JP2014226783A - 金型清掃用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物を提供する。【解決手段】合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、を含有する金型清掃用樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、金型清掃用樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂と金型とを用いて、集積回路素子等の封止成形物の長時間成形を繰り返すと、成形金型の内部表面が汚れてくる。そのまま連続して成形を続けると、封止成形物の表面が汚れたり、封止成形物が金型に付着したりして、成形作業に支障をきたすことがあるため、金型は定期的に清掃する必要がある。金型の清掃方法の一つとして、金型清掃用樹脂組成物を用いる方法が提案されている。
金型清掃用樹脂組成物としては、合成ゴム及び合成樹脂の少なくとも一方と、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物の少なくとも一方と、水を含有してなる金型洗浄剤組成物(例えば、特許文献1参照)が提案され、洗浄性能が改善されるとされている。
特開2011−21156号公報
しかしながら、従来のアルカリ金属塩等を含む金型清掃用樹脂組成物は、その保存中に金型清掃用樹脂組成物に含まれる水分量が減少し、初期の設定物性(例えば、ムーニー粘度、引張強度、伸び、加硫特性等)が変化するという問題があった。このような物性の変化は、金型への充填不良及び清掃不良を招来するため、好ましくない。
また、従来のアルカリ金属塩等を含む金型清掃用樹脂組成物では、該金型清掃用樹脂組成物に含まれる水に起因すると考えられる加硫剤の劣化が起こるため、長期間(例えば、1年)保存すると、金型清掃用樹脂組成物が十分に硬化せず、清掃(クリーニング)性能が低下するという問題もあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、を含有する金型清掃用樹脂組成物である。
<2> 前記保水材が、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸系樹脂及びポリアルキレンオキサイド系樹脂からなる群より選ばれる樹脂である<1>に記載の金型清掃用樹脂組成物である。
<3> 前記加硫剤の含有量に対する前記保水材の含有量の質量比(保水材の含有量/加硫剤の含有量)が、1/10以上5/1以下の範囲内である<1>又は<2>に記載の金型清掃用樹脂組成物である。
<4> 更に、シリカを含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
<5> 前記水の含有量に対する、前記アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物の合計含有量の質量比(アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物の合計含有量/水の含有量)が、1/10以上5/1以下の範囲内である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
<6> 前記アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物の合計含有量が、前記合成ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の金型清掃用樹脂組成物である。
<7> 合成ゴムと、保水材と、加硫剤と、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物を予め水に溶解させた水溶液と、を混合することにより得られる金型清掃用樹脂組成物である。
なお、本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
さらに、「成形金型の内部表面」とは、成形金型により成形される被成形物と接する領域を意味する。
そして、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[金型清掃用樹脂組成物]
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物(以下、「特定洗浄剤」ともいう。)と、保水材と、加硫剤と、水と、を含有する。
本発明の金型清掃用樹脂組成物においては、合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物である特定洗浄剤と、保水材と、加硫剤と、水とを含有することで、優れた清掃性能を発揮することができるとともに、その優れた清掃性能が、金型清掃用樹脂組成物を製造してから長期間(例えば、1年)経過した後であっても維持される。本発明の金型清掃用樹脂組成物において、このような効果が奏される理由は、例えば以下のように推測される。
一般に、アルカリ金属塩と水とを含む金型清掃用樹脂組成物は、優れた金型清掃能力を示す。しかしながら、従来のアルカリ金属塩を含む金型清掃用樹脂組成物では、該金型清掃用樹脂組成物に含まれる水分量が保存中に低下し、初期の設定物性(ムーニー粘度、引張強度、伸び、加硫特性等)が変化することがあった。保存中に水分量が低下した金型清掃用樹脂組成物は、金型清掃時に金型中で適切に伸びないため、金型への充填不良が起こり、ひいては清掃不良が起こる。
本発明においては、保水材を用いることで、該保水材によって水が保持され、経時による水分量の低下が抑えられる結果、保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物の提供が可能となると考えられる。
また、金型清掃用樹脂組成物に含まれる加硫剤は、熱、光、空気中の酸素等の影響により劣化(分解)する傾向があるため、加硫剤を含む金型清掃用樹脂組成物を長期間保存すると、加硫性能が低下することがあった。加硫性能が低下すると、金型清掃時に金型清掃用樹脂組成物が十分に硬化しないため、成形金型の内部表面から汚染物質を充分に除去することができない。
本発明の発明者らは、長期保存中の金型清掃用樹脂組成物においては、金型清掃用樹脂組成物に含まれる水によって、加硫剤の劣化が促進されると考えている。
本発明においては、保水材を用いることで、該保水材に水が取り込まれ、加硫剤が水の影響を受け難くなり、保存中の加硫剤の劣化が抑制される結果、保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物の提供が可能となると考えられる。
そして、金型清掃用として用いる際には、加熱により保水材に保持されている水が放出され、水とアルカリ金属塩等とが作用することで、所望とする清掃効果が発現すると推測される。
<合成ゴム>
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、ゴム成分として合成ゴムの少なくとも1種を含む。
合成ゴムとしては、特に限定されるものではなく、金型清掃用樹脂組成物に通常用いられる合成ゴムの中から適宜選択することができる。合成ゴムは、いわゆる未加硫ゴムであり、例えば、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)等のエチレン−α−オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)などが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上併せて用いられる。これら未加硫ゴムは、金型内において加硫されて加硫ゴムとなる。
合成ゴムは、金型清掃に際して汚染性が少なく、また、加硫時の臭気が少ないという観点から、エチレン−プロピレンゴム及びブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、エチレン−プロピレンゴムの少なくとも1種及びブタジエンゴムの少なくとも1種の混合物であることがより好ましい。
本明細書において、「エチレン−プロピレンゴム」との語は、通常のエチレン−プロピレンゴム(EPM)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下、「EPDM」と略記することもある。)との双方を含む趣旨で用いられ、エチレン−プロピレンゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンゴムの少なくとも1種を意味する。
エチレン−プロピレンゴムとしては、エチレンと少なくともプロピレンを含むα−オレフィンとの共重合割合が、モル比でエチレン/α−オレフィン=55/45〜83/17であることが好ましく、55/45〜61/39であることがより好ましく、55/45〜59/41であることが更に好ましい。
α−オレフィンとしては、プロピレンの他に、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
エチレン−プロピレンゴムにおけるエチレン/α−オレフィン比は、金型清掃用樹脂組成物について、H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクトルを1Hの共鳴周波数:500MHzで測定することにより算出することができる。なお、金型清掃用樹脂組成物から、HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて常法によりエチレン−プロピレンゴムを単離し、単離したエチレン−プロピレンゴムについて、上記と同様にしてH−NMRスペクトルを測定することで、より明確にエチレン/α−オレフィン比を算出することもできる。
本明細書において、「エチレン−プロピレン−ジエンゴム」とは、エチレンと、少なくともプロピレンを含むα−オレフィンと、非共役二重結合を2つ有する環状物又は非環状物であるジエンモノマーとからなるターポリマーを意味する。
ジエンモノマーとしては、例えば、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、1,17−オクタデカジエン、1,19−イコサジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、5−メチル−1,8−ノナジエン、ジシクロペンタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,7−シクロドデカジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン、メチレンノルボルネン、2−メチルペンタジエン−1,4、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、メチル−テトラヒドロインデン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられる。
エチレン−プロピレン−ジエンゴムにおけるジエン成分に由来する構成単位の含有率は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムの総質量に対して、6.5質量%〜9.5質量%であることが好ましく、7.0質量%〜9.0質量%であることがより好ましく、7.5質量%〜8.5質量%であることが更に好ましい。また、前記エチレン−プロピレン−ジエンゴムのヨウ素価は、12〜22であることが好ましく、14〜18であることがより好ましい。
このようなターポリマー中の各モノマーの共重合割合は、エチレンが30モル%〜80モル%、ジエンモノマーが0.1モル%〜2モル%で、残りがα−オレフィンである場合が好ましく、中でも、エチレンが30モル%〜60モル%である場合がより好ましい。
エチレン−プロピレンゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)としては、特に限定されるものではないが、清掃性能の観点から、5〜70であることが好ましく、5〜50であることがより好ましい。ムーニー粘度は、JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準拠して測定される。
本発明の金型清掃用樹脂組成物がエチレン−プロピレンゴムを含有する場合、該エチレン−プロピレンゴムの含有率は、清掃性能の観点から、金型清掃用樹脂組成物の総質量に対して、10質量%〜50質量%であることが好ましく、20質量%〜40質量%であることがより好ましい。エチレン−プロピレンゴムは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
金型清掃用樹脂組成物は、ブタジエンゴムの少なくとも1種を含むことが好ましい。ブタジエンゴムは、特に限定されるものではなく、金型清掃用樹脂組成物に通常用いられるブタジエンゴムから適宜選択することができる。ブタジエンゴムとしては、清掃性能の観点から、シス1,4結合の含有率が90質量%以上であるハイシス構造を有し、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が20〜60であるブタジエンゴムが好ましく、シス1,4結合の含有率が90質量%以上であるハイシス構造を有し、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が30〜45であるブタジエンゴムがより好ましい。ブタジエンゴムは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、成形金型の内部表面の汚れを取り除く際、金型清掃用樹脂組成物の硬度を適切に保つことが可能であり、かつ、成形金型内部の細部まで金型清掃用樹脂組成物を適切に充填できる点において、上記のようなエチレン−プロピレンゴムとブタジエンゴムとを含有することが好ましい。
また、金型清掃用樹脂組成物の強度を保つことができ、金型清掃用樹脂組成物が脆くならず、汚れを除去した後、金型清掃用樹脂組成物の成形金型からの離型作業を容易に行なうことができる点においても、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、上記のようなエチレン−プロピレンゴムとブタジエンゴムとを含有することが好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物がエチレン−プロピレンゴムとブタジエンゴムとを含有する場合、ブタジエンゴムの含有量に対するエチレン−プロピレンゴムの含有量の質量比(エチレン−プロピレンゴム/ブタジエンゴム)は、清掃性能の観点から、20/80〜90/10であることが好ましく、30/70〜80/20であることがより好ましい。 ブタジエンゴムの含有量に対するエチレン−プロピレンゴムの含有量の質量比が、20/80以上であると、金型離型性が良好であり、かつ、加硫後の成形物の柔軟性も維持される。また、ブタジエンゴムの含有量に対するエチレン−プロピレンゴムの含有量の質量比が、90/10以下であると、良好な金型離型性が維持され、清掃(クリーニング)作業時間が長くなることもない。
前記ブタジエンゴムの含有量に対するエチレン−プロピレンゴムの含有量の質量比は、金型清掃用樹脂組成物について、H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクトルをHの共鳴周波数:500MHzで測定することにより算出することができる。
合成ゴムは、加硫硬化した後の伸び率が40%〜800%であるものが好ましく、100%〜300%であるものがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後の伸び率が40%以上であると、加硫後の成形性が維持されるため、清掃性能の観点から好ましい。
合成ゴムは、加硫硬化した後の引張強度が3MPa〜10MPaであるものが好ましく、5MPa〜8MPaであるものがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後の引張強度が3MPa以上であると、チッピングの発生が低減されるため、清掃性能の観点から好ましい。
合成ゴムは、加硫硬化した後のゴム硬度(デュロメータ硬さ)がA60〜95であるものが好ましく、A70〜90であるものがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後のゴム硬度が上記範囲内にあると、チッピング及びボイドの発生頻度も低いため、清掃性能の観点から好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、ゴム成分として合成ゴムであるエチレン−プロピレンゴム及びブタジエンゴムを含むことが好ましいが、これら以外に、天然ゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム等のその他のゴム成分を含有していてもよい。
合成ゴムの含有量は、金型清掃用樹脂組成物に含有される全成分中に、質量基準で、20質量%〜90質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%であることがより好ましく、40質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
<特定洗浄剤>
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物(以下、「アルカリ金属塩等」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である特定洗浄剤を含む。
アルカリ金属塩又はアルカリ金属酸化物におけるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。これらの中でもアルカリ金属は、清掃性能の観点から、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
アルカリ金属塩としては、例えば、前記アルカリ金属の、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、メタリン酸塩、次リン酸塩、亜リン酸(ホスホン酸)塩、次亜リン酸(ホスフィン酸)塩、ピロリン酸塩、トリメタリン酸塩、テトラメタリン酸塩、ピロ亜リン酸、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩等の無機酸塩;アクリル酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、アミノ安息香酸塩、アルギン酸塩、安息香酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ケイ皮酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、トルエンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、乳酸塩、尿酸塩、ハロゲン置換酢酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、マロン酸塩、酪酸塩、リンゴ酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。これらの中でもアルカリ金属塩は、清掃性能の観点から、前記アルカリ金属の、リン酸塩、炭酸塩、及びケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
アルカリ金属塩が多価酸の塩の場合、アルカリ金属塩は、部分的にアルカリ金属の塩となったものであってもよい。例えば、アルカリ金属塩が3価のリン酸塩の場合、1つのアルカリ金属と2つの水素を有する第一塩、2つのアルカリ金属と1個の水素を有する第二塩、又は3つのアルカリ金属を有する第三塩のいずれであってもよい。また、アルカリ金属塩は、酸性塩、アルカリ性塩、又は中性塩のいずれであってもよい。金型に対する腐食性抑制の観点からは、アルカリ金属塩は、アルカリ性塩又は中性塩であることが好ましい。これらアルカリ金属塩としては、水和物を用いてもよい。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられる。これらアルカリ水酸化物としては、水和物を用いてもよい。
特定洗浄剤としては、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明においては、これらアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
金型清掃用樹脂組成物における特定洗浄剤の含有量は、清掃性能及び保存安定性の観点から、合成ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上3質量部以下であることが更に好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、特定洗浄剤に加えて、その他の洗浄剤を含有していてもよい。その他の洗浄剤は、特に限定されるものではなく、金型清掃用樹脂組成物に通常用いられる洗浄剤から適宜選択することができる。その他の洗浄剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、金属石鹸等を挙げることができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物がその他の洗浄剤を含有する場合、その含有量は、合成ゴム100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。その他の洗浄剤の含有量の下限値は、特に限定されるものではないが、合成ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。
<保水材>
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、保水材の少なくとも1種を含む。
保水材によれば、該保水材が水分を保持するため、水分が蒸発し難くなり、経時による金型清掃用樹脂組成物中の水分量の低下を抑制することができる。その結果、金型清掃用樹脂組成物の初期の設定物性が変化し難くなり、金型清掃用樹脂組成物の保存安定性が優れたものになると考えられる。
また、本発明の金型清掃用樹脂組成物は加硫剤を含有するが、該加硫剤は、水、詳細には、アルカリ金属塩等が溶解した水により劣化が促進される。加硫剤が劣化すると、金型清掃用樹脂組成物の流動性が悪くなり、金型の細部まで清掃することが困難となったり、加硫性能が低下し、金型清掃時に金型清掃用樹脂組成物が十分に硬化せず、成形金型の内部表面から汚染物質を充分に除去することができなかったりすることがある。保水材によれば、該保水材に水が取り込まれるため、加硫剤が水に晒され難くなる。その結果、加硫剤の劣化が抑制され、金型清掃用樹脂組成物の保存安定性が担保できるものと考えられる。
保水材としては、金型清掃用樹脂組成物に含まれる水分を保持することができ、かつ、加硫時の加熱によって保持された水分を放出することができる特性を有するものであれば、特に限定されるものではない。このような特性を有する保水材としては、例えば、吸水性ポリマー、ゼオライト等を好適に用いることができる。
保水材として吸水性ポリマーを用いると、該吸水性ポリマーが形成する網目構造の中に水分子が保持されるため、水分がより蒸発し難くなる。また、吸水性ポリマーは、一般に吸水能が高く、金型清掃用樹脂組成物の清掃性能を発揮するために必要な水を十分に保持することができる。このような観点において、保水材としては、吸水性ポリマーが好ましい。
吸水性ポリマーとしては、従来公知の親水性高分子を用いることができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸類、水溶性セルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリエチレンオキサイド類、デンプン類、アルギン酸類、キチン類、ポリスルホン酸類、ポリヒドロキシメタクリレート類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレンイミン類、ポリアリルアミン類、ポリビニルアミン類、無水マレイン酸類、これらの共重合体等が挙げられる。
本発明においては、これらの吸水性ポリマーを1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、吸水能が高く、吸水能の経時安定性が良好である点において、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸系樹脂及びポリアルキレンオキサイド系樹脂からなる群より選ばれる樹脂であることが好ましく、アクリル系樹脂及びイソブチレン−無水マレイン酸系樹脂からなる群より選ばれる樹脂であることがより好ましい。
吸水性ポリマーとしては、市販品を用いてもよい。吸水性ポリマーの市販品としては、例えば、KCフロック(セルロースパウダー、日本製紙ケミカル株式会社製)、サンローズ(カルボキシメチルセルロース、日本製紙ケミカル株式会社製)、アクアリックCA(アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、株式会社日本触媒製)、アクリホープ(アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、株式会社日本触媒製)、サンウェット(ポリアクリル酸塩架橋体、サンダイヤポリマー株式会社製)、アクアパール(ポリアクリル酸塩架橋体、サンダイヤポリマー株式会社製)、アクアキープ(アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、住友精化株式会社製)、アクアコーク(変性ポリアルキレンオキサイド、住友精化株式会社製)、KIゲル(イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、株式会社クラレ製)等を好適に用いることができる。
また、保水材は、金型清掃用樹脂組成物に含まれる水分を確実に保持する観点から、吸水能が高いものが好ましく、例えば、保水材1g当たりのイオン交換水の吸水量が1g以上であることが好ましく、10g以上であることがより好ましく、100g以上であることが更に好ましい。
<加硫剤>
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫剤の少なくとも1種を含む。
加硫剤としては、合成ゴムを架橋可能なものであればよく、硫黄分子を化合物中に含んでいなくともよい。
なお、本明細書において加硫とは、硫黄を添加して合成ゴムを架橋すること及び過酸化物を用いて合成ゴムを架橋することの両方を包含する概念である。
加硫剤としては、例えば、硫黄、一塩化硫黄、セレン、テルル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛、含硫黄有機化合物、ジチオカルバミン酸塩、オキシム類、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ジニトロソ化合物、変性フェノール樹脂、ポリアミン、過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、加硫剤としては、過酸化物が好ましい。また、過酸化物としては、有機過酸化物でも無機過酸化物でもよいが、有機過酸化物がより好ましい。有機過酸化物によれば、硫黄を含む加硫剤を用いた際に起こり易い清掃時の金型の腐食作用がなく、短時間で離型に必要な未加硫ゴムの架橋を進めることができ、更に架橋が適切に進行するため、清掃後の金型清掃用樹脂組成物を容易に金型から除去することができる。
有機過酸化物としては、2価の過酸化物構造(−O−O−)を少なくとも1つと、炭化水素基を少なくとも1つとを有していればよい。
過酸化物としては、1分間半減期温度が、100℃〜190℃であるものが好ましい。1分間半減期温度が190℃より高いと金型清掃時の成形時間が過剰に長くなる。また、金型清掃時に金型温度を上げられない場合、金型清掃用樹脂組成物が十分に加硫せずに脆くなることで、清掃の作業性が低下する傾向がある。1分間半減期温度が100℃未満であると、金型清掃用樹脂組成物の製造時、及び混練加工時に加硫が進行するため、金型清掃時に、金型清掃用樹脂組成物が金型の形状に十分に追随できなくなる傾向がある。
また、過酸化物の1分間半減期温度は、140℃〜190℃であることがより好ましく、145℃〜180℃であることが更に好ましい。
過酸化物の1分間半減期温度とは、1分間で過酸化物の濃度が初期値の半分に減少する温度をいう。
過酸化物の1分間半減期温度は、具体的には、以下のようにして求めることができる。まず、過酸化物をある一定温度(T)で熱分解させた際、過酸化物の初期濃度をa、また、過酸化物の分解量をxとし、時間(t)とlna/(a−x)の関係をプロットし、得られた直線の傾き定数kを求める。温度(T)における半減期は、その定義である式 kt1/2=ln2に、先に求めたkを代入することで求めることができる。さらに、同様の手順を繰り返すことで異なる温度毎に、その温度での半減期(t1/2)をそれぞれ求め、得られたlnt1/2と1/Tとをプロットする。
このようにして得られた直線を外挿することで、このプロットした図から半減期(t1/2)が1分間である温度、すなわち1分間半減期温度を求めることができる。
有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5-ビス(2−エチルヘキシルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシパーオキシイソプロピルノモカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、ビス−t−ブチルパーオキシド、及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
加硫剤は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用して加硫速度等を調整してもよい。
金型清掃用樹脂組成物中の加硫剤の含有量は、合成ゴム100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、4質量部以上8質量部以下であることが更に好ましい。金型清掃用樹脂組成物中の加硫剤の含有量が、合成ゴム100質量部に対して20質量部以下であると、清掃後の金型清掃用樹脂組成物が脆くなることを防ぐことができ、成形金型からの除去作業を容易にすることができる。金型清掃用樹脂組成物中の加硫剤の含有量が、合成ゴム100質量部に対して1質量部以上であると、加硫が十分に進み、清掃時に金型清掃用樹脂組成物が金型へ貼りつくことを防ぐことができ、清掃作業性をより向上させることができる。
加硫剤の含有量に対する保水材の含有量の質量比(保水材の含有量/加硫剤の含有量)は、清掃性能及び保存安定性の観点から、1/10以上5/1以下であることが好ましく、1/5以上3/1以下であることがより好ましく、1/3以上2/1以下であることが更に好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫剤の他に、加硫助剤を含有することもできる。
加硫助剤としては、例えば、アクリル酸モノマー、硫黄、酸化亜鉛等が挙げられる。特に、加硫剤として過酸化物を用いる場合には、加硫助剤として硫黄又は酸化亜鉛を使用することができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫促進剤を含有することもできる。
加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系等の加硫促進剤を挙げることができる。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン等が挙げられる。
アルデヒド−アミン系加硫促進剤としては、例えば、ホルムアルデヒド−パラトルイジン縮合物、アセトアルデヒド−アニリン縮合物等が挙げられる。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等が挙げられる。
また、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫促進剤の他に、加硫促進助剤を含有することもできる。加硫促進助剤としては、例えば、マグネシア、リサージ、石灰等が挙げられる。
加硫助剤、加硫促進剤、又は加硫促進助剤の種類及び量は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて適宜選択することができる。
<水>
本発明の金型清掃用樹脂組成物に含まれる水は、金型清掃用樹脂組成物の製造時に添加した水であっても、金型清掃用樹脂組成物を構成する材料に含まれる水であってもよい。本発明の金型清掃用樹脂組成物に含まれる水は、清掃性能及び保存安定性の観点から、金型清掃用樹脂組成物を構成する材料に含まれる水であることが好ましい。
金型清掃用樹脂組成物における水の含有率は、清掃性能及び保存安定性の観点から、金型清掃用樹脂組成物の総質量に対して、0.50質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以上5.0質量%以下であることが更に好ましい。
金型清掃用樹脂組成物における水の含有量は、カールフィッシャー法で測定することができる。具体的には、三菱化学株式会社製のカールフィッシャー水分計CA−100及び水分気化装置VA−100を用いて、水分気化−電量滴定法により測定することができる。なお、気化するための温度は、180℃とする。
水の含有量に対する特定洗浄剤の含有量の質量比(特定洗浄剤の含有量/水の含有量)は、清掃性能及び保存安定性の観点から、1/10以上5/1以下であることが好ましく、2/10以上3/1以下であることがより好ましく、3/10以上3/2以下であることが更に好ましい。
水の含有量に対する保水材の含有量の質量比(保水材の含有量/水の含有量)は、清掃性能及び保存安定性の観点から、1/100以上1/1以下であることが好ましく、1/50以上1/2以下であることがより好ましく、1/30以上1/3以下であることが更に好ましい。
[充填剤]
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、充填剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。金型清掃用樹脂組成物が充填剤を含有していると、金型清掃時の加圧時により充分に圧力がかかるため、金型の隅々まで金型清掃用樹脂組成物を行き渡らせることができ、成形金型の内部表面の汚れをより効率的に除去することができる。
充填剤としては、有機充填剤及び無機充填剤のいずれであってもよいが、金型を摩耗させることなく成形金型の内部表面の汚れを除去することができる点において、無機充填剤がより好ましい。
無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。これらの無機充填剤の中でも、金型を摩耗させることなく成形金型の内部表面の汚れを除去することができ、かつ、より適切な硬度を有する点において、シリカ、炭酸カルシウム、及び酸化チタンが好ましく、更に、取り扱いが容易で、かつ、物理的な研磨効果に優れる点において、シリカがより好ましい。
シリカとしては、特に限定されるものではなく、例えば、含水非晶質シリカ、無水非晶質シリカ、結晶性シリカ等を挙げることができ、市販品の中から適宜選択することができる。また、シリカは、湿式シリカであっても、乾式シリカであってもよい。
シリカの市販品の具体例としては、例えば、ニップシールAQ、ニップシールLP、ニップシールNA、ニップシールVN3(以上、東ソー・シリカ株式会社製)等が挙げられる。
シリカの嵩密度は、金型清掃用樹脂組成物の製造作業性の観点から、30g/l以上300g/l以下であることが好ましく、100g/l以上300g/l以下であることがより好ましい。なお、シリカの嵩密度は、JIS K5105−18に準拠して測定される。
本発明の金型清掃用樹脂組成物がシリカを含有する場合、その含有量は、清掃性能及び保存安定性の観点から、合成ゴム100質量部に対して、10質量部以上60質量部以下であることが好ましく、15質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上45質量部以下であることが更に好ましい。
水の含有量に対するシリカの含有量の質量比(シリカの含有量/水の含有量)は、清掃性能及び保存安定性の観点から、2/1以上30/1以下であることが好ましく、4/1以上20/1以下であることがより好ましく、5/1以上15/1以下であることが更に好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が、シリカ以外の充填剤を含有する場合、その含有量は、合成ゴム100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、3質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が充填剤を含有する場合、該充填剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
[他の成分]
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤、滑剤、離型剤、その他添加剤等の他の成分を含有していてもよい。
(有機溶剤)
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、有機溶剤の少なくとも1種を含有していてもよい。
有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、金型清掃用樹脂組成物に通常用いられる有機溶剤から適宜選択することができる。有機溶剤としては、具体的には、多価アルコール、多価アルコールモノアルキルエーテル等のアルコール溶剤;アミド溶剤;ケトン溶剤;エーテル溶剤などを挙げることができる。本発明においては、有機溶剤は、アルコール溶剤が好ましく、該アルコール溶剤の中でも、多価アルコール、多価アルコールモノアルキルエーテル等がより好ましい。
有機溶剤は、金型を洗浄する際に液体であるものが好ましく、更に金型が加熱される際に揮散性が低いものがより好ましく、沸点が180℃以上であるものが更に好ましい。沸点が180℃以上の溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:188℃)、プロピレングリコール(沸点:187℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点:190℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)等が挙げられる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、その含有量は、合成ゴムの含有量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが更に好ましい。下限値は、特に限定されるものではないが、合成ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、該有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(滑剤)
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、滑剤の少なくとも1種を含有していてもよい。金型清掃用樹脂組成物は、滑剤を含有することにより、製造時の混練において配合剤の分散性が向上する。
滑剤としては、例えば、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、アミド系滑剤、炭化水素系滑剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属石鹸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
脂肪酸エステル系滑剤としては、例えば、ブチルステアレート、ブチルラウレート、ステアリルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。
アミド系滑剤としては、例えば、エチレンビスステアロアミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。
炭化水素系滑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス等が挙げられる。
これらの中でも、滑剤としては、加工時の混練において配合剤の分散を良好にすることができる点において、ステアリン酸、ベヘン酸又はモンタン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が滑剤を含有する場合、該滑剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が滑剤を含有する場合、その含有量は、金型清掃用樹脂組成物に含有される全成分中に、質量基準で、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。また、滑剤の含有量は、合成ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
(離型剤)
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、離型剤の少なくとも1種を含有していてもよい。金型清掃用樹脂組成物が離型剤を含有していると、成形後の金型からの離型性が優れたものとなり、清掃時の作業性が向上する。
離型剤としては、例えば、金属石鹸系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤、合成ワックス、脂肪酸アミド系離型剤等が挙げられる。
金属石鹸系離型剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛等が挙げられる。
脂肪酸エステル系離型剤、合成ワックス、及び脂肪酸アミド系離型剤としては、例えば、リコワックスOP(モンタン酸部分ケン化エステル、クラリアントジャパン株式会社製)、ロキシオールG−78(高分子複合エステル、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製)、リコルブH−4(変性炭化水素、クラリアントジャパン株式会社製)、ロキシオールVPN881(鉱油系合成ワックス、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製)、脂肪酸アマイドS(脂肪酸アミド、花王株式会社製)、カオーワックスEB−P(脂肪酸アミド、花王株式会社製)、アルフローHT−50(脂肪酸アミド、日油株式会社製)等の市販品を用いることができる。
離型剤の種類及び量は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて適宜選択することができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が離型剤を含有する場合、該離型剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(その他添加剤)
その他添加剤としては、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、カップリング剤、スコーチ防止剤等の公知の添加剤を挙げることができる。これらは目的等に応じて適宜選択される。
[金型清掃用樹脂組成物の調製方法]
本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、例えば、以下の方法により調製することができる。
合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、必要に応じて、各種添加剤と、をジャケット付き加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミキサー等を用いて混練し、混練物を得る。得られた混練物の形状は、使用する金型により、適宜選択するとよい。例えば、シート状に成形する場合には、得られた混練物を加圧ロールに通して成形する。シート状に成形する場合、シートの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、3mm〜10mm等の範囲にするとよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製方法においては、合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、を一括して混合してもよいが、得られる金型清掃用樹脂組成物の清掃性能がより優れたものとなる点において、予めアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物を水に溶解させた水溶液と、その他の構成成分とを混合することが好ましい。アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物は、紛体であるため、分散性が低く、一括して混合等すると、洗浄の際に局部的な洗浄不良が生じ得る。アルカリ金属塩等を予め水に溶解させることで、金型清掃用樹脂組成物中での分散性が向上し、清掃性能がより優れたものとなると考えられる。
また、本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製方法においては、加硫剤と水(特に、特定洗浄剤を含むアルカリ性の水)とが接触し難い調製方法がより好ましい。具体的には、例えば、以下の調製方法が挙げられる。但し、本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製方法は、以下の方法に限定されるものではない。
予めアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物を水に溶解させる。次いで、得られた溶解液と保水材とを接触させて、溶解液を保水材に保持させる。その後、前記溶解液を保持した保水材と、加硫剤と、その他の成分(合成ゴム及び各種添加剤)とを混練し、金型清掃用樹脂組成物の混練物を得る。
このような加硫剤と水とが接触し難い調製方法により得られる金型清掃用樹脂組成物は、加硫剤の劣化が生じ難く、金型清掃用樹脂組成物の初期の設定物性が維持され、保存安定性により優れる。
(用途)
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、成形金型の汚れを清掃するために用いることができる。成形金型の種類としては、特に限定されるものではない。成形金型としては、例えば、光学部材封止用金型、半導体材料封止用金型、ゴム成形金型等が挙げられる。具体的には、発光ダイオード(LED)用の封止金型、半導体パッケージ用の封止金型、ゴムパッキン成形金型、熱硬化性樹脂部品成形金型等が挙げられる。本発明の金型清掃用樹脂組成物を用いて汚れを清掃する成形金型は、金型の成形温度及び硬化時間の観点から、LED用の封止金型、半導体パッケージ封止金型等が好ましい。
成形金型により成形される樹脂(以下、「清掃対象樹脂」と略記することもある。)の種類としては、特に制限されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
金型清掃用樹脂組成物を用いる金型清掃方法としては、トランスファータイプと、コンプレッションタイプとに大別されるが、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、トランスファータイプ及びコンプレッションタイプのいずれの清掃方法にも適用することができる。作業性の向上、及び清掃作業時間の短縮の観点から、コンプレッションタイプへの適用がより好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、該金型清掃用樹脂組成物を付与した金型を、清掃対象樹脂の成形温度に応じた温度に加熱して、使用すればよい。成形温度は、清掃対象樹脂の種類に応じて適宜選択される。例えば、清掃対象樹脂がエポキシ樹脂である場合には、約170℃に金型を加熱すればよい。
<金型清掃方法>
本発明の金型清掃方法は、既述の本発明の金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する工程(以下、「付与工程」ともいう。)と、金型清掃用樹脂組成物が付与された金型を加熱する工程(以下、「加熱工程」ともいう。)とを有する。金型清掃方法は、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
〔付与工程〕
付与工程は、本発明の金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部表面に付与する工程である。本発明の金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。本発明の金型清掃用樹脂組成物の成形金型の内部表面への付与は、例えば、シート状に成形した本発明の金型清掃用樹脂組成物を圧縮成形する方法、トランスファー成形する方法等の公知の方法によって行なうことができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部表面に付与する際には、成形金型のキャビティ部分の一部の表面を覆うように付与しても、全部の表面を覆うように付与してもよいが、全部の表面を覆うように金属清掃用樹脂組成物を付与することが好ましい。
〔加熱工程〕
加熱工程は、成形金型内部表面に付与した本発明の金型清掃用樹脂組成物を加熱する工程である。
加熱方法及び加熱条件(温度、時間、回数等)は、特に限定されるものではなく、清掃対象樹脂の種類、及び本発明の金型清掃用樹脂組成物の種類に応じて、公知の方法及び条件を適宜選択することができる。
加熱工程においては、例えば、簡便性の観点から、清掃対象樹脂を金型で成形する際の温度と同様の方法及び同等の温度で、金型清掃用樹脂組成物を加熱することが好ましい。これにより、金型清掃のために金型を加熱又は冷却する必要がなく、金型清掃後、速やかに金型成形を行なうことができる。
加熱工程における温度は、160℃〜190℃であることが好ましく、170℃〜180℃であることがより好ましい。
加熱時間は、金型清掃用樹脂組成物が、充分に加硫し、かつ、成形金型の内部表面全体に均一に行き渡れば、特に限定されるものではないが、150秒〜500秒であることが好ましく、180秒〜360秒であることがより好ましい。
付与工程及び加熱工程は、複数回繰り返してもよい。付与工程及び加熱工程の繰り返し回数(以下、「ショット数」ともいう)は、2回〜7回が好ましく、2回〜5回がより好ましい。なお、本発明の金型清掃用樹脂組成物によれば、少ない繰り返し回数で金型から汚れを除去することができる。
(その他の工程)
本発明の金型清掃方法は、必要に応じてその他の工程を設けてもよい。その他の工程としては、例えば、予熱工程、予備加圧工程等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。但し、本発明は、その主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。また、保水材の説明において、「吸水量」は、保水材1g当たりのイオン交換水の吸水量(g)を意味し、g/gを単位として表す。
[金型清掃用樹脂組成物の調製]
<実施例1>
3000mlのジャケット付き加圧型ニーダー中に、エチレン−プロピレンゴム(商品名:EPT#4021H、エチレンとプロピレンとの組成比(エチレン/プロピレン):55/45、ムーニー粘度ML1+4(100℃):24、ジエン含有率:8.1%、三井化学株式会社製)40部と、ブタジエンゴム(商品名:BR01、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45、比重:0.9、シス1,4結合含有率:95%、JSR株式会社製)60部と、を添加し、冷却しながら約3分間加圧混練した。
得られた混練生地がモチ状になり、その温度が約80℃となった後、予めアルカリ金属塩としてリン酸三カリウム 2部をイオン交換水(アルカリ金属塩水溶液調製用)2部に溶解させて得た水溶液と、保水材としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物(商品名:アクアリックCA−K4、吸水量:250g/g〜350g/g、株式会社日本触媒製)1部と、滑剤としてステアリン酸(商品名:F−3、川研ファインケミカル株式会社製)1部と、離型剤として高分子複合エステル(商品名:ロキシオールG−78、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製)1部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ジンクステアレートGF−200、日油株式会社製)1部、及び変性炭化水素(商品名:リコルブH−4、クラリアントジャパン株式会社製)0.5部と、充填剤として含水非晶質シリカ(商品名:ニップシールAQ、含水量:8%、平衡水分含有率:7%(温度:23℃、相対湿度:60%)、東ソー・シリカ株式会社製)30部、及び酸化チタン(商品名:CR−80、石原産業株式会社製)5部と、を加えて約3分間混練した。
最後に、加硫剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名:パーヘキサ25B−40、1分間半減期温度:179.8℃、日油株式会社製)6部を加えて、引き続き約1分間混練した。
上記の間、混練物温度が100℃を超えないように調節した。
得られた混練物は、速やかに加圧ロールに通し、厚さ7mmのシート状に加工するとともに、25℃以下に冷却して、実施例1の金型清掃用樹脂組成物を得た。
<実施例2>
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、イオン交換水の使用量を2部から10部に変更するとともに、保水材としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を加えたところを該アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物の代わりに、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物(商品名:KIゲル−201K、吸水量:200g/g、株式会社クラレ製)を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金型清掃用樹脂組成物を得た。
<実施例3>
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、保水材としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を加えたところを該アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物の代わりに、変性ポリアルキレンオキサイド樹脂(商品名:アクアコークTW、吸水量:30g/g〜40g/g、住友精化株式会社製)を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の金型清掃用樹脂組成物を得た。
<実施例4>
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、アルカリ金属塩水溶液調製用としてイオン交換水を2部使用したところを、予めアルカリ金属塩水溶液を調製するのではなく、アルカリ金属塩2部とイオン交換水2部とを別々に加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の金型清掃用樹脂組成物を得た。なお、上記のように、アルカリ金属塩とは別に加えたイオン交換水を、下記の表1では「添加水」と称する。
<比較例1>
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、アルカリ金属塩水溶液調製用としてイオン交換水を2部使用したところを、予めアルカリ金属塩水溶液を調製するのではなく、アルカリ金属塩2部とイオン交換水2部とを別々に加え、かつ、保水材を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の金型清掃用樹脂組成物を得た。
<比較例2>
実施例2の金型清掃用樹脂組成物の調製において、保水材を加えなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2の金型清掃用樹脂組成物を得た。
[評価]
上記にて得た金型清掃用樹脂組成物(製造直後)について、水分含有率の測定を行なうとともに、清掃時の加硫性及び清掃性能の評価を行なった。
また、上記にて得た金型清掃用樹脂組成物を23℃の条件下で1年間保存した後の金型清掃用樹脂組成物についても、同様に、水分含有率の測定を行なうとともに、清掃性能及び清掃時の加硫性の評価を行ない、保存安定性を確認した。
これらの結果を表1に示す。
1.水分含有率の測定
金型清掃用樹脂組成物における水分含有量の測定は、測定装置として、三菱化学株式会社製のカールフィッシャー水分計CA−100及び水分気化装置VA−100を用い、気化温度180℃の条件にて、水分気化−電量滴定法により行なった。そして、得られた水分含有量の値を用いて、金型清掃用樹脂組成物の総質量に対する割合を算出し、金型清掃用樹脂組成物の水分含有率を求めた。
2.清掃性能
市販のビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(製品名:EME−G700、住友ベークライト株式会社製)を用い、先端に超硬合金製のチップが付いたプランジャーを備えたQFP28×28(6ポット−12キャビティ)の金型で500ショットの成形を行ない、金型の内部表面に汚れを形成させた。
この内部表面に汚れが付着した金型を用いて、金型清掃用樹脂組成物の繰り返し成形を行なった。
そして、金型の内部表面に付着した汚れが完全に除去できるまでに要した成形回数(クリーニング完了ショット数)を測定し、該ショット数を、金型清掃用樹脂組成物の清掃性能を評価するための指標とした。金型の内部表面の汚れが完全に除去できたか否かは、目視にて判断した。
なお、金型の内部表面の汚れが完全に除去できるまでに要したショット数は、小さいほど清掃性能が優れていることを示す。
3.清掃時の加硫性
上記の清掃性能の評価試験の際に、金型清掃用樹脂組成物の金型への貼り付きの程度を観察し、下記の評価基準に基づいて、清掃時の加硫性を評価した。
なお、[A]及び[B]に分類されるものを合格と判定した。
−評価基準−
A:金型への貼り付きは起こらなかった。
B:金型への貼り付きは起こるが、手で容易に剥がせた。
C:金型への貼り付きが起こり、手で剥がすと金型清掃用樹脂組成物が割れ、その一部が金型の内部表面に残った。
Figure 2014226783
表1の結果より、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、優れた清掃性能を有していることが明らかとなった。また、本発明の金型清掃用樹脂組成物では、長期間保存しても優れた清掃性能が維持されており、保存安定性に優れることも明らかとなった。さらに、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、長期間保存しても水分含有率の変化が少なく、清掃時の加硫性を維持していた。

Claims (5)

  1. 合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、を含有する金型清掃用樹脂組成物。
  2. 前記保水材が、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸系樹脂及びポリアルキレンオキサイド系樹脂からなる群より選ばれる樹脂である請求項1に記載の金型清掃用樹脂組成物。
  3. 前記加硫剤の含有量に対する前記保水材の含有量の質量比(保水材の含有量/加硫剤の含有量)が、1/10以上5/1以下の範囲内である請求項1又は請求項2に記載の金型清掃用樹脂組成物。
  4. 更に、シリカを含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金型清掃用樹脂組成物。
  5. 合成ゴムと、保水材と、加硫剤と、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物を予め水に溶解させた水溶液と、を混合することにより得られる金型清掃用樹脂組成物。
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