JP5569669B2 - 自己光重合性化合物及び当該自己光重合性化合物を含有する光硬化性組成物 - Google Patents
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Description
XまたはYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシルなどが挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基、o−ヒドロキシフェノキシ基などが挙げられる。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
(3)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、水18g、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a―テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)を仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
次に、攪拌機、温度計を装備した容量が300mlの三口フラスコに、上の反応で得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)を仕込んだ。フラスコ内容物を攪拌しつつ、窒素雰囲気下、メタノール26mlを加え、最後に臭化ベンジル3.8g(28ミリモル)のメタノール4ml溶液を仕込んだ。フラスコ内温を23℃に調節しながら、攪拌を継続したところ、次第に反応生成物の析出が認められた。内温を23℃に維持しならが、2時間反応させた後、フラスコ内のスラリーに水20mlを加えて良く攪拌した。ついで、スラリーをロータリーエバポレーターに移し、これによってスラリー量を、最初の量の2/3程度になるまで減圧濃縮した。濃縮によって沈殿した結晶を吸引濾過し、水洗いし、乾燥して、無色の結晶を5.97g(19.7ミリモル)得た。原料の9,10−アントラヒドロキノンに対する生成物の収率は、87モル%であった。
(1)融点:142〜144℃。
(2)IR(KBr,cm−1):3360、3060、3030、2910、1668、1645、1595、1450、1370、1320、1280、1170、1025、925、780、762、698、694。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ2.60(s,1H)、3.25(s,2H)、6.14(d,J=8Hz,2H)、6.90(t,J=8Hz,2H)、7.06(t,J=8Hz,1H)、7.46(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.90(t、J=8Hz,2H)、8,04(t,J=8Hz,2H)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンを2.0g(6.7ミリモル)入れ、次いでアセトニトリル30ml、トリエチルアミン2.0g(19.9ミリモル)を仕込んだ。四つ口フラスコを氷浴に浸し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.8g(19.9ミリモル)を、アセトニトリル10mlに溶解した溶液として仕込み、仕込み後に室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水20mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水40ml、酢酸エチル80mlを加えた。得られた反応生成物に純水20mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.9g(2.5ミリモル)を得た。生成物の10−ベンジル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、37mol%であった。
(1)融点:133〜134℃。
(2)IR(KBr,cm−1):690、975、1030、1170、1280、1600、1650、1720。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ3.43(s,2H)、5.93(dd,J1=2Hz,J2=10Hz,1H)、6.15(d,J=8Hz,2H)、6.28(dd,J1=10Hz,J2=17Hz,1H)、6.47(dd,J1=2Hz,J2=10Hz,1H)、6.83−7.68(m,9H)、8.12(dd,J1=1Hz,J2=8Hz,2H)。
9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>
攪拌機、温度計、原料仕込み口を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
次に、攪拌機、温度計を装備した容量300mlの三口フラスコに、上の反応で得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)を窒素雰囲気下仕込み、次いでメタノール26mlを添加し、最後に臭化−n−プロピル3.4g(27.6ミリモル)のメタノール4ml溶液を仕込んだ。反応液の温度を23℃に調節しつつ、攪拌を継続すると反応生成物の析出が認められた。内温を23℃に維持しならが、2時間反応させた後、フラスコ内のスラリーに水20mlを加えて良く攪拌した。スラリー中に沈殿した結晶を吸引濾過、水洗い、乾燥し、無色の結晶を4.64g(18.4ミリモル)得た。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、81モル%であった。
(1)融点:172〜174℃。
(2)IR(KBr,cm−1):3260、3060、2950、2930、1660、1596、1450、1314、1280、1034、1020、922、772、696。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ1.66(t,J=7Hz,3H)、1.64−1.76(m、2H)、1.96−2.06(m,2H)、2.50(s,1H)、7.47(t,J=8Hz,2H)、7.68(t,J=8Hz,2H)、7.92(d,J=8Hz,2)、8.24(d,J=8Hz,2H)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの四つ口フラスコに、上記第1反応で得られた10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オン1.0g(4.0ミリモル)を仕込み、次いでアセトニトリル15ml、トリエチルアミン1.2g(11.8ミリモル)を仕込んだ。四つ口ラスコを氷浴中に浸漬し、フラスコの内容物を攪拌・混合した後、塩化アクリロイル1.0g(11.0ミリモル)を、アセトニトリル5mlに溶解した溶液として添加し、室温で3時間攪拌を継続した。このフラスコに純水10mlを加え、10分間攪拌を継続した後、さらに飽和食塩水20ml、酢酸エチル40mlを加えた。得られた反応生成物に純水10mlを加えて洗浄し、この洗浄操作を3回繰り返した。純水によって洗浄した後の液から、有機層を分離した。分離した有機層を濃縮して得られた油状物質を、ヘキサン、酢酸エチルを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー法によって精製し、白色結晶の9−プロピル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレート0.5g(1.7ミリモル)を得た。生成物の10−(n−プロピル)−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、42mol%であった。
(1)融点:77〜78℃。
(2)IR(KBr,cm−1):700、1185、1318、1598、1660、1727。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ0.66(t,J=5Hz,2H)、0.63−0.78(m,2H)、2.17−2.23(m,2H)、5.87(dd,J1=1Hz,J2=11Hz,1H),6.19(dd,J1=11Hz,J2=17Hz,1H)、6.38(dd,J1=1Hz,J2=17Hz,1H)、7.45−7.66(m,6H)、8.31(dd,J1=1Hz,J2=8Hz,2H)。
9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの合成:
<第1反応>
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlのオートクレーブに、9,10−アントラキノン2.4g(11.4ミリモル)、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン2.5g(11.4ミリモル)、水酸化ナトリウム1g(25ミリモル)、水18gを仕込み、攪拌しつつ、窒素雰囲気下、110℃のオイルバスに浸漬し、1時間加熱した。1時間経過後、オートクレーブを室温まで冷却し、9,10−アントラセンジオールのジナトリウム塩の深紅な水溶液20mlを得た。
窒素雰囲気下、得られた9,10−ジヒドロキシアントラセンのナトリウム塩20mlの水溶液(アントラキノン換算で20重量%、22.6ミリモル)にメタノール16mlを添加し、ついで臭化シクロヘキシル4.4g(27.3ミリモル)のメタノール4ml溶液を添加した。50℃に調節した油浴に浸漬して3時間攪拌を継続した。3時間経過後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶状生成物を吸引濾過し、水洗いして乾燥し、薄い肌色の粉末5.68g(19.2ミリモル)を得た。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、84モル%であった。
(1)融点:153〜154℃。
(2)IR(KBr、cm-1):3440、2910、2845、1640、1594、1450、1340、1320、1260、1162、1022、945、922、890、762、758、695、618、522、504。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MHz):δ0.52(2H,dt,J1=J2=12Hz)、0.80(1H,t,J=12Hz)、1.01(2H,dt,J1=J2=12Hz)、1.40−1.80(5H,m)、7.48(2H,t、J=9Hz)、7.63(2H,t,J−9Hz)、7.88(2H,d,J=9Hz)、8.17(2H,d,J=9Hz)。
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの三口フラスコに、10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシ−9(10H)−アントラセンオン2.1g(7.2ミリモル)のアセトン28m溶液を仕込み、そこに塩化アクリロイル1.9g(21.0ミリモル)を加え、ついで、反応液を氷浴に浸漬して冷却し、そこにトリエチルアミン3.0g(29.6ミリモル)のアセトン12ml溶液を仕込んだ。フラスコ内は、トリエチルアミンを添加した後直ちに、白い結晶の析出が観察された。フラスコ内容物を氷浴中で1時間攪拌した後、水10ml加え、沈殿物を溶解させた。さらに、水を20ml加えスラリー状にし、実施例1におけると同様の手順でスラリーを濃縮したところ、結晶が析出した。析出した結晶を吸引濾過し、水洗,乾燥して、薄い黄色の結晶600mg(1.7ミリモル)を得た。生成物の10−シクロヘキシル−10−ヒドロキシアントラセン−9(10H)−オンに対する収率は、24mol%であった。
(1)融点:141〜142℃。
(2)IR(KBr、cm−1):2925、2850、1730、1660、1595、1400、1316、1270、1180、981、922、800、704。
(3)1H−NMR(CDCl3,270MH):δ0.61(2H,dt,j1=J2=11Hz)、0.86(1H,t,J=11Hz)、1.08(2H,dt,j1=J2=11Hz)、1.46−1.72(5H,m)、5.93(1H,d,J=11Hz)、6.28(1H,dd,J1=11Hz,J2=17Hz)、6.43(1H,d,J=17Hz)、7.46(2h、t、J=9Hz)、7.59(2h、t、J=9Hz)、7.82(2H,d,J=9Hz)、8.28(2H,d,J=10Hz)。
9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの膜厚12μmの光硬化物の作成:
合成例1と同様にして得た9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートを、140℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた融液をポリエステルフィルム(東レ製 ルミラーS)の上にバーコーターを使用して融液の膜厚が12μmとなるように塗布した。その後、窒素雰囲気下、膜を135℃に保温した状態で、膜の表面に中心波長が395nm、照射強度が10mw/cm2の紫外LEDランプの光線を照射した。照射後、膜の表面を指で押し付ける指触試験をしたところ、光線を照射してから膜表面のべたつきがなくなるまでの時間(タックフリータイム)は2分であった。
9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの膜厚12μmの光硬化物の作成:
合成例2と同様にして得た9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートを、110℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた融液をポリエステルフィルム(東レ製 ルミラーS)の上にバーコーターを使用して融液の膜厚が12μmとなるように塗布した。その後、窒素雰囲気下、膜を110℃に保温した状態で、膜の表面に中心波長が395nm、照射強度が10mw/cm2の紫外LEDランプの光線を照射した。照射後、膜の表面を指で押し付ける指触試験をしたところ、光線を照射してから膜表面のべたつきがなくなるまでの時間(タックフリータイム)は1分であった。
9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの膜厚12μmの光硬化物の作成:
合成例3と同様にして得た9−シクロヘキシル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートを、150℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた融液をポリエステルフィルム(東レ製 ルミラーS)の上にバーコーターを使用して融液の膜厚が12μmとなるように塗布した。その後、窒素雰囲気下、膜を150℃に保温した状態で、膜の表面に中心波長が395nm、照射強度が10mw/cm2の紫外LEDランプの光線を照射した。照射後、膜の表面を指で押し付ける指触試験をしたところ、光線を照射してから膜表面のべたつきがなくなるまでの時間(タックフリータイム)は2分であった。
トリメチロールプロパントリアクリレートと9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの共光硬化:
合成例1と同様にして得た9−ベンジル−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートを50重量部取り、トリメチロールプロパントリアクリレート50重量部と混合し、130℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた融液をポリエステルフィルム(東レ製 ルミラーS)の上にバーコーターを使用して融液の膜厚が12μmとなるように塗布した。その後、窒素雰囲気下、膜を130℃に保温した状態で、膜の表面に中心波長が395nm、照射強度が10mw/cm2の紫外LEDランプの光線を照射した。照射後、膜の表面を指で押し付ける指触試験をしたところ、光線を照射してから膜表面のべたつきがなくなるまでの時間(タックフリータイム)は1分であった。
トリメチロールプロパントリアクリレートと9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートの共光硬化:
合成例2と同様にして得た9−(n−プロピル)−10−オキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−9−イルアクリレートを50重量部取り、トリメチロールプロパントリアクリレート50重量部と混合し、85℃のオイルバス中に浸漬して溶融した。得られた融液をポリエステルフィルム(東レ製 ルミラーS)の上にバーコーターを使用して融液の膜厚が12μmとなるように塗布した。その後、窒素雰囲気下、膜を85℃に保温した状態で、膜の表面に中心波長が395nm、照射強度が10mw/cm2の紫外LEDランプの光線を照射した。照射後、膜の表面を指で押し付ける指触試験をしたところ、光線を照射してから膜表面のべたつきがなくなるまでの時間(タックフリータイム)は4分であった。
トリメチロールプロパントリアクリレートの単独光硬化:
トリメチロールプロパントリアクリレートをポリエステルフィルム(東レ製 ルミラーS)の上にバーコーターを使用して融液の膜厚が12μmとなるように塗布した。その後、窒素雰囲気下、膜を85℃に保温した状態で、膜の表面に中心波長が395nm、照射強度が10mw/cm2の紫外LEDランプの光線を照射した。光線を20分照射したが、照射前と変化は無く硬化しなかった。
Claims (4)
- さらに他のラジカル重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の光硬化性組成物。
- 他のラジカル重合性モノマーが、(メタ)アクリレート化合物、脂肪酸ビニル化合物又はビニルエーテル化合物のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の光硬化性組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を光照射により硬化した光硬化物。
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