JP6097635B2 - 金型清掃用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、従来のアルカリ金属塩等を含む金型清掃用樹脂組成物では、該金型清掃用樹脂組成物に含まれる水に起因すると考えられる加硫剤の劣化が起こるため、長期間(例えば、1年)保存すると、金型清掃用樹脂組成物が十分に硬化せず、清掃(クリーニング)性能が低下するという問題もあった。
<1> 合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、を含有し、前記保水材が、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸系樹脂及びポリアルキレンオキサイド系樹脂からなる群より選ばれる樹脂である金型清掃用樹脂組成物である。
また、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
さらに、「成形金型の内部表面」とは、成形金型により成形される被成形物と接する領域を意味する。
そして、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物(以下、「特定洗浄剤」ともいう。)と、保水材と、加硫剤と、水と、を含有する。
本発明の金型清掃用樹脂組成物においては、合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物である特定洗浄剤と、保水材と、加硫剤と、水とを含有することで、優れた清掃性能を発揮することができるとともに、その優れた清掃性能が、金型清掃用樹脂組成物を製造してから長期間(例えば、1年)経過した後であっても維持される。本発明の金型清掃用樹脂組成物において、このような効果が奏される理由は、例えば以下のように推測される。
本発明においては、保水材を用いることで、該保水材によって水が保持され、経時による水分量の低下が抑えられる結果、保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物の提供が可能となると考えられる。
本発明の発明者らは、長期保存中の金型清掃用樹脂組成物においては、金型清掃用樹脂組成物に含まれる水によって、加硫剤の劣化が促進されると考えている。
本発明においては、保水材を用いることで、該保水材に水が取り込まれ、加硫剤が水の影響を受け難くなり、保存中の加硫剤の劣化が抑制される結果、保存安定性に優れる金型清掃用樹脂組成物の提供が可能となると考えられる。
そして、金型清掃用として用いる際には、加熱により保水材に保持されている水が放出され、水とアルカリ金属塩等とが作用することで、所望とする清掃効果が発現すると推測される。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、ゴム成分として合成ゴムの少なくとも1種を含む。
合成ゴムとしては、特に限定されるものではなく、金型清掃用樹脂組成物に通常用いられる合成ゴムの中から適宜選択することができる。合成ゴムは、いわゆる未加硫ゴムであり、例えば、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)等のエチレン−α−オレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)などが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上併せて用いられる。これら未加硫ゴムは、金型内において加硫されて加硫ゴムとなる。
α−オレフィンとしては、プロピレンの他に、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
また、金型清掃用樹脂組成物の強度を保つことができ、金型清掃用樹脂組成物が脆くならず、汚れを除去した後、金型清掃用樹脂組成物の成形金型からの離型作業を容易に行なうことができる点においても、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、上記のようなエチレン−プロピレンゴムとブタジエンゴムとを含有することが好ましい。
合成ゴムは、加硫硬化した後の引張強度が3MPa〜10MPaであるものが好ましく、5MPa〜8MPaであるものがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後の引張強度が3MPa以上であると、チッピングの発生が低減されるため、清掃性能の観点から好ましい。
合成ゴムは、加硫硬化した後のゴム硬度(デュロメータ硬さ)がA60〜95であるものが好ましく、A70〜90であるものがより好ましい。合成ゴムの加硫硬化した後のゴム硬度が上記範囲内にあると、チッピング及びボイドの発生頻度も低いため、清掃性能の観点から好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物(以下、「アルカリ金属塩等」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である特定洗浄剤を含む。
アルカリ金属塩又はアルカリ金属酸化物におけるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。これらの中でもアルカリ金属は、清掃性能の観点から、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明においては、これらアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、保水材の少なくとも1種を含む。
保水材によれば、該保水材が水分を保持するため、水分が蒸発し難くなり、経時による金型清掃用樹脂組成物中の水分量の低下を抑制することができる。その結果、金型清掃用樹脂組成物の初期の設定物性が変化し難くなり、金型清掃用樹脂組成物の保存安定性が優れたものになると考えられる。
また、本発明の金型清掃用樹脂組成物は加硫剤を含有するが、該加硫剤は、水、詳細には、アルカリ金属塩等が溶解した水により劣化が促進される。加硫剤が劣化すると、金型清掃用樹脂組成物の流動性が悪くなり、金型の細部まで清掃することが困難となったり、加硫性能が低下し、金型清掃時に金型清掃用樹脂組成物が十分に硬化せず、成形金型の内部表面から汚染物質を充分に除去することができなかったりすることがある。保水材によれば、該保水材に水が取り込まれるため、加硫剤が水に晒され難くなる。その結果、加硫剤の劣化が抑制され、金型清掃用樹脂組成物の保存安定性が担保できるものと考えられる。
保水材として吸水性ポリマーを用いると、該吸水性ポリマーが形成する網目構造の中に水分子が保持されるため、水分がより蒸発し難くなる。また、吸水性ポリマーは、一般に吸水能が高く、金型清掃用樹脂組成物の清掃性能を発揮するために必要な水を十分に保持することができる。このような観点において、保水材としては、吸水性ポリマーが好ましい。
本発明においては、これらの吸水性ポリマーを1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、加硫剤の少なくとも1種を含む。
加硫剤としては、合成ゴムを架橋可能なものであればよく、硫黄分子を化合物中に含んでいなくともよい。
なお、本明細書において加硫とは、硫黄を添加して合成ゴムを架橋すること及び過酸化物を用いて合成ゴムを架橋することの両方を包含する概念である。
過酸化物としては、1分間半減期温度が、100℃〜190℃であるものが好ましい。1分間半減期温度が190℃より高いと金型清掃時の成形時間が過剰に長くなる。また、金型清掃時に金型温度を上げられない場合、金型清掃用樹脂組成物が十分に加硫せずに脆くなることで、清掃の作業性が低下する傾向がある。1分間半減期温度が100℃未満であると、金型清掃用樹脂組成物の製造時、及び混練加工時に加硫が進行するため、金型清掃時に、金型清掃用樹脂組成物が金型の形状に十分に追随できなくなる傾向がある。
また、過酸化物の1分間半減期温度は、140℃〜190℃であることがより好ましく、145℃〜180℃であることが更に好ましい。
過酸化物の1分間半減期温度は、具体的には、以下のようにして求めることができる。まず、過酸化物をある一定温度(T)で熱分解させた際、過酸化物の初期濃度をa、また、過酸化物の分解量をxとし、時間(t)とlna/(a−x)の関係をプロットし、得られた直線の傾き定数kを求める。温度(T)における半減期は、その定義である式 kt1/2=ln2に、先に求めたkを代入することで求めることができる。さらに、同様の手順を繰り返すことで異なる温度毎に、その温度での半減期(t1/2)をそれぞれ求め、得られたlnt1/2と1/Tとをプロットする。
このようにして得られた直線を外挿することで、このプロットした図から半減期(t1/2)が1分間である温度、すなわち1分間半減期温度を求めることができる。
加硫助剤としては、例えば、アクリル酸モノマー、硫黄、酸化亜鉛等が挙げられる。特に、加硫剤として過酸化物を用いる場合には、加硫助剤として硫黄又は酸化亜鉛を使用することができる。
加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系等の加硫促進剤を挙げることができる。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン等が挙げられる。
アルデヒド−アミン系加硫促進剤としては、例えば、ホルムアルデヒド−パラトルイジン縮合物、アセトアルデヒド−アニリン縮合物等が挙げられる。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等が挙げられる。
加硫助剤、加硫促進剤、又は加硫促進助剤の種類及び量は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて適宜選択することができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物に含まれる水は、金型清掃用樹脂組成物の製造時に添加した水であっても、金型清掃用樹脂組成物を構成する材料に含まれる水であってもよい。本発明の金型清掃用樹脂組成物に含まれる水は、清掃性能及び保存安定性の観点から、金型清掃用樹脂組成物を構成する材料に含まれる水であることが好ましい。
金型清掃用樹脂組成物における水の含有量は、カールフィッシャー法で測定することができる。具体的には、三菱化学株式会社製のカールフィッシャー水分計CA−100及び水分気化装置VA−100を用いて、水分気化−電量滴定法により測定することができる。なお、気化するための温度は、180℃とする。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、充填剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。金型清掃用樹脂組成物が充填剤を含有していると、金型清掃時の加圧時により充分に圧力がかかるため、金型の隅々まで金型清掃用樹脂組成物を行き渡らせることができ、成形金型の内部表面の汚れをより効率的に除去することができる。
充填剤としては、有機充填剤及び無機充填剤のいずれであってもよいが、金型を摩耗させることなく成形金型の内部表面の汚れを除去することができる点において、無機充填剤がより好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤、滑剤、離型剤、その他添加剤等の他の成分を含有していてもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、有機溶剤の少なくとも1種を含有していてもよい。
有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、金型清掃用樹脂組成物に通常用いられる有機溶剤から適宜選択することができる。有機溶剤としては、具体的には、多価アルコール、多価アルコールモノアルキルエーテル等のアルコール溶剤;アミド溶剤;ケトン溶剤;エーテル溶剤などを挙げることができる。本発明においては、有機溶剤は、アルコール溶剤が好ましく、該アルコール溶剤の中でも、多価アルコール、多価アルコールモノアルキルエーテル等がより好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、該有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、滑剤の少なくとも1種を含有していてもよい。金型清掃用樹脂組成物は、滑剤を含有することにより、製造時の混練において配合剤の分散性が向上する。
滑剤としては、例えば、金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤、アミド系滑剤、炭化水素系滑剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属石鹸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
脂肪酸エステル系滑剤としては、例えば、ブチルステアレート、ブチルラウレート、ステアリルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。
炭化水素系滑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス等が挙げられる。
これらの中でも、滑剤としては、加工時の混練において配合剤の分散を良好にすることができる点において、ステアリン酸、ベヘン酸又はモンタン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が滑剤を含有する場合、該滑剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、離型剤の少なくとも1種を含有していてもよい。金型清掃用樹脂組成物が離型剤を含有していると、成形後の金型からの離型性が優れたものとなり、清掃時の作業性が向上する。
離型剤としては、例えば、金属石鹸系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤、合成ワックス、脂肪酸アミド系離型剤等が挙げられる。
金属石鹸系離型剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛等が挙げられる。
脂肪酸エステル系離型剤、合成ワックス、及び脂肪酸アミド系離型剤としては、例えば、リコワックスOP(モンタン酸部分ケン化エステル、クラリアントジャパン株式会社製)、ロキシオールG−78(高分子複合エステル、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製)、リコルブH−4(変性炭化水素、クラリアントジャパン株式会社製)、ロキシオールVPN881(鉱油系合成ワックス、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製)、脂肪酸アマイドS(脂肪酸アミド、花王株式会社製)、カオーワックスEB−P(脂肪酸アミド、花王株式会社製)、アルフローHT−50(脂肪酸アミド、日油株式会社製)等の市販品を用いることができる。
離型剤の種類及び量は、金型清掃用樹脂組成物の設計に合わせて適宜選択することができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物が離型剤を含有する場合、該離型剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
その他添加剤としては、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、カップリング剤、スコーチ防止剤等の公知の添加剤を挙げることができる。これらは目的等に応じて適宜選択される。
本発明の金型清掃用樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、例えば、以下の方法により調製することができる。
合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、必要に応じて、各種添加剤と、をジャケット付き加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミキサー等を用いて混練し、混練物を得る。得られた混練物の形状は、使用する金型により、適宜選択するとよい。例えば、シート状に成形する場合には、得られた混練物を加圧ロールに通して成形する。シート状に成形する場合、シートの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、3mm〜10mm等の範囲にするとよい。
このような加硫剤と水とが接触し難い調製方法により得られる金型清掃用樹脂組成物は、加硫剤の劣化が生じ難く、金型清掃用樹脂組成物の初期の設定物性が維持され、保存安定性により優れる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物は、成形金型の汚れを清掃するために用いることができる。成形金型の種類としては、特に限定されるものではない。成形金型としては、例えば、光学部材封止用金型、半導体材料封止用金型、ゴム成形金型等が挙げられる。具体的には、発光ダイオード(LED)用の封止金型、半導体パッケージ用の封止金型、ゴムパッキン成形金型、熱硬化性樹脂部品成形金型等が挙げられる。本発明の金型清掃用樹脂組成物を用いて汚れを清掃する成形金型は、金型の成形温度及び硬化時間の観点から、LED用の封止金型、半導体パッケージ封止金型等が好ましい。
本発明の金型清掃方法は、既述の本発明の金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する工程(以下、「付与工程」ともいう。)と、金型清掃用樹脂組成物が付与された金型を加熱する工程(以下、「加熱工程」ともいう。)とを有する。金型清掃方法は、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
付与工程は、本発明の金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部表面に付与する工程である。本発明の金型清掃用樹脂組成物を、成形金型の内部表面に付与する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。本発明の金型清掃用樹脂組成物の成形金型の内部表面への付与は、例えば、シート状に成形した本発明の金型清掃用樹脂組成物を圧縮成形する方法、トランスファー成形する方法等の公知の方法によって行なうことができる。
本発明の金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部表面に付与する際には、成形金型のキャビティ部分の一部の表面を覆うように付与しても、全部の表面を覆うように付与してもよいが、全部の表面を覆うように金属清掃用樹脂組成物を付与することが好ましい。
加熱工程は、成形金型内部表面に付与した本発明の金型清掃用樹脂組成物を加熱する工程である。
加熱方法及び加熱条件(温度、時間、回数等)は、特に限定されるものではなく、清掃対象樹脂の種類、及び本発明の金型清掃用樹脂組成物の種類に応じて、公知の方法及び条件を適宜選択することができる。
加熱工程における温度は、160℃〜190℃であることが好ましく、170℃〜180℃であることがより好ましい。
本発明の金型清掃方法は、必要に応じてその他の工程を設けてもよい。その他の工程としては、例えば、予熱工程、予備加圧工程等が挙げられる。
<実施例1>
3000mlのジャケット付き加圧型ニーダー中に、エチレン−プロピレンゴム(商品名:EPT#4021H、エチレンとプロピレンとの組成比(エチレン/プロピレン):55/45、ムーニー粘度ML1+4(100℃):24、ジエン含有率:8.1%、三井化学株式会社製)40部と、ブタジエンゴム(商品名:BR01、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45、比重:0.9、シス1,4結合含有率:95%、JSR株式会社製)60部と、を添加し、冷却しながら約3分間加圧混練した。
得られた混練生地がモチ状になり、その温度が約80℃となった後、予めアルカリ金属塩としてリン酸三カリウム 2部をイオン交換水(アルカリ金属塩水溶液調製用)2部に溶解させて得た水溶液と、保水材としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物(商品名:アクアリックCA−K4、吸水量:250g/g〜350g/g、株式会社日本触媒製)1部と、滑剤としてステアリン酸(商品名:F−3、川研ファインケミカル株式会社製)1部と、離型剤として高分子複合エステル(商品名:ロキシオールG−78、エメリーオレオケミカルズジャパン株式会社製)1部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ジンクステアレートGF−200、日油株式会社製)1部、及び変性炭化水素(商品名:リコルブH−4、クラリアントジャパン株式会社製)0.5部と、充填剤として含水非晶質シリカ(商品名:ニップシールAQ、含水量:8%、平衡水分含有率:7%(温度:23℃、相対湿度:60%)、東ソー・シリカ株式会社製)30部、及び酸化チタン(商品名:CR−80、石原産業株式会社製)5部と、を加えて約3分間混練した。
最後に、加硫剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名:パーヘキサ25B−40、1分間半減期温度:179.8℃、日油株式会社製)6部を加えて、引き続き約1分間混練した。
上記の間、混練物温度が100℃を超えないように調節した。
得られた混練物は、速やかに加圧ロールに通し、厚さ7mmのシート状に加工するとともに、25℃以下に冷却して、実施例1の金型清掃用樹脂組成物を得た。
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、イオン交換水の使用量を2部から10部に変更するとともに、保水材としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を加えたところを該アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物の代わりに、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物(商品名:KIゲル−201K、吸水量:200g/g、株式会社クラレ製)を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金型清掃用樹脂組成物を得た。
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、保水材としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を加えたところを該アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物の代わりに、変性ポリアルキレンオキサイド樹脂(商品名:アクアコークTW、吸水量:30g/g〜40g/g、住友精化株式会社製)を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の金型清掃用樹脂組成物を得た。
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、アルカリ金属塩水溶液調製用としてイオン交換水を2部使用したところを、予めアルカリ金属塩水溶液を調製するのではなく、アルカリ金属塩2部とイオン交換水2部とを別々に加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の金型清掃用樹脂組成物を得た。なお、上記のように、アルカリ金属塩とは別に加えたイオン交換水を、下記の表1では「添加水」と称する。
実施例1の金型清掃用樹脂組成物の調製において、アルカリ金属塩水溶液調製用としてイオン交換水を2部使用したところを、予めアルカリ金属塩水溶液を調製するのではなく、アルカリ金属塩2部とイオン交換水2部とを別々に加え、かつ、保水材を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の金型清掃用樹脂組成物を得た。
実施例2の金型清掃用樹脂組成物の調製において、保水材を加えなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2の金型清掃用樹脂組成物を得た。
上記にて得た金型清掃用樹脂組成物(製造直後)について、水分含有率の測定を行なうとともに、清掃時の加硫性及び清掃性能の評価を行なった。
また、上記にて得た金型清掃用樹脂組成物を23℃の条件下で1年間保存した後の金型清掃用樹脂組成物についても、同様に、水分含有率の測定を行なうとともに、清掃性能及び清掃時の加硫性の評価を行ない、保存安定性を確認した。
これらの結果を表1に示す。
金型清掃用樹脂組成物における水分含有量の測定は、測定装置として、三菱化学株式会社製のカールフィッシャー水分計CA−100及び水分気化装置VA−100を用い、気化温度180℃の条件にて、水分気化−電量滴定法により行なった。そして、得られた水分含有量の値を用いて、金型清掃用樹脂組成物の総質量に対する割合を算出し、金型清掃用樹脂組成物の水分含有率を求めた。
市販のビフェニル系エポキシ樹脂成形材料(製品名:EME−G700、住友ベークライト株式会社製)を用い、先端に超硬合金製のチップが付いたプランジャーを備えたQFP28×28(6ポット−12キャビティ)の金型で500ショットの成形を行ない、金型の内部表面に汚れを形成させた。
この内部表面に汚れが付着した金型を用いて、金型清掃用樹脂組成物の繰り返し成形を行なった。
そして、金型の内部表面に付着した汚れが完全に除去できるまでに要した成形回数(クリーニング完了ショット数)を測定し、該ショット数を、金型清掃用樹脂組成物の清掃性能を評価するための指標とした。金型の内部表面の汚れが完全に除去できたか否かは、目視にて判断した。
なお、金型の内部表面の汚れが完全に除去できるまでに要したショット数は、小さいほど清掃性能が優れていることを示す。
上記の清掃性能の評価試験の際に、金型清掃用樹脂組成物の金型への貼り付きの程度を観察し、下記の評価基準に基づいて、清掃時の加硫性を評価した。
なお、[A]及び[B]に分類されるものを合格と判定した。
A:金型への貼り付きは起こらなかった。
B:金型への貼り付きは起こるが、手で容易に剥がせた。
C:金型への貼り付きが起こり、手で剥がすと金型清掃用樹脂組成物が割れ、その一部が金型の内部表面に残った。
Claims (2)
- 合成ゴムと、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる化合物と、保水材と、加硫剤と、水と、を含有し、
前記保水材が、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸系樹脂及びポリアルキレンオキサイド系樹脂からなる群より選ばれる樹脂である金型清掃用樹脂組成物。 - 前記加硫剤の含有量に対する前記保水材の含有量の質量比(保水材の含有量/加硫剤の含有量)が、1/10以上5/1以下の範囲内である請求項1に記載の金型清掃用樹脂組成物。
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