JP2011020416A - 金型洗浄剤組成物および金型洗浄材、ならびにそれを用いた金型のクリーニング方法 - Google Patents

金型洗浄剤組成物および金型洗浄材、ならびにそれを用いた金型のクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形作業の繰り返しにより汚染された金型に対して優れた洗浄効果を発揮する金型洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】成形材料を用い繰り返し成形を行う加熱成形用金型の洗浄剤組成物であって、上記洗浄剤組成物が、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方と、アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、有機溶剤を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形またはトランスファー成形等の成形作業の繰り返しにより汚染された金型、例えば、熱硬化性樹脂組成物の成形作業に用いた半導体装置成形用金型等の洗浄再生等に用いられる金型洗浄剤組成物および金型洗浄材、ならびにそれを用いた金型のクリーニング方法に関するものである。
一般に、射出成形またはトランスファー成形等の成形作業の繰り返しにより金型は、成形材料を加熱した際に発生する揮発成分、成形品表面への滲出物、成形時に使用される離型剤等がその金型表面に付着し、さらにこれら付着物が酸化により変質することによって汚染される。このように金型が汚染されると、成形品の仕上がり寸法、外観、離型性等に悪影響を及ぼすこととなり好ましいことではない。
したがって、このような汚染された金型による悪影響を防止するため、射出成形またはトランスファー成形等に用いる金型は、定期的に洗浄作業が行なわれ、上記汚染物を金型表面から除去する必要がある。従来の金型の洗浄方法としては、例えば、成形装置から金型を取り外して強アルカリ溶液や溶剤を用いて洗浄する方法等が知られている。
しかしながら、成形装置から金型を外して強アルカリ溶液や溶剤を用いて洗浄する方法は、金型の冷却・昇温、脱着、洗浄等の工程が必要であり、洗浄に長時間を要するという問題があり労力も大きく、さらに、強アルカリ溶液や溶剤の使用による作業者への悪影響、洗浄後の廃液処理等、人や環境に与える負荷が大きいという問題があった。
このようなことから、熱硬化性メラミン樹脂成形材料、未加硫ゴム系コンパウンド等を使用し、これらを用いて金型内で成形することにより金型表面に生成した汚染物を成形物と一体化させ、この成形物を金型から取り出すことにより金型表面を洗浄するという方法が提案され一部で実施されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−226799号公報
例えば、熱硬化性樹脂組成物を用いて樹脂封止が行なわれる半導体装置成形用金型は、上記方法により洗浄が行なわれているが、上記熱硬化性樹脂組成物は、その要求特性によって構成する成分組成が異なり多種類であって、成形作業の繰り返しにより発生する金型汚染の状態および汚染物の成分そのものも多種多様である。なかでも、鉛やハロゲンに代表される環境負荷物質を排除した、ノンハロゲンの環境対応樹脂成形材料を用いて成形を繰り返した際の金型に形成された汚染物質は、金型表面に対する焼き付けが特にひどく、前述の熱硬化性メラミン樹脂成形材料や未加硫ゴム系コンパウンドを用いた従来の洗浄方法では汚染物質を完全に除去することが不可能であり、このような汚染物質に対しても洗浄可能となるような洗浄材料が望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、成形作業の繰り返しにより汚染された金型に対して優れた洗浄効果を発揮する金型洗浄剤組成物および金型洗浄材、ならびにそれを用いた金型のクリーニング方法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、成形材料を用い繰り返し成形を行う加熱成形用金型の洗浄剤組成物であって、上記洗浄剤組成物が、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方と、アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、有機溶剤を含有してなる金型洗浄剤組成物を第1の要旨とする。
また、本発明は、金型洗浄剤組成物を用いてシート状に形成されてなる金型洗浄材を第2の要旨とする。
そして、本発明は、上記金型洗浄剤組成物からなる金型洗浄材を、開いた金型の型面に載置する工程と、上記金型を締めて上記金型洗浄材を挟み加熱加圧することにより、金型の表面に形成された汚染物を上記金型洗浄材に一体化させる工程と、汚染物が一体化した金型洗浄材を金型から剥離することにより、金型表面をクリーニングする工程とを備えた金型のクリーニング方法を第3の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、先に述べたように、ノンハロゲンの環境対応樹脂成形材料を用いて成形を繰り返した際の金型に形成される汚染物質でさえも効果的に洗浄除去することのできる洗浄剤組成物を得るべく鋭意検討を重ねた。その結果、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方と、アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、有機溶剤を含有すると、上記アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方を用いることにより、有機溶剤の作用によって汚れの分解や溶解作用が生じるとともに、上記アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方を併存させることによって、汚れの分解や溶解作用を促進するという作用を奏することから、これらの相乗作用により、従来に比べてより一層優れた洗浄効果を発揮することを見出し本発明に到達した。
このように、本発明の金型洗浄剤組成物は、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方と、アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、有機溶剤を必須成分として含有するものである。このため、成形作業の繰り返しにより形成された汚染物、特に従来の洗浄用組成物では充分な洗浄が困難であった、熱硬化性樹脂成形材料の鉛やハロゲン、アンチモンに代表される環境負荷物質を排除した、ノンハロゲンの環境対応樹脂成形材料を用いて成形作業を繰り返した際の金型表面に形成される汚染物質に対しても、有機溶剤の作用によって汚れの分解や溶解作用が生じるとともに、上記アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方を併存させることによって、汚れの分解や溶解作用を促進するという効果の相乗作用を発揮する。したがって、本発明の金型洗浄剤組成物を用いて金型表面の洗浄を行うことにより、金型表面に形成された汚染物がこの金型洗浄剤組成物に付着して一体化し金型から汚染物が効果的に除去されることとなり、例えば、エポキシ樹脂組成物を用いて繰り返し成形した半導体素子封止用の金型表面の汚染物がこの金型洗浄剤組成物からなる成形品と一体化し、金型から汚染物が効果的に除去されて金型の洗浄が効果的になされる。その結果、本発明の金型洗浄剤組成物により洗浄された金型を用いて形成される半導体装置は、外観的にも問題のない優れた製品が得られる。そして、本発明の金型洗浄剤組成物からなる金型洗浄材を、開いた金型の型面に載置した後、上記金型を締めて上記金型洗浄材を挟み加熱加圧することにより、金型の表面に形成された汚染物を上記金型洗浄材に一体化させ、汚染物が一体化した金型洗浄材を金型から剥離することにより、金型表面をクリーニングすることが可能となる。
そして、上記合成ゴムが、エチレン−プロピレン系ゴムおよび/またはブタジエンゴムであると、金型洗浄の際の取り扱いが容易となり洗浄作業性の向上が実現する。
また、上記アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方の含有量を、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方100重量部に対して特定の割合に設定すると、より一層優れた洗浄作用が得られるようになる。
さらに、水を含有すると、より一層優れた洗浄作用が得られるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の金型洗浄剤組成物は、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方と、アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、有機溶剤を必須成分として用いて得られるものである。
上記合成ゴムは、いわゆる未加硫ゴムであり、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)等のエチレン−α−オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、本発明においては、上記エチレン−α−オレフィン−ポリエンゴムには、エチレン−プロピレン−ポリエンゴム(EPDM)等のエチレン−α−オレフィン−ポリエンゴムをも含む。そして、これら未加硫ゴムは、金型内において加硫され加硫ゴムとなる。
上記合成ゴムのなかでも、金型を用いた成形に際して、汚染性が少ない、また加硫時の臭気が少ないという点から、EPR(EPDMを含む)、BRを単独でもしくはこれらの混合物が好ましく用いられる。
上記EPDMについて詳述すると、EPDMはエチレン,α−オレフィン(特にプロピレン)および以下に列挙するポリエンモノマーからなるターポリマーであり、上記ポリエンモノマーとしては、ジシクロペンタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,1−シクロオクタジエン、1,6−シクロドデカジエン、1,7−シクロドデカジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン、メチレンノルボルネン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、メチル−テトラヒドロインデン、1,4−ヘキサジエン等があげられる。
上記EPDMにおける各モノマーの共重合割合は、好ましくはエチレンが30〜80モル%、ポリエンモノマーが0.1〜20モル%で、残りがα−オレフィンとなるようなターポリマーである。より好ましいのはエチレンが30〜60モル%である。
また、上記BRとしては、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンをそれぞれ単独でもしくは併用してなる混合物として使用される。
上記合成樹脂としては、例えば、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリルニトリル・スチレン系樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ブタジエン樹脂、ポリアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト重合樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリサルフォン樹脂、メタクリル樹脂、アクリル−フッ素樹脂、アクリル−シリコーンオリゴマー、シリコーン樹脂、エポキシ含有シリコーン・アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアクリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、マレイン樹脂、フェノキシ樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これら合成樹脂のなかでも、金型を用いた成形に際して汚染が少ないという点から、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂が好適に用いられる。
そして、これら合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方からなる母材において、合成ゴムまたは合成樹脂を各々単独で用いてもよいし、合成ゴムおよび合成樹脂を組み合わせて用いても、さらには各々複数種類を組み合わせて用いてもよい。なかでも、金型洗浄を行なう際の取り扱いが容易であるという点から、合成ゴム、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂が好適に用いられる。特に、上記合成ゴムを用いることが好ましく、その合成ゴムの中でも、先に述べたように、EPRを単独で用いる、もしくはこのEPRとBRを混合した混合物が好ましく用いられる。
母材として、上記EPRとBRの混合物を用いる場合におけるEPR(x)とBR(y)の混合割合(x/y)は、重量比で、x/y=100/0〜20/80の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくはx/y=70/30〜30/70の範囲である。すなわち、両者の混合割合において、EPRが20未満(ERが80以上)では、成形作業時に行なうゴム成形品の除去に際し、成形品の強度が低下するため、破れ等の不都合が生じ易く、金型からの除去作業が困難となる傾向がみられるからである。
これら合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方からなる母材は、汚れの除去時に金型より取り外す際に硬化状態であることが好ましい。上記硬化状態とするための硬化方法としては、加熱による硬化、熱可塑性樹脂等のような冷却による硬化等があげられ、例えば、加熱による硬化させる場合には、硬化剤が用いられる。
上記硬化剤は、母材を硬化させることが可能であるものであればよく、例えば、合成ゴムやポリエチレン樹脂には有機過酸化物等があげられ、エポキシ樹脂の場合には、フェノール化合物、アミン系化合物、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤、有機リン酸化合物等があげられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシオレート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリールカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等の有機過酸化物等があげられる。
上記フェノール化合物としては、例えば、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール;多環二官能フェノールであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビフェノール類;およびこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体等の多官能フェノール類があげられる。
上記アミン系化合物としては、例えば、N,N−ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]−5−ノネン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、ピコリン、ピペリジン、ピロリジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリフェニルアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジシアミンジアミド、トリルビグアニド、グアニル尿素、ジメチル尿素等があげられる。
上記イミダゾール類としては、例えば、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン、ベンズイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]エチル−s−トリアジン等があげられる。
上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の酸無水物があげられる。
上記有機リン酸化合物としては、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリ(ジクロロプロピル)、リン酸トリ(クロロプロピル)、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、フェニルホスホン酸、トリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物等があげられる。
これら硬化剤は単独で使用してもよいし、2種以上任意の組み合わせで用いてもよい。
これら硬化剤の配合量は、適宜に設定されるが、例えば、合成ゴムであれば、合成ゴム100重量部(以下「部」と略す)に対して1〜3部の範囲に設定することが好ましい。
さらに、これら硬化剤は、合成ゴムや合成樹脂の熱硬化だけではなく、金型の洗浄剤としての機能を有しており、必要に応じて、硬化剤としての目的以外に本発明の金型洗浄剤組成物に配合することができる。このような場合における硬化剤の配合量は、合成ゴムや合成樹脂の少なくとも一方100部に対して、5〜60部に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜25部である。
上記母材に配合されるアルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方のうち、上記アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の金属塩があげられる。
そして、このようなアルカリ金属塩として、例えば、ホウ酸塩、リン酸、メタリン酸、次リン酸、亜リン酸(ホスホン酸)、次亜リン酸(ホスフィン酸)、ピロリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ピロ亜リン酸等のリン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、アクリル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アミノ安息香酸、アルギン酸、安息香酸、オレイン酸、ギ酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、グルタミン酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、サリチル酸、シュウ酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、ニコチン酸、乳酸、尿酸、ハロゲン置換酢酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、酪酸、リンゴ酸等の有機酸塩等があげられる。
これらのアルカリ金属塩は、多価酸の塩の場合、部分的にアルカリ金属の塩となったものも利用可能であり、例えば、三価のリン酸塩の場合、1個の金属と2個の水素を有する第一塩、2個の金属と1個の水素を有する第二塩、3個の金属を有する第三塩のいずれであってもよい。また、酸性塩、アルカリ性塩、中性塩のいずれであってもよい。なかでも、金型の腐食性の観点から、アルカリ性塩、中性塩が好ましい。さらに、これらアルカリ金属塩は、水への溶解性の観点から、水和物を用いることが好ましい。
上記アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられる。
これらアルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物は、単独で用いてもよいし、2種以上併せて用いてもよい。
そして、上記アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方は、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方100部に対して0.1〜10部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.1〜5部である。すなわち、配合量が少な過ぎると、金型表面に形成された汚染物質の除去性が著しく低下し、金型汚れを完全に除去することが困難となる傾向がみられ、逆に多過ぎると、アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物が金型表面に析出し易く、逆に金型を汚染してしまう傾向がみられるからである。
つぎに、本発明において用いられる有機溶剤としては、各種有機溶媒が用いられるが、例えば、上記アルカリ金属塩を用いた場合、その溶解性という観点から、アミド系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、カプロラクタム、カルバミド酸エステル等が好ましく用いられる。
上記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、iso −ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、iso −ペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜400)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等があげられる。
上記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ホロン、イソホロン等があげられる。
上記エーテル系溶媒としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセタール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等があげられる。
そして、上記有機溶剤以外に、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、フェノール類、アセタール、脂肪酸、酸無水物、エステル化合物、窒素化合物、アミン化合物(モノエタノールアミン等)、硫黄化合物(ジメチルスルホキシド等)等の溶剤や、2個以上の官能基を有する溶剤(エステルとエーテル、アルコールとエーテル等)を用いることもできる。また、これら溶剤とともに水を併用することもできる。これら溶剤は、単独で用いても、2種以上組み合わせて(例えば、アミド系溶媒同士、アミド系溶媒とアミド系溶媒以外の溶剤)用いてもよい。さらに、これら溶剤とともに、他の溶剤を併用してもよく、例えば、無機溶剤であるアンモニア等を混合することも可能である。なかでも、アルカリ金属塩を用いる場合、このアルカリ金属塩の溶解性という観点から、上記有機溶剤とともに水を併用することが好ましい。上記水としては、例えば、水道水、不純物を除去したRO水(逆浸透膜による処理をした水)、イオン交換水等が好適に用いられる。なお、上記アルカリ金属塩は結晶水が結合した水和物として用いた場合、この結晶水によって微量の水分を含有するため溶解性は向上するが、積極的に水を配合することにより溶解スピードが速まるために作業性の観点から好ましい。
上記有機溶剤は、金型を洗浄する際に液体であることが好ましく、さらに金型が加熱された際に揮散性を有しないものが特に好ましく、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類が好ましく用いられる。具体的には、熱硬化性樹脂組成物を封止材料として使用する半導体装置成形用金型は、その金型温度が、一般的に180℃近傍にて使用されることから、このような場合に使用される溶剤としては、沸点が180℃以上のものを用いることが好ましい。沸点が180℃以上の溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:188℃)、プロピレングリコール(沸点:187℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点:190℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)等があげられる。
上記有機溶剤の配合量(各溶剤を併用する場合全体の合計量)は、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方100部に対して3〜30部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜20部である。すなわち、配合量が少な過ぎると、金型表面に形成された汚染物質の除去性が著しく低下し、金型汚れを完全に除去することが困難となる傾向がみられ、逆に多過ぎると、洗浄効果は向上せず、配合する手間も増え無駄となる傾向がみられるからである。
本発明の金型洗浄剤組成物には、必須成分である上記各配合成分以外に、必要に応じて、離型剤、補強剤等を適宜に配合することができる。
上記離型剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸等の長鎖脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等に代表される長鎖脂肪酸の金属塩、カルナバワックス、モンタンワックス、モンタン酸の部分ケン化エステル等に代表されるエステル系ワックス、ステアリルエチレンジアミド等に代表される長鎖脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス等に代表されるパラフィン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記離型剤の含有量は、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方100部に対して5〜20部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは8〜16部である。すなわち、含有量が少な過ぎると、充分な離型効果を発揮することが困難となり、逆に多過ぎると、洗浄力が低下するとともに再生後の金型を用いて成形品を製造した際にその成形品の外観が悪化する傾向がみられるからである。
上記補強剤としては、例えば、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機質充填剤があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記補強剤としては、平均粒径0.01〜100μm程度のものを用いることが好ましい
上記補強剤の含有量は、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方100部に対して10〜50部の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは15〜40部である。すなわち、含有量が少な過ぎると、補強性が低下することにより機械的強度の低下を招く傾向がみられ、逆に多過ぎると、脆くなってやはり機械的強度が低下する傾向がみられるからである。
さらに、本発明の金型洗浄剤組成物には、上記以外の添加剤としては、例えば、アロマオイル、ナフテニックオイル等の軟化剤、硫黄等の加硫剤や加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華等を必要に応じて適宜配合することができる。
本発明の金型洗浄剤組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、上記各必須成分を含む各配合成分を、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミキサー、押出機等を用いて機械的に混練することにより製造することができる。
このようにして製造される本発明の金型洗浄剤組成物は、例えば、粉末状、タブレット状、シート状あるいは短冊状に形成された金型洗浄材として金型洗浄に供される。このシート状にして用いる場合のシートの厚みは、通常、3〜10mmに設定される。
そして、本発明の金型洗浄剤組成物としては、白色ないしこれに近い灰色のような淡色とすることが好ましい。このように設定することにより、金型洗浄後に、金型から除去されて金型洗浄剤組成物に付着した汚れを目視にて容易に確認することが可能となり、金型洗浄の状況を容易に確認することができるようになるという効果を奏する。
本発明の金型洗浄剤組成物から得られる金型洗浄材の使用に際しては、母材が合成ゴムの場合は、一般にシート状に成形して用いることが好ましい。また、母材が合成樹脂の場合は、例えば、熱硬化性メラミン樹脂では、粉末状タブレット状にして用いることが好ましい。
本発明のシート状に形成された金型洗浄剤組成物を用いての金型のクリーニング方法は、半導体装置成形用金型に装填して行われる。例えば、上記シートは、母材が合成ゴムの場合、当然、未加硫状態であって、これを成形用金型に装填し加熱加硫させることによりシートに汚染物を付着一体化させる。ついで、加硫のなされたシートを金型から取り出すことにより金型の洗浄が行われる。
母材が合成ゴムの場合となる上記シート状の金型洗浄剤組成物を用いた金型のクリーニング方法を、順を追ってより詳しく説明する。
まず、本発明の金型洗浄剤組成物からなるシート状の金型洗浄材を準備する。ついで、上記シート状の金型洗浄材(クリーニングシート)を、金型のそれぞれ凹部が形成された上型と下型の間に配置し、その状態から、上型と下型を締めてシート状金型洗浄材を挟み、圧縮成形する。そして、成形時の圧力によって、上記シート状金型洗浄材が、上型に形成された凹部および下型に形成された凹部からなるキャビティ内に充填されるとともに、金型表面に圧接される。その状態で成形時の熱により、合成ゴム(未加硫ゴム)が加熱加硫されて加硫ゴム化し、その際にキャビティ内に形成されている離型剤の酸化劣化層等を加硫ゴムに一体化させる。このとき、場合によってはキャビティ回りに形成されたバリも一体化させる。ついで、所定時間経過後に上型と下型を開き、加硫ゴム化されたシート状金型洗浄材を上下両金型から剥離することにより、上記シート状金型洗浄材と一体化された酸化劣化層等(汚染物)を上下両金型表面から剥離させる。このようにして、金型のクリーニングが行われる。
上記シート状金型洗浄材を挟み、圧縮成形し加熱する際の条件としては、母材の種類等により適宜に設定されるが、例えば、合成ゴムの場合、160〜190℃×1〜5分間の範囲に設定することが好ましく、合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合、160〜190℃×1〜5分間の範囲に設定することが好ましい。
本発明の金型洗浄剤組成物の使用対象となる金型の一例として、例えば、熱硬化性樹脂組成物を用いて繰り返し成形が行われる半導体装置封止用の成形用金型があげられる。
本発明の金型洗浄剤組成物の使用対象の一例である半導体装置成形用金型において、封止用樹脂材料として用いられる熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂を主剤とするエポキシ樹脂組成物があげられる。
そして、熱硬化性樹脂組成物としては、上記主剤となるエポキシ樹脂とともに、通常、硬化剤、さらには必要に応じて、無機質充填剤、硬化促進剤等の添加剤が適宜配合される。
つぎに、本発明の金型洗浄剤組成物により洗浄された金型は、汚染物が除去され、初期状態の金型表面に戻っているため、通常、成形材料である熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体パッケージの成形を行う際に、予め金型表面に離型剤を塗布する。例えば、離型剤としてモンタン酸ワックスを含有してなる成形材料の成形に際しては、同じモンタン酸ワックスを、またカルナバワックスを含有してなる成形材料の成形に際しては、同じカルナバワックスを塗布することが好ましい。そして、金型表面への離型剤の塗布方法としては、離型剤を含有した未加硫ゴム組成物を準備し、これをシート状に形成したものを用いるのが好ましい。例えば、先に述べた未加硫ゴムとともに、離型剤を配合して得られるシートがあげられる。そして、この離型剤を含有した未加硫ゴム組成物からなるシートを上記シート状金型洗浄剤組成物を用いた洗浄工程と同様、金型に装填して加熱することにより含有された離型剤が金型表面に塗布される。これは、加熱加硫の際に未加硫ゴム組成物中の離型剤が溶融し、金型面に滲出して表面に均一な離型剤膜が形成されるものと考えられる。
なお、上記離型剤の含有量は、例えば、未加硫ゴム組成物中のゴム材料100部に対して15〜35部の割合に設定することが好ましく、特に好ましくは20〜30部である。すなわち、モンタン酸ワックスの含有量が15部未満では充分な離型効果が発揮されず、逆に35部を超えると金型表面に過剰塗布されるとともに、洗浄,再生後の金型を用いて成形品を形成した場合にその成形品の外観が劣化する傾向がみられるからである。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、金型洗浄剤組成物を構成する各成分を準備した。
1)BR:〔ブタジエンゴム:JSR社製、BR−01(シス1,4結合:95%)〕
2)EPR:〔エチレン−プロピレン−ジエンゴム:三井化学社製、EPT4045(エチレン含有量:54モル%、ジエン成分含有量:8.1モル%)〕
3)タルク粉末:平均粒径9μm
4)シリカ粉末:平均粒径9μm
5)酸化チタン:平均粒径0.25μm
6)カルナバワックス:カルナバ1号(日興リカ社製)
7)イミダゾール:2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]エチル−s−トリアジン
8)有機過酸化物:n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート
9)水:イオン交換水
10)PEG:ポリエチレングリコール(日油社製、#200;分子量200)
11)PG:プロピレングリコール(沸点:187℃)
12)DGMM:ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)
〔実施例1〜9、比較例1〜3〕
後記の表1〜表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これを混練ロールを用いて混練した。ついで、圧延ロールを用いてシート状(厚み5mm)に成形して目的とするシート状の金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を作製した。
〔実施例10〕
市販の金型クリーニング用熱硬化性メラミン樹脂(日本カーバイト工業社製、ニカレットECR−T)を粉砕したもの100部に、洗浄剤成分であるK3PO41部と有機溶剤であるPEG3部、さらに水1部を噴霧して付着させることにより、粉末状の金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を得た。
〔比較例4〕
市販の金型クリーニング用熱硬化性メラミン樹脂(日本カーバイト工業社製、ニカレットECR−T)のタブレットを用いて、タブレット状の金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)とした。
このようにして得られた実施例品および比較例品の各金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を用い、金型に形成された汚染物の除去性をつぎのようにして評価した。すなわち、封止材料である環境対応エポキシ樹脂(日東電工社製、GE−7470)を用いた繰り返し成形を行ない、800ショット後の、表面が汚染された成形用金型において、上記各金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を用いたクリーニング成形を行なった。そして、クリーニング成形により形成された成形物を金型から取り出し、金型表面における汚染物の除去性を目視にて評価した。この評価において、汚染物を完全に除去することのできた成形作業回数が3回以下であった場合を良、汚染物の除去に4回以上の成形作業を要した場合を不良とした。
なお、実施例1〜9品および比較例1〜3品の評価では、シート状の金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を成形用金型に挟み、175℃で5分間加熱成形を行なった。一方、実施例10品の評価では、粉末状の金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を用い、比較例4品の評価では、タブレット状の金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を用いててトランスファー成形を行ない、175℃で3分間の加熱成形を行なった。
上記評価結果を下記の表1〜表2に示す。
Figure 2011020416
Figure 2011020416
上記結果から、洗浄剤成分であるアルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、有機溶剤の両方を含有していない比較例品は金型の洗浄性評価が不良であったのに対して、全ての実施例品では金型の洗浄性に関して良の評価が得られた。
<封止材料の変更(1)>
さらに、封止材料である上記環境対応エポキシ樹脂(日東電工社製、GE−7470)を、同じく日東電工社製の環境対応エポキシ樹脂:GE−1030に代え、上記と同様に繰り返し成形した成形用金型(800ショット後)に対して、上記と同様の方法にて、実施例1〜10品および比較例1〜4品の各金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を用いた汚染物の除去性を目視にて評価した。その結果、上記と同様、比較例品は金型の洗浄性評価が不良であったのに対して、全ての実施例品では金型の洗浄性に関して良の評価が得られた。
<封止材料の変更(2)>
また、封止材料である上記環境対応エポキシ樹脂(日東電工社製、GE−7470)を、同じく日東電工社製の環境対応エポキシ樹脂:GE−100に代え、上記と同様に繰り返し成形した成形用金型(800ショット後)に対して、上記と同様の方法にて、実施例1〜10品および比較例1〜4品の各金型洗浄剤組成物(金型洗浄材)を用いた汚染物の除去性を目視にて評価した。その結果、上記と同様、比較例品は金型の洗浄性評価が不良であったのに対して、全ての実施例品では金型の洗浄性に関して良の評価が得られた。
本発明の金型洗浄剤組成物は、熱硬化性樹脂成形材料用等の各種成形金型、例えば、エポキシ樹脂成形材料を用いて、半導体素子を射出成形またはトランスファー成形によって繰り返し樹脂封止して成形する際に用いる成形用金型の洗浄再生等に用いられる。

Claims (9)

  1. 成形材料を用い繰り返し成形を行う加熱成形用金型の洗浄剤組成物であって、上記洗浄剤組成物が、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方と、アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、有機溶剤を含有してなることを特徴とする金型洗浄剤組成物。
  2. 合成ゴムが、エチレン−プロピレン系ゴムおよび/またはブタジエンゴムである請求項1記載の金型洗浄剤組成物。
  3. アルカリ金属塩およびアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方の含有量が、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方100重量部に対して0.1〜10重量部に設定されている請求項1または2記載の金型洗浄剤組成物。
  4. 有機溶剤が、多価アルコール類および多価アルコールアルキルエーテル類からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の金型洗浄剤組成物。
  5. 有機溶剤の含有量が、母材となる合成ゴムおよび合成樹脂の少なくとも一方100重量部に対して3〜30重量部に設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の金型洗浄剤組成物。
  6. さらに、水が含有されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の金型洗浄剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の金型洗浄剤組成物を用いてシート状に形成されてなる金型洗浄材。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の金型洗浄剤組成物からなる金型洗浄材を、開いた金型の型面に載置する工程と、上記金型を締めて上記金型洗浄材を挟み加熱加圧することにより、金型の表面に形成された汚染物を上記金型洗浄材に一体化させる工程と、汚染物が一体化した金型洗浄材を金型から剥離することにより、金型表面をクリーニングする工程とを備えたことを特徴とする金型のクリーニング方法。
  9. 金型洗浄材が、金型洗浄剤組成物をシート状に形成したものである請求項8記載の金型のクリーニング方法。
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