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しかしながら載置台の回転により基板を公転させながら反応ガスと接触させて成膜を行う構成では、載置台の径方向において一様なガス濃度を保つことが難しくなるおそれがある。載置台の接線速度は周縁側の方が回転中心側よりも大きくなり、載置台の径方向の接線速度が異なるため、基板と反応ガスとの境界におけるガスの流れ方が基板の径方向において変化しやすいからである。この結果、基板上に形成される薄膜の膜厚が前記径方向において変化してしまい、膜厚の高い面内均一性を確保できなくなることが懸念される。
ここで上述の装置では、回転テーブル2が回転しているために、回転テーブル2の径方向の接線速度が異なり、ウエハと反応ガスとの境界におけるガスの流れ方が変化しやすく、第1の主ガスノズル31のみによる原料ガスの供給では、回転テーブル2の径方向において一様な原料ガス濃度を保つことが困難であるが、前記径方向において原料ガス濃度が低い領域に、第1の中心側補償用ガスノズル32、第1の周縁側補償用ガスノズル33のいずれか又は全部を用いて原料ガスを供給しているので、回転テーブル2の径方向における原料ガス濃度の均一性を高めることができる。また同様に前記径方向における酸化ガス濃度の均一性を向上させることができるため、こうしてウエハW上においては、前記径方向における成膜処理の面内均一性が向上し、前記径方向における膜厚や膜質の面内均一性が高い薄膜を形成することができる。
ここで例えば図10(a)のように、回転テーブル2の径方向において回転中心側の方が周縁側に比べて膜厚が薄くなる理由としては、次のように考えられる。上述の装置では、回転テーブル2の回転中心部に設けられた中心部領域Cからも ガスが供給され、この ガスは回転テーブル2の周縁部に設けられた排気口71,72に向かって流れていく。従ってこの ガスの流れにより、前記径方向において回転中心側のガスが希釈され、結果として当該回転中心側のガス濃度が低くなり、回転テーブル2の径方向において回転中心側の方が周縁側に比べて膜厚が薄くなる。また例えば図11(a)のように、前記径方向において周縁側の方が回転中心側に比べて膜厚が薄くなる理由としては、次のように考えられる。つまり回転テーブル2を回転させると、既述のように回転テーブル2の周縁側では回転中心側に比べて接線速度が大きいため、第1の主ガスノズル31や第2の主ガスノズル32からその長さ方向に均一に原料ガスや酸化ガスを供給したとしても、前記回転テーブル2の周縁側は回転中央側よりもガスの濃度が低くなりやすい。また ガスは、回転テーブル2の周縁側に設けられた排気口71,72に向けて流れていくため、この ガスによって前記回転テーブル2の周縁側では原料ガスや酸化ガスが希釈されることもある。このような場合には前記径方向において基端側のガス濃度が薄くなってしまい、結果として回転テーブル2の径方向において周縁側の方が回転中心側に比べて膜厚が薄くなる。
続いて本発明の他の実施の形態について図15〜図18を用いて説明する。この実施の形態では、補償用ガス供給手段として、ノズルの長さ方向においてガスの吐出量を調整することができる吐出位置調整ガスノズル9を用いて、回転テーブル2の径方向における原料ガスの濃度分布を調整している。前記吐出位置調整ガスノズル9は、回転テーブル2の回転中心近傍から放射状に、回転テーブル2の径方向に伸びるように設けられており、この例では第1の処理領域P1における第1の主ガスノズル31の回転テーブル2の回転方向の上流側において、真空容器1の側周壁12Aに取り付けられている。
この吐出位置調整ガスノズル9では、内管92に導入された原料ガスが内管92のスリット97a〜97cを介して、内管92と外管91との隙間に流出していき、外管91の吐出孔91aから真空容器1内に流れていく。この際、スリット97の位置により、外管91の吐出孔91aの上方側のコンダクタンスが調整され、これに応じて前記吐出孔91aから流出する原料ガスの吐出量が調整される。つまり外管91の吐出孔91aと内管92のスリット97との距離が近ければ外管91と内管92との間のコンダクタンスが大きくなり、これにより外管91からのガス吐出量が多くなる。一方外管91の吐出孔91aと内管92のスリット97との距離が遠ければ前記コンダクタンスは小さくなり、外管91と内管92との間の隙間は1mm程度と小さいので、これにより外管91からのガス吐出量が少なくなるか、ほとんど吐出されなくなる。こうして吐出位置調整ガスノズル9の長さ方向における原料ガスの吐出量を調整できるため、回転テーブル2の径方向の所望の領域に補償用の原料ガスを供給することができる。
例えば図19及び図20に示すように、凸部121が外管111の吐出孔114に対向する領域では、ロッド体120と外管111との隙間が1mm程度であってコンダクタンスが小さくなるので、当該領域では前記吐出孔114からのガス吐出量が少なくなるか、ほとんど吐出されてなくなる。一方凸部121が前記吐出孔114に対向しない領域では、ロッド体120と外管111との隙間が大きくコンダクタンスが大きくなるので、ガスが流れやすく、当該領域では吐出孔114からのガス吐出量が多くなる。従って、予め吐出位置調整ガスノズル110の長さ方向において、原料ガスをウエハWに向けて吐出させたい領域を決定しておき、これ以外の領域に凸部121を形成し、この凸部121を外管111の吐出孔114に対向させることにより、所望の領域に補償用ガスを供給することができる。
この吐出位置調整ガスノズル110では、ロッド体120に設けられた凸部121を外管111の吐出孔114に接近させたり、離したりすることによって、前記吐出孔114の上方側におけるコンダクタンスを調整して前記吐出孔114からの原料ガスの吐出量を調整し、こうして吐出位置調整ガスノズル110の長さ方向における原料ガスの吐出位置を調整している。このため吐出位置調整ガスノズル110では、例えば図21に示すように、凸部121を外管111の吐出孔114に接近させる位置と、離れた位置との間で移動させる移動機構として、前記ロッド体120を外管111に対して水平方向に移動させる水平移動機構122を用いてもよい。この場合図21に示すように、吐出位置調整ガスノズル110の長さ方向において前記凸部121が吐出孔114の上方側に位置する領域では、コンダクタンスが小さくなるので、原料ガスの吐出量が少なくなるか、ほとんど吐出されなくなり、結果として吐出位置調整ガスノズル110の長さ方向において補償用ガスの吐出位置を調整できる。なおこの例では、外管111側をスライド移動させるようにしてもよい。
さらに吐出位置調整ガスノズル110では、例えば図22に示すように、凸部121を外管111の吐出孔114に接近させる位置と、離れた位置との間で移動させる移動機構として、前記ロッド体120を外管111に対して上下方向に移動させる昇降機構123を用いてもよい。この例では真空容器1内の気密性を維持した状態でロッド体120を昇降させるために、側周壁12Aの外側においてロッド体120の移動領域を囲むように移動室124を形成している。図中125はシール部材をなすOリング、126はシール部材と軸受けとを兼用する磁器シールである。この例では、吐出位置調整ガスノズル110の長さ方向において、前記凸部121が吐出孔114に接近するとコンダクタンスが小さくなるので、原料ガスの吐出量が少なくなるか、ほとんど吐出されなくなる。一方前記ロッド体120が吐出孔114から離れる程コンダクタンスが大きくなるので、原料ガスの吐出量が多くなり、結果として吐出位置調整ガスノズル110の長さ方向において補償用ガスの吐出位置を調整できる。なおこの例では、外管111側を昇降移動させるようにしてもよい。
このようにノズル側が回転する構成であっても、載置台141の中心側と周縁側との間で載置台の径方向における接線速度が異なり、ウエハWの径方向においてガス濃度が不均一になりやすいため、ウエハWの径方向におけるガス濃度が低い領域に補償用ガスノズル152,153,162,163から補償用のガスを供給することは有効である。
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