JP2011084639A - 熱硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は以下の構成を有する。
(式(1)〜(4)中、Rはそれぞれ独立して、水素、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数6〜10のアリール、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり、R’はそれぞれ独立して、加水分解性基である。)
本発明の熱硬化性組成物は、シロキサンポリマー(A)及びシロキサンポリマー(B)からなる群から選ばれた少なくとも1つのシロキサンポリマー及び溶剤を含有する。シロキサンポリマー(A)及びシロキサンポリマー(B)はそれぞれ単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。すなわち、本発明の熱硬化性組成物は、シロキサンポリマー(A)のみを含有する組成物、シロキサンポリマー(B)のみを含有する組成物、またはシロキサンポリマー(A)及びシロキサンポリマー(B)を含有する組成物である。さらに、シロキサンポリマー(A)及びシロキサンポリマー(B)はそれぞれ一種でも二種以上でもよい。
また本発明の熱硬化性組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、シロキサンポリマー(A)、シロキサンポリマー(B)及び溶剤以外の他の成分をさらに含有していてもよい。
前記シロキサンポリマー(A)は、一般式(1)で表される1官能シランと、一般式(2)で表される3官能シランを含有するシラン混合物を加水分解および縮合させることによって得られる。一般式(1)で表される1官能シラン及び一般式(2)で表される3官能シランの好ましい混合割合(モル比)は、一般式(1)で表される1官能シランを1モルに対して、一般式(2)で表される3官能シランを、耐クラック性の観点から、1〜20モルであり、より好ましくは1〜10モルであり、さらに好ましくは1〜5モルである。
一般式(1)で表される1官能シランとしては、例えば、トリメチルメトキシシラン及びトリメチルエトキシシランが挙げられる。これらの1官能シランは、得られる熱硬化性組成物の分子量制御に機能する観点から好ましい。
一般式(2)で表される3官能シランとしては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、及びトリエトキシフェニルシランが挙げられる。これらの3官能シランは、得られる熱硬化性組成物から形成される硬化膜において、膜の緻密性を向上させる観点から好ましい。
ここで、一般式(2)で表される3官能シランとしては、Rがアルキルである化合物とRがアリールである化合物を混合して使用すると、耐クラック性の観点から好ましい。Rがアルキルである化合物及びRがアリールである化合物の混合比率(モル比)はRがアルキルである化合物を1モルに対して、Rがアリールである化合物を0.1〜10モルであり、より好ましくは0.2〜5モルであり、さらに好ましくは0.3〜3モルである。
前記シロキサンポリマー(B)は、一般式(3)で表される2官能シランと、一般式(4)で表される4官能シランを含有するシラン混合物を加水分解および縮合させることによって得られる。一般式(3)で表される2官能シラン及び一般式(4)で表される4官能シランの好ましい混合割合(モル比)は、一般式(3)で表される2官能シランを1モルに対して、一般式(4)で表される4官能シランを、耐クラック性の観点から、0.1〜10モルであり、より好ましくは0.2〜5モルであり、さらに好ましくは0.3〜3モルである。
一般式(3)で表される2官能シランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、及びメチルフェニルジエトキシシランが挙げられる。これらの2官能シランは、得られる熱硬化性組成物から形成される硬化膜において、耐クラック性を向上させる観点から好ましい。
一般式(4)で表される4官能シランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、及びテトラエトキシシランが挙げられる。これらの4官能シランは、得られる熱硬化性組成物から形成される硬化膜において、膜の緻密性を向上させる観点から好ましい。
シロキサンポリマー(A)及びシロキサンポリマー(B)の原料となるシラン混合物中には、本発明の効果を妨げない範囲で、他のシランが含まれてもよい。
シロキサンポリマー(A)の原料となるシラン混合物中に、一般式(1)で表される1官能シラン及び一般式(2)で表される3官能シラン以外に含まれてもよい成分として、慣用のシラン化合物が挙げられる。ただし、一般式(3)で表される2官能シラン及び一般式(4)で表される4官能シランが含まれることはない。
シロキサンポリマー(B)の原料となるシラン混合物中に、一般式(3)で表される2官能シラン及び一般式(4)で表される4官能シラン以外に含まれてもよい成分として、慣用のシラン化合物が挙げられる。ただし、一般式(1)で表される1官能シラン及び一般式(2)で表される3官能シランが含まれることはない。
シロキサンポリマー(A)は、前記一般式(1)で表される1官能シランと一般式(2) で表される3官能シランを加水分解および縮合させることによって得られる。また、シロキサンポリマー(B)は、一般式(3)で表される2官能シランと、一般式(4)で表される4官能シランを含有するシラン混合物を加水分解および縮合させることによって得られる。シロキサンポリマー(A)及びシロキサンポリマー(B)の反応方法は特に制限されないが、上記シラン類を加水分解縮合させて作ることが可能である。加水分解には水と、酸あるいは塩基触媒を用いることができる。酸触媒としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ホウ酸、リン酸、陽イオン交換樹脂等、また塩基触媒としてはアンモニア、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、陰イオン交換樹脂等が挙げられる。反応温度は特に限定されないが、通常50℃〜150℃の範囲である。反応時間も特に限定されないが、通常1〜48時間の範囲である。また、当該反応は、加圧、減圧又は大気圧のいずれの圧力下でも行うことができる。反応後は、シロキサンポリマーを安定化させるために、留去により低分子量成分を除去するのが好ましい。留去は減圧でも常圧でも可能で、常圧では留去温度は通常100℃〜200℃程度である。
本発明で用いられる溶剤は、沸点が100〜300℃である溶剤を20重量%以上含有する混合溶剤であってもよい。混合溶剤における、沸点が100〜300℃である溶剤以外の溶剤には、公知の溶剤の一又は二以上を用いることができる。溶剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、20〜80重量%であることが好ましく、20〜70重量%であることがより好ましく、20〜50重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物において、シロキサンポリマー(A)、シロキサンポリマー(B)、溶剤以外にその他の成分が含まれてもよい。その他の成分としては、例えば、シロキサンポリマー(A)及びシロキサンポリマー(B)以外のシロキサンポリマー(その他のシロキサンポリマー)、界面活性剤、エポキシ樹脂、エポキシ硬化剤、メラミン化合物もしくはビスアジド化合物等の熱架橋剤、酸化防止剤、アクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系もしくはウレタン系の高分子分散剤、シリコン系塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤が挙げられる。前記他の成分は全体で一種でも二種以上でも添加してもよく、またそれぞれにおいても一種でも二種以上でもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、種々の性能を向上させるために、その他のシロキサンポリマーをさらに含有してもよい。このようなその他のシロキサンポリマーとしては、慣用のシロキサンポリマーを、慣用の含有量の範囲で用いることができる。
本発明の熱硬化性組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、界面活性剤をさらに含有してもよい。このような観点から、界面活性剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、耐熱性、耐薬品性、膜面内均一性、可撓性、柔軟性、弾性をさらに向上させる観点から、エポキシ樹脂をさらに含有してもよい。
このような目的で添加されるエポキシ樹脂としては、例えば、エピコート871、エピコート872、エピコート4250、エピコート4275(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON TSR−960、EPICLON TSR−601、EPICLON TSR−250−80BX、EPICLON 1600−75X(商品名;DIC(株)製)、YD−171、YD−172、YD−175X75、PG−207、ZX−1627、YD−716(商品名;東都化成(株)製)、アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4000S、アデカレジンEPB1200、アデカレジンEPB1200(商品名;ADEKA(株)製)、EX−832、EX−841、EX−931、デナレックスR−45EPT(商品名;ナガセケムテックス(株)製)、BPO−20E、BPO−60E(商品名;新日本理化(株)製)、エポライト400E、エポライト400P、エポライト3002(商品名;共栄社化学(株)製)、SR−8EG、SR−4PG(商品名;阪本薬品(株)製)、Heloxy 84、Heloxy 505(商品名;Hexion(株)製)、SB−20G、IPU−22G(商品名;岡村製油(株)製)、エポリードPB3600(商品名;ダイセル化学(株)製)、EPB−13(商品名;日本曹達(株)製)が挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物が、その他の成分としてエポキシ樹脂を含む場合は、硬化膜の耐熱性、耐薬品性、可撓性、柔軟性を向上させるためにエポキシ硬化剤を含有することが好ましい。エポキシ硬化剤としては、例えばカルボン酸系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及び触媒型硬化剤が挙げられる。エポキシ硬化剤は、着色の抑制及び耐熱性の点から、カルボン酸系硬化剤、酸無水物硬化剤、又はフェノール系硬化剤であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、耐熱性、耐薬品性をさらに向上させる観点から、メラミン化合物もしくはビスアジド化合物等の熱架橋剤をさらに含有してもよい。このような観点から、熱架橋剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.05〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、耐候性の点から酸化防止剤をさらに含有してもよい。このような観点から、酸化防止剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系化合物が挙げられる。酸化防止剤は、中でもヒンダードフェノール系がより好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、高分子分散剤をさらに含有してもよい。このような観点から、高分子分散剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、シリコン樹脂系塗布性向上剤をさらに含有してもよい。このような観点から、シリコン系塗布向上剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、形成される硬化膜と基板との密着性をさらに向上させる観点から、密着性向上剤をさらに含有してもよい。このような観点から、密着性向上剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、10重量%以下であることが好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、硬化膜の劣化防止能をさらに向上させる観点から、紫外線吸収剤をさらに含有してもよい。このような観点から、紫外線吸収剤の含有量は、熱硬化性組成物全量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、温度−30℃〜25℃の範囲で保存すると、組成物の経時安定性が良好となり好ましい。保存温度が−20℃〜10℃であれば、析出物もなく一層好ましい。
形成する硬化膜の膜厚により、本発明の熱硬化性組成物を溶剤でさらに希釈して、塗布液を調整してもよい。
本発明の硬化膜は、前述した本発明の熱硬化性組成物を用いて形成された塗膜を熱によって硬化させて得られる膜である。塗膜は、基板上に本発明の熱硬化性組成物を塗布することによって形成することができる。基板及び塗布方法には、表示素子において通常使用される基板や技術を用いることができる。
まず、熱硬化性組成物をスピンコート、ロールコート、スリットコート等の公知の方法により、ガラス等の基板上に塗布する。基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂製シート、フィルム又は基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板等を挙げることができる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の前処理を行うことができる。
本発明の表示素子は、前述した本発明の硬化膜を有する。本発明の表示素子は、本発明の硬化膜を有する以外は、通常の表示素子と同様の構成を有する。このような表示素子としては、例えば、液晶表示素子、タッチパネル、液晶素子とタッチパネル一体型の素子、及びOLED素子等の、有機化合物による発光層を有する表示素子とタッチパネルとの一体型の素子が挙げられる。
攪拌器付4つ口フラスコに、反応溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル、一般式(1)で表される1官能シランとしてトリメチルエトキシシラン、一般式(2)で表される3官能シランとしてトリメトキシメチルシラン及びトリエトキシフェニルシランを下記の重量で仕込み、さらにギ酸0.19g、リン酸0.08g、水11.62g、エタノール4.57gの混合溶液を滴下して加えた。その後、80℃で1時間加熱し、さらに低分子成分を2.5時間留去して除去し、さらに130℃で2時間留去してシロキサンポリマー(A1)の70重量%溶液を得た。留去で除去した低沸点成分は、合計21.07gであった。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 6.86g
トリメチルエトキシシラン 1.96g
トリメトキシメチルシラン 3.00g
トリエトキシフェニルシラン 10.60g
一般式(2)で表される3官能シランとしてメチルトリメトキシシランの代わりにトリエトキシメチルシランを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で反応を行い、シロキサンポリマー(A2)の70重量%溶液を得た。このようにして得られたシロキサンポリマー(A2)をGPC分析したところ重量平均分子量(Mw)は、4,000であった。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 5.44g
トリメチルエトキシシラン 1.50g
トリエトキシメチルシラン 3.00g
トリエトキシフェニルシラン 8.10g
一般式(2)で表される3官能シランとしてトリエトキシフェニルシランの代わりにトリメトキシフェニルシランを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で反応を行い、シロキサンポリマー(A3)の70重量%溶液を得た。このようにして得られたシロキサンポリマー(A3)をGPC分析したところ重量平均分子量(Mw)は、3,700であった。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 6.40g
トリメチルエトキシシラン 1.96g
トリエトキシフェニルシラン 3.00g
トリメトキシフェニルシラン 8.75g
重合溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル、一般式(3)で表される2官能シランとしてメチルフェニルジメトキシシラン、及び一般式(4)で表される4官能シランとしてテトラエトキシシランを下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で反応を行い、シロキサンポリマー(B1)の70重量%溶液を得た。このようにして得られたシロキサンポリマー(B1)のGPC分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、2,900であった。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 8.53g
メチルフェニルジメトキシシラン 12.25g
テトラエトキシシラン 7.00g
一般式(4)で表される4官能シランとしてテトラエトキシシランの代わりにテトラメトキシシランを使用した以外は、合成例4と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で反応を行い、シロキサンポリマー(B2)の70重量%溶液を得た。このようにして得られたシロキサンポリマー(B2)のGPC分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、3,100であった。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 7.89g
メチルフェニルジメトキシシラン 12.00g
テトラメトキシシラン 5.00g
一般式(3)で表される2官能シランとしてメチルフェニルジメトキシシランの代わりにジメチルジエトキシシラン及びジフェニルジエトキシシラン、及び一般式(4)で表される4官能シランとしてテトラエトキシシランの代わりにテトラメトキシシランを使用した以外は、合成例4と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で反応を行い、シロキサンポリマー(B3)の70重量%溶液を得た。このようにして得られたシロキサンポリマー(B2)のGPC分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、3,400であった。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 9.01g
ジメチルジエトキシシラン 5.00g
ジフェニルジエトキシシラン 9.19g
テトラメトキシシラン 7.00g
合成例1で得られたシロキサンポリマー(A1)の70重量%溶液(以下では、シロキサンポリマー(A1)と呼ぶ)、合成例4で得られたシロキサンポリマー(B1)の70重量%溶液(以下では、シロキサンポリマー(B1)と呼ぶ)、界面活性剤であるメガファックR−08、溶媒としてジエチレングリコールメチルエチルエーテルを下記の重量で混合溶解し、メンブレンフィルター(0.5μm)で濾過して熱硬化性組成物を得た。得られた熱硬化性組成物の組成を表1に示す。
シロキサンポリマー(A1) 10.00g
シロキサンポリマー(B1) 10.00g
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 4.00g
メガファックR−08 0.01g
以下同様にして、表1に示す組成で混合溶解し、実施例2〜9の熱硬化性組成物を得た。なお、表1中の括弧内の数字は重量部を表し、A1〜A3はそれぞれシロキサンポリマー(A1)〜(A3)の70重量%溶液のことであり、B1〜B3はそれぞれシロキサンポリマー(B1)〜(B3)の70重量%溶液のことである。EDMはジエチレングリコールメチルエチルエーテルの略号である。R−08はメガファックR−08を表す。
一般式(1)で表される1官能シランとしてトリメチルエトキシシラン、一般式(2)で表される3官能シランとしてトリメトキシメチルシラン及びトリエトキシフェニルシラン、一般式(3)で表される2官能シランとしてメチルフェニルジメトキシシラン、及び一般式(4)で表される4官能シランとしてテトラエトキシシランを下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で反応を行い、比較シロキサンポリマー(E1)の70重量%溶液を得た。このようにして得られたシロキサンポリマー(E1)のGPC分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、9,800であった。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 6.41g
トリメチルエトキシシラン 0.98g
トリメトキシメチルシラン 1.50g
トリエトキシフェニルシラン 5.30g
メチルフェニルジメトキシシラン 4.08g
テトラエトキシシラン 3.50g
一般式(1)で表される1官能シランとしてトリメチルエトキシシラン、及び一般式(4)で表される4官能シランとしてテトラエトキシシランを下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で反応を行った。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 4.73g
トリメチルエトキシシラン 1.80g
テトラエトキシシラン 12.80g
反応液は反応中にゲル化し、目的のポリマーは得られなかった。
一般式(1)で表される1官能シランとしてトリメチルエトキシシラン、及び一般式(3)で表される2官能シランとしてメチルフェニルジメトキシシランを使用し、合成例1と同じ条件で反応を行い、比較シロキサンポリマー(E3)の70重量%溶液を得た。
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 5.92g
トリメチルエトキシシラン 1.80g
メチルフェニルジメトキシシラン 11.00g
このようにして得られたシロキサンポリマー(E3)をGPC分析したが、ピークが検出されなかった。
比較合成例1及び3で得られた比較シロキサンポリマー溶液から、実施例1〜9と同様にして、比較例1及び3の熱硬化性組成物を得た。混合割合(重量比)は、比較シロキサンポリマー溶液:EDM:R−08=100:20:0.18である。EDMはジエチレングリコールメチルエチルエーテルの略号である。R−08はメガファックR−08を表す。
なお、比較合成例2では、比較シロキサンポリマーの溶液が得られなかったので、比較例2の熱硬化性組成物は作成しなかった。
1)透明膜の形成
ガラス基板上に熱硬化性組成物を400〜1,000rpmの任意の回転数で10秒間スピンコートし、100℃のホットプレート上で5分間プリベイク乾燥した。さらに、この基板をオーブン中300℃で30分ポストベイクし、膜厚が約20μmの透明膜を形成した。オーブンから取り出した基板を室温まで戻した後、得られた透明膜の膜厚を測定した。膜厚の測定にはKLA−Tencor Japan株式会社製触針式膜厚計P−15を使用し、3箇所の測定の平均値を透明膜の膜厚とした。
上記1)で透明膜を作成する際、プリベイク乾燥時の塗布性(基板ハジキ)を目視により観察した。基板ハジキが見られなかった場合は良好(G:Good)と、基板ハジキが見られた場合は不良(NG:No Good)と判定した。
上記1)で得られた透明膜のクラックの有無を目視により観察した。膜面にクラックが生じなかった場合は良好(G:Good)と、膜面にクラックが生じた場合は不良(NG:No Good)と判定した。
上記1)で得られた透明膜の表面粗度(Ra値)を測定した。Ra値が2nm未満の場合は良好(G:Good)と、2nm以上の場合は不良(NG:No Good)と判定した。測定にはKLA−Tencor Japan株式会社製触針式膜厚計P−15を使用し、3箇所の測定の平均値を透明膜の表面粗度とした。
有限会社東京電色製TC−1800を使用し、透明膜を形成していないガラス基板をリファレンスとして、上記1)で得られた透明膜が形成されている基板の波長400nmでの光透過率を測定した。透過率が95T%以上の場合は良好(G:Good)と、95T%未満の場合は不良(NG:No Good)と判定した。
上記1)で得られた透明膜が形成されている基板を50℃の塩酸/硝酸/水=4/2/4(重量比)に10分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で上記1)と同様に膜厚を測定し、次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−5〜5%の時が良好(G:Good)、膨潤により5%を超えたり、溶解により−5%より減少した時は不良(NG:No Good)と判定した。
上記1)で得られた透明膜が形成されている基板を60℃の5%水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で上記1)と同様に膜厚を測定し、次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−5〜5%の時が良好(G:Good)、膨潤により5%を超えたり、溶解により−5%より減少した時は不良(NG:No Good)と判定した。
上記1)で得られた透明膜が形成されている基板を300℃のオーブンで1時間加熱し、上記4)と同様に光透過率を測定し、さらに加熱の前後で上記1)と同様に膜厚を測定し、次式から計算した。
(加熱後膜厚/加熱前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−5%未満の時が良好(G:Good)、加熱後の膜厚の変化率が−5%以上の時は不良(NG:No Good)と判定した。
Claims (9)
- 一般式(1)で表される1官能シランと一般式(2)で表される3官能シランを含有するシラン混合物を加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマー(A)及び一般式(3)で表される2官能シランと一般式(4)で表される4官能シランを含有するシラン混合物を加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマー(B)からなる群から選ばれる一以上のシロキサンポリマー及び溶剤を含有する熱硬化性組成物。
(式(1)〜(4)中、Rはそれぞれ独立して、水素、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数6〜10のアリール、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり、R’はそれぞれ独立して、加水分解性基である。) - 一般式(1)〜(4)において、Rがそれぞれ独立して、水素、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数6〜10のアリール、又は任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい炭素数2〜10のアルケニルであり、R’がそれぞれ独立して、アルコキシ、ハロゲン、又はアセトキシルである、シロキサンポリマー(A)、シロキサンポリマー(B)、及び溶剤を含有する請求項1に記載の熱硬化性組成物。
- 一般式(1)で表される1官能シランがトリメチルメトキシシラン及びトリメチルエトキシシランからなる群から選ばれる一以上である、請求項1または2に記載の熱硬化性組成物。
- 一般式(2)で表される3官能シランがトリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、及びトリエトキシフェニルシランからなる群から選ばれる一以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
- 一般式(3)で表される2官能シランがジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、及びメチルフェニルジエトキシシラン、からなる群から選ばれる一以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
- 一般式(4)で表される4官能シランがテトラメトキシシラン、及びテトラエトキシシランからなる群から選ばれる一以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
- 一般式(1)で表される1官能シランがトリメチルエトキシシランであり、一般式(2)で表される3官能シランがトリメトキシメチルシラン又はトリエトキシフェニルシランであり、一般式(3)で表される2官能シランがジメチルジエトキシシラン又はメチルフェニルジメトキシシランであり、一般式(4)で表される4官能シランがテトラエトキシシランである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物を用いて形成され、200℃以上で熱硬化させて得られた、耐クラック性を有する、膜厚10〜200μmの硬化膜。
- 請求項8に記載の硬化膜を有する表示素子。
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