JP6677254B2 - 熱硬化性樹脂硬化物の処理方法 - Google Patents

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Description

本開示は、熱硬化性樹脂硬化物の処理方法に関する。
ガラス繊維等の繊維を強化材として用いた繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics;FRP)は、軽量、高強度、かつ高弾性の材料であり、小型船舶、自動車、鉄道車両等の部材に幅広く使用されている。また、更なる軽量化、高強度化、及び高弾性化を目的として、炭素繊維を強化材として用いた炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics;CFRP)が開発されており、航空機、自動車等の部材に使用されている。
CFRPは、例えば、炭素繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させて加熱することによりプリプレグを得た後、プリプレグをオートクレーブ内で加圧しながら焼成することにより製造される。
最終的な形状のCFRPを製造する過程では、プリプレグ及びCFRPの端材が大量に生じる。また、CFRPを用いた部材を廃棄する際にも、CFRPの廃材が大量に生じる。そこで、CFRP又はプリプレグから炭素繊維を回収し、リサイクルに供することが望まれている。
CFRP又はプリプレグから炭素繊維を回収するには、熱硬化性樹脂硬化物を除去する必要がある。従来、熱硬化性樹脂硬化物を除去する処理方法としては、1)500℃〜700℃程度の高温で燃焼して熱硬化性樹脂硬化物を熱分解する方法、2)処理液を用いて熱硬化性樹脂硬化物を分解(解重合)及び溶解する方法、等が知られている。特に、上記2)の処理方法は、炭素繊維の損傷が少ない等の利点があり、種々の処理方法が提案されている。
例えば、特開2001−172426号公報には、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、リン酸、リン酸塩、有機酸、及び有機酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の触媒と、アミド溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、及びエーテル溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒とを含有する処理液を用いて、エポキシ樹脂硬化物を分解及び溶解する処理方法が開示されている。
また、特開2002−194137号公報には、リン酸、亜リン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種のリン酸類と、有機溶媒とを含有する処理液を用いて、不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び溶解する処理方法が開示されている。
また、特開2003−26853号公報には、リン酸水和物又はリン酸塩水和物と有機溶媒とを含有する処理液により不飽和ポリエステル樹脂硬化物を分解及び溶解しながら、処理液中の水分を除去する処理方法が開示されている。
また、特開2005−255899号公報には、水分を除去したアルカリ金属リン酸塩とベンジルアルコールとを含有する処理液を用いて、酸無水物硬化エポキシ樹脂を分解及び溶解する処理方法が開示されている。
しかし、処理液を用いた従来の処理方法は、いずれも熱硬化性樹脂硬化物の分解効率が十分とはいえず、より分解効率に優れた処理方法が求められる。
本開示は、熱硬化性樹脂硬化物を効率的に分解及び溶解することが可能な処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 熱硬化性樹脂硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含有する処理液に接触させ、前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する処理工程を有し、
前記処理液の調製後から前記処理工程が終了するまでの少なくとも一部で前記処理液中の水分を除去する、熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<2> 前記処理工程よりも前に前記処理液中の水分を除去する、<1>に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<3> 前記処理工程の少なくとも一部で前記処理液中の水分を除去する、<1>又は<2>に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<4> 前記処理対象物を前記処理液中に浸漬することにより前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<5> 前記処理工程における前記処理液の温度が100℃以上である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<6> 前記熱硬化性樹脂硬化物がエポキシ樹脂硬化物を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<7> 前記熱硬化性樹脂硬化物が酸無水物硬化エポキシ樹脂を含む、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<8> 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<9> 前記アルコール溶媒が、大気圧における沸点が105℃以上の溶媒を含む、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<10> 前記アルコール溶媒がベンジルアルコールを含む、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<11> 前記処理対象物が無機材料を更に含む、<1>〜<10>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<12> 前記無機材料が炭素繊維を含む、<11>に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
<13> 前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解した後、前記無機材料を分離する工程を更に有する、<11>又は<12>に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
本開示によれば、熱硬化性樹脂硬化物を効率的に分解及び溶解することが可能な処理方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において各成分の含有率は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
<熱硬化性樹脂硬化物の処理方法>
本実施形態の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法(以下、単に「本実施形態の処理方法」ともいう。)は、熱硬化性樹脂硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含有する処理液に接触させ、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する処理工程を有し、処理液の調製後から処理工程が終了するまでの少なくとも一部で処理液中の水分を除去する。処理液中の水分を除去するタイミングは、処理工程よりも前であってもよく、処理工程の少なくとも一部であってもよく、その両方であってもよい。本実施形態の処理方法は、必要に応じて他の工程を更に有していてもよい。
本実施形態の処理方法によれば、熱硬化性樹脂硬化物を効率的に分解及び溶解することができる。その理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推察している。
例えば、リン酸三カリウム及びアルコール溶媒を含有する処理液を加熱すると、アルコール溶媒のヒドロキシ基の水素原子とリン酸三カリウムのカリウム原子との交換反応により、カリウムアルコキシド及びリン酸水素二カリウムが生じると考えられる。一方、水酸化カリウム及びアルコール溶媒を含有する処理液を加熱すると、アルコール溶媒のヒドロキシ基の水素原子と水酸化カリウムのカリウム原子との交換反応により、カリウムアルコキシド及び水が生じると考えられる。すなわち、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含有する処理液を加熱すると、アルカリ金属アルコキシド及び水が生じると考えられる。このとき、処理液中の水分含有率を低下させることで、アルカリ金属アルコキシドが生成する反応が促進される。
アルカリ金属アルコキシドは、熱硬化性樹脂硬化物中のエステル結合部等を切断することにより、熱硬化性樹脂硬化物を分解する。アルカリ金属水酸化物は、アルカリ金属リン酸塩と比較して塩基性が強いため、同モル数を添加した際のアルカリ金属アルコキシドの生成量が多くなる。このため、アルカリ金属水酸化物は、リン酸三カリウム等のアルカリ金属リン酸塩と比較して、熱硬化性樹脂硬化物を分解する際の触媒活性に優れる。また、アルコール溶媒は、熱硬化性樹脂硬化物を分解した分解生成物の溶解性に優れる。
なお、アルカリ金属水酸化物とアルコール溶媒とを含有する処理液を加熱する際に発生する水分を除去しない場合、この水分が原因となってアルカリ金属アルコキシドの生成量が増加しないため、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率が低下してしまう。
本実施形態の処理方法では、処理液の調製後から処理工程が終了するまでの少なくとも一部で処理液中の水分を除去するため、熱硬化性樹脂硬化物を効率的に分解及び溶解することができると考えられる。
以下では、まず、本実施形態の処理方法で用いられる処理液及び水分の除去方法について説明し、次いで、処理対象物と処理方法について説明する。
(処理液)
本実施形態の処理方法で用いられる処理液は、アルカリ金属水酸化物とアルコール溶媒とを含有する。処理液は、必要に応じて他の成分を更に含有していてもよい。
アルカリ金属水酸化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。アルカリ金属水酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属水酸化物としては、アルコール溶媒への溶解性が良好であり、触媒活性(イオン活性)が高く、また、分子量が小さく重量単価が低い等の点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、水酸化ナトリウムを含むことがより好ましい。
処理液中のアルカリ金属水酸化物の含有率は、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率をより向上させる観点から、アルコール溶媒1000gに対する合計量として、0.01mol以上であることが好ましく、0.10mol以上であることがより好ましく、0.30mol以上であることが更に好ましい。また、処理液中のアルカリ金属水酸化物の含有率は、分解生成物の溶解性を高め、処理液の調製を容易にする観点から、アルコール溶媒1000gに対する合計量として、10.00mol以下であることが好ましく、5.00mol以下であることがより好ましく、3.00mol以下であることが更に好ましく、1.00mol以下であることが特に好ましい。
アルカリ金属水酸化物は、固体の状態でアルコール溶媒と混合してもよく、水溶液の状態でアルコール溶媒と混合してもよい。アルカリ金属水酸化物は吸湿性及び潮解性を有することから、アルカリ金属水酸化物を固体の状態で使用する場合には、処理液の水分含有率を低下させるため、十分に乾燥してからアルコール溶媒と混合することが好ましい。また、アルカリ金属水酸化物を水溶液の状態で使用する場合には、水溶液の濃度を10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましい。10質量%以上の高濃度の水溶液とすることで、処理液から除去する水分の量を減らすことができる。
アルコール溶媒としては、特に制限されず、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜400)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。アルコール溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール溶媒としては、処理液から水分を除去する観点から、大気圧における沸点が水の沸点よりも高い溶媒(以下、「高沸点溶媒」ともいう。)を含むことが好ましい。高沸点溶媒の大気圧における沸点は、水分との分離精度を高める観点から、105℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。また、分解生成物の溶解性の観点から、アルコール溶媒としては、ベンジルアルコールを含むことが好ましい。
処理液は、必要に応じて他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、界面活性剤、低粘度溶媒等が挙げられる。
処理液の中でも、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率をより向上させる観点から、アルカリ金属水酸化物として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含み、アルコール溶媒としてベンジルアルコールを含む処理液が好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の合計の含有率が、アルコール溶媒1000g中に0.01mol〜3.00molである処理液がより好ましい。
(処理液中の水分の除去方法)
処理液中の水分を除去する方法は特に制限されず、大気圧下で水分を揮発させることによって除去してもよく、減圧下で水分を揮発させることによって除去してもよい。処理設備を簡素化する観点からは、大気圧下で水分を揮発させることが好ましい。処理液中の水分を除去することにより、熱硬化性樹脂硬化物をより効率的に分解及び溶解することができる。なお、水分除去は、処理液の調製後から処理工程が終了するまでの少なくとも一部で行えばよく、処理工程よりも前に行ってもよく、処理工程の少なくとも一部で行ってもよく、その両方で行ってもよい。処理工程の少なくとも一部で水分除去を行う場合、熱硬化性樹脂硬化物をより効率的に分解及び溶解する観点から、処理工程の全部で水分除去を行うことが好ましい。
[加熱による水分除去]
処理液中の水分を除去する方法の一例としては、例えば、処理液を加熱することが挙げられる。処理液を加熱することで、処理液中の水分の蒸気圧が増大し、処理液表面からの水分除去が促進される。特に、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含有する処理液を加熱することで、アルカリ金属アルコキシドが生成する反応を促進することができる。
処理液の加熱温度は、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒の種類に応じて適宜設定することができる。処理液の加熱温度は、例えば、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。処理液の加熱温度を100℃以上とすることで、アルカリ金属水酸化物とアルコール溶媒との反応が十分に進行し、実用的な分解効率が得られる傾向にある。なお、処理液の加熱温度は、アルコール溶媒の沸点未満とすることが好ましい。
処理液の加熱方法は特に制限されない。例えば、処理液をヒーターで直接加熱してもよく、処理液の入った容器をヒーターで間接的に加熱してもよい。また、例えば、オイル、水、蒸気等の熱媒を用いて加熱してもよい。
[バブリングによる水分除去]
処理液中の水分を除去する方法の他の例としては、例えば、バブリングを行うことが挙げられる。処理液にバブリングを行うことで、処理液中の水分が水蒸気となって溶液から排出されやすくなる。また、処理液を加熱しながらバブリングを行うことで、より効率的に水分を除去することが可能となる。
バブリングに使用するガスは特に制限されず、大気でもよく、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスでもよい。処理液を加熱しながらバブリングを行う場合には、反応性等を考慮し、不活性ガスを使用することが好ましい。
[蒸気の冷却]
処理液を加熱し、処理液中の水分を除去する方法においては、水分だけでなくアルコール溶媒の一部も揮発する。そこで、加熱によって生じた蒸気を冷却し、揮発したアルコール溶媒を液化させてもよい。アルコール溶媒と水との沸点の違いを利用して、水蒸気のみが結露しにくいような温度にまで蒸気を冷却することで、アルコール溶媒の減少を抑制することができる。
蒸気の冷却温度は、アルコール溶媒の種類、バブリングした場合のガス流量等に応じて適宜設定することができる。蒸気の冷却温度は、例えば、20℃以上190℃未満であることが好ましく、60℃以上170℃未満であることがより好ましい。蒸気の冷却温度を20℃以上とすることで、水分の蒸気圧が高くなり、水分の除去効率がより向上する。また、蒸気の冷却温度を190℃未満とすることで、アルコール溶媒の減少をより抑制することができる。
[水分含有率の評価方法]
処理液中の水分含有率は、例えば、カールフィッシャー法により評価することができる。処理液中の水分含有率は、処理液の沸点の大幅な低下を抑制する観点から、3質量%未満であることが好ましく、熱硬化性樹脂硬化物をより効率的に分解及び溶解する観点から、1質量%未満であることがより好ましく、0.5質量%未満であることが更に好ましい。
(処理対象物)
本実施形態の処理方法における処理対象物は、熱硬化性樹脂硬化物を含む。熱硬化性樹脂硬化物としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。熱硬化性樹脂硬化物は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂硬化物としては、前述した処理液による分解効率をより向上させる観点から、エポキシ樹脂硬化物及び不飽和ポリエステル樹脂硬化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、エポキシ樹脂硬化物を含むことがより好ましい。
処理対象物は、熱硬化性樹脂硬化物のほかに、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
処理対象物は、例えば、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物を加熱し、熱硬化性樹脂の少なくとも一部を硬化させることにより得られる。処理対象物には、未硬化の熱硬化性樹脂が含まれていてもよい。
処理対象物がエポキシ樹脂硬化物を含む場合、処理対象物は、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、及び必要に応じて硬化促進剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を加熱し、エポキシ樹脂の少なくとも一部を硬化させることにより得られる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール化合物のジグリシジルエーテル化物、アルコール化合物のジグリシジルエーテル化物、これらのアルキル置換体、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化剤としては酸無水物が好ましい。すなわち、処理対象物は、酸無水物硬化エポキシ樹脂を含むことが好ましい。酸無水物硬化エポキシ樹脂は、分子内にエステル結合を有し、前述した処理液を用いてより効率的に分解することができる。
酸無水物としては、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、コハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、クロレンディック酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、グリセロールトリストリメリテート三無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、第三級アミン化合物、第四級アンモニウム塩、有機リン化合物等が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理対象物は、無機材料を更に含むことが好ましい。無機材料としては、炭素、ガラス、金属、金属化合物等が挙げられる。また、無機材料の形状としては、繊維、粒子、箔等が挙げられる。繊維は、不織布状であっても織布状であってもよく、織布状の場合、繊維束を織って作製したクロス材であってもよく、繊維束を一方向に配列したUD(Uni-Direction)材であってもよい。無機材料は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
処理対象物は、無機材料の中でも、炭素繊維を含むことが好ましい。本実施形態の処理方法により処理対象物を処理することで、処理対象物に含まれる炭素繊維を回収し、リサイクルに供することが可能となる。炭素繊維は、アクリル樹脂を原料とするものであってもよく、ピッチを原料とするものであってもよい。
炭素繊維を含む処理対象物は、例えば、炭素繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、加熱することにより得られる。炭素繊維を含む処理対象物は、熱硬化性樹脂が半硬化したBステージ状態のプリプレグであってもよく、熱硬化性樹脂が硬化したCステージ状態の硬化体(CFRP)であってもよい。
処理対象物の大きさは特に制限されず、処理装置の規模に合わせて処理可能な大きさに調整されていればよい。処理時間を短縮する観点からは、処理対象物は小さい方が好ましい。一方、処理対象物が炭素繊維等の無機材料を含む場合、回収した無機材料をリサイクルする観点からは、処理対象物は大きい方が好ましい。ある実施態様では、処理対象物の大きさは、0.1cm〜1.5mの範囲に調整される。なお、炭素繊維を含む処理対象物が小さく裁断されている場合、回収した炭素繊維は、例えば、不織布の作製に用いることができる。
(処理方法)
本実施形態の処理方法は、熱硬化性樹脂硬化物を含む処理対象物を前述した処理液に接触させ、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する処理工程を有する。この処理工程の少なくとも一部で処理液中の水分を除去してもよい。
処理液を用いて熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する方法は特に制限されず、処理対象物を処理液中に浸漬してもよく、処理液をスプレー等によって処理対象物に吹き付けてもよい。熱硬化性樹脂硬化物をより効率的に分解及び溶解する観点からは、処理対象物を処理液中に浸漬することが好ましい。
ある実施態様では、処理対象物を容器内の処理液中に浸漬し、必要に応じて処理液を撹拌することにより、熱硬化性樹脂の硬化物を分解及び溶解する。撹拌方法は特に制限されず、撹拌羽根を用いる方法、噴流を生じさせる方法、容器を搖動する方法、不活性気体の気泡を生じさせる方法、超音波を印加する方法等が挙げられる。
処理液を用いて熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する際の雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気であってもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であってもよい。
処理対象物が無機材料を含む場合、本実施形態の処理方法は、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解した後、無機材料を分離する分離工程を更に有することが好ましい。
無機材料は、例えば、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解した後の処理液を濾過することにより、処理液から分離することができる。分離工程を経て回収した無機材料は、リサイクルに供することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[試験片の準備]
炭素繊維としてトレカ(登録商標)T300(東レ株式会社製)を用いたトレカ(登録商標)プリプレグ(東レ株式会社製)を10mm×40mmの大きさに切断し、試験片とした。
[処理液の調製]
試験管に、ベンジルアルコール(BZA)10gと、ベンジルアルコール1000gあたり2.00molの割合となるように、触媒である水酸化ナトリウム0.02mol(0.8g)とをそれぞれ秤量し、スパチュラで静かに底から撹拌しながら、オイルバスを用いて試験管内の温度が190℃±2℃になるように加熱したところ、100℃〜190℃の範囲で、気泡の形で水分が発生した。加熱を続けることで大気中に水分を排出し、処理液を調製した。
調製した処理液の一部を採取し、原子吸光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いてナトリウム濃度を測定したところ、2.0mol/kgであった。また、処理液の一部を採取し、カールフィッシャー水分計(京都電子工業株式会社製、MKC−610)を用いて水分濃度を測定したところ、0.125質量%であった。
[試験片の分解及び溶解]
処理液の温度が190℃±2℃に達したら、試験片2.0gを静かに投入し、大気雰囲気かつ大気圧の条件下、処理液の温度を190℃±2℃に維持して1時間処理した。その後、試験管を取り出し、氷水に浸して冷却した。室温(25℃)以下に冷却した後、処理液と処理後の溶解残渣とをガラス漏斗にとり、吸引濾過により処理液と溶解残渣とを分離した。溶解残渣は、ガラス漏斗上にてベンジルアルコール20mL、水20mLの順に洗浄した。洗浄後の溶解残渣をステンレスシャーレに取り、恒温槽中にて、0℃で30分間、110℃で30分間、170℃で30分間、210℃で60分間の順に加熱乾燥し、溶解残渣を回収した。
そして、以下の式に従って、試験片の溶解率(%)を算出した。その結果、試験片の溶解率は42.7%であった。
試験片の溶解率(%)=100×(処理前の試験片の質量−処理後の溶解残渣の質量)/処理前の試験片の質量
(実施例2)
実施例1におけるベンジルアルコール(BZA)10gを1,4−ブタンジオール(BDO)10gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で処理液を調製した。そして、調製した処理液を用いて、実施例1と同様の方法で試験片を処理した。その結果、試験片の溶解率は42.8%であった。
(実施例3)
実施例1における水酸化ナトリウム0.02mol(0.8g)を水酸化カリウム0.02mol(1.12g)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で処理液を調製した。そして、調製した処理液を用いて、実施例1と同様の方法で試験片を処理した。その結果、試験片の溶解率は43.5%であった。
(実施例4)
実施例1におけるベンジルアルコール(BZA)10gを1,4−ブタンジオール(BDO)10gに変更し、また、水酸化ナトリウム(0.8g)を水酸化カリウム(1.12g)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で処理液を調製した。そして、調製した処理液を用いて、実施例1と同様の方法で試験片を処理した。その結果、試験片の溶解率は43.5%であった。
(比較例1)
実施例1における水酸化ナトリウム0.02mol(0.8g)を十分に乾燥したリン酸三カリウム0.02mol(4.25g)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で処理液を調製した。そして、調製した処理液を用いて、実施例1と同様の方法で試験片を処理した。但し、昇温過程で水分は発生しなかったため、水分の除去は行わなかった。その結果、試験片の溶解率は41.7%であった。
(実施例5)
[試験片の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、YD−8125、エポキシ当量:172.4g/eq)215.5g、硬化剤としてイソホロンジアミン(東京化成工業株式会社製、活性水素当量:42.6g/eq)53.2g、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、2E4MZ−CN)2.04gを、60℃に加熱した乳鉢に量り取った後、乳棒を用いて約3分間撹拌し、混合した。得られたエポキシ樹脂組成物を底面の直径が130mmのアルミニウムカップ5個に、それぞれ50.0gずつ量り取った。アルミカップをステンレスバットに並べて、穴をあけたステンレスの蓋を被せて水平を保ちながら、恒温槽中にて、80℃で30分間、150℃で60分間の順に加熱した。加熱後に、熱いままバットから取り出し、室温(25℃)の定盤に載せて急冷した。室温(25℃)まで冷却した後、アルミカップを引き剥がして、厚さ3mmのエポキシ樹脂硬化物の板(EP樹脂板)を得た。このEP樹脂板を40mm×10mmに切断し、試験片とした。
[試験片の分解及び溶解]
各試験片に含まれている水分等の揮発成分を除去するために、恒温槽を用いて、試験片を110℃で3.0時間乾燥した。次に、試験片1.0gを秤量して、50mL試験管に投入した。
この試験管に、ベンジルアルコール(BZA)10gと、ベンジルアルコール1000gあたり2.00molの割合となるように、触媒である水酸化ナトリウム0.02mol(0.8g)とをそれぞれ秤量して加えた。その後、150℃に調整したオイルバスに試験管を投入し、約10分毎に約1分間、スパチュラを用いて撹拌しながら、オイルバスの温度を昇温させて、1.0時間かけて190℃まで昇温させた。処理液の温度が190℃に達した後は、約30分毎に約1分間、スパチュラを用いて撹拌した。処理液を昇温させる過程で発生した水の気泡は大気中に排出させた。大気雰囲気かつ大気圧の条件下、処理液の温度を190℃に維持して処理液中の水分を除去しながら、試験片を10時間処理した。
その後、試験管を取り出し、氷水に浸して冷却した。室温(25℃)以下に冷却した後、処理液と処理後の溶解残渣とをガラス漏斗にとり、吸引濾過により処理液と溶解残渣とを分離した。溶解残渣は、ガラス漏斗上にてベンジルアルコール20mL、水20mLの順に洗浄した。洗浄後の溶解残渣をステンレスシャーレに取り、恒温槽中にて、0℃で30分間、110℃で30分間、170℃で30分間、210℃で60分間の順に加熱乾燥し、溶解残渣を回収した。
そして、以下の式に従って、試験片の溶解率(%)を算出した。その結果、試験片の溶解率は100%であった。
試験片の溶解率(%)=100×(処理前の試験片の質量−処理後の溶解残渣の質量)/処理前の試験片の質量
(実施例6)
実施例5におけるベンジルアルコール(BZA)10gをテトラエチレングリコール(TEG)10gに変更し、また、処理温度190℃を220℃に変更した以外は、実施例5と同様の方法で試験片を処理した。その結果、試験片の溶解率は100%であった。
(実施例7)
実施例5におけるベンジルアルコール(BZA)10gを1,4−ブタンジオール(BDO)10gに変更し、また、処理温度190℃を220℃に変更した以外は、実施例5と同様の方法で試験片を処理した。その結果、試験片の溶解率は100%であった。
(比較例2)
実施例5における水酸化ナトリウム0.02mol(0.8g)を十分に乾燥したリン酸三ナトリウム0.02mol(3.28g)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で試験片を処理した。但し、昇温過程で水分は発生しなかったため、水分の除去は行わなかった。その結果、試験片の溶解率は1%未満であった。
(実施例8)
[試験片の準備]
炭素繊維としてトレカ(登録商標)T300(東レ株式会社製)を用いたトレカ(登録商標)プリプレグ(東レ株式会社製)を5mm×40mmの大きさに切断し、試験片とした。
[試験片の分解及び溶解]
密閉可能な10mLのSUS容器に、試験片1.2gを投入した。更に、ベンジルアルコール(BZA)6gと、ベンジルアルコール1000gあたり0.50molの割合となるように、触媒である水酸化ナトリウム0.003mol(0.12g)とをそれぞれ秤量し投入した。その後、SUS容器を密閉しない状態で190℃に加熱した防爆乾燥機内に投入し、処理液の温度が190℃に達するまでの間、処理液中の水分を除去した。そして、SUS容器の内温が190℃±2℃になった時点を起点として1時間保持し、連続的に溶解処理を行った。
その後、SUS容器を取り出し、氷水に浸して冷却した。室温(25℃)以下に冷却した処理液と処理後の溶解残渣とをガラス漏斗にとり、吸引濾過により処理液と溶解残渣とを分離した。溶解残渣は、ガラス漏斗上にてベンジルアルコール20mL、水20mLの順に洗浄した。洗浄後の溶解残渣をステンレスシャーレに取り、恒温槽中にて、0℃で30分間、110℃で30分間、170℃で30分間、210℃で60分間の順に加熱乾燥し、溶解残渣を回収した。
そして、以下の式に従って、試験片の溶解率(%)を算出した。その結果、試験片の溶解率は43.2%であった。
試験片の溶解率(%)=100×(処理前の試験片の質量−処理後の溶解残渣の質量)/処理前の試験片の質量
(比較例3)
実施例8において、SUS容器を密閉しない状態で防爆乾燥機に投入する代わりに、SUS容器を密閉した状態で防爆乾燥機に投入したこと以外は、実施例8と同様の方法で試験片を処理した。SUS容器を密閉したことで、発生する水分は除去されずに容器内に留まった。その結果、試験片の溶解率は41.6%であった。
実施例1〜8及び比較例1〜3の結果を以下の表1に纏める。
表1から分かるように、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含有する処理液を用い、かつ、処理液中の水分を除去した実施例1〜8は、アルカリ金属水酸化物の代わりにアルカリ金属リン酸塩を用い、かつ、処理液中の水分を除去しなかった比較例1〜2、並びにアルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含有する処理液を用いたものの、処理液中の水分を除去しなかった比較例3と比較して、試験片の溶解率が向上した。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. 熱硬化性樹脂硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含有する処理液に接触させ、前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する処理工程を有し、
    前記処理液の調製後、前記処理工程より前に、前記処理液中の水分を除去する、熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  2. さらに、前記処理工程の少なくとも一部で前記処理液中の水分を除去する、請求項1に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  3. 前記処理対象物を前記処理液中に浸漬することにより前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する、請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  4. 前記処理工程における前記処理液の温度が100℃以上である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  5. 前記熱硬化性樹脂硬化物がエポキシ樹脂硬化物を含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  6. 前記熱硬化性樹脂硬化物が酸無水物硬化エポキシ樹脂を含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  7. 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  8. 前記アルコール溶媒が、大気圧における沸点が105℃以上の溶媒を含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  9. 前記アルコール溶媒がベンジルアルコールを含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  10. 前記処理対象物が無機材料を更に含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  11. 前記無機材料が炭素繊維を含む、請求項10に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  12. 前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解した後、前記無機材料を分離する工程を更に有する、請求項10又は請求項11に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
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