JP3181675B2 - ゴム用金型の洗浄方法 - Google Patents

ゴム用金型の洗浄方法

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JP3181675B2 JP08306892A JP8306892A JP3181675B2 JP 3181675 B2 JP3181675 B2 JP 3181675B2 JP 08306892 A JP08306892 A JP 08306892A JP 8306892 A JP8306892 A JP 8306892A JP 3181675 B2 JP3181675 B2 JP 3181675B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴム用金型の洗浄方法に
関し、更に詳しくは繰り返し加硫によって表面が汚染さ
れたゴム用金型を表面をいためることなく、しかも効率
よく洗浄する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴムの成型加工業界においては、加硫金
型の汚染は古くから知られており、金型汚染は、加硫工
程において、その使用頻度と共に促進され、ゴム成型品
の品質、外観、寸法精度など、製品に重大な欠陥を与え
たり、金型からの離型性や金型の寿命を短くするといっ
た問題がある。
【0003】このため、これまでに金型汚染対策として
数多くの検討がなされ、例えば、特公昭59−4498
0号公報に記載されている有機リン酸エステルやシクロ
ペンタジエン誘導体カルボン酸塩を外面液に添加する方
法や、特開昭62−113518号公報に記載された分
子内にケイ素とイソシアネート基を有する化合物にて金
型を表面処理する方法、あるいはゴム組成物中に環化ポ
リブタジエン(特開昭54−63144号公報)、有機
リン酸エステル塩(特公昭57−53812号公報)、
メルカプトベンゾ‐1,3‐ジアゾール塩(特開昭54
−107943号公報)、シクロペンタジエン誘導体カ
ルボン酸金属塩(特開昭54−126251号公報)、
2‐メルカプトベンズイミダゾールまたはその亜鉛塩
(特公昭61−20585号公報)あるいは特定のシリ
カ(含水ケイ酸、特開昭63−238143号公報)な
どを配合することによって金型汚染を改良する試みが提
案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法は、汚染を遅
らせることは出来るが、汚染を完全に防止することは出
来ない。そのため定期的な金型洗浄例えばガラスビーズ
などによるショットブラスト法や、酸やアルカリ洗浄な
どが行われているが、これらの金型洗浄は金型を傷つ
け、以後の汚染速度を急速にしたり、金型を腐食させた
りするばかりか、洗浄のため金型を加硫機から取り外さ
なければならず、特に大型のゴム製品の場合は、その工
数は無視できず、生産性が低下してしまうといった欠点
があった。
【0005】また、金型を加硫機から取り外さないで洗
浄する方法として、特開昭58−122942号公報に
アミノアルコールを配合したゴム組成物を洗浄ゴムとし
て使用する方法や、これらアミノアルコール若しくはア
ミノアルコールをエタノールなどに溶解させた洗浄液を
汚染された金型表面に塗布後、未加硫ゴム組成物を通常
の方法により加硫して洗浄する方法(特開昭58−18
0600号公報)などが知られ、その他にも、多くの金
型洗浄ゴム組成物が一般に市販されているが、ある程度
の効果はあるもののいまだ十分とはいえず、またこれら
洗浄ゴム組成物のほとんどは分解しやすいアミン系の薬
品が多量に配合されているため、室温下でもアンモニア
臭がしたり、加熱後更に多量のアミンなどが発生するた
め金型を腐食させたり、あるいは作業環境上も問題であ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金型
を傷つけたり、腐食させたりすることなく、金型を取り
外すなどの工数を必要とすることなく、作業環境汚染の
問題もなく、極めて簡便に且つ効率的にゴム用金型を洗
浄する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するため鋭意研究を行った結果、未加硫ゴム物
品の表面にアミノアルコール、グリコール類および吸着
剤を配合してなる洗浄ゴム組成物を貼り付けた洗浄用ゴ
ム物品を金型に入れて加熱することにより著しく洗浄効
果があり、経済的に、作業環境を汚さない洗浄ができる
ことを見い出し、この発明を完成した。
【0008】すなわち、この発明は、 (1) 未加硫ゴム物品を繰り返し加硫することによっ
て汚染された金型を洗浄する方法において、該未加硫ゴ
ム物品の金型に面する表面に天然ゴムおよび/または合
成ゴムからなるゴム100重量部に対し、アミノアルコ
ール2〜30重量部、グリコール類5〜50重量部およ
び吸着剤30〜90重量部を配合してなるシート状の洗
浄ゴム組成物を貼り付けて作成した洗浄用ゴム物品を、
金型内に挿入し加熱して、汚染物を洗浄ゴム物品に吸着
させた後、該洗浄用ゴム物品を金型から取り出すことに
よって、金型表面から汚染物を除去することを特徴とす
るゴム用金型の洗浄方法であり、
【0009】(2) アミノアルコールがモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、N‐メチルエタノールアミン、N,N‐ジメチルエ
タノールアミン、N,N‐ジブチルエタノールアミン、
N,N‐ジエチルエタノールアミン、N‐メチル‐N,
N‐ジエタノールアミン、2‐アミノ‐2‐メチルプロ
パノール、3‐アミノプロパノール、2‐アミノプロパ
ノールよりなる群より選んだ少なくとも1種である前項
(1)記載のゴム用金型の洗浄方法であり、
【0010】(3) グリコール類がエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコールよりな
る群より選んだ少なくとも1種である前項(1)記載の
ゴム用金型の洗浄方法であり、
【0011】(4) アミノアルコールがモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、2‐アミノ‐2‐メチ
ルプロパノール、3‐アミノプロパノール、2‐アミノ
プロパノールよりなる群より選んだ少なくとも1種であ
る前項(1)記載のゴム用金型の洗浄方法であり、
【0012】(5) グリコール類がジエチレングリコ
ール及び/又はジプロピレングリコールである前項
(1)記載のゴム用金型の洗浄方法であり、
【0013】(6) アミノアルコールの配合量が、ゴ
ム100重量部に対して、5〜20重量部である前項
(1)記載のゴム用金型の洗浄方法であり、
【0014】(7) グリコール類の配合量が、ゴム1
00重量部に対して10〜30重量部である前項(1)
記載のゴム用金型の洗浄方法であり、
【0015】(8) 吸着剤がシリカ、活性アルミナ、
活性炭、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウム、ベントナイト、ケイソウ土より
なる群より選んだ少なくとも1種である前項(1)記載
のゴム用金型の洗浄方法であり、
【0016】(9) 吸着剤がシリカである前項(1)
記載のゴム用金型の洗浄方法であり、
【0017】(10) 吸着剤の配合量がゴム100重量
部に対して、40〜70重量部である前項(1)記載の
ゴム用金型の洗浄方法であり、
【0018】(11) 水を、ゴム100重量部に対し
て、2〜20重量部配合した洗浄ゴム組成物を未加硫ゴ
ム物品に貼り付ける前項(1)記載のゴム用金型の洗浄
方法である。
【0019】この発明を詳細に説明する。この発明の洗
浄方法において、未加硫ゴム物品とは、例えばこれを加
硫することによって製品となる半製品のことであり、一
例としてタイヤではグリーンタイヤと呼ばれているもの
があげられる。しかしながら、この様な半製品に限らず
これらに類似するものであれば何んでも構わない。
【0020】この発明の洗浄方法においてゴムとして
は、天然ゴムおよび各種合成ゴムから任意に選択した単
独またはブレンドゴムを使用でき、合成ゴムとして具体
的には、合成ポリイソプレンゴム、スチレン‐ブタジエ
ン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、ハ
ロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレン‐ターポリマ
ーなどを挙げることができるが、これらに限定されるも
のではない。
【0021】この発明の洗浄方法において、アミノアル
コールとは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、N‐メチルエタノールアミ
ン、N,N‐ジメチルエタノールアミン、N,N‐ジブ
チルエタノールアミン、N‐メチル‐N,N‐ジエタノ
ールアミン、2‐アミノ‐2‐メチルプロパノール、3
‐アミノプロパノール、2‐アミノプロパノールなどで
あり、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、2‐アミノ‐2‐メチルプロパノール、3‐ア
ミノプロパノール、2‐アミノプロパノールであり、こ
れらは単独または2種以上を併用しても構わない。ま
た、配合量はゴム100重量部に対して、2〜30重量
部、好ましくは5〜20重量部である。配合量が2重量
部未満では金型洗浄効果が十分ではなく、30重量部を
越えるとゴム組成物の破壊強度が低下し、金型を洗浄
後、ゴム組成物を取り出す際に洗浄ゴム組成物が途中で
切れてしまい金型に残ってしまい、やはり洗浄効果が悪
化するばかりか、過剰のアミノアルコールが金型表面に
残ってしまい好ましくない。
【0022】この発明の洗浄方法において、グリコール
類とはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコールなどであり、好ましくはジエチレング
リコール、ジプロピレングリコールでありこれらは単独
または2種以上を併用しても構わない。また、配合量は
ゴム100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは
10〜30重量部である。配合量が5重量部未満では、
金型洗浄効果が十分ではなく、50重量部を越えると増
量の効果がないばかりか、ゴム組成物の破壊強度が低下
し、やはり金型洗浄効果が悪化するばかりでなく、過剰
のグリコール類が金型表面に残ってしまい好ましくな
い。
【0023】この発明の洗浄方法において、汚染物を金
型表面からはぎ取るために洗浄ゴム組成物に吸着剤を配
合するが、この吸着剤としては、シリカ、活性アルミ
ナ、活性炭、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグ
ネシウム、炭酸カルシウム、ベントナイト、ケイソウ土
などが使用されるが、金型を洗浄後、ゴム組成物を取り
出す際に、複雑な形状の金型の場合、ゴム組成物が途中
で切れてしまい、金型に残ってしまうことがあるため、
好ましくは補強性のあるシリカが使用される。また、配
合量はゴム100重量部に対して30〜90重量部、好
ましくは40〜70重量部配合する。配合量が30重量
部未満では、ゴム組成物の破壊強度が低く汚染物を完全
にはぎ取ることができず、90重量部を越えると、ゴム
組成物の粘度が高くなり過ぎてしまい、洗浄の際に金型
の細部までゴムが流れなくなり、その結果、洗浄されな
い部分が残ってしまうため好ましくない。
【0024】この発明で使用するゴム組成物には、更に
洗浄効果を上げるため、水を配合することもできる。そ
の配合量としては2〜10重量部である。配合量が2重
量部未満では添加の効果がなく、10重量部を超えると
もはや増量の効果がなくなるばかりか、ゴム組成物の混
練作業性が悪化してしまい好ましくない。
【0025】この発明方法で使用するゴム組成物におい
ては、ゴム工業で通常使用されるカーボンブラックなど
の充填剤、アロマオイル、ナフテニックオイルなどの軟
化剤、硫黄などの加硫剤や加硫促進剤、老化防止剤など
を必要に応じて配合することができる。
【0026】この発明方法は、タイヤを始めとするあら
ゆるゴム製品を加硫する金型の洗浄に好適に使用され
る。この発明方法では洗浄ゴム組成物を例えば1〜5mm
位のシート状にして、未加硫のゴム製品の表面に貼り付
けて加硫操作をおこなって、汚染物を洗浄ゴム物品に吸
着させた後、該洗浄用ゴム物品を金型から取り出すこと
によって、金型表面から汚染物を除去するものである。
これによって、金型全部に洗浄ゴム組成物を充填する方
法より、洗浄コスト節減になるばかりでなく、過剰のア
ミノアルコールやグリコール類が、洗浄後、金型表面に
残らないため、反って金型を汚染するといった問題がな
くなるという効果を奏する。
【0027】
【実施例】以下に実施例によって、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこの実施例によって何等限定さ
れるものではない。表1、表2、表3、表4、表5に示
した配合内容の各種ゴム組成物を混練し、厚さ2mmの未
加硫ゴムシートを作成した。これら各種ゴムシートのう
ち、実施例1〜5および比較例1に示した6種類のゴム
シートをタイヤサイズ135SR12のグリーンタイヤ
の全面を6等分して貼り付け、洗浄用ゴム物品を作成し
た。残りのゴムシートについても同様サイズのグリーン
タイヤの全面に6等分して貼り付け、同様に洗浄用ゴム
物品を作成した。これらの洗浄用ゴム物品を、同サイズ
のグリーンタイヤを2週間連続して加硫し続けたことに
より、真黒にその表面が汚染された金型に入れ15分間
加熱し、通常、タイヤを取り出すのと同様にして洗浄用
ゴム物品を取り出し、洗浄した。その時の洗浄度を目視
により評価した。評価は全く洗浄されなかった場合を
1、完全に洗浄された場合を10として10段階で評価
した。結果を表1に合わせて示した。尚、従来例の配合
内容は、ポリマーの友、11巻、頁693〜695(1
983)に記載されているもので、EPDM 100重
量部に、シリカ20重量部、2‐アミノ‐2メチル‐1
‐プロパノール30重量部、酸化チタン10重量部、ス
テアリン酸1重量部、亜鉛華5重量部、ジクミルパーオ
キサイド9重量部および硫黄0.3重量部である。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【発明の効果】実施例、比較例で明らかなように、この
発明の金型洗浄方法は比較例にくらべて、著しく洗浄効
果が優れていることが判る。従来、タイヤなどの金型の
洗浄は、金型を取り外し、ガラスビーズやプラスチック
ビーズなどによるショットブラストによって洗浄してい
たため、多大の工数を費していたが、この発明方法によ
れば、大幅な工数減と少量の洗浄用ゴム組成物使用によ
り低コストで、しかも作業環境の汚染なく金型表面の損
傷を著しく改善することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 105:24 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/72 C08K 3/00 - 13/08 C08L 1/00 - 101/16

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未加硫ゴム物品を繰り返し加硫すること
    によって汚染された金型を洗浄する方法において、該未
    加硫ゴム物品の金型に面する表面に天然ゴムおよび/ま
    たは合成ゴムからなるゴム100重量部に対し、アミノ
    アルコール2〜30重量部、グリコール類5〜50重量
    部および吸着剤30〜90重量部を配合してなるシート
    状の洗浄ゴム組成物を貼り付けて作成した洗浄用ゴム物
    品を、金型内に挿入し加熱して、汚染物を洗浄ゴム物品
    に吸着させた後、該洗浄用ゴム物品を金型から取り出す
    ことによって、金型表面から汚染物を除去することを特
    徴とするゴム用金型の洗浄方法。
  2. 【請求項2】 アミノアルコールがモノエタノールアミ
    ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N‐
    メチルエタノールアミン、N,N‐ジメチルエタノール
    アミン、N,N‐ジブチルエタノールアミン、N,N‐
    ジエチルエタノールアミン、N‐メチル‐N,N‐ジエ
    タノールアミン、2‐アミノ‐2‐メチルプロパノー
    ル、3‐アミノプロパノール、2‐アミノプロパノール
    よりなる群より選んだ少なくとも1種である請求項1記
    載のゴム用金型の洗浄方法。
  3. 【請求項3】 グリコール類がエチレングリコール、ジ
    エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピ
    レングリコール、ジプロピレングリコールよりなる群よ
    り選んだ少なくとも1種である請求項1記載のゴム用金
    型の洗浄方法。
  4. 【請求項4】 アミノアルコールがモノエタノールアミ
    ン、ジエタノールアミン、2‐アミノ‐2‐メチルプロ
    パノール、3‐アミノプロパノール、2‐アミノプロパ
    ノールよりなる群より選んだ少なくとも1種である請求
    項1記載のゴム用金型の洗浄方法。
  5. 【請求項5】 グリコール類がジエチレングリコール及
    び/又はジプロピレングリコールである請求項1記載の
    ゴム用金型の洗浄方法。
  6. 【請求項6】 アミノアルコールの配合量が、ゴム10
    0重量部に対して、5〜20重量部である請求項1記載
    のゴム用金型の洗浄方法。
  7. 【請求項7】 グリコール類の配合量が、ゴム100重
    量部に対して10〜30重量部である請求項1記載のゴ
    ム用金型の洗浄方法。
  8. 【請求項8】 吸着剤がシリカ、活性アルミナ、活性
    炭、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウ
    ム、炭酸カルシウム、ベントナイト、ケイソウ土よりな
    る群より選んだ少なくとも1種である請求項1記載のゴ
    ム用金型の洗浄方法。
  9. 【請求項9】 吸着剤がシリカである請求項1記載のゴ
    ム用金型の洗浄方法。
  10. 【請求項10】 吸着剤の配合量がゴム100重量部に
    対して、40〜70重量部である請求項1記載のゴム用
    金型の洗浄方法。
  11. 【請求項11】 水を、ゴム100重量部に対して、2
    〜20重量部配合した洗浄ゴム組成物を未加硫ゴム物品
    に貼り付ける請求項1記載のゴム用金型の洗浄方法。
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