JP2020040302A - 両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法 - Google Patents

両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020040302A
JP2020040302A JP2018169822A JP2018169822A JP2020040302A JP 2020040302 A JP2020040302 A JP 2020040302A JP 2018169822 A JP2018169822 A JP 2018169822A JP 2018169822 A JP2018169822 A JP 2018169822A JP 2020040302 A JP2020040302 A JP 2020040302A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amphoteric metal
treatment liquid
recovering
thermosetting resin
amphoteric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018169822A
Other languages
English (en)
Inventor
圭一 春日
Keiichi Kasuga
圭一 春日
俊輔 上田
Shunsuke Ueda
俊輔 上田
清水 明
Akira Shimizu
明 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2018169822A priority Critical patent/JP2020040302A/ja
Publication of JP2020040302A publication Critical patent/JP2020040302A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

【課題】処理対象物から回収される両性金属の損傷を抑制可能な両性金属の回収方法を提供する。【解決手段】水分の含有率が0.3質量%以下であり、アルカリ成分を含む処理液を、熱硬化性樹脂及び両性金属を含む処理対象物に接触させて、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程を含む両性金属の回収方法。【選択図】なし

Description

本開示は、両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法に関する。
地球資源の有効利用を促進する上で、自動車等に使用された複合部材の廃材などから無機物を分離回収し、再利用することは重要である。例えば、自動車では、軽量化の観点から鉄に替わってアルミニウム等の軽量な金属、樹脂などを使用する需要が伸びており、これら金属と熱硬化性樹脂の硬化物との複合化も進んでいる。そのため、金属と熱硬化性樹脂の硬化物との複合部材から金属を回収して再利用するためには、金属の損傷を抑えつつ、熱硬化性樹脂の硬化物を除去することが好ましい。
複合部材(処理対象物)から熱硬化性樹脂の硬化物を除去する処理方法としては、熱分解法、溶解法等が知られている。例えば、熱分解法としては、500℃〜700℃程度の高温で複合部材を燃焼して熱硬化性樹脂の硬化物を熱分解する方法が挙げられる。また、溶解法としては、処理液を用いて熱硬化性樹脂の硬化物を分解(解重合)及び溶解する方法が挙げられる。特に、溶解法は、処理エネルギーが低い等の利点があり、様々な複合部材への適用が検討されている。
溶解法としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、リン酸、リン酸塩、有機酸、及び有機酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の触媒と、アミド溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、及びエーテル溶媒からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒とを含有する処理液を用いて、エポキシ樹脂硬化物を分解及び溶解する処理方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−172426号公報
しかし、処理液を用いた従来の処理方法では、処理対象物中の金属がアルミニウム、鉛等の両性金属である場合、処理液中のアルカリ成分と、これらの両性金属とが反応してしまい、両性金属が溶解等しやすい。そのため、回収された両性金属が損傷している等の問題があり、処理液を用いた従来の処理方法について改善の余地がある。
本開示は、処理対象物から回収される両性金属の損傷を抑制可能な両性金属の回収方法、及び両性金属の損傷が抑制された再生両性金属の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 水分の含有率が0.3質量%以下であり、アルカリ成分を含む処理液を、熱硬化性樹脂硬化物及び両性金属を含む処理対象物に接触させて、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程を含む両性金属の回収方法。
<2> 前記アルカリ成分は、アルカリ金属化合物を含む<1>に記載の両性金属の回収方法。
<3> 前記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属水酸化物を含む<2>に記載の両性金属の回収方法。
<4> 前記処理液は、アルコール溶媒を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の両性金属の回収方法。
<5> 前記処理液における前記水分の含有率は、0.1質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の両性金属の回収方法。
<6> アルカリ成分を含む処理液中の水分を除去して、前記水分の含有率が0.3質量%以下であり、アルカリ成分を含む処理液を準備する工程を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の両性金属の回収方法。
<7> 前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程では、前記処理液への外気からの水分の混入が抑制された条件にて、前記処理液を前記処理対象物に接触させる<1>〜<6>のいずれか1つに記載の両性金属の回収方法。
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の両性金属の回収方法により、前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解して再生両性金属を製造する再生両性金属の製造方法。
本開示によれば、処理対象物から回収される両性金属の損傷を抑制可能な両性金属の回収方法、及び両性金属の損傷が抑制された再生両性金属の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中及び処理液中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率及び含有量は、特に断らない限り、組成物中及び処理液中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率及び含有量を意味する。
<両性金属の回収方法>
本開示の両性金属の回収方法は、水分の含有率が0.3質量%以下であり、アルカリ成分を含む処理液(以下、「特定の処理液」ともいう。)を、熱硬化性樹脂硬化物及び両性金属を含む処理対象物に接触させて、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程を含む。本開示の両性金属の回収方法では、特定の処理液を用いることにより、処理対象物を構成する熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解することができ、処理対象物から両性金属を回収できる。更に、水分の含有率が比較的小さい特定の処理液を用いることにより、アルカリ成分と、両性金属との反応を抑制することができるため、回収された両性金属の損傷も抑制できる。
本開示の両性金属の回収方法により、両性金属の損傷を抑えつつ、両性金属と熱硬化性樹脂硬化物とを少なくとも含む処理対象物から両性金属を回収することができ、例えば、両性金属の損傷を抑えつつ、自動車等に使用された複合部材(処理対象物)から両性金属であるアルミニウムを回収することができる。また、本開示の両性金属の回収方法により、両性金属の薄膜、両性金属めっき等で覆った有価物と熱硬化性樹脂硬化物との複合部材から、両性金属の薄膜、両性金属めっき等の損傷を抑えつつ有価物を回収することができる。その結果、回収された有価物の損傷も抑えることができる。
すなわち、本開示の両性金属の回収方法では、両性金属自体を回収できるだけでなく、両性金属で覆われた有価物も回収できる。
[特定の処理液]
特定の処理液は、水分の含有率が0.3質量%以下であり、かつアルカリ成分を含む液体であれば特に限定されない。特定の処理液は、有機溶媒、その他の成分等を含んでいてもよい。
特定の処理液における水分の含有率は、回収された両性金属の損傷をより好適に抑制する観点から、0.25質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。なお、特定の処理液における水分の含有率は、0.01質量%以上であってもよく、0.03質量%以上であってもよい。
特定の処理液における水分の含有率は、例えば、カールフィッシャー法により評価することができる。
特定の処理液における水分の含有率を0.3質量%以下とする方法としては、例えば、
アルカリ成分を含む水溶液ではなく、固体のアルカリ成分を処理液の調製に用いたり、外気の混入が抑制された条件にて処理液の調製を行ったり、調製したアルカリ成分を含む処理液について、後述するように水分を除去する処理を行ったりすることが挙げられる。
本開示の両性金属の処理方法では、アルカリ成分を含む処理液中の水分を除去して、水分の含有率が0.3質量%以下であり、アルカリ成分を含む処理液を準備する工程を含んでいてもよい。例えば、アルカリ金属化合物等のアルカリ成分、有機溶媒、必要に応じてその他の成分などを混合して処理液を調製し、調製した処理液中の水分を除去する処理を行って特定の処理液を準備してもよい。
処理液中の水分を除去する方法は特に制限されず、大気圧下で水分を揮発させることによって除去してもよく、減圧下で水分を揮発させることによって除去してもよい。処理設備を簡素化する観点からは、大気圧下で水分を揮発させることが好ましい。また、処理液中の水分を除去することにより、熱硬化性樹脂硬化物をより効率的に分解及び溶解することができる。
(加熱による水分除去)
処理液中の水分を除去する方法の一例としては、例えば、処理液を加熱することが挙げられる。処理液を加熱することで、処理液中の水分の蒸気圧が増大し、処理液表面からの水分除去が促進される。更に、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含む処理液を加熱することで、アルカリ金属アルコキシドが生成する反応を促進することができる。生成されたアルカリ金属アルコキシドは、熱硬化性樹脂硬化物中のエステル結合部を切断することにより、熱硬化性樹脂硬化物を好適に溶解及び分解することができる。
処理液の加熱温度は、処理液中に含まれる成分、例えば、アルカリ成分及び有機溶媒の種類に応じて適宜設定することができる。処理液の加熱温度は、例えば、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。なお、処理液の加熱温度は、有機溶媒の沸点未満とすることが好ましい。
処理液の加熱方法は特に制限されない。例えば、処理液をヒーターで直接加熱してもよく、処理液の入った容器をヒーターで間接的に加熱してもよい。また、オイル、水、蒸気等の熱媒を用いて処理液を加熱してもよい。
(バブリングによる水分除去)
処理液中の水分を除去する方法の他の例としては、例えば、バブリングを行うことが挙げられる。処理液にバブリングを行うことで、処理液中の水分が水蒸気となって溶液から排出されやすくなる。また、処理液を加熱しながらバブリングを行うことで、より効率的に水分を除去することが可能となる。
バブリングに使用するガスは特に制限されず、大気でもよく、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスでもよい。処理液を加熱しながらバブリングを行う場合には、反応性等を考慮し、不活性ガスを使用することが好ましい。
また、処理液中の水分を除去する際、加熱による水分除去と、バブリングによる水分除去とを組み合わせてもよい。これにより、水分の含有率がより低減された処理液が得られやすい傾向にある。更に、処理液として、アルカリ金属水酸化物及びアルコール溶媒を含む処理液を用いる場合、アルコール溶媒のヒドロキシ基の水素原子とアルカリ金属水酸化物のアルカリ原子との交換反応により、アルカリ金属アルコキシド及び水分が生じると考えられる。このとき、処理液中の水分を除去することにより、アルカリ金属アルコキシドが生成する反応を促進することができる。生成されたアルカリ金属アルコキシドは、例えば、熱硬化性樹脂硬化物中のエステル結合部を切断することにより、熱硬化性樹脂硬化物を好適に溶解及び分解することができる。
(蒸気の冷却)
処理液を加熱し、処理液中の水分を除去する方法においては、処理液に有機溶媒が含まれる場合、水分だけでなく有機溶媒の一部も揮発する。そこで、加熱によって生じた蒸気を冷却し、揮発した有機溶媒を液化させてもよい。有機溶媒と水との沸点の違いを利用して、水蒸気のみが結露しにくいような温度にまで蒸気を冷却することで、有機溶媒の減少を抑制することができる。
蒸気の冷却温度は、有機溶媒の種類、バブリングした場合のガス流量等に応じて適宜設定することができる。蒸気の冷却温度は、例えば、20℃以上190℃未満であることが好ましく、60℃以上170℃未満であることがより好ましい。蒸気の冷却温度を20℃以上とすることで、水分の蒸気圧が高くなり、水分の除去効率がより向上する。また、蒸気の冷却温度を190℃未満とすることで、有機溶媒の減少、特にアルコール溶媒の減少をより抑制することができる。
(アルカリ成分)
特定の処理液は、アルカリ成分としてアルカリ金属化合物を含むことが好ましい。
アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の水素化物、水酸化物、ホウ水素化物、アミド化合物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、アルコラート、フェノラートなどが挙げられる。アルカリ金属化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属化合物は、アルカリ金属水酸化物を含むことが好ましい。後述するように、特定の処理液が、アルコール溶媒とともにアルカリ金属水酸化物を含むことにより、アルコール溶媒とアルカリ金属水酸化物との反応によりアルカリ金属アルコキシドが生成され、生成されたアルカリ金属アルコキシドが、熱硬化性樹脂硬化物中のエステル結合部を切断することにより、熱硬化性樹脂硬化物を好適に溶解及び分解することができる。
アルカリ金属アルコキシドは、熱硬化性樹脂硬化物中のエステル結合部等を切断することにより、熱硬化性樹脂硬化物を分解する。アルカリ金属水酸化物は、アルカリ金属リン酸塩と比較して塩基性が強いため、同モル数を添加した際のアルカリ金属アルコキシドの生成量が多くなる。このため、アルカリ金属水酸化物は、リン酸三カリウム等のアルカリ金属リン酸塩と比較して、熱硬化性樹脂硬化物を分解する際の触媒活性に優れる。また、アルコール溶媒は、熱硬化性樹脂硬化物を分解して生成される分解生成物の溶解性に優れる。
アルカリ金属水酸化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。アルカリ金属水酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属水酸化物としては、特定の処理液が後述するアルコール溶媒を含む場合、アルコール溶媒への溶解性が良好であり、触媒活性(イオン活性)が高く、また、分子量が小さく質量単価が低い等の点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、水酸化ナトリウムを含むことがより好ましい。
特定の処理液中のアルカリ金属化合物の含有量は、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率をより向上させる観点から、有機溶媒1.0kgに対して0.01mol以上であることが好ましく、0.1mol以上であることがより好ましく、0.3mol以上であることが更に好ましい。また、特定の処理液中のアルカリ金属水酸化物の含有量は、熱硬化性樹脂硬化物を分解して生成される分解生成物の溶解性を高め、処理液の調製を容易にする観点から、有機溶媒1.0kgに対して10.00mol以下であることが好ましく、5.00mol以下であることがより好ましく、3.00mol以下であることが更に好ましく、1.00mol以下であることが特に好ましい。
特定の処理液中に含まれるアルカリ金属水酸化物の含有率は、特定の処理液中に含まれるアルカリ金属化合物の全量に対して、30質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。また、特定の処理液中に含まれるアルカリ金属水酸化物の含有率は、特定の処理液中に含まれるアルカリ金属化合物の全量に対して、100質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよい。
(有機溶媒)
特定の処理液は、有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒としては、アミド系、ケトン系、エーテル系、エステル系、アルコール系等が挙げられるが、特に制限されない。これらは単独で使用しても、有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミド溶媒としては、特に制限されず、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、カプロラクタム、カルバミド酸エステル等が挙げられる。
ケトン溶媒としては、特に制限されず、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ホロン、イソホロンアセチルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
エーテル溶媒としては、特に制限されず、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセタール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセタール等が挙げられる。
エステル溶媒としては、特に制限されず、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソペンチル、イソ酪酸イソブチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソペンチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、γ−ブチロラクトン、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジエチル、サリチル酸メチル、エチレングリコールジアセタート、ホウ酸トリブチル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が挙げられる。
アルコール溶媒としては、特に制限されず、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜400)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
有機溶媒としては、前述のように処理液中の水分を除去して特定の処理液を準備する場合、処理液から水分を除去する観点から、大気圧における沸点が水の沸点よりも高い有機溶媒(以下、「高沸点溶媒」ともいう。)を含むことが好ましい。高沸点溶媒の大気圧における沸点は、水分との分離精度を高める観点から、105℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。また、分解生成物の溶解性の観点から、有機溶媒としてアルコール溶媒を含むことが好ましく、ベンジルアルコールを含むことがより好ましい。
特定の処理液は、必要に応じて他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、界面活性剤、低粘度溶媒等が挙げられる。
特定の処理液は、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率をより向上させる観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種と、ベンジルアルコールと、を含み、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の合計の含有量が、有機溶媒1.0kgに対して0.01mol〜3.00molであることが好ましい。
(処理対象物)
本開示の両性金属の回収方法における処理対象物は、熱硬化性樹脂硬化物及び両性金属を含む。熱硬化性樹脂硬化物としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物が挙げられる。熱硬化性樹脂硬化物は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂硬化物としては、前述した特定の処理液による分解効率をより向上させる観点から、エポキシ樹脂硬化物及び不飽和ポリエステル樹脂硬化物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、エポキシ樹脂硬化物を含むことがより好ましい。
処理対象物は、熱硬化性樹脂硬化物及び両性金属のほかに、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
処理対象物は、例えば、熱硬化性樹脂及び両性金属を含む熱硬化性樹脂組成物を加熱し、熱硬化性樹脂の少なくとも一部を硬化させることにより得られる。処理対象物には、未硬化の熱硬化性樹脂が含まれていてもよい。
処理対象物がエポキシ樹脂硬化物を含む場合、処理対象物は、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、両性金属及び必要に応じて硬化促進剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を加熱し、エポキシ樹脂の少なくとも一部を硬化させることにより得られる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール化合物のジグリシジルエーテル化物、アルコール化合物のジグリシジルエーテル化物、これらのアルキル置換体、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化剤としては酸無水物が好ましい。すなわち、処理対象物は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用い、かつ硬化剤として酸無水物を用いて得られた酸無水物硬化エポキシ樹脂を含むことが好ましい。酸無水物硬化エポキシ樹脂は、分子内にエステル結合を有し、前述した処理液を用いてより効率的に分解することができる。
酸無水物としては、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、コハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、クロレンディック酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、グリセロールトリストリメリテート三無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、第三級アミン化合物、第四級アンモニウム塩、有機リン化合物等が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理対象物は、両性金属を含む。処理対象物に含まれる両性金属の形態は、両性金属の単体であってもよく、両性金属の化合物であってもよい。両性金属としては、酸とも塩基とも反応する金属であれば特に制限されず、例えば、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム及びベリリウムが挙げられる。両性金属は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよく、両性金属の単体と両性金属の化合物との組み合わせであってもよい。
処理対象物は、両性金属を含まない無機材料を更に含んでいてもよい。両性金属を含まない無機材料としては、炭素、ガラス、両性金属以外の金属、両性金属の化合物以外の金属化合物等が挙げられる。また、両性金属を含まない無機材料の形状としては、繊維、粒子、箔等が挙げられる。繊維は、不織布状であっても織布状であってもよく、織布状の場合、繊維束を織って作製したクロス材であってもよく、繊維束を一方向に配列したUD(Uni-Direction)材であってもよい。両性金属を含まない無機材料は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程では、特定の処理液を、熱硬化性樹脂硬化物及び両性金属を含む処理対象物に接触させる。特定の処理液を処理対象物に接触させる方法としては、処理対象物を特定の処理液中に浸漬してもよく、特定の処理液をスプレー等によって処理対象物に吹き付けてもよい。熱硬化性樹脂硬化物をより効率的に分解及び溶解する観点からは、処理対象物を特定の処理液中に浸漬することが好ましい。
処理対象物を容器内の特定の処理液中に浸漬し、必要に応じて特定の処理液を撹拌することにより、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する。撹拌方法は特に制限されず、撹拌羽根を用いる方法、噴流を生じさせる方法、容器を搖動する方法、不活性気体の気泡を生じさせる方法、超音波を印加する方法等が挙げられる。
また、特定の処理液中の水分を除去しながら、特定の処理液を処理対象物に接触させてもよい。特定の処理液中の水分を除去する方法としては、前述の加熱による水分除去及びバブリングによる水分除去が挙げられる。これにより、回収される両性金属の損傷をより好適に抑制できる。
特に、アルカリ金属アルコキシドが生成する反応を促進して効率よく熱硬化性樹脂硬化物を分解及び除去し、かつ回収される両性金属の損傷をより好適に抑制する点から、加熱による水分除去及びバブリングによる水分除去を行いながら、特定の処理液を処理対象物に接触させることが好ましい。
特定の処理液を用いて熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する際の雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気であってもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であってもよい。
熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程では、特定の処理液への外気からの水分の混入が抑制された条件にて、特定の処理液を処理対象物に接触させることが好ましい。例えば、前述のようにバブリングによる水分除去を行いながら特定の処理液を処理対象物に接触させることが好ましく、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気にて特定の処理液を処理対象物に接触させることが好ましい。
本開示の両性金属の回収方法では、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程の後、両性金属を回収する。例えば、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解した後の固形物を洗浄及び乾燥することにより、両性金属を回収できる。
<再生両性金属の製造方法>
本開示の再生両性金属の製造方法は、前述の本開示の両性金属の回収方法により、前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解して再生両性金属を製造する。これにより、熱硬化性樹脂硬化物及び両性金属を含む処理対象物から損傷が抑制された再生両性金属を得ることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
SUS製容器にベンジルアルコール(サンケミカル株式会社、BZA)1.0kg及び水酸化カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社)28.1gをそれぞれ投入し、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれる処理液を調製した。その後、調製した処理液を窒素でバブリングを行いながら、熱媒ヒーターを用いて190℃まで加熱し、2時間保持した後、常温まで冷却した。
バブリング及び加熱を行った後の処理液の一部を採取し、カールフィッシャー水分計(京都電子工業株式会社、MKC−610)を用いて、この処理液の水分の含有率を測定したところ、0.035質量%であった。
次に、前述のようにして準備した処理液の処理対象となるエポキシ樹脂硬化物及びアルミニウムを含む処理対象物を以下の手順で作製した。まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社、商品名「YD−8125」、エポキシ当量172.4g/eq)10g、硬化剤としてcis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成株式会社)10g、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社、商品名「2E4MZCN」)0.1gをそれぞれ混合した後、縦40mm×横10mm×深さ1mmのテフロン(登録商標)製の型に混合物を入れ、その上に縦40mm×横10mm×厚さ25μmのアルミニウム箔をのせた。アルミニウム箔をのせた混合物を室温で1時間放置した後、100℃で1時間、125℃で1時間、150℃で1時間、175℃で1時間及び200℃で1時間の順に加熱して、エポキシ樹脂硬化物及びアルミニウムを含む処理対象物を作製した。
この処理対象物を108gの処理液内に沈め、窒素でバブリングを行いながら、熱媒ヒーターを用いて加熱し溶解処理を行った。昇温プロセスは、2時間程度で190℃まで上げ、その後4時間保持した。その後、処理対象物を沈めた処理液を常温まで冷却し、溶解処理を完了した。SUS製容器の中の残留物を取り出し、固形物全てをベンジルアルコールで2回洗浄、水で2回洗浄をした。これを乾燥機に入れ210℃で2時間乾燥処理してアルミニウムを回収した。回収したアルミニウムについて、外観色相検査、指による感触評価及び顕微鏡観察からエポキシ樹脂の溶け残りがないことを確認した。マイクロメーターを用いて回収したアルミニウムの厚さを計測した結果、24μmで破損が抑制されており、またアルミニウムの外観の変化も特に見られなかった。
(実施例2)
実施例1において、準備した処理液をポリ容器に移して1日放置した以外は実施例1と同様にして実験を行った。実施例1と同様にして処理液の水分の含有率を測定したところ、0.040質量%であった。実施例2においても、回収したアルミニウムの厚さを計測した結果、24μmでアルミニウムの破損が抑制されており、またアルミニウムの外観の変化も特に見られなかった。
(実施例3)
実施例1において、ベンジルアルコール1.0kg及び50%水酸化カリウム水溶液(富士フイルム和光純薬株式会社)56.2gをそれぞれ投入し、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれる処理液を調製した以外は実施例1と同様にして実験を行った。実施例3において、実施例1と同様にして処理液の水分の含有率を測定したところ、0.071質量%であった。また、実施例3においては、実施例1よりもアルミニウムの厚さが22μm程度に低減していたものの、アルミニウムの破損が抑制されており、アルミニウムの外観の変化も特に見られなかった。
(実施例4)
実施例1において、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれる処理液を窒素でバブリングを行わずに、熱媒ヒーターを用いて190℃まで加熱し、2時間保持した以外は実施例1と同様にして実験を行った。実施例4において、実施例1と同様にして処理液の水分の含有率を測定したところ、0.098質量%であった。実施例4においては、実施例1よりもアルミニウムの厚さが20μm程度に低減していたものの、アルミニウムの外観の変化は特に見られなかった。
(実施例5)
実施例1において、ベンジルアルコール1.0kg及び50質量%水酸化カリウム水溶液56.2gをそれぞれ投入し、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれるように調製した処理液を、窒素でバブリングを行わずに、熱媒ヒーターを用いて190℃まで加熱し、2時間保持した以外は実施例1と同様にして実験を行った。実施例5において、実施例1と同様にして処理液の水分の含有率を測定したところ、0.219質量%であった。実施例5においては、実施例1よりもアルミニウムの厚さが14μm程度に低減していたものの、アルミニウムの外観の変化は特に見られなかった。
(比較例1)
SUS製容器にベンジルアルコール(サンケミカル株式会社、BZA)1.0kg及び10質量%水酸化カリウム水溶液(富士フイルム和光純薬株式会社)281.0gをそれぞれ投入し、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれる処理液を調製した。その後、調製した処理液を窒素でバブリングを行いながら、熱媒ヒーターを用いて190℃まで加熱し、2時間保持した後、常温まで冷却した。
バブリング及び加熱を行った後の処理液の一部を採取し、カールフィッシャー水分計(京都電子工業株式会社、MKC−610)を用いて、この処理液の水分の含有率を測定したところ、0.400質量%であった。
比較例1において、前述の処理液を用いた以外は実施例1と同様にして実験を行った。比較例1においては、回収したアルミニウムはぼろぼろに損傷しており、穴が開く等により形状が維持できていなかった。
(比較例2)
比較例1において、ベンジルアルコール1.0kg及び10質量%水酸化カリウム水溶液281.0gをそれぞれ投入し、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれる処理液を、窒素でバブリングを行わずに、熱媒ヒーターを用いて加熱し溶解処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして実験を行った。比較例2において、比較例1と同様にして処理液の水分の含有率を測定したところ、0.572質量%であった。比較例2においては、回収したアルミニウムは微粉化しており、形状が維持できていなかった。
(比較例3)
比較例1において、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれる処理液を窒素でバブリングを行い、熱媒ヒーターを用いて150℃まで加熱し、2時間保持した以外は実施例1と同様にして実験を行った。比較例3において、比較例1と同様にして処理液の水分の含有率を測定したところ、0.754質量%であった。比較例3においては、回収したアルミニウムは微粉化しており、形状が維持できていなかった。
(比較例4)
比較例1において、BZA1.0kgに対して水酸化カリウムが0.5mol含まれる処理液を窒素でバブリングを行わずに、熱媒ヒーターを用いて190℃まで加熱し、保持せずに冷却した以外は比較例1と同様にして実験を行った。比較例4において、比較例1と同様にして処理液の水分の含有率を測定したところ、1.015質量%であった。比較例4においては、回収したアルミニウムは微粉化しており、形状が維持できていなかった。
以上のように、水分の含有率がより少ない処理液を用いた実施例1〜5では、水分の含有率がより多い処理液を用いた比較例1〜4と比較して回収されたアルミニウムの損傷が抑制されていた。

Claims (8)

  1. 水分の含有率が0.3質量%以下であり、アルカリ成分を含む処理液を、熱硬化性樹脂硬化物及び両性金属を含む処理対象物に接触させて、熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程を含む両性金属の回収方法。
  2. 前記アルカリ成分は、アルカリ金属化合物を含む請求項1に記載の両性金属の回収方法。
  3. 前記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属水酸化物を含む請求項2に記載の両性金属の回収方法。
  4. 前記処理液は、アルコール溶媒を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の両性金属の回収方法。
  5. 前記処理液における前記水分の含有率は、0.1質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の両性金属の回収方法。
  6. アルカリ成分を含む処理液中の水分を除去して、前記水分の含有率が0.3質量%以下であり、アルカリ成分を含む処理液を準備する工程を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の両性金属の回収方法。
  7. 前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解する工程では、前記処理液への外気からの水分の混入が抑制された条件にて、前記処理液を前記処理対象物に接触させる請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の両性金属の回収方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の両性金属の回収方法により、前記熱硬化性樹脂硬化物を分解及び溶解して再生両性金属を製造する再生両性金属の製造方法。
JP2018169822A 2018-09-11 2018-09-11 両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法 Pending JP2020040302A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018169822A JP2020040302A (ja) 2018-09-11 2018-09-11 両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018169822A JP2020040302A (ja) 2018-09-11 2018-09-11 両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020040302A true JP2020040302A (ja) 2020-03-19

Family

ID=69797214

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018169822A Pending JP2020040302A (ja) 2018-09-11 2018-09-11 両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020040302A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4996041B2 (ja) 炭素材料/酸無水物硬化エポキシ樹脂複合材料の処理液および分離方法
JP6687031B2 (ja) 無機材料の分離方法、再生材料の製造方法、及び有機物の除去方法
JP4686991B2 (ja) 炭素材料/酸無水物硬化エポキシ樹脂複合材料の分離方法
JP6677254B2 (ja) 熱硬化性樹脂硬化物の処理方法
JP2013107973A (ja) エポキシ樹脂プレポリマーの除去方法および該方法を用いた炭素繊維強化樹脂中間基材からの炭素繊維の分離回収方法
JP2017052865A (ja) 未硬化エポキシ樹脂複合材料の溶解方法
JP2020040302A (ja) 両性金属の回収方法及び再生両性金属の製造方法
WO2024075786A1 (ja) 再生補強繊維の製造方法
CN106432787B (zh) 一种碳纤维复合废料的回收方法
JP5218436B2 (ja) 樹脂の処理方法
JP6693522B2 (ja) 熱硬化性樹脂硬化物の分解生成物の回収方法及び再生材料の製造方法
JP2017160299A (ja) 熱硬化性樹脂溶解液
JP2020011482A (ja) 再生材料の製造方法、複合材料の処理方法及び炭素繊維
JP4765202B2 (ja) エポキシ樹脂硬化物の処理溶液、これを用いた処理方法および処理生成物
JP4539130B2 (ja) エポキシ樹脂硬化物用処理液、およびこれを用いた処理方法
JP5793990B2 (ja) 半導体パッケージの開封方法、及び半導体パッケージの検査方法
US10773422B2 (en) Method of separating inorganic material, method of producing reprocessed material and method of removing organic substance
WO2022138764A1 (ja) 再生補強繊維の製造方法
JP2020045407A (ja) 樹脂の溶解方法及び再生強化繊維の製造方法
JP2020001021A (ja) 無機材料の処理方法及び再生材料の製造方法
JP2010132915A (ja) 樹脂の処理液
JP2005220198A (ja) ハロゲン含有エポキシ樹脂の脱ハロゲン化方法
JP4978104B2 (ja) 繊維強化プラスチック溶解触媒の再生方法
JP2019099771A (ja) エポキシ樹脂硬化物の溶解処理方法
JP7470450B1 (ja) 再生補強繊維の製造方法