JP2002235114A - 大入熱溶接部靱性に優れた厚肉高張力鋼の製造方法 - Google Patents

大入熱溶接部靱性に優れた厚肉高張力鋼の製造方法

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JP2002235114A
JP2002235114A JP2001028380A JP2001028380A JP2002235114A JP 2002235114 A JP2002235114 A JP 2002235114A JP 2001028380 A JP2001028380 A JP 2001028380A JP 2001028380 A JP2001028380 A JP 2001028380A JP 2002235114 A JP2002235114 A JP 2002235114A
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Katsuyuki Ichinomiya
克行 一宮
Kenji Oi
健次 大井
Kenichi Amano
虔一 天野
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 350kJ/cmを超える大入熱溶接部で十分な靱性
が得られる鋼材の製造方法を提供する。 【解決手段】C:0.05〜0.15mass%、Si:0.05〜0.50ma
ss%、Mn:1.0 〜2.0 mass%、P:0.015 mass%以下、
S:0.0050mass%以下、Al:0.005 〜0.06mass%、Nb:
0.05mass%以下、Ti:0.006 〜0.02mass%、N:0.0035
〜0.0070mass%、B:0.0003〜0.0020mass%、Ca:0.00
05〜0.0030mass%を含み、かつ、Ca、O、S、B、N、
Tiの各含有量は、下記 (1) (2)式を満たして含有し、残
部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を1050〜12
00℃に加熱後、950 ℃以上の温度域における累積圧下率
が30%以上かつ、950 ℃未満の温度域における累積圧下
率が40〜70%となる熱間圧延を施し、その後直接焼入れ
または制御冷却により2℃/s 以上の冷却速度で冷却す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造船、建築、土木
等の各発明の分野で使用される鋼材に係わり、特に溶接
入熱が350kJ/cmを超える大入熱溶接が施される板厚が50
mm以上の厚肉高張力鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】造船、建築、土木等の各分野で使用され
る鋼材は、一般に、溶接接合により所望の形状の構造物
に仕上げられる。こうした構造物においては、安全性の
観点から、使用される鋼材の母材靱性はもちろんのこ
と、溶接部靱性に優れることが要求される。その際、最
も問題となるのは、溶接部、特にボンド部の靱性であ
る。ボンド部は、大入熱溶接時に溶融点直下の高温にさ
らされ、オーステナイトの結晶粒がもっとも粗大化する
位置である。そして、引き続いての冷却により、脆弱な
上部ベイナイト組織に変態しやすくなる。さらに、ウッ
ドマンステッテン組織や島状マルテンサイトといった脆
化組織も生成するために、ボンド部靱性が劣化する。
【0003】ところで、ボンド部の靱性改善策として、
TiNの微細分散によるオーステナイトの粗大化抑制やフ
ェライト変態核としての利用技術が実用化されてきた。
また、特公平03−53367号公報や入熱量230kJ/cm
の溶接ボンド部での靱性改善を目指した特開昭60−1
84663号公報では、希土類元素(REM)をTiと複
合添加して、鋼中に分散する微細粒子によりオーステナ
イトの粒成長を防止し、溶接部の靱性向上を図る方法が
示されている。さらに、Tiの酸化物を分散させる技術や
BNのフェライト核生成能を組み合わせる技術も開発さ
れている。このほか、CaやREMを添加することで硫化
物の形態を制御し、より高靱性を得られることが知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来技術においては、安定した靱性が得られる鋼材の製
造が困難であったり、350kJ/cmを超える大入熱溶接部で
は十分な靱性が得られないという問題があった。すなわ
ち、TiNを主体に利用する技術については、TiNが溶解
する温度域に加熱される溶接部において、その作用がな
くなり、さらには固溶TiおよびNによる地の組織の脆化
によって著しく靱性の低下が見られた。また、Tiの酸化
物を使った技術について、酸化物の微細分散が十分均質
にできない問題があった。
【0005】近年になって、船舶や構造物の一層の大型
化が進んでおり、使用される鋼材はより高強度化、厚肉
化が求められている。しかしながら、高強度化、厚肉化
を行うには合金元素の添加が必要となり、一方で、合金
元素の添加は溶接部の靱性低下を招くのが一般的であ
る。したがって、厚肉材のように比較的冷却速度が遅い
場合においても合金元素添加量を増加させずに、母材の
強度を向上させる必要性が高まっている。そこで、本発
明は、350kJ/cmを超える大入熱溶接部で十分な靱性が得
られる鋼材の製造方法を提供することを目的とし、しか
もこの靱性改善を合金元素を極力少量で有効に使用する
ことにより達成することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、大入熱溶接
部の靱性とともに、厚肉材の母材強度・靱性を改善する
方法について、研究、検討を重ねた。まず、発明者らは
大入熱溶接部とくに溶接ボンド部の靱性が脆化組織に起
因することを見出し、この脆化組織が硫化物の形態を制
御するために添加されているCaの添加方法を制御するこ
とで大きく改善することを新たに知見した。すなわち、
大入熱溶接部の高靱性化には、高温に加熱された領域に
おけるオーステナイトの粗大化抑制と加熱後の冷却時に
おけるフェライト変態促進のための変態核の微細分散が
必要であり、従来技術ではいずれもこれらが不十分であ
った。本発明では鋼を溶製する際の凝固段階でCaSを晶
出させる。CaSは酸化物に比べて低温で晶出するために
微細均一分散を可能にする。さらにはCa、Sの添加量お
よび添加時の溶鋼中の溶存酸素量を制御することによっ
て、CaSの晶出後に固溶S量を確保すると、CaSの表面
上にMnSが析出することを見出した。MnSにはフェライ
ト核生成能があることが知られており、さらにはその周
囲にMnの希薄帯を形成されるとフェライト変態が促進さ
れる。また、MnS上にTiN,BN,AlN等のフェライト
生成核が析出することによって、より一層フェライト変
態を促進することも新たに知見した。これらの技術によ
って高温でも溶解しないフェライト変態生成核を微細分
散させることに成功し、大入熱溶接部の組織を微細化
し、高靱性化を達成した。
【0007】次に、Ti,B,N量を変化させた鋼を用い
て、母材特性に及ぼす圧延条件の影響を検討した。その
結果、Ti,B,N含有量と未再結晶域での圧下率の適正
化により、鋼板組織をアシキュラ−フェライト主体の組
織とすることで母材の強度・靱性に優れた厚肉高張力鋼
を製造できることを見出した。このようにして完成した
本発明の要旨構成は以下のとおりである。
【0008】(1)C:0.05〜0.15mass%、Si:0.05〜0.5
0mass%、Mn:1.0 〜2.0 mass%、P:0.015 mass%以
下、S:0.0050mass%以下、Al:0.005 〜0.06mass%、
Nb:0.05mass%以下、Ti:0.006 〜0.02mass%、N:0.
0035〜0.0070mass%、B:0.0003〜0.0020mass%、Ca:
0.0005〜0.0030mass%を含み、かつ、Ca、O、S、B、
N、Tiの各含有量は、下記 (1) (2)式を満たして含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を10
50〜1200℃に加熱後、950℃以上の温度域における累積
圧下率が30%以上かつ、950 ℃未満の温度域における累
積圧下率が40〜70%となる熱間圧延を施し、その後直接
焼入れまたは制御冷却により2℃/s 以上の冷却速度で
冷却することを特徴とする大入熱溶接部靱性に優れた厚
肉高張力鋼の製造方法。 記 O<(Ca −(0.18 +130 ×Ca) ×O) /1.25/S<1----(1) −0.0025<B−0.77×(N−Ti/3.41) <0.0010 ---- (2) ただし、Ca、O、S、B、N、Tiは各成分の含有量(ma
ss%)を表す。また、(2) 式でN−Ti/3.41が負となっ
た場合は、N−Ti/3.41を0とする。
【0009】(2) 上記 (1)において鋼素材が、さらに
V:0.2 mass%以下、Cu:1.0 mass%以下、Ni:1.5 ma
ss%以下、Cr:0.7 mass%以下、Mo:0.7 mass%以下か
ら選ばれる少なくとも1種または2種以上を含有する組
成になる、大入熱溶接部靱性に優れた厚肉高張力鋼の製
造方法。
【0010】(3) 上記 (1)または (2)における直接焼
入れまたは制御冷却の後、450 〜650℃の温度範囲で焼
戻しを施すことを特徴とする大入熱溶接部靱性に優れた
厚肉高張力鋼の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基礎となった実験
結果を説明する。質量%で、C:0.08%、Si:0.2 %、
Mn:1.5 %を基本成分とし、Ti:0.008〜0.015 %、
B:0〜0.0015%、N:0.0035〜0.0072%の範囲で変化
させた鋼を、1150℃に加熱後、 950℃以上の圧下率40
%、熱延終了温度850 ℃とし、 950℃未満〜850 ℃で累
積圧下率を変化させて圧延した後、5℃/sで冷却し
た。得られた厚鋼板の組織からアシキュラ−フェライト
面積率および強度・靱性を評価した。図1に、縦軸に 9
50℃未満における累積圧下率、横軸にB−0.77×(N−
Ti/3.41)(ただし(N−Ti/3.41がマイナスとなった
場合は、N−Ti/3.41を0とする) をとり、アシキュラ
−フェライト面積率が50%以上、降伏強さYP≧390N/mm
、−40℃での吸収エネルギーvE−40≧200Jの領域を
示す。図1から、YP≧390 N/mmかつvE−40≧200Jの
領域は、アシキュラ−フェライト面積率が50%以上の領
域とほぼ一致する。これらの事実から、アシキュラ−フ
ェライト組織を得るには、粒界からのフェライト粒の生
成を抑制することが重要であり、この作用は、オーステ
ナイト粒界に偏析した微量の固溶Bにより達成されてい
ると考えられる。また、 950℃未満の累積圧下率が70%
を超えると、蓄積される歪エネルギーが高くなり、粒界
フェライトの生成を促進するため、累積圧下率には上限
があると考えられる。このように適切なTi,B,Nの添
加量と未再結晶域圧下量の組み合わせにより高強度かつ
高靱性鋼を製造できることが分かった。
【0012】次に各成分の限定理由について説明する。 C:0.05〜0.15mass% C量は、構造用鋼として必要な強度を得るために下限を
0.05mass%とし、溶接割れ性を劣化させるので上限を0.
15mass%とする。
【0013】Si:0.05〜0.50mass% Siは、製鋼上0.05mass%以上が必要であり、0.50mass%
を超えると母材の靱性を劣化させる。
【0014】Mn:1.0 〜2.0 mass% Mnは、母材の強度を確保するために、1.0 mass%以上は
必要であり、2.0 mass%を超えると溶接部の靱性を著し
く劣化させる。
【0015】P:0.015 mass%以下 Pは、0.015 mass%を超えると溶接部の靱性を劣化させ
る。
【0016】S:0.0050mass%以下 Sは、0.0050mass%を超えて含有すると、母材および溶
接部の靱性を劣化させる。
【0017】Al:0.005 〜0.06mass% Alは、鋼の脱酸上0.005 mass%以上は必要であり、0.06
mass%を超えて含有すると母材の靱性を低下させると同
時に溶接金属の靱性を劣化させる。
【0018】Nb:0.05mass%以下 Nbは、制御圧延を行う鋼で不可欠な元素であり、鋼の強
化に有効な元素であるが、0.05mass%を超える含有は溶
接部靱性を劣化させる。
【0019】Ti:0.006 〜0.02mass% Tiは、凝固時にTiNとなって析出し、溶接部でのオース
テナイトの粗大化抑制やフェライト変態核となって高靱
性化に寄与する。0.006 mass%以下ではその効果が少な
く、0.02mass%を超えるとTiN粒子の粗大化によって期
待する効果が得られなくなる。
【0020】N:0.0035〜0.0070mass% Nは、TiNの必要量を確保するうえで必要な元素であ
り、0.0035mass%未満では十分なTiN量が不足し、0.00
70mass%を超えると溶接熱サイクルによってTiNが溶解
する領域での固溶N量の増加によって靱性を著しく低下
させる。
【0021】B:0.0003〜0.0020mass% Bは、オーステナイト粒界に偏析することで粒界からの
フェライト変態を抑え、高強度化する効果がある。ま
た、溶接ボンド部では、TiNの固溶により生じたフリー
NをBNとして固定することで靱性を向上させるが、こ
の効果を得るには0.0003%以上必要である。しかし、0.
0020%を超えて添加すると逆に靱性が劣化するので、こ
れを上限とした。
【0022】Ca:0.0005〜0.0030mass% Caは、Sの固定による靱性改善効果を有する元素であ
る。このような効果を発揮させるには少なくとも0.0005
mass%以上含有することが好ましいが、0.0030mass%を
超えて含有しても効果が飽和する。このため、本発明で
は、0.0005mass%から0.0030mass%の範囲に限定する。
【0023】O<(Ca −(0.18 +130 ×Ca) ×O) /1.
25/S<1(ここに、Ca,O,S:各元素の含有量(ma
ss%)) CaおよびSは、O<(Ca −(0.18 +130 ×Ca) ×O) /
1.25/S<1の関係を満足するように含有する必要があ
る。この場合、CaS上にMnSが析出した複合硫化物の形
態となる。(Ca −(0.18 +130 ×Ca) ×O) /1.25/S
≦0の場合には、CaSが晶出しないためにSはMnS単独
の形態で析出する。このMnSは鋼板製造時の圧延で伸長
されて母材の靱性の低下を引き起こすとともに、本発明
の主眼である溶接熱影響部での微細分散が達成されな
い。一方、1≦(Ca −(0.18 +130×Ca) ×O) /1.25
/Sの場合には、Sが完全にCaによって固定され、フェ
ライト生成核として働くMnSがCaS上に析出しないため
に十分な機能が発揮されない。
【0024】−0.0025<B−0.77×(N−Ti/3.41) <
0.0010(ただし、なお、N−Ti/3.41が負となった場合
は、N−Ti/3.41を0とする。B,N,Ti:各元素の含
有量(mass%)) 本発明では、B,N,Tiは、上記各含有量の範囲内で、
かつ(2) 式を満足するように調整することによって、母
材のアシキュラ−フェライト面積率を増加させることが
できる。この式を満たす微量のBを、圧延時にオーステ
ナイト粒界に偏析させることにより、粒界から生成する
ポリゴナルフェライトの生成を押さえ、オーステナイト
粒内にアシキュラ−フェライトを生成させるようにする
のである。
【0025】本発明では、さらに強度および靱性を高め
るために、V、Cu、Ni、Cr、Moから選ばれる少なくとも
1種または2種以上を含有することができる。 V:0.2 mass%以下 Vは、母材の強度・靱性の向上およびVNとしてのフェラ
イト生成核として働くが0.2 mass%を超えるとかえって
靱性の低下を招く。
【0026】Ni:1.5 mass%以下 Niは、母材の高靱性を保ちつつ強度を上昇させるが、1.
5 mass%を超えても効果が飽和するのでこの含有量を上
限とした。
【0027】Cu:1.0 mass%以下 Cuは、Niと同様の働きを有しているが、1.0 %を超える
と熱間脆性を生じ、鋼板の表面性状を劣化させる。
【0028】Cr:0.7 mass%以下 Crは、母材の高強度化に有効な元素であるが、多量に添
加すると靱性に悪影響を与えるために上限を0.7 mass%
とする。
【0029】Mo:0.7 mass%以下 Moは、母材の高強度化に有効な元素であるが、多量に添
加すると靱性に悪影響を与えるために上限を0.7 mass%
とする。
【0030】上記した組成の溶鋼を、転炉、電気炉、真
空溶解炉等通常の方法で溶製し、連続鋳造法、造塊法な
ど通常の鋳造方法でスラブ等の圧延素材とする。この素
材から厚肉の高張力鋼を製造するには、次に示す製造工
程が有利に適合する。すなわち、上述した基本組成に成
分調整した鋼素材を、まず1050〜1200℃の温度範囲に加
熱する。1050℃以上に加熱するのはB析出物を完全に固
溶するためであり、一方1200℃を超える温度に加熱する
とTiNが粗大化することにより溶接部の靱性が劣化す
る。したがって、加熱温度は1050〜1200℃の範囲とす
る。
【0031】鋼材の加熱に次いで、950 ℃以上の温度域
において累積圧下率30%以上となる、熱間圧延を施す。
この温度域では、圧延によってオーステナイト粒が再結
晶するため、組織を微細にすることができる。30%未満
では、加熱時の異常粗大粒が残存し、母材の靱性に悪影
響を及ぼすため、下限を30%とする。
【0032】引き続き、950 ℃未満の温度域での圧延
を、累積圧下率が40〜70%として熱間圧延を終了する。
なお、熱間圧延の終了温度は、二相域圧延による異方性
の増大防止や圧延能率向上の点から、760 ℃以上とする
ことが望ましい。この温度域ではオーステナイト粒の再
結晶は起こらず、オーステナイト粒は扁平に変形し、か
つ内部に変動帯などの欠陥が導入される。この蓄積され
た内部エネルギーがその後のフェライト変態の駆動力に
加えられるわけであるが、圧下率が40%以下では蓄積さ
れる内部エネルギーが十分でないため、フェライト変態
が起き難く、ベイナイト組織が生成する。また、70%以
上では、逆に粒界フェライトの生成が促進され、アシキ
ュラ−フェライトの生成が抑制される。しかし、前述の
式(2) に併せて、圧下率を40〜70%にすると母材組織が
アシキュラ−フェライト組織主体となり、強度・靱性に
優れた鋼材が製造できる。
【0033】熱間圧延後の冷却は、直接焼入れを行う
か、冷却速度が2℃/s 以上(板厚1/4位置での値)
の制御冷却法で行う。2℃/s 以下の冷却速度では、固
溶Bをオーステナイト粒界に偏析させた場合でも、粒界
から生成するポリゴナルフェライトを押さえられないた
め、下限を2℃/s とする。
【0034】本発明においては、さらに焼戻工程を付加
してもよい。焼戻しは、鋼板の残留応力を除去する必要
が生じた場合に行う。しかし、この焼戻し温度が650 ℃
を超えると各種炭窒化物の生成による析出強化のため
に、靱性の劣化が生じるようになるので、上限を650 ℃
とする。また、450 ℃未満では残留応力除去の効果がな
いため、下限を450 ℃とする。
【0035】
【実施例】次に本発明の効果を実施例に基づいて説明す
る。表1に示す種々の成分組成に調整した鋼スラブを用
いて、表2および表3に示す条件にしたがって、厚鋼板
を製造した。かくして、得られた各厚鋼板について、引
張試験及びシャルピー試験を実施した。引張試験は、各
鋼板の板厚1/4 位置から、JIS 4号引張試験片を採取
し、降伏強さYP、引張強さTSを求めた。シャルピー衝撃
試験は、各鋼板の板厚1/4 位置から、JIS 4号衝撃試験
片を採取し、−40℃での吸収エネルギー(vE−40)を求
めた。
【0036】また、各鋼板から採取した継手用試験板
に、V開先を施し、エレクトロガスアーク溶接により、
溶接継手を作製した。これら溶接継手から切り欠き位置
をボンド部とするJIS 4号衝撃試験片を採取し、試験温
度−40℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギ
ー(vE−40)を求めた。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】これらの表から、本発明例は、降伏強さ39
0 N/mm以上の強度とvE−40が200J以上の吸収エネルギ
ーを有し、母材の強度・靱性に優れる上、さらにエレク
トロガスアーク溶接継手ボンド部のvE−40が45J 以上
と、大入熱溶接を施しても優れた溶接部靱性を有する鋼
材となっている。これに対し、本発明の範囲を外れる比
較例は、降伏応力が390 N/mm以下、母材のvE−40が84
J 以下と母材強度の低下または母材靱性の劣化が見られ
るか、あるいは溶接ボンド部のvE−40が28J 以下と、溶
接部靱性が劣化している。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
350kJ/cmを超える大入熱溶接を行っても優れた溶接部靱
性が得られるとともに、390 N/mm以上の降伏強さを有
する、板厚50mmを超える厚肉鋼材を安価に製造でき、構
造物の大型化や施工能率を顕著に向上できるという、産
業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アシキュラ−フェライト面積率が50%以上、降
伏強さが390 N/mm以上および−40℃でのシャルピー吸
収エネルギーが200J以上となる領域に及ぼす、 950℃未
満における累積圧下率およびB−0.77×(N−Ti/3.4
1)の影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 虔一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA05 AA08 AA16 AA21 AA22 AA27 AA29 AA31 AA35 BA01 CA02 CB02 CC03 CD02 CD06 CF01 CF02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.05〜0.15mass%、 Si:0.05〜0.50mass%、 Mn:1.0 〜2.0 mass%、 P:0.015 mass%以下、 S:0.0050mass%以下、 Al:0.005 〜0.06mass%、 Nb:0.05mass%以下、 Ti:0.006 〜0.02mass%、 N:0.0035〜0.0070mass%、 B:0.0003〜0.0020mass%、 Ca:0.0005〜0.0030mass%を含み、かつ、Ca、O、S、
    B、N、Tiの各含有量は、下記 (1) (2)式を満たして含
    有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼素材を
    1050〜1200℃に加熱後、950℃以上の温度域における累
    積圧下率が30%以上かつ、950 ℃未満の温度域における
    累積圧下率が40〜70%となる熱間圧延を施し、その後直
    接焼入れまたは制御冷却により2℃/s 以上の冷却速度
    で冷却することを特徴とする大入熱溶接部靱性に優れた
    厚肉高張力鋼の製造方法。 記 O<(Ca −(0.18 +130 ×Ca) ×O) /1.25/S<1----(1) −0.0025<B−0.77×(N−Ti/3.41) <0.0010 ---- (2) ただし、Ca、O、S、B、N、Tiは各成分の含有量(ma
    ss%)を表す。また、(2) 式でN−Ti/3.41が負となっ
    た場合は、N−Ti/3.41を0とする。
  2. 【請求項2】請求項1において鋼素材が、さらに V:0.2 mass%以下、 Cu:1.0 mass%以下、 Ni:1.5 mass%以下、 Cr:0.7 mass%以下、 Mo:0.7 mass%以下から選ばれる少なくとも1種または
    2種以上を含有する組成になる、大入熱溶接部靱性に優
    れた厚肉高張力鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】請求鋼1または2における直接焼入れまた
    は制御冷却の後、450 〜650 ℃の温度範囲で焼戻しを施
    すことを特徴とする大入熱溶接部靱性に優れた厚肉高張
    力鋼の製造方法。
JP2001028380A 2001-02-05 2001-02-05 大入熱溶接部靱性に優れた厚肉高張力鋼の製造方法 Pending JP2002235114A (ja)

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