JP2006261072A - 負極活物質および電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高容量で、サイクル特性に優れた電池、およびそれに用いられる負極活物質を提供する。
【解決手段】 負極22は、リチウムと反応可能な負極活物質を含んでいる。この負極活物質は、スズと、コバルトと、炭素とを含んで構成されている。また、この負極活物質では、炭素の含有量は9.9質量%以上29.7質量%以下、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合は30質量%以上70質量%以下である。更に、X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数は、0.2以上である。
【選択図】 図4
【解決手段】 負極22は、リチウムと反応可能な負極活物質を含んでいる。この負極活物質は、スズと、コバルトと、炭素とを含んで構成されている。また、この負極活物質では、炭素の含有量は9.9質量%以上29.7質量%以下、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合は30質量%以上70質量%以下である。更に、X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数は、0.2以上である。
【選択図】 図4
Description
本発明は、スズ(Sn)とコバルト(Co)と炭素(C)とを含む負極活物質およびそれを用いた電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これらの電子機器のポータブル電源として用いられている電池、特に二次電池はキーデバイスとして、エネルギー密度の向上を図る研究開発が活発に進められている。中でも、非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、その改良に関する検討が各方面で行われている。
リチウムイオン二次電池に使用される負極材料としては、比較的高容量を示し良好なサイクル特性を有する難黒鉛化性炭素あるいは黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。ただし、近年の高容量化の要求を考えると、炭素材料の更なる高容量化が課題となっている。
このような背景から、炭素化原料と作成条件とを選ぶことにより炭素材料で高容量を達成する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、かかる炭素材料を用いた場合には、負極放電電位が対リチウム(Li)で0.8V〜1.0Vであり、電池を構成したときの電池放電電圧が低くなることから、電池エネルギー密度の点では大きな向上が見込めない。さらには、充放電曲線形状にヒステリシスが大きく、各充放電サイクルでのエネルギー効率が低いという欠点もある。
一方で、炭素材料を上回る高容量負極として、ある種の金属がリチウムと電気化学的に合金化し、これが可逆的に生成・分解することを応用した合金材料に関する研究も進められている。例えば、Li−Al合金あるいはSn合金を用いた高容量負極が開発され、さらには、Si合金からなる高容量負極が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、Li−Al合金,Sn合金あるいはSi合金は、充放電に伴って膨張収縮し、充放電を繰り返すたびに負極が微粉化するので、サイクル特性が極めて悪いという大きな問題がある。
そこで、サイクル特性を改善する手法として、スズやケイ素(Si)を合金化することによりこれらの膨張を抑制することが検討されており、例えば鉄(Fe)とスズとを合金化することが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、Mg2 Siなども提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、これらの手法を用いた場合においても、サイクル特性改善の効果は十分とは言えず、合金材料における高容量負極の特長を十分に活かしきれていないのが実状である。
特開平8−315825号公報
米国特許第4950566号明細書等
「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p414
「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p4401
そこで、スズと、コバルトと、炭素とを含み、炭素の含有量が9.9質量%以上、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下である負極活物質を開発するに至った。これにより、サイクル特性は飛躍的に向上した。
しかしながら、サイクルを重ねるごとに金属元素などの結晶化が生じ、サイクル劣化の原因となっていた。よって、この結晶化を抑制して、サイクル特性をより向上させることが求められていた。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたもので、その目的は、高容量で、サイクル特性に優れた電池およびそれに用いられる負極活物質を提供することにある。
本発明の第1の負極活物質は、構成元素として、スズと、コバルトと、炭素とを含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数が、0.2以上のものである。
本発明の第2の負極活物質は、構成元素として、スズと、コバルトと、炭素とを含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度が、1Å-4以上のものである。
本発明の第3の負極活物質は、構成元素として、スズと、コバルトと、炭素とを含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、コバルト周りの動径構造関数おいて、第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうち近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比が、0.3以上のものである。
本発明の第1の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、構成元素として、スズと、コバルトと、炭素とを含む負極活物質を含有し、負極活物質における炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数が、0.2以上のものである。
本発明の第2の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、構成元素として、スズと、コバルトと、炭素とを含む負極活物質を含有し、負極活物質における炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度が、1Å-4以上のものである。
本発明の第3の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、構成元素として、スズと、コバルトと、炭素とを含む負極活物質を含有し、負極活物質における炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、コバルト周りの動径構造関数おいて、第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうち近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比が、0.3以上のものである。
本発明の第1ないし第3の負極活物質によれば、構成元素として、スズを含むようにしたので、高容量を得ることができる。また、構成元素としてコバルトを含み、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合を30質量%以上70質量%以下とするようにしたので、高容量を保ちつつ、サイクル特性を向上させることができる。更に、構成元素として炭素を9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内で含むようにしたので、サイクル特性をより向上させることができる。更にまた、X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数を0.2以上とするように、または、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度を1Å-4以上とするように、または、コバルト周りの動径構造関数において、第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうち近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比を、0.3以上とするようにしたので、サイクル後の結晶化を抑制することができる。よって、これらの負極活物質を用いた本発明の第1ないし第3の電池によれば、高容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができる。
特に、電解質にハロゲン原子を有する環状炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、負極における溶媒の分解反応を抑制することができ、サイクル特性をより向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施の形態に係る負極活物質は、リチウムなどと反応可能なものであり、構成元素として、スズとコバルトとを含んでいる。スズは単位質量あたりのリチウムの反応量が高く、高い容量を得ることができるからである。また、スズ単体では十分なサイクル特性を得ることは難しいが、コバルトを含むことによりサイクル特性を向上させることができるからである。
コバルトの含有量は、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合で、30質量%以上70質量%以下の範囲内であることが好ましく、30質量%以上60%質量以下の範囲内であればより好ましい。割合が低いとコバルトの含有量が低下し十分なサイクル特性が得られず、また、割合が高いとスズの含有量が低下し、従来の負極材料、例えば炭素材料を上回る容量が得られないからである。
この負極活物質は、また、構成元素として、スズおよびコバルトに加えて炭素を含んでいる。炭素を含むことによりサイクル特性をより向上させることができるからである。炭素の含有量は、9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内であることが好ましく、14.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、特に16.8質量%以上24.8質量%以下の範囲内であればより好ましい。この範囲内において高い効果を得ることができるからである。
この負極活物質は、更に、構成元素として、これらに加えてケイ素を含んだ方が好ましい場合もある。ケイ素は単位質量あたりのリチウムの反応量が高く、容量をより向上させることができるからである。ケイ素の含有量は、0.5質量%以上7.9質量%以下の範囲内であることが好ましい。少ないと容量を高くする効果が十分でなく、多いと充放電に伴い微粉化してサイクル特性を低下させてしまうからである。
この負極活物質は、また、構成元素として、鉄,ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含んだ方が好ましい場合もある。サイクル特性をより向上させることができるからである。鉄の含有量は、0.3質量%以上5.9質量%以下の範囲内であることが好ましい。また、ニッケルおよびクロムの含有量は、0.1質量%以上3.0質量%以下の範囲内であることが好ましい。少ないとサイクル特性を向上させる効果が十分ではなく、また、多いとスズの含有量が低下し十分な容量が得られないからである。これらの元素は、ケイ素と共に含まれていてもよい。
この負極活物質は、更にまた、構成元素として、インジウム,ニオブ,ゲルマニウム,チタン,モリブデン,アルミニウム,リン,ガリウムおよびビスマスからなる群のうちの少なくとも1種を含んだ方が好ましい場合もある。サイクル特性をより向上させることができるからである。これらの含有量は、14.9質量%以下の範囲内であることが好ましく、2.4質量%以上14.9質量%以下の範囲内、特に4.0質量%以上12.9質量%以下の範囲内であればより好ましい。少ないと十分な効果が得られず、多いとスズの含有量が低下して十分な容量が得られず、またサイクル特性も低下してしまうからである。これらの元素は、ケイ素,鉄,ニッケルあるいはクロムと共に含まれていてもよい。
この負極活物質は、コバルトに炭素が結合することにより、結晶性が低下している。
結晶性を調べる方法としては、例えば、X線吸収微細構造(XAFS:X-ray absorption fine structure )分析が挙げられる。具体的に以下に説明する。
まず、負極活物質に対してコバルト原子のK殻の吸収端(エネルギー7.7keV)前後でエネルギーを変化させながらX線を入射させる。その際、X線を負極活物質に対して垂直に入射させ、入射するX線の強度(I0 )と、透過したX線の強度(I)とを電離箱により測定し、これらの強度比ln(I0 /I)からXAFSスペクトルを計算する。X線の線源には、エネルギーを変化させることができ、高輝度なシンクロトロン放射光が好ましく用いられるが、実験室で用いられるようなX線発生装置の線源も用いることができる。
得られたXAFSスペクトルに対して、吸収端よりも低エネルギー側の領域を一次関数により、また、高エネルギー側の領域を二次関数によりフィッティングする。続いて、スペクトル全体から一次関数を差し引き、二次関数の強度が1になるように規格化して、バックグラウンド処理を行う。図1は、そのXAFSスペクトルの一例を表すものである。なお、図1では、横軸は入射させるX線のエネルギーを表し、縦軸はスペクトル強度比lnを表している。
図1では、吸収端よりも高エネルギー側の領域に振動構造(広域X線吸収微細構造;EXAFS:extended X-ray absorption fine structure)が認められる。このEXAFSは、吸収原子であるコバルトから放出された光電子波が、吸収原子に配位している原子によって散乱されることにより生じる干渉現象を反映している。すなわち、このEXAFSは、コバルト周りの局所的な構造の情報を含んでいる。
次いで、孤立原子の吸収係数、すなわち、EXAFSの振動中心を、例えば、3次スプライン(cubic spline)法により推定し、これをXAFSスペクトルから差し引き、EXAFS成分χ(k)を抽出する。図2は、横軸を光電子の波数kとし、縦軸をχ(k)に対する重みk3 にχ(k)を乗じたk3 χ(k)として表したものである。なお、光電子の波数kは、数1で表される。
続いて、k3 χ(k)を複素フーリエ変換することにより、種々の振動成分を分離して実空間で表示する動径構造関数が得られる。フーリエ変換の際には、ハニング窓(Hanning window)を設定する。図3は、この動径構造関数の一例を表したものである。横軸は、吸収原子であるコバルトからの距離r(但し、位相因子の補正はしていない)を表し、縦軸は、k3 χ(k)の3Å-1〜13Å-1の範囲を複素フーリエ変換し、実数部と虚数部との絶対値をとったもの、すなわち、コバルト周りの動径構造関数の絶対値強度F(r)を表している。
図3では、1.6Å〜2.8Å付近の2つのピークが第1近接原子としてのスズあるいはコバルトに起因するピークを表している。2つのピークのうち、いずれがコバルトあるいはスズに対応するというものではない。また、1.4Å付近のピーク(裾の範囲は1Å〜1.6Å)が第1近接原子としての炭素に起因するピークを表している。この炭素に起因するピークは、スズあるいはコバルトに起因するピークよりも、短距離側に位置しており、負極活物質中の1種の金属間化合物よりなる相であるSnCo相におけるスズとコバルトとの結合を切断してコバルトと炭素とが結合していることを表している。また、この炭素に起因するピーク強度が大きいほど、言い換えれば、スズあるいはコバルトに起因するピーク強度が小さいほど、コバルトと、第1近接原子としてのスズあるいはコバルトとの局所構造における秩序性が乱れている、すなわち結晶性が低下していることを表している。
また、このようにして得られた動径構造関数に対して、X線吸収分光における通常の一回散乱理論に基づき理論的に計算された動径構造関数を、非線形最小二乗法によりフィッティングすることにより、最適なフィッティングを実現する結果としてコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数が求められる。理論計算の際には、光電子の後方散乱振幅の値および位相因子の値は、例えばFEFFというプログラムを用いて計算した値を用いる(ジェイ.ジェイ.レア(J.J.Rehr),アール.シー.アルバーツ(R.C.Albers)著、「レビュース オブ モダン フィジックス(Reviews of Modern Physics )」、2001年、第72巻、p621)。また、負極活物質中にはSnCoよりなる微結晶相が主として存在するので、コバルト周りの局所構造としては、(エル.エー.パンテレイモノフ(L. A. Panteleimonov ),ジー.エフ.ポルトノワ(G.F.Portnova),オー.ピー.ネストロワ( O. P.Nesterova )著、「モスクワ ユニバーシティ ケミストリー ブレチン( Moscow University Chemistry Bulletin )」、1971年、第26巻、p79)の記載に基づきSnCo結晶構造を仮定した。更に、コバルト周りの第1近接原子であるスズの配位数と、別途求めたスズ周りの第1近接元素であるコバルトとの配位数が等しいという束縛条件を課した。コバルト周りの第1近接原子としての炭素数は、多いほど結晶性が低下していることを表している。
この負極活物質では、具体的には、コバルト周りの動径構造関数におけるコバルトの第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度が、1Å-4以上であることが好ましい。また、コバルト周りの動径構造関数において、第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうちの近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比(炭素に起因するピーク強度/コバルトおよびスズに起因するピーク強度のうちの近距離側に位置するピーク強度)が、0.3以上であることが好ましい。更に、X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数が0.2以上であることが好ましい。これらの範囲であれば、結晶性が十分に低下しており、サイクルを重ねるごとに金属元素などが結晶化することが抑制されるからである。
この負極活物質は、例えば各構成元素の原料を混合して電気炉,高周波誘導炉あるいはアーク溶解炉などにより溶解しその後凝固することにより、また、ガスアトマイズあるいは水アトマイズなどの各種アトマイズ法、各種ロール法、またはメカニカルアロイング法あるいはメカニカルミリング法などのメカノケミカル反応を利用した方法により製造することができる。中でも、メカノケミカル反応を利用した方法により製造することが好ましい。負極活物質を低結晶化あるいは非晶質な構造とすることができるからである。この方法には、例えば、遊星ボールミル装置を用いることができる。
また、この負極活物質を製造する際に、処理条件を適宜変化させることにより、例えば、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素,コバルトあるいはスズに起因するピーク強度、あるいはX線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数、すなわち結晶性を変化させることができる。
原料には、各構成元素の単体を混合して用いてもよいが、炭素以外の構成元素の一部については合金を用いることが好ましい。このような合金に炭素を加えてメカニカルアロイング法により合成することにより、低結晶化あるいは非晶質な構造を有するようにすることができ、反応時間の短縮も図ることができるからである。なお、原料の形態は粉体であってもよいし、塊状であってもよい。
原料として用いる炭素には、難黒鉛化炭素,易黒鉛化炭素,グラファイト,熱分解炭素類,コークス,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,活性炭およびカーボンブラックなどの炭素材料のいずれか1種または2種以上を用いることができる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子化合物を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。これらの炭素材料の形状は、繊維状,球状,粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。
この負極活物質は、例えば次のようにして二次電池に用いられる。
(第1の電池)
図4は第1の二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池はいわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケルのめっきがされた鉄により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、液状の電解質である電解液が注入され、セパレータ23に含浸されている。また、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
図4は第1の二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池はいわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケルのめっきがされた鉄により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、液状の電解質である電解液が注入され、セパレータ23に含浸されている。また、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン24を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウムなどよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図5は図4に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面あるいは片面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質としては、例えば、硫化チタン(TiS2 ),硫化モリブデン(MoS2 ),セレン化ニオブ(NbSe2 )あるいは酸化バナジウム(V2 O5 )などのリチウムを含有しない金属硫化物あるいは金属酸化物などが挙げられる。また、Lix MO2 (式中、Mは1種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10である)を主体とするリチウム複合酸化物なども挙げられる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、コバルト,ニッケルあるいはマンガン(Mn)が好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 ,LiNiO2 ,Lix Niy Co1-y O2 (式中、x,yは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1,0<y<1.0である)、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物等を挙げることができる。
負極22は、例えば、正極21と同様に、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面あるいは片面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。負極集電体22Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、本実施の形態に係る負極活物質を含み、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。このように本実施の形態に係る負極活物質を含むことにより、この二次電池では、高容量が得られると共に、サイクル特性を向上させることができるようになっている。負極活物質層22Bは、また、本実施の形態に係る負極活物質に加えて他の負極活物質、または導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。他の負極活物質としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素材料が挙げられる。この炭素材料は、充放電サイクル特性を向上させることができると共に、導電剤としても機能するので好ましい。炭素材料としては、例えば、負極活物質を製造する際に用いたものと同様のものが挙げられる。
この炭素材料の割合は、本実施の形態の負極活物質に対して、1質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましい。炭素材料が少ないと負極22の導電率が低下し、多いと電池容量が低下してしまうからである。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
セパレータ23に含浸された電解液は、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。溶媒としては、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステルあるいはプロピオン酸エステルなどが挙げられる。溶媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒は、また、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含んでいればより好ましい。負極22における溶媒の分解反応を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができるからである。このような炭酸エステル誘導体について具体的に例を挙げれば、化1に示した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化2に示した4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化3に示した4,5−ジフルオロ−1, 3−ジオキソラン−2−オン、化4に示した4−ジフルオロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化5に示した4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化6に示した4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化7に示した4−ブロモ−1,3−ジオキソラン−2−オン、化8に示した4−ヨード−1,3−ジオキソラン−2−オン、化9に示した4−フルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは化10に示した4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどがあり、中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが望ましい。より高い効果を得ることができるからである。
溶媒は、この炭酸エステル誘導体のみにより構成するようにしてもよいが、大気圧(1.01325×105 Pa)において沸点が150℃以下である低沸点溶媒と混合して用いることが好ましい。イオン伝導性を高くすることができるからである。この炭酸エステル誘導体の含有量は、溶媒全体に対して0.1質量%以上80質量%以下の範囲内であることが好ましい。少ないと負極22における溶媒の分解反応を抑制する効果が十分ではなく、多いと粘度が高くなりイオン伝導性が低くなるからである。
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiClO4 ,LiAsF6 ,LiPF6 ,LiBF4 ,LiB(C6 H5 )4 ,CH3 SO3 Li,CF3 SO3 Li,LiClあるいはLiBrなどが挙げられる。なお、電解質塩としては、リチウム塩を用いることが好ましいが、リチウム塩でなくてもよい。充放電に寄与するリチウムイオンは、正極21などから供給されれば足りるからである。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、正極活物質と必要に応じて導電剤および結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの混合溶剤に分散させて正極合剤スラリーを作製する。次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ圧縮して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。続いて、正極21に正極リード25を溶接する。
また、例えば、本実施の形態に係る負極活物質と必要に応じて他の負極活物質と結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの混合溶剤に分散させて負極合剤スラリーを作製する。次いで、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し乾燥させ圧縮して負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。続いて、負極22に負極リード26を溶接する。
そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。次いで、電解液を電池缶11の内部に注入する。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図4に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。ここでは、負極22が、スズ,コバルトおよび炭素を上述した割合で含み、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度,コバルトあるいはスズに起因するピークに対する炭素のピーク強度比、またはX線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数が上述した範囲である負極活物質を含有しているので、高い容量を保ちつつ、サイクル特性が改善される。
このように本実施の形態に係る負極活物質によれば、構成元素として、スズを含むようにしたので、高容量を得ることができる。また、構成元素としてコバルトを含み、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合を30質量%以上70質量%以下とするようにしたので、高容量を保ちつつ、サイクル特性を向上させることができる。更に、構成元素として炭素を9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内で含むようにしたので、サイクル特性をより向上させることができる。更にまた、X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されるコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数を0.2以上とするように、または、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度を1Å-4以上とするように、または、コバルト周りの動径構造関数において、第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうちの近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比を0.3以上とするようにしたので、サイクル後の結晶化を抑制することができる。よって、この負極活物質を用いた本実施の形態に係る二次電池によれば、高容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができる。
特に、電解液にハロゲン原子を有する環状炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、サイクル特性をより向上させることができる。
(第2の電池)
図6は、第2の二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
図6は、第2の二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31,負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図7は、図6に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bの側が正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、図4に示した円筒型の二次電池と同様である。高分子化合物は、例えばポリフッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、またはポリアクリロニトリルなどが挙げられる。特に、酸化還元安定性の観点からは、フッ素系高分子化合物が望ましい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図6および図7に示した二次電池が完成する。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40で挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物とを用意し、外装部材40の内部に注入する。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図6に示した二次電池を組み立てる。
この二次電池は、第1の二次電池と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。
(第3の電池)
図8は、第3の二次電池の断面構成を表すものである。この二次電池は、正極リード51が取り付けられた正極52と、負極リード53が取り付けられた負極54とを、電解質層55を介して対向配置させた平板状の電極体50をフィルム状の外装部材56に収容したものである。外装部材56の構成は、上述した外装部材40と同様である。
図8は、第3の二次電池の断面構成を表すものである。この二次電池は、正極リード51が取り付けられた正極52と、負極リード53が取り付けられた負極54とを、電解質層55を介して対向配置させた平板状の電極体50をフィルム状の外装部材56に収容したものである。外装部材56の構成は、上述した外装部材40と同様である。
正極52は、正極集電体52Aに正極活物質層52Bが設けられた構造を有している。負極54は、負極集電体54Aに負極活物質層54Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層54Bの側が正極活物質層52Bと対向するように配置されている。正極集電体52A,正極活物質層52B,負極集電体54A,負極活物質層54Bの構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bと同様である。
電解質層55は、例えば、固体電解質により構成されている。固体電解質には、例えば、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、高分子固体電解質のいずれも用いることができる。無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはヨウ化リチウムなどを含むものなどが挙げられる。高分子固体電解質は、主に、電解質塩と電解質塩を溶解する高分子化合物とからなるものである。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。
高分子固体電解質は、例えば、高分子化合物と、電解質塩と、混合溶剤とを混合したのち、混合溶剤を揮発させて形成することができる。また、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを、混合溶剤に溶解させ、混合溶剤を揮発させたのち、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることにより形成することもできる。
無機固体電解質は、例えば、正極52あるいは負極54の表面にスパッタリング法,真空蒸着法,レーザーアブレーション法,イオンプレーティング法,あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition )法などの気相法、またはゾルゲル法などの液相法により形成することができる。
この二次電池は、第1または第2の二次電池と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−8)
まず、負極活物質を作製した。原料としてコバルト粉末とスズ粉末と炭素粉末とを用意し、コバルト粉末とスズ粉末とを合金化してコバルト・スズ合金粉末を作製したのち、この合金粉末に炭素粉末を加えて乾式混合した。その際、原料の割合は、表1に示したように、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合(以下、Co/(Sn+Co) 比という)を37質量%で一定とし、炭素を10質量%以上30質量%以下の範囲内で変化させた。続いて、この混合物20gを直径9mmの鋼玉約400gと共に、伊藤製作所製の遊星ボールミルの反応容器中にセットした。次いで、反応容器中をアルゴン雰囲気に置換し、毎分250回転の回転速度による10分間の運転と、10分間の休止とを運転時間の合計が30時間になるまで繰り返した。そののち、反応容器を室温まで冷却して合成された負極活物質粉末を取り出し、280メッシュのふるいを通して粗粉を取り除いた。
まず、負極活物質を作製した。原料としてコバルト粉末とスズ粉末と炭素粉末とを用意し、コバルト粉末とスズ粉末とを合金化してコバルト・スズ合金粉末を作製したのち、この合金粉末に炭素粉末を加えて乾式混合した。その際、原料の割合は、表1に示したように、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合(以下、Co/(Sn+Co) 比という)を37質量%で一定とし、炭素を10質量%以上30質量%以下の範囲内で変化させた。続いて、この混合物20gを直径9mmの鋼玉約400gと共に、伊藤製作所製の遊星ボールミルの反応容器中にセットした。次いで、反応容器中をアルゴン雰囲気に置換し、毎分250回転の回転速度による10分間の運転と、10分間の休止とを運転時間の合計が30時間になるまで繰り返した。そののち、反応容器を室温まで冷却して合成された負極活物質粉末を取り出し、280メッシュのふるいを通して粗粉を取り除いた。
得られた負極活物質について組成の分析を行った。炭素の含有量は、炭素・硫黄分析装置により測定し、コバルトおよびスズの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析により測定した。これらの分析値を表1に示す。表1に示した原料比および分析値は小数点以下2桁の数値を四捨五入したものである。なお、以下の実施例においても同じようにして示した。
次に、実施例1−1〜1−8の負極活物質粉末を用いて、図9に示したようなコイン型の二次電池を作製して初回充電容量およびサイクル特性を調べた。このコイン型電池は、本実施例の負極活物質を用いた試験極61を外装部材62に収容すると共に、対極63を外装部材64に貼り付け、電解液が含浸させたセパレータ65を介して積層したのち、ガスケット66を介してかしめたものである。
試験極61は次のようにして作製した。まず、得られた負極活物質粉末と、導電剤および他の負極活物質である黒鉛と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを混合し、適当な混合溶剤に分散させてスラリーとしたのち、これを銅箔集電体上に塗布、乾燥して直径15.2mmのペレットに打ち抜いた。
対極63には、直径15.5mmに打ち抜いた金属リチウム板を用いた。電解液には炭酸エチレンと、炭酸プロピレンと、炭酸ジエチルとの混合溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を溶解させたものを用いた。
初回充電容量は、1mAの定電流で電池電圧が0.2mVに達するまで定電流充電を行ったのち、0.2mVの定電圧で電流が10μAに達するまで定電圧充電を行い、試験極61の質量から銅箔集電体および結着剤の質量を除いた単位質量あたりの充電容量を求めた。なお、ここでいう充電は負極活物質へのリチウム挿入反応を意味する。結果を表1および図10に示す。
また、サイクル特性は次にようして測定した。まず、1mAの定電流で電池電圧が0.2mVに達するまで定電流充電を行ったのち、0.2mVの定電圧で電流が10μAに達するまで定電圧充電を行い、引き続き、1mAの定電流で電池電圧が1200mVに達するまで定電流放電を行うことにより、1サイクル目の充放電を行った。
2サイクル目以降は、2mAの定電流で電池電圧が0.2mVに達するまで定電流充電を行ったのち、0.2mVの定電圧で電流が10μAに達するまで定電圧充電を行い、引き続き、2mAの定電流で電池電圧が1200mVに達するまで定電流放電を行った。サイクル特性は、1サイクル目の放電容量に対する60サイクル目の容量維持率(60サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)を求めた。
また、電池を組み立てる前の試験極61および同様の条件で1サイクル目の充放電を行った電池を解体して取り出した試験極61について、上述したようにして、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度(以下、炭素ピーク強度(ICo-C)という)、コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうち近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比(以下、ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)という)、およびX線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出されたコバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数(以下、炭素配位数という)を求めた。その際、電池を解体して取り出した試験極61は、真空中、60℃で1時間乾燥させたものを用いた。1サイクル後の試験極61についての結果を表1に示す。また、実施例1−5の電池を組み立てる前の試験極61および解体して取り出した試験電61についてのX線吸収微細構造スペクトルを図11に、X線吸収微細構造スペクトルから算出されるχ(k)と、k3 χ(k)との関係を表す特性図を図12に、X線吸収微細構造スペクトルから算出される動径構造関数をそれぞれ図13,14に示す。なお、図13,14における動径構造関数は、EXAFS成分χ(k)を抽出する際に推定する3次スプライン(cubic spline)関数の節点の数をそれぞれ8,または12としたものであり、図14では電池を組み立てる前の試験極61の動径構造関数について表したものである。更に、炭素の含有量と、炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)あるいは炭素配位数との関係を図15に示す。
実施例1−1〜1−8に対する比較例1−1として、原料として炭素粉末を用いなかったことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして負極活物質を合成し、二次電池を作製した。また、比較例1−2〜1−4として、炭素粉末の原料比を表1に示したように変化させたことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして負極活物質を合成し、二次電池を作製した。比較例1−1〜1−4の電池についても実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を調べた。結果を表1および図10に示す。また、電池を組み立てる前の試験極61および1サイクル後の試験極61についても、同様にして炭素ピーク強度(ICo-C)、ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めた。1サイクル後の試験極についての結果を表1に示す。また、比較例1−3の電池を組み立てる前の試験極についてのX線吸収微細構造スペクトル,X線吸収微細構造スペクトルから算出されるχ(k)とk3 χ(k)との関係を表す特性図およびX線吸収微細構造スペクトルから算出される動径構造関数を図11〜14に併せて示す。更に、炭素の含有量と、炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)あるいは炭素配位数との関係を図15に示す。
図13,14からから分かるように、1.3Å〜1.4Å付近に観られる第1近接原子としての炭素に起因するピークは、実施例1−5では、3次スプライン(cubic spline)関数の節点の数を変えてもほとんど変化しなかったのに対し、比較例1−3では著しく変化した。すなわち、比較例1−3についての1.3Å〜1.4Å付近に観られるピークは偽ピークであることが確認された。なお、このように1.3Å〜1.4Å付近に観られるピークが偽ピークである場合には、炭素ピーク強度(ICo-C)は0とした。
また、図15から分かるように、炭素の含有量が多くなるに伴い炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)あるいは炭素の配位数が大きくなった。
更にまた、表1および図10から分かるように、負極活物質における炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内であり、炭素配位数が0.2以上、炭素ピーク強度(ICo-C)が1Å-4以上、ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)が0.3以上である実施例1−1〜1−8によれば、炭素の含有量がこの範囲外である比較例1−1〜1−4よりも容量維持率を飛躍的に向上させることができた。また、初回充電容量も向上させることができた。
加えて、負極活物質における炭素の含有量が14.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、更には16.8質量%以上24.8質量%以下の範囲内においてより高い値が得られた。
すなわち、炭素配位数を0.2以上、または炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上とし、炭素の含有量を9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内とすれば、容量およびサイクル特性を向上させることができ、14.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、更には16.8質量%以上24.8質量%以下の範囲内とすればより好ましいことが分かった。
(実施例2−1〜2−6)
コバルトとスズと炭素との原料比を表2に示したように変化させて負極活物質を合成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして二次電池を作製した。具体的には、炭素の原料比を10質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させた。
コバルトとスズと炭素との原料比を表2に示したように変化させて負極活物質を合成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして二次電池を作製した。具体的には、炭素の原料比を10質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させた。
また、実施例2−1〜2−6に対する比較例2−1,2−2として、Co/(Sn+Co) 比を76質量%、または28質量%としたことを除き、他は実施例2−1〜2−6と同様にして負極活物質および二次電池を作製した。
得られた実施例2−1〜2−6および比較例2−1,2−2の負極活物質についても、実施例1−1〜1−8と同様にして組成の分析を行った。結果を表2に示す。また、二次電池についても、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表3および図16に示す。更に、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めた。結果を表2および図17に示す。
図17から分かるように、炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数は、Co/(Sn+Co) 比が増大するに伴い大きくなった。
また、表2,3および図16から分かるように、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下とした実施例2−1〜2−6によれば、30質量%未満である比較例2−2よりも容量維持率を飛躍的に向上させることができ、70質量%超である比較例2−1よりも初回充電容量を飛躍的に高くすることができた。特に、Co/(Sn+Co) 比を60質量%以下とすれば、高い初回充電容量が得られた。
すなわち、炭素配位数を0.2以上、または炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下とすれば、容量およびサイクル特性を向上させることができることが分かった。また、Co/(Sn+Co) 比を60質量%以下とすればより好ましいことが分かった。
(実施例3−1〜3−6)
コバルトとスズと炭素との原料比を表4に示したように変化させて負極活物質を合成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして二次電池を作製した。具体的には、炭素の原料比を20質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させた。また、負極活物質を合成する際に、運転時間および回転数を変化させた。
コバルトとスズと炭素との原料比を表4に示したように変化させて負極活物質を合成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして二次電池を作製した。具体的には、炭素の原料比を20質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させた。また、負極活物質を合成する際に、運転時間および回転数を変化させた。
実施例3−1〜3−6に対する比較例3−1,3−2として、Co/(Sn+Co) 比を72.5質量%、または28質量%としたことを除き、他は実施例3−1〜3−6と同様にして負極活物質および二次電池を作製した。
実施例3−1〜3−6および比較例3−1,3−2の負極活物質についても、実施例1−1〜1−8と同様にして組成の分析を行った。結果を表4に示す。また、二次電池についても、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表5および図18に示す。更に、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めた。結果を表4および図19に示す。
表4,5および図18,19から分かるように、実施例2−1〜2−6と同様の結果が得られた。すなわち、炭素配位数を0.2以上、または炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下とすれば、炭素の含有量が19.8質量%の場合にも、容量およびサイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例4−1〜4−6)
コバルトとスズと炭素との原料比を表6に示したように変化させて負極活物質を合成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして二次電池を作製した。具体的には、炭素の原料比を30質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上66質量%以下の範囲内で変化させた。
コバルトとスズと炭素との原料比を表6に示したように変化させて負極活物質を合成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして二次電池を作製した。具体的には、炭素の原料比を30質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上66質量%以下の範囲内で変化させた。
また、実施例4−1〜4−6に対する比較例4−1,4−2として、Co/(Sn+Co) 比を71質量%、または28質量%としたことを除き、他は実施例4−1〜4−6と同様にして負極活物質および二次電池を作製した。
得られた実施例4−1〜4−6および比較例4−1,4−2の負極活物質についても、実施例1−1〜1−8と同様にして組成の分析を行った。結果を表6に示す。また、二次電池についても、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表7および図20に示す。更に、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めた。結果を表6および図21に示す。
表6,7および図20,21から分かるように、実施例2−1〜2−6と同様の結果が得られた。すなわち、炭素配位数を0.2以上、または炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下とすれば、炭素の含有量が29.7質量%の場合にも、容量およびサイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4)
負極活物質を合成する際の運転時間を変えて炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上,ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上、炭素配位数を0.2以上としたことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして負極活物質および二次電池を作製した。その際、表8〜10に示すように、炭素の原料比を10質量%,20質量%、または30質量%とし、Co/(Sn+Co) 比は36質量%で一定とした。
負極活物質を合成する際の運転時間を変えて炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上,ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上、炭素配位数を0.2以上としたことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして負極活物質および二次電池を作製した。その際、表8〜10に示すように、炭素の原料比を10質量%,20質量%、または30質量%とし、Co/(Sn+Co) 比は36質量%で一定とした。
また、実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4に対する比較例5−1,6−1,7−1として、負極活物質を合成する際の運転時間を変えて炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4未満,ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3未満、炭素配位数を0.2未満としたことを除き、他は実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4と同様にして負極活物質および二次電池を作製した。
実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4および比較例5−1,6−1,7−1の負極活物質についても、実施例1−1〜1−8と同様にして組成の分析を行った。結果を表8〜10に示す。また、X線回折測定を行った。実施例6−4および比較例6−1の結果を図22に示す。更に、二次電池についても、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を測定した。それらの結果を表8〜10および図23〜25に示す。更に、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めた。結果を表8〜10および図23〜25に示す。
図22から分かるように、実施例6−4と比較例6−1とのX線回折チャートについて、ほとんど違いは観られなかった。
また、表8〜10および図23〜25から分かるように、炭素の含有量が9.9質量%、19.8質量%および29.7質量%のいずれの場合においても、炭素配位数が大きくなるに伴い、または炭素ピーク強度(ICo-C)が大きくなるに伴い、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)が大きくなるに伴い、初回充電容量および容量維持率が向上した。すなわち、炭素配位数を大きくするように、または炭素ピーク強度(ICo-C)を大きくするように、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を大きくするようにすれば、容量およびサイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例8−1〜8−20)
溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,炭酸エチレン,炭酸プロピレンおよび炭酸ジメチルのうちの2種以上を用い、各溶媒の組成を表11に示したように変化させたことを除き、他は実施例6−4と同様にして二次電池を作製した。実施例8−1〜8−20の二次電池についても、実施例1−1〜1−8と同様にしてサイクル特性を調べた。結果を表11に示す。
溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン,炭酸エチレン,炭酸プロピレンおよび炭酸ジメチルのうちの2種以上を用い、各溶媒の組成を表11に示したように変化させたことを除き、他は実施例6−4と同様にして二次電池を作製した。実施例8−1〜8−20の二次電池についても、実施例1−1〜1−8と同様にしてサイクル特性を調べた。結果を表11に示す。
表11から分かるように、容量維持率は4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量が増加するに伴い大きくなり、極大値を示したのち低下した。
すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含むようにすれば、溶媒の組成に関わらず、サイクル特性を向上させることができ、特に0.1質量%以上80質量%以下の範囲内で含むようにすれば、高い効果を得ることができることが分かった。
(実施例9−1〜9−8)
液状の電解液に代えて、ゲル状の電解質よりなる電解質層を試験極61および対極63の表面に形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。すなわち、試験極61には、表12に示したようにコバルトとスズと炭素とを実施例1−1〜1−8と同様の割合で混合して合成した負極活物質を用いた。また、電解質層は次のように作製した。まず、溶媒として炭酸エチレンと炭酸プロピレンとを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を溶解させた電解液と、高分子化合物としてフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体と、混合溶剤として炭酸ジエチルとを混合して前駆溶液を作製した。得られた前駆溶液を試験極61と対極63とが対向するそれぞれの面に均一に塗布し、常温で6時間放置することにより炭酸ジエチルを揮発させゲル状の電解質層を形成した。
液状の電解液に代えて、ゲル状の電解質よりなる電解質層を試験極61および対極63の表面に形成したことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。すなわち、試験極61には、表12に示したようにコバルトとスズと炭素とを実施例1−1〜1−8と同様の割合で混合して合成した負極活物質を用いた。また、電解質層は次のように作製した。まず、溶媒として炭酸エチレンと炭酸プロピレンとを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を溶解させた電解液と、高分子化合物としてフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体と、混合溶剤として炭酸ジエチルとを混合して前駆溶液を作製した。得られた前駆溶液を試験極61と対極63とが対向するそれぞれの面に均一に塗布し、常温で6時間放置することにより炭酸ジエチルを揮発させゲル状の電解質層を形成した。
実施例9−1〜9−8に対する比較例9−1〜9−4として、コバルトとスズと炭素とを表12に示した割合で混合して合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、比較例1−1〜1−4と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例9−1〜9−8と同様にして二次電池を作製した。
作製した二次電池について、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を調べた。結果を表12および図26に示す。また、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めところ、実施例1−1〜1−8および比較例1−1〜1−4と同様の結果が得られた。
表12および図26から分かるように、実施例1−1〜1−8と同様の結果が得られた。すなわち、ゲル状の電解質を用いても、炭素配位数を0.2以上、またはピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上、または炭素ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上とし、炭素の含有量を9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内とすれば、容量およびサイクル特性を向上させることができ、炭素の含有量を14.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、更には16.8質量%以上24.8質量%以下の範囲内とすればより好ましいことが分かった。
(実施例10−1〜10−6,11−1〜11−6,12−1〜12−6)
実施例10−1〜10−6として、表13に示したように、炭素の原料比を10質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させて合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、実施例2−1〜2−6と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例9−1〜9−8と同様にして二次電池を作製した。また、実施例10−1〜10−6に対する比較例10−1,10−2として、表13に示したように、炭素の原料比を10質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を、それぞれ76質量%または28質量%として合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、比較例2−1,2−2と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例10−1〜10−6と同様にして二次電池を作製した。作製した二次電池について、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を調べた。結果を表14および図27に示す。また、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めところ、実施例2−1〜2−6および比較例2−1,2−2と同様の結果が得られた。
実施例10−1〜10−6として、表13に示したように、炭素の原料比を10質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させて合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、実施例2−1〜2−6と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例9−1〜9−8と同様にして二次電池を作製した。また、実施例10−1〜10−6に対する比較例10−1,10−2として、表13に示したように、炭素の原料比を10質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を、それぞれ76質量%または28質量%として合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、比較例2−1,2−2と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例10−1〜10−6と同様にして二次電池を作製した。作製した二次電池について、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を調べた。結果を表14および図27に示す。また、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めところ、実施例2−1〜2−6および比較例2−1,2−2と同様の結果が得られた。
実施例11−1〜11−6として、表15に示したように、炭素の原料比を20質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させて合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、実施例3−1〜3−6と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例9−1〜9−8と同様にして二次電池を作製した。また、実施例11−1〜11−6に対する比較例11−1,11−2として、表15に示したように、炭素の原料比を20質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を、それぞれ72.5質量%または28質量%として合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、比較例3−1,3−2と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例11−1〜11−6と同様にして二次電池を作製した。作製した二次電池について、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を調べた。結果を表16および図27に示す。また、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めところ、実施例3−1〜3−6および比較例3−1,3−2と同様の結果が得られた。
実施例12−1〜12−6として、表17に示したように、炭素の原料比を30質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下の範囲内で変化させて合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、実施例4−1〜4−6と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例9−1〜9−8と同様にして二次電池を作製した。また、実施例12−1〜12−6に対する比較例12−1,12−2として、表17に示したように、炭素の原料比を30質量%で一定とし、Co/(Sn+Co) 比を、それぞれ71質量%または28質量%として合成した負極活物質を用いたことを除き、すなわち、比較例4−1,4−2と同様にして合成した負極活物質を用いたことを除き、他は実施例12−1〜12−6と同様にして二次電池を作製した。作製した二次電池について、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を調べた。結果を表18および図27に示す。また、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めところ、実施例4−1〜4−6および比較例4−1,4−2と同様の結果が得られた。
表13〜18および図27から分かるように、実施例2−1〜2−6,3−1〜3−6,4−1〜4−6と同様の結果が得られた。すなわち、炭素配位数を0.2以上、または炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上とし、Co/(Sn+Co) 比を30質量%以上70質量%以下とすれば、ゲル状の電解質を用いた場合にも、容量およびサイクル特性を向上させることができることが分かった。また、Co/(Sn+Co) 比を60質量%以下とすればより好ましいことが分かった。
(実施例13−1〜13−4,14−1〜14−4,15−1〜15−5)
負極活物質を合成する際の運転時間を実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4と同条件にして炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上,ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上、炭素配位数を0.2以上として負極活物質を合成したことを除き、他は実施例9−1〜9−8と同様にして二次電池を作製した。その際、表19〜21に示すように、実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4と同様に、炭素の原料比を10質量%,20質量%、または30質量%とすると共に、Co/(Sn+Co) 比は36質量%で一定とした。
負極活物質を合成する際の運転時間を実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4と同条件にして炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4以上,ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3以上、炭素配位数を0.2以上として負極活物質を合成したことを除き、他は実施例9−1〜9−8と同様にして二次電池を作製した。その際、表19〜21に示すように、実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4と同様に、炭素の原料比を10質量%,20質量%、または30質量%とすると共に、Co/(Sn+Co) 比は36質量%で一定とした。
また、実施例13−1〜13−4,14−1〜14−4,15−1〜15−4に対する比較例13−1,14−1,15−1として、負極活物質を合成する際の運転時間を比較例5−1,6−1,7−1と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C)を1Å-4未満,ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を0.3未満、炭素配位数を0.2未満としたことを除き、すなわち、比較例5−1,6−1,7−1と同様の負極活物質を用いたことを除き、他は実施例13−1〜13−4,14−1〜14−4,15−1〜15−4と同様にして二次電池を作製した。
得られた実施例13−1〜13−4,14−1〜14−4,15−1〜15−4および比較例13−1,14−1,15−1の二次電池についても、実施例1−1〜1−8と同様にして初回充電容量およびサイクル特性を測定した。また、1サイクル後の試験極61についても、実施例1−1〜1−8と同様にして炭素ピーク強度(ICo-C),ピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)および炭素配位数を求めところ、実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4および比較例5−1,6−1,7−1と同様の結果が得られた。それらの結果を表19〜21および図28〜30に示す。
表19〜21および図28〜30から分かるように、実施例5−1〜5−4,6−1〜6−4,7−1〜7−4と同様の結果が得られた。すなわち、ゲル状の電解質を用いた場合にも、炭素配位数を大きくするように、または炭素ピーク強度(ICo-C)を大きくするように、またはピーク強度比(ICo-C/ ICo-Co,Sn)を大きくするようにすれば、容量およびサイクル特性を向上させることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、シート型,コイン型および巻回構造を有する二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は、ボタン型あるいは角型などの外装部材を用いた他の形状を有する二次電池、または正極および負極を複数積層した積層構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。
また、実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、負極活物質と反応可能であればナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な正極活物質あるいは非水溶媒などは、その電極反応物質に応じて選択される。
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33,52…正極、21A, 33A,52A…正極集電体、21B,33B,52B…正極活物質層、22,34,54…負極、22A,34A,54A…負極集電体、22B,34B,54B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31,51…正極リード、26,32,53…負極リード、36,55…電解質層、37…保護テープ、40,56…外装部材、41…密着フィルム、50…電極体。
Claims (7)
- 構成元素として、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含み、
炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、
X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出される前記コバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数が、0.2以上である
ことを特徴とする負極活物質。 - 構成元素として、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含み、
炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、
前記コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度が、1Å-4以上である
ことを特徴とする負極活物質。 - 構成元素として、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含み、
炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、
前記コバルト周りの動径構造関数おいて、第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうち近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比が、0.3以上である
ことを特徴とする負極活物質。 - 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、構成元素として、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む負極活物質を含有し、
前記負極活物質における炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、
X線吸収分光法の一回散乱理論に基づいて計算される動径構造関数により算出される前記コバルト周りの第1近接原子としての炭素の配位数が、0.2以上である
ことを特徴とする電池。 - 前記電解質は、ハロゲン原子を有する環状の炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項4記載の電池。
- 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、構成元素として、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む負極活物質を含有し、
前記負極活物質における炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、
前記コバルト周りの動径構造関数における第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度が、1Å-4以上である
ことを特徴とする電池。 - 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、構成元素として、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む負極活物質を含有し、
前記負極活物質における炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下で、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であり、
前記コバルト周りの動径構造関数おいて、第1近接原子としてのコバルトおよびスズに起因するピーク強度のうち近距離側に位置するピーク強度に対する第1近接原子としての炭素に起因するピーク強度比が、0.3以上である
ことを特徴とする電池。
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