JP4894377B2 - シートモールディングコンパウンドの製造方法及び繊維強化プラスチック製品の製造方法 - Google Patents

シートモールディングコンパウンドの製造方法及び繊維強化プラスチック製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シートモールディングコンパウンドの製造方法及び繊維強化プラスチック製品の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから回収された繊維を、再び強化材として再利用して繊維強化プラスチック製品を製造する方法に関する。
繊維強化プラスチックは、耐熱性、機械的性質、耐候性、耐薬品性、耐水性などに優れているため、小型船舶、自動車部品、鉄道車両部品、家具、浴槽、電化製品部品、貯水タンクなど種々の分野で利用されている。
その一方で、老朽化や製品代替などにより廃棄される繊維強化プラスチック製品が大量に発生しており、廃棄物処理が深刻な社会問題となっている。繊維強化プラスチック製品に用いられる不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂は熱硬化性樹脂であり、成形後は溶融せず、しかも汎用溶媒には不溶化であるため、廃棄物は専ら焼却と埋め立てにより処理されているが、廃棄処理コストが高く付くため不法投棄が後を絶たず環境破壊の一要因となっている。
このような背景下、繊維強化プラスチック廃棄物の焼却や埋め立てにより発生する環境汚染や資源枯渇化が問題視されており、製品を廃棄処理することなく回収し、有効に再利用するリサイクル技術の確立が急務となっている。回収できる原材料の中でも、分解樹脂は燃料や石油製品への利用が可能であるのに対し、ガラス繊維、炭素繊維や充填材などの無機物は埋め立て以外の処理方法が無いため、これら繊維や充填材のリサイクル技術の検討が優先して行われている。
例えば、繊維強化プラスチックを熱分解し、熱分解したプラスチックからガラス繊維や充填材を分離回収して再利用する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、プラスチックを熱分解する際に高温で加熱するため、ガラス繊維や充填材は性能が変化する可能性がある。とりわけガラス繊維は熱分解の際に表面に塗付されている収束剤が除去されるため、分離回収されるガラス繊維は綿状に解れた状態で得られる。
ところで、通常、繊維強化プラスチック製品は、SMC(シートモールディングコンパウンド)工法により作製される。例えば、増粘剤を含む不飽和ポリエステル樹脂組成物をフィルム上に塗付し、この上にガラス繊維を散布し、さらにその上に不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布したフィルムを積層して樹脂組成物をガラス繊維に含浸させた後、熟成して増粘させ、しかるのちに金型を用いて加熱圧縮成型することにより作製される。このSMC工法で散布されるガラス繊維はガラスロービングを1インチ(25.4mm)以下に裁断したものであるため、廃棄物から回収されるガラス繊維は長さ1インチ以下のものである。
このように回収されるガラス繊維は1インチ以下に裁断されたものであり、綿状になっているため、そのままの状態でSMC工法に適用して再び製品化することは困難であった。
これに対して、回収ガラス繊維をマット状に成形しプラスチックを含浸させてシートモールディングコンパウンドを作製し、SMC工法に供する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法では、マット状に成形するためにニードルパンチ加工やステッチボンド加工などの工程が必要であり、そのための労力や設備に費用を要するといった問題があった。
また、近年では「軽くて強い」優れた機械的な特性を有する炭素繊維強化プラスチックが先端機能材料として注目されており幅広い用途に使用されている。かかる炭素繊維強化プラスチックから分離回収される炭素繊維も綿状に解れた状態であるため、再使用するに当たっては開繊(抄造)処理が必要となる。しかし、導電性を有する炭素繊維の開繊処理は放電の危険を伴うため乾式系では行えず、コストのかかる湿式系に限られていた。
特開平11−172258号公報 特開2005−232408号公報
本発明の目的は、繊維強化プラスチックから回収した繊維を再利用して、SMC工法に適用できるシートモールディングコンパウンドを経済的に製造する方法を提供することである。さらに本発明の目的は、該方法により得られるシートモールディングコンパウンドを用いて繊維強化プラスチック製品を製造する方法を提供することである。
即ち、本発明は、以下のシートモールディングコンパウンドの製造方法及び繊維強化プラスチック製品の製造方法に関する。
(1)エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維を回収する工程、
前記工程で回収された回収繊維をエステル結合含有高分子前駆体とロール混練機で混練する工程、及び
前記工程で得られた混練物をシート状物に作製する工程
を有するシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(2)前記エステル結合を有する高分子化合物が不飽和ポリエステル樹脂である前記(1)記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(3)前記エステル結合を有する高分子化合物が酸無水物硬化エポキシ樹脂である前記(1)記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(4)前記繊維は、ガラス繊維であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(5)エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維を回収する工程で使用される解重合触媒がアルカリ金属化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(6)エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維を回収する工程で使用される解重合触媒がアルカリ金属塩であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(7)エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維を回収する工程で使用される解重合触媒がアルカリ金属リン酸塩であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(8)前記繊維は、炭素繊維であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(9)前記エステル結合含有高分子前駆体が不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(10)前記エステル結合含有高分子前駆体が酸無水物硬化エポキシ樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(11)前記ロール混練機が、ニ本ロール型混練機であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(12)前記混練する工程において充填材を添加することを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(13)前記充填材が、エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから回収された回収充填材を含むことを特徴とする前記(12)記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(14)前記シート状物に作製する工程に続き、
得られたシート状物をフィルムで挟んで成形する工程をさらに有する
前記(1)〜(13)のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
また、本発明は、(15)前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の製造方法で得られたシートモールディングコンパウンドを金型を用いて圧縮成型することを特徴とする繊維強化プラスチック製品の製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、SMC工程に適用できる回収繊維を利用したシートモールディングコンパウンドを経済的に得ることができ、それを用いて繊維強化プラスチック製品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシートモールディングコンパウンドの製造方法は、まず、エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維を回収する。
(繊維強化プラスチックから繊維を回収する工程)
本発明における繊維強化プラスチックはエステル結合を有する高分子化合物を含むものである。かかるエステル結合を有する高分子化合物は、エステル結合を有するポリマであれば特に限定されず、例えば不飽和ポリエステル樹脂またはその硬化物、飽和ポリエステル樹脂、酸無水物硬化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂とその硬化物などが挙げられ、なかでも不飽和ポリエステル樹脂または酸無水物硬化エポキシ樹脂が賞揚される。以下に不飽和ポリエステル樹脂硬化物の作製方法の一例を挙げる。
不飽和ポリエステルは、例えば、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物を必須成分として含む多塩基酸成分と、多価アルコールとを反応させて得られる。
不飽和ポリエステルの合成原料であるα,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては、例えば、α,β−不飽和二塩基酸又はその無水物、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。これらは、2種以上併用してもよい。
多塩基酸成分としては、不飽和基の濃度を調節し、可撓性、耐熱性などの特性を付与するために、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物のほか、飽和多塩基酸又はその無水物を併用してもよい。このとき、多塩基酸成分全体に占める飽和多塩基酸の割合は目的に応じて任意に調整される。α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物の多塩基酸全体に占める割合が少なくなると、得られる成形品の強度が漸次低下する傾向を示す。例えば、硬質の成形品を作製するためには、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物を、多塩基酸成分のうち、40モル%以上とするのが好ましく、45〜80モル%とするのがより好ましく、50〜70モル%とするのが特に好ましい。
併用される飽和多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、こはく酸、アゼライン酸、ロジン−マレイン酸付加物などが挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
不飽和ポリエステルのもう一つの合成原料である多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール等の四価アルコールなどが挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
多塩基酸成分と多価アルコールとは、当量比で、多塩基酸成分を1とするとき、多価アルコールを1〜1.3の範囲で使用することが好ましく、1.03〜1.05の範囲で使用することがより好ましい。多価アルコールが少なくなると、得られる不飽和ポリエステル樹脂の分子量が小さくなる傾向にあり、多くなると酸価が小さくなって増粘剤を用いた場合に、増粘の進行が遅くなる傾向にある。
不飽和ポリエステルは、従来から公知の方法により合成することができる。例えば、多塩基酸成分、多価アルコール成分とを縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
反応の温度は150℃以上とすることが好ましく、また酸化による副反応を防止するためには、窒素、二酸化炭素などの不活性気体を通気しながら反応させることが好ましい。
このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置、窒素など不活性気体の吹込み装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
不飽和ポリエステルの数平均分子量は、1000〜4500であることが好ましい。数平均分子量が1000未満であると、増粘剤を適量添加しても粘度が上がらず樹脂組成物とした場合に柔らかく作業性の面で不利になる場合がある。数平均分子量が4500よりも大きいと、粘度が高くガラス繊維等に含浸して用いる場合には含浸不良をおこしやすく、成形した場合表面光沢性が低下する傾向にある。
重合性単量体としては、例えば、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、ターシャリブチルスチレン、臭化スチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のアルキルエステル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ジアリルフタレート、アクリルアミド、フェニルマレイミドなどがあげられる。また、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチールプロパントリメタクリレートなどの多官能のメタクリル酸又はアクリル酸のエステル類を用いることもできる。
不飽和ポリエステルと重合性単量体とを配合し、必要により重合禁止剤、低収縮剤、増粘剤などを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物とされる。不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との配合割合は、適用製品の形態や、その製造工程での加工性などに合わせて選ぶことができ、例えば、繊維材料に不飽和ポリエステル樹脂組成物をシート状に塗布して成形する場合、不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との合計量を100重量部として、不飽和ポリエステル樹脂が25〜80重量部、重合性単量体が75〜20重量部とするのが好ましく、不飽和ポリエステル樹脂が40〜65重量部、重合性単量体が60〜35重量部とするのがより好ましい。25重量部未満であると不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が低すぎてシート状に塗布しにくく、また、沈降等のため他の成分と均一に混合しにくくなり、さらに、得られる繊維強化成形材料を成形しても硬化収縮率が大きく、成形品に割れ、クラック等が生じる場合がある。不飽和ポリエステル樹脂が80重量部を超えると、粘度が高すぎて塗布したり、他の成分と混合しにくくなる場合がある。
開始剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類などが挙げられる。開始剤の量は、成形サイクルのみではなく材料の保存性、色ムラ等の面に影響があるため、それぞれに応じて決定される。材料の保存性、成形サイクルの面から前記不飽和ポリエステル樹脂及び重合性単量体の総量に対して0.5〜5重量%が好ましく、より好ましくは1〜3重量%である。
重合禁止剤として、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、ハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等を用いることができる。重合禁止剤は、前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して0.5重量%以下で使用されることが好ましい。開始剤を配合した樹脂組成物には、貯蔵安定性のため、0.05重量%以上含有させることが好ましい。
目的に応じて低収縮剤として、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ブタジエンゴムなどの熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。使用量は、成形品の収縮率や表面平滑性、表面光沢を考慮して決定され、特に制限はない。例えば、低収縮で硬質の成形体を作製する場合には、前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して20〜50重量%の範囲で低収縮剤が使用されることが好ましい。
不飽和ポリエステルを増粘する場合に、増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カリウム等を用いることができるが、一般的には酸化マグネシウムが用いられる。増粘剤の量は、成形材の作業性に応じて決定される、前記不飽和ポリエステル及び重合性単量体の総量に対する増粘剤の量は、0.5〜5重量%が好ましく、0.7〜2重量%がより好ましい。増粘剤の量が0.5重量%未満であると樹脂組成物の粘度が上昇しない場合があり、添加効果が得られない。また、増粘剤の量が5重量%を越えると粘度が上昇し過ぎて制御できなくなる場合がある。
前記の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、さらに、適宜、離型剤、安定剤、着色剤等が配合される。
一方、エポキシ樹脂またはその硬化物としては、酸無水物硬化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂またはその硬化物等がある。
酸無水物硬化エポキシ樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有するものであればどのようなものでもよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などがある。これらは併用してもよく、エポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
酸無水物硬化エポキシ樹脂に用いられる硬化剤としての酸無水物は、エポキシ樹脂を硬化させるものであればどのようなものでもよい。酸無水物の例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、グリセロールトリストリメリテート、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、無水トリメリット酸などがある。なかでも、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの酸無水物系硬化剤は、単独、或いは、組み合わせて用いることもできる。
これら酸無水物の配合量は、エポキシ基の硬化反応を進行させることができれば、特に限定することなく使用できるが、好ましくは、エポキシ基1モルに対して、0.01〜5.0当量の範囲で使用する。
また、酸無水物硬化エポキシ樹脂には、必要に応じて硬化促進剤を配合してもよい。代表的な硬化促進剤として、第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩、有機リン化合物等があるが、これに限定されるものではない。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基とエステル基を有するものであればどのようなものでもよく、テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ナフタレンジカルボン酸、無水クロレンド酸、テトラブロモフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、コハク酸、グルタル酸、トリメリット酸無水物などのグリシジルエステル及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物などがある。これらは併用してもよく、エポキシ樹脂以外の成分が含まれていてもよい。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂硬化物に用いられる硬化剤としては、グリシジルエステル型エポキシ樹脂を硬化させるものであれば、限定することなく使用でき、例えば、多官能フェノール類、アミン類、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物およびこれらのハロゲン化物などがある。
多官能フェノール類の例として、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビフェノール類、及びこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体などがある。更に、これらのフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック、レゾールがある。
アミン類の例としては、脂肪族あるいは芳香族の第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩及び脂肪族環状アミン類、グアニジン類、尿素誘導体等がある。
これらの化合物の一例としては、N,N−ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,4,0]−5−ノネン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、ピコリン、ピペリジン、ピロリジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリフェニルアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジシアンジアミド、トリルビグアニド、グアニル尿素、ジメチル尿素等がある。
イミダゾール化合物の例としては、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン、ベンズイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾールなどがある。
酸無水物の例としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等がある。
有機リン化合物としては、有機基を有するリン化合物であれば特に限定せれずに使用でき、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリ(ジクロロプロピル)、リン酸トリ(クロロプロピル)、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、フェニルホスホン酸、トリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、ジフェニルホスフィンなどがある。
これらの硬化剤は、単独、或いは、組み合わせて用いることもできる。
硬化剤の配合量は、エポキシ基の硬化反応を進行させることができれば、特に限定することなく使用できるが、好ましくは、エポキシ基1モルに対して、0.01〜5.0当量の範囲で使用する。
また、必要に応じて第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩、有機リン化合物等に代表される前記の硬化促進剤を配合してもよい。
酸無水物硬化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂硬化物等のエポキシ樹脂硬化物の硬化方法は、硬化反応が進行すればどのような温度でもよいが、一般には室温以上250℃以下の範囲で硬化させることが多い。また硬化の際の雰囲気は大気中でも、不活性気体中でもよく、加圧下、大気圧下、減圧下のいずれでもよい。
強化材としての繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミニウム繊維などの無機繊維および麻、石綿、合成繊維などの有機繊維などがあり、これらのなかでもガラス繊維または炭素繊維が賞用される。繊維はマット状にしたものでもよく、布のように織られたものでもよいが、SMC工法で成形する場合は繊維長を1インチ以下に裁断したものが用いられる。
さらに、以下に示すような充填材を混合して成形してもよい。充填材としては、金属及び金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、窒化物、天然有機物、人工有機物などがある。例えば、ホウ素、アルミニウム、鉄、ケイ素、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、パラジウム、銀、スズ、タングステン、白金、金、鉛、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、シリカ、粘土、ガラス、炭素、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、木材、プラスチック片、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂硬化物などが例示され、これらのなかでも炭酸カルシウムが賞用される。これらの材料の各成分を融合したものでもよく、混合したものでもよい。また、充填材の形状としては、粉末、繊維、ビーズ、箔、フィルム、線、回路などがある。これらの充填材が樹脂硬化物中に含まれている比率は任意であるが、一般的には5〜90重量%の範囲にある。
エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックの硬化方法は、反応が進行すればどのような温度でもよいが、一般には室温から、250℃の範囲で硬化させることが多い。また硬化の際に加圧してもよく、大気圧下でも、減圧下でもよい。樹脂硬化物は必ずしも完全に硬化している必要性はなく、常温では流動しない程度に半硬化させたものでもよい。
エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維、または繊維と充填材を回収する方法としては、特に限定されない。一般的には繊維強化プラスチックを処理液を用いて加熱して解重合し、解重合したプラスチックから繊維、または繊維と充填材を回収する。処理液は、解重合を促進するための触媒と溶媒を構成成分とする。触媒としては、金属化合物を用いるが、なかでもアルカリ金属化合物が好ましく、アルカリ金属塩がさらに好ましく、アルカリ金属リン酸塩であれば特に好ましい。触媒の金属イオンの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、パラジウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、錫、アンモニウムなどのイオンがある。触媒として使用できる化合物としては、上記の金属イオンのフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、水酸化物、アルコラート、フェノラート及びこれらの水和物などがある。これらの塩は、1個の金属と2個の水素を有する第一塩、2個の金属と1個の水素を有する第二塩、3個の金属を有する第三塩のいずれでもよく、酸性塩、アルカリ性塩、中性塩のいずれでもよい。これらの化合物は単独で使用しても、数種類を混合して使用してもよい。また、これらの化合物以外に、どのようなものを併用してもよく、不純物が含まれていてもかまわない。
これらの化合物の中で、溶媒への溶解性を考慮すれば、アルカリ金属とリン酸の塩が好ましいが、水溶性の溶媒を使用する場合には、それらの水和物がさらに好ましい。
溶媒の例としては、アミド系、アルコール系、ケトン系、エーテル系、エステル系、無機系などの溶媒がよく、これらは単独で使用しても、数種類を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒以外に、どのようなものを併用してもよく、不純物が含まれていてもかまわない。
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、カプロラクタム、カルバミド酸エステル等が使用できる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、iso−ペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜400)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコールなどがある。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ホロン、イソホロン等がある。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセタール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等がある。
無機系溶媒としては、水、液体アンモニア、液体二酸化炭素などがある。
これらの溶媒の中では、アルコール系溶媒がリン酸類の塩を溶解しやすく、好ましい。さらに、常圧または減圧の状態で処理する場合には、沸点が170℃以上であることが好ましい。
処理液は、有機溶媒に対し、解重合触媒は0.001重量%以上80重量%以下の任意の濃度で調整することが可能である。0.001重量%未満では樹脂硬化物の分解速度が遅く、80重量%を超える範囲では処理液を調整することは困難である。特に好ましい濃度としては、0.1重量%以上20重量%以下である。また解重合触媒は、必ずしもすべてが溶解する必要はなく、すべては溶解していない飽和溶液においても、溶質は平衡状態にあり、解重合触媒が失活した場合にはそれを補い、特に有効である。また、解重合触媒が水和物でない場合には、有機溶媒に対して水を0.001重量%以上20重量%以下の範囲で添加する必要がある。0.001重量%未満では添加した効果が十分に得られず、20重量%を超える範囲では処理温度を100℃以上に上昇させることが難しくなる。好ましい添加量としては、0.1重量%以上10重量%以下である。水の添加時期は、水分除去前ならいつでもよい。また、解重合触媒が水和物の場合でも上記範囲で水を添加してもよい。
処理液には界面活性剤等を添加して使用してもかまわない。界面活性剤等を添加する場合は、効果が損なわれない範囲で加えることができる。また、界面活性剤として従来公知の商業的に入手可能な界面活性剤を使用することができる。
処理液を用いて樹脂硬化物を処理する条件としては、処理液を溶媒の凝固点以上、沸点以下の任意の温度で使用することができるが、過度な加熱は、繊維や充填材の品質低下、強度変化、形状変化などを起こし再利用を難しくする可能性があるので、250℃以下の温度で処理することが好ましく、同様の理由から200℃以下の温度で処理されることが特に好ましい。
処理方法としては、通常は処理液中に浸漬することによって行い、処理速度を高めたり、超音波により振動を与えたりすることもできる。また、液中に浸さず、スプレー等による噴霧もでき、さらに高圧をかけることもできる。
処理液の使用時並びに保存時の雰囲気は、大気中でも、窒素、アルゴンまたは二酸化炭素等の不活性気体中でもよく、常圧下、減圧下または加圧下のいずれでもよい。安全性や作業の簡便性に優れる点で、常圧下に処理液を使用・保存することが好ましい。
処理液に含まれる水分の除去方法としては、開放系でもよく減圧下でもよい。減圧は、真空ポンプ、アスピレータ等を用いてもよく、それら以外に減圧状態がつくれるどのような装置を用いてもよい。減圧度はどのような値でもよく、減圧時間は、処理中および処理後を含め何時間でもかまわない。水分除去の操作開始は、処理開始と同時に行ってもよく、処理の途中でもよく、処理が終わった後に行ってもよい。これらの水分除去方法は、処理液に水等の無機系溶媒を添加した場合にも適用できる。
エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックを、上記の処理液および処理条件において溶解あるいは分解させ、処理液中の繊維、充填材をろ過やデカンテーションなどにより分離・回収する。回収した繊維は水またはその他の溶媒で洗浄しても良い。用途に応じて、洗浄液や水分を除去しても良い。樹脂のカスや充填材が繊維に付着しているような場合には、超音波洗浄をおこなってもよい。
本発明では、次いで、前記工程で回収された回収繊維をエステル結合含有高分子前駆体とロール混練機で混練する。
(回収繊維をエステル結合含有高分子前駆体とロール混練機で混練する工程)
本発明におけるエステル結合含有高分子前駆体はエステル結合含有高分子プレポリマであり、硬化する前の未硬化のポリマである。かかるエステル結合含有高分子前駆体としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂またはその硬化物、飽和ポリエステル樹脂、酸無水物硬化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂とその硬化物などが挙げられ、詳細は前述したとおりである。これらのなかでも不飽和ポリエステル樹脂並びに酸無水物硬化エポキシ樹脂が賞用される。
本発明において、エステル結合含有高分子前駆体に対する回収繊維の混練量は、エステル結合含有高分子前駆体の種類、回収繊維の繊維長、最終製品の要求性能など応じて適宜選択される。回収繊維の混練量は、5〜300重量%が好ましく、10〜150重量%がより好ましい。回収繊維の混練量が5重量%未満では満足し得る最終製品の強度が得られ難い傾向にあり、逆に80重量%を超えると混練工程、成形工程での作業性が低下する傾向にある。
本発明では、混練工程において充填材を添加し混練することができる。エステル結合含有高分子前駆体に対する充填材の添加量は、エステル結合含有高分子前駆体の種類、充填材の種類、最終製品の要求性能など応じて適宜選択される。充填材の添加量は、0〜600重量%が好ましく、150〜500重量%がより好ましい。600重量%を超えると混練工程、成形工程での作業性が低下する傾向にある。
かかる充填材は、未使用の所謂バージン充填材であっても、エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから回収された回収充填材であってもよい。また、バージン充填材と回収充填材との混合物であってもよいが、充填材総量に対する回収充填材の比率が高くなると、エステル結合含有高分子前駆体に混合した場合、混合物の粘度が上昇し混合が困難になる傾向にあるため、充填材総量に対する回収充填材の含有率は0〜100重量%であることが好ましく、0〜70重量%であることがより好ましい。
回収された繊維は通常、1インチ以下の繊維長であり、繊維同士が絡み合った綿状の状態で得られる。本発明では、回収繊維は繊維同士が絡み合った綿状で、すなわち開繊処理を行わずに混練に供することが出来る。炭素繊維のように導電性を有する繊維の場合は、開繊処理はコストのかかる湿式系で行わねばならないが、本発明では開繊処理を省くことができるのでコストの低減を図ることができる。回収繊維とエステル結合含有高分子前駆体との混練性を高めるためには、混練に先立って、例えば、開繊処理などにより繊維同士の絡み合いを解しておくことが好ましい。開繊処理の方法は特に限定されず、開繊機を用いることにより行われる。
本発明では、回収繊維とエステル結合含有高分子前駆体、または回収繊維及び充填材とエステル結合含有高分子前駆体とをロール混練機により混練するが、ロール混練機に供給する方法としては特に限定されず、例えば、回収繊維とエステル結合含有高分子前駆体、または回収繊維及び充填材とエステル結合含有高分子前駆体とを予備混合して混合物とした後、混合物をロール混練機に供給する方法、回収繊維とエステル結合含有高分子前駆体を、または回収繊維及び充填材とエステル結合含有高分子前駆体とを混合しないで別々に供給する方法などが挙げられる。混練のし易さの点では、予備混合して混合物をロール混練機に供給する方法が好ましい。予備混合する場合、エステル結合含有高分子前駆体に対して、回収繊維は所定量の全量を添加して混合も良いが、混練性を高めるために、回収繊維は所定量の1/2量までを添加して混合し、残分を混練中に混練機のロール間から供給して混練するのが好ましい。残分を供給する際は、混練性を高めるために複数回に分けて行うことが好ましい。また、充填材は予備混合において所定量の全量を添加しても構わない。予備混合の方法は特に限定されず、攪拌装置や混合機を用いて行っても良いが、過度に混合すると回収繊維が切断されてしまうため、回収繊維の表面がエステル結合含有高分子前駆体で濡れていることを目視で確認できる程度の混合で充分である。
本発明で用いる混練機は多軸のロールを有するロール混練機であり、ニ本ロール型混練機が賞用される。また、ロール混練機は手動式と電動式のどちらも用いることができるが、電動式の方が、ロールの回転数やロールの間隙の制御を正確にしやすく、混練を充分に行える点で好ましい。また、ロール混練機はバッチ式と連続式のどちらも用いることができるが、作業の効率化と設備の簡素化から連続式の方が好ましい。ニ本ロール型混練機は一対のロールを具備して構成され、各ロールは相互に逆向きに回転駆動する。
ロールの回転速度は、適宜選択されるが、周速1〜20m/分が好ましく、周速2〜8m/分がより好ましい。回転速度が周速1m/分未満では混練不足の傾向にあり、周速20m/分を越える場合は、回収繊維が破壊される傾向にある。二本のロールの回転速度は同じでも、異なっていても構わないが、回転速度が異なる場合の速度差は周速0〜2m/分の範囲内であることが好ましい。
ロールの温度も適宜選択され、10〜60℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。ロールの温度が10℃未満では回収繊維への樹脂の含浸性に劣る傾向にあり、60℃を越える場合は被混練物の粘度が低下しロールから落下し混練が困難な傾向にある。
二本のロールは互いに近接して配置されていることが好ましく、ロールの間隙は1〜20mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。ロールの間隙が1mm未満の場合は、混練時のせん断力で回収繊維が切断される傾向にあり、20mmを越える場合は、混練が不十分になる傾向にある。
ロールの構造、大きさ、材質などは特に限定されず、ロールの表面も平滑、波型、凹凸型などのいずれであってもよい。
本発明では、回収繊維とエステル結合含有高分子前駆体とを、または回収繊維及び充填材とエステル結合含有高分子前駆体とを、ロール混練機の下向きに回転しているロールの上面またはロールの間隙に供給して混練を行う。混練時間は、被混練成分の種類や配合、ロールの回転速度やロール温度などの混練条件などにより適宜選択されるが、2〜20分が好ましく、5〜10分がより好ましい。混練時間が2分未満では混練が不十分となる傾向にあり、20分を越える場合は回収繊維が切断される傾向にある。
本発明では、溶剤を添加することにより被混練物の粘度を調整し、混練効率や混練性能の高めることができる。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、スチレン、ジアリルフタレートなどが例示され、なかでもアセトンが好ましい。エステル結合含有高分子前駆体に対する溶剤の添加量は、適宜選択されるが、0〜50重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましい。溶剤の添加量が50重量%を越えると被混練物の粘度が低く、充填材の沈降が発生、または、圧縮成形時に繊維強化プラスチック製品の表面にふくれが発生する傾向にある。特に、充填材として回収充填材を多く含む充填材を使用する場合は、被混練物の粘度が上昇する傾向にあるため、溶剤を添加して被混練物の粘度を調整することが好ましい。
本発明では、次いで、前記混練工程で得られた混練物をシート状物に作製する。
(混練物をシート状物に作製する工程)
本工程では、前記混練工程で得られた混練物をシート状物に作製しシートモールディングコンパウンドを得る。シート状物に作製する方法としては、特に限定されず、例えば混練物をロール成形機や押出し機にかけてシート状物に作製する方法、ロール混練機のロールから排出される混練物をベルトコンベアーなどの上に取り出しシート状物に作製する方法、混練物を平板の上に広げてシート状物を作製するなどが挙げられる。
シート状物の厚さは、最終成型品の性能や形状等に応じて適宜選択されるが、0.5〜20mmが好ましく、1〜6mmがより好ましい。
前記工程で得られるシート状物は、そのままでも、二次加工を施してからでも、シートモールディングコンパウンドとして使用することができる。混練物中の回収繊維の繊維長が長かったり、含有量が多い場合は、シート状物の表面に露出する回収繊維の割合が高くなり、シート状物の表面はうねりや波うちが生じ表面平滑性が低下し、最終成型品に良好な表面品質を付与することが難しくなる。最終成型品の性能として良好な表面品質が求められる場合は、二次加工としてシート状物をフィルムで挟んで成形し、表面平滑性を高めることが好ましい。用いられるフィルムは、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの樹脂フィルムが例示され、なかでも成形性や価格が安いという点でポリプロピレン系樹脂製フィルムが好ましい。フィルムの厚さは、特に限定されないが、2×10−6〜50×10−6mが好ましく、10×10−6〜30×10−6mがより好ましい。成形は、シート状物をフィルムに挟んでなる積層体を、例えば押出し機や二本ロール型混練機のロールに1回〜数回程度通すことに行われる。
以上の工程で得られたシートモールディングコンパウンドを金型を用いて圧縮成型して繊維強化プラスチック製品を製造する。
(繊維強化プラスチック製品を製造する工程)
本工程では、まず、圧縮成型操作の前に、シートモールディングコンパウンドをフィルムに挟み、熟成してシートモールディングコンパウンドの粘度を上げてシート状の成形材料を作製する。用いられるフィルムは、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの樹脂フィルム、またはそれらの金属蒸着フィルムが例示され、なかでも成形性や価格が安いという点でポリプロピレン系樹脂製フィルムが好ましい。フィルムの厚さは適宜選択されるが、2×10−6〜50×10−6mが好ましく、10×10−6〜30×10−6mがより好ましい。熟成は、通常20〜60℃で1〜6日間、好ましくは30〜50℃で1〜3日間行われる。熟成によりシートモールディングコンパウンドの粘度は、40℃において5000〜500000Pa・sとなるように増粘されるのが好ましい。なお、前記混練工程で溶媒を用いた場合は、前記シートモールディングコンパウンドをフィルムに挟む前に、加熱して溶媒を揮発しておくことが好ましい。
得られたシート状の成形材料を所定の寸法に裁断し、両面のフィルムを剥離し、金型内に装填し、加熱下に圧縮成型することにより硬化させ、繊維強化プラスチック製品を得る。圧縮成型を行う際の圧力は、通常1〜20MPa、好ましくは5〜15MPaであり、温度は、通常100〜160℃、好ましくは130〜150℃である。
以上の工程により、得られる回収繊維を再利用した繊維強化プラスチック製品は、小型船舶、自動車部品、鉄道車両部品、家具、浴槽、電化製品部品、貯水タンクなど種々の分野への展開が可能である。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
参考例1
以下の手順に従って不飽和ポリエステル樹脂硬化物からなるガラス繊維強化プラスチック成形品を作製した。まず、不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル株式会社製、ポリセットPS−9415)80重量部、スチレンモノマー5重量部、t−ブチルパーベンゾエート(開始剤)1重量部、ステアリン酸亜鉛(離型剤)1重量部を混合して樹脂溶液とした。次に、前記樹脂溶液中に、炭酸カルシウム粉末170重量部、酸化マグネシウム1重量部を混合し、長さ25mmに切断したガラスロービングをガラス含有率25重量%となるように添加し、含浸させてシート状にした。そして温度140℃、圧力10MPaで3分間加熱硬化し、厚さ4mmのガラス繊維強化プラスチック成形品を作製した。
得られた繊維強化プラスチック成形品について、板状試験片(巾10mm×長さ150mm×厚さ4mm)を作製し、引張試験(引張速度5mm/分、チャック間距離50mm)を行ったところ、引張強さ67MPa、引張弾性率4.4GPa、伸び5.6%であった。
実施例1
リン酸三カリウムを、ベンジルアルコールに対し、12重量モル%になるように処理槽内に秤量し、それらを室温で穏やかに撹拌して処理液を得た。そして、前記処理槽内の処理液を190℃まで1時間かけて加温した後、参考例1で得られた繊維強化プラスチック成形品を25cm角に切断して処理液に浸漬し、190℃で15時間保持した。その後、前記処理液中からガラス繊維及び炭酸カルシウム粉末をろ過により分離、回収し、水洗し、それを乾燥させることによりガラス繊維と炭酸カルシウム粉末を回収した。回収されたガラス繊維の繊維長は15mm〜25mmであり、綿状であった。
不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル株式会社製、ポリセットPS−9415)80重量部、スチレンモノマー5重量部、t−ブチルパーベンゾエート(開始剤)1重量部、ステアリン酸亜鉛(離型剤)1重量部を混合して樹脂溶液とした。次に、前記樹脂溶液中に、炭酸カルシウム粉末170重量部、酸化マグネシウム1重量部をポリカップ内で混合し、回収したガラス繊維43重量部を加え、薬さじを使用してガラス繊維の表面が濡れているのが目視で確認できるまで攪拌混合し混合物を得た。
この混合物を二本ロール型混練機(日化設備エンジニアリング株式会社製、R164−600)のロール間に投入し混練を行った。混練開始から2分経過後に、回収したガラス繊維43重量部をさらに追加投入し、5分間混練を行い混練物を得た。混練条件は以下のとおりである。
ロール径:164mm
ロールの回転速度:周速5m/分
ロールの温度:35℃
ロールの間隙:2.0mm
次いで、混練物を厚さ30×10-6mのポリプロピレンフィルム(サン・トックス株式会社社製、サントックス CP−SS)で挟み積層体とし、該積層体を二本ロール型混練機のロールに数回通過させ厚さ3mmのシート状に成形しシートモールディングコンパウンドを得た。
得られたシートモールディングコンパウンドをアルミ蒸着ポリプロピレン製フィルムに包み、40℃で18時間加熱を行い熟成させた後、所定の寸法に裁断し、両面のフィルムを剥離し、金型を用いて圧縮成型し繊維強化プスチック製品(幅224mm×長さ224mm×厚さ3mm)を得た。圧縮成型の条件は以下のとおりである。
圧縮成型機:丸七鉄工所製、50トンプレス成型機
金型:平板金型(幅224mm×長さ224mm×厚さ3mm)
金型温度:上側の金型温度147℃、下側の金型温度142℃
成型時間:3分
圧力:10MPa
シートモールディングコンパウンドのチャージ量:290g
シートモールディングコンパウンドのチャージパターン:190mm×190mmを2枚(塗工方向を交差して重ねる)
得られた繊維強化プラスチック成形品について、板状試験片(巾10mm×長さ150mm×厚さ4mm)を作製し、引張試験(引張速度5mm/分、チャック間距離50mm)を行ったところ、引張強さ45MPa、引張弾性率4.7GPa、伸び3.0%であった。
実施例2
実施例1と同様の方法で、ガラス繊維と炭酸カルシウム粉末を回収した。
不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル株式会社製、ポリセットPS−9415)80重量部、スチレンモノマー5重量部、t−ブチルパーベンゾエート(開始剤)1重量部、ステアリン酸亜鉛(離型剤)1重量部を混合して樹脂溶液とした。次に、前記樹脂溶液中に、回収した炭酸カルシウム粉末170重量部を加え、酸化マグネシウム1重量部、アセトン10重量部をポリカップ内で混合し、回収したガラス繊維86重量部を加え、薬さじを使用してガラス繊維の表面が濡れているのが目視で確認できるまで攪拌混合し混合物を得た。
この混合物を二本ロール型混練機のロール間に投入し5分間混練を行い混練物を得た。混練条件は実施例1と同様である。
次いで、実施例1と同様にシートモールディングコンパウンドを得、実施例1と同様に成形した。
得られた繊維強化プラスチック成形品について実施例1と同条件で引張試験を行った結果、引張強さ55MPa、引張弾性率4.7GPa、伸び3.2%であった。
実施例3
実施例1と同様の方法で、ガラス繊維を回収した。
実施例2において樹脂溶液中に加えた回収した炭酸カルシウム粉末を加えないこと以外は、実施例2と同様にして混合物を得た。それを用いて、実施例1と同様に混練して混練物を得た後、成形品を作製し、引張試験を行った結果、引張強さ25MPa、引張弾性率2.8GPa、伸び1.2%であった。
参考例2
以下の手順にしたがって、酸無水物硬化エポキシ樹脂からなる炭素繊維強化プラスチック成形品を作製した。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180)100重量部、メチルテトラヒドロ無水フタル酸100重量部、2−メチルイミダゾール1重量部を混合した後、25mmに切断した新品の炭素繊維(繊維径10μm)100重量部を加え、さらに混合した。これを、たて100mm×よこ100mm×深さ3mmのテフロン(登録商標)製の型に入れ、室温で1時間放置した後、100℃で1時間、125℃で1時間、150℃で1時間、175℃で1時間、200℃で1時間の条件で順次加熱して、炭素繊維強化プラスチック成形品を得た。
得られた繊維強化プラスチック成形品について、板状試験片(巾10mm×長さ150mm×厚さ4mm)を作製し、引張試験(引張速度5mm/分、チャック間距離50mm)を行った結果、引張強さ114MPa、引張弾性率8.3GPa、伸び3.9%であった。
実施例4
実施例1と同様に、参考例2で得た成形品を溶解処理して、炭素繊維を回収した。回収された炭素繊維の繊維長は15mm〜25mmであり、綿状であった。
実施例2において樹脂溶液に加えた回収したガラス繊維86重量部に代えて、回収した炭素繊維60重量部を加えて、実施例2と同様にして混合物を得た。それを用いて、実施例1と同様に混練して混練物を得た後、成形品を作製し、引張試験を行った結果、引張強さ96MPa、引張弾性率6.5GPa、伸び2.6%であった。
実施例5
実施例4と同様に、炭素繊維を回収した。
実施例4において樹脂溶液中に加えた回収した炭酸カルシウム粉末を加えない以外は、実施例4と同様にして混合物を得た。それを用いて、実施例1と同様に混練して混練物を得た後、成形品を作製し、引張試験を行った結果、引張強さ72MPa、引張弾性率4.1GPa、伸び2.8%であった。
実施例6
実施例4と同様に、炭素繊維を回収した。
参考例2において加えた25mmに切断した新品の炭素繊維(繊維径10μm)100gの代わりに、回収した炭素繊維100gを加えて、実施例1と同様に混練して混練物を得た後、加熱加圧成形して成形品を得た。実施例1と同様に試験片を作製して引張試験を行った結果、引張強さ79MPa、引張弾性率4.5GPa、伸び3.3%であった。
新品の繊維を使用した参考例1並びに参考例2と比較して、回収材を使用した実施例1〜実施例6は引張強さの若干の低下は見られるものの、実用上問題のない値を示している。この発明によって、繊維強化プラスチック製品から回収された繊維は低コストで繊維強化プラスチック製品に再利用することが可能になる。

Claims (12)

  1. アルカリ金属化合物及びその塩から選択される解重合触媒を用いて、エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維を回収する工程、
    前記工程で回収された回収繊維をエステル結合含有高分子前駆体と、開繊処理を行うことなくロール混練機で混練する工程、及び
    前記工程で得られた混練物をシート状物に作製する工程
    を有するシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  2. 前記エステル結合を有する高分子化合物が不飽和ポリエステル樹脂である請求項1記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  3. 前記エステル結合を有する高分子化合物が酸無水物硬化エポキシ樹脂である請求項1記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  4. 前記繊維は、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  5. エステル結合を有する高分子化合物を含む繊維強化プラスチックから繊維を回収する工程で使用される解重合触媒がアルカリ金属リン酸塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  6. 前記繊維は、炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  7. 前記エステル結合含有高分子前駆体が不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  8. 前記エステル結合含有高分子前駆体が酸無水物硬化エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  9. 前記ロール混練機が、ニ本ロール型混練機であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  10. 前記混練する工程において充填材を添加することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  11. 前記シート状物に作製する工程に続き、
    得られたシート状物をフィルムで挟んで成形する工程をさらに有する
    請求項1〜10のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンドの製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法で得られたシートモールディングコンパウンドを金型を用いて圧縮成型することを特徴とする繊維強化プラスチック製品の製造方法。
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