JP2023110547A - 熱硬化性樹脂硬化物の処理方法および熱可塑性樹脂の製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂硬化物の処理方法および熱可塑性樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術に比べて熱硬化性樹脂よりなる硬化物の分解および溶解の効率を低下させることなく、かつ、工業的規模で実施するにあたり、装置設備の腐食や劣化が少ないため、耐熱、耐腐食性を有する特別な設備を必要とせず、工業的に有利に熱硬化性樹脂硬化物を分解および溶解することができる処理方法を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂よりなる硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属アルコキシドおよび有機溶媒を含有する処理液に接触させ、該熱硬化性樹脂よりなる硬化物を分解および溶解する熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂が挙げられる。有機溶媒としてはアルコール系溶媒が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂よりなる硬化物の処理方法および熱硬化性樹脂の製造方法に関する。
エポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂は、種々の配合、硬化条件で硬化させることにより、一般的に機械的性質や耐熱性に優れた硬化物が得られることから、熱硬化性樹脂は接着材、塗料、FRP、電気・電子材料など、幅広い分野で利用されている。
一方で、その優れた機械的性質から、熱硬化性樹脂を硬化後に加工することは難しく、その硬化物が種々の用途に使用された後、その用途の製品から該熱硬化性樹脂のみを取り出すことは困難である。特に、熱硬化性樹脂が金属や無機繊維などと接触した状態で硬化して得られた硬化物から、熱硬化性樹脂を物理的に取り除くことは困難である。
従来、熱硬化性樹脂よりなる硬化物から熱硬化性樹脂を回収する技術は種々検討されてきており、例えば、特許文献1には、熱硬化性樹脂硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属水酸化物およびアルコール溶媒を含有する処理液に接触させ、熱硬化性樹脂硬化物を分解および溶解する方法が記載されている。
国際公開第2017/154101号
特許文献1の方法では、条件によっては、熱硬化性樹脂の分解および溶解が不十分であった。また、特許文献1には、「アルカリ金属水酸化物およびアルコール溶媒を含有する処理液を加熱すると、アルカリ金属アルコキシドおよび水が生じると考えられる。……………アルカリ金属アルコキシドは、熱硬化性樹脂硬化物中のエステル結合部等を切断することにより、熱硬化性樹脂硬化物を分解する。」と記載はあるが、特許文献1では、アルカリ金属水酸化物とアルコール溶媒を用いた処理液の調製に、必ず加熱を行う必要があり、この処理液の調製時に装置設備を構成する金属材料を腐食させてしまう。つまり、特許文献1の方法では、アルカリ金属水酸化物によって、SUS304に代表されるステンレス鋼などの一般的な金属材料の腐食が起きやすくなるため、この処理方法を実施する場合には、耐腐食性に優れた高価な装置設備を使用する必要があった。このため、この方法は、工業的に有利な方法とは言えなかった。
本発明は、従来技術に比べて熱硬化性樹脂よりなる硬化物の分解および溶解の効率を低下させることなく、かつ、工業的規模で実施するにあたり、装置設備の腐食や劣化が少ないため、耐熱、耐腐食性を有する特別な設備を必要とせず、工業的に有利に熱硬化性樹脂硬化物を分解および溶解することができる処理方法を提供することを課題とする。
本発明はまた、この熱硬化性樹脂硬化物の処理方法を利用した熱可塑性樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者が上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルカリ金属アルコキシドを使用することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち本発明の要旨は、次の[1]~[7]に存する。
[1] 熱硬化性樹脂よりなる硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属アルコキシドおよび有機溶媒を含有する処理液に接触させ、該熱硬化性樹脂よりなる硬化物を分解および溶解する熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
[2] 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂である、[1]に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
[3] 前記有機溶媒がアルコール系溶媒である、[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
[4] 前記処理対象物と前記処理液との接触が、ステンレス鋼を含む材質よりなる装置内で行われる、[1]~[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
[5] 前記熱硬化性樹脂の製造装置内で、該熱硬化性樹脂よりなる硬化物を分解および溶解する、[1]~[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
[6] [5]記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法を行った後、前記製造装置内で、熱硬化性樹脂を製造する、熱硬化性樹脂の製造方法。
[7] 前記製造装置の前記処理液が接触する面の材質が、SUS304、SUS316又はSUS316Lである、[6]に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
本発明によれば、従来の技術に比べて熱硬化性樹脂よりなる硬化物の分解および溶解の効率を低下させることなく、かつ、工業的規模で実施するにあたり、装置設備の腐食や劣化が少ないため、耐熱、耐腐食性を有する特別な設備を必要とせず、工業的に有利な熱硬化性樹脂硬化物の分解および溶解の処理方法、及びこの熱硬化性樹脂硬化物の処理方法を利用した熱可塑性樹脂の製造方法が提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔熱硬化性樹脂硬化物の処理方法〕
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法は、熱硬化性樹脂よりなる硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属アルコキシドおよび有機溶媒を含有する処理液に接触させ、該熱硬化性樹脂よりなる硬化物を分解および溶解することを特徴とする。
本発明における熱硬化性樹脂硬化物の分解とは、熱硬化性樹脂硬化物に含まれる化学結合が切断されて分子量が小さくなることであり、また、熱硬化性樹脂硬化物の溶解とは、固形物が処理液に溶けて完全に消失する状態のことである。
また、本発明にて述べる金属材料の腐食形態は、特に制限されず、化学的作用により金属材料の外見や機能が損なわれた状態を意味する。
本発明によれば、アルカリ金属アルコキシドと有機溶媒を用いることで、このような腐食を回避することができる。
[熱硬化性樹脂硬化物]
<熱硬化性樹脂>
本発明において、処理対象物に含まれる熱硬化性樹脂よりなる硬化物を構成する熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
該熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂はエポキシ基を構成要素に持つ樹脂であり、フェノール樹脂は芳香族化合物であるフェノールを構成要素に持つ樹脂である。
該熱硬化性樹脂よりなる硬化物は、これらの熱硬化性樹脂の1種のみよりなるものであってもよく、2種以上の熱硬化性樹脂よりなるものであってもよい。
エポキシ樹脂としては、特に制限されず、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール化合物のジグリシジルエーテル化物、アルコール化合物のジグリシジルエーテル化物、これらのアルキル置換体、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物などが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのエポキシ樹脂の硬化剤としては、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、硬化促進剤としては、特に制限されず、アルカリ金属化合物、イミダゾール化合物、第三級アミン化合物、第四級アンモニウム塩、有機リン化合物等が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<無機材料>
本発明に係る熱硬化性樹脂硬化物は、無機材料を含んでいてもよい。無機材料としては、炭素、ガラス、金属、金属化合物等が挙げられる。また、無機材料の形状としては、繊維、粒子、箔等が挙げられる。繊維は、不織布状であっても織布状であってもよく、織布状の場合、繊維束を織って作製したクロス材であってもよく、繊維束を一方向に配列したUD(Uni-Direction)材であってもよい。無機材料は、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
[処理液]
<アルカリ金属アルコキシド>
本発明に係る処理液に用いるアルカリ金属アルコキシドは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子を、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属で置換した化合物であり、アルコールにアルカリ金属を添加することで得ることができる。
アルカリ金属アルコキシド中のアルカリ金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウムが好ましく、より好ましくはナトリウムである。
また、アルカリ金属アルコキシドを得るために使用されるアルコールとしては、特に制限されず、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-エチルヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、4-メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200~400)、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属アルコキシドは、固体の状態でも、溶液の状態でも良い。アルカリ金属アルコキシドとしては、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率の観点からナトリウムメトキシド、ナトリウムベンジルアルコキシド(ナトリウムベンジルオキシド)が好ましい。
これらのアルカリ金属アルコキシドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機溶媒>
本発明に係る処理液に用いる有機溶媒は、特に制限されず、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒は、特に制限されず、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-エチルヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサノール、4-メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200~400)、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。アルコール系溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エーテル系溶媒は、特に制限されず、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ヘキシルメチルエーテル、オクチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジシクロペンチルエーテル等が挙げられる。エーテル系溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族系溶媒は、特に制限されず、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼンなどのアルキルベンゼン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、ジメチルナフタレンなどのアルキルナフタレン等が挙げられる。芳香族系溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、アルコール系溶媒の1種又は2種以上とエーテル系溶媒の1種又は2種以上を併用してもよく、アルコール系溶媒の1種又は2種以上と芳香族系溶媒の1種又は2種以上とを併用してもよく、エーテル系溶媒の1種又は2種以上と芳香族系溶媒の1種又は2種以上とを併用してもよく、アルコール系溶媒の1種又は2種以上とエーテル系溶媒の1種又は2種以上と芳香族系溶媒の1種又は2種以上とを併用してもよい。
これらのうち、本発明で用いる有機溶媒としては熱硬化性樹脂硬化物の分解物の溶解性に優れることから、アルコール系溶媒が好ましく、有機溶媒中の少なくとも一部として、用いるアルカリ金属アルコキシドの原料アルコールと同じアルコール系溶媒を含むことが好ましい。
また、有機溶媒は、熱硬化性樹脂硬化物の処理工程で加熱を必要とする観点から、大気圧下での沸点が100℃以上の有機溶媒であることが好ましく、この沸点は120℃以上がより好ましく、150℃以上が特に好ましい。
このような観点からも、ベンジルアルコール(沸点205℃)は好ましい有機溶媒である。
<その他の成分>
本発明で用いる処理液は、必要に応じてアルカリ金属アルコキシド及び有機溶媒以外の他の成分を更に含有していても良い。他の成分としては、界面活性剤、低粘度溶媒等が挙げられる。
<処理液の組成>
処理液に含まれるアルカリ金属アルコキシドの濃度は、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率を向上させる観点から、処理液1L中に0.001mol~5molが好ましく、0.01mol~3molがより好ましく、0.05mol~1molが特に好ましい。アルカリ金属アルコキシドの濃度が高くなるほど、熱硬化性樹脂硬化物を効率的に分解することができる。アルカリ金属アルコキシドの濃度が低くなるほど、処理液の粘度を上昇させることなく熱硬化性樹脂硬化物を分解することができる。
処理液に含まれる水分含有率は、処理に用いる装置を構成する金属材料の腐食性の観点から、1.0重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下が特に好ましい。処理液の水分含有率は、例えば、カールフィッシャー法により評価することができる。
<処理液の調製>
処理液の調製に際して、アルカリ金属アルコキシドは、固体の状態で有機溶媒と混合してもよく、溶液の状態で有機溶媒と混合してもよい。
本発明においては、処理液の調製に当たり、加熱を行う必要はなく、5~35℃程度の常温で、有機溶媒とアルカリ金属アルコキシドを混合することで、処理液を調製することができる。
[処理方法]
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法において、熱硬化性樹脂よりなる硬化物を含む処理対象物と処理液の接触は、ステンレス鋼を含む材質で少なくとも該処理液との接触面が構成された装置内で行われることが好ましい。ステンレス鋼としては、特に限定されないが、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられ、好ましくは、オーステナイト系ステンレス鋼、特に好ましくは、SUS304、SUS316、SUS316Lである。
処理工程における処理液の加熱温度は、熱硬化性樹脂硬化物の分解効率を向上させる観点から、100℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましく、150℃以上が特に好ましい。一方、この温度は溶媒および分解生成物の変性を抑制する観点から300℃以下、特に250℃以下であることが好ましい。
処理時間は、熱硬化性樹脂硬化物が十分に分解されて溶解する処理時間であればよく、熱硬化性樹脂の種類、用いたアルカリ金属アルコキシド及び有機溶媒の種類や濃度、処理温度によっても異なるが、通常2~12時間程度で熱硬化性樹脂硬化物の50重量%以上を分解して溶解させることができる。
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法は、後述の熱硬化性樹脂の製造装置内で熱硬化性樹脂よりなる硬化物を含む処理対象物の分解および溶解を行うことが、その後、分解および溶解により得られた処理物を用いて熱硬化性樹脂を効率的に製造することができ、好ましい。
〔熱可塑性樹脂の製造方法〕
本発明の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法により、熱硬化性樹脂の製造装置内で熱硬化性樹脂硬化物を分解および溶解した後、該製造装置内で、熱硬化性樹脂を製造することが好ましい。この場合において、該製造装置の処理液が接触する面の材質が、SUS304、SUS316又はSUS316Lであることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂の製造方法は、特に制限されず、溶媒中で熱硬化性樹脂を製造する方法でも良く、溶媒を使用せずに熱硬化性樹脂を製造する方法であっても良い。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
<実施例1>
SUS304製フラスコにベンジルアルコール(三協化学株式会社製)210.0gと、粉末ナトリウムメトキシド(東京化成工業株式会社製)10.8gを投入し、均一に混合して熱硬化性樹脂硬化物の処理液を調製した(ナトリウムメトキシド濃度1.0mol/L、水分濃度:検出限界以下)。
この処理液に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、エポキシ当量:950)をアルカリ触媒(富士フィルム和光純薬製、NaHCO)で200℃、100時間で硬化させた熱硬化性樹脂硬化物3.6gを投入し、常圧で1時間かけて190℃まで昇温した。190℃に到達してから2時間保持して熱硬化性樹脂硬化物を分解および溶解させた。その後、反応液を室温まで冷却して処理工程を完了した。
熱硬化性樹脂硬化物の溶解性を評価するために、反応液をろ過して樹脂の溶け残りを確認したところ、熱硬化性樹脂硬化物の95重量%が溶解し、残りは未溶解物として残存していた。また、反応後のSUS304製フラスコの内面を確認したが、腐食や変色は発生していなかった。結果を表1Aに示す。
<実施例2>
熱硬化性樹脂硬化物の処理液として、1.0Mナトリウムベンジルオキシド/ベンジルアルコール溶液(Sigma-Aldrich製)210.0gを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、熱硬化性樹脂硬化物の未溶解物は存在せず、SUS304製フラスコの内面に腐食や変色は発生していなかった。結果を表1Aに示す。
<実施例3>
熱硬化性樹脂硬化物の処理液の調製時に、ベンジルアルコール(三協化学株式会社製)210.0gと、28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(日本曹達株式会社製)1.9gを使用し(ナトリウムメトキシド濃度0.5mol/L)、常圧で1時間かけて200℃まで昇温した後に、200℃に到達してから6時間保持したこと以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、熱硬化性樹脂硬化物の未溶解物は存在せず、SUS304製フラスコの内面に腐食や変色は発生していなかった。結果を表1Aに示す。
<比較例1>
熱硬化性樹脂硬化物の処理液の調製時に、ベンジルアルコール(三協化学株式会社製)210.0gと、48%水酸化ナトリウム水溶液(ハヤシ化成株式会社製)16.7gを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、熱硬化性樹脂硬化物の82重量%が溶解し、残りは未溶解物として残存していた。また、SUS304製フラスコの内面が部分的に暗褐色~黒色に変化していることを確認した。結果を表1Bに示す。
<比較例2>
熱硬化性樹脂硬化物の処理液の調製時に、ベンジルアルコール(三協化学株式会社製)210.0gと、固形水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)8.0gを使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、熱硬化性樹脂硬化物の84重量%が溶解し、残りは未溶解物として残存していた。また、SUS304製フラスコの内面が部分的に暗褐色~黒色に変化していることを確認した。結果を表1Bに示す。
<比較例3>
熱硬化性樹脂硬化物の処理液として、ベンジルアルコール(三協化学株式会社製)210.0gのみを使用し、常圧で1時間かけて200℃まで昇温した後に、200℃に到達してから6時間保持したこと以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、熱硬化性樹脂硬化物は膨潤するのみで溶解しなかった。結果を表1Bに示す。
Figure 2023110547000001
表1A,1Bより、本発明の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法によれば、装置設備の腐食を引き起こすことなく、熱硬化性樹脂硬化物を効率的に処理することができることが分かる。

Claims (7)

  1. 熱硬化性樹脂よりなる硬化物を含む処理対象物を、アルカリ金属アルコキシドおよび有機溶媒を含有する処理液に接触させ、該熱硬化性樹脂よりなる硬化物を分解および溶解する熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  3. 前記有機溶媒がアルコール系溶媒である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  4. 前記処理対象物と前記処理液との接触が、ステンレス鋼を含む材質よりなる装置内で行われる、請求項1~3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  5. 前記熱硬化性樹脂の製造装置内で、該熱硬化性樹脂よりなる硬化物を分解および溶解する、請求項1~4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法。
  6. 請求項5に記載の熱硬化性樹脂硬化物の処理方法を行った後、前記製造装置内で、熱硬化性樹脂を製造する、熱硬化性樹脂の製造方法。
  7. 前記製造装置の前記処理液が接触する面の材質が、SUS304、SUS316又はSUS316Lである、請求項6に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
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