JP4601740B2 - 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強度および耐熱性に優れ、工業材料に広く利用されている熱硬化性組成物を結合剤として用いた製品の分解処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂は、無機物質などの充填材や添加剤の配合、繊維による強化が容易なことから、成形材料、積層板、接着剤および塗料などに応用されている。
この熱硬化性樹脂は、硬化反応により架橋して三次元化し、一般的には不溶不融の固体となる。このため、熱硬化性樹脂硬化物の分解処理は困難であり、再生処理および再使用には不適なものとして廃棄されていた。
【0003】
ところが、近年廃棄物問題が注目されるにつれて、熱硬化性樹脂硬化物の再利用および再資源化のための技術開発が必要とされ、熱分解による原料化などが検討され始めた。例えば、繊維強化不飽和ポリエステル樹脂などは、漁船、タンクおよび住宅用機材などの大型製品の製造に多用されているため、廃棄物問題は深刻である。
しかし、熱硬化性樹脂硬化物の硬さ、強度、耐熱性、難燃性および耐薬品性などの利点が、廃棄物処理を技術的な面から困難なものにしているという問題があった。
【0004】
また、熱硬化性樹脂は、その強度的な大きさなどから構造材として使われることが多いが、さらに金属などの材料を包含している場合も多々見受けられる。この金属などは、熱硬化性樹脂よりも高価であるため、その再生および再利用の重要性が大きいといえる。
しかし、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂などを結合材とする銅張積層板およびICモールドは、小型であるにも関わらず、紙、繊維などの他、銅、金および銀などの貴金属を含んでいる。すなわち、熱硬化性樹脂の分解処理とともに金属の分離が求められているのである。
これに対し、従来の処理方法ではこのような金属製の構成要素の再利用および再資源化も不十分であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような事実に鑑み、本発明は、従来から不十分であった熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の再利用および再資源化を図るものである。
具体的には、本発明は、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品から、熱硬化性樹脂およびその他の構成要素を再利用および再資源化するために、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の簡易な分解処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)熱硬化性樹脂硬化物を含む製品を、分解槽内において、熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤を含む分解液に接触させる工程、(a')工程(a)の後に、前記分解槽を密閉し、前記分解槽内の気体を排気することによって減圧する工程、および(b)排気処理を停止した後、前記分解液を、250℃以上でかつ前記溶剤の臨界温度未満の温度に加熱する工程を含み、前記熱硬化性樹脂硬化物が、エポキシ樹脂硬化物またはフェノール樹脂硬化物であり、工程(a)における前記溶剤として、エチレングリコールまたはプロピレングリコールを用いる熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法である。
この場合、前記分解液を気化させてから前記製品に接触させてもよい。
また、工程(a)における前記溶剤としては、加溶媒分解により前記熱硬化性樹脂硬化物を分解するものがあげられる。
【0007】
加溶媒分解により前記熱硬化性樹脂硬化物を分解する溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種があげられる。
【0008】
ここで、工程(a)における前記分解液は酸化カルシウムを含むのが好ましく、この場合の含有量は前記分解液中の溶剤100重量部に対して10重量部以下であるのが好ましい。
また、このとき、前記方法は、工程(a)において得た溶液に二酸化炭素を加えて酸化カルシウムを中和する工程を含むのが好ましい。
【0009】
さらに、工程(a)における前記分解液は、酸化防止剤または還元剤を含むのが好ましい。
このような酸化防止剤または還元剤としては、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜リン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムおよびアスコルビン酸よりなる群から選択される少なくとも1種があげられる。
【0010】
熱硬化性樹脂硬化物としては、不飽和ポリエステル樹脂硬化物、エポキシ樹脂硬化物、フェノール樹脂硬化物、ポリウレタン樹脂硬化物およびアミノ樹脂硬化物などがあげられるが、工程(a)における熱硬化性樹脂硬化物は、エポキシ樹脂硬化物またはフェノール樹脂硬化物である。
【0011】
一方、工程(a)における前記製品としては、金属部材を含むモールドモータまたはモールドトランスがあげられる。また、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維もしくはアラミド繊維からなる織布または不織布、マイカペーパおよびリンター紙などの紙、綿布およびアスベストよりなる群から選択される少なくとも1種の基材に、熱硬化性樹脂を含浸してなるプリプレグを積層成形してなる樹脂積層品があげられる。
さらに、このような樹脂積層品としては、導体パターンを形成し、電子部品を装着したプリント基板がある。
【0012】
ここで、前記方法は、工程(b)の後、(c)加熱された熱硬化性樹脂硬化物および分解液を含む混合物を固液分離する工程、(d)分離した固形分を溶解して溶液を得る工程、ならびに(e)ついで前記溶液から残留固形分を分離する工程を含むのが好ましい。
このとき、工程(d)においては、アセトン、アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、水、エタノール、メタノールからなる群より選択される少なくとも1種により、分離した固形分を溶解することができる。
【0013】
熱硬化性樹脂硬化物を含む製品は、前記熱硬化性樹脂硬化物を含む製品と熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤を含む分解液とを収容し、250℃以上でかつ前記溶剤の臨界温度未満の温度に加熱する手段を備えた分解槽、前記分解槽において得られる混合物を固液分離する固液分離槽、ならびに前記固液分離槽において分離した固形分を溶解分離する溶解分離槽を含む分解処理装置により分解処理することができる。
【0014】
この分解処理装置は、さらに、前記熱硬化性樹脂硬化物を含む製品と、熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤を含む分解液とを供給する供給手段、供給された前記製品および分解液を混合して連続的に押し出す押出手段、ならびに押出手段内の前記製品および分解液を加熱する手段を含むのが好ましい。
また、前記押出手段は、前記製品および分解液にせん断応力を加え得るものであるのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、(a)熱硬化性樹脂硬化物を含む製品を、分解槽内において、熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤を含む分解液に接触させる工程、(a')工程(a)の後に、前記分解槽を密閉し、前記分解槽内の気体を排気することによって減圧する工程、および(b)排気処理を停止した後、前記分解液を、250℃以上、前記溶剤の臨界温度未満の温度に加熱する工程を含む熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法である。
【0016】
まず、本発明の分解処理方法の対象である熱硬化性樹脂硬化物を含む製品について説明する。
本発明の分解処理方法に供される熱硬化性樹脂硬化物を含む製品は、熱硬化性樹脂を結合材としている。すなわち、熱硬化性樹脂を充填材、基材および添加物などと複合化し、熱硬化性樹脂の硬化反応により硬化したものである。
【0017】
このような熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などがあげられるが、本発明は、エポキシ樹脂硬化物またはフェノール樹脂硬化物の分解処理に有効である。これらの熱硬化性樹脂の製造方法および条件には特に制限はない。例えば、モノマー成分の重合比なども任意である。
なお、エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、グリシジルエーテル型などがあげられる。
また、不飽和ポリエステル樹脂としては、無水マレイン酸およびアジピン酸などの二塩基酸、エチレングリコールなどの二価アルコール、ならびにスチレン、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシエチルなどのビニルモノマーとから、常法により得られるものである。
【0018】
不飽和ポリエステル樹脂のなかでも、少なくとも不飽和ポリエステルと、低収縮剤と、スチレン、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシエチルからなる群より選択される少なくとも1種の付加重合性モノマーとを含むものが好ましい。
なお、この場合、もちろん不飽和ポリエステルおよび低収縮剤の濃度および混合比率は特に限定されない。
【0019】
不飽和ポリエステル樹脂を結合材として用いる製品の例としては、充填材、増粘剤、離型剤、ワックス、着色剤などを加えたBMC(bulk Molding Compound)、SMC(Sheet Molding Compound)などの成形品、ガラスなどのフレークや繊維などを加えたライニング材、ワックスなどを加えた塗料、充填材などを加えたパテ、骨材、充填材などを加えたレジンコンクリート、充填材、顔料などを加えた人工大理石、発泡剤などを加えた発泡体、硬化促進剤、安定剤などを加えた接着剤などがあげられる。
また、熱硬化性樹脂はバルク状の成形材料として用いられていてもよく、シート状のSMC、または粒状のPMC(Pelletized type Molding Compound)であってもよい。
【0020】
以上の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の充填材、骨材としては、無機材料と有機材料がある。
無機材料としては、例えば炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムおよび亜硫酸カルシウムなどの(亜)硫酸塩、クレー、マイカ、ガラスバルーン、モンモリロナイト、ケイ酸、カオリンおよびタルクなどのケイ酸塩類、シリカ、珪燥土、酸化鉄、軽石バルーン、酸化チタンおよびアルミナなどの酸化物、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどの水酸化物などがあげられる。また、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などもあげられる。
一方、有機材料としては、例えば木粉、もみ殻、木綿、紙細片、ポリアミド(ナイロン)繊維、ポリエチレン繊維、木材、パルプ、セルロースなどがあげられる。
【0021】
増粘剤としては、例えば酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、安息香酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸および無水マレイン酸などがあげられる。
また、離型剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウムなどがあげられる。
ワックスとしては、例えばヘキストワックス、カルナバワックスおよびパラフィンなどがあげられる。
着色剤としては、例えばチタンホワイト、酸化クロムおよびカーボンブラックなどがあげられる。
【0022】
ユリア樹脂、メラミン樹脂を結合材として用いた製品としても、不飽和ポリエステル樹脂と同様の充填材、基材、添加物などが加えられた成型品、接着剤、塗料などがあげられる。
また、ポリウレタン樹脂を結合材とする場合も、不飽和ポリエステル樹脂と同様の添加物などが加えられた発泡体、塗料、接着剤などがあげられる。
また、フェノール樹脂を結合材とする製品の例としては、上記不飽和ポリエステル樹脂を結合材とする樹脂硬化物と同様の製品以外に、ガラス繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維もしくはポリエステル繊維の織布または不織布、綿布、アスベストなどを基材とし、それにレゾール型フェノール樹脂を含浸させて得られたプリプレグを積層成形した樹脂積層品などがあげられる。
この樹脂積層品は、さらに接着剤を塗布した銅箔を乗せて積層成形すれば銅張積層板となる。また、導体パターンを形成し、電子部品を装着したプリント回路板であってもよい。
例えば前記製品が、銅張積層板から回路印刷、エッチングなどの工程を経て製造されたプリント配線板であってもよい。この場合、本発明の分解処理方法により、レジストも同様に分解される。
【0023】
エポキシ樹脂を結合材とする製品も、不飽和ポリエステル樹脂と同様の例以外にフェノールの場合と同様に、ガラス繊維、ポリエステル繊維もしくはアラミド繊維の織布または不織布、マイカペーパおよびリンター紙などの紙などを基材とし、それにエポキシ樹脂を含浸させて得られたプリプレグを積層成形した樹脂積層品などがあげられる。この場合も、接着剤を塗布した銅箔を乗せて積層成形すれば銅張積層板となる。
その他、銅および鉄からなる巻線および芯材などの金属部材を含むモールドモータまたはモールドトランスも本発明の方法の対象となる。
【0024】
本発明の分解処理の対象となる製品としては、例えば浴槽、便槽、貯水槽および洗面台などの建設資材、椅子、机および家具などの家庭用品、タイル、人工大理石およびパイプなどの土木資材、船舶、自動車、鉄道および航空機などの輸送機器のボディや部品、住宅機器、化粧板ならびに装飾品などがあげられる。
また、これらの製品における熱硬化性樹脂の形態および形状などにも制限はなく、塗料、パテおよび接着剤などとして用いられていてもよい。
なお、本発明の分解処理方法の対象となる製品は、例えば圧縮成形、トランスファー成形または射出成形などの従来公知の硬化成形方法により製造することができる。
【0025】
以下、本発明について、理解の容易のため、各工程に沿って説明する。
まず、工程(a)において、前述した本発明の分解処理の対象となる熱硬化性樹脂硬化物を含む製品を、分解槽内において、熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤を含む分解液に接触させる。
【0026】
前記分解液は、主として熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤からなる。
すなわち、本発明者らは、鋭意検討の結果、所定の温度に加熱した前記溶剤を熱硬化性樹脂硬化物に接触させれば、熱硬化性樹脂熱硬化物の主鎖および/または架橋鎖が切断され得ることを見出し、本発明を完成したのである。
熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤としては、加溶媒分解により前記主鎖および/または架橋鎖を切断するものがあげられる。
【0027】
ここで、加溶媒分解とは、溶剤分子が熱硬化性樹脂硬化物の主鎖および/または架橋鎖を切断し、かつ熱硬化性樹脂鎖の切断部分に結合することをいい、加水分解に準ずる意義をもつ。
【0028】
加溶媒分解により前記熱硬化性樹脂硬化物を分解する溶剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種があげられる。
これらのなかでも、加溶媒分解能、入手の容易性および低コストという点から、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。
【0030】
また、前記分解液は、前記溶剤の他に、溶剤および前記製品が含有する金属などの酸化劣化をより確実に防ぐために、酸化防止剤または還元剤を含むのが好ましい。
このような酸化防止剤または還元剤としては、前記溶剤に対する溶解性が良好であり、前記溶剤および金属の酸化(劣化)を防止する防止の効果が高いという理由から、例えばヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜リン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムおよびアスコルビン酸よりなる群から選択される少なくとも1種があげられる。
【0031】
また、これらのなかでも、酸化防止能に優れるという点から、ヒドロキノン、メトキノンが好ましい。
これら酸化防止剤または還元剤は、酸化防止機能および還元機能を発揮するという点から、前記分解液中の溶剤100重量部に対して0.2〜10重量部であればよいが、さらに、分解液の溶解安定性という点から、1〜5重量部であるのが好ましい。
【0032】
ところで、前記分解液中の溶剤が、加溶媒分解により熱硬化性樹脂硬化物の主鎖および/または架橋鎖を分解する溶剤である場合は、前記分解液に酸化カルシウムを添加するのが好ましい。
この場合、酸化カルシウムは、前記溶剤が熱硬化性樹脂の主鎖および/または架橋鎖を切断する際に、熱硬化性樹脂が有するエステルおよびエーテルなどの結合の加溶媒を促進する触媒として作用する。
酸化カルシウムは、各分解反応を効率よく加速し、再利用する熱硬化性樹脂の不純物とならないように、前記溶剤100重量部に対して10重量部以下添加すればよい。また、分解液への溶解性や後述する工程(f)での中和処理のし易さという点から、0.5〜5重量部添加するのが好ましい。
【0033】
なお、酸化カルシウムを添加した場合は、再利用する熱硬化性樹脂および金属などの品質を考慮し、後述する工程(f)において、分解液に二酸化炭素を加えて酸化カルシウムを中和することが好ましい。
【0034】
なお、分解槽については、従来公知のものを用いればよい。
また、工程(a)において、前記分解槽内の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品は、前記溶剤を含む分解液に接触していればよい。効率のよい分解処理を可能とするという点からは、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品全体を前記溶剤を含む分解液に浸漬させるのが好ましい。
【0035】
つぎに、工程(b)において、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品と接触している分解液を、250℃以上でかつ前記溶剤の臨界温度未満の温度に加熱する。これは、大きな分解反応速度を得るためである。なかでも、分解液の温度は高温であるほうが好ましいが、250℃以上であれば反応速度は大いに加速される。
ただし、温度が高すぎると、圧力が高くなりすぎて分解槽に高耐圧性が必要となること、分解によって発生するガス量が多くなってその回収が困難になること、および分解液中の溶剤自体の分解も起こりうることから、分解液の温度は前記溶剤の臨界温度未満であるのが好ましい。例えば、プロピレングリコールの場合、臨界温度は351℃である。
【0036】
なお、前記分解液を前記製品に接触させる前に加熱して気化し、気化した分解液を前記製品に接触させてもよい。
【0037】
ここで、前記溶剤は、高温での安定性が高く、また自らの分解により酸素を発生させることや、樹脂硬化物が含有する金属類などの酸化を誘発することがまれであるので、酸素排除などの前処理工程を必ずしも必要としない。しかし、樹脂硬化物に含有される金属などのわずかな酸化が問題となる場合や、分解液の寿命をより長くするためには、酸素排除などの前処理工程を設けることもが望ましい。
そこで、本発明では、工程(a)の後、工程(b)の前において、工程(a')として、前記分解槽内の酸素を排除する。
【0038】
この工程は、減圧して分解槽内の気体を排気することによって行う。減圧するには、例えば前記製品および分解液を仕込んだ分解槽に排気バルブを設け、真空ポンプを配管して行えばよい。このときの減圧の程度はできるだけ真空に近いほうが良い。好ましくは10mmHg以下である。
さらに、分解液を攪拌したり、適度に加温したりすることによって酸素排除の効率を上げることができる。
【0039】
好ましくは、例えば前記分解槽内の気体をチッ素ガスで置換し、ついでチッ素ガスを排気して前記分解槽内を減圧するのがよい。
このように、酸素排除の前処理の後に分解処理を行うことにより、高温反応処理時の主な分解液劣化原因である酸化を防ぎ、分解液の寿命を延ばし、繰り返し使用性を向上させる。さらに前記製品に含まれる金属類などの酸化劣化なども防止し、分離回収される材料の品質も向上させることができる。
【0040】
また、本発明の方法は、前記工程(b)の後、加熱された熱硬化性樹脂硬化物および分解液を含む混合物を固液分離する工程(c)、分離した固形分を溶解して溶液を得る工程(d)、ついで前記溶液から残留固形分を分離する工程(e)を含むのが好ましい。
【0041】
工程(c)においては、加熱された熱硬化性樹脂硬化物および分解液を含む混合物について、前記製品が有する金属部品、無機充填剤、熱硬化性樹脂分解物のうちの分解液不溶物などの固形物と、分解液に可溶な熱硬化性樹脂硬化物分解物を含む溶剤(分解液)などの液状物とを固液分離する。
【0042】
そして、工程(d)において、分離した固形物(熱硬化性樹脂分解物、例えばエポキシ樹脂の場合はビスフェノールA−エピクロロヒドリン樹脂など)を溶解して溶液を得る。ここでは、アセトン、アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、水、エタノール、メタノールからなる群より選択される少なくとも1種により、分離した固形物を溶解することができる。
ついで工程(e)において、前記溶液から金属部品、無機充填剤、ガラス繊維などの基材などの残留固形分を分離する。
【0043】
このように、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品を前記溶剤を含む分解液に接触させることによって、熱硬化性樹脂硬化物の主鎖および/または三次元架橋鎖を切断することができる。熱硬化性樹脂硬化物が分解されることによって熱硬化性樹脂の結合材としての機能は低下して崩壊する。すなわち、熱硬化性樹脂硬化物は、硬化により束縛していた充填材、基材、添加剤などを保持できなくなり、熱硬化性樹脂成分と、その他の成分との分離が容易となる。熱硬化性樹脂成分そのものも分解されるために、モノマーとして回収できる。その場合、各成分は分解液への溶解性などにより、固形分、オイルまたは溶液中の溶質として得られる。
本発明の樹脂硬化物の分解処理方法により、これまで分解処理が困難であった、熱硬化性樹脂を結合材とする製品を容易に分解することができる。さらに分解後、樹脂成分、充填材、基材、添加剤およびこれらの構成成分を得ることができる。
【0044】
つぎに、本発明は、前述した熱硬化性樹脂硬化物の分解処理方法に用いることのできる分解処理装置にも関する。
熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理装置は、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品と熱硬化性樹脂硬化物の主鎖および/または架橋鎖を切断し得る溶剤を含む分解液とを収容し、250℃以上でかつ前記溶剤の臨界温度未満の温度に加熱する手段を備えた分解槽、前記分解槽において得られる混合物を固液分離する固液分離槽、ならびに前記固液分離槽において分離した固形分を溶解分離する溶解分離槽からなる。
【0045】
さらに、前記熱硬化性樹脂硬化物を含む製品と、熱硬化性樹脂硬化物の主鎖および/または架橋鎖を切断し得る溶剤を含む分解液とを供給する供給手段、供給された前記製品および溶剤を混合して連続的に押し出す押出手段、ならびに押出装置内の前記製品および溶剤を加熱する手段を含むのが好ましい。
特に、分解処理の効率を向上させるという点から、前記押出手段は、前記製品および溶剤にせん断応力を加え得るものであるのが好ましい。
さらに、押出手段は分解槽を兼ねていてもよい。
【0046】
また、押出機能を有する分解槽においては、加熱によって発生するガス成分によって、前記製品と分解液との混合物を押し出すのが困難になることが想定される。そこで、分解槽にガス抜き部を設けるのも好ましい。また、ガス抜き部に凝縮器を設置してガス分を回収することもできる。
【0047】
具体的に、本発明の分解処理装置は、前記製品と溶剤を含む分解液とを供給した後、両者を加熱しながら混練、押出しするものである。すなわち、熱硬化性樹脂を結合材とする製品の分解処理を連続的に行うことが可能である。
本装置における加熱の温度は、前述した本発明の分解処理方法と同様に250℃以上かつ臨界温度未満であることが望ましい。
【0048】
押し出しは、単軸や2軸のスクリューの回転またはポンプによる移送などで行うことができる。特に、押し出しを単軸または2軸のスクリュー回転で行う場合は、押し出しの効率が良いことや、せん断力をかけながら前記製品と分解液を混合攪拌することによる分解反応の効率化が期待できる。
さらに、スクリュー回転軸に複数枚の円板をスクリューと垂直に取り付けることなどによって、樹脂硬化物および分解液の混合物にスクリュー回転で押し出しながら、円板の間隙を通すことでせん断力をさらに加えることができ、反応効率を上げることができる。前記製品と分解液の押し出しの圧力、速さ、距離などは、分解反応に要する時間によって決定することができる。
したがって、インライン式射出成形機などを用いることができる。
【0049】
加熱および押し出し中の前記製品と分解液の混練物へ、さらに追加の分解液を供給する手段を設けることによって、分解液を補い足し、分解反応を効率化することができる。
本装置へ投入する前記製品は、分解液による反応を効率化するために、表面積が大きいほうが望ましく、例えば本装置への投入の前工程として粉砕手段を有することが好ましい。
【0050】
また、分解処理装置は、前記製品を前記溶剤を含む分解液に接触させ、250℃以上臨界温度未満の範囲で加温した後に、まず分解液から不溶成分を分離する(固液分離)。そして、この固液分離された不溶成分を、さらに可溶分と不溶分に溶解分離する。
この装置により、樹脂硬化物の分解および分解後樹脂硬化物の成分分離が可能となる。樹脂硬化物は分解液への浸漬により、熱硬化性樹脂の主鎖および/または3次元架橋鎖が分解される。熱硬化性樹脂が分解されることによって熱硬化性樹脂の結合材としての機能は低下し、樹脂硬化物は崩壊する。そして樹脂硬化物は、結合材である熱硬化性樹脂の硬化によって束縛していた充填材、基材、添加剤などを保持できなくなる。
【0051】
そこで固液分離により不溶分を分離することで、大部分の充填材、基材、添加剤、および結合材などの分解された成分のうち分解液に可溶な成分以外を回収することができる。ついでこの不溶分を、さらに溶解分離することによって熱硬化性樹脂である結合材の構成成分、それ以外の充填材、基材、添加材などの各成分に分離し、再利用をすることが可能となる。
【0052】
固液分離手段としては、フィルターなどによる濾過や遠心分離などを用いることができる。遠心分離には、例えば円筒型、分離板型およびデカンタ型などの遠心分離装置を用いることができる。
【0053】
また、固形分の溶解分離には、アセトン、アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、水、エタノール、メタノールからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤を用いることができる。
【0054】
これらは結合材である熱硬化性樹脂に対して高い溶解性を示す。
さらに、反応性を向上させるために、分解液に酸化カルシウムを加えた場合、反応によって消費されなかった酸化カルシウムは、前述のように、二酸化炭素によって中和することができる。
例えば、不溶分を溶剤に投入し、攪拌しながら二酸化炭素を吹き込むことによって、酸化カルシウムを炭酸カルシウムとして容易に中和することができる。生成する炭酸カルシウムは、溶解分離後に無機の充填材として再利用が可能である。中和には、少なくとも二酸化炭素が存在すればよく、二酸化炭素を含む気体、空気やボイラーなどからの排気ガスの吹き込みであってもよく、またドライアイスを直接投入してもよい。
【0055】
本発明の分解処理方法において、分解反応によって生成する成分のうち、分解液に可溶な成分は抽出などの工程によって分離し、溶剤を再び分解液として再利用することもできる。
また、ポリエステル樹脂繊維などを基材、充填材に用いた場合は、本発明の分解処理方法によって熱硬化性樹脂と共に分解されるため、前記製品の分解性は高くなる。この場合、上記の分解処理装置によって分解成分をも分離回収することができ、再び原料などとして再利用することができる。
【0056】
以下に、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0057】
【実施例】
《参考例1〜3ならびに比較例1および2》
無水フタル酸、無水フマル酸およびプロピレングリコールからなる不飽和アルキド65重量部にスチレン35重量部を混合した。ついで、重合禁止剤メトキシヒドロキノンを0.01重量部加えて、室温で攪拌溶解させ、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
一方、室温においてポリジプロピレンアジペート36重量部をメタクリル酸2−ヒドロキシエチル64重量部に混合し、攪拌溶解させて低収縮化剤を得た。
【0058】
上記不飽和ポリエステル樹脂74重量部に、低収縮化剤26重量部、および重合開始剤1,1−(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを1重量部加え、攪拌混合して液状の樹脂組成物を得た。
つぎに、充填剤である炭酸カルシウム17.8重量部、水酸化アルミニウム48.5重量部、離型剤であるステアリン酸亜鉛1.5重量部、および着色剤である炭素粉末0.4重量部をニーダに移し、約5分間乾式混合を行った。
均一に混ざったこの乾式混合物を得て、先に調製した樹脂組成物22重量部を徐々に加えて混練し、均一なペースト状の混合物を得た。
そして、このペースト状混合物に、9.8重量部のガラス繊維をまんべんなく分散させながら、極力短時間で添加し、ガラス繊維が濡れて均一に分散したところで混練を終了し、熱硬化性樹脂を結合材とする成形材料を得た。
【0059】
こうして得られた成形材料は、通常BMCと呼ばれるバルク状の成形材料の1種であり、溶媒を含むにも関わらず非粘着性を有する。
この成形材料を金型温度150℃、35kgf/cm2の圧力で圧縮成形を行い、直径20mmの円柱状の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品を得た。
【0060】
つぎに、この製品をプロピレングリコールのみからなる分解液に浸漬し、150℃(比較例1)、200℃(比較例2)、250℃(参考例1)、300℃(参考例2)または350℃(参考例3)で5時間浸漬し、本発明の分解処理方法を実施した。
なお、この際、分解液が浸透する速度および分解処理後の熱硬化性樹脂硬化物部分の表面硬度を測定した。なお、硬度の測定は、ゴム硬度計を用いて行った。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1からわかるように、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品をプロピレングリコールからなる分解液で250〜350℃で処理した場合、分解液は熱硬化性樹脂硬化物の内部まで浸透し、またゴム硬度計では測定できないまでに硬度は低下した。すなわち、硬化した不飽和ポリエステル樹脂が化学的に分解されるために、前記製品がその構造を維持できず崩壊したことが認められた。
以上のように、硬化した不飽和ポリエステル樹脂を結合材として含む製品を、プロピレングリコールからなる分解液によって、速やかに分解処理することができる。
【0063】
また、比較例である150および200℃での処理に比べて、250〜350℃での処理では、分解液の浸透速度が大きく、硬度の低下も著しい。
比較例である150または200℃での分解処理では、熱硬化性樹脂硬化物への分解液の浸透が遅く、硬度の低下はほとんど認められない。すなわち、250℃以上の処理では、分解液により熱硬化性樹脂硬化物は崩壊しているのに対して、250℃に満たない温度ではその崩壊効果が小さい。
【0064】
本参考例では、バルク状の成形材料について説明したが、前述のように、シート状のSMCや、粒状のPMC(Petletized type Molding Compound)であってもよい。このことは後述するすべての参考例および実施例にも当てはまることである。
【0065】
《参考例4》
本参考例では、モールドモータを分解処理した。
まず、参考例1で調製した成形材料を用いてモールドモータを作製した。すなわち、電磁巻線を施した電磁積層鋼鈑を金型内にセットし、成形温度150℃で、前記成形材料の射出成形を行い、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品としてモールドモータを得た。このモールドモータにおける成形部分の厚みは最大で10mmであった。
つぎに、このモールドモータを、酸化カルシウムを加えたエチレングリコールからなる分解液に300℃で浸漬した。この分解液の酸化カルシウム含量は、エチレングリコール100重量部に対し1重量部とした。5時間浸漬後に、モールドモータを分解液から取り出したところ、モールドモータにおける熱硬化性樹脂硬化物部分は、崩壊状態にあり、簡単に剥離することができた。すなわち、モールドモータから電磁巻線や電磁積層鋼鈑の電磁部材を容易に分離回収することができた。
【0066】
《参考例5〜7および比較例3》
参考例4で用いたモールドモータを、エチレングリコール100重量部に対して酸化カルシウムを0.5重量部(参考例5)、5重量部(参考例6)、10重量部(参考例7)および15重量部(比較例3)添加して調製した4種類の分解液に浸漬し、300℃で5時間加熱した。
その結果、酸化カルシウムの添加量が10重量部以下の場合は、モールドモータから電磁巻線や電磁積層鋼鈑の電磁部材を容易に分離回収することができた。また、酸化カルシウムは、剥離された樹脂硬化部分の再利用の際には不純物となるので、大過剰に酸化カルシウムが存在することは好ましくない。
エチレングリコール100重量部に対して酸化カルシウムを15重量部添加した場合は、消費されなかった酸化カルシウムが熱硬化性樹脂硬化物の周辺に大量に付着しており、熱硬化性樹脂硬化物部分の剥離が困難であった。
【0067】
参考例5〜7および比較例3の結果から分かるように、酸化カルシウムを含むエチレングリコールからなる分解液によって、モールドモータにおける硬化した不飽和ポリエステル樹脂は、素手で剥離できる程度の大きな硬度低下を示す。
したがって、電磁巻線および電磁積層鋼鈑の電磁部材などにおける銅および鉄などの有価金属類も、容易に分離回収することができる。
【0068】
なお、本参考例では、モールドモータをそのままの状態で分解処理の対象としたが、粗破砕、切断等の前処理を行ってから分解処理することもできる。そうすることによって、熱硬化性樹脂硬化物部分の外表面からの厚みが薄肉化され、分解液へ接触させる時間を短縮することができる。
また、モールドモータにクラックなどが生じれば、クラック面が新たな外表面となるので、熱硬化性樹脂硬化物部分の外表面からの厚みは短縮される。したがって、ノミなどにより前記製品に傷を生じさせるだけでも分解処理をより容易にする。
なお、モールドモータの分解処理後に、熱硬化性樹脂硬化物部分を剥離、分離するには、耐薬品性のグローブをはめた素手でもよく、へらまたは押し型などの治具を用いてもよい。また、高圧水の照射によって剥離分離してもよい。
これらのことは以下の参考例および実施例すべてにおいて当てはまることである。
【0069】
《参考例8》
本参考例では、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を結合材として用いた製品である積層板を分解処理した。
フェノール樹脂ワニスをクラフト紙に含浸させた後、加熱して溶剤を蒸発させ、プレプリグを製造した。つぎに、このプレプリグを切断し、重ね合わせて、プレス機に挿入し、加熱加圧してフェノール樹脂を硬化させて積層板を得た。
一方、エポキシ樹脂をガラス繊維織布に含浸させた後、加熱して溶剤を蒸発させ、プレプリグを製造した。このプレプリグを切断して重ね合わせ、その上に変性エポキシ樹脂接着剤を塗布した銅箔を載せてプレスに挿入し、加熱加圧して硬化させ、銅張積層板を得た。
【0070】
つぎに、これら積層板を、エチレングリコール100重量部に対して酸化カルシウムを2重量部加えた分解液に浸漬し、250℃で5時間加熱した。
その結果、結合材である樹脂は、分解されて、分解液中に溶解もしくは分散し、積層板の基材であるクラフト紙、ガラス繊維織布および銅箔が残った。ガラス繊維織布は、積層板製造工程で重ね合わせた枚数に簡単に分離できる状態であった。
以上のように、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂およびフェノール樹脂を結合材とする樹脂硬化物である積層板を、酸化カルシウムを含むエチレングリコールからなる分解液によって、速やかに分解処理することができる。
【0071】
《参考例9》
熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理装置の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。
この装置は、熱硬化性樹脂硬化物を供給するホッパー1、分解液を供給するホッパー2、およびこれらのホッパーから供給された前記製品と分解液を混合して押し出す分解槽3からなる。分解槽3は一端をノズル4として開いた円筒状であり、内部には押し出しのための単軸のスクリュー5を有し、外側には加熱のための巻きヒーター6を有する。
【0072】
まず、参考例1で用いた不飽和ポリエステル樹脂を結合材とする製品を粒径1mm以下に粗粉砕してホッパー1に充填した。またエチレングリコールをホッパー2に注入した。つぎに、巻きヒーター6により分解槽3の内部を300℃に加熱した後、スクリュー5を回転させ、ホッパー1とホッパー2からそれぞれ前記製品と分解液とを分解槽に連続的に投入した。
分解液の供給量は、前記製品の熱硬化性樹脂硬化物部分が湿る程度とした。スクリューの回転により、前記製品と分解液は混練されると同時に、せん断力を受けたのち、連続的に分解槽の開口部であるノズル4から放出される。このとき前記製品は崩壊状態にあり、粒子成分あるいはガラス繊維が露出して見えた。また、放出された前記製品を分析すると、結合材である不飽和ポリエステル樹脂のエステル結合あるいは架橋鎖が化学分解されていることが確認された。結合材が分解されているため、充填材の分離回収が容易で、また結合材の構成成分を回収することも可能であった。
【0073】
このように上記の分解処理装置によれば、熱硬化性樹脂を結合材とする樹脂硬化物を連続的に分解処理して、各成分の回収、再利用を容易にする装置することができる。本参考例では、分解処理の対象とした樹脂硬化物中の充填材である水酸化アルミニウムは、分解処理時による加温によっても、脱水して酸化アルミニウムになることはなく、水酸化アルミニウムとして回収できた。従って、難燃性を有する充填材として再利用することができた。
【0074】
なお、加熱および押し出し中の前記製品と分解液の混練物への分解液の補充などのために、図2に示すように分解槽3の途中に開口7を設け、ここに分解液を供給する分解液補給器8を設けることができる。押し出し装置、加熱装置、および分解液の補給器の構成は、前述のように、本実施例の構成に限定されない。
【0075】
《参考例10》
熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理装置の第2の実施の形態を、図3を用いて説明する。
この装置は、熱硬化性樹脂を結合材とする製品を分解液に浸漬し、加熱する分解槽11、分解槽での加熱分解により生成する可溶成分を溶解した分解液と分解液不溶成分とを遠心分離によって分離する固液分離槽12、およびその分離された固体成分を溶剤によって溶解分離する溶解分離槽13を主な構成とする。その他、固液分離槽12によって分離された溶液を留去によって分解液溶剤成分と、熱硬化性樹脂硬化物分解物に由来する溶解成分とに分離する第1蒸留塔14、溶解分離槽13によって生じた不溶固形分から残存溶剤成分を留去する乾燥槽15、溶解分離槽13によって生じた溶液から溶剤を留去して溶解樹脂分と分離する第2蒸留塔16、および溶剤成分を分離する第3蒸留塔17を有する。また、分解槽11には、前記熱硬化性樹脂硬化物および前記分解液を250℃以上かつ臨界温度未満の温度範囲で加温するためのヒータ18が取り付けられている。
【0076】
参考例1の円柱状の製品100gを、エチレングリコール500gからなる分解液を満たした分解槽11に浸漬し、ヒータ18によって分解液を300℃に保持したところ、10時間以内に前記製品は完全に崩壊し、分解液中には炭酸カルシウムやガラス繊維などの充填剤、および樹脂成分の一部が沈澱しているのが確認された。
つぎに、この分解槽11の内容物を固液分離槽12に移し、濾液と不溶固形分とに分離した。この固形分は、ガラス繊維、炭酸カルシウムおよび分解樹脂成分からなる。固液分離槽12における遠心分離によって得られた濾液を第1蒸留塔14に移し、留去によって分解液エチレングリコールと、溶解していた樹脂分解成分とに分離した。エチレングリコールは、分解槽11にて再び分解溶液として使用する。また、溶解していた樹脂分解成分は、不飽和ポリエステルを構成していたプロピレングリコールなどであり、不飽和ポリエステル樹脂などの原料として再利用可能であった。
【0077】
一方、固液分離槽12によって分離された固形分は、溶剤のアセトンが満たされた溶解分離槽13に移し、この溶解分離槽13で、アセトンにも不溶な固形分は沈殿物として回収した。
この沈殿物は、乾燥槽15において乾燥後、回収したところ、ほとんど樹脂分を含まず、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維など、前記製品の充填材をほとんどすべて含んでいた。
乾燥によって留去した溶剤は、第2蒸留塔16へ移される。また、溶解分離槽13における溶剤も第2蒸留塔16へ移される。
【0078】
ここで、溶剤と熱硬化性樹脂硬化物の分解物に由来する溶解樹脂成分とを分離する。そして、回収された溶解樹脂成分は、熱硬化性樹脂の原料として再利用する。
溶剤は、さらに第3蒸留塔17に移され、アセトンと残存のエチレングリコールに分離される。アセトンは、再び溶解分離槽13に注入され、溶剤として使用され、またエチレングリコールは、分解槽11に移され、再び分解液として使用される。
【0079】
以上のように、上記の分解処理装置によれば、前記製品を分解処理するとともに、分解処理後の熱硬化性樹脂硬化物はさらに各構成成分に分離され、分解液も回収される。各分別された物質は、再び樹脂硬化物や、その分解処理方法、およびその他の用途に再利用することができる。
本参考例で分解処理の対象とした前記製品中の充填材である水酸化アルミニウムは、本発明の分解処理方法による加熱によって脱水して酸化アルミニウムになることはなく、水酸化アルミニウムとして回収できた。したがって、難燃性を有する充填材として再利用することができた。
【0080】
分解処理装置に用いた各構成要素の装備は、本参考例で示したものに限定されず、例えば、分解処理を加速するために、分解槽11に攪拌子などを導入することもできる。
また、いくつかの樹脂硬化物を分解処理した後、この分解処理液全部を一度に分別してもよい。分解処理液の一部を連続的に分解槽の系外に導き、固形分の分離、分解液からの溶剤の留去による分別を施し、分別されたものを取り除いてから、高圧ポンプにより分解液を分解処理槽に戻すような連続循環型であってもよい。
また、分解液中に存在する物質の一部を分離する目的であるなら、上記の分解処理装置の一部のみを用いてもよい。熱硬化性樹脂硬化物の構成成分の数に応じて、溶解分離槽の数を増やし、繰り返し溶解分離を行い、細かく成分分離することもできる。
【0081】
さらに、第1の実施の形態に係る分解処理装置との組み合わせで連続的に分解処理される熱硬化性樹脂硬化物の分離を行うこともできる。比重分離などのその他の手段と組み合わせてもよい。
上記の分解処理装置の前に、他の工程を施す装置を加えても良い。例えば、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品粗破砕する前処理工程を加えることによって、分解槽における分解処理時間を短縮することができる。
【0082】
《比較例4》
参考例1で使用した直径20mmの円柱状の製品を、分解液の代わりに水に浸漬し、300℃で5時間加熱した。その後、水浸透の速度、および処理後の前記製品の熱硬化性樹脂硬化物部分の表面硬度を測定した。
その結果、硬化物に大きなクラックが生じたが、硬化物部分への水の浸透がほとんどなく、硬度の低下はほとんど認められなかった。すなわち水では分解処理の効果は期待できない。
【0083】
《比較例5》
参考例1で使用した直径20mmの円柱状の製品を、空気中で300℃に5時間加熱した。その結果、硬化物部分に幾つかの小さなクラックが生じ、表面にはごく小さなクレータ状の穴が見られたが、ほぼ円柱形状をそのまま維持しており、硬度の低下もほとんど認められなかった。すなわち300℃に加熱しただけでは分解処理の効果は期待できない。
【0084】
《参考例11および12》
無水フタル酸と、無水フマル酸と、プロピレングリコールからなる不飽和ポリエステル65重量部に対して、スチレン35重量部を混合し、重合禁止剤メトキシヒドロキノンを0.01重量部加えた上で、室温で攪拌溶解させ、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
また、ポリジプロピレンアジペート36重量部を、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル64重量部に室温で攪拌溶解させ低収縮化剤を得た。
上記不飽和ポリエステル樹脂74重量部に対して、低収縮化剤26重量部、重合開始剤1,1−(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを1重量部加えて攪拌混合して樹脂組成物を得た。
【0085】
つぎに、充填剤である炭酸カルシウム17.8重量部、水酸化アルミニウム48.5重量部、離型剤であるステアリン酸亜鉛1.5重量部、着色剤である炭素粉末0.4重量部をニーダに移し、乾式混合を行った。約5分後、均一に混ざったこの乾式混合物に、先に混合しておいた樹脂組成物22重量部を徐々に加え、混練し、均一なペースト状の混合物を得た。
さらに、このペースト状混合物に、9.8重量部のガラス繊維をまんべんなく分散させながら、極力短時間で添加し、ガラス繊維が濡れて均一に分散したところで混練を終了して、成形材料を製造した。
【0086】
つぎに、電磁巻線を施した電磁積層鋼鈑を金型内に供給し、成形温度150℃で、この樹脂硬化材料の射出成形を行い、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品であるモールドモータを得た。なお、このモールドモータにおける成形部分の厚みは最大で10mmであった。
【0087】
つぎに、このモールドモータを、エチレングリコールからなる分解液に浸漬し分解槽に仕込んだ。
この後、分解槽にチッ素ガスボンベからノズルを通じてチッ素ガスを送気して、分解槽内の気体をチッ素ガスに置換を行った。
ついで300℃に加温し、5時間保持した(参考例11)。また、チッ素ガス置換しない以外は同様の手順を得た処理も同時に行った(参考例12)。
【0088】
5時間後にモールドモータを分解液から取り出したところ、2つの処理ともモールドモータにおける熱硬化性樹脂硬化物部分は崩壊しゲル状に膨潤していたために簡単に剥離することができた。すなわち、モールドモータから電磁巻線や電磁積層鋼鈑の電磁部材を容易に分離回収することができた。
【0089】
チッ素置換の前処理を行った実施例11の場合、分解処理時の分解槽内最大圧力が10kg/cm2とほぼエチレングリコールの300℃における圧力となった。処理後の分解液も熱硬化性樹脂の分解に由来する沈殿物を除いて若干褐色を帯びている程度であった。これに対してチッ素置換を行わなかった実施例12の場合は、分解処理時の分解槽内最大圧力が20kg/cm2を超え、より多くの分解ガスが発生しており、また処理後の分解液も濃い茶褐色を帯びていた。すなわち、分解液の劣化が若干認められた。また、発生ガスの分析からアルデヒド類などエチレングリコールの酸化に由来する成分も検出されており、酸化が進んでいることが確認された。
【0090】
また、分離回収された電磁巻線や電磁積層鋼鈑の電磁部材の素材である銅や鉄の表面においても、チッ素置換前処理を行った実施例11のほうが、明らかに酸化劣化の程度が少なかった。このように回収する金属類などの品位も向上することができる。
【0091】
本参考例で示したように、エチレングリコールからなる分解液によって、不飽和ポリエステル樹脂を結合材とするモールドモータにおける熱硬化性樹脂硬化物部分は、素手で剥げる程度に大きな硬度低下を示す。さらにチッ素置換の前処理をすることによって、分解処理時の圧力を抑えるとともに、分解液の劣化および分解ガスの発生をも抑制することができる。さらには、分離回収する銅や鉄の酸化を抑え、より品位の高い金属類などを回収することができる。
なお、本実施の形態では、モールドモータをそのままの状態で分解処理の対象としたが、粗破砕、切断等の前処理を行ってから分解処理することもできる。そうすることによって樹脂硬化部分の外表面からの厚みが薄肉化されるので、分解液への浸漬すべき時間を短縮することができる。
【0092】
《実施例1〜3、参考例13および比較例6〜8》
本実施例では、エポキシ樹脂を結合材とした製品である積層板を分解処理した。エポキシ樹脂をガラス繊維織布に含浸させた後、加熱して溶剤を蒸発させ、プレプリグを製造した。つぎに、このプレプリグを切断し、重ね合わせて、さらに上面に変性エポキシ樹脂を接着剤を塗布した銅箔を載せてプレスに挿入し、加熱加圧して硬化させ、銅張積層板を得た。
【0093】
本実施例ではエチレングリコールからなる分解液を用いた。積層板を、この分解液に浸漬し分解槽に仕込んだ後、分解槽を密閉し、分解槽に設けられたノズルに真空ポンプを接続し、分解槽内の気体を排気し減圧した。その後分解槽ごと270℃で5時間加温した(実施例1)。
また、処理温度を200(比較例6)、230(比較例7)、240(比較例8)、250(実施例2)、300(実施例3)℃と変えて同じ処理を行った。さらに、真空ポンプによる排気減圧しない以外は同様の手順を経た処理も270℃で同時に行った(参考例13)。
【0094】
その結果、処理温度が200、230および240℃の場合は、熱硬化性樹脂硬化物部分に変色の跡が見られるものの、銅張積層板は形状を留め、強度もほとんど変化していなかった。
一方、250℃以上である250、270および300℃の場合は、結合材である樹脂は完全に分解され、分解液中に溶解もしくは分散し、積層板は基材であるガラス繊維織布、銅箔を残すのみとなった。
ガラス繊維織布は、積層板製造工程で重ね合わせた枚数に簡単に分離できる状態であった。真空ポンプによる排気減圧を行わずに270℃で処理した場合も、同様に積層板は基材であるガラス繊維織布、銅箔を残すのみであった。
【0095】
しかし、排気減圧の前処理を行った場合、分解処理時の分解槽内最大圧力が10kg/cm2とほぼエチレングリコールの300℃における圧力であり、処理後の分解液も熱硬化性樹脂硬化物の分解に由来する沈殿物を除いて若干褐色を帯びている程度であった。
これに対してチッ素置換を行わなかった場合は、分解処理時の分解槽内最大圧力が20kg/cm2を超え、より多くの分解ガスが発生しており、また処理後の分解液も濃い茶褐色を帯びており、より分解液の劣化していることが認められた。
【0096】
また、分離後に回収された銅箔は、減圧脱気を行った方が、明らかに酸化劣化の程度が少なかった。また、ガラス繊維織布においても、減圧脱気を行ったほうが液の劣化が少ない分、分解液による汚れも少なく、洗浄も容易である。
【0097】
以上のように、本発明によれば、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を結合材とする樹脂硬化物である積層板を、速やかに分解処理することができる。さらに減圧排気することによって、分解処理時の圧力を抑えと共に、分解液の劣化および分解ガスの発生をも抑制することができる。さらには、分離後に回収する銅の酸化、ガラス織布などの基材の劣化を抑え、より品質の高い金属類などを回収することができる。
したがって、分解槽内の気体を排気して減圧し、250℃以上に加温する本処理方法は、熱硬化性樹脂硬化物を容易に剥離分離でき、銅箔など金属類、ガラス織布など基材を容易に、しかも品位良く分離回収するとともに、使用する分解液の劣化の少ない処理方法である。
なお、減圧の程度はできるだけ真空に近いほうが良い。好ましくは10mmHg以下である。また、この場合、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどからなる基材は、エポキシ樹脂と同様に分解され得る。
【0098】
《実施例4〜5および参考例14》
本実施例では、フェノール樹脂を結合材とした製品であるプリント回路板を分解処理する場合について説明する。
フェノール樹脂ワニスをクラフト紙に含浸させた後、加熱して溶剤を蒸発させ、プレプリグを製造した。つぎに、このプレプリグを切断し、重ね合わせて、プレスに挿入し、加熱加圧してフェノール樹脂を硬化させ積層板を得た。
さらに、この銅張積層板に回路印刷、エッチング等の工程を経て、導体パターンを形成し、電子部品を装着することによってプリント回路板を得た。
【0099】
本実施例ではプロピレングリコールに酸化防止剤としてヒドロキノンを加えて分解液とした。プロピレングリコール100重量部に対してヒドロキノン1重量部を加えた。
プリント回路板を、この分解液に浸漬し、真空ポンプで分解槽の気体を排気減圧したうえで、270℃で5時間加熱した(実施例4)。また、ヒドロキノンを加えないプロピレングリコールのみからなる分解液を用いた場合(実施例5)、さらに分解液もプロピレングリコールのみで排気減圧しない場合(参考例14)ついても同じ条件で処理した。
【0100】
その結果、どの処理条件でも、結合材である熱硬化性樹脂宇硬化物は分解され、分解液中に溶解もしくは分散し、基材であるクラフト紙も一部分解され変形し炭化状態であり、積層が一部剥がれていた。
この変形による力も加わって、銅箔および電子部品は積層板より分離して分解液中に存在していた。また、電子部品を構成するポリブチレンテレフタレートなど熱可塑性樹脂は液中に落ちていた。
【0101】
ただし、分解反応時の圧力は、3つの条件で異なり、プロピレングリコールのみの分解液で排気減圧しなかった場合の圧力が60kg/cm2であるのに対し、排気減圧することによって30kg/cm2となり、さらにヒドロキノンを加えることによって20kg/cm2となった。
このことから排気減圧、さらにはヒドロキノンの添加によって、分解時に発生するガスを低減できることがわかる。すなわち、分解液プロピレングリコールの分解劣化によるガスの発生、熱硬化性樹脂硬化物の二次的な分解によるガス発生を抑制できる。したがって、分解液の劣化が少なく、また熱硬化性樹脂硬化物に由来する分解物も固形はあるいは液体であるため回収および再利用し易い。
【0102】
また、分解後の分解液を観察した場合、減圧排気せずにプロピレングリコールのみで分解した場合が最も汚れが激しく黒色化し、臭気も感じられた。それに比較して、排気減圧を施した場合や、さらにヒドロキノンを添加した場合は、汚れの程度が少なく、また臭気もさほど感じられなかった。
【0103】
また、回収分離された銅箔を3つの条件で比較すると、排気減圧を施した場合や、さらにヒドロキノンを添加した場合は、銅の光沢を良く残していた。これに対して、減圧排気せずにプロピレングリコールのみで分解した場合は、表面は酸化されており、また分解液の劣化のため汚れも多く見受けられた。
【0104】
以上のように、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂を結合材とする製品であるプリント回路板を、プロピレングリコールを含む分解液によって、樹脂成分または基材を速やかに分解することができ、銅箔や電子部品を分離回収することができた。また、本発明は、有価物の回収とプリント回路板の減容化とを可能にする方法であり、フェノール基板は好適な対象である。
さらに、本発明では、排気減圧やヒドロキノンの添加により分解液の劣化を抑えると共に、金属など品質よく回収することができる。また、ガスの発生量も少ないことから圧力も大きく上昇せず、分解槽に高い耐圧性は要求されない。
【0105】
《参考例15》
本参考例では、エポキシ樹脂を結合材としたプリント回路板をさらにウレタン樹脂でコートした樹脂硬化物を分解処理した。
エポキシ樹脂ワニスをガラス不織布とガラス織布に含浸させた後、加熱して溶剤を蒸発させ、プレプリグを製造した。つぎに、このプレプリグを切断し、銅箔を含めて重ね合わせて、プレス機に挿入し、加熱加圧してエポキシ樹脂を硬化させ銅張積層板を得た。
さらに、この銅張積層板に回路印刷、エッチング等の工程を経て、導体パターンを形成し、電子部品を装着することによってプリント回路板を得た。ついで、このプリント回路板に、厚さ2cm程度のウレタン樹脂をコートし、硬化させた。
【0106】
このプリント回路板を、分解液としてのテトラリンを分解液に浸漬し、280℃で5時間加熱した。
その結果、まずウレタン樹脂は完全に分解して溶剤に溶け、エポキシ樹脂も分解し、分解液中に溶解もしくは分散した。また、基材である織布、不織布の積層が剥がれていた。
また、結合材が分解されたことによって、銅箔および電子部品は積層板より分離して分解液中に存在していた。
また、電子部品を構成するポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂は液中に抜け落ちていた。電子部品装着のための半田は、銅箔に付着したまま回収された。
【0107】
以上のように、本発明によれば、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を結合材とし、さらにウレタン樹脂でコートした樹脂硬化物であるプリント回路版を、テトラリン分解液に浸漬することによって、樹脂分を速やかに分解することができ、電子部品、ガラス織布、不織布を回収できた。
なお、本発明では、分解処理前に分解槽に前処理を施さなかったが、前述のように、含有する金属類などのわずかな酸化などが問題となる場合などは、排気による減圧、あるいはチッ素置換による脱気処理を用いることもできるし、チッ素置換後に減圧排気することによって、より酸化劣化の少ない処理にすることもできる。
また、前述のように、分解液は繰り返し使った後に、溶解物を分離して再利用することもできるし、そのままオイルとして燃料に使用することもできる。
【0108】
《比較例9および10》
本発明の分解処理方法の比較例として、参考例8で使用したエポキシ樹脂を結合材とする積層板を、n−テトラデカンまたは流動パラフィンからなる分解液に浸漬し、300℃で5時間加熱した。
分解液浸透の速度、および分解液浸漬処理後の熱硬化性樹脂部分の表面硬度を測定した。その結果、外見上も硬化物に変化はなく、硬化物部分への分解液の浸透も、硬度の低下はほとんど認められなかった。すなわちn−テトラデカンまたは流動パラフィンからなる分解液では分解処理の効果は期待できない。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による分解処理方法を用いれば、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品を容易に分解させることができる。
また、本発明の分解処理装置によって、樹脂硬化物は、連続的に分解、あるいは分別されて各成分が再利用可能となるため、効率的な分解処理によって廃棄処理量を低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理装置の構成を示す概略縦断面図である。
【図2】 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理装置の別の構成を示す概略縦断面図である。
【図3】 本発明の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法の各工程を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0111】
1、2 ホッパー
3 分解槽
4 ノズル
5 スクリュー
6 ヒータ
7 開口
8 分解液補給器
11 分解槽
12 固液分離槽
13 溶解分離槽
14 第1蒸留塔
15 乾燥槽
16 第2蒸留塔
17 第3蒸留塔
18 ヒータ
Claims (7)
- (a)熱硬化性樹脂硬化物を含む製品を、分解槽内において熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤を含む分解液に接触させる工程、
(a')工程(a)の後に、前記分解槽を密閉し、前記分解槽内の気体を排気することによって減圧する工程、および
(b)排気処理を停止した後、前記分解液を、250℃以上でかつ前記溶剤の臨界温度未満の温度に加熱する工程を含み、
工程(a)が、加溶媒分解により前記熱硬化性樹脂硬化物を分解する工程であり、
前記熱硬化性樹脂硬化物が、エポキシ樹脂硬化物またはフェノール樹脂硬化物であり、
工程(a)における前記溶剤として、エチレングリコールまたはプロピレングリコールを用いる、熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法。 - 前記分解液を気化してから前記製品に接触させる請求項1記載の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法。
- 工程(a)における前記製品が、ガラス繊維からなる基材にエポキシ樹脂を含浸してなるプリプレグを、銅箔と積層成形してなる銅張積層板である請求項1または2記載の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法。
- 工程(a)における前記溶剤が、エチレングリコールからなる請求項3記載の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法。
- 工程(a)における前記製品が、紙製の基材にフェノール樹脂を含浸してなるプリプレグを、銅箔と積層成形してなる銅張積層板である請求項1記載の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法。
- 工程(a)における前記溶剤が、プロピレングリコールからなる請求項5記載の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法。
- 工程(a)における前記分解液が、酸化防止剤として、ヒドロキノンを含む請求項6記載の熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法。
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