JP2005255897A - 不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液、および処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】腐食性を低減した処理溶液を用い、なおかつ通常熱分解に必要とされる温度以下で効率的に不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理できる処理方法を提供し、これにより不飽和ポリエステル樹脂硬化物の再利用を容易にすることを目的とする。
【解決手段】リン酸塩から水分を除去したものを必須成分として含む処理液を用いて不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び/または溶解処理することでこれを可能とした。
【選択図】なし
【解決手段】リン酸塩から水分を除去したものを必須成分として含む処理液を用いて不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び/または溶解処理することでこれを可能とした。
【選択図】なし
Description
本発明は、小型船舶、自動車部品、鉄道車両部品、家具、浴槽、電化製品部品、貯水タンクなどに用いられる不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解あるいは溶解することにより、再利用することを可能にする処理液および処理方法に関する。
不飽和ポリエステル樹脂硬化物は、耐熱性、機械的性質、耐候性、耐薬品性、耐水性などに優れているため、種々の分野で利用されている。しかしながら、不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性樹脂であり、成形後は溶融せず、しかも汎用溶媒には不溶化するため、再利用が困難であった。また、力学的性質等を向上させるために配合する各種の充填材を溶解することが困難であり、これらの材料も再利用することができなかった。
不飽和ポリエステル樹脂の熱分解法としては、特許文献1に示されるように、水酸基の供給源とともに熱分解する方法があるが、当該文献に「樹脂の熱分解は、樹脂が約340〜900℃の温度範囲内、特に350℃〜450℃前後となるように加熱するのが好ましい」と明記されているように、不飽和ポリエステル樹脂の熱分解に必要な温度は一般に370〜390℃である。したがって、300℃以下の温度で、特殊な溶媒、触媒を使用して分解することは、一般的な意味での「熱分解」には当たらない。
不飽和ポリエステル樹脂を化学的に分解する方法としては、特許文献2に示されるような塩基と親水性溶媒を用いる方法、特許文献3に示されるような塩基と一価のアルコールを用いる方法、特許文献4に示されるようなグリコールを用いる方法、特許文献5に示されるようなジカルボン酸またはジアミンを用いる方法、特許文献6に示されるようなジエタノールアミンを用いる方法などがある。これらの方法は腐食性の化学物質を使用するため、安全上好ましくない。また、これら腐食性の化学物質を使用しない場合には、分解速度が著しく遅いため、実用的ではない。
特開平8−85736号公報
特開平8−113619号公報
特開平8−134340号公報
特開平8−225635号公報
特開平9−221565号公報
特開平9−316311号公報
以上を鑑み、本発明は、腐食性が低減され、なおかつ通常熱分解に必要とされる温度以下で効率的に不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理できる処理液およびこの処理液を用いた処理方法を提供し、これにより不飽和ポリエステル樹脂硬化物の再利用を容易にすることを目的とするものである。
この課題を解決するために、本発明では、有機溶媒中に水分を除去したリン酸塩を必須成分として含む処理液を用いて不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び/または溶解処理することでこれを可能とした。
すなわち、本発明は下記(1)〜(9)をその特徴とするものである。
(1)水分を除去したリン酸塩と、有機溶媒と、を含むことを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
(2)前記水分を除去したリン酸塩の水分含有率が5%未満であることを特徴とする上記(1)記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
(3)前記リン酸塩がアルカリ金属リン酸塩であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
(4)前記アルカリ金属リン酸塩がリン酸カリウム(K3PO4)であることを特徴とする上記(3)記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
(5)前記有機溶媒がアルコール系溶媒を含むことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
(6)前記アルコール系溶媒の沸点が170℃以上であることを特徴とする上記(5)記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項記載の処理液を用いて不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び/または溶解することを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法。
(8)処理中における前記処理液の温度が200℃以下であることを特徴とする上記(7)記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法。
(9)大気圧下で行うことを特徴とする上記(7)または(8)記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法。
不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び/または溶解して処理する際に用いる処理液として、有機溶媒中に水分を除去したリン酸塩を必須成分として含む処理液を用いることで、安全にかつ通常熱分解に必要とされる温度以下で、効率的に不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理、再利用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における処理の対象となる不飽和ポリエステル樹脂硬化物には、特に制限はなく、一般に知られている不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化物に本発明の処理液および処理方法を適用することができる。すなわち、不飽和及び飽和の二塩基酸、グリコール類、不飽和ビニルモノマー、重合防止剤、促進剤、充填材などの原料から構成されている。不飽和二塩基酸には無水マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等が、飽和二塩基酸には無水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、テトラブロモフタル酸、テレフタル酸、コハク酸等が、グリコール類にはプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が用いられる。また、不飽和モノマーとしては、共重合性の面からスチレンを用いるのが一般的である。さらに、重合防止剤には、キノン類、ヒドロキノン類が良く用いられる。
上記原料より不飽和ポリエステル樹脂硬化物を製造する一般的な方法は、脱水を伴う不飽和ポリエステルの重縮合反応工程と、これを不飽和ビニルモノマーに溶解した後、種々の添加剤を加えその特性を調整する工程からなる。合成中の諸条件として、温度は室温から250℃の範囲で硬化させることが多く、反応系内は任意の圧力下で窒素ガスなどの不活性ガスが導入される。
また、樹脂硬化物は必ずしも完全に硬化している必要性はなく、常温では流動しない程度に半硬化させたものでもよい。この例としては、不飽和ポリエステル樹脂を用いた成形材料がある。
不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理液で処理する際には、硬化物をそのままの大きさで処理してもよく、また、硬化物を破砕したのちに処理してもよい。破砕片の大きさには制限はなく、どのような大きさでもよい。すなわち、特に微小に破砕する必要はなく、処理装置の規模に合わせて処理可能な大きさに調整されていればよい。特に充填剤を分離・回収する場合は、充填剤を分離・回収する際の効率や、回収した充填剤を再利用する際の取り扱い性などに合わせて破砕片の大きさを調整することが好ましい。例えば、ガラス繊維など、細かく粉砕することによって再利用が難しくなる充填剤を回収する場合には、破砕片を10ミリメートル以上とすることが好ましい。装置の規模や処理工程、処理時間を考慮すると、不飽和ポリエステル樹脂硬化物またはその破砕片の最大径が10ミリメートル以上1.5メートル以下の範囲であることが好ましい。これよりも小さいと破砕の工程が長くなる傾向があり、これよりも大きいと処理時間が長くなる傾向がある。
不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理液で処理する際には、超音波振動を加えてもよい。超音波は人間の聴覚器官では捉えられない周波数の高い音波のことで、その周波数は一般的に20kHz以上であり、診断装置や洗浄器等に用いられている。
本発明の処理液は、有機溶媒中に、水分を除去したリン酸塩を必須成分として含む。なお、本発明において、「水分を除去したリン酸塩」とは、リン酸塩水和物を乾燥することによりその水分を除去したもの、もしくはリン酸塩の無水物を意味し、好ましくはその水分含有率は5%以下であり、より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1%以下である。5%を超える水分がリン酸塩に含まれていると、不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理効率を低下させる可能性があるが、1%以下であれば水分の影響はほとんど顕れない。なお、水分含有率は、カールフィッシャー滴定法を用いて測定することが可能である。リン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、パラジウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、錫、アンモニウム等のオルトリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩など、各種リン酸塩を用いることができる。溶媒への溶解性を考慮するとアルカリ金属のリン酸塩であることが好ましく、カリウムのリン酸塩であることが特に好ましい。また、リン酸塩は、1個の金属と2個の水素を有する第一塩、2個の金属と1個の水素を有する第二塩、3個の金属を有する第三塩などのリン酸水素塩でもよく、酸性塩、アルカリ性塩、中性塩のいずれでもよい。また、このようなリン酸塩は単独で使用しても、数種類を混合して使用してもよい。
リン酸塩水和物から水分を除去する方法は、特に限定されないが、例えば、リン酸塩が分解もしくは酸化等の変質をしない条件下において、加熱による乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、乾燥剤を利用する乾燥などにより行うことができる。
加熱による乾燥の場合、加熱温度の範囲は100℃以上、熱分解温度以下であることが好ましい。100℃以下では効率よく水分を除去できない可能性があり、熱分解温度以上では、加熱後の塩を処理液に添加しても、不飽和ポリエステル樹脂硬化物の分解もしくは溶解が生じない可能性がある。
100℃以上の加熱で分解等が生じる塩は、減圧下で乾燥してもよい。減圧の範囲は真空から大気圧以下であれば良く、100℃以下に加熱してもよい。
加熱を行わない場合は、乾燥剤を用いて乾燥しても良い。底部に、塩化カルシウム、青色シリカゲル、濃硫酸、五酸化リンなどの乾燥剤を入れたデシケーター内での乾燥が好ましい。さらにデシケーター内を上記と同様に減圧してもよい。
また、本発明の処理液の溶媒として使用する有機溶媒としては、特に限定されないが、アルコール系溶媒を含むことが好ましく、該アルコール系溶媒の沸点が170℃以上であることがより好ましい。アルコール系溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、iso-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、iso-ペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、3-メチル-2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、4-メチルシクロヘキサノール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、さらには、ポリエチレングリコール#200、ポリエチレングリコール#300、ポリエチレングリコール#400(いずれも関東化学株式会社製商品名)等に例示されるポリエチレングリコールなどがある。ポリエチレングリコールを用いる場合は、ポリエチレングリコールの平均分子量が500以下であることが溶解率の観点から好ましい。その他、アミド系、ケトン系、エーテル系、エステル系などの溶媒を混合して使用してもよい。これらの溶媒以外に、水以外であればどのようなものを併用してもよく、不純物が含まれていてもかまわない。
本発明の処理液中のリン酸塩の濃度は、上記有機溶媒に対し、0.001〜80重量%であることが好ましい。0.001重量%未満では樹脂硬化物の分解速度が遅くなる傾向があり、80重量%を超えると処理液を調整することが困難である。特に好ましい濃度としては、0.1〜20重量%である。また、リン酸類またはリン酸塩は、必ずしもすべてが有機溶媒に溶解する必要はなく、すべてが溶解していない飽和溶液においても、溶質は平衡状態にあり、リン酸類またはリン酸塩が失活した場合にはそれを補い、特に有効である。
また、本発明の処理液には、界面活性剤等を添加してもよい。
本発明の処理液を調製する際の温度はどのような温度でもよいが、常圧で調製する場合には、作業効率や液の取り扱い性などの観点から、使用する溶媒の凝固点以上、沸点以下であることが好ましい。処理液を調製する際の雰囲気は、大気中でもよく、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性気体中でもよく、常圧下、減圧下、加圧下のいずれでもよい。
本発明の処理方法としては、本発明の処理液中に処理対象となる不飽和ポリエステル樹脂硬化物を浸漬することによって行うことができ、また、処理速度を高めるために、処理液をスプレー等によって噴霧することもでき、これを高圧で吹き付けることもできる。
本発明の処理液を用いて不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理する際の条件としては、処理液が液状であればよく、特に制限はない。好ましくは、処理速度を調整するために、処理中における処理液の温度を溶媒の凝固点以上、沸点以下の温度とする。樹脂硬化物の熱分解や充填材の強度低下などによる回収材の品質低下を防ぐためには、処理液の温度を250℃以下にして処理することが好ましく、200℃以下にして処理することが特に好ましい。
本発明の処理液の使用時並びに保存時の雰囲気は、大気中でも、窒素、アルゴンまたは二酸化炭素等の不活性気体中でもよく、常圧下、減圧下または加圧下のいずれでもよい。安全性や作業の簡便性に優れる点で、常圧下に処理液を使用・保存することが好ましい。本発明では、不飽和ポリエステル樹脂硬化物の分解・溶解処理を大気中・大気圧下で行うことができる。すなわち、特定の気体雰囲気や特定の気圧を設定するための装置などを必ずしも必要としない。
本発明の処理方法により処理された結果生成する不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理生成物は、一般的な方法で分離し、再利用することができる。例えば、不純物を沈殿法などで分離し、溶媒を蒸留などで分離して得られた樹脂成分を樹脂原料として再利用することができる。また、金属やガラスなどの固形の充填剤を分離・回収する場合は、樹脂成分を処理液で分解又は溶解したのち、濾過やデカンテーション等により回収することができる。
さらに、一度以上使用された本発明の処理液は、必要とあれば必須成分であるリン酸塩を補充添加することで、新たな不飽和ポリエステル樹脂硬化物を処理するために繰り返し使用することが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
〔不飽和ポリエステル樹脂硬化物を含む複合材料の作製〕
温度計、攪拌機及び精留管を備えた2リットルの四つ口フラスコにプロピレングリコール578g、ジエチレングリコール318g、無水フタル酸444g、無水マレイン酸686gを仕込み、窒素ガスを通しながら4時間かけて210℃に昇温し、その温度で5時間反応させ、酸価が8になったことを確認したのち、160℃まで冷却し、さらに無水マレイン酸784gを仕込み、4時間かけて215℃に昇温した。その温度に保温して反応を進め、6時間で酸価29の不飽和ポリエステル樹脂を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂60重量部を、ハイドロキノン0.02重量部を溶解したスチレンモノマー40重量部に溶解して不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
温度計、攪拌機及び精留管を備えた2リットルの四つ口フラスコにプロピレングリコール578g、ジエチレングリコール318g、無水フタル酸444g、無水マレイン酸686gを仕込み、窒素ガスを通しながら4時間かけて210℃に昇温し、その温度で5時間反応させ、酸価が8になったことを確認したのち、160℃まで冷却し、さらに無水マレイン酸784gを仕込み、4時間かけて215℃に昇温した。その温度に保温して反応を進め、6時間で酸価29の不飽和ポリエステル樹脂を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂60重量部を、ハイドロキノン0.02重量部を溶解したスチレンモノマー40重量部に溶解して不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
この不飽和ポリエステル樹脂組成物に炭酸カルシウムを加えて十分に混合し、ガラス繊維に塗布して170℃で1時間加熱硬化させ、不飽和ポリエステル樹脂硬化物40重量%、炭酸カルシウム40重量%及びガラス繊維20重量%から構成される複合材料を作製し、これを用いて10mm×30mm×3mmの試験片を作製した。
(実施例1)
リン酸カリウム水和物(7.27g)から水分を除去したもの5.66gと、ジエチレングリコールモノメチルエーテル80.0gとを四つ口フラスコに秤量し、室温で穏やかに撹拌することで処理液を調製した。リン酸カリウム水和物の水分除去は、300℃の乾燥機中で1時間加熱して行った。乾燥後の水分量をカールフィッシャー滴定法により測定した結果、1.2%であった。
リン酸カリウム水和物(7.27g)から水分を除去したもの5.66gと、ジエチレングリコールモノメチルエーテル80.0gとを四つ口フラスコに秤量し、室温で穏やかに撹拌することで処理液を調製した。リン酸カリウム水和物の水分除去は、300℃の乾燥機中で1時間加熱して行った。乾燥後の水分量をカールフィッシャー滴定法により測定した結果、1.2%であった。
ついで、上記処理液が入ったフラスコに温度計、コンデンサ、窒素導入口を取り付け、処理液を窒素気流中で穏やかに攪拌しながら、オイルバスを使用して190℃の範囲に加温した。試験片の質量を測定した後、加温された処理液中に試験片を浸漬し、4時間後に取り出して再びその質量を測定した。処理前後の試験片の質量変化量を、試験片の樹脂分の質量で除し、樹脂硬化物の溶解率を算出した。結果を表1に示す。なお、処理後の質量は、樹脂硬化物の分解により処理液中に沈降したガラス繊維と充填材の質量を加算した。
(実施例2)
処理液の有機溶媒として、ジエチレングリコールモノメチルエーテルに替えてベンジルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
処理液の有機溶媒として、ジエチレングリコールモノメチルエーテルに替えてベンジルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
(実施例3)
試験片処理時の処理液の温度を210℃とした以外は、実施例2と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
試験片処理時の処理液の温度を210℃とした以外は、実施例2と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
(比較例1)
リン酸カリウム水和物の水分除去を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
リン酸カリウム水和物の水分除去を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
(比較例2)
リン酸カリウム水和物の水分除去を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
リン酸カリウム水和物の水分除去を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、試験片の処理を行った。溶解率の結果を表1に示す。
表1に示したように、リン酸カリウム水和物から水分を除去することにより、溶解率がおよそ30%〜50%であったものが、およそ40%〜95%に向上した。
Claims (9)
- 水分を除去したリン酸塩と、有機溶媒と、を含むことを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
- 前記水分を除去したリン酸塩の水分含有率が5%未満であることを特徴とする請求項1記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
- 前記リン酸塩がアルカリ金属リン酸塩であることを特徴とする請求項1または2記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
- 前記アルカリ金属リン酸塩がリン酸カリウム(K3PO4)であることを特徴とする請求項3記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
- 前記有機溶媒がアルコール系溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
- 前記アルコール系溶媒の沸点が170℃以上であることを特徴とする請求項5記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物用処理液。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の処理液を用いて不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び/または溶解することを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法。
- 処理中における前記処理液の温度が200℃以下であることを特徴とする請求項7記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法。
- 大気圧下で行うことを特徴とする請求項7または8記載の不飽和ポリエステル樹脂硬化物の処理方法。
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