JP2011042743A - 9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物及びそれを含有する光ラジカル重合開始剤。 - Google Patents

9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物及びそれを含有する光ラジカル重合開始剤。 Download PDF

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Abstract

【課題】窒素原子、硫黄原子さらにはリン原子を含有せず、炭素原子、水素原子、酸素原子のみからなり、紫外LEDの発する光に対して高感度な分子内開裂型光ラジカル重合開始剤組成物を提供する。
【解決手段】特定な9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物及びそれを有効成分として含有する光ラジカル重合開始剤に関する。
現在、エネルギー線硬化樹脂がコーティング、インキ、電子材料などの分野で広く用いられている。エネルギー線硬化樹脂はエネルギー線硬化性組成物に紫外線や電子線などを照射することにより重合、硬化させることによって得られる。このエネルギー線で硬化させる技術は、例えば木工用塗料、金属などのコーティング材、スクリーン印刷やオフセット印刷用インキ、電子基板に用いられるドライフィルムレジスト、また、ホログラム材料、封止剤、オーバーコート材、光造形用樹脂、接着剤などさまざまな用途に用いられている。
そして、このエネルギー線硬化性組成物は主に重合性化合物とエネルギー照射により重合性化合物の重合を開始させる重合開始剤より構成されている。この重合を開始させる方法として、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合があるが、ラジカル重合が古くから最も広く用いられている。エネルギー線、主に紫外線によってラジカルを発生し、重合性化合物の重合を開始させるものが、光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型の開始剤では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断され、その分断された部位にラジカルが発生し、それが開始剤となり重合性化合物の重合が始まる。水素引き抜き型の場合は特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素を引き抜き反応を起こし、水素引き抜きによりラジカルが発生し、それが開始剤となり重合性化合物の重合が始まる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤は、水素供与体が必要なこと、ラジカル発生効率が悪く感度が低い等の問題がある。一方、分子内開裂型ラジカル開始剤は、ラジカル発生効率は良好で感度が高いため広く用いられている。
よく用いられている分子内開裂型光ラジカル重合開始剤として、ベンジルメチルジメチルケタールやヒドロキシアルキルフェノン類がある。このものはカルボニル基に隣接した結合がα開裂して、ラジカル種を生成するタイプのものである。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名イルガキュア184、イルガキュアはチバスペシャリティケミカルズ社の登録商標)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名ダロキュア1173、ダロキュアはチバスペシャリティケミカルズ社の登録商標)などがあげられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、炭素、水素及び酸素のみから構成されており、環境にやさしい化合物と言えるが、光の吸収域がいずれも300nm以下にあり、高圧水銀ランプでは光ラジカル重合開始剤としての効果を発揮するが、300nmより長波長の光源に対しては実用的な活性が得られないという欠点がある。そのため、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907)あるいは2−ベンジルメチル2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名イルガキュア369)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名イルガキュア819)など、硫黄原子やリン原子を分子内に導入することにより吸収波長域を長波長化する試みがなされている。しかし、これらの化合物は、硫黄原子やリン原子を持つがゆえに、当該光ラジカル重合開始剤を含有するフィルム等を焼却廃棄したとき、硫黄化合物やリン化合物により環境への汚染の問題が懸念される。
また、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等の光ラジカル重合開始剤にチオキサントン化合物等の光ラジカル重合増感剤を添加することにより、300nm以上の光に対しても活性を発揮できるように調合した光ラジカル重合開始剤組成物も提案されているが、用いられるチオキサントン化合物に硫黄原子が含まれており、やはり、環境への汚染が懸念される。また、光ラジカル重合開始剤のほかに光ラジカル重合増感剤を添加することによりコスト高になったり、塗膜が黄色く着色したり、添加物の増加により塗膜性状が悪化したり、重合性化合物との相溶性が問題となったりフォーミュレーションが複雑になるなどしている。
一方、安全性、環境に対する面から、照射波長が350nm以上のスペクトルを主に含む光源が用いられている。特に、長寿命、省エネなどの環境性、使用するうえでの操作性などの点から、近年UV硬化における光源としてLED(発光ダイオード)が用いられるようになって来ている。LEDの特徴としては、水銀ランプと異なり,発熱が少なく、かつ長寿命なことがあげられ、近年その開発が加速している。このLEDの代表的なものとしては、紫外LD、白色LEDなどが知られており、特に、紫外LEDがUV硬化用光源として、インクジェット用または半導体関連のレジスト用に開発が先行している。この紫外LEDとしては、395nmを中心波長とするものが実用化されている。
この紫外LEDに対して高活性で、かつ炭素、水素及び酸素のみから構成されている光ラジカル重合開始効果を持つ化合物は知られていない。
そこで、窒素原子、硫黄原子さらにはリン原子を含有せず、炭素原子、水素原子、酸素原子のみからなり、紫外LEDなどの発する高波長の光に対して高感度な分子内開裂型光ラジカル重合開始剤で、増感剤を必要としない化合物が求められるようになっている。
一方、アントラセンジエーテル化合物は、光カチオン重合にもちいられるカチオン重合増感剤としての用途は知られており(特許文献1から4)、本発明の化合物であるジアシルオキシアントラセン化合物の一部も、光カチオン重合におけるカチオン重合増感剤としての用途は知られている(特許文献5から8)。
しかし、当該アントラセン化合物をラジカル重合における光ラジカル重合開始剤として用いた例はなく、当該アントラセン化合物がラジカル重合開始効果を持つとの示唆もない。一般に、光重合増感剤は、特定の光を吸収して電子励起状態となり、共存する光重合開始剤と接触して、電子移動あるいはエネルギー移動を通して、光重合開始剤の分解を促す作用をもつものである。一方、光重合開始剤は、前述のように、光エネルギーを吸収して自らが分解して、活性種を発生して、重合性化合物の重合を開始する作用をもつものであり、重合増感剤とは全く異なる作用をなすものである。また、カチオン重合開始剤は、活性種として酸を発生するものであり、ラジカル重合開始剤は、ラジカルを発生して、重合性化合物の重合を開始する作用をもつものであり、異なる作用をなすものである。
特開2000−119306 特開2001−106648 特開2007−99637 特開2007−204438 特開2000−7716 特開2001−261616 特開2006−37021 特開2007−137923
本発明者らは、かかる状況に鑑み、これら欠点を排除した技術を提供すべくアントラセン化合物を鋭意検討した結果、一部のアントラセン化合物が、光重合増感剤を用いることなく、光エネルギーを吸収して、自らが分解しラジカル種を発生し、重合性化合物をラジカル重合させる開始剤としての効果があることを見出したものである。また、本発明のもう一つの目的は、窒素原子、硫黄原子さらにはリン原子を含有せず、炭素原子,水素原子,酸素原子のみからなる、紫外LED光に対して活性な光ラジカル重合開始剤を提供することである。
上記目的を達成するために、第1発明では、一般式(1)で表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物を提供する。
一般式(1)において、A及びBは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリルオキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基のうちのいずれかを示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のうちのいずれかを示す。
第2発明では、第1発明において、一般式(1)におけるA及びBがアルコキシ基、アリルオキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基のうちのいずれかで表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物を提供する。
第3発明では、第1発明において、一般式(1)におけるA及びBがアルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基のうちのいずれかで表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物を提供する。
第4発明では、第1〜3のいずれかの発明において示す光ラジカル重合開始剤組成物とラジカル重合性化合物を含有するラジカル重合性組成物を提供する。
第5発明では、第4発明において示すラジカル重合性組成物を重合してなる重合物を提供する。
第6発明では、第4発明において示すラジカル重合性組成物を、350〜420nmの波長範囲に含まれる光を照射することにより重合させる重合方法を提供する。
第7発明では、第4発明において示すラジカル重合性組成物を、中心波長が395nmである紫外LEDの放射光を照射することにより重合させる重合方法を提供する。
第8発明では、一般式(2)で示される9,10−アントラヒドロキノン化合物を炭酸エステル化剤と反応させることにより製造された第2発明に記載の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物を提供する。
一般式(2)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のうちのいずれかを示す。
第9発明では、一般式(2)で示される9,10−アントラヒドロキノン化合物をエステル化剤と反応させることにより製造された第3発明に記載の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物を提供する。
本発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物は紫外LED光照射によりラジカルを発生しラジカル重合性化合物の重合を開始することができることから、光ラジカル重合開始剤の有効成分として有用であり、かつ当該化合物は、窒素原子や、硫黄原子さらにはリン原子を含有しない、炭素原子、水素原子、酸素原子のみからなる環境に優しい化合物である。
図1は、本発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物である9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンのUVスペクトルである。350nm、369nm、389nmに紫外吸収ピークがあることが示されている。この波長域に吸収を持つことが、活性発現の一つの条件である。
以下、本発明を詳細に記述する。
一般式(1)で表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物において、A及びBが、アルコキシ基、アリルオキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基のうちのいずれかで表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の場合、下記一般式(3)で表わされる化合物となる。
一般式(3)において、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基のうちのいずれかで表される。X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のうちのいずれかを示す。
一般式(1)で表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物において、A及びBが、アルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基のうちのいずれかで表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の場合、下記一般式(4)で表わされる化合物となる。
一般式(4)において、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基のうちのいずれかで表される。X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のうちのいずれかを示す。
一般式(3)におけるR及びR、一般式(4)におけるR及びRで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等が挙げられ、アリル基としては、2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル基等が挙げられる。
一般式(1)、一般式(3)及び一般式(4)におけるX及びYで示されるアルキル基としては、直鎖のもの分枝しているものいずれでも良く、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、たとえば次のものが挙げられる。すなわち、9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等である。
また、アントラセン環にアルキル基が置換した化合物としては、2−メチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−(t−ブチル)−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−(t−ブチル)−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
またさらに、アントラセン環にアルコキシ基が置換した化合物としては、2−メトキシ−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メトキシ−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メトキシ−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メトキシ−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メトキシ−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エトキシ−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エトキシ−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エトキシ−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エトキシ−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エトキシ−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エトキシ−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エトキシ−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エトキシ−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エトキシ−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エトキシ−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
またさらに、アントラセン環にアリールオキシ基が置換したものとしては、2−フェノキシ−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
次に、一般式(4)で表される化合物の具体例としては、たとえば次のものが挙げられる。すなわち、9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン等である。
また、アントラセン環にアルキル基が置換した化合物としては、2−メチル−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、 2−エチル−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−エメチル−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、2−エメチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、1−エメチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、2−ブチル−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、2−ブチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−ブチル−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、2−ブチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−ブチル−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、1−ブチル−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−ブチル−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、1−ブチル−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
またさらに、アントラセン環にアルコキシ基が置換した化合物としては、2−メトキシ−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、2−メトキシ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−メトキシ−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、2−メトキシ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、1−メトキシ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
またさらに、アントラセン環にアリールオキシ基が置換したものとしては、2−フェノキシ−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(ブチロイルオキシ)アントラセン、1−フェノキシ−9,10−ビス(ベンゾイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
本発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物は、紫外線領域の光を吸収し、自身が励起され、その励起種が分子内開裂を起こし、ラジカル種を発生する。開裂機構は明確ではないが、開裂によって置換カルボニルラジカルが発生するものと推測している。すなわち、アントラセン骨格の9、10位についている酸素原子と置換カルボニルの間で開裂が起こり、この開裂によって発生したラジカルがビニルモノマーの重合を開始させる働きがあることから、9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物は光ラジカル重合開始剤として作用すると推測している。
アントラセン骨格における置換基は本発明の化合物の光ラジカル重合開始剤としての能力に大きな影響を与えるものではないが、電子吸引基である方が若干有利となる。また、昇華性という点では炭素数が多いほうが、また炭素より原子量の大きい酸素原子が置換したほうが好ましいといえる。
上記化合物のうちで、合成が容易であるという観点からすれば、特に9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(アセトキシ)アントラセン、9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセンが好ましい。
また、ラジカル重合性化合物に対する溶解度としては、相対的に、一般式(3)で表される化合物の方が一般式(4)で表される化合物より優れており、ラジカル重合性組成物を調製という点では、一般式(3)で表される化合物、例えば9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(フェノキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(ベンジルオキシカルボニルオキシ)アントラセンなどが好ましいといえる。
[製造方法]
次に、上記一般式(1)で表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の製造方法について説明する。まず、一般式(3)によって表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセンは、一般式(2)で表される9,10−アントラヒドロキノン化合物と炭酸エステル化剤を反応させることにより得ることが出来る。
すなわち、一般式(3)によって表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物は対応する9,10−アントラヒドロキノン化合物に塩基存在下、または塩基非存在下、炭酸エステル化剤を作用させることにより得られる。
用いられる9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物としては例えば、9,10−アントラヒドロキノン、2−メチル−9,10−アントラヒドロキノン、2−エチル−9,10−アントラヒドロキノン、2−(t−ブチル)−9,10−アントラヒドロキノン、1−メチル−9,10−アントラヒドロキノン、1−エチル−9,10−アントラヒドロキノン、1−(t−ブチル)−9,10−アントラヒドロキノン、2−メトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、2−エトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、2−ブトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、1−メトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、1−エトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、1−ブトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、2−フェノキシ−9,10−アントラヒドロキノン、2−トリルオキシ−9,10−アントラヒドロキノン、1−フェノキシ−9,10−アントラヒドロキノン、1−トリルキシ−9,10−アントラヒドロキノン等があげられる。
炭酸エステル化剤としては、ハロゲン化蟻酸アルキル、ハロゲン化蟻酸アリル、ハロゲン化蟻酸アリール及びハロゲン化蟻酸アラルキル並びに二炭酸ジアルキル、二炭酸ジアリール及び二炭酸ジアラルキル等が使用可能である。
ハロゲン化蟻酸アルキルとしては、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸プロピル、クロロ蟻酸ブチル等が挙げられ、ハロゲン化蟻酸アリルとしては、クロロ蟻酸アリル、クロロ蟻酸メタリル等が挙げられ、ハロゲン化蟻酸アリールとしては、クロロ蟻酸フェニル等が挙げられ、ハロゲン化蟻酸アラルキルとしては、クロロ蟻酸ベンジル等が挙げられ、二炭酸ジアルキル、二炭酸ジアリール、二炭酸ジアラルキルとしては、二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジ(t−ブチル)、二炭酸ジアリル、二炭酸ジフェニル等が挙げられる。
塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン等が挙げられる。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。
9,10−アントラヒドロキノン化合物に対する炭酸エステル化剤の添加量は2モル倍から3モル倍、好ましくは2.2モル倍から2.5モル倍である。塩基の添加量は9,10−アントラヒドロキノン化合物の2モル倍から3モル倍、好ましくは2.0モル倍から2.5モル倍添加する。反応温度は0℃から80℃、好ましくは0℃から20℃である。本反応は発熱反応であり、冷却が必要である。反応時間は15分から60分ほど度である。反応終了後、水またはメタノールを加えて未反応の炭酸エステル化剤を水和した後、塩酸塩を濾過して除去し、次いで濾液に水を添加して晶析し、析出した結晶をロ別・洗浄し、必要に応じて再結晶することにより、純度良く目的物を得ることができる。
次に、上記一般式(4)で表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の製造方法について説明する。一般式(4)によって表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセンは、上記一般式(2)で表される9,10−アントラヒドロキノン化合物とエステル化剤を反応させることにより得ることが出来る。
すなわち、本発明の一般式(4)で表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物は対応する9,10−アントラヒドロキノン化合物に塩基存在下、または塩基非存在下、エステル化剤を作用させることにより得られる。用いられる9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物としては、上記一般式(3)の化合物の合成法で用いた化合物と同様の化合物を用いることができる。
9,10−アントラヒドロキノン化合物との反応に用いるエステル化剤としては、ハロゲン化アルカノイル、ハロゲン化アクリロイル、ハロゲン化アリーロイル、無水アルカン酸等が使用可能である。
ハロゲン化アルカノイルとしては、塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチロイル、臭化アセチル、臭化プロピオニル,臭化ブチロイル等が挙げられ、ハロゲン化アリーロイルとしては塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル等が挙げられる。無水アルカン酸としては、無水酢酸、無水プロピオニル酸、無水安息香酸等が挙げられる。
塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン等が挙げられる。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。
9,10−アントラヒドロキノン化合物に対するエステル化剤の添加量は2モル倍から5モル倍、好ましくは2.2モル倍から4.0モル倍である。塩基の添加量は9,10−アントラヒドロキノン化合物の2モル倍から4モル倍、好ましくは2.0モル倍から3.0モル倍添加する。反応温度は0℃から80℃、好ましくは0℃から20℃である。本反応は発熱反応であり、冷却が必要である。反応時間は15分から60分程度である。反応終了後、水またはメタノールを加えて未反応のエステル化剤を水和した後、塩酸塩を濾過して除去し、次いで濾液に水を添加して晶析し、析出した結晶をロ別・洗浄し、必要に応じて再結晶することにより、純度良く目的物を得ることができる。
得られた化合物の同定は、H−NMRスペクトル、IRスペクトル、Massスペクトルを用いて行い、9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物であることを確認した。
[光ラジカル重合開始剤組成物]
本発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物は、溶媒等に溶解させ、光ラジカル重合開始剤組成物としたのち、ラジカル重合性化合物に添加することも可能であるが、溶媒の代りにラジカル重合性化合物に溶解させて用いることもできる。また、当該光ラジカル重合開始剤組成物には、分散剤や熱重合禁止剤などを添加してもよい。
[ラジカル重合性組成物]
当該光ラジカル重合開始剤組成物を添加するラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、等を用いることが出来る。アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらラジカル重合性化合物は、単独でも二種以上の混合物であってもよく、これらのオリゴマーであってもよい。
このラジカル重合性化合物に本願発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物を添加することによりラジカル重合性組成物を調製することができる。このラジカル重合性化合物に対する9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の添加量は0.01%から3%が好ましく、さらに好ましくは0.05%から1.0%である。9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の濃度が低すぎれば、硬化速度が遅くなり、また9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物の濃度が多すぎると硬化物の物性が悪化する。
[光重合]
当該ラジカル重合性組成物は、紫外線等の光エネルギーを照射することにより重合させることができる。重合はフィルム状で行うことも出来るし、塊状に重合させることも可能である。フィルム状に重合させる場合は、たとえばポリエステルフィルムの基材にラジカル重合性組成物をバーコーター用いて塗布し、ついで光照射する。
また、フィルム状に重合させるときは、酸素存在下では酸素阻害のためフィルム表面のべたつきがなかなか取れず、開始剤の大量添加が必要となる。よって酸素非存在下で重合させることが望ましい。そのような重合方法としては、窒素ガス、ヘリウムガス等の雰囲気で行うことが挙げられる。また、酸素非過性の膜をかぶせて光重合させる方法も有効である。
用いる光源としては高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、白熱灯、紫外LED、青色LD、白色LED、フュージョン社製のH−バルブ、D−バルブ、V−バルブ等が挙げられる。太陽光の使用も可能である。好ましいランプとしては、安全性、環境に対する面から、350〜420nmの波長範囲に含まれる光を照射できる紫外LED、青色LDさらにはFusion社製のD−バルブ、V−バルブ等が好ましい。
特に、長寿命、省エネなどの環境性、使用するうえでの操作性などの点から、紫外LEDが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。特記しない限り、すべての部および百分率は重量%である。
生成物の確認は下記の機器による測定により行った。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
重合状態の判定は、タックフリーテスト(指触テスト)に基づいて行った。すなわち、光照射により重合するとフィルム表面のラジカル重合性組成物のタック(べたつき)が取れるので、フィルム表面を指で触り、タック(表面のべたつき)がなくなった時間をタックフリータイム(硬化時間)とした。
(実施例1)9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−アントラヒドロキノン4.20g(20ミリモル)、クロロ蟻酸メチル4.70g(50ミリモル)を脱気トルエン65mlに加え、氷水で冷やした。次いで、トリエチルアミン4.0g(40ミリモル)の脱気トルエン15ml溶液を加えた。直ちに、結晶が析出するが、そのまま0℃で10時間ゆっくり攪拌した。その後、スラリーを吸引ろ過し、トルエン次いで水で洗い、乾燥して白色の粉末3.70gを得た。IR、H−NMRを測定し、このものが、9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンであることを確認した。9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は60モル%であった。
(1)融点: 167−169℃
(2)IR(KBr、cm−1):1760,1440,1246,1172,1003,936,772.
(3)H−NMR(CDCl,270MHz):δ=4.00(s,6H),7.51−7.60(m,4H),8.03−8.13(m,4H).
(実施例2)9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−アントラヒドロキノン4.20g(20ミリモル)、クロロ蟻酸エチル5.40g(50ミリモル)を脱気トルエン70mlに加え、氷水で冷やした。次いで、トリエチルアミン4.0g(40ミリモル)の脱気トルエン15ml溶液を加えた。直ちに、結晶が析出するが、そのまま0℃で10時間ゆっくり攪拌した。その後、スラリーを吸引ろ過し、トルエン次いで水で洗い、乾燥して灰色の粉末4.20gを得た。IR、H−NMRを測定し、このものが、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセンであることを確認した。9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は60モル%であった。
(1) 融点: 178−179℃
(2)IR(KBr、cm−1):2992,2940,1762,1630,1472,1446,1366,1240,1172,1092,1016,895,766.
(3)H−NMR(CDCl,270MHz):δ=1.46(t,J=8Hz,6H),4.42(q,J=8Hz,4H),7.50−7.60(m,4H),8.02−8.12(m、4H).
(実施例3)9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−アントラヒドロキノン4.20g(20ミリモル)、二炭酸−ジ−t−ブチル10.9g(50ミリモル)を脱気アセトン70mlに溶かし、氷水で冷やした。次いで、ピリジン4.0g(50ミリモル)の脱気アセトン10ml溶液を加えた。そのまま0℃で1時間ゆっくり攪拌した。その後、水40mlを加え、濃縮した。析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し白色の粉末4.80gを得た。IR、H−NMRを測定し、このものが、9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンであることを確認した。9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は54モル%であった。
(1)融点: 188−189℃
(2)IR(KBr、cm−1):2990,2940,1763,1374,1246,1143,1082,880,782,740,602.
(3)H−NMR(CDCl,270MHz):δ=1.61(s,18H),7.50-7.60(m、4H),8.02−8.12(m,4H).
(実施例4)9,10−ビス(アリルオキシカルボニルキシ)アントラセンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−アントラヒドロキノン4.20g(20ミリモル)、クロロ蟻酸アリル6.03g(50ミリモル)を脱気トルエン60mlに加え、氷水で冷やした。次いで、トリエチルアミン4.0g(40ミリモル)の脱気トルエン10ml溶液を加えた。直ちに、結晶が析出するが、そのまま0℃で10時間ゆっくり攪拌した。その後、水40mlを加え、良くリスラリーした後、自然ろ過し、トルエン層にメタノール50ml加え、濃縮した。析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し白色の粉末2.40gを得た。IR、H−NMRを測定し、このものが、9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセンであることを確認した。9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は34モル%であった。
(1)融点: 125−126℃
(2)IR(KBr、cm−1):3060,2960,1756,1625,1440,1362,1230,1164,1010,994,948,772,725,610.
(3)H−NMR(CDCl,270MHz):δ=4.84(d,J=7Hz,4H),5.38(dd、J=9Hz,J=2Hz,2H),5.49(dd、J=17Hz,J=2Hz,2H),6.0−6.14(m,2H),7.51−7.61(m,4H),8.0−8.11(m,4H).
(実施例5)9,10−ビス(アセトキシ)アントラセンの合成
温度計、攪拌機付きの50ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−アントラヒドロキノン2.1g(10ミリモル)、無水酢酸12g、ピリジン2.3g(30ミリモル)を仕込み、50℃で1時間加熱した。次いで反応液を冷却し、析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し2.9gの薄黄色の粉末を得た。このものからアセトン80gを用いて目的物を抽出し、アセトンを減圧・濃縮して析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し白い結晶2.33gを得た。IR、H−NMR測定の結果、このものは9,10−ビス(アセトキシ)アントラセンであることが判明した。9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は80モル%であった。
(1)融点: 260℃以上
(2)IR(KBr,cm−1):2940,1754,1372,1211,1170,1052,757,686.
(3)H−NMR(CDCl,270MHz):δ=2.63(s,6H),7.48−7.57(m,4H),7.90−7.98(m,4H).
(実施例6)9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセンの合成
温度計、攪拌機付きの300ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、9,10−アントラヒドロキノン4.2g(20ミリモル)、無水プロピオン酸10.4g(80ミリモル)、をトルエン50ml中に仕込んだ。 黄緑色の該スラリーに室温下、ピリジン4.8g(60ミリモル)のトルエン8m溶液を加え、2時間攪拌した。スラリーの色は次第に黄緑色から薄黄色に変わった。2時間攪拌後、メタノールを80ml加え、析出した結晶を吸引ろ過・乾燥し5.5gの薄黄色の粉末を得た。IR、H−NMR測定の結果、このものは9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセンであることが判明した。9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は86モル%であった。
(1)融点: 181−183℃
(2)IR(KBr,cm−1):2980,2950,1754,1680,1420,1352,1142,1130,1080,1040,762,692.
(3)H−NMR(CDCl,270MHz):δ=1.48(t,J=8Hz,6H),2.97(q,J=8Hz,4H),7.47−7.56(m,4H),7.88−7.96(m,4H).
(実施例7)9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、実施例1で得た9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセンを1重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon Technology社製 RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したところ、硬化していることを確認した。タックフリータイムは1秒であった。
(実施例8)9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、実施例2で得た9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセンを1重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon社製、RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したところ、硬化していることを確認した。タックフリータイムは1秒であった。
(実施例9)9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、実施例3で得た9,10−ビス(t−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン1重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon社製、RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したところ、硬化していることを確認した。タックフリータイムは1秒であった。
(実施例10)9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、実施例4で得た9,10−ビス(メタクリロイルオキシ)アントラセン1重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon Technology社製 RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したところ、硬化していることを確認した。タックフリータイムは1秒であった。
(実施例11)9,10−ビス(アセトキシ)アントラセンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、実施例5で得た9,10−ビス(アセトキシ)アントラセンを0.5重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon Technology社製 RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したところ、硬化していることを確認した。タックフリータイムは1秒であった。
(実施例12)9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、実施例6で得た9,10−ビス(プロピオニルオキシ)アントラセンを0.5重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon Technology社製 RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したところ、硬化していることを確認した。タックフリータイムは1秒であった。
(比較例1)1−ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを1重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon Technology社製 RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したが、15秒照射後も硬化しなかった。
(比較例2)9,10−ジブトキシアントラセンを重合開始剤とする組成物の光ラジカル重合性評価実験
トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に対し、9,10−ジブトキシアントラセンを1重量部添加した光ラジカル重合性組成物を調製した。次に、ポリエステルフィルム(東レ製ルミラー膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に調製した組成物を膜厚が12ミクロンとなるようにバーコーターを使用して塗布した。この塗布膜に窒素雰囲気下、紫外LED(Phoseon Technology社製 RX Firefly、中心波長395nm、照射強度1.5w/cm)の放射光を照射したが、15秒照射後も硬化しなかった。
比較例1と実施例7〜12の結果の比較より、炭素原子、水素原子、酸素原子のみから構成される従来の光ラジカル重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加したラジカル重合性組成物は、紫外LEDの放射光を15秒照射しても硬化しないのに対して、本願発明の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を添加したラジカル重合性組成物は、紫外LED光照射により容易にラジカル重合性化合物の重合を開始し、重合物とすることができることが分かる。また、比較例2より、本願発明の化合物と類似のアントラセン骨格を持つ化合物で、光カチオン重合増感剤として用いられている9,10−ジブトキシアントラセンをラジカル重合性化合物に添加して、同様に紫外LEDの放射光を15秒照射したが、全く硬化しなかった。このことから、同じアントラセン骨格を有する化合物でも、本願発明の化合物は、光ラジカル重合開始剤として特異な性質を有することが分かる。

Claims (9)

  1. 一般式(1)で表される9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物。

    (一般式(1)において、A及びBは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリルオキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基のうちのいずれかを示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリールオキシ基のうちのいずれかを示す。)
  2. 一般式(1)におけるA及びBがアルコキシ基、アリルオキシ基、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基のうちのいずれかで表される請求項1に記載の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物。
  3. 一般式(1)におけるA及びBがアルキル基、アリル基、アリール基又はアラルキル基のうちのいずれかで表される請求項1に記載の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物。
  4. ラジカル重合性化合物及び請求項1〜3のいずれかに記載の光ラジカル重合開始剤組成物を含有する光重合性組成物。
  5. 請求項4に記載の光重合性組成物を重合してなる重合物。
  6. 350〜420nmの波長範囲に含まれる光を照射することによる請求項4に記載の光重合性組成物の重合方法。
  7. 中心波長が395nmである紫外LEDの放射光を照射することによる請求項4に記載の光重合性組成物の重合方法。
  8. 一般式(2)で示される9,10−アントラヒドロキノン化合物を炭酸エステル化剤と反応させることにより製造された請求項2に記載の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物。

    (一般式(2)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のうちのいずれかを示す。)
  9. 一般式(2)で示される9,10−アントラヒドロキノン化合物をエステル化剤と反応させることにより製造された請求項3に記載の9,10−ビス(置換カルボニルオキシ)アントラセン化合物を含有する光ラジカル重合開始剤組成物。

    (一般式(2)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のうちのいずれかを示す。)
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