JP2011074403A - 大入熱溶接用鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接で優れた溶接熱影響部靭性を有する大入熱溶接用鋼を提供する。
【解決手段】Ceq(IIW)(=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15):0.33〜0.45、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.01〜0.15%、Mn:1.5〜2.6%、P、S、Al:0.005〜0.1%、Nb:0.003〜0.05%、Ti:0.003〜0.03%、N:0.0025〜0.0070%、B:0.0003〜0.0025%、Ca:0.0005〜0.0030%、必要に応じて、V,Cr,Mo,Mg,Zr,REMの一種または二種以上、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼中にMnとCaとを質量比でMn/(Mn+Ca):Mn/(Mn+Ca)で0.1〜0.7の範囲で含む硫化物、あるいは酸化物と複合した該硫化物が、0.1〜5μmの大きさで1mm中に50〜1000個が分散した鋼。
【選択図】なし

Description

本発明は、造船、建築、土木等の各種構造物で使用される溶接用鋼に関し、特に入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接で優れた溶接熱影響部靭性を有する大入熱溶接用鋼に関する。
溶接構造物が大型化し、使用される鋼材の高強度化・厚肉化に伴い、溶接施工でサブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接およびエレクトロスラグ溶接などの高能率な大入熱溶接の適用が増加し、溶接熱影響部の靱性確保が課題となっている。
溶接金属と熱影響部(Heat Affected Zone;HAZ)との境界部は、一般に「ボンド部」と称されている。このボンド部近傍の熱影響部(HAZ)は、熱影響部の中でも特に溶融点付近の高温に加熱され、その後、急冷されるため、硬さが最高硬さを示すことが多い。また、上記溶接熱影響部(HAZ)は、溶接時の入熱量が大きくなると、結晶粒が粗大化し、靱性が著しく低下することが知られている。
大入熱溶接による靱性の低下に対して、これまでにも多くの対策が提案され、特許文献1では、大入熱溶接部の靭性改善技術を、(1)鋼中に分散する粒子(介在物)によるピンニング効果に基づく結晶粒の粗大化防止(結晶粒の微細化)、(2)オーステナイト結晶粒内のフェライト変態促進に基づく変態組織及び有効結晶粒の微細化、(3)M−A(Martensite−Austenite constituent)に代表される局所的な脆化相の生成抑制、(4)地組織の靭性改善等の4点に大別し、これらを組み合わせたものとして固溶Nの徹底的低減と酸化物による粒径微細化効果による靭性改善を提案している。
近年、適用されることが多くなった400kJ/cmを超える大入熱溶接の場合、従来の300kJ/cm程度までの入熱量であれば高靱性の確保が可能な鋼材、特許文献2に記載のCaを添加する技術や特許文献3に記載のREMを添加する技術による鋼材であっても靭性確保は困難となっている。
特許文献4は、400kJ/cmを超える大入熱溶接でも良好な溶接熱影響部靱性を確保する鋼材に関し、高温領域でのオーステナイトの粗大化を抑制するとともに、その後の冷却過程におけるフェライト変態も促進させるように、変態核となる硫化物の形態制御に必要なCaを適正に含有させて、変態核を微細に分散させることを特徴とする。
特許文献5は、建築用BOX柱で適用される500kJ/cmを超える大入熱溶接でも良好な溶接熱影響部靱性を確保する鋼材に関し、Mg含有酸化物を内包するTiNとCaを含有するMn硫化物を分散させることで、高温領域でのオーステナイトの粗大化を抑制するとともに、その後の冷却過程における粒内フェライト変態も促進させるようにしたものである。
特開2001−107177号公報 特開昭60−204863号公報 特公平4−14180号公報 特許第3546308号公報 特開2003−321728号公報
しかしながら、特許文献4や特許文献5に記載の発明鋼であっても、比較的C量や合金添加量が多く添加された鋼成分、すなわち比較的強度の高くなる成分系においては、溶接入熱量が400kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド部組織に、島状マルテンサイトと呼ばれる硬質の脆化組織が数%形成し、靭性のさらなる向上が困難となっている。また、特許文献5記載の発明鋼においてはMg添加により、粒内フェライト変態に寄与するMn硫化物が析出しにくい傾向にあり、造船用など−40℃でのシャルピー衝撃特性が求められる場合、さらなる組織改善が必要となる。
そこで、本発明は、特許文献4の高靭化技術に加え、さらにボンド部組織における島状マルテンサイトを低減して靭性を向上させた大入熱溶接用鋼を提供することを目的とする。
本発明者らは、大入熱溶接を施したときのボンド部組織に形成する島状マルテンサイトの低減に対して有効な措置を鋭意検討し、以下の知見を得た。
1.ボンド部の旧オーステナイト粒の粒内組織をアシキュラーフェライトとすることが極めて有効である。
アシキュラーフェライトは、従来知られているように、有効結晶粒径の微細化にも有効である。アシキュラーフェライトは、いわば粒内から核生成したベイナイトである。粒内アシキュラーフェライトが生成する場合、旧オーステナイト粒界よりベイナイトが生成するときと比較して核生成サイトが多くなり、未変態オーステナイトへのCの濃化が軽減される結果、島状マルテンサイトが形成しにくくなるものと考えられる。
2.粒内アシキュラーフェライトの生成促進には、適正量のCa添加に加え、Mn添加量を1.5〜2.6質量%と高めることが有効で、MnとCaとを質量比でMn/(Mn+Ca):0.1〜0.7の範囲で含む硫化物:(CaMn)Sが、鋼板を溶製する際の凝固段階で晶析出されるようになる。
(CaMn)Sは多くの場合、酸化物の周囲の一部に付着したような形で析出し、粒子は球状である。また、大入熱溶接時の高温下で部分的に溶解し、冷却時にMnSがその表面に再析出するが、MnSは、それ自身がフェライト核生成能をもっているほか、周囲に形成されるMnの希薄帯がフェライト変態、ベイナイト変態を促進する。更に、MnS上にTiN、BN、AlN、VN等のフェライト生成核が析出することによって、より一層フェライト変態が促進される。
一方、Mn添加量が少ないと、溶製する際の凝固段階でCaSが形成されるようになるが、CaSは大入熱溶接時の高温下で安定で、Mnを含む硫化物の溶解・再析出を生じないため、粒内アシキュラーフェライトの生成に寄与しない。
3.粒内をアシキュラーフェライト組織とするために、旧オーステナイト粒界に沿った初析フェライトを析出させ、生成速度の大きい、旧オーステナイト粒界からのベイナイト生成をできるだけ抑えることも有効である。
4.鋼材成分組成において、溶接熱影響部における島状マルテンサイトの生成量は概ね、Ceq(IIW)の値で整理され、Ceq(IIW)(=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15、各元素記号は含有量(質量%)):0.33〜0.45で島状マルテンサイトの生成量を抑制することが可能である。
5.以上の方策をとることによって、大入熱溶接熱影響部において粒内アシキュラーフェライト変態を促進し、島状マルテンサイトの形成が抑制され、その高靱性化を達成することが可能である。
本発明は、上記知見をもとに、さらに検討をくわえてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.Ceq(IIW)(=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15、各元素記号は含有量(質量%)):0.33〜0.45を満足する鋼であって、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.01〜0.15%、Mn:1.5〜2.6%、P:0.03%以下、S:0.0005〜0.0040%、Al:0.005〜0.1%、Nb:0.003〜0.05%、Ti:0.003〜0.03%、N:0.0025〜0.0070%、B:0.0003〜0.0025%、Ca:0.0005〜0.0030%、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成と、鋼中に、MnとCaとを質量比でMn/(Mn+Ca):0.1〜0.7の範囲で含む硫化物あるいは酸硫化物が、0.1〜5μmの大きさで1mm中に50〜1000個が分散して存在していることを特徴とする大入熱溶接用鋼。
2.更に、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.4%以下、Mo:0.4%以下、V:0.2%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする1に記載の大入熱溶接用鋼。
3.更に、質量%で、Mg:0.0005〜0.0050%、Zr:0.001〜0.02%、REM:0.001〜0.02%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする1または2に記載の大入熱溶接用鋼。
本発明によれば、サブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接、エレクトロスラグ溶接などの300kJ/cmを超える大入熱溶接で優れた溶接熱影響部靱性を有する鋼が得られ、産業上極めて有用である。
本発明では成分組成とミクロ組織を規定する。
[成分組成]以下の説明において%は質量%とする。
Ceq(IIW):0.33〜0.45
Ceq(IIW)は、0.33未満であると必要な母材強度が得られない。また0.45以下とすると島状マルテンサイトの面積分率を概ね3%未満に抑えることができるが0.45を超えると、溶接熱影響部とくにボンド部近傍において島状マルテンサイトの生成が顕著となって靭性が劣化するため、0.33〜0.45の範囲とする。Ceq(IIW)は、C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15、各元素記号は含有量(質量%)とする。
以下、各成分の限定理由について説明する。
C:0.03〜0.08%
Cは、構造用鋼として必要な強度を得るために0.03%以上とし、一方、0.08%を超えると島状マルテンサイトの生成が顕著となるため、0.03〜0.08%とする。
Si:0.01〜0.15%
Siは、製鋼上0.01%以上が必要で、一方、0.15%を超えると、母材の靱性を劣化させるほか、大入熱溶接熱影響部に島状マルテンサイトを生成して溶接部の靱性を劣化させるようになるので、0.01〜0.15%とする。
Mn:1.5〜2.6%
Mnは、母材の強度を確保するとともに、アシキュラーフェライトの生成を促進するために1.5%以上を必要とし、一方、2.6%を超えると溶接部の靱性を劣化させるようになるため、1.5〜2.6%とする。
P:0.03%以下、S:0.0005〜0.0040%
本発明においてP,Sは不可避的不純物で、Pは、0.03%を超えると溶接部の靱性を劣化させるため、0.03%以下とする。Sは、アシキュラーフェライトの生成に必要な(Ca,Mn)Sを生成するために0.0005%以上が必要で、一方、0.0040%を超えると母材の靱性を劣化させるようになるため、0.0005〜0.0040%とする。
Al:0.005 〜0.1 %
Alは、鋼の脱酸上0.005%以上、好ましくは0.01%以上を必要とし、一方、0.1%を超えて含有すると母材の靱性を低下させると同時に溶接金属の靱性を劣化させるようになるため、0.005 〜0.1 %とする。
Nb:0.003〜0.05%以下
Nbは、母材の強度・靱性および継手の強度を確保するのに有効な元素であるが、0.003%未満ではその効果が小さく、0.05%を超えて含有すると溶接熱影響部の靱性が
劣化するようになるため、0.003〜0.05%以下とする。
Ti:0.003 〜0.03%
Tiは、凝固時にTiNとなって析出し、溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制やフェライト変態核となって高靱性化に寄与するが0.003%に満たないとその効果が少なく、一方、0.03%を超えるとTiN粒子の粗大化によって期待する効果が得られなくなるため、0.003 〜0.03%とする。
N:0.0025〜0.0070%
Nは、溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制やフェライト変態核となって高靱性化に寄与するTiNの必要量を確保するうえで必要な元素で、0.0025%未満では十分なTiN量が得られず、一方、0.0070%を超えると溶接熱サイクルによってTiNが溶解する領域では固溶N量が増加するので靱性が著しく低下するため、0.0025〜0.0070%とする。
B:0.0003〜0.0025%
Bは、溶接熱影響部でBNを生成して、固溶Nを低減するとともにフェライト変態核として作用させるため0.0003%以上を必要とし、一方、0.0025%を超えて添加すると焼入れ性が増して溶接部の靱性が劣化するようになるため、0.0003〜0.0025%とする。
Ca:0.0005〜0.0030%
Caは、アシキュラーフェライトの生成に必要な(Ca,Mn)Sを生成するために0.0005%以上を必要とし、一方、0.0030%を超えて含有しても効果が飽和するため、0.0005〜0.0030%とする。
以上が本発明の基本成分組成であるが、さらに特性を向上させる場合、Cu、Ni、Cr、MoおよびVから選ばれる少なくとも1種または2種以上を含有させることができる。
Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.4%以下およびMo:0.4%以下
Cu,Ni,CrおよびMoは、母材の高強度化に有効な元素であるが、その効果を得るためにはCu,Niは0.05%以上、Cr,Moは0.02%以上の添加が必要である。しかし、いずれの元素も多量に添加し過ぎると、靱性に悪影響を及ぼすため、添加する場合には、Cu,Niは1.0%以下、Cr,Moは0.4%以下とするのが望ましい。
V:0.2%以下
Vは、母材の強度・靱性の向上および溶接熱影響部においてVNを形成してフェライト生成核として働くが、0.2%を超えると靱性の低下を招くようになるので、含有させる場合は、0.2%以下とする。
本発明では、さらに溶接熱影響部の靭性を向上させる場合、Mg、Zr、REMから選ばれる少なくとも1種または2種以上を含有させることができる。
Mg:0.0005〜0.0050%、Zr:0.001〜0.02%、REM:0.001〜0.02%
Mg、Zr、REMは、酸化物の分散による靱性改善効果を有し、このような効果を発揮させるため、含有させる場合は、Mg:0.0005〜0.0050%、Zr:0.001〜0.02%、REM:0.001〜0.02%とする。上限はいずれも効果が飽和するため規定する。
[硫化物あるいは酸硫化物]
本発明に係る鋼は、鋼中に、MnとCaとを質量比でMn/(Mn+Ca):0.1〜0.7の範囲で含む硫化物あるいは酸硫化物が、0.1〜5μmの大きさで1mm中に50〜1000個を分散して存在させ、大入熱溶接時に最も高温にさらされるボンド部近傍において、アシキュラーフェライトの生成を促進する。前記硫化物は(Ca、Mn)Sとする。また、前記硫化物が酸化物と複合した物質である酸硫化物として存在する場合にも、硫化物単独の場合と同様、上述のアシキュラーフェライトの生成が促進される。
Ceq(IIW)を0.45以下とすれば、島状マルテンサイトの面積分率を概ね3%未満に抑えることができるが、靭性向上の観点からは、2%未満、更には1%未満に抑えることが望ましいため、ミクロ組織をアシキュラーフェライト組織主体として、島状マルテンサイトの低減を達成する。
島状マルテンサイトの生成量は上述のとおり主としてCeq(IIW)によるが、ベイナイト変態機構にも左右され、アシキュラーフェライト組織が多くなるほど、未変態オーステナイトが細かく分断されることで、Cの濃化が軽減されるので、島状マルテンサイトの生成量も減少する。
Ceq(IIW)を0.45以下とし、更に、上記硫化物あるいは酸硫化物の組成および分散状態を規定する本発明によれば、旧オーステナイト粒界から析出した粒界フェライトを除いた旧オーステナイト粒内組織の大きさが10μm以下となるとともに、島状マルテンサイトの形成が抑制されて2%未満となり、溶接熱影響部の靭性が向上する。
なお、旧オーステナイト粒内組織の大きさとは、旧オーステナイト粒界に存在する初析フェライトを除いた粒内フェライトの大きさを評価したもので、EBSD(電子線後方散乱回折)で測定した15°以上の傾角を有する結晶粒界組織において、線分法で測定した平均切片長さのことである。
本発明に係る鋼材は、構造用鋼の常法による製造条件で製造可能である。例えば、まず溶銑を転炉で精錬して鋼とした後、RH脱ガスを行い、連続鋳造または造塊−分塊工程を経て鋼片とする。これを再加熱し、熱間圧延後放冷するか、あるいはまた、前記熱間圧延後に、加速冷却、直接焼入れ−焼戻し、再加熱焼入れ−焼戻し、再加熱焼準−焼戻しなどの工程で製造される。以下、本発明の作用効果を実施例に基づいて説明する。
150kgの高周波溶解炉にて、表1に示す組成の鋼を溶製し、熱間圧延により厚さ70mmのスラブとした。得られたスラブを1150℃に2時間加熱後、板厚中心温度で850℃において板厚30mmの鋼板に仕上げた後、7℃/sの冷却速度で加速冷却した。当該冷却速度は板厚60mmの鋼板の板厚1/4位置の冷速を、板厚30mmの板厚中心でシミュレートしたものである。
Figure 2011074403
圧延した30mmの鋼板を500℃で10分保持して焼戻した後、試験片長手方向が板幅方向と一致するように、平行部14φ×85mm、標点間距離70mmの丸棒引張試験片を採取し、母材強度(降伏応力YS,引張強さTS)を測定した。また、上記厚鋼板から、試験片長手方向が圧延方向と一致するように、2mmVノッチシャルピー試験片を採取し、−100〜40℃の範囲で適宜シャルピー衝撃試験を行い、脆性破面率50%となる破面遷移温度vTrsを求め、靭性を評価した。
また、得られた鋼板について、大きさ0.1〜5μmの酸硫化物の個数密度、硫化物組成を調査した。酸硫化物の個数密度は、倍率:500倍または1000倍の光学顕微鏡を用いて、ミクロ組織観察用試料を観察することにより計測した。硫化物中の質量比:Mn/(Mn+Ca)は、分散した酸硫化物粒子に含まれる硫化物に着目し、SEM−EDX(SEM:走査型電子顕微鏡、EDX:エネルギー分散型X線分析器)装置にて分析して求めた。
さらに、これらの鋼板の大入熱溶接熱影響部の靭性を評価するため、再現溶接熱サイクル試験を行った。幅80mm×長さ80mm×厚み15mmの再現熱サイクル試験片を採取し、1450℃に加熱後800〜500℃を270sで冷却する再現溶接熱サイクル(板厚30mmの鋼板のエレクトロガス溶接での入熱量400kJ/cmの溶接熱影響部に相当)を付与し、2mmVノッチシャルピー試験にてvTrs(℃)を求めて評価した。
再現溶接熱サイクル付与部(2mmVノッチのノッチ底相当部)における、アシキュラーフェライト生成の指標として、粒内組織平均切片長さを求めた。粒内組織平均切片長さはEBSDで測定した15°以上の傾角を有する粒界組織において、旧オーステナイト粒界に存在する初析フェライトを除いて線分法で評価した平均切片長さのことである。
再現溶接熱サイクル付与部(2mmVノッチのノッチ底相当部)における島状マルテンサイトの面積分率(以下、島状マルテンサイト分率(%))は、2段エッチング法により島状マルテンサイトを現出したのち、SEMの2000倍の写真をトレースしたうえで画像解析により算出した。
表2に、母材鋼板の酸硫化物個数密度(個/mm)、硫化物組成(Mn/(Mn+Ca),各元素記号は含有量(質量%))と機械的性質(YS(MPa)、TS(MPa)),靭性(シャルピー衝撃試験結果、vTrs(℃))ならびに再現溶接熱サイクル付与部(2mmVノッチのノッチ底相当部)における粒内組織平均切片長さ(μm)および島状マルテンサイト分率(%)と再現溶接熱サイクルシャルピー衝撃試験結果(vTrs(℃))を示す。
Figure 2011074403
表2中、鋼番1〜10はいずれも、本発明範囲内の化学成分、ミクロ組織の規定を満足する本発明例で、再現溶接熱サイクル付与部(2mmVノッチのノッチ底相当部)における、粒内組織平均切片長さが10μm未満、島状マルテンサイト面積分率が2%未満で、再現溶接熱サイクルシャルピー衝撃試験結果(vTrs(℃))は−55℃以下であった。
一方、鋼番11〜23は成分組成および/またはミクロ組織の規定が本発明範囲外となった比較例である。これらは、本発明例の場合に比べ、粒内組織平均切片長さ(μm)が長い、および/または島状マルテンサイト分率(%)が大きいため、再現溶接熱サイクルシャルピー衝撃試験結果(vTrs(℃))は−45℃以上と劣っていた。

Claims (3)

  1. Ceq(IIW)(=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15、各元素記号は含有量(質量%)):0.33〜0.45を満足する鋼であって、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.01〜0.15%、Mn:1.5〜2.6%、P:0.03%以下、S:0.0005〜0.0040%、Al:0.005〜0.1%、Nb:0.003〜0.05%、Ti:0.003〜0.03%、N:0.0025〜0.0070%、B:0.0003〜0.0025%、Ca:0.0005〜0.0030%、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成と、鋼中に、MnとCaとを質量比でMn/(Mn+Ca):0.1〜0.7の範囲で含む硫化物あるいは酸硫化物が、0.1〜5μmの大きさで1mm中に50〜1000個が分散して存在していることを特徴とする大入熱溶接用鋼。
  2. 更に、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:0.4%以下、Mo:0.4%以下、V:0.2%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の大入熱溶接用鋼。
  3. 更に、質量%で、Mg:0.0005〜0.0050%、Zr:0.001〜0.02%、REM:0.001〜0.02%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の大入熱溶接用鋼。
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