16が固定されて円筒形の電池1が作製される。
【0040】
なお、この電池1においては、電池素子2を巻回するときの巻軸等になるセンターピン18が設けられているとともに、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁19及び電池内部の温度上昇を防止するためのPTC(positive temperture coefficient)素子20が設けられている。
【0041】
このようにして製造された電池1では、正極活物質として例えば初回充放電の不可逆容量が比較的大きな材料を用いる。また、この電池1では、負極活物質として例えばLiに対して比較的貴な電位で充放電容量を持たないものを用いる。さらに、この電池1では、非水電解液4として例えばイオン導電率が低いものを用いる。
【0042】
これにより、電池1では、完全充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、完全充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.8Vまで放電したときの放電容量C2.8との放電容量比C2.8/C2.5が、C2.8/C2.5≧0.95で示されるの関係を満たし、及び/又は完全充電した直後に、23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.6Vまで放電したときの放電容量C2.6との放電容量比C2.6/C2.5が、C2.6/C2.5≧0.98で示される関係を満たすことになる。また、電池1によれば、完全充電した直後に。23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比C2.8/C2.5 が0.96以上となり、及び/又は放電容量比C2.6/C2.5 が0.99以上になることが更に好ましい。
【0043】
このような放電容量比C2.8/C2.5≧0.95,C2.6/C2.5≧0.98の関係を満たす電池1では、放電した際に、放電末期になっても負極6のLiに対する電位を低く抑えることが可能となり、負極6を劣化させるような副反応を抑制させることができる。
【0044】
したがって、電池1では、負極活物質に黒鉛系材料を用いたときと同様、放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状となり、従来のような負極活物質としてリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を用いていたときに放電末期に負極が劣化して起こっていた電池特性の低下を抑制しつつ、負極活物質にリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を用いることでエネルギー密度を向上できる。すなわち、この電池1では、充放電サイクル特性とエネルギー密度とを両立することができる。
【0045】
なお、上述した「完全充電」とは、日本蓄電池工業会(電池工業会)の定めた指針の一つであり、「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」(SBA G1101)に定義されている。すなわち、完全充電とは、電池1の公称容量を求めるときに用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法で充電された状態を指す。上述した「完全充電した直後」とは、自己放電が放電容量の測定値に及ぼす影響を最小限とすることを目的としており、電池1の公称容量を求める際に用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法で充電が終了してから、1時間以内に放電、且つ自己放電を促進する虞のある環境(加熱される等)に置かれないうちに放電することを指す。上述した「電流値0.2C」とは、電池1の定格容量の5分の1の電流値である。
【0046】
以上では、非水電解液4を用いた電池1について説明しているが、このことに限定されることはなく、非水電解液4の代わりに例えば無機固体電解質、高分子固体電解質、ゲル状電解質等の固体電解質を用いた場合も適用可能である。
【0047】
無機固体電解質としては、例えば窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。高分子固体電解質は、例えば上述した電解質塩と、電解質塩を含有することでイオン導電性が賦与される高分子化合物とからなる。高分子固体電解質に用いる高分子化合物には、例えばポリ(エチレンオキサイド)やこの架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)等のエステル系高分子、アクリレート系高分子等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。ゲル状電解質は、上述した非水電解液4と、この非水電解液4を吸収してゲル化するマトリックス高分子とからなる。ゲル状電解質に用いるマトリックス高分子には、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)やこれの架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(アクリロニトリル)等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、マトリックス高分子には、酸化還元安定性が良好なフッ素系高分子を用いることが好ましい。
【0048】
上述した実施の形態では、円筒形のリチウム二次電池を例に挙げて説明しているが、このことに限定されることはなく、例えばコイン型、角型、ボタン型等外装材に金属製容器等を用いたリチウム二次電池、薄型等外装材にラミネートフィルム等を用いたリチウム二次電池等、種々の形状や大きさにすることが可能である。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質電池としてリチウム二次電池を実際に作製したサンプルについて説明する。
【0050】
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を合成した。このLiCoO2を合成する際は、炭酸リチウムと炭酸コバルトとを0.5モル対1モルの比率となるように混合し、空気雰囲気中900℃で5時間焼成した。このようにしてLiCoO2を合成した。次に、得られたLiCoO2を粉砕し、分級することでLiCoO2粉末を作製した。このとき、得られたLiCoO2のX線回折測定を行うことで、ICDD(International Center for Diffraction Data)カードNo.50−0653に登録されているLiCoO2の回折ピークと一致していることを確認した。
【0051】
そして、得られたLiCoO2を用いて正極を作製した。正極を作製する際は、先ず、LiCoO2を91重量部と、導電材としてグラファイトを6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFと記す。)を3重量部とをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)に分散、乾燥させて正極合剤を作製した。次に、この正極合剤をアルミニウム製の網状金属シートを基材にして圧縮形成して直径15.5mmの正極を作製した。
【0052】
次に、この正極についてLiのドープ/脱ドープ能力、いわゆる正極の初回クーロン効率を正極試験電池を用いて測定した。正極の初回クーロン効率を測定するための正極試験電池を作製するには、先ず、エチレンカーボネート(以下、ECと記す。)と、ジメチルカーボネート(以下、DMCと記す。)とを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を調製した。次に、対極となる金属Li板をステンレスからなる負極缶に収容し、作用極となる正極を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、対極と作用極との間に厚み25μmのポリプロピレン製の多孔質膜をセパレータとして介在させた状態で積層配置した。次に、負極缶及び正極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶との間にポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介し、正極缶の外周端縁が縮径されるようにかしめることで負極缶を固定した。このようにして、直径20mm、厚み2.5mmのコイン型の正極試験電池を作製した。
【0053】
そして、以上のようにして作製した正極試験電池を用いて正極の初回クーロン効率を測定するには、先ず、正極試験電池に対して0.5mAの定電流で閉回路電圧が4.25Vになるまで通電し、続いて4.25Vの定電圧で電流値が50μA以下になるまで通電することで作用極を酸化した。作用極の酸化後1時間以内に、0.5mAの定電流で閉回路電圧が3Vになるまで通電することで作用極を還元した。このとき、作用極を還元するのに要した電気量と作用極を酸化するのに要した電気量との比率が正極の初回クーロン効率となる。具体的に、正極活物質にLiCoO2を用いた正極の初回クーロン効率は92%であった。
【0054】
次に、負極活物質として40wt%Co−60wt%Sn合金を合成した。負極活物質を合成する際は、先ず、Coを40重量部と、Snと60重量部とを均質になるようにボールミルで20時間混合した混合物を、石英ボートに入れてアルゴン雰囲気中、高周波溶融炉を用いて1050℃に加熱して混合物を溶解した。次に、溶解した混合物を、室温まで冷却することで40wt%Co−60wt%Sn合金を合成した。次に、得られた40wt%Co−60wt%Sn合金をアルゴン雰囲気中ボールミルで粉砕し、分級することで平均粒径が10μm程度の粉末状の40wt%Co−60wt%Sn合金を作製した。
【0055】
次に、負極を作製した。この負極を作製する際は、以上のようにして得られた40wt%Co−60wt%Sn合金を70重量部と、人造黒鉛を25重量部と、結着剤としてPVdFを5重量部とをNMPに分散、乾燥させて負極合剤を作製した。次に、この負極合剤をニッケル製の網状金属シートを基材にして圧縮形成して直径15.5mmの負極を作製した。
【0056】
次に、この負極の初回クーロン効率を負極試験電池を用いて測定した。負極の初回クーロン効率を測定するための負極試験電池を作製するには、先ず、ECと、DMCとを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を調製した。次に、負極を作用極としてステンレスからなる負極缶に収容し、対極として金属Li板を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、作用極と金属Li板との間に厚み25μmのポリプロピレン製の多孔質膜をセパレータとして介在させた状態で積層配置した。次に、負極缶及び正極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶との間にポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介し、正極缶の外周端縁が縮径されるようにかしめることで負極缶を固定した。このようにして、直径20mm、厚み2.5mmのコイン型の負極試験電池を作製した。
【0057】
そして、以上のようにして作製した負極試験電池を用いて負極の初回クーロン効率を測定するには、先ず、負極試験電池に対して0.5mAの定電流で閉回路電圧が0Vになるまで通電し、続いて0Vの定電圧で電流値が50μA以下になるまで通電することで作用極を還元した。作用極の還元後1時間以内に、0.5mAの定電流で閉回路電圧が1.2Vになるまで通電することで作用極を酸化した。このとき、作用極を還元するのに要した電気量と作用極を酸化するのに要した電気量との比率が負極の初回クーロン効率となる。具体的に、負極活物質に40wt%Co−60wt%Sn合金を用いた負極の初回クーロン効率は81%であった。
【0058】
次に、上述した製法により作製した正極及び負極を用いてサンプル1のリチウム二次電池を作製した。サンプル1の電池を作製する際は、先ず、ECと、DMCとを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を調製した。次に、負極をステンレスからなる負極缶に収容し、正極を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、負極と正極との間に厚み25μmのポリプロピレン製の多孔質膜をセパレータとして介在させた状態で積層配置した。次に、負極缶及び正極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶との間にポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介し、正極缶の外周端縁が縮径されるようにかしめることで負極缶を固定した。このようにして、直径20mm、厚み2.5mmのコイン型のリチウム二次電池を作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池と記す。この電池では、初回充電時に正極から脱ドープしたLi量が、負極がドープするLi量を超えることのないように、正極及び負極における活物質の量を調整した。この場合、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率に対して大きいので電池の放電容量が負極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0059】
〈サンプル2〉
サンプル2では、先ず、正極活物質としてLi−Co−Al−Mg複合酸化物を合成した。このLi−Co−Al−Mg複合酸化物を合成する際は、炭酸リチウムと炭酸コバルトと水酸化アルミニウムと酸化マグネシウムとをLi、Co、Al、Mgの元素比でLi:Co:Al:Mg=100:85:10:5となるように混合し、空気雰囲気中950℃で5時間焼成した。このようにしてLi−Co−Al−Mg複合酸化物を合成した。そして、このLi−Co−Al−Mg複合酸化物を正極活物質として用いたこと以外はサンプル1と同様にして正極を作製した。
【0060】
次に、この正極の初回クーロン効率を、サンプル1と同様にした測定した。その結果、この正極の初回クーロン効率は72%であった。次に、この正極を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル2の電池を作製した。なお、サンプル2では、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率と比較して小さいので電池の放電容量が正極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0061】
〈サンプル3〉
サンプル3では、非水電解液としてECと、DMCとを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が0.5モル/リットルとなるように溶解させたものを用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。なお、サンプル3では、サンプル1と同様の正極及び負極を用いていることから、電池の放電容量が負極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0062】
〈サンプル4〉
サンプル4では、先ず、負極活物質として40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金を合成した。負極活物質を合成する際は、Snと40重量部と、Coを50重量部と、Cを10重量部とを均質になるようにボールミルで20時間程度混合して合金化するメカニカルアロイング法によって40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金を合成した。そして、この40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金を負極活物質として用いたこと以外はサンプル1と同様にして負極を作製した。
【0063】
次に、この負極の初回クーロン効率を、サンプル1と同様にした測定した。その結果、この負極の初回クーロン効率は85%であった。次に、この負極を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル4の電池を作製した。なお、サンプル4では、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率に対して大きいので電池の放電容量が負極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0064】
そして、以上のように作製したサンプル1〜サンプル4の電池について、放電容量比と、20サイクル後の放電容量維持率とを測定した。
【0065】
以下、サンプル1〜サンプル4における、放電容量比C2.8/C2.5,C2.6/C2.5及び20サイクル後の放電容量維持率の評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
なお、サンプル1〜サンプル4では、放電容量比C2.8/C2.5,C2.6/C2.5及び20サイクル後の放電容量維持率を以下のようにして評価した。先ず、各サンプルに対して次の条件で充放電を行った。各サンプルに対して23℃雰囲気中、各サンプルの定格容量に対して0.2Cとなる充電電流値で閉回路電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、続いて閉回路電圧4.2Vで充電電流値が50μA以下になるまで定電圧充電することにより完全充電を行った。完全充電後1時間以内に、23℃雰囲気中、各サンプルの定格容量に対して0.2Cとなる放電電流値で2.5Vまで放電を行った。そして、以上のような条件の充放電を1サイクルとして各サンプルに対して同様の条件で充放電を20サイクル行った。このようにして評価した各サンプルの20サイクル後の放電容量維持率は、初回の放電容量に対する20サイクル目の放電容量の比率である。また、放電容量比C2.8/C2.5は、20サイクル目の放電の際に2.8Vで読みとった放電容量値C2.8と、2.5Vまで放電したときの放電容量値C2.5との比率である。放電容量比C2.6/C2.5は、20サイクル目の放電の際に2.6Vで読みとった放電容量値C2.6と、2.5Vまで放電したときの放電容量値C2.5との比率である。
【0068】
表1に示す評価結果から、正極の初回クーロン効率を72%と小さくしたサンプル2、非水電解液に含有されるLiPF6の量を少なくしたサンプル3、負極の初回クーロン効率を85%と大きくしたサンプル4では、正極の初回クーロン効率を92%とし、負極の初回クーロン効率を81%とするサンプル1に比べ、20サイクル後の放電容量維持率が大きく、放電容量比C2.8/C2.5が0.95より大きく、放電容量比C2.6/C2.5が0.98より大きくなっていることがわかる。
【0069】
サンプル2では、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率より小さくなっており、電池の放電容量を正極の放電容量で規制できることから、負極が貴な電位になる前に放電を終了させることが可能となる。したがって、サンプル2では、負極側の終止電圧を規制でき、負極が低い電位を保ったままリチウムの脱ドープ反応が行われることから、負極が劣化してさせるような副反応を抑制でき、充放電サイクル特性を向上できる。
【0070】
サンプル3では、非水電解液に含有されるLiPF6の量を少なくすることで電池内のLiイオンの移動度が低くなり、電池内でLiイオンの濃度分布に偏りが生じやすくなることから、放電末期の分極抵抗が大きくなって負極がLiに対して貴な電位に達する前に放電を停止させることができる。したがって、サンプル3では、負極の電池が低いときにリチウムの脱ドープ反応が終了することから、負極を劣化させる副反応を抑制でき、充放電サイクル特性を向上できる。
【0071】
サンプル4では、負極活物質に用いた40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金がLiに対して比較的卑な電位で脱ドープ反応を行うものであり、負極が劣化する副反応を抑制できることから、充放電サイクル特性を向上できる。
【0072】
ここで、図2に各サンプルの20サイクル目における放電末期の電圧変化、いわゆる放電曲線を示す。なお、図2においては、縦軸に放電時の閉回路電圧、横軸に閉回路電圧が2.5Vになったときの放電容量に対する各閉回路電圧毎の放電容量比を示している。
【0073】
図2に示す評価結果より、20サイクル後の放電容量維持率が大きいサンプル2〜サンプル4では、閉回路電圧を2.8Vとするときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.97近傍にあり、閉回路電圧を2.6Vとするときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.99以上であることがわかる。一方、20サイクル後の放電容量維持率が小さいサンプル1では、閉回路電圧を2.8Vとするときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.95より小さく、閉回路電圧が2.6Vのときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.98より小さくなっている。
【0074】
このことから、充電直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで放電したときの放電容量比C2.8/C2.5が0.95以上、及び/又は放電容量比C2.6/C2.5が0.98以上になるようにさせることで、充放電サイクル特性に優れた電池が得られることがわかる。
【0075】
また、図2に示す評価結果より、20サイクル後の放電容量維持率が大きいサンプル2〜サンプル4では、20サイクル後の放電容量維持率が小さいサンプル1に比べて放電末期の放電曲線が閉回路電圧2.5Vに向かって急峻に電圧降下する形状になっている。すなわち、サンプル2〜サンプル4のように放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状の電池では、サンプル1のように放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かってなだらかに電圧降下する電池に比べて充放電サイクル特性に優れていることがわかる。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比を制御することで、充電により負極活物質にドープしたリチウムを放電で脱ドープさせた際に、負極が卑な電位でリチウムの脱ドープ反応を行うことになることから、負極の劣化を抑制できる。
【0077】
したがって、本発明によれば、放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状となって充放電サイクル特性の劣化を防止できる。また、本発明によれば、負極活物質としてリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を用いることでエネルギー密度を向上できる。すなわち、本発明によれば、充放電サイクル特性とエネルギー密度とが両立された非水電解質電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリチウム二次電池の内部構造を示す断面図である。
【図2】リチウム二次電池を放電したときの放電末期の放電曲線を示す特性図である。
【符号の説明】
1 リチウム二次電池、2 電池素子、3 外装缶、4 非水電解液、5 正極、6 負極、7 セパレータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極、負極及び非水電解質を備え、正極及び負極がリチウムをドープ/脱ドープすることで充放電が行われる非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)等の電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも大きなエネルギー密度を有し、負極に炭素質材料を用いたリチウムイオン二次電池がある。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、負極に用いる炭素質材料、具体的には例えば黒鉛等の黒鉛層間にリチウムイオンをインターカレーションさせる反応を電池反応に用いている。このため、リチウムイオン二次電池では、負極活物質にリチウムのドープ/脱ドープが可能な炭素質材料が用いられる。これにより、リチウムイオン二次電池では、充電時に負極にリチウムが析出することが抑制されて、優れた充放電サイクル特性が得られる。また、このリチウムイオン二次電池においては、負極に用いられる炭素質材料が空気中でも安定なため、電池を生産する際の歩留まりを向上させることができる。
【0004】
しかしながら、このリチウムイオン二次電池では、炭素質材料へのリチウムイオンのインターカレーションによる負極側の容量に炭素質材料における第1ステージ黒鉛層間化合物の組成C6Liに上限があることから高容量化を行うにも限界を生じてしまう。また、このリチウムイオン二次電池においては、負極活物質とする炭素質材料の微細な層状構造又は細孔構造を制御することは、炭素質材料を合成する際の難問でもある。さらに、このリチウムイオン二次電池おいては、負極活物質とする炭素質材料の比重が比較的小さく負極の単位体積当たりの負極容量が小さくなることから、エネルギー密度を向上させることが困難である。
【0005】
したがって、リチウムイオン二次電池では、負極に炭素質材料を用いた場合、電子機器の進歩に伴い求められる更なる高容量化、高エネルギー密度化に対応することが困難なことから、リチウムのドープ/脱ドープ能力が向上された負極活物質が望まれている。
【0006】
このような問題を解決する二次電池としては、負極活物質に炭素質材料ではなく例えばSn、Pb、Si、Ge、Al等を含有するリチウム合金若しくはSn、Pb、Si、Ge、Al等を含有する金属間化合物を用い、このリチウム合金若しくは金属間化合物がリチウムを吸蔵、放出する反応を応用させることで充放電を行うリチウム二次電池がある。
【0007】
この負極活物質にリチウム合金を用いることについては、例えばLi−Al合金やLi−Si合金等を負極活物質として用いることがすでに知られ、Si合金等を負極に用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、負極にリチウム合金若しくは金属間化合物を用いたリチウム二次電池では、充放電に伴う負極活物質の膨張収縮、すなわち体積変化が大きく、充放電の繰り返しによるリチウム合金の膨張収縮の繰り返しでリチウム合金が崩壊して電池特性が劣化、いわゆる充放電サイクル特性が劣化することがある。
【0009】
具体的に、リチウム二次電池において、リチウム合金を用いた負極では、充放電に伴う体積変化により負極活物質の粒子に亀裂が生じ、この亀裂が充放電に伴う体積変化で開閉するが、亀裂の内部表面に例えば電解質等との反応によりリチウム酸化物等の副生成物が蓄積すると、充放電に伴う亀裂の開閉が困難になる。このため、このリチウム二次電池では、充放電に伴い負極活物質の粒子に更なる亀裂が生じ、この亀裂の内部表面にも副生成物が順次蓄積することから、充放電が繰り返されることで負極活物質の粒子に次々と亀裂が生じて負極活物質が微粉化し、これによる負極の劣化で電池特性が劣化してしまう。
【0010】
このような問題を解決する方法としては、例えばリチウムと合金を形成する金属元素を少なくとも1つと、リチウムと合金を形成しない元素を少なくとも1つとを合金、金属間化合物、酸化物にして負極活物質として用いることで負極活物質が微粉化して起こる電池特性の劣化を抑制できることが提案されている(特許文献2及び特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献1】
米国特許第4950566号明細書
【特許文献2】
特開平7−230800号公報
【特許文献3】
特開平11−102705号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの提案でも、負極に炭素質材料を用いたときと同等以上の充放電サイクル特性を得ることは困難であり、高容量化が可能な負極活物質の特徴を生かし切れていないのが現状である。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、エネルギー密度が高く、充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題を解決するため鋭意検討した結果、従来指摘されていた充放電時の負極活物質の体積変化による不具合の他に、充放電時に負極活物質の表面で起こる副反応により電池特性が劣化することに着目したものである。すなわち、本発明は、負極に負極活物質としてリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を有する非水電解質電池が、放電深度の深い側、いわゆる放電末期の放電曲線形状と充放電サイクル特性とに相関があり、この点に着目したものである。
【0015】
具体的に、リチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を主に負極活物質とする非水電解質電池では、充電で負極活物質にドープしたリチウムを放電で脱ドープするときに、負極が比較的貴な電位、いわゆる負極が高い電位になるまで脱ドープ反応が継続されるため、例えば負極活物質を主に黒鉛系材料とする非水電解質電池に比べて放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かってなだらかに電圧降下する形状になっている。本発明は、リチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を主に負極活物質とする非水電解質電池における放電末期の放電曲線を、放電終止電圧に向かってなだらかに電圧降下する形状から放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状にさせることで、充放電サイクル特性を改善させるものである。
【0016】
このような知見に基づく本発明に係る非水電解質電池は、リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極合剤層を備える正極と、リチウムのドープ/脱ドープが可能であると共にリチウムと化合可能な金属、若しくはその合金又は化合物のうち何れか一種以上からなる負極活物質を有する負極合剤層を備える負極と、電解質塩を含有する非水電解質とを有し、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.8Vまで放電したときの放電容量C2.8との放電容量比C2.8/C2.5 が、C2.8/C2.5 ≧0.95の関係を満たしていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る非水電解質電池は、リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極合剤層を備える正極と、リチウムのドープ/脱ドープが可能であると共にリチウムと化合可能な金属、若しくはその合金又は化合物のうち何れか一種以上からなる負極活物質を有する負極合剤層を備える負極と、電解質塩を含有する非水電解質とを有し、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.6Vまで放電したときの放電容量C2.6との放電容量比C2.6/C2.5が、C2.6/C2.5 ≧0.98の関係を満たしていることを特徴としている。
【0018】
以上のような非水電解質電池によれば、充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比C2.8/C2.5が0.95以上であり、及び/又は放電容量比C2.6/C2.5が0.98以上であることにより、充電により負極活物質にドープしたリチウムを放電で脱ドープした際に、負極が比較的卑な電位、すなわち負極のLiに対する電位が低い状態でリチウムの脱ドープ反応を行うことになることから、負極の劣化を抑制できる。これにより、非水電解質電池によれば、放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状となって充放電サイクル特性を向上できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質電池について説明する。この非水電解質電池としてリチウム二次電池(以下、電池と記す。)の一構成例を図1に示す。この電池1は、発電要素となる電池素子2が外装缶3内部に非水電解液4と一緒に封入された構造となっている。
【0020】
電池素子2は、帯状の正極5と、帯状の負極6とが、セパレータ7を介して密着状態で巻回された構成となっている。
【0021】
正極5は、正極集電体8上に、正極活物質を含有する正極合剤層9が形成されている。正極5には、正極端子10が正極集電体8の所定の位置に、正極集電体8の幅方向の一方端部から突出するように接続されている。この正極端子10には、例えばアルミニウム等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0022】
この正極5には、正極活物質としてリチウムのドープ/脱ドープが可能な金属硫化物、金属酸化物等を用いる。具体的には、例えばTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物や、LixMO2(xは0.5以上、1.1以下の範囲であり、Mは遷移金属のうちの何れか一種又は複数種の化合物である。)等で示されるリチウム複合酸化物等を用いる。リチウム複合酸化物としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LixNiyCo1−yO2(xは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1であり、また0<y<1である。)や、LiMn2O4等で示されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物等が挙げられる。また、正極活物質としては、大型電池を形成する場合は極めて高い電池安全性が要求されることから、電気化学的及び熱的に安定なオリビン構造を有するLiFePO4や、LiFePO4の鉄及び/又はリンを異種元素で一部置換したリチウム複合酸化物も使用できる。そして、正極5では、正極活物質として、上述した金属硫化物、金属酸化物、リチウム複合酸化物のうちの何れか一種以上を混合して用いることも可能である。また、正極5には、正極集電体8として例えば網状や箔状のアルミニウム等が用いられる。
【0023】
正極5においては、正極合剤層9に含有される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。また、正極5においては、正極合剤層9に含有される導電材として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知のものを用いることができる。具体的には、導電材として例えばカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
【0024】
正極5では、上述した正極活物質の中でも例えば初回にリチウムを脱ドープ/ドープさせたときに不可逆容量が比較的大きな材料、すなわち初回に脱ドープしたリチウム量に対して再びドープするリチウム量が少ない材料を用いる。これにより、正極5における初回不可逆容量の総和が、負極6における初回不可逆容量の総和より大きくなり、電池1の放電容量を正極5の放電容量で規制できることから、負極6が貴な電位になる前に、すなわち負極6側の電位が上昇する前に放電を終了させることが可能となる。したがって、正極5においては、正極活物質として初回充放電の不可逆容量が比較的大きな材料を用いることで負極6側の終止電圧を規制でき、負極6側で起こる負極6を劣化させる副反応を抑制できる。すなわち、負極6を低い電位で脱ドープ反応させて負極6の放電末期の放電曲線を放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状させることがきる。具体的に、初回充放電の不可逆容量が比較的大きな正極活物質としては例えばLi、Co、Al、Mgを含有する酸化物等が挙げられる。また、正極5においては、正極活物質にリチウムマンガン複合酸化物を用いた場合、正極5側の放電曲線が所定の閉回路電圧で保持された後に急峻に電圧降下するような形状を有することから、負極6側の終止電圧を規制し易くなる。
【0025】
負極6は、負極集電体11上に、負極活物質を含有する負極合剤層12が形成されている。負極6には、負極端子13が負極集電体11の所定の位置に、負極集電体11の幅方向の一方端部より突出するように接続されている。この負極端子13には、例えば銅、ニッケル等からなる短冊状金属片等を用いる。
【0026】
負極6に含有される負極活物質としては、例えばリチウムと合金を形成することが可能な金属、若しくはこの金属の合金、又は化合物等が挙げられる。具体的に、負極活物質としては、例えばリチウムと合金を形成可能な金属をMとしたときにMxM’yLiz(M’はM元素以外の金属元素であり、xは0より大きな数値であり、y及びLzは0以上の数値である。)の化学式で示される化合物である。この第1の負極活物質としては、例えば半金属元素であるB、Si、As等を含有する化合物等も挙げられ、具体的にはMg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Yの元素及びこれらの元素を含有する化合物、Li−Al、Li−Al−M(Mは2A族、3B族、4B族の遷移金属元素のうちの何れか一種又は複数種である。)、Al−Sb、Cu−Mg−Sb等が挙げられる。そして、リチウムと合金を形成可能な元素としては、例えば3B族典型元素が挙げられ、その中でもSi、Snを用いることが好ましい。
【0027】
さらに、負極活物質としては、一つ以上の非金属元素を含有する炭素以外の4B族の元素化合物も利用できる。この化合物には、複数種の4B族の元素を含有していても良い。具体的には、例えばSiC、Si3N4、Si2N2O、SiOx(0<x≦2)、SnOx(0<x≦2)、LiSiO、LiSnO等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。さらにまた、上述した化合物の他に、例えばリチウムイオンのドープ/脱ドープが可能な炭素質材料等を負極活物質として含有させることもできる。この炭素質材料としては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等の黒鉛類、難黒鉛化性炭素、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等が挙げられ、これらのうちの何れか一種以上を用いる。この黒鉛系材料は、負極合剤層12に含有された場合、リチウムをドープ/脱ドープする負極活物質として機能する他、電子導電性に優れていることから、負極合剤層12中で導電材としても機能する。
【0028】
負極6には、負極集電体11として例えば網状や箔状の銅等が用いられる。また、負極6においては、負極合剤層12に含有される結着剤として、この種の非水電解質電池に通常用いられている公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、結着剤として例えばスチレン−ブタジエン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0029】
負極6においては、上述した負極活物質の中でも例えばLiに対して比較的貴な電位では充放電容量を持たないものを用いることで、低い電位でリチウムの脱ドープ反応を行うことが可能となることから、劣化する副反応を抑制でき、放電末期の放電曲線を放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状させることがきる。このように、Liに対して比較的貴な電位では充放電容量を持たない負極活物質としては、例えばSn−Co−Cからなる化合物もしくは混合物等が挙げられる。
【0030】
電池素子2において、セパレータ7は、正極5と負極6とを離間させるものであり、この種の非水電解質電池の絶縁性多孔質膜として通常用いられている公知の材料を用いることができる。具体的には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータ7の厚みはできるだけ薄い方が好ましく、その厚みを30μm以下にして用いる。
【0031】
外装缶3は、例えば底面を略円形状、略矩形状とする有底筒状容器であり、正極5と導通する場合はアルミニウム等で形成され、負極6と導通する場合は鉄、ステンレス、ニッケル等で形成される。外装缶3は、例えば鉄等で形成された場合はその表面にはニッケルめっき等が防錆等のために施されることになる。
【0032】
非水電解液4としては、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解させた溶液等が用いられる。非水溶媒としては、例えば環状の炭酸エステル化合物、水素をハロゲン基やハロゲン化アクリル基で置換した環状炭酸エステル化合物や鎖状炭酸エステル化合物等を用いる。具体的には、非水溶媒としてプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネートを使用する。
【0033】
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiSbF6、LiClO4、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0034】
非水電解液4においては、例えばLiイオンの移動度が低いものを用いることにより電池内でLiイオンの濃度分布に偏りが生じやすくなることから、放電末期の分極抵抗が大きくなって負極6がLiに対して貴な電位に達する前に放電を停止させることができる。具体的に、非水電解液4のLiイオンの移動度が低いものを用いて放電末期で分極抵抗の上昇を利用する場合、放電を停止する前に負極6側の電位が一瞬高くなるが、放電が停止されて放電電流が流れなくなると負極6の電位は抵抗が大きくなっていた分低下するので、実質的には負極6がLiに対して貴な電位に達する前に放電を停止させたことになる。そして、非水電解液4においては、例えば電解液の粘度を高くしたり、含有される電解質塩の量を少なくしたりすることでLiイオンの移動度を低くすることができる。
【0035】
以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極5を作製する。正極5を作製する際は、正極活物質と導電材と結着剤とを含有する正極合剤塗液を調製し、この正極合剤塗液を例えばアルミニウム箔等からなる正極集電体8の両主面上に均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで正極合剤層9を形成し、所定の寸法に裁断して所定の位置に正極端子10を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長尺状の正極5が作製される。
【0036】
次に、負極6を作製する。負極6を作製する際は、負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを含有する負極合剤塗液を調製する。次に、この負極合剤塗液を例えば銅箔等からなる負極集電体11の両主面上に均一に塗布、乾燥した後に、圧縮することで負極合剤層12を形成し、所定の寸法に裁断して所定の位置に負極端子13を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長尺状の負極6が作製される。
【0037】
次に、以上のようにして得られて正極5と負極6とを、長尺状のセパレータ7を介して積層し、多数回巻回することにより電池素子2を作製する。このとき、電池素子2は、セパレータ7の幅方向の一端面から正極端子10が、他端面から負極端子13が突出するように巻回されている。
【0038】
次に、電池素子2の両端面に絶縁板14a、14bを設置し、さらに電池素子2を内側にニッケルメッキ等を施した鉄製の外装缶3に収納する。そして、負極6の集電をとるために、負極端子13の電池素子2より突出している部分を外装缶3の底部等に溶接する。これにより、外装缶3は、負極6と導通することとなり、電池1の外部負極となる。また、正極5の集電をとるために、正極端子10の電池素子2より突出している部分を電流遮断用薄板15に溶接することでこの電流遮断用薄板15を介して電池蓋16と電気的に接続する。この電流遮断用薄板15は、電池内圧に応じて電流を遮断するものである。これにより、電池蓋16は、正極5導通することとなり、電池1の外部正極となる。
【0039】
次に、この外装缶3の中に非水電解液4を注入する。この非水電解液4は、電解質塩を非水溶媒に溶解させて調製される。次に、アスファルトと塗布した絶縁ガスケット17を介して外装缶3の開口部をかしめることにより電池蓋16が固定されて円筒形の電池1が作製される。
【0040】
なお、この電池1においては、電池素子2を巻回するときの巻軸等になるセンターピン18が設けられているとともに、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁19及び電池内部の温度上昇を防止するためのPTC(positive temperture coefficient)素子20が設けられている。
【0041】
このようにして製造された電池1では、正極活物質として例えば初回充放電の不可逆容量が比較的大きな材料を用いる。また、この電池1では、負極活物質として例えばLiに対して比較的貴な電位で充放電容量を持たないものを用いる。さらに、この電池1では、非水電解液4として例えばイオン導電率が低いものを用いる。
【0042】
これにより、電池1では、完全充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、完全充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.8Vまで放電したときの放電容量C2.8との放電容量比C2.8/C2.5が、C2.8/C2.5≧0.95で示されるの関係を満たし、及び/又は完全充電した直後に、23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで閉回路電圧2.6Vまで放電したときの放電容量C2.6との放電容量比C2.6/C2.5が、C2.6/C2.5≧0.98で示される関係を満たすことになる。また、電池1によれば、完全充電した直後に。23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比C2.8/C2.5 が0.96以上となり、及び/又は放電容量比C2.6/C2.5 が0.99以上になることが更に好ましい。
【0043】
このような放電容量比C2.8/C2.5≧0.95,C2.6/C2.5≧0.98の関係を満たす電池1では、放電した際に、放電末期になっても負極6のLiに対する電位を低く抑えることが可能となり、負極6を劣化させるような副反応を抑制させることができる。
【0044】
したがって、電池1では、負極活物質に黒鉛系材料を用いたときと同様、放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状となり、従来のような負極活物質としてリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を用いていたときに放電末期に負極が劣化して起こっていた電池特性の低下を抑制しつつ、負極活物質にリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を用いることでエネルギー密度を向上できる。すなわち、この電池1では、充放電サイクル特性とエネルギー密度とを両立することができる。
【0045】
なお、上述した「完全充電」とは、日本蓄電池工業会(電池工業会)の定めた指針の一つであり、「リチウム二次電池安全性評価基準ガイドライン」(SBA G1101)に定義されている。すなわち、完全充電とは、電池1の公称容量を求めるときに用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法で充電された状態を指す。上述した「完全充電した直後」とは、自己放電が放電容量の測定値に及ぼす影響を最小限とすることを目的としており、電池1の公称容量を求める際に用いた充電方法、標準充電方法、もしくは推奨充電方法で充電が終了してから、1時間以内に放電、且つ自己放電を促進する虞のある環境(加熱される等)に置かれないうちに放電することを指す。上述した「電流値0.2C」とは、電池1の定格容量の5分の1の電流値である。
【0046】
以上では、非水電解液4を用いた電池1について説明しているが、このことに限定されることはなく、非水電解液4の代わりに例えば無機固体電解質、高分子固体電解質、ゲル状電解質等の固体電解質を用いた場合も適用可能である。
【0047】
無機固体電解質としては、例えば窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。高分子固体電解質は、例えば上述した電解質塩と、電解質塩を含有することでイオン導電性が賦与される高分子化合物とからなる。高分子固体電解質に用いる高分子化合物には、例えばポリ(エチレンオキサイド)やこの架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)等のエステル系高分子、アクリレート系高分子等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。ゲル状電解質は、上述した非水電解液4と、この非水電解液4を吸収してゲル化するマトリックス高分子とからなる。ゲル状電解質に用いるマトリックス高分子には、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)やこれの架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(アクリロニトリル)等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、マトリックス高分子には、酸化還元安定性が良好なフッ素系高分子を用いることが好ましい。
【0048】
上述した実施の形態では、円筒形のリチウム二次電池を例に挙げて説明しているが、このことに限定されることはなく、例えばコイン型、角型、ボタン型等外装材に金属製容器等を用いたリチウム二次電池、薄型等外装材にラミネートフィルム等を用いたリチウム二次電池等、種々の形状や大きさにすることが可能である。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質電池としてリチウム二次電池を実際に作製したサンプルについて説明する。
【0050】
〈サンプル1〉
サンプル1では、先ず、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を合成した。このLiCoO2を合成する際は、炭酸リチウムと炭酸コバルトとを0.5モル対1モルの比率となるように混合し、空気雰囲気中900℃で5時間焼成した。このようにしてLiCoO2を合成した。次に、得られたLiCoO2を粉砕し、分級することでLiCoO2粉末を作製した。このとき、得られたLiCoO2のX線回折測定を行うことで、ICDD(International Center for Diffraction Data)カードNo.50−0653に登録されているLiCoO2の回折ピークと一致していることを確認した。
【0051】
そして、得られたLiCoO2を用いて正極を作製した。正極を作製する際は、先ず、LiCoO2を91重量部と、導電材としてグラファイトを6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFと記す。)を3重量部とをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)に分散、乾燥させて正極合剤を作製した。次に、この正極合剤をアルミニウム製の網状金属シートを基材にして圧縮形成して直径15.5mmの正極を作製した。
【0052】
次に、この正極についてLiのドープ/脱ドープ能力、いわゆる正極の初回クーロン効率を正極試験電池を用いて測定した。正極の初回クーロン効率を測定するための正極試験電池を作製するには、先ず、エチレンカーボネート(以下、ECと記す。)と、ジメチルカーボネート(以下、DMCと記す。)とを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を調製した。次に、対極となる金属Li板をステンレスからなる負極缶に収容し、作用極となる正極を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、対極と作用極との間に厚み25μmのポリプロピレン製の多孔質膜をセパレータとして介在させた状態で積層配置した。次に、負極缶及び正極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶との間にポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介し、正極缶の外周端縁が縮径されるようにかしめることで負極缶を固定した。このようにして、直径20mm、厚み2.5mmのコイン型の正極試験電池を作製した。
【0053】
そして、以上のようにして作製した正極試験電池を用いて正極の初回クーロン効率を測定するには、先ず、正極試験電池に対して0.5mAの定電流で閉回路電圧が4.25Vになるまで通電し、続いて4.25Vの定電圧で電流値が50μA以下になるまで通電することで作用極を酸化した。作用極の酸化後1時間以内に、0.5mAの定電流で閉回路電圧が3Vになるまで通電することで作用極を還元した。このとき、作用極を還元するのに要した電気量と作用極を酸化するのに要した電気量との比率が正極の初回クーロン効率となる。具体的に、正極活物質にLiCoO2を用いた正極の初回クーロン効率は92%であった。
【0054】
次に、負極活物質として40wt%Co−60wt%Sn合金を合成した。負極活物質を合成する際は、先ず、Coを40重量部と、Snと60重量部とを均質になるようにボールミルで20時間混合した混合物を、石英ボートに入れてアルゴン雰囲気中、高周波溶融炉を用いて1050℃に加熱して混合物を溶解した。次に、溶解した混合物を、室温まで冷却することで40wt%Co−60wt%Sn合金を合成した。次に、得られた40wt%Co−60wt%Sn合金をアルゴン雰囲気中ボールミルで粉砕し、分級することで平均粒径が10μm程度の粉末状の40wt%Co−60wt%Sn合金を作製した。
【0055】
次に、負極を作製した。この負極を作製する際は、以上のようにして得られた40wt%Co−60wt%Sn合金を70重量部と、人造黒鉛を25重量部と、結着剤としてPVdFを5重量部とをNMPに分散、乾燥させて負極合剤を作製した。次に、この負極合剤をニッケル製の網状金属シートを基材にして圧縮形成して直径15.5mmの負極を作製した。
【0056】
次に、この負極の初回クーロン効率を負極試験電池を用いて測定した。負極の初回クーロン効率を測定するための負極試験電池を作製するには、先ず、ECと、DMCとを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を調製した。次に、負極を作用極としてステンレスからなる負極缶に収容し、対極として金属Li板を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、作用極と金属Li板との間に厚み25μmのポリプロピレン製の多孔質膜をセパレータとして介在させた状態で積層配置した。次に、負極缶及び正極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶との間にポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介し、正極缶の外周端縁が縮径されるようにかしめることで負極缶を固定した。このようにして、直径20mm、厚み2.5mmのコイン型の負極試験電池を作製した。
【0057】
そして、以上のようにして作製した負極試験電池を用いて負極の初回クーロン効率を測定するには、先ず、負極試験電池に対して0.5mAの定電流で閉回路電圧が0Vになるまで通電し、続いて0Vの定電圧で電流値が50μA以下になるまで通電することで作用極を還元した。作用極の還元後1時間以内に、0.5mAの定電流で閉回路電圧が1.2Vになるまで通電することで作用極を酸化した。このとき、作用極を還元するのに要した電気量と作用極を酸化するのに要した電気量との比率が負極の初回クーロン効率となる。具体的に、負極活物質に40wt%Co−60wt%Sn合金を用いた負極の初回クーロン効率は81%であった。
【0058】
次に、上述した製法により作製した正極及び負極を用いてサンプル1のリチウム二次電池を作製した。サンプル1の電池を作製する際は、先ず、ECと、DMCとを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を調製した。次に、負極をステンレスからなる負極缶に収容し、正極を内側からアルミニウム、ステンレス、ニッケルの順番で積層されてなる正極缶に収容し、負極と正極との間に厚み25μmのポリプロピレン製の多孔質膜をセパレータとして介在させた状態で積層配置した。次に、負極缶及び正極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶との間にポリプロピレンからなる絶縁ガスケットを介し、正極缶の外周端縁が縮径されるようにかしめることで負極缶を固定した。このようにして、直径20mm、厚み2.5mmのコイン型のリチウム二次電池を作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池と記す。この電池では、初回充電時に正極から脱ドープしたLi量が、負極がドープするLi量を超えることのないように、正極及び負極における活物質の量を調整した。この場合、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率に対して大きいので電池の放電容量が負極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0059】
〈サンプル2〉
サンプル2では、先ず、正極活物質としてLi−Co−Al−Mg複合酸化物を合成した。このLi−Co−Al−Mg複合酸化物を合成する際は、炭酸リチウムと炭酸コバルトと水酸化アルミニウムと酸化マグネシウムとをLi、Co、Al、Mgの元素比でLi:Co:Al:Mg=100:85:10:5となるように混合し、空気雰囲気中950℃で5時間焼成した。このようにしてLi−Co−Al−Mg複合酸化物を合成した。そして、このLi−Co−Al−Mg複合酸化物を正極活物質として用いたこと以外はサンプル1と同様にして正極を作製した。
【0060】
次に、この正極の初回クーロン効率を、サンプル1と同様にした測定した。その結果、この正極の初回クーロン効率は72%であった。次に、この正極を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル2の電池を作製した。なお、サンプル2では、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率と比較して小さいので電池の放電容量が正極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0061】
〈サンプル3〉
サンプル3では、非水電解液としてECと、DMCとを等容量で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を濃度が0.5モル/リットルとなるように溶解させたものを用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。なお、サンプル3では、サンプル1と同様の正極及び負極を用いていることから、電池の放電容量が負極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0062】
〈サンプル4〉
サンプル4では、先ず、負極活物質として40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金を合成した。負極活物質を合成する際は、Snと40重量部と、Coを50重量部と、Cを10重量部とを均質になるようにボールミルで20時間程度混合して合金化するメカニカルアロイング法によって40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金を合成した。そして、この40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金を負極活物質として用いたこと以外はサンプル1と同様にして負極を作製した。
【0063】
次に、この負極の初回クーロン効率を、サンプル1と同様にした測定した。その結果、この負極の初回クーロン効率は85%であった。次に、この負極を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル4の電池を作製した。なお、サンプル4では、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率に対して大きいので電池の放電容量が負極の放電容量によって規制されるように設計した。
【0064】
そして、以上のように作製したサンプル1〜サンプル4の電池について、放電容量比と、20サイクル後の放電容量維持率とを測定した。
【0065】
以下、サンプル1〜サンプル4における、放電容量比C2.8/C2.5,C2.6/C2.5及び20サイクル後の放電容量維持率の評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
なお、サンプル1〜サンプル4では、放電容量比C2.8/C2.5,C2.6/C2.5及び20サイクル後の放電容量維持率を以下のようにして評価した。先ず、各サンプルに対して次の条件で充放電を行った。各サンプルに対して23℃雰囲気中、各サンプルの定格容量に対して0.2Cとなる充電電流値で閉回路電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、続いて閉回路電圧4.2Vで充電電流値が50μA以下になるまで定電圧充電することにより完全充電を行った。完全充電後1時間以内に、23℃雰囲気中、各サンプルの定格容量に対して0.2Cとなる放電電流値で2.5Vまで放電を行った。そして、以上のような条件の充放電を1サイクルとして各サンプルに対して同様の条件で充放電を20サイクル行った。このようにして評価した各サンプルの20サイクル後の放電容量維持率は、初回の放電容量に対する20サイクル目の放電容量の比率である。また、放電容量比C2.8/C2.5は、20サイクル目の放電の際に2.8Vで読みとった放電容量値C2.8と、2.5Vまで放電したときの放電容量値C2.5との比率である。放電容量比C2.6/C2.5は、20サイクル目の放電の際に2.6Vで読みとった放電容量値C2.6と、2.5Vまで放電したときの放電容量値C2.5との比率である。
【0068】
表1に示す評価結果から、正極の初回クーロン効率を72%と小さくしたサンプル2、非水電解液に含有されるLiPF6の量を少なくしたサンプル3、負極の初回クーロン効率を85%と大きくしたサンプル4では、正極の初回クーロン効率を92%とし、負極の初回クーロン効率を81%とするサンプル1に比べ、20サイクル後の放電容量維持率が大きく、放電容量比C2.8/C2.5が0.95より大きく、放電容量比C2.6/C2.5が0.98より大きくなっていることがわかる。
【0069】
サンプル2では、正極の初回クーロン効率が負極の初回クーロン効率より小さくなっており、電池の放電容量を正極の放電容量で規制できることから、負極が貴な電位になる前に放電を終了させることが可能となる。したがって、サンプル2では、負極側の終止電圧を規制でき、負極が低い電位を保ったままリチウムの脱ドープ反応が行われることから、負極が劣化してさせるような副反応を抑制でき、充放電サイクル特性を向上できる。
【0070】
サンプル3では、非水電解液に含有されるLiPF6の量を少なくすることで電池内のLiイオンの移動度が低くなり、電池内でLiイオンの濃度分布に偏りが生じやすくなることから、放電末期の分極抵抗が大きくなって負極がLiに対して貴な電位に達する前に放電を停止させることができる。したがって、サンプル3では、負極の電池が低いときにリチウムの脱ドープ反応が終了することから、負極を劣化させる副反応を抑制でき、充放電サイクル特性を向上できる。
【0071】
サンプル4では、負極活物質に用いた40wt%Sn−50wt%Co−10wt%C合金がLiに対して比較的卑な電位で脱ドープ反応を行うものであり、負極が劣化する副反応を抑制できることから、充放電サイクル特性を向上できる。
【0072】
ここで、図2に各サンプルの20サイクル目における放電末期の電圧変化、いわゆる放電曲線を示す。なお、図2においては、縦軸に放電時の閉回路電圧、横軸に閉回路電圧が2.5Vになったときの放電容量に対する各閉回路電圧毎の放電容量比を示している。
【0073】
図2に示す評価結果より、20サイクル後の放電容量維持率が大きいサンプル2〜サンプル4では、閉回路電圧を2.8Vとするときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.97近傍にあり、閉回路電圧を2.6Vとするときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.99以上であることがわかる。一方、20サイクル後の放電容量維持率が小さいサンプル1では、閉回路電圧を2.8Vとするときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.95より小さく、閉回路電圧が2.6Vのときの放電容量比が閉回路電圧を2.5Vとするときの放電容量に対して0.98より小さくなっている。
【0074】
このことから、充電直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで放電したときの放電容量比C2.8/C2.5が0.95以上、及び/又は放電容量比C2.6/C2.5が0.98以上になるようにさせることで、充放電サイクル特性に優れた電池が得られることがわかる。
【0075】
また、図2に示す評価結果より、20サイクル後の放電容量維持率が大きいサンプル2〜サンプル4では、20サイクル後の放電容量維持率が小さいサンプル1に比べて放電末期の放電曲線が閉回路電圧2.5Vに向かって急峻に電圧降下する形状になっている。すなわち、サンプル2〜サンプル4のように放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状の電池では、サンプル1のように放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かってなだらかに電圧降下する電池に比べて充放電サイクル特性に優れていることがわかる。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、充電した直後に23℃雰囲気、電流値0.2Cで所定の閉回路電圧まで放電したときの放電容量比を制御することで、充電により負極活物質にドープしたリチウムを放電で脱ドープさせた際に、負極が卑な電位でリチウムの脱ドープ反応を行うことになることから、負極の劣化を抑制できる。
【0077】
したがって、本発明によれば、放電末期の放電曲線が放電終止電圧に向かって急峻に電圧降下する形状となって充放電サイクル特性の劣化を防止できる。また、本発明によれば、負極活物質としてリチウムと化合可能な金属、合金、化合物等を用いることでエネルギー密度を向上できる。すなわち、本発明によれば、充放電サイクル特性とエネルギー密度とが両立された非水電解質電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリチウム二次電池の内部構造を示す断面図である。
【図2】リチウム二次電池を放電したときの放電末期の放電曲線を示す特性図である。
【符号の説明】
1 リチウム二次電池、2 電池素子、3 外装缶、4 非水電解液、5 正極、6 負極、7 セパレータ
Claims (9)
- リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極合剤層を備える正極と、
リチウムのドープ/脱ドープが可能であると共にリチウムと化合可能な金属、若しくはその合金又は化合物のうち何れか一種以上からなる負極活物質を有する負極合剤層を備える負極と、
電解質塩を含有する非水電解質とを有し、
充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.8Vまで放電したときの放電容量C2.8との放電容量比C2.8/C2.5が、
C2.8/C2.5 ≧0.95
の関係を満たしている非水電解質電池。 - 充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.6Vまで放電したときの放電容量C2.6との放電容量比C2.6/C2.5が、
C2.6/C2.5 ≧0.98
の関係を満たしている請求項1記載の非水電解質電池。 - 上記負極活物質が、Sn、Pb、Si、Ge、Al、Inのうちの少なくとも1つを含有している請求項1記載の非水電解質電池。
- 上記負極活物質が、少なくともSnを含有している請求項1記載の非水電解質電池。
- 上記正極活物質が、Fe、Ni、Co、Mnのうちの少なくとも1つを含有している請求項1記載の非水電解質電池。
- リチウムのドープ/脱ドープが可能な正極活物質を有する正極合剤層を備える正極と、
リチウムのドープ/脱ドープが可能であると共にリチウムと化合可能な金属、若しくはその合金又は化合物のうち何れか一種以上からなる負極活物質を有する負極合剤層を備える負極と、
電解質塩を含有する非水電解質とを有し、
充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.5Vまで放電したときの放電容量C2.5と、充電した直後に23℃の雰囲気中で、電流値0.2Cで閉回路電圧2.6Vまで放電したときの放電容量C2.6との放電容量比C2.6/C2.5が、
C2.6/C2.5 ≧0.98
の関係を満たしている非水電解質電池。 - 上記負極活物質が、Sn、Pb、Si、Ge、Al、Inのうちの少なくとも1つを含有している請求項6記載の非水電解質電池。
- 上記負極活物質が、少なくともSnを含有している請求項6記載の非水電解質電池。
- 上記正極活物質が、Fe、Ni、Co、Mnのうちの少なくとも1つを含有している請求項6記載の非水電解質電池。
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