JP4590797B2 - 熱硬化性組成物の溶解方法 - Google Patents
熱硬化性組成物の溶解方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4590797B2 JP4590797B2 JP2001219350A JP2001219350A JP4590797B2 JP 4590797 B2 JP4590797 B2 JP 4590797B2 JP 2001219350 A JP2001219350 A JP 2001219350A JP 2001219350 A JP2001219350 A JP 2001219350A JP 4590797 B2 JP4590797 B2 JP 4590797B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dissolving
- phosphoric acid
- unsaturated polyester
- thermosetting composition
- treatment liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/62—Plastics recycling; Rubber recycling
Landscapes
- Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性組成物を溶解する方法に関する。さらに詳しくは本発明は、小型船舶、自動車部品、鉄道車両部品、家具、浴槽、電化製品部品、貯水タンクなどに用いられる不飽和ポリエステル樹脂硬化物を、特定の処理液を用いて溶解することにより再利用することを可能にする溶解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂は、耐熱性、機械的性質、耐候性、耐薬品性、耐水性などに優れているため種々の分野で利用されている。
【0003】
一方、環境問題が注目されるにつれ、いわゆる循環型の社会を構築しようとする機運が高まり、現在では使用後の工業製品からその原料を抽出し、原料の再資源化を図ろうとする技術研究が盛んに行われるようになった。
【0004】
ところが、不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性樹脂であることから、成形後は溶融せず、しかも汎用溶媒には不溶化するため、成形品から不飽和ポリエステル樹脂成分を抽出し、さらに再利用を図ることは困難である。しかも、通常、前記不飽和ポリエステル樹脂に力学的性質等を向上させる目的で充填材が加えられることから、前記抽出および再利用はさらに困難となっている。
【0005】
一方、前記充填材自体も、一般的に溶融および溶解しずらいものであることより、前記充填材自体の回収および再利用も困難となっている。
【0006】
前記不飽和ポリエステル樹脂成分や充填材を抽出する手段として、不飽和ポリエステル樹脂硬化物を溶解し、その溶解物の中から樹脂成分や充填材を抽出する方法が提案されている。
【0007】
前記不飽和ポリエステル樹脂硬化物を溶解する方法として、主に熱分解法と、科学的に分解する方法が提案されている。前者の不飽和ポリエステル樹脂硬化物の熱分解法としては、特開平8−85736号公報に示されるような、水酸基の供給源とともに熱分解する方法がある。前記公報には、「樹脂の熱分解は、樹脂が約340〜900℃の温度範囲内、特に350℃〜450℃前後となるように加熱するのが好ましい」旨が開示されている。
【0008】
後者の不飽和ポリエステル樹脂硬化物を化学的に分解する方法としては、特開平8−113619公報に示されるように塩基と親水性溶媒を用いる方法、特開平8−134340公報に示されるように塩基と一価のアルコールを用いる方法、特開平8−225635公報に示されるようにグリコールを用いる方法、特開平9−221565公報に示されるようにジカルボン酸またはジアミンを用いる方法、特開平9−316311公報に示されるようにジエタノールアミンを用いる方法などがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの技術も改善すべき課題が残されていた。
【0010】
まず、前者の不飽和ポリエステル樹脂硬化物の熱分解法にあっては、300℃を越える高温において熱分解反応を行う必要があることから、反応温度・圧力を制御するための特殊な装置が必要となると共に、作業者の安全面を特に配慮しなければならないという問題がある。
【0011】
また、前記問題に加えて、一般的に酸素を含む雰囲気下での熱分解においては、炭素原子並びに水素原子は酸化されて二酸化炭素と水になり、樹脂の合成原料として使用することは困難であり、また酸素を含まない雰囲気下での熱分解においては、炭素原子に結合した水素原子を脱離しやすく、主に炭素が生成し、樹脂原料として再利用することは難しいといった問題がある。
【0012】
一方、後者の不飽和ポリエステル樹脂硬化物を化学的に分解する方法にあっては、腐食性の化学物質を使用するため、人体や環境に対する特別な配慮が不可欠であり、また、腐食性の化学物質を使用しない場合には、分解速度が著しく遅くなるため、実用的ではないといった問題がある。
【0013】
以上より、前記課題を改善すべく、本発明は熱分解反応を伴わずしかも腐食性の化学物質を使用せずに、所定の反応速度で不飽和ポリエステル樹脂硬化物を溶解でき、かつ溶解物の再利用を図ることができる少なくとも不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性組成物の溶解方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、以下の発明が提供される。
【0015】
(1)少なくとも不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性組成物を、必須成分としてリン酸の水和物もしくはリン酸の塩の水和物、溶媒として有機溶媒を含む180℃以上220℃以下の温度の処理液により処理しながら、処理液中の水分を除去する工程を含む熱硬化性組成物の溶解方法。
(2)リン酸の塩がアルカリ金属とリン酸の塩である熱硬化性組成物の溶解方法。
(3)リン酸の塩がリン酸カリウムである熱硬化性組成物の溶解方法。
(4)リン酸の水和物がリン酸三カリウム水和物である熱硬化性組成物の溶解方法。
(5)処理液中にアルコール系溶媒が含まれている熱硬化性組成物の溶解方法。
(6)処理液中には沸点が170℃以上300℃以下のアルコール系溶媒が含まれている熱硬化性組成物の溶解方法。
(7)アルコール系溶媒がポリエチレングリコールである熱硬化性組成物の溶解方法。
(8)処理液により処理しながら、処理液中の水分を除去する工程を、大気圧下において行う熱硬化性組成物の溶解方法。
(9)処理液中の水分の除去を減圧下において行う熱硬化性組成物の溶解方法。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明における処理の対象となる少なくとも不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性組成物(本明細書において「少なくとも不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性組成物」と「不飽和ポリエステル樹脂硬化物」は同義に用いられる。)には、特に制限はなく、一般に知られている不飽和ポリエステル樹脂硬化物には、本発明の処理方法を適用することができる。すなわち、不飽和ポリエステル、重合性単量体および硬化剤を必須成分としてなる成形材料の硬化物に適用することができる。以下に本発明における処理の対象となる不飽和ポリエステル樹脂硬化物の作製方法の例を挙げる。
【0028】
不飽和ポリエステルは、例えば、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物を必須成分として含む多塩基酸成分と、多価アルコールとを反応させて得られる。
【0029】
不飽和ポリエステルの合成原料であるα,β−不飽和多塩基酸又はその無水物としては、例えば、α,β−不飽和二塩基酸又はその無水物、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。これらは、2種以上併用してもよい。
【0030】
多塩基酸成分としては、不飽和基の濃度を調節し、可撓性、耐熱性などの特性を付与するために、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物のほか、飽和多塩基酸又はその無水物を併用してもよい。このとき、多塩基酸性分全体に占める飽和多塩基酸の割合は目的に応じて任意に調整される。α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物の多塩基酸全体に占める割合が少なくなると得られる成形品の強度が漸次低下する傾向を示す。例えば、硬質の成形品を作製するためには、α,β−不飽和多塩基酸又はその無水物を、多塩基酸成分のうち、40モル%以上とするのが好まく、45〜80モル%であるのがより好ましく、50〜70モル%であることが特に好ましい。
【0031】
併用される飽和多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、こはく酸、アゼライン酸、ロジン−マレイン酸付加物などが挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
【0032】
不飽和ポリエステルのもう一つの合成原料である多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール等の四価アルコールなどが挙げられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
【0033】
多塩基酸成分と多価アルコールとは、当量比で、多塩基酸成分を1とするとき、多価アルコールを1〜1.3の範囲で使用することが好ましく、1.03〜1.05の範囲で使用することがより好ましい。多価アルコールが少なくなると、得られる不飽和ポリエステル樹脂の分子量が小さくなる傾向があり、多くなると酸価が小さくなって増粘剤を用いた場合に、増粘の進行が遅くなる傾向がある。
【0034】
不飽和ポリエステルは、従来から公知の方法により合成することができる。例えば、多塩基酸成分、多価アルコール成分とを縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
【0035】
反応の温度は150℃以上とすることが好ましく、また酸化による副反応を防止するためには、チッ素、二酸化炭素などの不活性気体を通気しながら反応させることが好ましい。
【0036】
このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置、チッ素など不活性気体の吹込み装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
【0037】
不飽和ポリエステルの数平均分子量は、数平均分子量が1000〜4500であることが好ましい。分子量が1000よりも低いと増粘剤を適量添加しても増粘が上がらず樹脂組成物とした場合に柔らかく作業性の面で不利になる恐れがある。分子量が4500よりも大きいと粘度が高くガラス繊維等に含浸して用いる場合には含浸不良をおこしやすく、成形した場合表面光沢性が低下する傾向がある。
【0038】
重合性単量体としては、例えば、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、ターシャリブチルスチレン、臭化スチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のアルキルエステル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル等のメタクリル酸又はアクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、ジアリルフタレート、アクリルアミド、フェニルマレイミドなどがあげられる。また、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチールプロパントリメタクリレートなどの多官能のメタクリル酸又はアクリル酸のエステル類を用いることもできる。
【0039】
不飽和ポリエステルと重合性単量体とを配合し、必要により重合禁止剤、低収縮剤、増粘剤などを加えて不飽和ポリエステル樹脂組成物とされる。不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との配合割合は、適用製品の形態や、その製造工程での加工性などに合わせて選ぶことができ、例えば、繊維材料にシート状に塗布して成形する場合、不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との合計量を100重量部として、不飽和ポリエステル樹脂が25〜80重量部、重合性単量体が75〜20重量部とするのが好ましく、不飽和ポリエステル樹脂が40〜65重量部、重合性単量体が60〜35重量部とするのがより好ましい。25重量部未満であると不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が低すぎてシート状に塗布しにくく、また、沈降等のため他の成分と均一に混合しにくくなり、さらに、得られる繊維強化成形材料を成形しても硬化収縮率が大きく、成形品に割れ、クラック等が生じる場合がある。不飽和ポリエステル樹脂が80重量部を超えると、粘度が高すぎて塗布しにくくなる可能性や、他の成分と混合しにくくなる可能性がある。
【0040】
硬化剤としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類などが挙げられる。硬化剤の量は、成形サイクルのみではなく材料の保存性、色ムラ等の面に影響があるため、それぞれに応じて決定される。材料の保存性、成形サイクルの面から前記不飽和ポリエステル樹脂および重合性単量体の総量に対して0.5〜5重量%が好ましく、より好ましくは1〜3重量%である。
【0041】
重合禁止剤として、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、ハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等を用いることができる。重合禁止剤は、前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して0.5重量%以下で使用されることが好ましい。硬化剤を配合した樹脂組成物には、貯蔵安定性のため、0.05重量%以上含有させることが好ましい。
【0042】
目的に応じて低収縮剤として、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ブタジエンゴムなどの熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。使用量は、成形品の収縮率や表面平滑性、表面光沢を考慮して決定され、特に制限はない。例えば、低収縮で硬質の成形体を作製する場合には、前記不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体との総量に対して20〜50重量%の範囲で低収縮剤が使用されることが好ましい。
【0043】
不飽和ポリエステルを増粘する場合に、増粘剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カリウム等を用いることができるが、一般的には酸化マグネシウムが用いられる。増粘剤の量は、成形材の作業性に応じて決定される、前記不飽和ポリエステルおよび重合性単量体の総量に対して、0.5〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.7〜2重量%である。増粘剤が少なすぎると樹脂組成物の粘度が上昇しない場合があり、効果が得られない。また増粘剤が多すぎると粘度が上昇し過ぎて制御できなくなる場合がある。
【0044】
前記の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、さらに、適宜、離型剤、安定剤、着色剤等が配合される。
【0045】
さらに、以下に示すような無機充填材を混合して成形してもよい。無機充填材としては一般に樹脂の無機充填剤として用いられるようなものを適用してもよく、例えば、金属および金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、窒化物、非金属の結晶などがある。例えば、ホウ素、アルミニウム、鉄、ケイ素、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、パラジウム、銀、スズ、タングステン、白金、金、鉛、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、シリカ、粘土、ガラス、炭素、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウムなどがあり、これらの材料の各成分を融合したものでもよく、混合したものでもよい。無機充填剤がガラス、炭酸カルシウム等のような処理液への溶解性が低い無機充填剤である場合は、容易に分離・回収して無機充填剤を再利用することができる。また、充填材の形状としては、粉末、繊維、ビーズ、箔、フィルム、線、回路などがある。繊維はマット状にしたものでもよく、布のように織られたものでもよい。これらの無機充填材が樹脂硬化物中に含まれている比率は任意であるが、一般的には5〜90重量%の範囲にある。
【0046】
さらに、木材等の天然有機物、プラスチック片等の人工有機物などを有機充填剤として混合して成形してもよい。特に、処理液への溶解性が低い有機充填剤である場合には、容易に分離・回収することができる。
【0047】
本発明の対象となる不飽和ポリエステル樹脂の製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、多塩基酸成分と多価アルコール成分とを縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。不飽和ポリエステル樹脂の硬化方法は、反応が進行すればどのような温度でもよいが、一般には室温〜250℃の範囲で硬化させることが多い。また硬化の際に加圧してもよく、大気圧下でも、減圧下でもよい。樹脂硬化物は必ずしも完全に硬化している必要性はなく、常温では流動しない程度に半硬化させたものでもよい。この例としては、不飽和ポリエステル樹脂を用いた成形材料がある。
【0048】
次に、本発明の不飽和ポリエステル樹脂硬化物の溶解方法について説明する。
本発明者らは、前記課題を解決すべく誠意研究した結果、不飽和ポリエステル樹脂硬化物を、(A)リン酸の水和物もしくはリン酸の塩の水和物、又は(B)リン酸もしくはリン酸の塩と、水を必須成分とする処理液を用いて処理することにより、驚くべきことに、溶解率が向上することに加え、処理速度が2倍以上速くなることを知見した。この処理速度が2倍以上速くなるという効果はいわゆる当業者に予測しえないことであった。以下本発明の構成要件や使用条件について詳細に説明していく。
【0049】
不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理液で処理する際には、硬化物をそのままの大きさで処理してもよく、また、硬化物を破砕したのちに処理してもよい。破砕片の大きさには制限はなく、どのような大きさでもよい。すなわち、特に微小に破砕する必要はなく、処理装置の規模に合わせて処理可能な大きさに調整されていればよい。特に充填剤を分離・回収する場合は、充填剤を分離・回収する際の効率や、回収した充填剤を再利用する際の取り扱い性などに合わせて破砕片の大きさを調整することが好ましい。例えば、ガラス繊維など、細かく粉砕することによって再利用が難しくなる充填剤を回収する場合には、破砕片を10ミリメートル以上とすることが好ましい。装置の規模や処理工程、処理時間を考慮すると、不飽和ポリエステル樹脂硬化物またはその破砕片の最大径が10ミリメートル以上1.5メートル以下の範囲であることが好ましい。これよりも小さいと破砕の工程が長くなる傾向があり、これよりも大きいと処理時間が長くなる傾向がある。好ましい破砕片の大きさは、0.5cm3〜1m3である。
【0050】
本発明において用いられる不飽和ポリエステル樹脂硬化物を溶解する処理液は、リン酸を必須成分とする。
【0051】
本発明で使用するリン酸の例としては、リン酸、次リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ピロ亜リン酸などのリン酸系化合物がある。また、リン酸としては、リン酸系化合物の塩を使用してもよい。リン酸系化合物の塩は、例えば、前記リン酸系化合物の陰イオンと、陽イオンとの塩であり、陽イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、パラジウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、錫、アンモニウムなどのイオンが挙げられる。これらの塩は、1個の金属と2個の水素を有する第一塩、2個の金属と1個の水素を有する第二塩、3個の金属を有する第三塩のいずれでもよく、酸性塩、アルカリ性塩、中性塩のいずれでもよい。これらの化合物は単独で使用しても、数種類を混合して使用してもよい。また、これらの化合物以外に、どのようなものを併用してもよく、不可避的な量の不純物が含まれていてもかまわない。
【0052】
これらの化合物の中で、溶媒への溶解性を考慮すれば、アルカリ金属とリン酸の塩が好ましいが、水溶性の溶媒を使用する場合には、それらの水和物がさらに好ましい。
【0053】
本発明で使用する溶媒としては、アミド系、アルコール系、ケトン系、エーテル系、エステル系などの溶媒がよく、これらは単独で使用しても、数種類を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒に併せて、無機系溶媒などを併用してもよく、不純物が含まれていてもかまわない。
【0054】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’-テトラメチル尿素、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、カプロラクタム、カルバミド酸エステル等が使用できる。
【0055】
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、 1-ブタノール、2- ブタノール、iso -ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、iso -ペンチルアルコール、tert -ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、4-メチルシクロヘキサノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ベンジルアルコール、さらには、ポリエチレングリコール#200、ポリエチレングリコール#300、ポリエチレングリコール#400(いずれも関東化学株式会社製商品名)等に例示されるポリエチレングリコールなどがある。ポリエチレングリコールを用いる場合は、ポリエチレングリコールの平均分子量が500以下であることが溶解率の観点から好ましい。
【0056】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ホロン、イソホロン等が挙げられる。
【0057】
エーテル系溶媒としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセタール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等がある。
【0058】
本発明で使用する処理液は無機系溶媒を含有することができ、例えば、水、液体アンモニア、液体二酸化炭素などを含んでいても良い。
【0059】
これらの溶媒の中では、アルコール系溶媒がリン酸またはリン酸の塩を溶解しやすく、好ましい。さらに、常圧または減圧の状態で処理する場合には、沸点が170℃以上であることが好ましい。
【0060】
本発明で使用する処理液は、有機溶媒に対し、リン酸又はリン酸の塩は0.001重量%以上80重量%以下の任意の濃度で調整することが可能である。0.001重量%未満では樹脂硬化物の分解速度が遅く、80重量%を超える範囲では処理液を調整することは困難である。特に好ましい濃度としては、0.1重量%以上20重量%以下である。またリン酸又はリン酸の塩は、必ずしもすべてが溶解する必要はなく、すべては溶解していない飽和溶液においても、溶質は平衡状態にあり、リン酸又はリン酸の塩が失活した場合にはそれを補い、特に有効である。また、リン酸又はリン酸の塩が水和物でない場合には、有機溶媒に対して水を0.001重量%以上20重量%以下の範囲で添加する必要がある。0.001重量%未満では添加した効果が十分に得られず、20重量%を超える範囲では処理温度を100℃以上に上昇させることが難しくなる。好ましい添加量としては、0.1重量%以上10重量%以下である。水の添加時期は、水分除去前ならいつでもよい。また、リン酸又はリン酸の塩が水和物の場合でも上記範囲で水を添加してもよい。
【0061】
処理液を調整する際の温度はどのような温度でもよいが、常圧で使用する場合には、使用する溶媒の凝固点以上、沸点以下であることが好ましい。処理液を調整する際の雰囲気は、大気中でも、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性気体中でもよく、常圧下、減圧下、加圧下のいずれでもよい。
【0062】
処理液には界面活性剤等を添加して使用してもかまわない。界面活性剤等を添加する場合は、本発明の効果が損なわれない範囲で加えることができる。また、界面活性剤として従来公知の商業的に入手可能な界面活性剤を使用することができる。
【0063】
処理液を用いて樹脂硬化物を処理する条件としては、処理速度を調整するために、処理液を溶媒の凝固点以上、沸点以下の任意の温度で使用することができる。また、樹脂の熱分解や充填材の強度低下などによる回収材の品質低下を防ぐためには、250℃以下の温度で処理することが好ましく、同様の理由から200℃以下の温度で処理されることが特に好ましい。
【0064】
処理方法としては、通常は不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理液中に浸漬することによって行う。所望により、処理液の機械的攪拌により処理速度を高めたり、超音波により振動を与えたりすることもできる。また、液中に浸さず、スプレー等による噴霧もでき、さらに高圧をかけることもできる。
【0065】
処理液に含まれる水分の除去方法としては、開放系でもよく減圧下でもよい。減圧は、真空ポンプ、アスピレータ等を用いてもよく、それら以外に減圧状態がつくれるどのような装置を用いてもよい。減圧度はどのような値でもよく、減圧時間は、処理中および処理後を含め何時間でもかまわない。水分除去の操作開始は、処理開始と同時に行ってもよく、処理の途中でもよく、処理が終わった後に行ってもよい。これらの水分除去方法は、処理液に水等の無機系溶媒を添加した場合にも適用できる。
【0066】
処理液の使用時並びに保存時の雰囲気は、大気中でも、窒素、アルゴンまたは二酸化炭素等の不活性気体中でもよく、常圧下、減圧下または加圧下のいずれでもよい。安全性や作業の簡便性に優れる点で、常圧下に処理液を使用・保存することが好ましい。本発明では、不飽和ポリエステル樹脂硬化物の分解・溶解処理を大気中・大気圧下で行うことができる。すなわち、特定の気体雰囲気や特定の気圧を設定するための装置などを必ずしも必要としない。
【0067】
本発明によって不飽和ポリエステル樹脂を溶解した樹脂成分は、一般的な方法で分離し、再利用することができる。例えば、不純物を沈殿法などで分離し、溶媒を蒸留などで分離して得られた樹脂成分を樹脂原料として再利用することができる。また、金属やガラスなどの固形の充填剤を分離・回収する場合は、樹脂成分を処理液で溶解したのち、濾過やデカンテーション等により回収することができる。
【0068】
本発明によって得られた樹脂成分は、熱分解法により得られた樹脂成分よりも酸化劣化が少ない。そのため、本発明に基づいて得られた樹脂成分から製造された再生品は、機械的性質、対候性、耐薬品性および耐水性について生原料から製造された製品の性能と比べても負けるとも劣らない性能を有するか、又は少なくとも工業上使用する上で十部な性能を有する。従って、本発明に基づいて得られた樹脂成分から再生品を製造する場合、他の方法で回収した原料から再生品を製造する場合に比べて、分子量の低下防止や、劣化防止のために加える添加剤の添加量を減少させることができる。
【0069】
また、本発明によって回収されたガラス繊維等の充填剤は、強度等の劣化がない。そのため、再度充填剤として使用することが可能である。
【0070】
さらに、本発明に係る処理液から樹脂等を回収した後に出される廃液は、再度処理液として使用することが可能である。前記廃液を再度処理液として使用する場合、そのまま処理液として使用してもよいが、従来公知の方法に従って、例えば廃液中に貧溶媒を加えたり、または冷却により樹脂成分の溶解度を低下させて樹脂成分を再沈殿させた後に処理液として回収して使用することが好ましい。尚、再沈殿した樹脂成分は樹脂原料として再利用することができることはいうまでもない。
【0071】
このように、廃液を再度処理液として使用できるので、最終的に廃液量を減少させることができる。さらに、従来の化学的分解法において必要とされた廃液処理の手間が省けるので作業性の向上や作業者の作業環境の改善が図られる。
【0072】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
(参考例1)〔不飽和ポリエステル樹脂組成物の作製〕
温度計、攪拌機および精留管を備えた2リットルの四つ口フラスコにプロピレングリコール578g、ジエチレングリコール318g、無水フタル酸444g、無水マレイン酸686gを仕込み、窒素ガスを通しながら210℃に4時間かけて昇温し、その温度で5時間反応させ、酸価8で冷却し、160℃になったことを確認し、無水マレイン酸784gを仕込み、4時間かけて215℃に昇温した。その温度に保温して反応を進め、6時間で酸価29の不飽和ポリエステル樹脂を得た。これと同様にして得られた不飽和ポリエステル樹脂60重量部を、ハイドロキノン0.02重量部を溶解したスチレンモノマー40重量部に溶解して不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
【0074】
参考例1と同様の方法で調整した不飽和ポリエステル樹脂組成物を、170℃で1時間加熱硬化させ、10mm×30mm×3mmに切断して試験片とした。
【0075】
(実施例1〜7、比較例1〜4)
(1)以下の表1および表2に示される各種のリン酸又はリン酸の塩と溶媒とからなる処理液を調製した。そして前記処理液140gを、それぞれ四口フラスコに注入した。次にフラスコに、温度計を付けた枝付き連結管、150mmの連結管、減圧用曲管、および50mlのナス型フラスコを取り付け、そしてあらかじめ質量を測定した試験片をフラスコに投入し、オイルバスを使用して180℃から220℃の範囲に加温した。フラスコに投入する前(処理前)の試験片の質量は10gであった。フラスコ内の温度が120℃以上に達したのを確認した後、アスピレータを用いて、器内の水分除去を行った。その際、枝付き連結管に付けた温度計が100℃以上にならないように注意した。また、アスピレ-タを用いて約2時間水分除去を行った後、さらにアスピレータを用いずに連結管を付けたままで溶解処理を行った。溶解処理に費やした時間の総和は8〜12時間だった。
(2)開放系で水分除去を行う場合、四口フラスコに枝付き連結管等を付けずに、器内の温度を190℃に保ち、そのままの状態で8〜18時間水分を除去しながら溶解処理を行ったことを除いて、前記(1)と同様にして実験を行った。
(3)還流条件下で水分除去を行う場合、四口フラスコに還流用のコンデンサを取り付けて18時間溶解処理を行ったことを除いて、前記(1)と同様にして実験を行った。
処理後、試験片を取り出して処理後の試験片の質量を測定し、さらに、次式に示されるようにして、処理後の試験片の質量を処理前の試験片の質量で除して得られた値を樹脂硬化物の溶解率として算出した。
溶解率(%)=処理後の試験片の質量/処理前の試験片の質量
実施例1〜7、比較例1〜4の実験条件および得られた実験結果を表1および表2にまとめて示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
以下、実施例と比較例について考察する。
【0079】
実施例1〜6と比較例1〜3を比較する。
実施例1〜6に示した、リン酸又はリン酸塩の有機溶媒溶液を処理液とした場合には、いずれも水分除去を行うことによって、溶解率および溶解時間ともに、著しく改善された。特に、実施例4および実施例6は、溶解率が約100%に達した。さらに実施例6では、水分除去を行うことによって短時間で処理を行うことができた。また、実施例で用いたリン酸三カリウム水和物は食品添加物であることより、その後の廃液処理にかかる手間が省けると共に、環境に与える負荷を極めて低くすることが可能となった。
【0080】
これに対して、比較例1に示すように、溶媒だけで処理した場合のものは、水分除去を行っても溶解率は1%以下であった。比較例2および比較例3に示したように、リン酸の塩を用いてフラスコ内の水分を還流させた場合は、18時間処理を行っても溶解率は55%前後であり、完全に溶解しなかった。
【0081】
実施例7と比較例4を比較する。
【0082】
実施例7に示した、リン酸と水を含む有機溶媒溶液を処理液とした場合には、短い溶解時間で良好な溶解率が得られた。これに対して、比較例4に示すように、リン酸を含む有機溶媒溶液を処理液とした場合には、溶解時間が長く、しかも溶解率が低かった。
【0083】
以上実施例を用いて本発明を説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
【0084】
従って、上記実施例1〜6においてはリン酸の水和物に有機溶媒を加える構成としたが、さらに、水や、リン酸もしくはリン酸の塩を加える構成としてもよい。また、減圧下で水分除去を行った後、開放系で溶解処理を行ってもよい。
【0085】
以上本発明について説明してきたが、本発明によれば、300℃を越えるような高温での熱分解反応は伴わないため、反応温度および圧力を制御するための特殊な装置が不要となると共に、高温や高圧を伴う作業が不要となる。従って、反応装置の経済性の向上と、作業者の作業環境の最適化が図られる。
【0086】
また、本発明によれば、工業上実施する上で十分な反応速度を維持しつつ、有害性が懸念される化学物質の使用を大幅に削減することができる。従って、前記効果に加えて廃液処理にかかる手間が省けるといった作業性の向上が図られると共に、環境負荷軽減を図ることができる。
【0087】
さらに、本発明によれば、不飽和ポリエステル樹脂硬化物を、(A)リン酸の水和物もしくはリン酸の塩の水和物、又は(B)リン酸もしくはリン酸の塩、水、のうち少なくとも一方を必須成分とする処理液を用いて溶解することにより、不飽和ポリエステル樹脂硬化物を、効率良く溶解することができ、しかもその溶解物を容易に再利用することができる。特に、特定の処理液を用いて溶解する際に、さらに処理液中の水分除去を行うことにより、および/又は減圧を行うことにより、前記効果に加えて短時間で効率よく処理できるという効果が得られる。
【0088】
【発明の効果】
本発明により、熱分解反応を伴わず、しかも腐食性の化学物質を使用せずに、所定の反応速度で不飽和ポリエステル樹脂硬化物を溶解でき、かつ溶解物の再利用を図ることができる不飽和ポリエステル樹脂硬化物の溶解方法が提供される。
Claims (9)
- 少なくとも不飽和ポリエステル樹脂を含む熱硬化性組成物を、必須成分としてリン酸の水和物もしくはリン酸の塩の水和物、溶媒として有機溶媒を含む180℃以上220℃以下の温度の処理液により処理しながら、前記処理液中の水分を除去する工程を含むことを特徴とする熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記リン酸の塩がアルカリ金属とリン酸の塩であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記リン酸の塩がリン酸カリウムであることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記リン酸の水和物がリン酸三カリウム水和物であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記処理液中にアルコール系溶媒が含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記処理液中には沸点が170℃以上300℃以下のアルコール系溶媒が含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記アルコール系溶媒がポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項5に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記処理液により処理しながら、前記処理液中の水分を除去する工程を、大気圧下において行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
- 前記処理液中の水分の除去を減圧下において行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物の溶解方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001219350A JP4590797B2 (ja) | 2001-07-19 | 2001-07-19 | 熱硬化性組成物の溶解方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001219350A JP4590797B2 (ja) | 2001-07-19 | 2001-07-19 | 熱硬化性組成物の溶解方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003026853A JP2003026853A (ja) | 2003-01-29 |
JP2003026853A5 JP2003026853A5 (ja) | 2008-09-04 |
JP4590797B2 true JP4590797B2 (ja) | 2010-12-01 |
Family
ID=19053367
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001219350A Expired - Fee Related JP4590797B2 (ja) | 2001-07-19 | 2001-07-19 | 熱硬化性組成物の溶解方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4590797B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3994660B2 (ja) * | 2000-12-22 | 2007-10-24 | 日立化成工業株式会社 | 不飽和ポリエステル樹脂硬化物用分解処理液、該処理液を用いた不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法及び複合材料の分離方法 |
JP4066876B2 (ja) * | 2003-04-25 | 2008-03-26 | 日立化成工業株式会社 | 不飽和ポリエステル樹脂未硬化物の溶解方法 |
JP4066877B2 (ja) * | 2003-04-25 | 2008-03-26 | 日立化成工業株式会社 | 充填材含有不飽和ポリエステル樹脂未硬化物からの充填材の回収方法 |
JP4291126B2 (ja) * | 2003-12-10 | 2009-07-08 | パナソニック電工株式会社 | プラスチックの分解方法 |
JP5614089B2 (ja) * | 2010-04-30 | 2014-10-29 | 日立化成株式会社 | 樹脂複合物の溶解処理装置、及び、樹脂複合物の溶解処理方法 |
JP2017160299A (ja) * | 2016-03-08 | 2017-09-14 | 日立化成株式会社 | 熱硬化性樹脂溶解液 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000198877A (ja) * | 1998-04-27 | 2000-07-18 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法および分解処理装置 |
JP2001172426A (ja) * | 1999-10-07 | 2001-06-26 | Hitachi Chem Co Ltd | エポキシ樹脂硬化物の処理方法 |
JP2002128950A (ja) * | 2000-10-27 | 2002-05-09 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法 |
JP2002128955A (ja) * | 2000-10-27 | 2002-05-09 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法、およびその分解処理装置 |
JP2002194137A (ja) * | 2000-12-22 | 2002-07-10 | Hitachi Chem Co Ltd | 不飽和ポリエステル樹脂硬化物用分解処理液、該処理液を用いた不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法及び複合材料の分離方法 |
-
2001
- 2001-07-19 JP JP2001219350A patent/JP4590797B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000198877A (ja) * | 1998-04-27 | 2000-07-18 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法および分解処理装置 |
JP2001172426A (ja) * | 1999-10-07 | 2001-06-26 | Hitachi Chem Co Ltd | エポキシ樹脂硬化物の処理方法 |
JP2002128950A (ja) * | 2000-10-27 | 2002-05-09 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法 |
JP2002128955A (ja) * | 2000-10-27 | 2002-05-09 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法、およびその分解処理装置 |
JP2002194137A (ja) * | 2000-12-22 | 2002-07-10 | Hitachi Chem Co Ltd | 不飽和ポリエステル樹脂硬化物用分解処理液、該処理液を用いた不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法及び複合材料の分離方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003026853A (ja) | 2003-01-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3994660B2 (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂硬化物用分解処理液、該処理液を用いた不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法及び複合材料の分離方法 | |
JP4894377B2 (ja) | シートモールディングコンパウンドの製造方法及び繊維強化プラスチック製品の製造方法 | |
JP4590797B2 (ja) | 熱硬化性組成物の溶解方法 | |
JP2003055475A (ja) | 再生繊維で強化された繊維強化プラスチック | |
JP2000198877A (ja) | 熱硬化性樹脂硬化物を含む製品の分解処理方法および分解処理装置 | |
JP2005255897A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液、および処理方法 | |
WO2009119742A1 (ja) | 熱硬化性樹脂の分解および分解生成物の回収方法 | |
JP4066877B2 (ja) | 充填材含有不飽和ポリエステル樹脂未硬化物からの充填材の回収方法 | |
JP2008255361A (ja) | 充填材の再利用方法 | |
JP4539130B2 (ja) | エポキシ樹脂硬化物用処理液、およびこれを用いた処理方法 | |
JP2003055474A (ja) | 再生繊維で強化された繊維強化プラスチック | |
JP5270871B2 (ja) | プラスチック用低収縮材とそれを用いたプラスチック成形品、プラスチック用低収縮材の製造方法、並びにプラスチックの回収・再利用方法 | |
JP2004059619A (ja) | 充填材を再利用した樹脂組成物 | |
JP4654537B2 (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理溶液、これを用いた処理方法および処理生成物 | |
JP4066876B2 (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂未硬化物の溶解方法 | |
JP2004059620A (ja) | 充填材を再利用した樹脂組成物 | |
JP4806757B2 (ja) | 熱硬化性樹脂の分解・回収方法 | |
JP4979568B2 (ja) | 熱硬化性樹脂の分解・回収方法 | |
JP2002226525A (ja) | 樹脂組成物及びそれを用いてなる加熱硬化方法 | |
JP2000178230A (ja) | 二塩基酸グリコールエステルの製造方法及び再生液状不飽和ポリエステル樹脂の製造方法 | |
JPS612747A (ja) | 電気絶縁材料の製造方法 | |
JPH07126430A (ja) | 廃プラスチックの液状化方法 | |
JP2003253042A (ja) | 熱硬化性樹脂用硬化剤、成形材料、硬化成形品およびその製造方法 | |
JP2003292648A (ja) | シートモールディングコンパウンド | |
JP4971124B2 (ja) | 熱硬化性樹脂の分解・回収方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080716 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080716 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100422 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100615 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100726 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100817 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100830 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130924 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |