JP2010018746A - 重合性組成物及びその重合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】9,10−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン化合物及びラジカル重合開始剤を含有してなる重合性組成物及び当該組成物を重合して得られる重合物。重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤又は光ラジカル重合開始剤を用いることができる。
【選択図】なし
Description
{一般式(1)において、R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシメチル基、アリルオキシメチル基、アリールオキシメチル基の何れかを表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、X及びYは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基の何れかを表す。}
本発明の第2の要旨は、上記の重合性組成物において、さらに他のラジカル重合性化合物を含有してなる重合性組成物に存する。
本発明の重合性組成物のモノマー単位である9,10−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン化合物は、先ず、第一反応によって、9,10−ジヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン化合物と、酸化アルキレン、グリシジルエーテル又はハロゲン化アルコール(ハロヒドリン)とを、塩基の存在下または非存在下に、反応させることによって、9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン化合物とし、次いで、第二反応によって、塩基の存在下または非存在下、塩化アクリロイル又は塩化メタアクリロイルと反応させ(メタ)アクリロイル化することによって得られる。
反応の進行が遅い場合は、40〜100℃の範囲で加熱することも出来る。反応は、窒素雰囲気下で遂行することが好ましい。空気中では、9,10−ジヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセンが酸化され易く、アントラキノン化合物が生成する。反応終了後、反応液を冷却し、析出した結晶を濾別・乾燥することによって、相当する9,10−ビス(2−ヒドロキシアルコキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン化合物を得ることが出来る。
本発明の上記(1)で示される化合物内の(メタ)アクリロイルオキシ部位は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等連鎖重合に好適に用いることができる。特に本発明のモノマーは二重結合周囲の電子環境、立体環境からラジカル重合が好適である。またラジカル重合は操作の簡便性からも優位である。また(メタ)アクリロイルオキシ部位を1,3−ブタジエンやアントラセン等のジエノフィルとのディールス・アルダー反応、アクリル酸等へのマイケル反応を利用した付加重合にも用いることもできる。
重合開始のエネルギー源として、開始反応のエネルギーを与えるもの用いることができる。具体的なエネルギー源としては熱、光、電子線(EB)、マイクロ波、放射線等の電磁線が挙げられ、用いるエネルギー源に応じて、熱重合、電磁線重合(光重合、電子線重合、マイクロ波重合、放射線重合)等と呼ばれる。またそれぞれの重合に際して重合開始剤や増感剤を用いることができる。
上記一般式(1)で示される9,10−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン化合物は、上述のようにラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下、熱エネルギー、紫外線、電子線、マイクロ波等の活性エネルギー線や機械的エネルギーを与えて重合させることができる。用いる活性エネルギー線等のエネルギー源によっては、重合開始剤を用いなくても重合させることが可能ではあるが、エネルギー源の取り扱いや重合性の面から各種のラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。従って、本発明の重合性組成物は、少なくとも、上記一般式(1)で示される9,10−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン化合物とラジカル重合開始剤を含有する組成物である。
本発明の重合性組成物においては上記重合開始エネルギー源に対してそれぞれ重合開始剤を用いることができる。特に熱重合には熱重合開始剤、電磁線重合のうち特に光重合には光重合開始剤を用いることが一般的である。
熱重合に用いる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、過酸化水素等のパーオキシド(過酸化物)、ジチオカーバメート等のイオウ化合物、が挙げられる。
用いることのできる光重合開始剤としてはベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類等が挙げられる。有機合成化学協会誌66,458(2008)等公知文献に紹介されている光重合開始剤も用いることができる。
用いる重合様態としては均一状態でも、不均一状態でも、開始種、エネルギーを与えることができるなら用いることができる。均一状態では塊状重合、溶液重合が用いられ、不均一状態ではエマルション重合、ディスパージョン重合、懸濁重合を用いることができる。溶液重合、エマルション重合、ディスパージョン重合、懸濁重合では溶媒を用いることができる。使用できる溶媒としては、モノマーを溶解しそれ自身重合の素反応(開始、成長、連鎖移動、停止)に関与しないものが好ましい。具体的にはトルエン、キシレン等の芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のカルボン酸エステル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル等が挙げられる。また紫外線等の電磁線を用いる場合平面的に重合させることもできる。具体的には、重合性モノマー、組成物を基材上に塗布した後、この塗布膜に電磁線を照射することにより重合させることが出来る。塗布方法は、重合性モノマー、組成物を基材表面に塗布できる法であれば特に制限はなく、バーコート法、スプレーコート法などが挙げられる。基材は、鋼板、印刷製版、フィルム、紙、アルミニウム箔などの外観が平面を呈するものの他、曲面を呈するもの、場合によっては立体状を呈するものなどでもよい。
重合雰囲気は酸素が重合阻害を行う場合があるので、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素、二酸化炭素等の不活性気体中で行うことが好ましい。中でも窒素は安価なため好適である。
ビニリデン化合物としては塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
また、上記モノマーに加えて、分子内に重合性不飽和二重結合を有する、比較的分子量の大きな化合物(オリゴマー、ポリマー)も本発明のモノマーとして用いることができる。具体的にはマクロモノマー、不飽和ポリエステル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン等があげられる。
本発明の重合性組成物としては、必要に応じて各種添加剤を用いてもよい。例えば、顔料、染料、タルク、石膏及びシリカ等の無機質充填剤;ヒンダードフェノール系や亜リン酸エステル系等の酸化防止剤;増感剤、難燃化剤、難燃化助剤、離型剤、帯電防止剤、重合禁止剤等が挙げられる。
本発明の重合性組成物を重合して各種用途に用いることのできる重合物を得ることができる。重合物を得るための重合方法は上記に説明したとおりである。重合物は重合様態、賦型によりフィルム状、シート状、塊状、粉末状等さまざまな形状を得ることができる。かくして得られた重合物は、耐熱性に優れ、高屈折率を有する重合物であり、さらに紫外線(UV)、特にUVA(400〜315nm)を好適に吸収する。従って、当該重合物はレンズ、LED封止材、コーティング等の光学用途の他、有害な紫外線、特にUVAを遮断したい様々な用途の部材として提供できる。具体的には、化粧品、有機ガラス、繊維、塗料、レンズ、容器等を挙げることができる。
(1)生成物が固体の場合は、融点測定装置(JIS K0064に準拠した、ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式:MFB−595)による融点測定を行った。
(2)赤外線(IR)分光光度計(日本分光社製、型式:IR−810)によるIRスペクトル測定を行った。
(3)核磁気共鳴装置(NMR)(日本電子社製、型式:GSX FT NMR Spectrometer)による1H−NMR分析を行った。
(4)Massスペクトル測定を行った(島津製作所社製、質量分析計、型式:GCMS−QP5000を使用)。
(4)紫外線吸光度の測定を行った(紫外・可視分光光度計(島津製作所製、型式:UV2200)を使用)。
<9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの合成>
(第一反応)
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの三口フラスコに、9、10−ジヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセンのナトリウム塩水溶液(20重量%)20ml(20ミリモル)、メタノール50mlを仕込み、室温で、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、ブロモエタノール6g(50ミリモル)を添加し、65℃に昇温しこの温度で2時間攪拌を継続した。純水30mlに反応液を投入して結晶を析出させた。析出した結晶を濾別し、得られた結晶を純水20mlとメタノール15mlとによって洗浄し、引き続き、減圧乾燥し、白色結晶の9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン4.5g(15.1ミリモル)を得た。生成物の9、10−ジヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセンに対する収率は、76モル%であった。
(1)融点:203〜204℃。
(2)IRスペクトル(KBr,cm−1):755、885、1025、1055、1080、1330、1348、3400等の波長に吸収が認められた。
(3)1H−NMR(CDCl3,ppm):d=3.52(s、4H)、3.84(t,J=5Hz,4H)、3.94(t,J=5Hz,4H),5.06(s、2H)、6.04(s,2H),7.44−7.50(m,2H)、8.12−8.17(m,2H)。
(4)マススペクトル:(EI−MS)m/z=300(M+)。
第一反応で使用したのと同じ容量が100mlの三口フラスコに、上記第一反応によって得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン2.0g(6.7ミリモル)、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.6g(25.5ミリモル)を仕込み、氷浴で、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル2.3g(25.5ミリモル)をアセトニトリル10mlに溶解した溶液を添加し、室温で1時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに、飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン1.4g(3.4ミリモル)を得た。生成物の9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンに対する収率は、51mol%であった。
(1)融点:71〜72℃。
(2)IRスペクトル(KBr,cm−1):650、750、805、925、975、1035、1065、1200、1298、1325、1415、1635、1722等の波長に吸収が認められた。
(3)1H−NMR(CDCl3,ppm):d=3.55(s,4H)、4.21(t,J=5Hz,4H)、4.61(t,J=5Hz,4H)、5.93(dd,J1=2Hz,J2=11Hz,2H)、6.06(s、2H),6.26(dd,J1=11Hz,J2=17Hz,2H)、6.52(dd,J1=1Hz,J2=17Hz,2H)、7.41−7.51(m,2H),8.05−8.11(m,2H)。
(4)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=408(M+)。
<9,10−ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの合成>
容量が50mlの四つ口フラスコに、上記合成例1の第一反応によって得られた、9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン0.5g(1.7ミリモル)、アセトニトリル10ml、トリエチルアミン0.7g(6.5ミリモル)を仕込み、氷浴で、フラスコの内容物を混合した後、塩化アクリロイル0.6g(6.7ミリモル)を添加し、室温で4時間攪拌を継続した。このフラスコに純水5mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに、飽和食塩水10ml、酢酸エチル20mlを加えた。得られた反応生成物に純水5mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、メタノール溶液から再結晶して、黄色結晶の9,10−ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン0.4g(0.8ミリモル)を得た。生成物の9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンに対する収率は、55mol%であった。
(1)融点:85〜86℃。
(2)IRスペクトル(KBr,cm−1):755、1072、1160、1295、1708、2925等の波長に吸収が認められた。
(3)1H−NMR(CDCl3,ppm):d=2.04(s,6H)、3.56(s、4H)、4.22(t,J=2Hz,4H)、4.59(t,J=2Hz,4H),5.67(t,J=1Hz,2H)、5.99(s、2H)、6.25(s,2H),7.40−7.51(m,2H)、8.09−8.13(m,2H)。
(4)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=436(M+)。
<9,10−ビス(2−アクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの合成>
(第一反応)
合成例の第一反応で使用したのと同じ容量が100mlの三口フラスコに、9、10−ジヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセンのナトリウム塩水溶液(20重量%)30g(26ミリモル)、アセトニトリル20mlを仕込み、室温で、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、酸化プロピレン12g(207ミリモル)を添加し、40℃に昇温し、この温度で12時間攪拌を継続した。冷却した反応液から析出した結晶を濾別し、得られた結晶を純水30mlとメタノール10mlとによって洗浄し、引き続き減圧乾燥し、白色結晶の9,10−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン6.2g(18.9ミリモル)を得た。生成物の9、10−ジヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセンに対する収率は、73モル%であった。
(1)融点:166〜168℃。
(2)IRスペクトル(KBr,cm−1):642、758、1060、1320、3320等の波長に吸収が認められた。
(3)1H−NMR(CDCl3,ppm):d=1.23(d,J=6Hz,6H),3.50(s,4H),3.75(t,J=5Hz,4H),3.96−4.16(m,2H),5.02(d,J=5Hz,2H),5.99(s,2H),7.39−7.50(m,2H),8.02−8.18(m,4H)(4)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=328(M+)。
合成例1で使用したのと同じ100mlの三口フラスコに、上記第一反応で得られた9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン2.0g(6.1ミリモル)とアセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.4g(23.2ミリモル)を仕込み、氷浴で、フラスコの内容物を混合した後、塩化アクリロイル2.1g(23.2ミリモル)をアセトニトリル10mlに溶解した溶液を添加し、室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに、飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、黄色油状の9,10−ビス(2−アクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン1.4g(3.2ミリモル)を得た。生成物の9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンに対する収率は、53mol%であった。
得られた生成物について、上記の測定を行った結果は次のとおりであり、9,10−ビス(2−アクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンであることが確認された。
(1)融点:固体でないため測定せず。
(2)IRスペクトル(neat,cm−1):645、762、805、980、1060、1190、1292、1350、1400、1615、1720、1790等の波長に吸収が認められた。
(3)1H−NMR(CDCl3,ppm):d=1.50(d,J=6Hz,6H)、3.52(s,4H)、3.97−4.13(m,4H)、5.90(dd,J1=2Hz,J2=11Hz,2H)、5.98(s,2H),6.23(dd,J1=11Hz,J2=17Hz,2H)、6.50(dd,J1=2Hz,J2=17Hz,1H,ビニル基)、7.27−7.49(m,2H)、8.02−8.08(m,2H)。
(4)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=436(M+)。
<9,10−ビス(2−メタクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの合成>
合成例1で使用したのと同じ100mlの三口フラスコに、上記合成例3の第一反応で得られた、9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン2.0g(6.1ミリモル)、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.4g(23.2ミリモル)を仕込み、氷浴で、フラスコ内容物を混合した後、塩化メタクリロイル2.4g(23.2ミリモル)をアセトニトリル10mlに溶解した溶液を添加し、室温で4時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、橙色油状の9,10−ビス(2−メタクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン1.4g(2.9ミリモル)を得た。生成物の9,10−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンに対する収率は、48mol%であった。得られた生成物について、上記の測定を行った結果は次のとおりであり、9,10−ビス(2−メタクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンであることが確認された。
(1)融点:固体でないため測定せず。
(2)IRスペクトル(neat,cm−1):645、760、805、935、1060、1160、1290、1445、1630、1710、1780、2950等の波長に吸収が認められた。
(3)1H−NMR(CDCl3、ppm):d=1.47(d,J=9Hz,6H),2.00(s,6H),3.53(s,4H),4.02(t,J=4Hz,4H),5.39−5.50(m,2H),5.64(t,J=2Hz,2H),5.98(s,2H),6.25(s,2H),7.26−7.48(m,2H),8.03−8.08(m,2H)。
(4)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=464(M+)。
(重合反応)
合成例1の9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン100重量部、光ラジカル重合開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア184)4重量部を加え、この組成物をモノマーの融点以上に加温し、バーコーターによってガラス表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。次いで、窒素雰囲気下、高圧銀ランプ(366nmの照射強度は0.1mw/cm2であった。)を使用してモノマーの融点以上に加温しながら5分光照射した。
(評価)
組成物を室温に冷却後、再びモノマーの融点である72℃以上に加温したが、溶融しなかった。従ってこの組成物は重合したことが確認できた。重合物をガラスから剥離して紫外線吸光度を測定したところ、330nm近傍でモル吸光係数は20以上であった。
(重合反応)
評価例1の9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの代わりに合成例2に記載の方法で合成した9,10−ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンを用いた他は評価例1と同様の重合反応を行った。
(評価)
組成物を室温に冷却後、再びモノマーの融点である86℃以上に加温したが、溶融しなかった。従ってこの組成物は重合したことが確認できた。重合物をガラスから剥離して紫外線吸光度を測定したところ、330nm近傍でモル吸光係数は20以上であった。
(重合反応)
評価例1の9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの代わりに合成例3に記載の方法で合成した9,10−ビス(2−アクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンを用いた他は評価例1と同様の重合反応を行った。
(評価)
組成物を室温に冷却後、再びモノマーの融点である室温以上に加温したが、溶融しなかった。従ってこの組成物は重合したことが確認できた。重合物をガラスから剥離して紫外線吸光度を測定したところ、330nm近傍でモル吸光係数は20以上であった。
(重合反応)
評価例1の9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの代わりに合成例4に記載の方法で合成した9,10−ビス(2−メタクリロイルオキシプロポキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンを用いた他は評価例1と同様の重合反応を行った。
(評価)
組成物を室温に冷却後、再びモノマーの融点である室温以上に加温したが、溶融しなかった。従ってこの組成物は重合したことが確認できた。重合物をガラスから剥離して紫外線吸光度を測定したところ、330nm近傍でモル吸光係数は20以上であった。
(重合反応)
評価例1の9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン50重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート50重量部、光ラジカル重合開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア184)4重量部を加え、この組成物をモノマーの40℃に加温し、バーコーターによってガラス表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。次いで、窒素雰囲気下、高圧銀ランプ(366nmの照射強度は0.1mw/cm2であった。)を使用してモノマーの40℃に加温しながら5分光照射した。
(評価)
組成物を室温に冷却後、再び9,10−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)−1,4−ジヒドロアントラセンの融点である72℃以上に加温したが、溶融しなかった。従ってこの組成物は重合したことが確認できた。重合物をガラスから剥離して紫外線吸光度を測定したところ、330nm近傍でモル吸光係数は10以上であった。
(重合反応)
モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート100重量部、光開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製イルガキュア184)4重量部を加え、この組成物をモノマーを室温で、バーコーターによってガラス表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。次いで、窒素雰囲気下、高圧銀ランプ(366nmの照射強度は0.1mw/cm2であった。)を使用して室温で5分光照射した。
(評価)
組成物をフィンガータック試験を行ったところタックフリーであった。従ってこの組成物は重合したことが確認できた。重合物をガラスから剥離して紫外線吸光度を測定したところ、330nm近傍でモル吸光係数は0.01未満であった。
Claims (6)
- 請求項1に記載の重合性組成物において、さらに他のラジカル重合性化合物を含有してなる重合性組成物。
- ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合性組成物。
- ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合性組成物。
- 請求項1項乃至4項のいずれか一項に記載の重合性組成物に対して、光および/または熱エネルギーを与えることにより重合させることを特徴とする請求項1項乃至4項のいずれかに記載の重合性組成物の重合方法。
- 請求項1項乃至4項のいずれか一項に記載の重合性組成物を重合させて得られる重合物。
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