JP3329661B2 - 金型洗浄用ゴム組成物及び金型洗浄方法 - Google Patents

金型洗浄用ゴム組成物及び金型洗浄方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型洗浄用ゴム組
成物に関するものであって、更に詳しくはゴム等の繰り
返し成形によって表面が汚染された成形用の金型を取り
外すことなく通常の加硫成形と同様な作業により、汚染
物を取り除くことの出来る金型洗浄用ゴム組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ゴムや熱硬化性樹脂等の成形
用の金型が汚染された場合、その除去はワイヤ−ブラシ
やショットブラスト等を使用する物理的方法、金型を苛
性ソ−ダ液や硫酸液等で処理する化学的方法、アセチレ
ン焔吹付法、電解法、超音波法、蒸気吹付法や金型洗浄
用ゴムの利用などが行われてきた。
【0003】特に、金型洗浄用ゴムの利用は、金型を取
り外すことなく洗浄ができ、金型にキズをつけないこと
から普及するに至っている。この金型洗浄用ゴム配合物
における金型洗浄剤としては、アミノアルコ−ルが主流
であり(特開昭58−122942号公報)、また洗浄
効果の向上を目的にアミノアルコ−ルとサリチル酸等の
金属キレ−ト化剤を併用することが提案されている(特
開昭61−287946号公報)。また、グアニジン誘
導体を添加した金型洗浄用ゴムも提案されている(特開
平1−292044号公報)。
【0004】ところが、特開昭58−122942号公
報、特開昭61−287946号公報の方法は、アミノ
アルコ−ルがゴム配合物に含まれるので、金型洗浄作業
中の臭気が強く作業環境を著しく低下させる。また、特
開平1−292044号公報の方法は、この臭気問題に
ついては改善されているが、上記のアミノアルコ−ルを
含む金型洗浄用ゴムより洗浄効果は劣り、充分ではな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これ
らの課題を解決した臭気が少なく、洗浄効果にすぐれた
金型洗浄用ゴム組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムおよび/
または合成ゴムに、グアニジン系化合物とサリチル酸お
よび/またはサリチル酸の塩を併用することにより上記
の課題を解決した組成物を得、本発明を完成させるに到
った。
【0007】すなわち、本発明は天然ゴムおよび/また
は合成ゴムからなるゴム100重量部、グアニジン系化
合物5〜20重量部、サリチル酸および/またはサリチ
ル酸の塩3〜20重量部を含有してなることを特徴とす
る金型洗浄用ゴム組成物を提供する。
【0008】本発明の組成物に使用されるゴムは特に限
定されず、市販されている全てのゴムが適用できる。例
としては、天然ゴム、及びスチレンブタジエンゴム(S
BR)、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPD
M)等の合成ゴムが挙げられる。
【0009】本発明のグアニジン系化合物とは、グアニ
ジン誘導体、グアニジン誘導体の塩、グアニド類であ
り、具体的には、ジ−o−トリルグアニジンのジカテコ
−ルほう酸塩、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリル
グアニジン、1−o−トリルビグアニド、およびジシア
ンジアミドが挙げられ、これらの群から選ばれた少なく
とも1種の化合物が用いられる。本発明に用いるグアニ
ジン系化合物の添加量は、ゴム100重量部に対して5
〜20重量部である。添加量が5重量部未満では、ゴム
組成物の金型洗浄効果が小さく20重量部を超えた場合
は金型をかえって汚染させる危険性がある。
【0010】本発明に用いるサリチル酸および/または
サリチル酸の塩の添加量は、ゴム100重量部に対して
3〜20重量部であり、3重量部未満ではゴム組成物の
金型洗浄効果が小さく20重量部を超えた場合は、金型
をむしろ汚すことがある。
【0011】本発明のゴム組成物には、更に一般的な加
硫ゴム配合物に使用される滑剤等の加工助剤、カ−ボ
ン、シリカ等の充填剤、軟化剤、可塑剤、加硫剤、加硫
促進剤、加硫助剤等を必要に応じて配合することにより
その効果を高めることが出来る。加硫剤、加硫促進剤と
しては使用するゴムを加硫するのに適したものであれば
よく、公知のものが使用出来る。また、金型洗浄効果を
促進させるためにワックス類、アルコ−ル類、ステアリ
ン酸グリセロ−ルのような脂肪酸セッケン類を添加して
もよい。
【0012】ワックスとしては、ステアリン酸カルシウ
ム、カルナバワックス、モンタン酸ワックス、モンタン
酸エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレ
ンワックス等が挙げられる。
【0013】アルコ−ルの例としては、n−ドデシルア
ルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、エチレングリコ−
ル、ジエチレングリコ−ル、ペンタエリスリト−ル、エ
チレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ
−ルモノエチルエ−テル等があるが、ジエチレングリコ
ール、エチレングリコールが好ましい。
【0014】更に、臭気の問題を生じない範囲で脂肪族
アミノアルコ−ルを併用することが出来る。脂肪族アミ
ノアルコ−ルの例としては、モノエタノ−ルアミン、ジ
エタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、N−メチル
エタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミ
ン、N,N−ジブチルエタノ−ルアミン、N,N−ジエ
チルエタノ−ルアミン、N−メチル−N,N−ジエタノ
−ルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ル、3
−アミノプロパノ−ル、2−アミノプロパノ−ル等を挙
げることができるが、臭気が少ないことからトリエタノ
ールアミンが好ましい。本発明の金型洗浄用ゴム組成物
に用いるアルコール、脂肪族アミノアルコールはそれぞ
れゴム100重量部に対して、0〜20重量部の範囲で
使用される。20重量部より多いと臭気の問題や、逆に
金型を汚染するという問題を生じる場合がある。
【0015】本発明の金型洗浄用ゴム組成物は、例えば
以下の方法により効果的に使用することが出来る。先
ず、本発明の金型洗浄用ゴム組成物を、一般のゴム工業
界で行われているロ−ル、バンバリ−ミキサ−、加圧ニ
−ダ−等を用いる方法により混練した後、シ−ト化を行
うことで未加硫状態のシ−トを作製する。このようにし
て調製された金型洗浄用ゴム組成物のシートを金型内に
充填し、高温、加圧下で加硫した後、金型洗浄用ゴム組
成物の成形物を金型から取り出すことによって効果的に
金型の汚染物を除去することができる。しかしながら、
本発明の金型洗浄用ゴム組成物の使用方法はこれに限定
されるものではなく、例えば予めゴム、グアニジン系化
合物、サリチル酸および/またはサリチル酸の塩を混練
し、これにその他の添加剤を加える方法、グアニジン系
化合物、サリチル酸および/またはサリチル酸の塩をゴ
ム組成物中に高濃度に含有した高濃度のゴム組成物を作
製し、所定の濃度になるように他の材料と混合する方法
などゴム工業界で通常用いられるいずれの方法でも良
い。
【0016】
【実施例】以下、具体例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例によってなんら限定されるもので
はない。 (実施例1〜6および比較例1〜4)表1および表2に
示した配合内容の各種ゴム組成物を3L加圧ニ−ダ−で
混練し、10インチロ−ルを用いて厚さ約5mmの未加
硫ゴムシ−トを作製した。この作製したシ−トをJIS
K6301に記載されている圧縮永久ひずみ試験試料
作製用金型(材質S50C)を用いて評価した。
【0017】金型は、評価前に予め表3に示した配合内
容の未加硫コンパウンドを用いて上記と同様の方法で作
製したシートを使用し、185℃×5分間で50ショッ
トの繰り返し加硫を行うことにより汚染させた後、上記
の金型洗浄用ゴム組成物のシ−トを金型内で170℃×
10分間加硫して評価した。その結果を表1および表2
に示した。なお、表1、表2および表3において配合割
合は重量部で示した。
【0018】なお、金型の洗浄評価は次の方法で行っ
た。 (1)洗浄性評価 ◎;1〜2回の加硫で金型が洗浄される。 ○;3〜4回の加硫で金型が洗浄される。 △;4回の加硫でも金型にわずかに汚染物が残る。 (2)臭 気 ◎;ほとんど臭わない。 ○;少し臭うが気にかからない。 ×;強い臭気がある。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】実施例、比較例で明らかなように、本発
明の金型洗浄用ゴム組成物は比較例のグアニジン系化合
物単独に比べて、グアニジン系化合物とサリチル酸およ
び/またはサリチル酸の塩との相乗効果により金型の洗
浄性に優れ、アミノアルコ−ルとサリチル酸等の金型キ
レ−ト化剤の併用と同等の洗浄性を示し、しかも臭気が
ないので作業環境が改善される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−345921(JP,A) 特開 昭61−287946(JP,A) 特開 平7−18122(JP,A) 特開 平6−198653(JP,A) 特開 平1−192044(JP,A) 特開 平5−245849(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 5/02 C08K 5/098 C11D 3/37

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ゴムおよび/または合成ゴムからな
    るゴム100重量部、グアニジン系化合物5〜20重量
    部、サリチル酸および/またはサリチル酸の塩3〜20
    重量部を含有してなることを特徴とする金型洗浄用ゴム
    組成物。
  2. 【請求項2】 合成ゴムが、エチレンプロピレンゴムお
    よび/またはスチレンブタジエンゴムであることを特徴
    とする請求項1記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 グアニジン系化合物が、ジ−o−トリル
    グアニジンのジカテコールほう酸塩、ジフェニルグアニ
    ジン、ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグ
    アニドおよびジシアンジアミドからなる群より選ばれた
    少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項
    1記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 サリチル酸の塩がサリチル酸マグネシウ
    ムであることを特徴とする請求項1記載の金型洗浄用ゴ
    ム組成物。
  5. 【請求項5】 加硫剤を含有することを特徴とする請求
    項1記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  6. 【請求項6】 加硫剤として過酸化物を含有することを
    特徴とする請求項5記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  7. 【請求項7】 加硫剤が2,5−ジメチル−2,5−ジ
    (t−ブチルパーオキシ)ヘキサンであることを特徴と
    する請求項6記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  8. 【請求項8】 加硫促進剤を含有することを特徴とする
    請求項5または請求項6または請求項7記載の金型洗浄
    用ゴム組成物。
  9. 【請求項9】 加硫促進剤がトリメチロールプロパント
    リメタクリレートを含むことを特徴とする請求項8記載
    の金型洗浄用ゴム組成物。
  10. 【請求項10】 滑剤、充填剤、軟化剤、可塑剤から選
    ばれた1種以上を含有することを特徴とする請求項1記
    載の金型洗浄用ゴム組成物。
  11. 【請求項11】 アミノアルコール0〜20重量部及び
    アルコール0〜20重量部を含有することを特徴とする
    請求項1記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  12. 【請求項12】 アミノアルコールがトリエタノールア
    ミンであることを特徴とする請求項11記載の金型洗浄
    用ゴム組成物。
  13. 【請求項13】 アルコールがジエチレングリコール及
    び/またはエチレングリコールであることを特徴とする
    請求項11記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  14. 【請求項14】 脂肪酸セッケン類を含有することを特
    徴とする請求項1記載の金型洗浄用ゴム組成物。
  15. 【請求項15】 ステアリン酸グリセロールを含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の金型洗浄用ゴム組成
    物。
  16. 【請求項16】 ビニル−トリス(2−メトキシエトキ
    シ)シランを含むことを特徴とする請求項1記載の金型
    洗浄用ゴム組成物。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれか1項記載の
    金型洗浄用ゴム組成物を加工してなることを特徴とする
    シート。
  18. 【請求項18】 請求項17記載のシートを加硫するこ
    とを特徴とする金型洗浄方法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜16のいずれか1項記載の
    金型洗浄用ゴム組成物を加硫することを特徴とする金型
    洗浄方法。
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