JP2013147740A - 大入熱溶接用鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施しても溶接熱影響部の靭性に優れる大入熱溶接用鋼材を提供することにある。
【解決手段】質量%で、一定量のC、Si、Mn、P、S、Al、Nbを含有し、さらにTi:0.004〜0.030%、B:0.0003〜0.0030%、N:0.0035〜0.0070%、Ca:0.0005〜0.0030%、O:0.0040%以下を含み、かつ、下記(1)式を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド近傍の熱影響部組織において、粒内フェライトの粒径が50μm以下であることを特徴とする大入熱溶接用鋼材

0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.40・・・(1)
ただし、上記式中のCa、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、造船、建築、土木等の各種溶接構造物で使用される鋼材に用いて好適な、入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施した際の溶接熱影響部の低温靱性に優れる大入熱溶接用鋼材に関する。
造船、建築、土木等の分野で使用される鋼材は、一般に、溶接接合により所望の形状の構造物に仕上げられる。これらの構造物においては、安全性の観点から、使用される鋼材の母材靱性はもちろんのこと、溶接部の靱性に優れることが要請されている。一方で、これら構造物や船舶はますます大型化し、使用される鋼材の高強度化・厚肉化に伴い、溶接施工にはサブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接およびエレクトロスラグ溶接などの高能率な大入熱溶接が適用されている。このため、大入熱溶接により溶接施工したときに、溶接部の靱性に優れた鋼材が必要となっている。
しかし、一般に、溶接入熱量が大きくなると、溶接熱影響部(HAZ)の組織が粗大化するために、溶接熱影響部の靱性は低下することが知られている。このような大入熱溶接による靱性の低下に対して、これまでにも多くの対策が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、TiNの微細分散によるオーステナイト粒の粗大化抑制やフェライト変態核としての作用を利用する技術及びTiの酸化物を分散させる技術が開示されている。
TiNを主体に利用するこれらの従来技術には、TiNが溶解する温度域に加熱される溶接熱影響部においてはTiが有する上記の作用がなくなり、さらには地の組織が固溶Tiおよび固溶Nにより脆化して靱性が著しく低下するという問題があった。また、Ti酸化物を利用する技術では、酸化物を均一微細に分散させることが困難であるという問題があった。
これに対し、例えば特許文献2には、300kJ/cmを超える大入熱量で溶接した溶接熱影響部の靱性を向上させるためには、硫化物の形態制御に必要なCaを適正に含有させ、CaSを活用することが開示されている。酸化物に比べて低温で晶出するCaSを活用することで、これを微細に分散させ、これを核として析出するMnSやTiN、BN等フェライト変態生成核となる析出物を冷却中に微細に分散させた。これにより、溶接熱影響部の組織を微細なフェライトパーライトの組織とし、溶接熱影響部の高靱性化を達成することができた。
特開昭57−51243号公報 特許3546308号
しかしながら、溶接構造物の使用環境はより厳しくなる傾向にあり、例えば、サハリンを航行する船舶には今まで以上に低温靱性を向上した高強度低温靱性仕様が必要とされる。このような厳しい要求特性を満足するには大入熱溶接熱影響部靱性向上技術の更なる高性能化に対応することが必要である。
本発明では、降伏強度が390MPa以上の高強度鋼について、入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施した際の溶接熱影響部の低温靱性が、造船用厚鋼板の分野において、要求特性が最も厳しいF級鋼(日本海事協会 鋼船規則K編、M編、F級鋼:母材靱性:−60℃仕様、大入熱溶接継手靱性:−40℃仕様)の特性を兼ね備えた大入熱溶接用鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を行い、以下の知見を得た。
1.大入熱溶接熱影響部の靱性向上には、高温域でのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、その後の冷却過程において、前記オーステナイト粒の粒界ではなく粒内から生成するフェライト(以下、粒内フェライトと称する)の核生成を促進させ、この粒内フェライトの粒径を微細にすることが肝要である。
2.具体的な成分設計指針として、オーステナイト粒の粗大化抑制のため所望のTi、N量を確保すること、Ca、S、O量を適正に制御して粒内フェライトの各生成サイトを十分多量に確保し、その結果として粒内フェライトの粒径を微細にすることが有効である。本発明は、上記知見をもとに、さらに検討を加えてなされたものであり、すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.030〜0.120%、Si:0.50%以下、Mn:1.40〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.0005〜0.0040%、Al:0.005〜0.100%、Nb:0.003〜0.030%、Ti:0.004〜0.030%、B:0.0003〜0.0030%、N:0.0035〜0.0070%、Ca:0.0005〜0.0030%、O:0.0040%以下を含み、かつ、下記(1)式を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド近傍の熱影響部組織において、粒内フェライトの粒径が50μm以下であることを特徴とする大入熱溶接用鋼材。
0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.40・・・(1)
ただし、上記式中のCa、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
[2]さらに、下記(2)式を満たすことを特徴とする、[1]に記載の大入熱溶接用鋼材。
Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78・・・(2)
ただし、上記式中のMn、Cr、Mo、Vは各成分の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
[3]さらに、質量%で、V:0.20%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Cr:0.40%以下、Mo:0.40%以下、W:0.05〜0.40%の中から選ばれる1種以上を含有する[1]または[2]に記載の大入熱溶接用鋼材。
[4]さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.0050%、Zr:0.0010〜0.0200%、REM:0.0010〜0.0200%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の大入熱溶接用鋼材。
本発明によれば、300kJ/cmを超える大入熱溶接を施しても溶接熱影響部の強度と靱性に優れる鋼材を安価に得ることができる。したがって、本発明の鋼材は、サブマージアーク溶接、エレクトロガス溶接、エレクトロスラグ溶接などの大入熱溶接により施工される船舶や大型鋼構造物に好適に用いられる。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。まず、本発明において化学成分を限定した意義について説明する。本発明において、化学成分に関する%表示は全て質量%を意味している。
C:0.030〜0.120%
Cは、構造用鋼として必要な強度を得るためにその含有量の下限を0.030%とし、島状マルテンサイトの生成量を抑えるため、上限を0.120%とする。
Si:0.50%以下
Siは、鋼中に必ず含有される元素であり、母材の強度を向上する効果を有するが、0.50%を超えて含有すると、大入熱溶接熱影響部に島状マルテンサイトを生成して靱性を劣化させるため、上限を0.50%とする。
Mn:1.40〜2.00%
Mnは、母材の強度を確保するために、1.40%以上は必要であり、2.00%を超えると溶接部の靱性を劣化させる。したがって、Mnの範囲は、1.40〜2.00%とするが、好ましくは、1.40%〜1.78%の範囲であり、より好ましくは、1.40%〜1.60%の範囲である。
P:0.020%以下
Pは、不可避的に混入する不純物であり、0.020%を超えると、母材および溶接部の靱性を低下させるため、上限を0.020%とする。
S:0.0005〜0.0040%
Sは、所要のCaSあるいはMnSを生成するために0.0005%以上必要であり、0.0040%を超えると母材の靱性を劣化させる。したがって、Sの含有量は、0.0005〜0.0040%の範囲とする。
Al:0.005〜0.100%
Alは、鋼の脱酸上0.005%以上が必要であり、0.01%以上含有することが好ましいが、0.100%を超えて含有すると母材の靱性を低下させると同時に溶接金属の靱性を劣化させる。したがって、Alの含有量は、0.005〜0.100%の範囲とする。
Nb:0.003〜0.030%
Nbは、母材の強度・靱性および継手の強度を確保するのに有効な元素であるが、0.003%未満ではその効果が小さい。0.030%を超えて含有すると溶接熱影響部に島状マルテンサイトを形成することにより靱性が劣化する。したがって、Nbの含有量は、0.003〜0.030%の範囲とする。
Ti:0.004〜0.030%
Tiは、凝固時にTiNとなって析出し、溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制や粒界や粒内においてフェライト変態核となって高靱性化に寄与する。0.004%に満たないとその効果が少なく、0.030%を超えるとTiN粒子の粗大化によって期待する効果が得られなくなる。したがって、Tiの含有量は、0.004〜0.030%の範囲とする。好ましくは、0.006%〜0.028%の範囲である。
B:0.0003〜0.0030%
Bは、溶接熱影響部でBNを生成して、固溶Nを低減するとともにオーステナイト粒界や粒内においてフェライト変態核として作用する元素である。このような効果を奏するには0.0003%以上の含有が必要であるが、0.0030%を超えて添加すると焼入れ性が過度に増して靱性が劣化する。したがって、Bの含有量は、0.0003〜0.0030%の範囲とする。
N:0.0035〜0.0070%
Nは、TiNを形成させるためのTiと見合う量を確保することが必要であり、0.0035%未満では十分なTiN量が得られず、溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制やフェライト変態核として高靱性化に寄与する、などの効果が得られない。0.0070%を超えると溶接熱サイクルによってTiNが溶解する領域での固溶N量の増加によって靱性が著しく低下する。したがって、Nの含有量は、0.0035〜0.0070%の範囲とする。好ましくは、0.0037〜0.0070%の範囲とする。
Ca:0.0005〜0.0030%
Caは、CaSを形成することによりSを化学的に固定し靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには少なくとも0.0005%以上含有する必要があるが、0.0030%を超えて含有しても効果が飽和する。このため、本発明では、0.0005%〜0.0030%の範囲に限定する。
O:0.0040%以下
Oは、必ず含有するが、凝固時に酸化物となって析出するため、0.0040%を超えて含有すると、母材および溶接熱影響部の靱性が低下する。このため、Oの含有量は0.0040%以下とする。
0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.40・・・(1)ただし、Ca、O、Sは各成分の含有量を(質量%)を表す。
Ca、OおよびSは、0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.40の関係を満足するように含有させる必要がある。この場合には、CaS上にMnSが析出した複合硫化物の形態となる。Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値が0.40を超えると、粒内フェライトの核生成数が減少してフェライト粒を微細にすることができない。これとは逆に、Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値が0を超え、かつ0.40以下であれば、粒内フェライトの核生成数が顕著に増加して、後述のように、粒内フェライトの平均粒径を50μmとすることができる。
(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0の場合には、CaSが晶出しないためにSはMnS単独の形態で析出し、このMnSが鋼板製造時の圧延で伸長されて均一かつ微細に分散されないため、母材の靱性の低下を引き起こすとともに、溶接熱影響部での靭性向上が達成されない。したがって、0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.40とした。好ましくは、0.10≦(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S<0.30の範囲である。
Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78・・・(2)
ただし、上記式中のMn、Cr、Mo、Vは各成分の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
Mn+0.8×(Cr+Mo+V)が1.78を超えると、大入熱溶接熱影響部組織における島状マルテンサイト生成抑制効果が不十分となり、かつ、鉄母相の強度が過度に上昇し、試験温度−40℃での継手HAZ靭性の安定確保が困難となる。したがって、Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78とすることが好ましい。
本発明では、さらにV、Ni、Cu、Cr、Mo、Wの中から選ばれる1種以上を、それぞれ下記範囲内において選択的に含有することができる。V、Cr、Moを含有する場合は、Mn量との関係において、含有量を規定する。
V:0.20%以下
Vは、母材の強度・靱性の向上およびVNとしてのフェライト生成核として働き、この効果は0.05%以上含有することにより発揮されるが、0.20%を超えるとかえって靱性の低下を招く場合がある。したがって、Vを添加する場合は、0.20%以下とすることが好ましい。
Ni:1.00%以下
Niは、母材の高靱性を保ちつつ強度を上昇させる。この効果は0.10%以上含有することにより発揮されるが、1.00%を超えても効果が飽和する場合があるので、Niを添加する場合は、1.00%以下とすることが好ましい。
Cu:1.00%以下
Cuは、Niと同様の、母材の高靱性を保ちつつ強度を上昇させる。この効果は0.10%以上含有することにより発揮されるが、1.00%を超えると熱間脆性を生じ、鋼板の表面性状を劣化させる場合がある。したがって、Cuを添加する場合は、1.00%以下とすることが好ましい。
Cr:0.40%以下
Crは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果は0.03%以上含有することにより発揮されるが、過剰に添加すると靱性に悪影響を与えることがあるため、上限を0.40%とすることが好ましい。
Mo:0.40%以下
Moは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果は0.05%以上含有することにより発揮されるが、過剰に添加すると靱性に悪影響を与えることがある。したがって、Moを添加する場合は、0.40%以下とすることが好ましい。
W:0.05〜0.40%
Wは、母材の高強度化に有効な元素であり、この効果は0.05%以上含有することにより発揮されるが、過剰に添加すると靱性に悪影響を与えることがある。したがって、Wを添加する場合は、0.05〜0.40%とすることが好ましい。
本発明では、さらにMg、Zr、REMの中から選ばれる1種以上を下記範囲内において含有させることができる。
Mg:0.0005〜0.0050%
Mgは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには0.0005%以上含有することが好ましいが、0.0050%を超えて含有しても効果が飽和することがある。したがって、Mgを添加する場合は、0.0005〜0.0050%とすることが好ましい。
Zr:0.0010〜0.0200%
Zrは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには0.0010%以上含有することが好ましいが、0.0200%を超えて含有しても効果が飽和することがある。したがって、Zrを添加する場合は、0.0010〜0.0200%とすることが好ましい。
REM:0.0010〜0.0200%
REMは、酸化物の分散による靱性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには0.0010%以上含有することが好ましいが、0.0200%を超えて含有しても効果が飽和することがある。したがって、REMを添加する場合は0.0010〜0.0200%とすることが好ましい。
溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド近傍の熱影響部組織において、粒内フェライトの粒径が50μm以下であること
溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を対象としたのは、このような大入熱溶接の場合に島状マルテンサイトが生成しやすいので、この生成を防止するためである。
ボンド近傍の熱影響部組織とは、溶接金属と母鋼板の境界からおよそ0.5mm母材の鋼板側に入った位置までの間の領域をいう。
粒内フェライトの粒径は後述するように画像解析装置を用いて測定することができる。粒内フェライトの粒径が50μm以下としたのは、50μm以下であれば靱性を安定的に確保することができる。50μmを超えると靱性値のバラツキが大きくなる。
本発明においては、前述のように、Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値を、0より大きく、かつ、0.40以下の範囲に制限することにより、TiNの析出挙動制御による溶接熱影響部でのオーステナイトの粗大化抑制や高靱性化効果と相俟って、溶接熱影響部の粒内フェライトの粒径を50μm以下の細粒に制御することができ、その結果、溶接熱影響部において優れた靱性を達成する。
なお、本発明の鋼材は、例えば、以下のようにして製造される。まず溶銑を転炉で精錬して鋼とした後、RH脱ガスを行い、連続鋳造または造塊−分塊工程を経て鋼片とする。これを再加熱し、熱間圧延後放冷するか、あるいはまた、前記熱間圧延後に、加速冷却、直接焼入れ−焼戻し、再加熱焼入れ−焼戻し、再加熱焼準−焼戻しなどの工程を経て製造することができる。
次に本発明を実施例に基づいて説明する。
150kgの高周波溶解炉にて、表1に示す組成の鋼を溶製し、厚さ170mmのスラブとした。このスラブを1150℃に1時間加熱後、仕上圧延温度が板厚中心温度で830℃である熱間圧延を行なって板厚50mmに仕上げた後、10℃/sの冷却速度(板厚中心部)で加速冷却した。得られた厚鋼板の1/4t(t:板厚)の位置でC方向(圧延方向と垂直方向)から平行部14mmφ×85mm、標点間距離70mmの丸棒引張試験片を、1/4tの位置のL方向(圧延方向)から2mmVノッチシャルピー試験片を採取し、母材の強度(YS、TS)と靱性を評価した。
Figure 2013147740
さらに、溶接継手熱影響部の特性を評価するため、大入熱溶接(400〜500kJ/cm)のエレクトロガス溶接(EGW)によって継手を作製した後、HAZ靱性を、板厚方向の表面と裏面1mm位置についてボンド部にノッチを入れたシャルピー試験片を用いて、試験温度−40℃での吸収エネルギー(3本の試験片の平均値、「vE−40℃」と記載する。)により評価した。目標特性は、大入熱溶接継手シャルピー靱性が−40℃仕様のF級鋼を対象として、溶接継手HAZ靱性で吸収エネルギーvE−40℃≧50Jとした。
溶接熱影響部における粒内フェライトの粒径は、光学顕微鏡写真5枚(倍率:50〜200倍)を用いて切断法を用いて評価した。偏平した結晶粒についてはその短片を測定した。粒内フェライトとしては、まずオーステナイト粒界を優先的に腐食する腐食液で腐食して、いわゆる旧オーステナイト粒界を現出させてこれをトレースした後、その内部に生成したフェライト組織を対象とした。表2に、粒内フェライトの粒径と、HAZ靱性を母材の機械的性質とともに示す。
Figure 2013147740
表2から、本発明例ではあるNo.1〜8ではいずれも降伏応力YSが390N/mm以上、引張強さTSが510N/mm以上で脆性破面遷移温度(vTrs)も−80℃以下と優れた母材特性を有していることが確認された。また、本発明鋼は、溶接熱影響部の吸収エネルギーvE−40℃が50J以上であり、溶接熱影響部靱性にも優れている。一方、化学成分や(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値、粒内フェライトの粒径の少なくとも1つ以上が本発明範囲を外れる比較例であるNo.9〜20は、上記のいずれか1つ以上の特性が劣っている。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.030〜0.120%
    Si:0.50%以下
    Mn:1.40〜2.00%
    P:0.020%以下
    S:0.0005〜0.0040%
    Al:0.005〜0.100%
    Nb:0.003〜0.030%
    Ti:0.004〜0.030%
    B:0.0003〜0.0030%
    N:0.0035〜0.0070%
    Ca:0.0005〜0.0030%
    O:0.0040%以下
    を含み、かつ、下記(1)式を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を施したときのボンド近傍の熱影響部組織において、粒内フェライトの粒径が50μm以下であることを特徴とする大入熱溶接用鋼材。
    0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S≦0.40・・・(1)
    ただし、上記式中のCa、O、Sは各成分の含有量(質量%)を表す。
  2. さらに、下記(2)式を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の大入熱溶接用鋼材。
    Mn+0.8×(Cr+Mo+V)≦1.78・・・(2)
    ただし、上記式中のMn、Cr、Mo、Vは各成分の含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0とする。
  3. さらに、質量%で、V:0.20%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Cr:0.40%以下、Mo:0.40%以下、W:0.05〜0.40%の中から選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載の大入熱溶接用鋼材。
  4. さらに、質量%で、Mg:0.0005〜0.0050%、Zr:0.0010〜0.0200%、REM:0.0010〜0.0200%の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の大入熱溶接用鋼材。
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