JP4952385B2 - 9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物、製造法およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物、この化合物の製造法、およびこれを含有する重合性組成物、およびこの重合物の用途に関する。
近年、高屈折率樹脂材料に対する要望が高くなってきている。高屈折率の樹脂材料の光学用物品への応用は著しく、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、光ディスク、光ファイバー、光道波路などへの検討が行われている。
樹脂材料の屈折率を高くする方法としては、分子鎖中にハロゲン原子、硫黄化合物、または、芳香族骨格を有する化合物を導入する方法が有用であることが知られている。例えば、ハロゲン原子の有する高い固有屈折率を利用した、ハロゲン化高屈折率樹脂(または重合体)が提案されている(特許文献1)。しかし、分子鎖中にハロゲンを導入することによって、樹脂の耐光性が著しく劣化し、また、高比重となるという欠点があった。また、ハロゲン導入以外に高い固有屈折率を発揮する原子として硫黄があり、この硫黄原子を有する単量体を重合した樹脂が提案(特許文献2)されている。しかし、分子鎖中に硫黄原子を導入した樹脂は高い屈折率、優れた耐衝撃性を有するものの、得られたポリマーの耐光性が著しく劣り、また硫黄特有の不快臭が問題となる欠点があった。
分子鎖中に芳香族骨格を有する化合物の導入に関しては、これまでベンゼン環、ビフェニル環を導入した高屈折率樹脂材料が提案されている(特許文献3)。この樹脂材料は、比重は大きくなく透明性もすぐれ、バランスの良い屈折率材料である。しかし、分子鎖中に芳香族骨格を有する化合物(単量体)に、屈折率として1.6を超えるものを得ることは困難であった。また、さらに高い屈折率を得るため、3環性であるアントラセン骨格、フルオレノン骨格の導入も検討されている(特許文献4)。しかしながら、フルオレノン骨格を含む単量体は、紫外領域に吸収があり、光照射により着色し易くなり、耐光性に問題が生じる。また、分子鎖中にアントラセン基を有する化合物を使用すれば、高い屈折率の樹脂材料が得られる(特許文献5)が、アントラセン化合物は蛍光を発するため、光学材料分野での適用には制約があった。
特開平05−170702号公報 特開2002−20433号公報 特開2003−64296号公報 特開2004−83855号公報 特開2006−312709号公報
本発明者らは、かかる状況に鑑み、これらの欠点を排除した技術を提供すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は次のとおりである。
1.高い屈折率を有する新規な有機化合物を提供すること。
2.上記目的1に適う工業的に有利な製造法を提供すること。
3.透明性に優れた高屈折率材料を提供すること。
4.透明性に優れた高屈折率材料製の高屈折率樹脂製物品を提供すること。
上記目的を達成するために、第一発明では、下記構造式(1)で表されることを特徴とする、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物を提供する。
Figure 0004952385
また、第二発明では、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物を有機ハロゲン化物と反応させ、下記構造式(2)で表される10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物とした後、このものとアクリル化剤とを反応させることを特徴とする、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物の製造法を提供する。
Figure 0004952385
さらに、第三発明では、第一発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物に、重合性組成物、および/または、光重合開始剤が配合されてなることを特徴とする重合性組成物を提供する。
さらに、第四発明では、第三発明に係る重合性組成物を、熱重合法または光重合法によって重合させて得られたものであることを特徴とする、高屈折率樹脂を提供する。
また、第五発明では、第四発明に係る高屈折率樹脂を主原料として、製造されたものであることを特徴とする、高屈折率樹脂製製品を提供する。
本発明は、以下に詳細に記述するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.第一発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物は、高い屈折率を有する。
2.第二発明に係る製造方法によれば、第一発明に係る化合物を、工業的に有利に製造することができる。
3.第三発明に係る重合性組成物は、透明で耐熱性に優れた光学物品(製品)が得られる。
4.第四発明に係る樹脂は高屈折率で、軽量で、透明性に優れているので、光学物品(製品)として有用である。
5.第五発明に係る高屈折率樹脂製製品は、軽量で、透明性に優れている。
以下、本発明を詳細に記述する。
本発明の第一発明に係る化合物は、上記構造式(1)によって表される、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物である。
上記構造式(1)において、Rで表されるアリル基としては、アリル基、メタリル基、クロチル基が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、p−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−メトキシベンジル基、o−メトキシベンジル基、フェネチル基、等が挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
上記構造式(1)において、XまたはYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシルなどが挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基、o−ヒドロキシフェノキシ基などが挙げられる。
上記構造式(1)で表される化合物としては、例えば、次のものが挙げられる。すなわち、9−アリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−メタリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−フェネチル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(2−エチルヘキシル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(n−ブチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(i−ブチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(i−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−エチル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−メチル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(2−メトキシエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(2−エトキシエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(2−ヒドロキシエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−(2−クロロエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、9−アリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−メタリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−フェネチル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(2−エチルヘキシル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(n−ブチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(i−ブチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(i−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−エチル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−メチル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(2−メトキシエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(2−エトキシエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(2−ヒドロキシエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレート、9−(2−クロロエチル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルメタクリレートである。以下に、代表的な化合物の構造式を示す。
Figure 0004952385
Figure 0004952385
Figure 0004952385
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上記構造式(1)によって表される9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物は、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物を、有機ハロゲン化物と反応させ、前記構造式(2)で表される10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物とする下記第1反応、および、前記構造式(2)で示される10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物を、アクリル化剤とを反応させる下記第2反応により製造することができる。なお、下記第1反応式を示す構造式における、R、XおよびYは、構造式(2)のものと同じ意味であり、下記第2反応式を示す構造式における、R、R、XおよびYは、構造式(1)のものと同じ意味である。
Figure 0004952385
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上記第1反応において原料として用いられる9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物は、通常、9,10−アントラキノン化合物を、還元剤または触媒の存在下、水素ガスによって還元することによって得られる。使用されるアントラキノン化合物としては、例えば、9,10−アントラキノン、2−メチル−9,10−アントラキノン、1−メチル−0,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−(t−ブチル)−9,10−アントラキノン、2−(i−アミル)−9,10−アントラキノン、2−(4−メチルペンチル)−9,10−アントラキノン、2−(4−メチル−3−ペンテニル)−9,10−アントラキノン、2−クロロ−9,10−アントラキノン、1−クロロ−9,10−アントラキノン、2−ブロモ−9,10−アントラキノン、1−ブロモ−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロー9,10−アントラキノン、2,7−ジクロロー9,10−アントラキノン、2−ヒドロキシ−9,10−アントラキノン、1−ヒドロキシ−9,10−アントラキノン、2−メトキシ−9,10−アントラキノン、2−エトキシ−9,10−アントラキノン、2−フェノキシ−9,10−アントラキノン、1−フェノキシ−9,10−アントラキノンなどが挙げられる。
アントラキノン化合物の還元反応において使用される還元剤としては、9,10−アントラキノンのカルボニル基を還元するものであれば良く、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、亜ジチオン酸ナトリウム、過酸化チオ尿素などが挙げられる。また、1,4−ナフトキノンと1,3−ブタジエンとのディールス・アルダー反応によって得られる、1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9,10−アントラキノン、およびそのアルカリ塩である1,4−ジヒドロ−9,10−アントラセンジオールのアルカリ塩は、9,10−アントラキノン化合物の還元剤として有用である。これら還元剤の添加量は、9,10−アントラキノン化合物に対して2モル倍以上で、通常は2〜4モル倍である。
アントラキノン化合物の還元反応において使用される触媒は、主として貴金属触媒である。貴金属触媒の具体例としては、パラジウム担持活性炭、パラジウム担持アルミナ、白金担持活性炭などが挙げられる。特に、担持率5重量%のパラジウム担持活性炭が好適である。アントラキノン化合物に対する貴金属触媒の添加量は、通常、0.01〜5重量%の範囲で選ばれる。触媒の添加量が0.01%未満であると水素化速度が遅く、5重量%を超えると副反応で芳香環の水素化が併発し好ましくない。触媒のより好ましい添加量は、0.2〜2重量%の間である。
アントラキノン化合物の還元反応を遂行する際に使用できる溶媒は、特に種類が制約されるものではなく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、メタノール、エタノールのようなアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適である。このほか、水または水と水混和性の溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどの水溶性エーテル系溶媒などの水との混合溶媒も使用可能である。溶媒中の、9,10−ジヒドロキシアントラセンの濃度は、溶媒に対する溶解度によるが、通常、5〜20重量%程度である。
アントラキノン化合物の還元反応を遂行する際の反応温度は、原料の種類、溶媒の種類、溶媒中の原料濃度、触媒の種類、触媒の量などに依存する。通常は、0〜120℃の範囲で選ばれる。反応温度が0℃より低いと反応が遅く、また120℃より高いと副反応が起き易く、製品の純度が低下する。反応温度の特に好ましい範囲は、40〜80℃である。反応時間は、原料の種類、溶媒の種類、溶媒中の原料濃度、触媒の種類、触媒の量、反応温度などに依存する。通常は0.5〜3時間の範囲で選ばれる。得られた、9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物は、通常単離せずに、次の有機ハロゲン化物との反応に供することができる。水素によって還元する際の水素の圧力は、通常、1〜10Paの範囲が好ましい。水素による還元終了後、触媒を濾別して除き、濾液を第1反応における有機ハロゲン化物との反応に供する。
上記第1反応おいて使用される有機ハロゲン化物としては、ハロゲン化アリル類、ハロゲン化アラルキル類、ハロゲン化アルキル類などが挙げられる。ハロゲン化アリル類としては、例えば、臭化アリル、臭化メタリル、臭化クロチル、塩化アリル、塩化メタリル、塩化クロチルなどが挙げられる。ハロゲン化アラルキル類としては、臭化ベンジル、塩化ベンジル、臭化フェネチル、塩化フェネチル、臭化−p−ヒドロキシベンジル、臭化−o−ヒドロキシベンジル、臭化−p−メトキシベンジル、臭化−p−クロロベンジルなどが挙げられる。ハロゲン化アルキル類としては、臭化メチル、臭化エチル、臭化−n−プロピル、臭化−i−プロピル、臭化−n−ブチル、臭化−i−ブチル、臭化−n−アミル、臭化−i−アミル、臭化−n−ヘキシル、臭化シクロヘキシル、臭化−2−エチルヘキシル、2−ブロモエタノール、3−ブロモエタノール、塩化メチル、塩化エチル、塩化−n−プロピル、塩化−i−プロピル、塩化−n−ブチル、塩化−i−ブチル、塩化−n−アミル、塩化−i−アミル、塩化−n−ヘキシル、塩化シクロヘキシル、塩化−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
9,10−アントラヒドロキノン化合物に対する有機ハロゲン化物の添加モル比率は、1.0〜3.0の範囲とするのが好ましい。前者に対する後者(有機ハロゲン化物)の添加モル比率が1.0未満では、9,10−アントラヒドロキノン化合物が未反応のままで残り、3.0を超えると、生成する10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物の反応液に対する溶解度が高くなり、反応生成物から結晶化し難くなり収率が低下する。特に好ましい前者に対する後者の添加モル比率は、1.2〜2.0の範囲である。
上記第1反応での反応温度は、原料の種類、溶媒の種類、溶媒中の原料濃度、触媒の種類、触媒の量などに依存する。通常は、0〜100℃の範囲で選ばれる。反応温度が0℃より低いと反応速度が遅すぎて、反応に時間がかかりすぎ、100℃より高いと、副反応が起きて生成物の純度が低下する。特に好ましい反応温度は、20℃〜60℃である。反応時間は、原料の種類、溶媒の種類、溶媒中の原料濃度、触媒の種類、触媒の量などに依存し、通常は0.5〜3時間の範囲で選ばれる。反応終了後は、反応液に貧溶媒、例えば水を加え、析出した結晶またはオイル状物質を取り出し、アルコールに溶解し、冷蔵庫などの冷所中に静置して結晶化させる。
第2反応では、第1反応で得られた10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物を、塩基性化合部物の存在または非存在下、溶媒の存在または非存在下で、塩化アクリロイルまたは塩化メタクリロイルと反応させることにより、相当する9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物が得られる。第2反応において、原料として使用できるものは、第1反応において、アントラキノン化合物を還元した後、有機ハロゲン化物と反応させて得られた、10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物である。
第2反応で原料として使用できる化合物としては、例えば、次の化合物が挙げられる。すなわち、10−アリル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−メタリル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−クロチル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−フェネチル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(p−メチルベンジル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(o−メチルベンジル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(p−クロロベンジル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(o−クロロベンジル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−メチル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−エチル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(i−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(n−ブチル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(i−ブチル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(n−アミル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(i−アミル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(n−ヘキシル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン、10−(2−エチルヘキシル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンなどである。
第2反応を遂行する際、10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物に対する、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルの添加モル比は、1.0〜3.5の範囲で選ばれる。前者に対する後者(アクリル化剤)の添加モル比率が1.0未満では、未反応のヒドロキシ化合物が残り、また添加比率が3.5を超えると、第2反応で使用した塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイル自体が重合するため、目的物の9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物の分離が困難で、目的物の純度が低下するので好ましくない。前者に対する後者のより好ましい添加モル比は、1.1〜1.5の範囲である。
第2反応を塩基の存在下で遂行する場合、使用できる塩基は、有機塩基、無機塩基のいずれでもよく、これらの混合物であってもよい。有機塩基の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、γ−ピコリンなどが挙げられる。無機塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。塩化アクリロイルまたは塩化メタアクロイルに対する塩基の添加モルは、好ましくは1.0〜3.5である。前者に対する後者(塩基)の添加モル比が1.0未満では、ヒドロキシ化合物が未反応のまま残存し、3.5を超えると、生成物の反応液に対する溶解性が高くなって結晶化し難くなるので好ましくない。添加モル比のより好ましい範囲は、1.0〜1.5である。
第2反応を溶媒の存在下で遂行する場合、使用できる反応溶媒としては、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルなどと反応しないものであれば、特に種類を選ばない。具体的には、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、メチルナフタレン、クロルナフタレンなどの芳香族系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、1,2−ジクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒などが挙げられる。溶媒に対する反応物の濃度は、特に制限はなく、溶媒に溶解し難い場合には、反応物をスラリー状態に分散させて反応させることもできる。
反応温度は、塩基の種類、塩基の添加量、反応溶媒の種類などに依存する。通常は、0〜80℃の範囲で選ぶのが好ましい。温度が0℃以下であると、反応速度が遅く時間がかかりすぎ、また80℃以上であると、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイル自体の重合が進行し、生成物の純度が低下するため好ましくない。より好ましい反応温度は、20〜50℃の範囲である。
得られた反応生成物は、赤外スペクトル分析法、マススペクトル分析法、H−NMRスペクトル分析法などによって、得られた化合物が、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物であることを確認することができる。いずれの化合物も、赤外スペクトル分析法では、1720cm−1付近にエステル基に帰因する強いCO伸縮振動と、1660cm−1付近にアントロンに由来する強いCO伸縮振動を示す。また、H−NMRスペクトル分析法では、AMX型のアクリル基特有のスペクトルを示すので、容易にアクリル基の存在を確認することができる。また、得られた9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート自体の屈折率を測定した結果、通常用いられる脂環式アクリレートに比べて、高い屈折率を有することが分かった。
前記構造式(1)に示される、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物は、熱重合開始剤、および/または、光重合開始剤を配合することにより、重合性組成物とすることができる。この際、要すれば、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体を配合することができる。エチレン性不飽和二重結合を有する単量体は、重合性組成物を溶液状とし、この組成物を取り扱い易くする。9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート、熱重合開始剤、および/または、光重合開始剤を配合した重合性組成物、または、さらに要すれば、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体を配合した重合性組成物は、熱重合法または光重合法により重合させることができる。前記構造式(1)に示される化合物は、アントラセン化合物、例えば、9,10−アントラセンジオールジアクリレートに比べて、共重合性単量体に対して高い溶解性を示し、高屈折率材料として好都合である。
エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体としては、芳香族ビニル化合物単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル類、多官能アクリレートなどが挙げられる。芳香族ビニル化合物単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの側鎖アルキル置換スチレン、ビニルトルエンなどの核アルキル置換スチレン、ブロモスチレン、クロルスチレンなどのハロゲン化スチレン、 ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピレンメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。多官能アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどが挙げられる。
熱重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ系化合物が挙げられる。有機過酸化物の具体例としては、例えば、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチル パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート類などのパーオキシエステル類、1,1、−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5− トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール類、ラウロイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類などが挙げられる。またアゾ系化合物の開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビ (シクロヘキサン−1−カーボニトリル)などのアゾニトリル類が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−イソプロピルチオキサントン、2−t−ブチルアントラキノンなどが挙げられる。現在、光重合開始剤として実際に市販されている製品として、チバ・スペシャリティ社製の商品名イルガキュア651、イルガキュア184、ダロキュア1173、イルガキュア907、イルガキュア369、ダロキュアTPO、イルガキュア819などがある。
9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートと、エチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体とを配合する場合、前者対後者の組成比は、重合性の観点から重量比で100:1〜1:100の範囲で選ぶことができる。しかしながら、屈折率の観点からすると、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の組成比が多すぎると、得られた樹脂の屈折率が高くならず、また、少なすぎると塗布性が悪化し好ましくない。上記組成比の中で好ましいのは、5:1〜1:5であり、より好ましいのは2:1〜1:4である。重合開始剤の添加量は、単量体に対し通常0.1〜5.0重量%の範囲が好ましく、中でも好ましいのは0.3〜2.0重量%である。
上記重合性組成物の重合は、重合性組成物をフィルム状にして行うことができるし、塊状で行うこともできる。フィルム状で重合させる場合は、例えば、ポリエステルフィルムなどの基材表面に、液状の重合性組成物をバーコーター用いて塗布し、ついで塗布膜に紫外線領域または可視光線領域の光線を照射することによって光重合を開始させ、硬化させることができる。基材は、鋼板、印刷製版、フィルム、紙、アルミニウム箔などの外観が平面を呈するもののほか、曲面を呈するもの、立体を呈するものであってもよい。光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フュージョン社製のHランプ、Dランプ、Vランプ、紫外線LEDランプ、青色LEDランプ、白色LEDランプなどが挙げられる。太陽光であってもよい。
光重合は、酸素不存在下で実施することが好ましい。酸素存在下で光重合を行うと、重合が酸素に阻害されて重合が遅くなり、重合開始剤の大量添加が必要となる。酸素不存在下での硬化方法としては、窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスの雰囲気で行うことである。また、酸素非過性の皮膜によって被覆して光照射して重合させる方法も有効である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
得られた生成物についての諸特性の確認は、次のようにして行った。(1)融点:JIS K0064に準拠した融点測定装置(ゲレンキャンプ社製、型式:MFB−595)により、(2)屈折率:アタゴ社製、屈折率計(型式:DR−M2)による、(3)赤外線(IR)分光光度計(日本分光社製、型式:IR−810)によるIRスペクトル、(4)核磁気共鳴装置(NMR)(日本電子社製、型式:GSX FT NMR Spectorometer)によるH−NMR分析、(5)Massスペクトル(島津製作所社製、質量分析計、型式:GCMS−QP5000を使用)、などを測定した。
[合成実施例1]9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、水18g、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a―テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)を仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
次に、攪拌機、温度計を装備した容量が300mlの三口フラスコに、上の反応で得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)を仕込んだ。フラスコ内容物を攪拌しつつ、窒素雰囲気下、メタノール26mlを加え、最後に臭化ベンジル3.8g(28ミリモル)のメタノール4ml溶液を仕込んだ。フラスコ内温を23℃に調節しながら、攪拌を継続したところ、次第に反応生成物の析出が認められた。内温を23℃に維持しならが、2時間反応させた後、フラスコ内のスラリーに水20mlを加えて良く攪拌した。ついで、スラリーをロータリーエバポレーターに移し、これによってスラリー量を、最初の量の2/3程度になるまで減圧濃縮した。濃縮によって沈殿した結晶を吸引濾過し、水洗いし、乾燥して、無色の結晶を5.97g(19.7ミリモル)得た。原料の9,10−アントラヒドロキノンに対する生成物の収率は、87モル%であった。
生成物について、上記した(1)〜(5)の特性測定を行った結果は次のとおりであり、白色結晶は、10−ベンジル−10−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセンオンであることが確認された。
(1)融点:142〜144℃。
(2)屈折率:測定せず。
(3)IR(KBr,cm−1):3360、3060、3030、2910、1668、1645、1595、1450、1370、1320、1280、1170、1025、925、780、762、698、694。
(4)H−NMR(CDCl,270MHz):δ2.60(s,1H)、3.25(s,2H)、6.14(d,J=8Hz,2H)、6.90(t,J=8Hz,2H)、7.06(t,J=8Hz,1H)、7.46(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.90(t、J=8Hz,2H)、8,04(t,J=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=300(M)。
<第2反応>
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンを2.0g(6.7ミリモル)入れ、次いでアセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.0g(20.2ミリモル)を仕込んだ。四つ口フラスコを氷浴に浸し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.8g(20.2ミリモル)を、アセトニトリル10mlに溶解した溶液として仕込み、仕込み後に室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.9g(2.5ミリモル)を得た。生成物の10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、38mol%であった。
得られた生成物の白色結晶について、上記した(1)〜(5)の特性の測定を行った結果は次のとおりであり、生成物は9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートであることが確認された。
(1)融点:133〜134℃。
(2)屈折率:1.635。
(3)IR(KBr,cm−1):690、975、1030、1170、1280、1600、1650、1720。
(4)H−NMR(CDCl,270MHz):δ3.43(s,2H)、5.93(dd,J=2Hz,J=10Hz,1H)、6.15(d,J=8Hz,2H)、6.28(dd,J=10Hz,J=17Hz,1H)、6.47(dd,J=2Hz,J=10Hz,1H)、6.83−7.68(m,9H)、8.12(dd,J=1Hz,J=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=354(M)。
[合成実施例2]9−アリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>
9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a―テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを100mlオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し、1時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
次に、攪拌機、温度計を装備した容量が300mlの三口フラスコに、先に得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)を、窒素雰囲気下に仕込み、そこへメタノール25mlを添加し、最後に臭化アリル3.6g(30ミリモル)のメタノール4ml溶液を加えた。反応液の温度を23℃に調節しつつ攪拌を続けると、次第に無色のオイル状物の沈殿が観察された。撹拌を2時間継続した後、2液となった反応物に塩化メチレン13mlを加え有機層を抽出した後、水10mlで洗い、ついで、塩化メチレン層にn−ヘキサンを15ml加え、冷蔵庫に保存した。数日経過後に結晶が析出していたので、さらにヘキサンを15ml加え、撹拌してスラリー状にした後、吸引濾過、水洗い、乾燥し、無色の結晶を3.3g(13.1ミリモル)得た。生成物の、9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は58モル%であった。
得られた無色結晶について、上記した(1)〜(5)の特性の測定を行った結果は次のとおりであり、生成物は10−アリル−10−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセンオンであることが確認された。
(1)融点:100〜101℃。
(2)屈折率:1.626。
(3)IR(KBr,cm−1):3440、3060、2980、2940、2910、1643、1596、1580、1455、1320、1300、1152、1024、990、926、913、764、690、644、620、525、504。
(4)H−NMR(CDCl,270MHz):δ2.66(s,1H)、2.67(d,J=8Hz,2H)、4.60(dd,J1=2Hz、J2=17Hz,1H)、4.83(dd,J1=2Hz,J2=9Hz,1H)、5.15(m,1H)、7.49(t、J=8Hz,2H)、7.67(t,J=8Hz,2H)、7.92(d,J=8Hz,2H)、8.20(d、J=8Hz、2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=250(M)。
<第2反応>
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−アリル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン1.9g(7.6ミリモル)、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.3g(22.8ミリモル)を仕込んだ。四つ口フラスコを氷浴中に浸漬し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル2.1g(22.8ミリモル)を、アセトニトリル10mlに溶解した溶液として仕込み、仕込み後に室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−アリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.9g(3.0ミリモル)を得た。生成物の10−アリル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、40mol%であった。
得られた無色結晶について、上記した(1)〜(5)の特性の測定を行った結果は次のとおりであり、生成物は9−アリル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートであることが確認された。
(1)融点:88〜89℃。
(2)屈折率:1.607。
(3)IR(KBr,cm−1):705、922、975、1173、1310、1595、1660、1720。
(4)H−NMR(CDCl,270MHz):δ2.93(d,J=7Hz,2H)、4.58(dd,J=2Hz,J=17Hz,1H)、4.79(dd,J=1Hz,J=11Hz,1H)、5.02−5.15(m,1H)、5.89(dd,J=1Hz,J=11Hz,1H)、6.22(dd,J=11Hz、J=17Hz,1H)、6.41(dd,J=1Hz,J=17Hz,1H)、7.44−7.68(m,6H)、8.30(dd,J=1Hz,J=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=304(M)。
[合成実施例3]9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
次に、攪拌機、温度計を装備した容量300mlの三口フラスコに、上の反応で得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)を窒素雰囲気下仕込み、次いでメタノール26mlを添加し、最後に臭化−n−プロピル2.8g(24ミリモル)のメタノール4ml溶液を仕込んだ。反応液の温度を23℃に調節しつつ、攪拌を継続すると反応生成物の析出が認められた。内温を23℃に維持しならが、2時間反応させた後、フラスコ内のスラリーに水20mlを加えて良く攪拌した。スラリー中に沈殿した結晶を吸引濾過、水洗い、乾燥し、無色の結晶を4.64g(18.4ミリモル)得た。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、81モル%であった。
得られた無色結晶について、上記した(1)〜(5)の特性の測定を行った結果は次のとおりであり、生成物は10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセンオンであることが確認された。
(1)融点:172〜174℃。
(2)屈折率:測定せず。
(3)IR(KBr,cm−1):3260、3060、2950、2930、1660、1596、1450、1314、1280、1034、1020、922、772、696。
(4)H−NMR(CDCl,270MHz):δ1.66(t,J=7Hz,3H)、1.64−1.76(m、2H)、1.96−2.06(m,2H)、2.50(s,1H)、7.47(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.92(d,J=8Hz,2)、8.24(d,J=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=252(M)。
<第2反応>
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン1.0g(4.0ミリモル)を仕込み、次いでアセトニトリル15ml、トリエチルアミン1.2g(11.8ミリモル)を仕込んだ。四つ口ラスコを氷浴中に浸漬し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.1g(11.8ミリモル)を、アセトニトリル5mlに溶解した溶液として添加し、室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水10mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水20ml、酢酸エチル40mlを加えた。得られた反応生成物に純水10mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−プロピル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.5g(1.7ミリモル)を得た。生成物の10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、42mol%であった。
得られた白色結晶について、上記した(1)〜(5)の特性の測定を行った結果は次のとおりであり、生成物は9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートであることが確認された。
(1)融点:77〜78℃。
(2)屈折率:1.602。
(3)IR(KBr,cm−1):700、1185、1318、1598、1660、1727。
(4)H−NMR(CDCl,270MHz):δ0.66(t,J=5Hz,2H)、0.63−0.78(m,2H)、2.17−2.23(m,2H)、5.87(dd,J=1Hz,J=11Hz,1H),6.19(dd,J=11Hz,J=17Hz,1H)、6.38(dd,J=1Hz,J=17Hz,1H)、7.45−7.66(m,6H)、8.31(dd,J=1Hz,J=8Hz,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=306(M)。
[合成実施例4]9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>、
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し、1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
窒素雰囲気下、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン分22.8ミリモル)にメタノール16mlを添加し、ついで臭化シクロヘキシル4.0g(24.4ミリモル)のメタノール4ml溶液を添加した。50℃に調節した油浴に浸漬して3時間攪拌を継続した。3時間経過後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶状生成物を吸引濾過し、水洗いして乾燥し、薄い肌色の粉末5.68g(19.2ミリモル)を得た。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、85モル%であった。
得られた薄い肌色の粉末ついて、上記した(1)〜(5)の特性の測定を行った結果は次のとおりであり、生成物は10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセンオンであることが確認された。
(1)融点:153〜154℃。
(2)屈折率:測定せず。
(3)IR(KBr、cm−1):3440、2910、2845、1640、1594、1450、1340、1320、1260、1162、1022、945、922、890、762、758、695、618、522、504。
(4)H−NMR(CDCl3,270MHz):δ0.52(2H,dt,J1=J2=12Hz)、0.80(1H,t,J=12Hz)、1.01(2H,dt,J1=J2=12Hz)、1.40−1.80(5H,m)、7.48(2H,t、J=9Hz)、7.63(2H,t,J−9Hz)、7.88(2H,d,J=9Hz)、8.17(2H,d,J=9Hz)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=292(M)。
<第二反応>
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの三口フラスコに、10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセンオンのアセトン28m溶液を仕込み、そこに塩化アクリロイル3.2gを加え、ついで、反応液を氷浴に浸漬して冷却し、そこにトリエチルアミン3.64g(36ミリモル)のアセトン12ml溶液を仕込んだ。フラスコ内は、トリエチルアミンを添加した後直ちに、白い結晶の析出が観察された。フラスコ内容物を氷浴中で1時間攪拌した後、水10ml加え、沈殿物を溶解させた。さらに、水を20ml加えスラリー状にし、実施例1におけると同様の手順でスラリーを濃縮したところ、結晶が析出した。析出した結晶を吸引濾過し、水洗,乾燥して、薄い黄色の結晶600mgを得た。生成物の10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、24mol%であった。
得られた薄い肌色の粉末ついて、上記した(1)〜(5)の特性の測定を行った結果は次のとおりであり、生成物は9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートであることが確認された。
(1)融点:141〜142℃。
(2)屈折率:1.615。
(3)IR(KBr、cm−1):2925、2850、1730、1660、1595、1400、1316、1270、1180、981、922、800、704。
(4)H−NMR(CDCl3,270MH):δ0.61(2H,dt,j1=J2=11Hz)、0.86(1H,t,J=11Hz)、1.08(2H,dt,j1=J2=11Hz)、1.46−1.72(5H,m)、5.93(1H,d,J=11Hz)、6.28(1H,dd,J1=11Hz,J2=17Hz)、6.43(1H,d,J=17Hz)、7.46(2h、t、J=9Hz)、7.59(2h、t、J=9Hz)、7.82(2H,d,J=9Hz)、8.28(2H,d,J=0Hz)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=346(M)。
[合成実施例5]9−アリル−10−オキソ−2−メチル−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>
攪拌機、温度計を装備した容量200mlの三口フラスコに、2−メチル−9,10−アントラキノン4.44g(20ミリモル)、水30g、過酸化チオ尿素6g(60ミリモル)を加え、よく攪拌しスラリーとした。ついで、窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム9.6g(240ミリモル)の水30gに溶解した溶液を滴下した。反応混合物の色は直ちに赤色になり、さらに、フラスコ内の反応混合物を攪拌しつつ50℃に加熱し、50℃の温度で30分保持したところ、2-メチル−9,10−アントラヒドロキノンのジナトリウム塩の真紅な水溶液が得られた。次に、この赤い水溶液を室温まで冷却し、窒素雰囲気下、臭化アリル3.3g(28ミリモル)の20mlメタノール溶液を加えた。
攪拌中に次第に黄土色のオイルが沈殿するので、1時間攪拌後、反応物に酢酸エチル50mlを加えて有機層を抽出した後、有機層(抽出物)を水20mlで3回洗浄した。有機層を濃縮して、薄黄色油状物質を4.2g(16ミリモル)得た。
<第2反応>
次いで、攪拌機、温度計を装備した容量が200ml三口フラスコ中に、上記で得られた薄黄色油状物質4.2g(16ミリモル)の塩化メチレン20ml溶液、塩化アクリロイル2.88g(32ミリモル)を仕込み、氷浴中で、フラスコ内の内容物を攪拌・混合した。この後、フラスコにトリエチルアミン3.2g(32ミリモル)の塩化メチレン6ml溶液を添加し、室温で1時間攪拌した。攪拌終了後、フラスコに水2ml加え、析出したトリエチルアミンの塩酸塩の結晶を溶解させた。さらに、フラスコに水を4ml加えると2層に分かれたので、塩化メチレン層を分取した。分離した塩化メチレン層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、黄色油状の9−アリル−10−オキソ−2−メチル−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート3.0g(9.4ミリモル)を得た。生成物の2−メチル−9,10−アントラキノンに対する収率は、47モルl%であった。
得られた黄色油状物について、上記した(1)〜(5)特性の測定を行った結果は次の通りであり、黄色油状物質は9−アリル−10−オキソ−2−メチル−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートであることが確認された。
(1)融点:室温で液体である。
(2)屈折率:1.604。
(3)IR(KBr、cm−1):3080,2930,1735,1666,1610,1460,1408,1320,1262,1180,1040,985,940,810,720。
(4)H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.42(s、3H),2.94(d、J=8Hz,2H),4.58(dd、J1=2Hz,J2=18Hz,1H),4.80(dd、J1=2Hz,J2=10Hz、1H),5.08(m、1H),5.86−5.92(m、1H),6.16−6.28(m,1H),6.34−6.44(m、1H),7.28−7.67(m、5H),8.10−8.34(m、2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=318(M)。
[合成実施例6]9−アリル−10−オキソ−2−フェニルチオ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>、
攪拌機、温度計を装備した容量200mlの三口フラスコに、2−フェニルチオ−9,10−アントラキノン5.0g(15.8ミリモル)、水酸化ナトリウム1.7g(41.1ミリモル)、水40ml、メタノール48ml、パラジウム担持活性炭0.5gを仕込み、水素圧0.4MPa、温度60℃とし、攪拌しつつ3.5時間反応を遂行した。反応終了後、フラスコ内温を室温まで冷却し、窒素雰囲気下でパラジウム担持活性炭を濾別し、濾液を攪拌機、温度計を装備した容量が200ml四つ口フラスコに受けた。次に、上記の溶液に臭化アリル2.7g(22.1ミリモル)を加え、室温で攪拌した。攪拌中に次第に黄土色のオイルが沈殿した。1時間攪拌後、反応物に酢酸エチル50mlを加えて有機層を抽出した後、有機層(抽出物)を水20mlで3回洗浄した。有機層を濃縮・乾燥して、橙色油状物質を4.7g(13.1ミリモル)得た。生成物の、2−フェニルチオ−9,10−アントラキノンに対する収率は83モル%であった。
得られた黄色オイルについて、上記した(1)〜(5)特性の測定を行った結果は次の通りであり、橙色油状物質は10−アリル−10−ヒドロキシ−2−フェニルチオアントラセン−9(10H)−オンであることが確認された。
(1)融点:室温で液体である。
(2)屈折率:1.676。
(3)IR(KBr、cm−1):3425、3070、2950、1730、1680、1580、1300、1250、1040、930、710、690
(4)H−NMR(CDCl,270MHz): δ2.60(s,1H),2.65(d、J=10Hz,1H),2.70(d,J=10Hz,1H),4.63(d,J=16Hz,1H),4.84(d,J=12Hz,1H),5.07−5.22(m,1H),7.16−8.22(m、12H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=358(M)。
<第2反応>
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−アリル−10−ヒドロキシ−2−フェニルチオアントラセン−9(10H)−オン2.0g(5.8ミリモル)、アセトニトリル30ml、トリエチルアミン1.8g(17.4ミリモル)を仕込み、氷浴で、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.6g(17.4ミリモル)をアセトニトリル10mlに溶解した溶液を添加し、室温で2時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、黄色油状の9−アリル−10−オキソ−2−フェニルチオ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート1.1g(2.6ミリモル)を得た。生成物の10−アリル−10−ヒドロキシ−2−フェニルチオアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、45mol%であった。
得られた無色結晶について、上記した(1)〜(5)特性の測定を行った結果は次の通りであり黄色油状物質は9−アリル−10−オキソ−2−フェニルチオ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートであることが確認された。
(1)融点:室温で液体である。
(2)屈折率:1.640。
(3)IR(KBr、cm−1):3075、2925、1730、1660、1580、1400、1300、1250、1170、1030、980、720
(4)H−NMR(CDCl,270MHz):δ2.84(d、J=10Hz,1H),2.90(d,J=10Hz,1H),4.59(d,J=17Hz,1H),4.80(d,J=12Hz,1H),5.03−5.09(m,1H),5.84−5.91(m,1H),6.01−6.25(m,1H),6.34(dd,J=2Hz,J=16Hz,1H),7.18−7.63(m,10H),8.13−8.28(m,2H)。
(5) Massスペクトル:(EI−MS)m/z=412(M)。
合成実施例1〜合成実施例6に記載した、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの化合物名、構造式、屈折率などを、まとめて表−1に示す。本発明に係る化合物の屈折率(n)は、比較例として挙げた市販されている三種の非芳香族系アクリレート系化合物、および芳香族アクリレート系化合物に比べて、大幅に高いことが分かる。
Figure 0004952385
「光重合性組成物の調製実施例1」
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートとの共重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート100重量部、実施例1に記載の方法で合成した、9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート50重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア819)1重量部をそれぞれ秤量し、容量が200mlのビーカーに入れ、均一になるように混合して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、紫外LEDランプ(サンダー社製、型式:SDL−10M3CUV)によって、395nmの照射強度を3mw/cmとして照射した。3分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化した透明な樹脂フィルムが得られた。ついで、得られた樹脂膜をガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(アタゴ社製、形式:DR−M2)を使用して測定したところ、1.578であった。
「光重合性組成物の調製比較例1」
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート単独重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレー100重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア819)1重量部をそれぞれ秤量して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、紫外LEDランプ(上に同じ)によって、395nmの照射強度を3mw/cmとして照射した。1分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化した樹脂フィルムが得られた。ついで、得られた樹脂フィルムをガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(上に同じ)を使用して測定したところ、1.536であった。測定結果を、表−2に記載した。
「光重合性組成物の調製比較例2」
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートとフェノキシエチルアクリレートとの共重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート100重量部、市販の高屈折率化合物2−フェノキシエチルアクリレート50重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア819)1重量部をそれぞれ秤量し、容量が200mlのビーカーに入れ、均一になるように混合して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、紫外LED(上に同じ)によって、395nmの照射強度を3mw/cmとして照射した。1分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化したフィルムが得られた。得られた樹脂フィルムをガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(上に同じ)を使用して測定したところ1.553であり、光重合性組成物の調製比較例1のものに比べて高いものの、光重合性組成物の調製実施例1のものに比べると、低い値であった。測定結果を、表−2に記載した。
「光重合性組成物の調製比較例3」
トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと2−メチル−9,10−アントラセンジオールジメタクリレートとの共重合の調製例:
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート100重量部、2−メチル−9,10−アントラセンジオールジメタクリレート5重量部(これ以上は溶解しなかった。)、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア784)2重量部をそれぞれ秤量し、容量が200mlのビーカーに入れ、均一になるように混合して光重合性組成物を調製した。この光重合性組成物を、大きさが50mm×50mmのガラス板表面に、バーコーターによって膜の厚さが200μmとなるように塗布し、次いで窒素雰囲気下、青色LEDランプ{ルクセオン社製、型式:Luxeon III Star(3W)}によって光線を照射した。3分間照射して、光重合性組成物が重合・硬化した樹脂フィルムが得られた。得られた樹脂フィルムをガラス板から剥がし、この樹脂の屈折率を、屈折率計(アタゴ社製、形式:DR−M2)を使用して測定したところ1.537であり、光硬化実施例1に比べて遥かに低い値であり、光硬化比較例1と同程度であった。測定結果を、表−2に記載した。
Figure 0004952385
上記表−2より、次のことが明らかとなる。
1.本発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート成分を含む共重合体は、高い屈折率を有している。これに対して、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート成分を含まない共重合体は、屈折率が低い。
2.本発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート成分を含む共重合体は、透明の光学材料として、各種製品製造用として使用できる。
本発明は以上詳細に説明したとおりであり、第一発明に係る9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレ−ト化合物は、光重合性組成物の調製用原料として有用である。また、第三発明に係る重合性組成物は、高屈折率樹脂製造用の原料として有用であり、さらに第三発明に係る重合性組成物からは、高屈折率樹脂製品が得られる。第五発明に係る高屈折率樹脂製品としては、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、光ディスク、光ファイバー、光道波路などが挙げられる。

Claims (7)

  1. 下記構造式(1)で表されることを特徴とする、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレ−ト化合物。
    Figure 0004952385
  2. 9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物を有機ハロゲン化物と反応させ、下記構造式(2)で表される10−置換−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン化合物とした後、このものとアクリル化剤とを反応させることを特徴とする、9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物の製造法。
    Figure 0004952385
  3. アクリル化剤が、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルであることを特徴とする、請求項2記載の9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物の製造法。
  4. 請求項1に記載の9−置換−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート化合物に、熱重合開始剤、および/または、光重合開始剤が配合されてなることを特徴とする重合性組成物。
  5. 重合性組成物に、さらにエチレン性不飽和二重結合を有する共重合性単量体を配合されてなる、請求項4に記載の重合性組成物。
  6. 請求項4または請求項5に記載の重合性組成物を、熱重合法または光重合法によって重合させて得られたものであることを特徴とする高屈折率樹脂。
  7. 請求項6に記載の高屈折率樹脂を主原料として、製造されたものであることを特徴とする、高屈折率樹脂製製品。
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