JP2008266758A - 低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材ならびにその製造方法 - Google Patents

低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材ならびにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】引張強度が600MPa以上の低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材ならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼材、好ましくは、質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.01〜0.8%、Mn:1.0〜2.0%、Al:0.005〜0.1%、N:0.0005〜0.008%、P:0.02%以下、S:0.004%以下、必要に応じて、Mo、Nb、V、Ti、Cu、Ni、Cr、Wの一種または二種以上の元素を含有し、その板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比が1.2〜4.0で、且つ鋼板の板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比が1.2〜4.0で、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼。鋳造後、Ar3変態点以下に冷却することなく、あるいはAc3変態点以上に再加熱後、未再結晶域における圧下率が10%以上60%以下の熱間圧延によって所定の板厚とし、引続きAr3変態点以上から2℃/秒以上の平均冷却速度で350℃以下の温度まで冷却した後、板厚中心部での最高到達温度をAc1変態点以下として焼戻す。
【選択図】なし

Description

本発明は、低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材ならびにその製造方法に関し、特に引張強度が600MPa以上の低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材として好適なものに関する。
近年、建設産業機械・タンク・ペンストック・ラインパイプ等の鋼材使用分野では、構造物の大型化を背景として、使用する鋼材の高強度化および厚肉化が指向されると共に、鋼材使用環境の苛酷化が進んでいる。
しかし、このような鋼材の高強度化および厚肉化は、一般的に低温靭性を劣化させると共に、板内部の強度異方性を大きくさせる傾向を示し、寒冷地での使用や鋼材の加工の面で問題になる場合が認められた。
このため、特許文献1等で、鋼組織を考慮した成分設計を通じて、優れた低温靭性を有する鋼板の製造方法が提案される一方、特許文献2等で、集合組織の板厚方向の分布を制御することによって、強度異方性を小さくする鋼板の製造方法が提案されてきた。
特開2004−323917号公報 特許第3643556号公報
しかしながら、上記特許文献1、2等に記載されている方法によっても、強度レベルが高くなると低温靭性の劣化および強度異方性が大きくなり、特に強度が900MPa以上、板厚30mm以上で、より優れた低温靭性を有し、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材ならびにその製造方法が求められていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、強度が600MPa以上、特に900MPa以上で、板厚が30mm以上の従来の鋼材より低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
集合組織の発達は、通常、材料の強度異方性をもたらす原因になる一方、セパレーションを生じるために塑性変形量が小さくなる低温域でも脆性破壊しにくい特徴を有する。
本発明者らは、集合組織の発達を積極的に制御することによって、脆性破壊しにくい性質を保ちつつ、強度異方性を小さくさせるため研究を鋭意重ねた結果、特にMnの添加量および未再結晶域における圧延加工、圧延後の冷却時における冷却速度を適正にコントロールすることによって、最適な集合組織の分布が達成され、従来材よりも優れた低温靭性を有し、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材が得られることを見出した。
本発明は、以上に示した知見に基づき、更に検討を加えてなされたものであって、以下の低温靭性に優れかつ強度異方性が小さい高張力鋼材ならびにその製造方法を提供する。
1.鋼板の板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比が1.2〜4.0、且つ鋼板の板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比が1.2〜4.0であることを特徴とする、低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材。
2.質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.01〜0.8%、Mn:1.0〜2.0%、Al:0.005〜0.1%、N:0.0005〜0.008%、P:0.02%以下、S:0.004%以下の元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を鋳造後、Ar3変態点以下に冷却することなく、あるいはAc3変態点以上に再加熱後、未再結晶域における圧下率が10%以上60%以下の熱間圧延によって所定の板厚とし、引続きAr3変態点以上から2℃/秒以上の平均冷却速度で350℃以下の温度まで冷却した後、板厚中心部での最高到達温度をAc1変態点以下として焼戻すことを特徴とする低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材の製造方法。
3.鋼組成に、更に、質量%で、Mo:1%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下、Ti:0.1%以下、Cu:2%以下、Ni:4%以下、Cr:2%以下、W:2%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする、2に記載の低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材の製造方法。
4.鋼組成に、更に、質量%で、B:0.003%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.02%以下(注:REMとはRare Earth Metalの略、希土類)、Mg:0.01%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする、2または3に記載の低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材の製造方法。
本発明によれば、引張強度が600MPa以上、特に900MPa以上で、板厚が30mm以上の低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材の製造が可能となり、産業上極めて有用である。
[成分組成]
本発明における成分の限定理由について述べる。化学成分組成を示す%は、何れも質量%である。
C:0.02〜0.25%
Cは、強度を確保するために含有するが、0.02%未満ではその効果が不十分であり、一方、0.25%を超えると母材および溶接熱影響部の靭性が劣化するとともに、溶接性が著しく劣化する。従って、C含有量を0.02〜0.25%に限定する。
Si:0.01〜0.8%
Siは、製鋼段階の脱酸材および強度向上元素として含有するが、0.01%未満ではその効果が不十分であり、一方、0.8%を超えると粒界が脆化し、遅れ破壊の発生を促進する。従って、Si含有量を0.01〜0.8%に限定する。
Mn:1.0〜2.0%
Mnは、鋼板の板厚1/4位置の{110}面および鋼板の板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比をそれぞれ1.2〜4.0に制御するために含有するが、1.0%未満ではX線ランダム強度比が1.2未満となり、一方、2.0%を超えるとX線ランダム強度比が4.0を超える。従って、Mn含有量を1.0〜2.0%に限定する。
Al:0.005〜0.1%
Alは、脱酸材として添加すると同時に、結晶粒径の微細化にも効果があるが、0.005%未満の場合にはその効果が十分でなく、一方、0.1%を超えて含有すると、鋼板の表面疵が発生し易くなる。従って、Al含有量を0.005〜0.1%に限定する。
N:0.0005〜0.008%
Nは、Tiなどと窒化物を形成することによって組織を微細化し、母材ならびに溶接熱影響部の靭性を向上させる効果を有するために含有する。0.0005%未満の含有では組織の微細化効果が充分にもたらされず、一方、0.008%を超える含有は固溶N量が増加するために母材および溶接熱影響部の靭性を損なう。従って、N含有量を0.0005〜0.008%に限定する。
P:0.02%以下
不純物元素であるPは、焼戻し処理時に旧オーステナイト粒界等の結晶粒界に偏析しやすく、0.02%を超えると隣接結晶粒の接合強度を低下させ、低温靭性や耐遅れ破壊特性を劣化させる。従って、P含有量を0.02%以下に限定する。
S:0.004%以下
不純物元素であるSは、非金属介在物であるMnSを生成しやすく、0.004%を超えると、介在物の量が多くなりすぎて延性破壊の強度が低下し、低温靭性や耐遅れ破壊特性を劣化させる。従って、S含有量を0.004%以下に限定する。
本発明では、所望する特性に応じて更に以下の成分を含有することができる。
Mo:1%以下
Moは、焼入れ性および強度を向上する作用を有すると同時に、炭化物を形成することによって、拡散性水素をトラップし、耐遅れ破壊特性を向上させるが、1%を超える添加は経済性が劣る。
従って、Moを添加する場合には、その含有量を1%以下に限定する。ただし、Moは焼戻し軟化抵抗を大きくする作用を有し、強度を900MPa以上確保するためには0.2%以上添加することが好ましい。
Nb:0.1%以下
Nbは、マイクロアロイング元素として強度を向上させると同時に、炭化物や窒化物、炭窒化物を形成することによって、拡散性水素をトラップし、耐遅れ破壊特性を向上させるが、0.1%を超える添加は溶接熱影響部の靭性を劣化させる。従って、Nbを添加する場合には、その含有量を0.1%以下に限定する。
V:0.5%以下
Vは、マイクロアロイング元素として強度を向上させると同時に、炭化物や窒化物、炭窒
化物を形成することによって、拡散性水素をトラップし、耐遅れ破壊特性を向上させるが、0.5%を超える添加は溶接熱影響部の靭性を劣化させる。従って、Vを添加する場合には、その含有量を0.5%以下に限定する。
Ti:0.1%以下
Tiは、TiNの生成を通じて圧延加熱時あるいは溶接時におけるオーステナイト粒の成長を抑制し、母材ならびに溶接熱影響部の靭性を向上させると同時に、炭化物や窒化物、炭窒化物を形成することによって、拡散性水素をトラップし、耐遅れ破壊特性を向上させる。
ただし、0.1%を超える添加は溶接熱影響部の靭性を劣化させる。従って、Tiを添加する場合には、その含有量を0.1%以下に限定する。
Cu:2%以下
Cuは、固溶強化および析出強化により強度を向上する作用を有している。しかしながら、Cu含有量が2%を超えると、鋼片加熱時や溶接時に熱間での割れを生じやすくする。従って、Cuを添加する場合には、その含有量を2%以下に限定する。
Ni:4%以下
Niは、靭性および焼入れ性を向上する作用を有している。しかしながら、Niは高価な元素であり含有量が4%を超えると、経済性が低下する。従って、Niを添加する場合には、その含有量を4%以下に限定する。
Cr:2%以下
Crは、強度および靭性を向上する作用を有しており、また高温強度特性を向上させる。従って、高強度化する場合には積極的に添加し、特に引張強度900MPa以上の特性を得るためには、0.3%以上添加することが好ましい。しかしながら、Cr含有量が2%を超えると、溶接性が劣化する。従って、Crを添加する場合には、その含有量を2%以下に限定する。
W:2%以下
Wは、強度を向上する作用を有している。しかしながら、2%を超えると、溶接性が劣化する。従って、Wを添加する場合は、その含有量を2%以下に限定する。
B:0.003%以下
Bは、焼入れ性を向上する作用を有している。しかしながら、0.003%を超えると、靭性を劣化させる。従って、Bを添加する場合には、その含有量を0.003%以下に限定する。
Ca:0.01%以下
Caは、硫化物系介在物の形態制御に不可欠な元素である。しかしながら、0.01%を超える添加は、清浄度の低下を招く。従って、Caを添加する場合には、その含有量を0.01%以下に限定する。
REM:0.02%以下
REMは、鋼中でREM(O、S)として硫化物を生成することによって結晶粒界の固溶S量を低減して耐SR割れ特性を改善する。しかしながら、0.02%を超える添加は、沈殿晶帯にREM硫化物が著しく集積し、材質の劣化を招く。従って、REMを添加する場合には、その添加量を0.02%以下に限定する。
Mg:0.01%以下
Mgは、溶銑脱硫材として使用する場合がある。しかしながら、0.01%を超える添加は、清浄度の低下を招く。従って、Mgを添加する場合には、その添加量を0.01%以下に限定する。
[製造条件]
本発明は、鋼板、形鋼および棒鋼など種々の形状の鋼材に適用可能であり、製造条件における温度規定は鋼材中心部でのものとし、鋼板は板厚中心、形鋼は本発明に係る特性を付与する部位の板厚中心、棒鋼では径方向の中心とする。但し、中心部近傍はほぼ同様の温度履歴となるので、中心そのものに限定するものではない。
鋳造条件
本発明は、いかなる鋳造条件で製造された鋼材についても有効であるので、特に鋳造条件を限定する必要はない。溶鋼から鋳片を製造する方法や、鋳片を圧延して鋼片を製造する方法は特に規定しない。転炉法・電気炉法等で溶製された鋼や、連続鋳造・造塊法等で製造されたスラブが利用できる。
熱間圧延条件
鋳片を圧延して鋼片を製造する際、Ar3変態点以下に冷却することなく、そのまま熱間圧延を開始しても、一度冷却した鋳片をAc3変態点以上に再加熱した後に熱間圧延を開始しても良い。これは、この温度域で圧延を開始すれば、本発明の有効性は失われないためである。
また、未再結晶域における圧下率を10%以上60%以下、好ましくは10%以上30%以下とし、圧延はAr3変態点以上で圧延を終了するものとする。圧下率10%以上60%以下の未再結晶域圧延を行うことによって、鋼板の板厚1/4位置の{110}面および鋼板の板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比をそれぞれ1.2〜4.0に制御するためである。尚、未再結晶域以外での圧延条件は特に規定しない。
本発明ではAr3変態点(℃)およびAc3変態点(℃)を求める式は特に規定しないが、例えばAr3=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo、Ac3=854−180C+44Si−14Mn−17.8Ni−1.7Crとする。式において各元素は鋼中含有量(mass%)とする。
熱間圧延後の冷却条件
熱間圧延終了後、母材強度および母材靭性を確保するため、Ar3変態点以上の温度から2℃/秒以上の平均冷却速度で、350℃以下の温度まで強制冷却を行う。オーステナイトからマルテンサイトもしくはベイナイトへの変態を完了させ、母材を強靱化すると共に、鋼板の板厚1/4位置の{110}面および鋼板の板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比をそれぞれ1.2〜4.0に制御するため、平均冷却速度2℃/秒以上で鋼板の温度が350℃以下になるまで冷却する。
冷却条件の規定において、平均冷却速度は板厚方向における表層下1mm、板厚1/4位置および板厚1/2位置での冷却速度の平均値、冷却停止温度は復熱完了直後における板厚1/2位置での温度とする。
焼戻し条件
Ac1変態点以下の温度にて焼戻し処理を行う。Ac1変態点以下に限定する理由は、Ac1変態点を超えるとオーステナイト変態を生じ、強度が大きく低下するためである。焼戻し時の昇温速度は特に規定しないが、0.05℃/秒以上が好ましい。
0.05℃/秒未満の場合、焼戻し処理時にPが粒界に偏析する量が大きくなり、低温靭性が劣化するためである。そのため、昇温速度の調整が可能な、加熱装置を用いることが好ましい。
加熱装置は、圧延機および直接焼入れ装置もしくは加速冷却装置と別の製造ライン上に設置しても、同一の製造ライン上に設置しても良い。焼戻し温度における保持時間は、特に規定しないが、生産性の観点から、30分以下とすることが望ましい。
焼戻し後の冷却速度は、冷却中における析出物の粗大化を防止すべく、焼戻し温度〜200℃までの平均冷却速度を0.05℃/秒以上とすることが望ましい。加熱装置は、誘導加熱、通電加熱、赤外線輻射加熱、雰囲気加熱等のいずれの方式でも良い。
焼戻し条件の規定において、焼戻し時の昇温速度は焼戻し開始から所定の焼戻し温度に達するまでの板厚方向における表層下1mm、板厚1/4位置および板厚1/2位置での昇温速度の平均値、平均冷却速度は板厚方向における表層下1mm、板厚1/4位置および板厚1/2位置での冷却速度の平均値、焼戻し温度は板厚1/2位置での温度とする。
[集合組織]
本発明における集合組織の限定理由について述べる。本発明では、鋼板の板厚1/4位置の鋼板表面に平行する{110}面のX線ランダム強度比を1.2〜4.0および鋼板の板厚1/2位置の鋼板表面に平行する{211}面のX線ランダム強度比を1.2〜4.0とする。
このような集合組織制御によって板厚1/4位置および1/2位置それぞれの板厚位置において、圧延方向に平行な方向および垂直な方向の強度差が100MPa以内と小さくなると共に、優れた低温靭性を得ることができる。
本発明の有効性を実施例によって説明する。表1に示す化学成分の鋼A〜Uを溶製してスラブに鋳造し、加熱炉で加熱後、圧延を行い鋼板とした。圧延後、引続き直接焼入れし、次いで、雰囲気炉焼戻し装置を用いて焼戻し処理を行い、加熱後の冷却は空冷とした。
また、焼戻し温度や焼入れ温度などは板厚中心部における温度とし、熱電対によって実測した。
表2に鋼板製造条件、板厚1/4位置および板厚1/2位置それぞれの板厚位置における{110}面および{211}面のX線ランダム強度比を示し、表3に得られた鋼板の降伏強度、引張強度、破面遷移温度(vTrs)を示す。
板厚方向各位置における{110}面および{211}面のX線ランダム強度比は、ランダムサンプルの各面のX線強度を基準としたときの、板厚方向各位置における鋼板表面に平行する{110}面および{211}面のX線強度の相対的な強度である。試料は、化学研磨によって歪みを除去後に、X線測定を行った。
また、降伏強度および引張強度は、丸棒引張試験により測定し、靭性は、シャルピー衝撃試験によって得られるvTrsで評価した。
vTrsの目標値は、引張強度800MPa未満の鋼種に関しては、−60℃以下とし、引張強度800MPa以上1200MPa未満の鋼種に関しては、−40℃以下とし、引張強度1200MPa以上の鋼種に関しては、−20℃以下とした。
一方、強度異方性は、板厚1/4位置および板厚1/2位置それぞれの板厚位置におけるL方向およびC方向の強度の最高強度と最小強度の差とし、目標を、100MPa以内とした。
Figure 2008266758
Figure 2008266758
Figure 2008266758
表1〜3から明らかなように、本発明法により製造した鋼板No.1〜17(本発明例)は、化学成分、製造方法、板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比および板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比が本発明の範囲であり、良好なvTrsおよび小さな強度異方性を得ることができた。
これに対して、比較鋼板No.18〜32(比較例)は、vTrsおよび強度異方性の少なくとも1つが上記目標範囲を外れている。以下、これらの比較例を個別に説明する。
成分が本発明範囲から外れている鋼板No.29〜32は、板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比および板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比の少なくとも1つが、本発明範囲を外れており、vTrsおよび強度異方性の少なくとも1つが目標値に達していない。
未再結晶域圧下率が本発明範囲から外れている鋼板No.18〜20は、板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比および板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比のいずれもが、本発明範囲を外れており、vTrsおよび強度異方性の少なくとも1つが目標値に達していない。
直接焼入れ開始温度が本発明範囲から外れている鋼板No.21〜23は、板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比および板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比のいずれかが、本発明範囲を外れており、vTrsが目標値に達していない。
直接焼入れ停止温度が本発明範囲から外れている鋼板No.24は、板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比および板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比のいずれもが、本発明範囲を外れており、vTrsが目標値に達していない。
冷却速度が本発明範囲から外れている鋼板No.25は、板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比が、本発明範囲を外れており、vTrsが目標値に達していない。
焼戻し温度が本発明範囲から外れている鋼板No.26〜28は、板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比および板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比の少なくとも1つが、本発明範囲を外れており、vTrsが目標値に達していない。



Claims (4)

  1. 鋼板の板厚1/4位置の{110}面のX線ランダム強度比が1.2〜4.0、且つ鋼板の板厚1/2位置の{211}面のX線ランダム強度比が1.2〜4.0であることを特徴とする、低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材。
  2. 質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.01〜0.8%、Mn:1.0〜2.0%、Al:0.005〜0.1%、N:0.0005〜0.008%、P:0.02%以下、S:0.004%以下の元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を鋳造後、Ar3変態点以下に冷却することなく、あるいはAc3変態点以上に再加熱後、未再結晶域における圧下率が10%以上60%以下の熱間圧延によって所定の板厚とし、引続きAr3変態点以上から2℃/秒以上の平均冷却速度で350℃以下の温度まで冷却した後、板厚中心部での最高到達温度をAc1変態点以下として焼戻すことを特徴とする低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材の製造方法。
  3. 鋼組成に、更に、質量%で、Mo:1%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下、Ti:0.1%以下、Cu:2%以下、Ni:4%以下、Cr:2%以下、W:2%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする、請求項2に記載の低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材の製造方法。
  4. 鋼組成に、更に、質量%で、B:0.003%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.02%以下(注:REMとはRare Earth Metalの略、希土類)、Mg:0.01%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする、請求項2または3に記載の低温靭性に優れ、かつ強度異方性が小さい高張力鋼材の製造方法。
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