JP5240125B2 - 熱硬化性重合体組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、保護膜等の厚膜に用いることができる熱硬化性重合体組成物に関する。
液晶表示素子等の素子の製造工程中には、製造途中の表示素子の表面は、有機溶剤、酸、アルカリ溶液等の種々の薬品により処理されたり、スパッタリングにより配線電極を成膜する際に局部的に高温に加熱されることがある。そのため、各種の素子の表面の劣化、損傷、変質を防止する目的で表面保護膜が設けられる場合がある。この保護膜には、上記のような製造工程中の各種処理に耐えることができる諸特性が要求される。具体的には、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性等の耐薬品性、耐水性、ガラス等の下地基板への密着性、透明性、耐傷性、塗布性、平坦性、長期に亘って着色等の変質がおこらない耐光性等が要求される。このような特性を持つ硬化膜を形成するための材料として、従来から2液型の硬化性組成物が多く用いられてきた(例えば、特許文献1参照。)が、近年は取り扱いの容易さから1液型の硬化性組成物が主流となっている(例えば、特許文献2参照。)。
一方、タッチパネル及び液晶素子とタッチパネル一体型の素子の製造工程においても、透明性、耐熱性、耐薬品性等に優れた材料が求められている。これまでのところ、約100μm又はそれ以上の厚みがある材料としては、有機フィルムが使用されており、PETフィルム等の汎用のフィルムが用いられていた(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、近年、これらの素子の製造工程において、150℃以上のプロセス温度が必要となり、高い耐熱性を有する材料が求められてきた。また、タッチパネルに対して年々高い透過率をもつ材料が要求され、従来のフィルムでは要求される透明性、耐熱性を満たすことが厳しくなっている。
1液型の光硬化性組成物により100μm以上の厚みを得ることができる、厚膜の形成方法も検討されている(例えば、特許文献4参照。)が、透明性、耐薬品性、耐熱性の点において要求されている特性を満たしていないのが現状である。
2液型又は1液型の熱硬化性重合体組成物を用いることで、高い耐熱性を有する硬化膜を得ることができるが、膜厚が厚くなるほど焼成時にクラックが発生し、透過率も下がることがあった。
特開昭60−217230号公報 特開2005−105264号公報 特開2006−261091号公報 特開2000−63450号公報
本発明は、高透明性、耐薬品性、及び耐熱性に優れ、クラックを生じず、かつ塗布により15〜200μmの厚みの硬化膜を得ることができる材料、及びそれを用いた硬化膜及び表示素子を提供する。
本発明者等は、上記の問題点を克服すべく種々検討した結果、特定のラジカル重合性モノマーからなる二種の異なる共重合体を含有する組成物が、上記の課題を解決することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を有する。
[1] オキシラニルとラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(a1)、炭素数3〜20の脂環構造とラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(a2)、及び下記式(1)で表わされるラジカル重合性モノマー(a3)からなる共重合体(A)と、カルボン酸構造又は酸無水物構造とラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(b1)、及びラジカル重合性基を有し、前記モノマー(b1)以外のラジカル重合性モノマー(b2)からなる共重合体(B)とを含有する熱硬化性重合体組成物であって、前記モノマー(b1)がカルボン酸構造とラジカル重合性基とを有するモノマーであるとき、前記モノマー(b2)は前記モノマー(a2)と前記モノマー(a3)とを含む熱硬化性重合体組成物。
Figure 0005240125
式(1)中、R1は水素又はメチルを表し、R2は任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数3〜20の直鎖又は分岐のアルキルを表す。
[2] 前記モノマー(a1)がグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一以上である[1]に記載の熱硬化性重合体組成物。
[3] 前記モノマー(a2)がイソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一以上である[1]又は[2]に記載の熱硬化性重合体組成物。
[4] 前記モノマー(a3)がn−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一以上である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
[5] 前記モノマー(b1)が(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、及びイタコン酸無水物からなる群から選ばれる一以上である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
[6] 前記モノマー(b1)が酸無水物構造とラジカル重合性基とを有するモノマーであるとき、前記共重合体(B)は、酸無水物構造を変性させる変性剤によって変性された共重合体であり、前記変性剤は、任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル、炭素数3〜20の脂環構造、及び炭素数6〜20の芳香環の一以上と、ヒドロキシル基及びアミノ基の一方又は両方とを有する化合物である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
[7] 前記モノマー(a1)がグリシジル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(a2)がイソボルニル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(a3)がn−ブチル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(b1)が(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸であり、前記モノマー(b2)が、前記モノマー(b1)が(メタ)アクリル酸であるときはイソボルニル(メタ)アクリレート及びn−ブチル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(b1)が無水マレイン酸であるときはスチレンである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
[8] エポキシ硬化剤をさらに含有する[1]〜[7]のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
[9] 酸化防止剤をさらに含有する[1]〜[8]のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物を用いて形成された膜を熱によって硬化させてなる硬化膜。
[11] [10]に記載の硬化膜を有する表示素子。
本明細書中、アクリル酸とメタクリル酸の両者を示すために「(メタ)アクリル酸」のように表記することがある。また同様にアクリレートとメタクリレートの両者を示すために「(メタ)アクリレート」のように表記することがある。
本明細書中、「アルキル」とは、炭素数20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
本明細書中、「アルケニル」としては、1〜3個の二重結合を有する炭素数20以下の直鎖又は分岐鎖のアルケニルが挙げられ、具体的には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1,3−オクタジエニル、2−ノネニル、1,3−ノナジエニル、2−デセニル等が挙げられる。
本明細書中、「アルキニル」としては、1〜3個の三重結合を有する炭素数20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキニルが挙げられ、具体的には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、1−オクチニル、6−メチル−1−ヘプチニル、2−デシニル等が挙げられる。
本発明の熱硬化性重合体組成物は、前述した共重合体(A)及び(B)を含有することから、高透明性、耐薬品性、及び耐熱性に優れ、クラックを生じず、かつ塗布により15〜200μmの厚みの硬化膜を提供することができる。また本発明によれば、このような硬化膜、及びそれを有する表示素子を提供することができる。
1 本発明の熱硬化性重合体組成物
本発明の熱硬化性重合体組成物は、共重合体(A)と共重合体(B)とを含有する。共
重合体(A)及び(B)はそれぞれ一種でも二種以上でもよい。また本発明の熱硬化性重合体組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、共重合体(A)及び(B)以外の他の成分をさらに含有していてもよい。
本発明の熱硬化性重合体組成物における共重合体(A)及び(B)の含有量は、1回の塗布で硬化膜の膜厚を15μm以上にする観点から、総量で、20〜95重量%であることが好ましく、30〜90重量%であることがより好ましく、40〜85重量%であることがさらに好ましい。また本発明の熱硬化性重合体組成物において、保存安定性の観点から、共重合体(A)100重量部に対して共重合体(B)の含有量が5〜100重量部であることが好ましく、10〜80重量部であることがより好ましく、15〜50重量部であることがさらに好ましい。
1−1 共重合体(A)
前記共重合体(A)は、オキシラニルとラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(a1)(以下、モノマー(a1)とも言う)と、炭素数3〜20の脂環構造とラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(a2)(以下、モノマー(a2)とも言う)と、任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル鎖を有する、前記式(1)で表わされるラジカル重合性モノマー(a3)(以下、モノマー(a3)とも言う)を重合して得られる重合体である。すなわち、この共重合体(A)は、モノマーの混合物を重合させて得られる共重合体である。前記モノマー(a1)、(a2)、及び(a3)はそれぞれ一種でもよいし二種以上でもよい。
前記ラジカル重合性基は、加熱、光照射、重合開始剤の少なくともいずれかを伴う反応条件においてラジカル重合する官能基である。ラジカル重合性基は一種でも二種以上でもよい。このようなラジカル重合性基としては、例えばアルケニル、アルキニル、及びこれらの基のいずれかを含む基が挙げられ、具体的にはアクリル、メタクリル、マレイミド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、スチリル、及び無水マレイン酸構造を有する一価の基が挙げられる。
1−2 オキシラニルを有するラジカル重合性モノマー(a1)
前記モノマー(a1)は、オキシラニルと前記ラジカル重合性基とを有する。モノマー(a1)において、オキシラニルとラジカル重合性基との存在比は、これらの両方を有するモノマーの入手や取り扱いの容易の観点から、オキシラニル対ラジカル重合性基で1:2〜2:1であることが好ましく、1:1であることがより好ましい。
前記モノマー(a1)としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマー(a1)は、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、高温焼成による透明性の低下を抑制し、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、及び下地との密着性を向上させる観点から好ましい。
1−3 脂環構造を有するラジカル重合性モノマー(a2)
前記モノマー(a2)は、脂環構造と前記ラジカル重合性基とを有する。モノマー(a2)において、脂環構造とラジカル重合性基との存在比は、これらの両方を有するモノマーの入手や取り扱いの容易の観点から、脂環構造対ラジカル重合性基で1:2〜2:1であることが好ましく、1:1であることがより好ましい。
前記脂環構造は、炭素数3〜20の炭化水素により形成される非芳香族性の環構造である。脂環構造は一種でも二種以上でもよい。このような脂環構造としては、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ノルボル
ナン、ノルボルネン、イソボルニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、アダマンタンが挙げられる。脂環構造は、耐熱性、耐クラック性の観点から、シクロヘキサン、イソボルニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンであることが好ましい。
前記モノマー(a2)としては、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマー(a2)は、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、焼成時及び次ぐ冷却時に生じるクラックを防止する観点、及び、透明性、耐熱性、耐酸性、対アルカリ性及び柔軟性の向上の観点から好ましい。
1−4 任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数3〜20の直鎖又は分岐のアルキルを有するラジカル重合性モノマー(a3)
前記モノマー(a3)は、下記式(1)で表わされる。下記式(1)において、R1は水素又はメチルを表し、R2は任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数3〜20の直鎖又は分岐のアルキルを表す。
Figure 0005240125
前記モノマー(a3)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、セカンダリーブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の具体例の中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレートは、共重合体(A)における他のポリマーや添加剤との相溶性を高める観点、及び得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、透明性、柔軟性及び耐クラック性を高める観点から好ましい。
1−5 共重合体(A)の製造方法
前記共重合体(A)は、前記モノマー(a1)、前記モノマー(a2)及び前記モノマー(a3)を重合させて得ることができる。共重合体(A)の重合方法は特に制限されないが、溶媒を用いた溶液中でのラジカル重合が好ましい。重合温度は使用する重合開始剤からラジカルが十分発生する温度であれば特に限定されないが、通常50℃〜150℃の範囲である。重合時間も特に限定されないが、通常1〜24時間の範囲である。また、当該重合は、加圧、減圧又は大気圧のいずれの圧力下でも行うことができる。
上記の重合反応に使用する溶媒は、前記モノマー(a1)、(a2)、(a3)及び生成する共重合体(A)を溶解する溶媒が好ましい。前記溶媒は一種でも二種以上の混合溶媒であってもよい。このような溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、及び酢酸が挙げられる。
上記の重合反応に使用する重合開始剤は、熱によりラジカルを発生する化合物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤や、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤を使用することができる。分子量を調節するために、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を適量添加してもよい。
共重合体(A)は、ポリスチレンを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が1,000〜100,000の範囲であると、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、耐熱性及び耐溶剤性を高める観点から好ましい。さらに、重量平均分子量が1,500〜50,000の範囲であると、他成分との相溶性を向上させ、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、膜の白化を抑制し、かつ膜の表面の荒れを抑制する観点から一層好ましい。同様の理由により、重量平均分子量が3,000〜30,000の範囲であると、特に一層好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量は、標準のポリスチレンには分子量が645〜132900のポリスチレン(例えば、VARIAN社製のポリスチレンキャリブレーションキットPL2010−0102)、カラムにはPLgel MIXED−D(VARIAN社製)を用い、移動相としてTHFを使用して測定することができる。
前記共重合体(A)の原料モノマーは、モノマー(a1)〜(a3)の総量に対し、モノマー(a1)の含有量が30〜80重量%であり、モノマー(a2)の含有量が1〜80重量%であり、モノマー(a3)の含有量が1〜80重量%の範囲であることが、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、透明性、耐熱性、耐溶剤性、耐クラック性、及び柔軟性を高める観点から好ましい。また、前記モノマー(a1)の含有量が30〜80重量%であり、前記モノマー(a2)の含有量が20〜70重量%であり、前記モノマー(a3)の含有量が20〜70重量%であることが、透明性、耐熱性、耐クラック性の観点からより好ましい。
また、前記モノマー(a1)がグリシジル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(a2)がイソボルニル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(a3)がn−ブチル(メタ)アクリレートであることが、透明性、耐熱性、耐クラック性、他成分との相溶性の観点から好ましい。
1−6 共重合体(B)
前記共重合体(B)は、カルボン酸構造又は酸無水物構造と前記ラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(b1)(以下、「モノマー(b1)」とも言う)と、前記ラジカル重合性基を有し、前記モノマー(b1)以外のラジカル重合性モノマー(b2)(以下、「モノマー(b2)」とも言う)からなる。モノマー(b1)及び(b2)はそれぞれ一種でも二種以上でもよい。共重合体(B)を用いることで、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、耐熱性、耐薬品性、耐クラック性、柔軟性
の点で優れた特性を示す。
1−7 カルボン酸又は酸無水物を有するラジカル重合性モノマー(b1)
前記モノマー(b1)は、カルボン酸構造又は酸無水物構造と前記ラジカル重合性基とを有する。モノマー(b1)は一種でも二種以上でもよい。モノマー(b1)において、カルボン酸構造とラジカル重合性基との存在比は、これらの両方を有するモノマーの入手や取り扱いの容易の観点から、カルボン酸構造対ラジカル重合性基で1:2〜2:1であることが好ましく、1:1であることがより好ましい。同様に、モノマー(b1)において、酸無水物構造とラジカル重合性基との存在比は、これらの両方を有するモノマーの入手や取り扱いの容易の観点から、酸無水物構造対ラジカル重合性基で1:1であることが好ましい。
前記モノマー(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、及びイタコン酸無水物が挙げられる。これらのモノマー(b1)は、透明性、耐熱性の観点から好ましい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸が耐熱性を高める観点からより好ましい。
1−8 モノマー(b1)以外のラジカル重合性モノマー(b2)
前記モノマー(b2)は、前記ラジカル重合性基を有する。モノマー(b2)はモノマー(b1)以外のモノマーであれば特に限定されない。ただし、モノマー(b1)がカルボン酸構造とラジカル重合性基とを有するモノマーであるときは、モノマー(b2)は、前記モノマー(a2)と前記モノマー(a3)とを含む。
前記モノマー(b2)としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、セカンダリーブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びスチレンが挙げられる。
前記モノマー(b2)の中では、イソボルニルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、スチレンの中の少なくても1種が、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、透明性、耐クラック性を高める観点から好ましい。
また、前記モノマー(b1)が(メタ)アクリル酸であり、前記モノマー(b2)がイソボルニル(メタ)アクリレート及びn−ブチル(メタ)アクリレートであることが、耐熱性、耐クラック性の観点から好ましい。さらに、前記モノマー(b1)が無水マレイン酸であり、前記モノマー(b2)がスチレンであることが、透明性、耐熱性、耐クラック性、他成分との相溶性の観点から好ましい。
前記モノマー(b1)が無水マレイン酸や無水イタコン酸等の、酸無水物構造とラジカル重合性基とを有するモノマーであるとき、前記共重合体(B)は、酸無水物構造が変性
剤によって変性された共重合体であることが、所期の物性を有し、かつ物性の経時的な変化が抑制される熱硬化性重合体組成物を得る観点から好ましい。
前記変性剤は、酸無水物構造を酸構造やエステル構造等の無水ではない構造に変える成分を用いることができる。変性剤は一種でも二種以上でもよい。このような変性剤としては、例えば、任意の−CH2−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル、炭素数3〜20の脂環構造、及び炭素数6〜20の芳香環の一以上と、ヒドロキシル基及びアミノ基の一方又は両方とを有する化合物が挙げられ、より具体的には、ヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有化合物や、アミノ基を含有するアミノ基含有化合物が挙げられる。
前記ヒドロキシル基含有化合物のうち、一価のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フェノール、シクロヘキサノール、ボルネオール、イソボルネオール、マルトール、リナロール、テルピネオール、ジメチルベンジルカルビノール、及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサノール、イソボルネオールが、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、耐クラック性を高める観点から好ましい。
前記ヒドロキシル基含有化合物のうち、多価のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量1,000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、分子量1,000以下のポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、3,6−オクタンジオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2,10−デカントリオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ビスフェノールA(商品名)、ビスフェノールS(商品名)、ビスフェノールF(商品名)、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。これらの中でも、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールが、熱硬化性重合体組成物における相溶性を高める観点から、また、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、耐クラック性、柔軟性を高める観点から好ましい。
前記アミノ基含有化合物としては、例えば、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デカニルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、アリルアミン、2−エチルヘキシルアミ
ン、メトキシプロピルアミン、エトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシブチルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−エチルアニリン、m−エチルアニリン、p−エチルアニリン、o−n−プロピルアニリン、m−n−プロピルアニリン、p−n−プロピルアニリン、o−イソプロピルアニリン、m−イソプロピルアニリン、p−イソプロピルアニリン、o−n−ブチルアニリン、m−n−ブチルアニリン、p−n−ブチルアニリン、o−イソブチルアニリン、m−イソブチルアニリン、p−イソブチルアニリン、o−sec−ブチルアニリン、m−sec−ブチルアニリン、p−sec−ブチルアニリン、o−tert−ブチルアニリン、m−tert−ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、o−n−ペンチルアニリン、m−n−ペンチルアニリン、p−n−ペンチルアニリン、o−イソペンチルアニリン、m−イソペンチルアニリン、p−イソペンチルアニリン、o−sec−ペンチルアニリン、m−sec−ペンチルアニリン、p−sec−ペンチルアニリン、o−tert−ペンチルアニリン、m−tert−ペンチルアニリン、及びp−tert−ペンチルアニリンが挙げられる。
また前記アミノ基含有化合物としては、例えば、2,4−キシリジン、2,6−キシリジン、2,3−キシリジン、2−メチル−4−tert−ブチルアニリン、2,4−tert−ブチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、2,4,5−トリメチルアニリン、2,3,4−トリメチルアニリン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチルアニリン、2,4,6−トリ−tert−ブチルアニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−プロポキシアニリン、m−プロポキシアニリン、p−プロポキシアニリン、o−ビフェニルアミン、m−ビフェニルアミン、p−ビフェニルアミン、o−クロルアニリン、m−クロルアニリン、p−クロルアニリン、o−ブロムアニリン、m−ブロムアニリン、p−ブロムアニリン、o−フルオロアニリン、m−フルオロアニリン、p−フルオロアニリン、2,4−ジクロルアニリン、2,6−ジクロルアニリン、2,3−ジクロルアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,6−ジブロモアニリン、2,3−ジブロモアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、2,3−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリクロルアニリン、2,4,5−トリクロルアニリン、及び2,3,4−トリクロルアニリンが挙げられる。
さらに前記アミノ基含有化合物としては、例えば、ベンジルアミン、o−メチルベンジルアミン、m−メチルベンジルアミン、p−メチルベンジルアミン、o−エチルベンジルアミン、m−エチルベンジルアミン、p−エチルベンジルアミン、o−n−プロピルベンジルアミン、m−n−プロピルベンジルアミン、p−n−プロピルベンジルアミン、o−イソプロピルベンジルアミン、m−イソプロピルベンジルアミン、p−イソプロピルベンジルアミン、o−n−ブチルベンジルアミン、m−n−ブチルベンジルアミン、p−n−ブチルベンジルアミン、o−イソブチルベンジルアミン、m−イソブチルベンジルアミン、p−イソブチルベンジルアミン、o−sec−ブチルベンジルアミン、m−sec−ブチルベンジルアミン、p−sec−ブチルベンジルアミン、o−tert−ブチルベンジルアミン、m−tert−ブチルベンジルアミン、p−tert−ブチルベンジルアミン、o−メトキシベンジルアミン、m−メトキシベンジルアミン、p−メトキシベンジルアミン、o−エトキシベンジルアミン、m−エトキシベンジルアミン、p−エトキシベンジルアミン、o−クロルベンジルアミン、m−クロルベンジルアミン、p−クロルベンジルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、及び2−アミノエタノールが挙げられる。
中でも、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノエタノール、アニリン、ベンジルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミンが、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、耐熱性を高める観点から
好ましい。
1−9 共重合体(B)の製造方法
前記共重合体(B)は、前記モノマー(b1)、(b2)を重合させて得ることができる。共重合体(B)の重合方法は、前述した共重合体(A)と同様に製造することができる。
共重合体(B)は、ポリスチレンを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が1,000〜100,000の範囲であると、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、耐熱性及び耐溶剤性を高める観点から好ましい。さらに、重量平均分子量が1,500〜50,000の範囲であると、他成分との相溶性を向上させ、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、膜の白化を抑制し、かつ、膜の表面の荒れを抑制する観点から一層好ましい。同様の理由により、重量平均分子量が2,000〜30,000の範囲であると、特に一層好ましい。
前記共重合体(B)の原料モノマーは、モノマー(b1)及びモノマー(b2)の総量に対し、モノマー(b1)の含有量が10〜90重量%であり、モノマー(b2)の含有量が10〜90重量%の範囲であることが、得られる熱硬化性重合体組成物から形成される硬化膜において、耐熱性、耐溶剤性を高める観点から好ましい。また、モノマー(b1)の含有量が20〜60重量%であり、モノマー(b2)の含有量が40〜80重量%であることが、耐クラック性、透明性、柔軟性、膜面内均一性を高める観点からより好ましい。
1−10 熱硬化性重合体組成物を構成するその他の成分
本発明の熱硬化性重合体組成物は、本発明の効果が得られる範囲で、塗布均一性、接着性、膜面内均一性、可撓性、弾性、耐薬品性等の各種の特性をさらに向上させる観点から、共重合体(A)及び(B)以外の他の成分をさらに含有させることができる。このような他の成分としては、例えば、エポキシ硬化剤、酸化防止剤、溶媒、アクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系もしくはウレタン系の高分子分散剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系もしくはフッ素系の界面活性剤、シリコン樹脂系塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、エポキシ、メラミン化合物もしくはビスアジド化合物等の熱架橋剤が挙げられる。前記他の成分は全体で一種でも二種以上でも添加してもよく、またそれぞれにおいても一種でも二種以上でもよい。
1−10−1 エポキシ硬化剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、硬化膜の耐熱性、耐薬品性、可撓性、柔軟性を向上させるためにエポキシ硬化剤を含有することが好ましい。エポキシ硬化剤としては、例えばカルボン酸系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及び触媒型硬化剤が挙げられる。エポキシ硬化剤は、着色の抑制及び耐熱性の点から、カルボン酸系硬化剤、酸無水物硬化剤、又はフェノール系硬化剤であることがより好ましい。
エポキシ硬化剤の好ましい具体例としては、カルボン酸系硬化剤では、SMA17352(商品名;SARTOMER(株)製)、酸無水物系硬化剤としては、SMA1000、SMA2000、SMA3000(商品名;SARTOMER(株)製)、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物、無水メチルナジミック酸、水素化メチルナジミック酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ピロメリット酸二無水物、ヘキサヒドロピロメリット酸二無水物、ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、TMEG、TMTA−C、TMEG−500、TMEG−600、(商品名;新日本理化(株)製)、EpiclonB−4400(商品名;DIC(株)製)、YH−306、YH−307、YH−309(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、SL−12AH、SL−20AH、IPU−22AH(商品名;岡村製油(株)製)、OSA−DA、DSA、PDSA−DA(商品名;三洋化成(株)製)が挙げられる。
フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、ヒドロキノン、カテコール、レソルシノール、フロログルシノール、ピロガロール、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2−メチルレソルシノール、5−メチルレソルシノール、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,8,9−トリヒドロキシアントラセン、3−メチルカテコール、メチルヒドロキノン、4−メチルカテコール、4−ベンジルレソルシノール、1,1’−ビ−2−ナフトール、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ブロモレソルシノール、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4−tert−ブチルピロカテコール、2,2’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、tert−ブチルヒドロキノン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4−tert−ブチルカリックス[8]アレーン、4−tert−ブチルカリックス[5]アレーン、4−tert−ブチルスルホニルカリックス[4]アレーン、カリックス[8]アレーン、カリックス[4]アレーン、カリックス[6]アレーン、4−tert−ブチルカリックス[6]アレーン、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、1,1−ビス(3−シクロヘキシル―4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ヘキセストロール、2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン、アントラルフィン、クリサジン、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−エチルレソルシノール、フェニルヒドロキノン、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、オクタフルオロ−4,4’−ビフェノール、3’,6’−ジヒドロキシベンゾノルボルネン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン、3’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸 2−ヒドロキシエチル4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、3’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3
,4−ジヒドロキシベンジルアルコール、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、2,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、ダイゼイン、2’,4’−ジヒドロキシプロピオフェノン、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸メチル、2,5−ジメチルレソルシノール、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチルアルコール、4,4’−エチリデンビスフェノール、3,3’−エチレンジオキシジフェノール、4−フルオロカテコール、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、没食子酸イソアミル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ドデシル、没食子酸ステアリル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチル、没食子酸n−オクチル−4−ヘキシルレソルシノール、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、4,4’−(2−ヒドロキシベンジリデン)ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、メトキシヒドロキノン、4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)、5−メトキシレソルシノール、2,2’−メチレンビス[6−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−p−クレゾール]、4,4’−メチレンビス(2−メチルフェノール)、2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,2’−メチレンビス(6−シクロヘキシル−p−クレゾール)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、ナリンゲニン、ロイコキニザリン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、5−メチルピロガロール、2’,4’,6’−トリヒドロキシプロピオフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2’,3’,4’−トリヒドロキシアセトフェノン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,’3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルメタン、5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、6,6’,7,7’−テトラヒドロキシ−4,4,4’,4’−テトラメチルスピロビクロマン、テトラフルオロヒドロキノン、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−ビフェニルイル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−(4
−ヒドロキシ−α,α−ジメチルベンジル)エチルベンゼン、が挙げられる。
また、フェノール系硬化剤の好ましい具体例としては、マルカリンカーM(商品名;丸善石油(株)製)、ミレックスXLC(商品名;三井化学(株)製)、MEH−7800、MEP−6309、MEH−7500、MEH−8000H、MEH−8005(商品名;明和化成(株)製)、HE−100C(商品名;エアウォーター(株)製)、YLH−129B65、170、171N、YL−6065(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、フェノライトVHシリーズ、フェノライトKHシリーズ、BESMOL CZ−256−A(商品名;DIC(株)製)、DPP−6000シリーズ(商品名;新日本石油(株)製)、が挙げられる。
エポキシ硬化剤の含有量は、熱硬化性重合体組成物の溶媒以外の全量の5重量%以上であることが耐熱性及び耐溶剤性を向上させる観点から好ましく、他特性とのバランスを考慮すると5〜50重量%であることがより好ましい。
1−10−2 酸化防止剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、耐候性の点から酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系化合物が挙げられる。酸化防止剤は、中でもヒンダードフェノール系がより好ましい。
酸化防止剤の具体例としては、例えば、Irganox1010、IrganoxFF、Irganox1035、Irganox1035FF、Irganox1076、Irganox1076FD、Irganox1076DWJ、Irganox1098、Irganox1135、Irganox1330、Irganox1726、Irganox1425 WL、Irganox1520L、Irganox245、Irganox245FF、Irganox245DWJ、Irganox259、Irganox3114、Irganox565、Irganox565DD、Irganox295(商品名;チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)、ADK STAB AO−20、ADK STAB AO−30、ADK STAB AO−50、ADK STAB AO−60、ADK STAB AO−70、ADK STAB AO−80(商品名;ADEKA(株)製)が挙げられる。この中でもIrganox1010が、透明性、耐熱性、耐クラック性の点からより一層好ましい。
1−12 溶媒
本発明の熱硬化性重合体組成物は、塗布均一性の観点から、溶媒をさらに含有することが好ましい。前記溶媒は、共重合体(A)と共重合体(B)を溶解する溶媒が好ましく、エポキシ硬化剤や酸化防止剤等の、溶解性の前記他の成分をさらに溶解する溶媒がより好ましい。
前記溶媒は、沸点が100℃〜300℃である化合物、又はこの化合物を20重量%以上含有する混合溶媒であることが好ましい。沸点が100℃〜300℃である前記溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロ
ピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
これらの溶媒の中でも、熱硬化性重合体組成物の塗布均一性を高める観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル及び酢酸ブチルが好ましい。人体への安全性をさらに考慮すると、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル及び酢酸ブチルが好ましい。
前記溶媒は、本発明の熱硬化性重合体組成物において、固形物の成分の濃度が20〜70重量%となるように配合されることが好ましい。
1−10−4 高分子分散剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、高分子分散剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、高分子分散剤の含有量は、熱硬化性重合体組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
このような高分子分散剤としては、例えば、SOLSPERSE3000、SOLSPERSE5000、SOLSPERSE12000、SOLSPERSE20000、SOLSPERSE32000(以上いずれも商品名、日本ルーブリゾール社製)、ポリフローNo.38、ポリフローNo.45、ポリフローNo.75、ポリフローNo.85、ポリフローNo.90、ポリフローS、ポリフローNo.95、ポリフローATF、ポリフローKL−245(以上いずれも商品名、共栄社化学社製)が挙げられる。
1−10−5 界面活性剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、界面活性剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、界面活性剤の含有量は、熱硬化性重合体組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
このような界面活性剤としては、例えば、ディスパーベイク(Disperbyk)161、同(Disperbyk)162、同(Disperbyk)163、同(Disperbyk)164、同(Disperbyk)166、同(Disperbyk)170、同(Disperbyk)180、同(Disperbyk)181、同(Disperbyk)182、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名;セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名;ネオス(株)製)、EFTOP EF−351、同EF−352、同EF−601、同EF−801、同EF−802(商品名;三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−171、同F−177、同F−475、同R−08、同R−30(商品名;DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が挙げられる。
これらの中でも、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩等のフッ素系の界面活性剤は、熱硬化性重合体組成物の塗布均一性を高める観点から好ましい。
1−10−6 シリコン樹脂系塗布性向上剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、シリコン樹脂系塗布性向上剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、シリコン樹脂系塗布向上剤の含有量は、熱硬化性重合体組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
このようなシリコン樹脂系塗布向上剤としては、例えば、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK344、BYK346(商品名;ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名;信越化学工業(株)製)が挙げられる。
これらの中でも、BYK306、BYK344、BYK346、KP−341、KP−358、及びKP−368は、熱硬化性重合体組成物の塗布均一性を高める観点から好ましい。
1−10−7 密着性向上剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、形成される硬化膜と基板との密着性をさらに向上させる観点から、密着性向上剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、密着性向上剤の含有量は、熱硬化性重合体組成物の固形分100重量部に対し10重量部以下であることが好ましい。
このような密着性向上剤としては、例えば、シラン系、アルミニウム系又はチタネート系のカップリング剤を用いることができ、具体的には、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤、及びテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤を挙げることができる。
これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、密着性を向上させる効果が大きいため好ましい。
1−10−8 紫外線吸収剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、硬化膜の劣化防止能をさらに向上させる観点から、紫外線吸収剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、紫外線吸収剤の含有量は、熱硬化性重合体組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
このような紫外線吸収剤としては、例えば、チヌビンP、チヌビン120、チヌビン144、チヌビン213、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン571、チヌビン765(以上いずれも商標、チバジャパン社製)が挙げられる。これらの中でも、チヌビンP、チヌビン120、チヌビン326が、透明性、相溶性の観点から好ましい。
1−10−9 エポキシ
本発明の熱硬化性重合体組成物は、耐熱性、耐薬品性、膜面内均一性、可撓性、柔軟性、弾性をさらに向上させる観点から、エポキシをさらに含有することが好ましい。このような観点によるエポキシの含有量は、上記熱硬化性重合体組成物の固形分100重量部に対し20重量部以下であることが好ましい。
前記エポキシとしては、耐薬品性の高い硬化膜を得る観点から多官能のエポキシが好ましい。このような多官能のエポキシとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ、グリシジルエステル型エポキシ、脂環式エポキシが挙げられる。これらのエポキシの具体例としては、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P及びエピコート191P(商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256、YX8000(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、アラルダイトCY177、アラルダイトCY184(商品名;日本チバガイギー(株)製)、セロキサイド2021P、EHPE−3150(商品名;ダイセル化学工業(株)製)、テクモアVG3101L(商品名;三井化学(株)製)が挙げられる。
また、可撓性、柔軟性、弾性等を向上させる観点から、前記熱硬化性重合体組成物にエポキシを添加してもよい。このような観点では、エポキシの含有量は、上記熱硬化性重合体組成物の固形分100重量部に対し30重量部以下であることが好ましい。このような目的で添加されるエポキシとしては、例えば、エピコート871、エピコート872、エ
ピコート4250、エピコート4275(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON TSR−960、EPICLON TSR−601、EPICLON TSR−250−80BX、EPICLON 1600−75X(商品名;DIC(株)製)、YD−171、YD−172、YD−175X75、PG−207、ZX−1627、YD−716(商品名;東都化成(株)製)、アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4000S、アデカレジンEPB1200、アデカレジンEPB1200(商品名;ADEKA(株)製)、EX−832、EX−841、EX−931、デナレックスR−45EPT(商品名;ナガセケムテックス(株)製)、BPO−20E、BPO−60E(商品名;新日本理化(株)製)、エポライト400E、エポライト400P、エポライト3002(商品名;共栄社化学(株)製)、SR−8EG、SR−4PG(商品名;阪本薬品(株)製)、Heloxy 84、Heloxy 505(商品名;Hexion(株)製)、SB−20G、IPU−22G(商品名;岡村製油(株)製)、エポリードPB3600(商品名;ダイセル化学(株)製)、EPB−13(商品名;日本曹達(株)製)が挙げられる。
1−10−10 熱架橋剤
本発明の熱硬化性重合体組成物は、耐熱性、耐薬品性をさらに向上させる観点から、熱架橋剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、熱架橋剤の含有量は、熱硬化性重合体組成物において、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.05〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。
このような熱架橋剤としては、例えば、ニカラックMW−30HM、ニカラックMW−100LM、ニカラックMW−270、ニカラックMW−280、ニカラックMW−290、ニカラックMW−390、ニカラックMW−750LM、(商品名;(株)三和ケミカル製)が挙げられる。これらの中でも、ニカラックMW−30HMが、耐熱性、相溶性の観点から好ましい。
1−10−11 その他の熱硬化性ポリマー
本発明の熱硬化性重合体組成物は、耐熱性、耐薬品性等をさらに向上させる観点から、上記熱硬化性重合体以外の熱硬化性ポリマーをさらに含有することが好ましい。このような観点から、その他の熱硬化性ポリマーの含有量は、熱硬化性重合体組成物において、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。
ここで添加されるポリマーは、カルボキシル基を有しないオキシラニル含有ポリマーやカルボキシル基を有しないオキセタニル含有ポリマーが好ましい。カルボキシル基を有しないオキシラニル含有ポリマーやカルボキシル基を有しないオキセタニル含有ポリマーの具体例として、グリシジルメタクリレートのホモポリマー、前記共重合体(A)以外の、グリシジルメタクリレートと他のラジカル重合可能な単官能モノマーとの共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンのホモポリマー及び3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンと他のラジカル重合可能な単官能モノマーとの共重合体等が挙げられる。
これらのポリマーを本発明の熱硬化性重合体組成物に添加すると、耐熱性、耐薬品性等が向上して好ましい。特に、グリシジルメタクリレートのホモポリマー、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合体、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンのホモポリマー、グリシジルメタクリレートとN−フェニルマレイミドの共重合体、グリシジルメタクリレートと3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンの共重合体を本発明の熱硬化性重合体組成物に添加すると、耐熱性、耐薬品性が大きく向上するので一層好ましい。
また、耐熱性、耐薬品性を低下させない程度に、カルボキシル基を有するオキシラニル含有ポリマーやカルボキシル基を有するオキセタニル含有ポリマーを少量、ブレンドして使用することもできる。このようなポリマーの例としては、特開平4−198937号公報に記載のグリシジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体やメタクリル酸単独重合体、又はグリシジルメタクリレートとモノメタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート共重合体が挙げられるが、そのような官能基を有する限り特に限定されない。
これらのポリマーの原料となるカルボキシル基を有するラジカル重合性モノマーの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]が挙げられる。また、これらのポリマーの原料となるオキシラニルを有するラジカル重合性モノマーの具体例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、これらのポリマーの原料となるオキセタニルを有するラジカル重合性モノマーの具体例としては、例えば、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのカルボキシル、オキシラニル又はオキセタニルを有するラジカル重合モノマーは1種のモノマーでも、又は2種以上のモノマーを混合しても使用することができる。
1−10−12 熱可塑性エラストマー又は熱可塑性重合体
本発明の熱硬化性重合体組成物は、硬化収縮による基板の反りを防ぐ観点から、熱可塑性エラストマー又は熱可塑性重合体をさらに含有することが好ましい。このような観点から、熱可塑性エラストマー又は熱可塑性重合体の含有量は、熱硬化性重合体組成物において、0.01〜30重量%であることが好ましく、0.05〜20重量%であることがより好ましく、0.1〜10重量%であることがさらに好ましい。熱可塑性エラストマー又は熱可塑性重合体としては、スチレン系、オレフィン系、アクリル系、エステル系、ウレタン系、アミド系の熱可塑性エラストマー又は熱可塑性重合体が挙げられる。熱可塑性エラストマー又は熱可塑性重合体には、熱硬化時における応力の緩和を高めるため、柔軟性に優れたものを選択することが好ましい。
熱可塑性エラストマー又は熱可塑性重合体の具体例としては、例えば、タフプレン、アサプレンT、タフテック(商品名;旭化成(株)製)、ミラストマー、ユニストール(商品名;三井化学(株)製)、ラバロン、ゼラス、サーモラン、スミフレックス、プリマロイ(商品名;三菱化学(株)製)、エスポレックスTPE、エスポレックスSB(商品名;住友化学(株)製)、サーリンク(商品名;東洋紡(株)製)、アクティマー、トリニティー、レオストマー、マルチユースレオストマー(商品名;リケンテクノス(株)製)、SBSエラストマーAR、SEBSエラストマー(商品名;アロン化成(株)製)、サントプレーン、ジオラスト、トレフシン(商品名;AESジャパン(株)製)、SBS・SISクレイントD、SEBS・SEBSクレイントG、クレイトンリキッド(商品名;クレイントンポリマージャパン(株)製)、SBS・JSR−TR、SIS・JSR−SIS、HSBRダイナロン(商品名;JSR(株)製)、SBSデンカSTR(商品名;電気化学工業(株)製)、SISクインタック、SBSゼオフィット(商品名;日本ゼオン(株)製)、SEPSセプトン、V−CISハイブラー(商品名;クラレ(株)製)、セプトン、ハイブラー(商品名;クラレプラスチック(株)製)が挙げられる。
1−11 熱硬化性重合体組成物の製造方法
本発明の熱硬化性重合体組成物は、共重合体(A)と共重合体(B)とエポキシ硬化剤と酸化防止剤とを混合し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。また、目的とする特性によっては、さらに溶剤、カップリング剤、エポキシ、その他のポリマー又は界面活性剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。又は本発明の熱硬化性重合体組成物は、共重合体(A)、共重合体(B)、及び必要に応じて溶解性の前述した他の成分を均一に混合、溶解させることによって得ることができる。
2 本発明の硬化膜
本発明の硬化膜は、前述した本発明の熱硬化性重合体組成物を用いて形成された膜を熱によって硬化させてなる膜である。熱硬化性重合体組成物を用いて形成された膜は、基板上に液状の熱硬化性重合体組成物を塗布することによって形成することができる。基板及び塗布方法には、表示素子において通常使用される基板や技術を用いることができる。
本発明の硬化膜は、15μm以上の厚さを有していても、高透明性、耐薬品性及び耐熱性に優れ、クラックを生じないなどの有用な効果を有する。
硬化膜の厚さは、通常の装置や方法によって測定することができ、硬化膜の厚さを代表する値を採用することができる。例えば、硬化膜の厚さは、同一膜の複数箇所で得られ測定値の平均値とすることができる。前記硬化膜の厚さは、十分な機械的強度を得る観点から、50μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。さらに、これらの範囲であれば、前記の有用な効果が顕著に発現する。また、前記硬化膜の厚さは、十分な透明性を得る観点及びクラックの発生を防止する観点から、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、120μm以下であることがさらに好ましい。
硬化膜の厚さは、熱硬化性重合体組成物を用いて形成された膜の厚さによって調整することができ、熱硬化性重合体組成物を用いて形成された膜の厚さは、例えば、熱硬化性重合体組成物の粘度や熱硬化性重合体組成物の重ね塗りによって調整することができる。
より具体的には、本発明の硬化膜は以下のようにして形成することができる。
まず、熱硬化性重合体組成物をスピンコート、ロールコート、スリットコート等の公知の方法により、ガラス等の基板上に塗布する。基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂製シート、フィルム又は基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板等を挙げることができる。これらの基板には所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の前処理を行うことができる。
次に、ホットプレート又はオーブンで、通常、60〜120℃で1〜5分間乾燥する。乾燥した基板に対し、重ね塗りすることも可能である。このようにして得られた基板に対し、さらにホットプレート又はオーブンで、100〜200℃で3〜60分間乾燥する。乾燥終了後に重ね塗りすることも可能である。最後に、180〜250℃で10〜120分焼成すると、所望の厚さを有する高透明な硬化膜を得ることができる。
3 本発明の表示素子
本発明の表示素子は、前述した本発明の硬化膜を有する。本発明の表示素子は、本発明
の硬化膜を有する以外は、通常の表示素子と同様の構成を有する。このような表示素子としては、例えば、液晶表示素子、タッチパネル、液晶素子とタッチパネル一体型の素子、及びOLED素子等の、有機化合物による発光層を有する表示素子とタッチパネルとの一体型の素子が挙げられる。このような表示素子において、前記硬化膜は、例えば、タッチパネルを有する表示素子におけるタッチパネルに好適に用いられる。
本発明の表示素子には、液晶表示素子も含まれる。本発明の液晶表示素子は、例えば、カラーフィルターと、カラーフィルターに対向配置される画素電極及び共通電極を有する第2の透明基板(例えばTFT基板)と、両基板に挟持された液晶とを含む構成を有する。このような液晶表示素子において、前記硬化膜は、透明性と耐熱性とを要する膜に用いることができる。前記液晶表示素子は、配向処理されたカラーフィルター基板と配向処理された前記第2の透明基板とをスペーサーを介して対向させて組み立てる工程、液晶材料を封入する工程、及び、偏光フィルムを貼り付ける工程を経て製造される。前記硬化膜は、例えば、このような製造工程のいずれにおける、適切な膜厚の塗膜を形成する塗布工程と、塗膜を焼成する焼成工程とによって、液晶表示素子中の、用途に応じた適切な位置に形成することができる。
なお、前記液晶表示素子における基板に設けられた電極は、スパッタリング法等を用いて透明基板上にクロム等の金属を堆積した後、所定の形状のレジストパターンをマスクとしてエッチングを行って形成される。
前述したように、本発明の好ましい態様に係る熱硬化性重合体組成物は、例えば、重合体組成物から形成される硬化膜に対して一般的に求められている高耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性、高透明性、下地との密着性等を有する硬化膜を形成することができる。
また、本発明の好ましい態様に係る熱硬化性重合体組成物は、熱硬化の際にクラックを生じることなく、厚膜を形成することができる。
このように、本発明の熱硬化性重合体組成物は、特に数10μm以上の厚さを有する硬化膜としたときに透明性、耐熱性及び耐薬品性に優れるものであり、液晶素子、タッチパネル、液晶素子とタッチパネル一体型及びOLED素子とタッチパネル一体型素子に適したものである。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[合成例1]共重合体(A−1)の合成
攪拌器付4つ口フラスコにモノマー(a1)としてグリシジルメタクリレート、モノマー(a2)としてイソボルニルメタクリレート、モノマー(a3)としてn−ブチルメタクリレート、溶媒として3−メトキシプロピオン酸メチル(以下MMPとも言う)、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を用いて下記の組成で仕込み、加熱して100℃で4時間重合を行った。このようにして得られた共重合体(A−1)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、4,800であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 50.0g
グリシジルメタクリレート 25.0g
イソボルニルメタクリレート 12.5g
n−ブチルメタクリレート 12.5g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[合成例2]共重合体(A−2)の合成
モノマー(a2)としてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレートを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた共重合体(A−2)をGPC分析したところ重量平均分子量(Mw)は、4,900であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 50.0g
グリシジルメタクリレート 25.0g
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート 12.5g
n−ブチルメタクリレート 12.5g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[合成例3]共重合体(A−3)の合成
モノマー(a2)としてシクロヘキシルメタクリレートを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた共重合体(A−3)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、5,400であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 50.0g
グリシジルメタクリレート 25.0g
シクロヘキシルメタクリレート 12.5g
n−ブチルメタクリレート 12.5g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[合成例4]共重合体(A−4)の合成
モノマー(a3)として2−エチルヘキシルメタクリレートを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた共重合体(A−4)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、5,500であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 50.0g
グリシジルメタクリレート 25.0g
イソボルニルメタクリレート 12.5g
2−エチルヘキシルメタクリレート 12.5g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[合成例5]共重合体(A−5)の合成
モノマー(a3)としてラウリルメタクリレートを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた共重合体(A−5)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、5,700であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 50.0g
グリシジルメタクリレート 25.0g
イソボルニルメタクリレート 12.5g
ラウリルメタクリレート 12.5g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[合成例6]共重合体(B−1)の合成
モノマー(b1)としてメタクリル酸、モノマー(b2)としてイソボルニルメタクリレート、及びn−ブチルメタクリレートを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた共重合体(B−1)のGPC分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、4,700であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 75.0g
メタクリル酸 10.0g
イソボルニルメタクリレート 20.0g
n−ブチルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[合成例7]共重合体(B−2)の合成
モノマー(b1)として無水マレイン酸、モノマー(b2)としてイソボルニルメタクリレート、及びn−ブチルメタクリレートを使用した以外は、合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。次いで、この共重合体に対し1,4−ブタンジオールを加え80℃で3時間加熱還流した。このようにして得られた共重合体(B−2)のGPC分析により求めた重量平均分子量(Mw)は、8,800であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 75.0g
無水マレイン酸 10.0g
イソボルニルメタクリレート 20.0g
n−ブチルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
1,4−ブタンジオール 18.0g
[合成例8]共重合体(B−3)の合成
モノマー(b1)として無水マレイン酸、モノマー(b2)としてスチレンを使用した以外は合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。次いで、得られた共重合体に対し1,4−ブタンジオールを加え80℃で3時間加熱還流した。このようにして得られた共重合体(B−3)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、16,000であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 93.3g
無水マレイン酸 20.0g
スチレン 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
1,4−ブタンジオール 18.0g
[合成例9]共重合体(B−4)の合成
モノマー(b1)として無水マレイン酸、モノマー(b2)としてスチレンを使用した以外は合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。次いで、得られた共重合体に対し1,5−ペンタンジオールを加え80℃で3時間加熱還流した。このようにして得られた共重合体(B−4)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、16,600であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 93.3g
無水マレイン酸 20.0g
スチレン 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
1,5−ペンタンジオール 18.4g
[合成例10]共重合体(B−5)の合成
モノマー(b1)として無水マレイン酸、モノマー(b2)としてスチレンを使用した以外は合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。次いで、得られた共重合体に対しイソボルネオールを加え140℃で8時間加熱還流した。このようにして得られた共重合体(B−5)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、9,300であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 93.3g
無水マレイン酸 20.0g
スチレン 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
イソボルネオール 18.4g
[合成例11]共重合体(B−6)の合成
モノマー(b1)として無水マレイン酸、モノマー(b2)としてスチレンを使用した以外は合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。次いで、得られた共重合体に対し2−エタノールアミンを加え20℃で1時間撹拌した。このようにして得られた共重合体(B−6)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、8,800であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 93.3g
無水マレイン酸 20.0g
スチレン 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
2−エタノールアミン 18.4g
[合成例12]共重合体(B−7)の合成
モノマー(b1)として無水マレイン酸、モノマー(b2)としてスチレンを使用した以外は合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。次いで、得られた共重合体に対しシクロヘキサノールを加え140℃で8時間加熱還流した。このようにして得られた共重合体(B−7)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、9,100であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 93.3g
無水マレイン酸 20.0g
スチレン 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
シクロヘキサノール 18.4g
[比較合成例1]比較共重合体(E−1)の合成
イソボルニルメタクリレートを使用しない以外は合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた比較共重合体(E−1)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、5,000であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 50.0g
グリシジルメタクリレート 30.0g
n−ブチルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[比較合成例2]比較共重合体(E−2)の合成
n−ブチルメタクリレートを使用しない以外は合成例1と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた比較共重合体(E−2)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、4,900であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 50.0g
グリシジルメタクリレート 30.0g
イソボルニルメタクリレート 20.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[比較合成例3]比較共重合体(E−3)の合成
イソボルニルメタクリレートを使用しない以外は合成例6と同じ成分を下記の重量で仕
込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた比較共重合体(E−3)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、4,500であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 40.0g
メタクリル酸 10.0g
n−ブチルメタクリレート 40.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[比較合成例4]比較共重合体(E−4)の合成
n−ブチルメタクリレートを使用しない以外は合成例6と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた比較共重合体(E−4)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、4,700であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 40.0g
メタクリル酸 10.0g
イソボルニルメタクリレート 40.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[比較合成例5]比較共重合体(E−5)の合成
イソボルニルメタクリレート及びn−ブチルメタクリレートに代えてグリシジルメタクリレートを使用した以外は合成例6と同じ成分を下記の重量で仕込み、合成例1と同じ条件で重合を行った。このようにして得られた比較共重合体(E−5)をGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)は、4,600であった。
3−メトキシプロピオン酸メチル 40.0g
メタクリル酸 10.0g
グリシジルメタクリレート 40.0g
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5.0g
[実施例1]熱硬化性重合体組成物の製造
合成例1で得られた共重合体(A−1)、合成例4で得られた共重合体(B−1)、エポキシ硬化剤として無水トリメリット酸、酸化防止剤としてIrganox1010、界面活性剤であるBYK−344、溶媒としてMMPを下記の重量で混合溶解し、メンブレンフィルター(0.5μm)で濾過して熱硬化性重合体組成物を得た。得られた熱硬化性重合体組成物の組成を表1に示す。
共重合体(A−1) 20.00g
共重合体(B−1) 6.00g
MMP 4.00g
トリメリット酸無水物 2.00g
Irganox1010 0.24g
BYK−344 0.10g
[実施例2〜70及び比較例1〜14]熱硬化性重合体組成物の製造
以下同様にして、表1〜6に示す組成(重量比)で混合溶解し、実施例2〜70及び比較例1〜14の熱硬化性重合体組成物を得た。なお、表1〜6中の括弧内の数字は重量比を表し、TMAはトリメリット酸無水物、BHPCは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの略号である。
Figure 0005240125
Figure 0005240125
Figure 0005240125
Figure 0005240125
Figure 0005240125
Figure 0005240125
[熱硬化性重合体組成物の評価方法]
1)透明膜の形成
ガラス基板上に実施例1で合成された熱硬化性重合体組成物を400〜1,000rpmの任意の回転数で10秒間スピンコートし、100℃のホットプレート上で5分間プリベイク乾燥した。次いで、この基板をオーブン中190℃で30分ミドルベイクした。さらに、この基板をオーブン中230℃で30分ポストベイクし、膜厚が約100μmの透明膜を形成した。1度塗りで所望の膜厚(約100μm)に達しない場合は、プリベイク後、ミドルベイク後、又はポストベイク後、製膜された基板に重ね塗りしたあと乾燥ベイ
クを行い、これを数回繰り返すことで、十分な膜厚を有する透明膜を前記基板の表面に得た。
オーブンから取り出した基板を室温まで戻した後、得られた透明膜の膜厚を測定した。透明膜の膜厚の測定にはKLA−Tencor Japan株式会社製触針式膜厚計P−15を使用し、3箇所の測定の平均値を透明膜の膜厚とした。
2)クラック
上記1)で得られた透明膜のクラックの有無を目視により観察した。膜面にクラックが生じなかった場合は良好(G:Good)と、膜面にクラックが生じた場合は不良(NG:No Good)と判定した。
3)膜表面
上記1)で得られた透明膜の白濁の有無を目視により観察した。膜面に白濁が生じなかった場合は良好(G:Good)と、膜面に白濁が生じた場合は不良(NG:No Good)と判定した。
4)透明性
有限会社東京電色製TC−1800を使用し、透明膜を形成していないガラス基板をリファレンスとして、上記1)で得られた透明膜が形成されている基板の波長400nmでの光透過率を測定した。透過率が95T%以上の場合は良好(G:Good)と、95T%未満の場合は不良(NG:No Good)と判定した。
5)耐溶剤性
上記1)で得られた透明膜が形成されている基板を50℃のγ−ブチロラクトン中に20分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で上記1)と同様に膜厚を測定し、次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−5〜5%の時が良好(G:Good)、膨潤により5%を超えたり、溶解により−5%より減少した時は不良(NG:No Good)と判定した。
6)耐酸性
上記1)で得られた透明膜が形成されている基板を50℃の塩酸/硝酸/水=4/2/4(重量比)に10分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で上記1)と同様に膜厚を測定し、次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−5〜5%の時が良好(G:Good)、膨潤により5%を超えたり、溶解により−5%より減少した時は不良(NG:No Good)と判定した。
7)耐アルカリ性
上記1)で得られた透明膜が形成されている基板を60℃の5%水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、膜厚の変化を測定した。浸漬の前後で上記1)と同様に膜厚を測定し、次式から計算した。
(浸漬後膜厚/浸漬前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−5〜5%の時が良好(G:Good)、膨潤により5%を超えたり、溶解により−5%より減少した時は不良(NG:No Good)と判定した。
8)耐熱性
上記1)で得られた透明膜が形成されている基板を230℃のオーブンで1時間加熱し、上記4)と同様に光透過率を測定し、さらに加熱の前後で上記1)と同様に膜厚を測定
し、次式から計算した。
(加熱後膜厚/加熱前膜厚)×100(%)
膜厚の変化率が−5%未満の時が良好(G:Good)、加熱後の膜厚の変化率が−5%以上の時は不良(NG:No Good)と判定した。
実施例1〜70の熱硬化性重合体組成物について、上記の評価方法によって得られた結果を表7〜11に示す。
Figure 0005240125
Figure 0005240125
Figure 0005240125
Figure 0005240125
Figure 0005240125
比較例1〜14の熱硬化性重合体脂組成物について、上記の評価方法によって得られた結果を表12に示す。
Figure 0005240125
本発明の熱硬化性重合体組成物は、例えば、液晶表示素子、タッチパネル、タッチパネル付液晶表示素子及びタッチパネル付OLED表示素子の製造工程に用いられることができる。

Claims (10)

  1. オキシラニルとラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(a1)、炭素数3〜20の脂環構造とラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(a2)、及び下記式(1)で表わされるラジカル重合性モノマー(a3)からなる共重合体(A)と、
    カルボン酸構造とラジカル重合性基とを有するラジカル重合性モノマー(b1)、及びラジカル重合性基を有し、前記モノマー(b1)以外のラジカル重合性モノマー(b2)からなる共重合体(B)とを含有する熱硬化性重合体組成物であって、
    記モノマー(b2)は前記モノマー(a2)と前記モノマー(a3)とを含む熱硬化性重合体組成物。
    Figure 0005240125
    (式(1)中、R1は水素又はメチルを表し、R2は任意の−CH2−が−O−で置き換え
    られてもよい炭素数3〜20の直鎖又は分岐のアルキルを表す。)
  2. 前記モノマー(a1)がグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一以上である請求項1に記載の熱硬化性重合体組成物。
  3. 前記モノマー(a2)がイソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.
    2,6]デカニル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートから
    なる群から選ばれる一以上である請求項1又は2に記載の熱硬化性重合体組成物。
  4. 前記モノマー(a3)がn−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
  5. 前記モノマー(b1)が(メタ)アクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる一以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
  6. 前記モノマー(a1)がグリシジル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(a2)がイソボルニル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(a3)がn−ブチル(メタ)アクリレートであり、前記モノマー(b1)が(メタ)アクリル酸であり、前記モノマー(b2)が、イソボルニル(メタ)アクリレート及びn−ブチル(メタ)アクリレートである、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
  7. エポキシ硬化剤をさらに含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
  8. 酸化防止剤をさらに含有する請求項1〜のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の熱硬化性重合体組成物を用いて形成された膜を熱によって硬化させてなる硬化膜。
  10. 請求項に記載の硬化膜を有する表示素子。
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