JP6643863B2 - 層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物、層間絶縁膜、デバイス及び層間絶縁膜の形成方法 - Google Patents
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Description
本発明の第三の態様は、支持体上に前記第三の態様の層間絶縁膜を備えたデバイスである。
本発明の第四の態様は、支持体上に、前記第一の態様の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成する工程と、前記感光性樹脂組成物層を露光する工程と、露光された前記感光性樹脂組成物層を現像して層間絶縁膜パターンを形成する工程と、前記層間絶縁膜パターンを加熱硬化する工程と、を有する層間絶縁膜の形成方法である。
本発明の第一の態様は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、感光剤(B)と、下記一般式(z−1)で表される構成単位(z1)を有する樹脂(Z)(但し、アルカリ可溶性樹脂(A)を除く)と、を含有する層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物である。
アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリに対する溶解性を有するアルカリ可溶性基を有する任意の樹脂を採用できる。
該アルカリ可溶性樹脂(A)(以下、「共重合体(A)」と記載することがある。)としては、例えば、アクリル系樹脂が好適に用いられる。
アクリル系樹脂としては、一般式(a−1)で表される構成単位(A1)又は脂環式エポキシ基含有単位(A3)を含有することが好ましい。
構成単位(A1)は、下記一般式(a−1)で表される。
一般式(a−1)中、Ra01は水素原子又は水酸基を有する有機基である。
ここで、有機基とは、例えば、分岐状、直鎖状、又は環状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は置換基を有していてもよいヘテロアラルキル基を挙げることができ、Ra01は、その構造中に少なくとも一つの水酸基を有する。前記有機基の炭素数は1〜20であることが好ましく、6〜12であることが更に好ましい。炭素数が大きいと保存安定性や層間絶縁層の低誘電率化の面で好ましく、炭素数が小さいと解像性に優れる。
また、Ya01は単結合又は炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示す。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基等が挙げられる。中でも、単結合、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。
Ya01は、アルカリ可溶性を向上させることができることと、更に層間絶縁膜としたときの耐熱性が向上することから、単結合であることが好ましい。
ここで、bは0又は1〜4の整数を表すが、本発明の効果の観点や、製造が容易であるという点から、bは0であることが好ましい。
また、脂環式エポキシ基含有単位(A3)としては、脂環式エポキシ基を構造中に有し、エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位であれば、特に限定されない。脂環式エポキシ基の脂環式基の炭素数は、5〜10程度が好ましい。本発明の共重合体が脂環式エポキシ基含有単位(A3)を有することで、アウトガス発生の原因となる低分子量架橋成分を感光性樹脂組成物に添加せずとも、その耐熱性を向上することが可能となる。
また、上記共重合体は一般式(a−2)で表される構成単位(A2)を有することが好ましい。
Rbの炭化水素基としては、例えば、分岐状、直鎖状、若しくは環状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を挙げることができる。前記炭化水素基の炭素数は1〜20であることが好ましい。更に、分岐状、直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12が好ましく、1〜6が最も好ましい。環状のアルキル基としては、炭素数6〜20が好ましく、6〜12が最も好ましい。置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基としては、炭素数6〜20が好ましく、6〜12が最も好ましい。炭素数が20以下であればアルカリ解像性は十分であり、炭素数が1以上であれば層間絶縁膜の誘電率を低減できて好ましい。
また、上記共重合体には、本発明の目的に反しない範囲で構成単位(A1)〜(A3)以外の構成単位(A4)を含有していてもよい。この構成単位は、エチレン性二重結合を有する化合物から誘導される構成単位であれば、特に限定されない。このような構成単位としては、例えば、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、及びスチレン類等から選ばれる構成単位が挙げられる。
上記共重合体(A)の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値)は、2000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。分子量を2000以上とすることにより、容易に膜状に形成することが可能となる。また、分子量50000以下とすることによって、適度なアルカリ溶解性を得ることが可能となる。
本発明における感光剤(B)としては、感光成分として使用できる化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましい例としてキノンジアジド基含有化合物が挙げられる。
樹脂(Z)は、下記一般式(z−1)で表される構成単位(z1)を有する。ただし、樹脂(Z)は、前記アルカリ可溶性樹脂(A)を除く。
構成単位(z1)は、下記一般式(z−1)で表される。
前記一般式(z−1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、前記と同様である。
前記一般式(z−1)中、Vz01は前記一般式(Vz01)で表される基を含有する2価の連結基を表す。
Lz01のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−(CH2)2−]、トリメチレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(CH2)4−]、ペンタメチレン基[−(CH2)5−]等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキレン基としては、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2CH2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記環状アルキレン基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の環状アルキレン基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の環状アルキレン基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Lz01としては、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。
前記一般式(Vz01)で表される基としては、下記一般式(Vz1)〜(Vz3)のいずれかで表される基が好ましい。
前記一般式(Vz2)中、p2は2〜8の整数を表し、2〜4が好ましい。
前記一般式(Vz3)中、p3は1〜8の整数を表し、1〜4が好ましい。
前記一般式(Vz01)で表される基を含有する2価の連結基としては、前記一般式(Vz01)で表される基に−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)2−、−S(=O)2−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−−Y21、[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]が結合した2価の連結基が挙げられる。中でも、Vz01としては、前記一般式(Vz01)で表される基に−O−が結合した2価の連結基が好ましく、下記一般式(Vz1−1)〜(Vz3−1)のいずれかで表される基がより好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキル基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
前記置換基としてのアリール基は、前記芳香族炭化水素基と同様である。
前記置換基としてのアリールアルキル基は、前記アリール基に前記アルキル基が結合したものが挙げられる。
樹脂(Z)における構成単位(z1)の含有比率は90〜99.9モル%であることが好ましく、93〜99.9モル%がより好ましく、95〜99.9モル%がさらに好ましい。構成単位(z1)の含有比率を上記範囲内とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
樹脂(Z)は、更に架橋性基を有する構成単位(z2)(以下、「構成単位(z2)」という。)を含有することが好ましい。構成単位(z2)を有する場合、感光性樹脂組成物を用いて層間絶縁膜を形成する際に樹脂(Z)がアルカリ可溶性樹脂(A)と架橋するため、機械特性等が良好である層間絶縁膜を形成しやすくなる。
エポキシ基含有重合性不飽和化合物としては、例えばビニル基とエポキシ基を有する化合物が挙げられる。具体的には、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニルプロピル]アクリルアミド、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、前記脂環式エポキシ基含有単位(A3)として例示したものなどが挙げられる。
中でも、構成単位(z2)としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、又は前記一般式(1)〜(31)で示される脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物から誘導される構成単位が好ましく、アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルから誘導される構成単位がさらに好ましい。
樹脂(Z)における構成単位(z2)の含有比率は0.1〜10モル%であることが好ましく、0.1〜7モル%がより好ましく、0.1〜5モル%がさらに好ましい。構成単位(z2)の含有比率を上記範囲内とすることにより、樹脂(Z)がアルカリ可溶性樹脂と適度に架橋し、機械特性等が良好である層間絶縁膜を形成しやすくなる。
樹脂(Z)は、本発明の目的に反しない範囲で構成単位(z1)〜(z2)以外の構成単位を含有していてもよい。他の構成単位としては、前記構成単位(A4)等が挙げられる。
樹脂(Z)の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値)は、50000〜300000であることが好ましく、70000〜250000であることがより好ましく、90000〜200000であることがさらに好ましい。樹脂(Z)の質量平均分子量が上記範囲内である場合、十分な膜強度を維持しつつ、破断伸度を向上させることができる。
樹脂(Z)の含有量が上記範囲内である場合、十分な膜強度を維持しつつ、破断伸度を向上させることができる。
本発明における感光剤(B)としては、感光成分として使用できる化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましい例としてキノンジアジド基含有化合物が挙げられる。
本発明の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、熱酸発生剤(T)を含有することが好ましい。層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物が熱酸発生剤(T)を含有する場合、熱硬化処理時に、熱により発生する酸の作用により、感光性樹脂膜中の重合反応(特にアルカリ可溶性樹脂中のエポキシ基での重合)がさらに促進され、膜密度が向上すると考えられる。
熱酸発生剤としては、公知のものから適宜選択して用いればよく、トリフルオロメタンスルホン酸塩、三フッ化ホウ素エーテル錯化合物、六フッ化リン酸塩、パーフルオロブタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等のカチオン系又はプロトン酸触媒等を用いることができる。中でも、6フッ化リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸が好まく、トリフルオロメタンスルホン酸がより好ましい。
その具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジイソプロピルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸エチルジイソプロピルアンモニウム等が挙げられる。また、酸発生剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン重合開始剤として用いることができる。例えば、サンエイドSI−45、SI−47、SI−60、SI−60L、SI−80、SI−80L、SI−100、SI−100L、SI−110L、SI−145、I−150、SI−160、SI−180L、SIーB3、SIーB3A(三新化学工業(株)製)等が挙げられる。その他にも、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(日本曹達(株)製)、CP−66、CP−77((株)ADEKA製)、FC−520(3M社製)K―PURE TAG−2396、TAG−2713S、TAG−2713、TAG−2172、TAG−2179、TAG−2168E、TAG−2722、TAG−2507、TAG−2678、TAG−2681、TAG−2679、TAG−2690、TAG−2700、TAG−2710、TAG−2100、CDX−3027、CXC−1615、CXC−1616、CXC−1750、CXC−1738、CXC−1614、CXC−1742、CXC−1743、CXC−1613、CXC−1739、CXC−1751、CXC−1766、CXC−1763、CXC−1736、CXC−1756、CXC−1821、CXC−1802−60(KING INDUSTRY社製)等が挙げられる。
上記のなかでも、トリフルオロメタンスルホン酸塩又は六フッ化リン酸塩が好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸塩がより好ましい。
なお、熱酸発生剤(T)の酸発生温度がプリベーク温度よりも低いと、プリベーク時に熱酸発生剤(T)から酸が発生し、感光性樹脂膜中でエポキシ基が重合が進行してしまうため、露光部におけるアルカリ溶解性が低下してしまい、良好なパターンが形成できない。
一方、本発明においては、熱酸発生剤(T)の酸発生温度を上記の範囲とした場合には、感光性樹脂膜形成後の熱硬化処理時において、感光性樹脂膜中の重合を促進できるため、パターン形成を阻害することなく、膜密度の向上に寄与できると考えられる。
前記上限値以下とすることにより、熱酸発生剤自身の光吸収の影響が低減されるため、光の透過性を良好なものとすることができ、良好にパターンを形成できると考えられる。
また、前記下限値以上とすることにより、重合に必要な酸発生量を確保し、重合が促進されるため、膜密度の高い膜を形成することができると考えられる。この結果、感光性樹脂膜の耐薬品性が向上すると考えられる。具体的には、例えば、半導体製造工程に供されるときに曝される溶剤(例えば、PGMEA、PGME、N−メチルピロリドン(NMP)等)、酸(フッ化水素酸等)、アルカリ(TMAH等)に対して優れた耐性を発揮できる。
本発明の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤(C)を含有することが好ましい。本発明の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物がシランカップリング剤(C)を含有する場合、本発明の感光性樹脂組成物により形成された膜と基板との密着性を向上できたり、本発明の感光性樹脂組成物により形成された膜の性質を調整することができる。
シランカップリング剤(C)として、具体的には、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランがさらに好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがよりさらに好ましい。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、架橋剤(D)を含有することが好ましい。また、架橋剤(D)は、オキセタン含有化合物、エポキシ基含有化合物及びブロックイソシアネート化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
オキセタン基又はエポキシ基を有する化合物としては、例えば、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル、p−フェニルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルシンナメート、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシドール、N−グリシジルフタルイミド、1,3−ジブロモフェニルグリシジルエーテル、セロキサイド2000(ダイセル化学工業株式会社製)、オキセタンアルコール等が挙げられる。
オキセタン含有化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
エポキシ基含有化合物の具体例としては、エポキシ樹脂EXA4850−150、エポキシ樹脂EXA4850−1000(ともにDIC株式会社製)を用いることができる。
本発明において使用されるブロックイソシアネート化合物は、常温では不活性であり、加熱されることにより、オキシム類、ジケトン類、フェノール類、カプロラクタム類等のブロック剤が解離してイソシアネート基を再生する化合物である。ブロックイソシアネート化合物は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
ここで、イソシアネート化合物としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1、4−シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、これらのビウレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンのアダクト体などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、ジシクロへキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、これらのビウレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンのアダクト体などが好ましい。
中でもアダクト体としては、脂肪族ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加体が、ビウレット体としてはヘキサメチレンジイソシアネートと水又は三級アルコールとの反応物が、イソシアヌレート体としてはヘキサメチレンジイソシアネートの三量体が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物の含有量は本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して好ましくは1〜60質量%、より好ましくは5〜50質量%、最も好ましくは10〜40質量%である。
また、ブロックイソシアネート化合物の中でも、アダクト型のブロックイソシアネート化合物を採用することが好ましい。
アダクト型のブロックイソシアネート化合物を採用する場合は、アダクト型のブロックイソシアネート化合物の含有量は本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜25質量%である。
上記範囲とすることにより、層間絶縁膜の機械特性の向上に加え、熱耐性も付与することができる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、塗布性を改善したり、粘度を調整したりするために、有機溶剤(S)を含有することが好ましい。
本発明の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物は、界面活性剤(E)を含有していてもよい。
界面活性剤(E)としては、シリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が挙げられる。具体的には、シリコーン系界面活性剤は、BYK−Chemie社のBYK−077、BYK−085、BYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−335、BYK−341v344、BYK−345v346、BYK−348、BYK−354、BYK−355、BYK−356、BYK−358、BYK−361、BYK−370、BYK−371、BYK−375、BYK−380、BYK−390などを使用することができる。
フッ素系界面活性剤としては、DIC(DaiNippon Ink&Chemicals)社のF−114、F−177、F−410、F−411、F−450、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−446、F−470、F−471、F−472SF、F−474、F−475、F−477、F−478、F−479、F−480SF、F−482、F−483、F−484、F−486、F−487、F−172D、MCF−350SF、TF−1025SF、TF−1117SF、TF−1026SF、TF−1128、TF−1127、TF−1129、TF−1126、TF−1130、TF−1116SF、TF−1131、TF1132、TF1027SF、TF−1441、TF−1442などを使用することができるが、これらにのみ限定されるものではない。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、界面活性剤や、増感剤、消泡剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明においては、層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物が構成単位(z1)を有する樹脂(Z)を含有する。構成単位(z1)は、アルキレングリコールに由来する基を含有する2価の連結基を有する。該アルキレングリコールに由来する基は極性基を有するため、アルカリ可溶性樹脂(A)との相溶性向上に寄与していると推測される。
通常、層間絶縁膜において、膜強度は破断伸度とトレードオフの関係にあることが知られている。しかしながら、層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物においては、樹脂(Z)がアルカリ可溶性樹脂と適度に相溶し、十分な膜強度を維持しつつ、良好な破断伸度を有する層間絶縁膜を形成しやすくなると推測される。
本発明は、前記層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物を用いた層間絶縁膜を提供する。
本発明の層間絶縁膜は、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品における層状に配置される配線の間を絶縁するために設ける層間絶縁膜として好適に用いることができる。
該デバイスとしては、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品が挙げられる。
する。
まず、基板等の支持体上に本発明に係る感光性樹脂組成物をスピンナー、ロールコーター、スプレーコーター、スリットコーター等を用いて塗布、乾燥させ、感光性樹脂組成物層を形成する。上記基板としては、例えば、透明導電回路等の配線を備え、必要に応じてブラックマトリクス、カラーフィルタ、偏光板等を備えるガラス板が挙げられる。
表1に示す各成分を混合してPGMEA/PGME=60/40の混合溶剤に溶解し、感光性樹脂組成物を調製した。なお、実施例1〜6及び比較例1の固形分濃度は40質量%である。
なお、(A)成分100質量部に対する(Z)成分の添加量は、実施例1が7.5質量部、実施例2,5,及び6が10質量部、実施例3が15質量部、実施例4が20質量部である。
(A)−1:下記高分子化合物(A)−1
(x/y/z=50/30/20(モル比)、Mw=17000)
(B)−1:下記化合物(B’)−1に対し、ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルを2モル反応させたもの
(C)−1:下記化合物(C)−1
(D)−1:ブロックイソシアヌート架橋剤アダクト型
(旭化成ケミカルズ社製、E402−B80B)
(T)−1:熱カチオン重合開始剤
(KING INDUSTRY社製、TAG−2690)
(E)−1:シリコン系表面調整剤(ビックケミー・ジャパン社製、BYK−310)
(Z)−1:下記高分子化合物(Z)−1
(x/y=99.5/0.5(モル比)、Mw=190000)
(Z)−2:下記高分子化合物(Z)−2
(x/y=99.5/0.5(モル比)、Mw=94100)
実施例および比較例で調製した感光性樹脂組成物を、8インチシリコン基板)上にスピンコーター(TR25000:東京応化(株)製)を用いて塗布し、110℃で300秒間プリベークを行い、膜厚10μmの塗膜を形成した。その後、100℃で30分間、その後120℃で30分間、その後200℃で60分間の熱硬化処理を行い、膜を得た。
得られた膜を万能材料試験機(TENSILON、株式会社オリエンテック製)によって、感光性樹脂の破断強度、破断伸度、及び引張弾性率を測定した。破断強度の評価結果を「Tensile strength (%)」、引張伸度の評価結果を「Elongation (%)」、引張弾性率の評価結果を「Young modulus (Gpa)」として表2に記す。
Claims (12)
- アルカリ可溶性樹脂(A)と、感光剤(B)と、下記一般式(z−1)で表される構成単位(z1)を有する樹脂(Z)(但し、アルカリ可溶性樹脂(A)を除く)と、を含有する層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物であって、
前記樹脂(Z)の含有量は、前記アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対し5〜20質量部であり、
前記樹脂(Z)における構成単位(z1)の含有比率が90〜99.9モル%である、層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物。
- 前記樹脂(Z)の質量平均分子量(Mw)は、50000〜300000である、請求項1又は2に記載の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物。
- 更にシランカップリング剤(C)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物。
- 更に熱酸発生剤(T)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物。
- 更に架橋剤(D)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物。
- 前記架橋剤(D)が、ブロックイソシアネート化合物である請求項7に記載の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物を用いた層間絶縁膜。
- 支持体上に請求項9に記載の層間絶縁膜を備えたデバイス。
- 支持体上に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の層間絶縁膜形成用感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成する工程と、
前記感光性樹脂組成物層を露光する工程と、
露光された前記感光性樹脂組成物層を現像して層間絶縁膜パターンを形成する工程と、
前記層間絶縁膜パターンを加熱硬化する工程と、を有する層間絶縁膜の形成方法。 - 前記加熱硬化処理を300℃以下で行うことを特徴とする請求項11に記載の層間絶縁膜の形成方法。
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