JP5182511B2 - 樹脂用添加剤及び当該添加剤を含有する重合性組成物 - Google Patents
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Description
本発明の樹脂用添加剤は、下記一般式(1)で表される、アントロン骨格を有する(メタ)アクリレート誘導体を有効成分として含有するものである。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の樹脂用添加剤には、溶媒その他の成分が含まれてもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルを総称し、(メタ)アクリロイルオキシとは、アクリロイルオキシ及びメタクリロイルオキシを総称したものである。
XまたはYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシルなどが挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基、o−ヒドロキシフェノキシ基などが挙げられる。
本発明の樹脂用添加剤は他の化合物、組成物、資材に配合したり、施すことによって被配合物の熱分解温度を高めることができ、樹脂の熱分解を防止する熱分解防止剤として作用するものである。特に、樹脂を調製する際に、重合性組成物中に本発明の樹脂用添加剤をあらかじめ配合しておくことが望ましい。本発明のアントロン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基を持ち、その基の反応性、あるいは他化合物、他資材と親和性等の化学特性を活用することにより、組成物、重合物中での固定化が可能であり、単に添加した場合と異なりブリードアウト防止も期待できる。反応性としては(メタ)アクリロイルオキシ基固有の反応を活用することができる。たとえば重合反応、マイケル付加反応、ディールス・アルダー反応等が挙げられる。化学特性の中でも、反応性、特に重合反応性を用いることが好ましい。用いる重合機構としては、ラジカル重合、イオン重合等の連鎖重合が好ましい。特にラジカル重合が好ましい。通常、以下で述べる重合性化合物と配合して重合性組成物として用いることができる。
本発明の樹脂用添加剤は重合性の化合物に適用できる。重合性化合物とは、本発明の一般式(1)で表される樹脂用添加剤以外の重合性化合物であり、少なくとも1つのエチレン不飽和基を有する化合物のことをいう。例えば、(メタ)アクリレート化合物、脂肪酸ビニル化合物、ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物、環状オレフィン、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。これらは単独で使用しても複数併用してもよい。
樹脂用添加剤の重合性組成物中の含有量は下記数式(3)で表される。重合性組成物中樹脂用添加剤の含有量は重合性化合物の種類にもよるが、0.1〜50%が好ましく、0.2〜25%がより好ましく、0.3〜15%が最も好ましい。0.1%未満では、十分な効果が発揮できず、反対に50%を超過してもそれ以上の効果は発現しない。なお、樹脂用添加剤配合モル量は、樹脂用添加剤中の有効成分である上記一般式(1)で示される化合物のモル量であり、以下の記載において、樹脂用添加剤の含有量については、同様に有効成分である上記一般式(1)で示される化合物の量を基準とする。
本発明の重合性組成物は、さらに必要に応じて各種添加剤を含有してもよい。例えば、顔料、染料、タルク、石膏及びシリカ等の無機質充填剤;ヒンダードフェノール系や亜リン酸エステル系等の酸化防止剤;増感剤、難燃化剤、難燃化助剤、離型剤、帯電防止剤、重合禁止剤等が挙げられる。
本発明の樹脂用添加剤を含有する重合性組成物を重合させることによって樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物中の樹脂用添加剤の含有量を好ましい範囲に制御することにより、無配合のものに対して樹脂組成物の熱分解温度を5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは15℃以上向上できる。
重合開始のエネルギー源として、開始反応のエネルギーを与えるもの用いることができる。具体的なエネルギー源としては熱及び/又は光、電子線(EB)、マイクロ波、放射線等の活性エネルギー線が挙げられ、用いるエネルギー源に応じて、熱重合、活性エネルギー線重合(光重合、電子線重合、マイクロ波重合、放射線重合)等と呼ばれる。またそれぞれの重合に際して重合開始剤や増感剤を用いることができる。
上記重合開始エネルギー源に対してそれぞれ重合開始剤を用いることができる。特に熱重合には熱重合開始剤、活性エネルギー線重合のうち特に光重合には光重合開始剤を用いることが一般的である。
熱重合に用いる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、過酸化水素等のパーオキシド(過酸化物)、ジチオカーバメート等のイオウ化合物等が挙げられる。
用いることのできる光重合開始剤としてはベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類等が挙げられる。有機合成化学協会誌66,458(2008)等公知文献に紹介されている光重合開始剤も用いることができる。
重合様態はバルク、溶液、分散、エマルション、懸濁状態で行うことができる。使用できる溶媒としては、重合性化合物を溶解しそれ自身重合の素反応(開始、成長、連鎖移動、停止)に関与しないものが好ましい。具体的にはトルエン、キシレン等の芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のカルボン酸エステル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル等が挙げられる。
粉末にした重合物10mgの試料を示差熱・熱重量同時測定装置(島津製作所製 DTG−50)にて窒素雰囲気(窒素流量:100ml/分)、昇温速度10℃/分での5%重量減温度を求める。
樹脂組成物を溶媒に溶解して、紫外線分光光度計にて樹脂用添加剤中の有効成分である上記一般式(1)で示される化合物の特性吸収ピーク強度を測定し、あらかじめ同様に測定していた既知濃度の当該化合物の特性吸収ピーク強度と比較して、樹脂組成物中の樹脂用添加剤含有量を求める。
測定した特性吸収ピーク:
9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート=270nm
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
(3)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(4)紫外線(UV)分光光度計:島津製作所製、型式UV−2200
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、水18g、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a―テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)を仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
次に、攪拌機、温度計を装備した容量が300mlの三口フラスコに、上の反応で得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)を仕込んだ。フラスコ内容物を攪拌しつつ、窒素雰囲気下、メタノール26mlを加え、最後に臭化ベンジル3.8g(28ミリモル)のメタノール4ml溶液を仕込んだ。フラスコ内温を23℃に調節しながら、攪拌を継続したところ、次第に反応生成物の析出が認められた。内温を23℃に維持しならが、2時間反応させた後、フラスコ内のスラリーに水20mlを加えて良く攪拌した。ついで、スラリーをロータリーエバポレーターに移し、これによってスラリー量を、最初の量の2/3程度になるまで減圧濃縮した。濃縮によって沈殿した結晶を吸引濾過し、水洗いし、乾燥して、無色の結晶を5.97g(19.7ミリモル)得た。原料の9,10−アントラヒドロキノンに対する生成物の収率は、87mol%であった。
(1)融点:142〜144℃。
(2)IR(KBr,cm−1):3360、3060、3030、2910、1668、1645、1595、1450、1370、1320、1280、1170、1025、925、780、762、698、694。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.60(s,1H)、3.25(s,2H)、6.14(d,J=8Hz,2H)、6.90(t,J=8Hz,2H)、7.06(t,J=8Hz,1H)、7.46(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.90(t、J=8Hz,2H)、8,04(t,J=8Hz,2H)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンを2.0g(6.7ミリモル)入れ、次いでアセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.0g(19.9ミリモル)を仕込んだ。四つ口フラスコを氷浴に浸し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.8g(19.9ミリモル)を、アセトニトリル10mlに溶解した溶液として仕込み、仕込み後に室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.9g(2.5ミリモル)を得た。生成物の10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、37mol%であった。
(1)融点:133〜134℃。
(2)IR(KBr,cm−1):690、975、1030、1170、1280、1600、1650、1720。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ3.43(s,2H)、5.93(dd,J1=2Hz,J2=10Hz,1H)、6.15(d,J=8Hz,2H)、6.28(dd,J1=10Hz,J2=17Hz,1H)、6.47(dd,J1=2Hz,J2=10Hz,1H)、6.83−7.68(m,9H)、8.12(dd,J1=1Hz,J2=8Hz,2H)。
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
次に、攪拌機、温度計を装備した容量300mlの三口フラスコに、上の反応で得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)を窒素雰囲気下仕込み、次いでメタノール26mlを添加し、最後に臭化−n−プロピル3.4g(27.6ミリモル)のメタノール4ml溶液を仕込んだ。反応液の温度を23℃に調節しつつ、攪拌を継続すると反応生成物の析出が認められた。内温を23℃に維持しならが、2時間反応させた後、フラスコ内のスラリーに水20mlを加えて良く攪拌した。スラリー中に沈殿した結晶を吸引濾過、水洗い、乾燥し、無色の結晶を4.64g(18.4ミリモル)得た。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、81mol%であった。
(1)融点:172〜174℃。
(2)IR(KBr,cm−1):3260、3060、2950、2930、1660、1596、1450、1314、1280、1034、1020、922、772、696。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ1.66(t,J=7Hz,3H)、1.64−1.76(m、2H)、1.96−2.06(m,2H)、2.50(s,1H)、7.47(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.92(d,J=8Hz,2)、8.24(d,J=8Hz,2H)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン1.0g(4.0ミリモル)を仕込み、次いでアセトニトリル15ml、トリエチルアミン1.2g(11.8ミリモル)を仕込んだ。四つ口ラスコを氷浴中に浸漬し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.0g(11.0ミリモル)を、アセトニトリル5mlに溶解した溶液として添加し、室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水10mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水20ml、酢酸エチル40mlを加えた。得られた反応生成物に純水10mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−プロピル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.5g(1.6ミリモル)を得た。生成物の10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、42mol%であった。
(1)融点:77〜78℃。
(2)IR(KBr,cm−1):700、1185、1318、1598、1660、1727。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ0.66(t,J=5Hz,2H)、0.63−0.78(m,2H)、2.17−2.23(m,2H)、5.87(dd,J1=1Hz,J2=11Hz,1H),6.19(dd,J1=11Hz,J2=17Hz,1H)、6.38(dd,J1=1Hz,J2=17Hz,1H)、7.45−7.66(m,6H)、8.31(dd,J1=1Hz,J2=8Hz,2H)。
<第1反応>、
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し、1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
窒素雰囲気下、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)にメタノール16mlを添加し、ついで臭化シクロヘキシル4.4g(27.3ミリモル)のメタノール4ml溶液を添加した。50℃に調節した油浴に浸漬して3時間攪拌を継続した。3時間経過後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶状生成物を吸引濾過し、水洗いして乾燥し、薄い肌色の粉末5.68g(19.2ミリモル)を得た。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、84mol%であった。
(1)融点:153〜154℃。
(2)IR(KBr、cm-1):3440、2910、2845、1640、1594、1450、1340、1320、1260、1162、1022、945、922、890、762、758、695、618、522、504。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ0.52(2H,dt,J1=J2=12Hz)、0.80(1H,t,J=12Hz)、1.01(2H,dt,J1=J2=12Hz)、1.40−1.80(5H,m)、7.48(2H,t、J=9Hz)、7.63(2H,t,J−9Hz)、7.88(2H,d,J=9Hz)、8.17(2H,d,J=9Hz)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの三口フラスコに、10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン2.1g(7.2ミリモル)のアセトン28ml溶液を仕込み、そこに塩化アクリロイル1.9g(21.0ミリモル)を加え、ついで、反応液を氷浴に浸漬して冷却し、そこにトリエチルアミン3.0g(29.6ミリモル)のアセトン12ml溶液を仕込んだ。フラスコ内は、トリエチルアミンを添加した後直ちに、白い結晶の析出が観察された。フラスコ内容物を氷浴中で1時間攪拌した後、水10ml加え、沈殿物を溶解させた。さらに、水を20ml加えスラリー状にし、実施例1におけると同様の手順でスラリーを濃縮したところ、結晶が析出した。析出した結晶を吸引濾過し、水洗,乾燥して、薄い黄色の結晶600mg(1.7ミリモル)を得た。生成物の10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、24mol%であった。
(1)融点:141〜142℃。
(2)IR(KBr、cm−1):2925、2850、1730、1660、1595、1400、1316、1270、1180、981、922、800、704。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MH):δ0.61(2H,dt,j1=J2=11Hz)、0.86(1H,t,J=11Hz)、1.08(2H,dt,j1=J2=11Hz)、1.46−1.72(5H,m)、5.93(1H,d,J=11Hz)、6.28(1H,dd,J1=11Hz,J2=17Hz)、6.43(1H,d,J=17Hz)、7.46(2h、t、J=9Hz)、7.59(2h、t、J=9Hz)、7.82(2H,d,J=9Hz)、8.28(2H,d,J=10Hz)。
樹脂用添加剤として、合成例1と同様にして合成した9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート4.6mg(0.01ミリモル)、重合性化合物としてメタクリル酸メチル396mg(3.96ミリモル)および熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル10mg(0.06ミリモル)を30mlの試験管中のトルエン2gと混合させ、2分間窒素置換した後、密封してオイルバスにて65℃で5時間加温した。加温後、試験管中の溶液を室温まで冷却し、室温のメタノール30mlへ攪拌下少しずつ投入して再沈殿させた。沈殿物をロ別し、60℃で4時間減圧乾燥させ表1の収率で重合物を得た。上記「樹脂組成物中樹脂用添加剤含有量測定法」により、重合物中の樹脂用添加剤の含有量を求めた。また、上記「熱分解温度測定法」にて熱分解温度を求め、それぞれ表1に示した。
樹脂用添加剤及びメタクリル酸メチルの配合量を表1のように変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、その結果を表1に示す。
重合性化合物としてメタクリル酸メチル400mg(4.06ミリモル)および熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル10mg(0.06ミリモル)を30mlの試験管中のトルエン2gと混合させ、2分間窒素置換した後、密封してオイルバスにて65℃で5時間加温した。加温後、試験管中の溶液を室温まで冷却し、室温のメタノール30mlへ攪拌下少しずつ投入して再沈殿させた。沈殿物をロ別し、60℃で4時間減圧乾燥させ表1の収率で重合物を得た。上記「熱分解温度測定法」にて熱分解温度を求め、表1、表2、表3に示した。
樹脂用添加剤として、合成例2と同様にして合成した9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成4.4mg(0.01ミリモル)、重合性化合物としてメタクリル酸メチル396mg(3.96ミリモル)および熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル10mg(0.06ミリモル)を30mlの試験管中のトルエン2gと混合させ、2分間窒素置換した後、密封してオイルバスにて65℃で5時間加温した。加温後、試験管中の溶液を室温まで冷却し、室温のメタノール30mlへ攪拌下少しずつ投入して再沈殿させた。沈殿物をロ別し、60℃で4時間減圧乾燥させ表2の収率で重合物を得た。上記「樹脂組成物中樹脂用添加剤含有量測定法」により、重合物中の樹脂用添加剤の含有量を求め、表2に示した。また上記熱分解温度測定法にて熱分解温度を求め、表2に示した。
樹脂用添加剤及びメタクリル酸メチルの配合量を表2のように変更した以外は実施例9と同様の操作を行い、その結果を表2に示す。
樹脂用添加剤として、合成例3と同様にして合成した9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート4.4mg(0.01ミリモル)、重合性化合物としてメタクリル酸メチル399mg(3.99ミリモル)および熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル10mg(0.06ミリモル)を30mlの試験管中のトルエン2gと混合させ、2分間窒素置換した後、密封してオイルバスにて65℃で5時間加温した。加温後、試験管中の溶液を室温まで冷却し、室温のメタノール30mlへ攪拌下少しずつ投入して再沈殿させた。沈殿物をロ別し、60℃で4時間減圧乾燥させ表1の収率で重合物を得た。上記「樹脂組成物中樹脂用添加剤含有量測定法」により、重合物中の樹脂用添加剤の含有量を求め、表3に示した。また、上記「熱分解温度測定法」にて熱分解温度を求め、表3に示した。
樹脂用添加剤及びメタクリル酸メチルの配合量を表3のように変更した以外は実施例13と同様の操作を行い、その結果を表3に示す。
Claims (4)
- 重合性化合物が、ラジカル重合性化合物である請求項1に記載の重合性組成物(ただし、酸化ニオブ(V)は含まれない。)。
- 請求項1又は2に記載の重合性組成物(ただし、酸化ニオブ(V)は含まれない。)を重合してなる樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の重合性組成物(ただし、酸化ニオブ(V)は含まれない。)を、熱又は活性エネルギー線により重合させることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008303710A JP5182511B2 (ja) | 2008-11-28 | 2008-11-28 | 樹脂用添加剤及び当該添加剤を含有する重合性組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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